特許第6401904号(P6401904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401904
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20181001BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20181001BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20181001BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20181001BHJP
【FI】
   G02F1/13357
   G02F1/1335 510
   F21S2/00 441
   F21Y101:02
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-269182(P2013-269182)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-125260(P2015-125260A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治
(72)【発明者】
【氏名】岸田 克彦
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−332115(JP,A)
【文献】 特開2006−308682(JP,A)
【文献】 特開平11−167809(JP,A)
【文献】 特開2010−078795(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/030447(WO,A1)
【文献】 特開2002−373519(JP,A)
【文献】 特開2010−003510(JP,A)
【文献】 特開平6−202107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/1335
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射するバックライトユニットとから構成される液晶表示装置であって、
前記バックライトユニットは、
偏光光を出射する発光部と、
ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成され、前記発光部からの光を導光し、表面から光を取り出し、光散乱型である導光板と、
前記導光板上に拡散シートと、
前記拡散シート上に、プリズムパターンが前記液晶パネル側に形成されたプリズムシートと、を備え、
前記導光板の光入射面側に設けられ、前記発光部から入射した偏光光を前記導光板の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換して出射する光学部材をさらに備え
前記発光部は、
光を出射する光源と、
前記光源からの光のうち、特定の振動方向の光のみを透過させ、それ以外の光を反射させる反射型偏光板と、
前記反射型偏光板で反射した光を前記導光板側に反射させる反射板と、を有し、
前記反射型偏光板と前記反射板とで光リサイクル構造を構成し、
前記光学部材は、前記反射型偏光板と前記導光板との間に設けられている
液晶表示装置。
【請求項2】
前記光学部材は、レンチキュラーレンズまたはプリズムシートである
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光源は、LEDまたはCCFLである
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記反射型偏光板は、ワイヤグリッド偏光板、積層型偏光板および積層フィルムと透過型偏光板とを組み合わせた偏光板のうちの1つである
請求項から請求項までの何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記拡散シートおよび前記プリズムシートは、入射された光の偏光状態を変化させない偏光維持特性を有している
請求項1から請求項までの何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記反射型偏光板は、金属配線が50〜100nmピッチで並べられたワイヤグリッド偏光板であって、前記金属配線と垂直方向に振動する光を透過し、前記金属配線と平行な方向に振動する光を反射する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エッジライト型バックライトユニットを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶表示装置に適用されるバックライトユニットとして、光源を導光板(LGP:Light Guiding Plate)のエッジに配置し、導光板を介して、光源から出射された光を液晶パネルに入射させるエッジライト型バックライトユニットが知られている。以下、図2を参照しながら、エッジライト型バックライトユニットを備えた液晶表示装置について説明する。
【0003】
図2は、従来の液晶表示装置100を示す模式断面図である。図2において、液晶表示装置100は、バックライトユニット110、液晶パネル120およびDBEF(反射型偏光性フィルム:DUAL BRIGHTNESS ENHANCEMENT FILM)130から構成されている。
【0004】
バックライトユニット110は、光を出射する光源111、光源111からの光を導光し、表面から光を取り出す導光板112、光を反射させる反射板113、光を拡散する拡散シート114、および光を集める(集光する)プリズムシート115から構成されている。
【0005】
ここで、光源111としては、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)やCCFL(冷陰極蛍光管:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が用いられる。また、導光板112には、一般的に、複屈折性を有する材料が用いられる。
【0006】
液晶パネル120は、2枚の基板の間に液晶が封止された液晶セル121、液晶セル121のバックライトユニット110側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第1偏光板122、および液晶セル121のバックライトユニット110とは反対側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第2偏光板123から構成されている。
【0007】
DBEF130は、バックライトユニット110と液晶パネル120との間に設けられ、光の利用効率を高めるための反射板であり、特定の振動方向の光のみを透過させ、それ以外の光を反射させる。DBEF130で反射された光は、バックライトユニット110内での反射により振動方向が変化し、DBEF130に再入射した際に一部の光が透過することにより、光の利用効率を高めることができる。DBEF130は、屈折率の異なる多層薄膜から形成される。なお、一般的に、DBEF130のサイズは、液晶パネル120のサイズとほぼ同じである。
【0008】
また、本発明の発明者らによって、入射光の偏光状態が変化しないゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板として用いることにより、光の利用効率を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。以下、図3を参照しながら、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板に用いた液晶表示装置について説明する。
【0009】
図3は、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板に用いた液晶表示装置200を示す模式断面図である。図3において、液晶表示装置200は、バックライトユニット210および液晶パネル220から構成されている。
【0010】
バックライトユニット210は、偏光光を出射する発光部211、発光部211からの光を導光し、表面から光を取り出す導光板212、光を反射させる反射板213、光を拡散する拡散シート214、および光を集める(集光する)プリズムシート215から構成されている。また、拡散シート214およびプリズムシート215は、入射された光の偏光状態を変化させない偏光維持特性を有している。
【0011】
発光部211は、光を出射する光源211a、光源211aからの光のうち、特定の振動方向の光のみを透過させ、それ以外の光を反射させる反射型偏光板211b、および反射型偏光板211bで反射した光を導光板212側に反射させる反射板211cから構成されている。また、反射型偏光板211bは、積層型偏光板、WGP(ワイヤグリッド偏光板:Wire Grid Polarizer)、積層フィルムと透過型偏光板とを組み合わせた偏光板である。これらの偏光板を反射板211cと組み合わせることにより、光リサイクル構造を構成することができる。
【0012】
ここで、光源211aとしては、LEDやCCFLが用いられる。また、発光部211として、偏光光を出射する半導体レーザ(レーザダイオード(LD):Laser Diode)を用いることもできる。
【0013】
導光板212は、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成されている。なお、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマとは、配向複屈折率および応力複屈折率が何れもほぼゼロである樹脂であり、入射された光の偏光状態を変化させずに出射することができる。
【0014】
具体的には、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマにおいて、例えば、配向複屈折率を示す面内リタデーションの絶対値および厚み方向リタデーションの絶対値は何れも5nm以下であり、応力複屈折率を示す光弾性係数の絶対値は5.0×10−12/Pa以下である(例えば、特許文献2参照)。
【0015】
液晶パネル220は、2枚の基板の間に液晶が封止された液晶セル221、液晶セル221のバックライトユニット210側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第1偏光板222、および液晶セル221のバックライトユニット210とは反対側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第2偏光板223から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特願2013−268999号明細書
【特許文献2】特開2013−114198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、図2に示した従来の液晶表示装置では、光源からの光のうち、50%強が第1偏光板で吸収されるので、光の利用効率(光源から出射した光が第1偏光板を透過する割合)が低いという問題がある。また、光の利用効率を高めるために、上述したDBEFを用いた場合であっても、DBEFによるs偏光からp偏光への変換効率がそれほど高くないので、光の利用効率は51%程度までしか向上しない。
【0018】
また、上述したように、DBEFのサイズは、液晶パネルとほぼ同等のサイズが必要であり、また、DBEFは、多層膜で形成されているので単価が高く、特にテレビ等の大型LCD(Liquid Crystal Display)に適用した場合には、コストが高くなるという問題がある。
【0019】
また、図3に示したゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板に用いた液晶表示装置では、発光部の光源としてLEDまたはCCFLを用いた場合、発光部からの偏光光が拡散しながら導光板に入射するので、所定の偏光方向以外の偏光光も導光板に入射してしまう。なお、発光部として半導体レーザを用いた場合、この課題は多少緩和されるが、完全に課題が解決されるわけではない。
【0020】
また、導光板に入射した偏光光が導光板内で反射を繰り返すうちに、偏光状態の変化(偏光崩れ)が促進されるという問題が生じる。
【0021】
そのため、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板に用いた液晶表示装置において、光学条件を調整した場合であっても、光の利用効率は57%程度までしか向上せず、光の利用効率を十分に高めることができないという問題がある。
【0022】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低コストで、光の利用効率を高め、消費電力を低減することができるエッジライト型バックライトユニットを用いた液晶表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルに光を照射するバックライトユニットとから構成される液晶表示装置であって、バックライトユニットは、偏光光を出射する発光部と、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成され、発光部からの光を導光し、表面から光を取り出す導光板とを備え、導光板の光入射面側に設けられ、発光部から入射した偏光光を導光板の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換して出射する光学部材をさらに備えたものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係る液晶表示装置によれば、導光板は、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成され、導光板の光入射面側に設けられて、発光部から入射した偏光光を導光板の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換して出射する光学部材をさらに備えている。
そのため、低コストで、光の利用効率を高め、消費電力を低減することができるエッジライト型バックライトユニットを用いた液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置を示す模式断面図である。
図2】従来の液晶表示装置を示す模式断面図である。
図3】ゼロ・ゼロ複屈折ポリマを導光板に用いた液晶表示装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明に係る液晶表示装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0027】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置1を示す模式断面図である。図1において、液晶表示装置1は、バックライトユニット10、液晶パネル20および光学部材30から構成されている。
【0028】
バックライトユニット10は、偏光光を出射する発光部11、発光部11からの光を導光し、表面から光を取り出す導光板12、光を反射させる反射板13、光を拡散する拡散シート14、および光を集める(集光する)プリズムシート15から構成されている。
【0029】
発光部11は、光を出射する光源11a、光源11aからの光のうち、特定の振動方向の光のみを透過させ、それ以外の光を反射させる反射型偏光板11b、および反射型偏光板11bで反射した光を導光板12側に反射させる反射板11cから構成されている。
【0030】
ここで、光源11aとしては、LEDやCCFLが用いられる。ここでは、光源11aがLEDの場合について説明するが、CCFLであっても同様のことがいえる。なお、発光部11として、偏光光を出射する半導体レーザを用いることができる。この場合には、コストは高くなるものの、構成を簡素化することができる。
【0031】
反射型偏光板11bおよび反射板11cは、光の利用効率を高めるための光リサイクル構造を構成する。なお、上述したDBEFを用いて光の利用効率を高めようとした場合には、液晶パネルのサイズとほぼ同等のサイズのDBEFが必要になることからコストが高くなるのに対して、この発明の実施の形態1では、反射型偏光板11bを導光板12の入射面のみに設ければよいので、コストを削減することができる。
【0032】
また、反射型偏光板11bは、積層型偏光板、WGP(ワイヤグリッド偏光板:Wire Grid Polarizer)、積層フィルムと透過型偏光板とを組み合わせた偏光板である。これらの偏光板を反射板11cと組み合わせることにより、光リサイクル構造を構成することができる。
【0033】
WGPは、金属配線が例えば50〜100nmピッチで並べられた偏光板であって、金属配線と垂直方向に振動する光を透過するとともに、金属配線と平行な方向に振動する光を反射する。WGPは、耐熱性が高く、高温にさらされるLEDの近傍での使用には、適している。
【0034】
導光板12は、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成されている。具体的には、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマにおいて、例えば、配向複屈折率を示す面内リタデーションの絶対値および厚み方向リタデーションの絶対値は何れも5nm以下であり、応力複屈折率を示す光弾性係数の絶対値は5.0×10−12/Pa以下である(例えば、特許文献2参照)。
【0035】
また、導光板12は、逆プリズム型または光散乱型であり、逆プリズム型の導光板12において、プリズムは、導光板12の光入射面と平行に形成されている。また、拡散シート14およびプリズムシート15は、入射された光の偏光状態を変化させない偏光維持特性を有している。これにより、光の利用効率をさらに高めることができる。
【0036】
液晶パネル20は、2枚の基板の間に液晶が封止された液晶セル21、液晶セル21のバックライトユニット10側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第1偏光板22、および液晶セル21のバックライトユニット10とは反対側の面に設けられ、特定の振動方向の光のみを透過させる第2偏光板23から構成されている。
【0037】
光学部材30は、導光板12の光入射面側に設けられ、入射した偏光光を導光板12の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換して出射する。すなわち、発光部11から拡散しながら出射される偏光光が、光学部材30において、導光板12の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換されるので、導光板12に、所望の偏光方向の偏光光のみを入射させることができる。
【0038】
なお、光学部材30は、例えば、レンチキュラーレンズやプリズムシートで、反射型偏光板11bと導光板12との間に設けられてもよいし、光源11aと反射型偏光板11bとの間に設けられてもよい。何れの場合であっても、導光板12に、所望の偏光方向の偏光光のみを入射させることができる。
【0039】
ここで、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置1において、第1偏光板22の透過軸方向は、発光部11から導光板12に入射した偏光光が、導光板12から出射されるときの偏光方向と一致するように配置される。
【0040】
このような構成の液晶表示装置1において、図2に示したDBEF130を用いた液晶表示装置100において、51%程度までしか向上しなかった光の利用効率が、79%にまで向上することが測定された。さらに、これは、図3に示したゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成された導光板212および第1偏光板222を用いた液晶表示装置200における光の利用効率(57%程度)よりも高いことがわかる。
【0041】
以上のように、実施の形態1によれば、導光板は、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマで構成され、導光板の光入射面側に設けられて、入射した偏光光を導光板の光入射面と垂直な方向の平行光線に変換して出射する光学部材をさらに備えている。
そのため、低コストで、光の利用効率を高め、消費電力を低減することができるエッジライト型バックライトユニットを用いた液晶表示装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 液晶表示装置、10 バックライトユニット、11 発光部、11a 光源、11b 反射型偏光板、11c 反射板、12 導光板、13 反射板、14 拡散シート、15 プリズムシート、20 液晶パネル、21 液晶セル、22 第1偏光板、23 第2偏光板、30 光学部材。
図1
図2
図3