(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隔壁と前記カテーテルアダプタの前記内部ルーメンの内面との間に挿置された通気路をさらに含み、前記通気路が空気および血液の少なくとも一方を所望の流量で通過させるように選択された表面積および外周を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記内部ルーメンの一部分の内部に前記隔壁に隣接して配設された隔壁作動部をさらに含み、前記隔壁作動部の遠位端が前記隔壁の近位面に接触し、前記隔壁作動部の近位端が前記カテーテルアダプタの開口に隣接して配置されており、前記隔壁作動部の前記近位端は、外部デバイスを前記カテーテルアダプタの前記開口へと挿入することによってアクセスされることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
前記隔壁作動部が、前記隔壁作動部および前記隔壁作動部と前記内部ルーメンの前記内面との間の隙間空間の少なくとも1つの内部における流体の循環を高めるように構成された、複数の通気口および分流器を含むことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
前記導入針の外面と前記隔壁作動部のルーメンの内面との間に配設された流体通気口をさらに含み、前記流体通気口を通る流量は前記導入針の外径および前記隔壁作動部のルーメンの前記内径の少なくとも1つを調整することによって決定されることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
前記隔壁と前記カテーテルアダプタの前記内部ルーメンの内面との間に通気路を挿置して設けるステップをさらに含み、前記通気路が空気および血液の少なくとも一方を所望の流量で通過させるように選択された表面積および外周を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
前記内部ルーメンの一部分の内部に前記隔壁に隣接して隔壁作動部を配設するステップをさらに含み、前記隔壁作動部の遠位端が前記隔壁の近位面に接触し、前記隔壁作動部の近位端が前記カテーテルアダプタの開口に隣接して配置されており、前記隔壁作動部の近位端は、外部デバイスを前記カテーテルアダプタの開口へと挿入することによってアクセスされることを特徴とする請求項8に記載の方法。
前記隔壁作動部を通る流体経路を形成するルーメンを設けるステップをさらに含み、前記ルーメンが前記導入針を通過させるように構成された内径を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
前記隔壁作動部を、前記隔壁作動部および前記隔壁作動部と前記内部ルーメンの前記内面との間の隙間空間の少なくとも1つの内部における流体の循環を高めるように構成された、複数の通気口および分流器を含むように変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
前記導入針の外面と前記隔壁作動部のルーメンの内面との間に挿置された流体通気口を設けるステップをさらに含み、前記流体通気口を通る流量は前記導入針の外径および前記隔壁作動部のルーメンの直径の少なくとも1つを調整することによって決定されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
前記隔壁と前記カテーテルアダプタの前記内部ルーメンの内面との間に挿置された通気路をさらに含み、前記通気路が空気および血液の少なくとも一方を、前記内部ルーメンの前記近位端と前記遠位端との間に所望の流量で通過させるように選択された表面積および外周を有することを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
前記導入針の外面と前記隔壁作動部の通路の内面との間に挿置された流体通気口をさらに含み、前記流体通気口を通る流量は前記導入針の外径および前記隔壁作動部の通路の内径の少なくとも1つを調整することによって決定されることを特徴とする請求項14に記載のアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上記および他の特徴および利点が得られる方法を理解しやすくするために、上記で概要を説明した本発明を、添付の図面に示された特定の実施形態を参照しながら、以下でより詳細に説明する。これらの図面は本発明の一般的な実施形態を示すものに過ぎず、本発明の範囲を制限するとみなされるものではない。
【
図1】従来技術の流量制御弁機構を有する留置カテーテルの断面図である。
【
図2】導入針を除去した後の、
図1の従来技術の留置カテーテルの断面図である。
【
図3】血管アクセスデバイスからコネクタを挿入した後の、
図1および
図2の従来技術の留置カテーテルの断面図である。
【
図4】本発明によるカテーテルアセンブリの実施形態の斜視図である。
【
図5A】本発明によるカテーテルアセンブリの分解断面図である。
【
図5B】本発明による隔壁の実施形態の斜視図である。
【
図6A】本発明の代表的な実施形態による隔壁作動部がないときの流体の流れを示す、カテーテルアダプタの内部ルーメンの断面図である。
【
図6B】本発明による隔壁作動部の実施形態の斜視図である。
【
図6C】作動後における、本発明によるカテーテルアダプタの内部ルーメン内に配設された隔壁作動部の実施形態の側面図である。
【
図6D】カテーテルアダプタを通る流体の流れを示す、本発明によるカテーテルアダプタの内部ルーメン内に配設された隔壁作動部の実施形態の側面図である。
【
図7】作動前における、本発明による組み立てられたカテーテルアセンブリの断面図である。
【
図8】作動後における、本発明による組み立てられたカテーテルアセンブリの断面図である。
【
図9】作動前における、本発明による組み立てられたオーバーザニードルカテーテルアセンブリの断面図である。
【
図10】導入針を除去した後の、本発明による代表的な実施形態による組み立てられたオーバーザニードルカテーテルアセンブリの断面図である。
【
図11A】本発明の代表的な実施形態による様々な特徴および構成を有する隔壁の断面図である。
【
図11B】本発明の代表的な実施形態による様々な特徴および構成を有する隔壁の断面図である。
【
図11C】本発明の代表的な実施形態による様々な特徴および構成を有する隔壁の断面図である。
【
図11D】本発明の代表的な実施形態による様々な特徴および構成を有する隔壁の断面図である。
【
図12】作動後における、本発明の代表的な実施形態による組み立てられたオーバーザニードルカテーテルアセンブリの断面図である。
【
図13】作動前における、本発明の代表的な実施形態による流量制御弁機構および隔壁作動部を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図14】作動後における、本発明の代表的な実施形態による流量制御弁機構および隔壁作動部を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図15】作動前における、本発明の代表的な実施形態による流量制御弁機構および隔壁作動部を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図16】作動後における、
図15に示す代表的な実施形態による流量制御弁機構を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図17】作動前における、本発明の代表的な実施形態による流量制御弁機構および隔壁作動部を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図18】作動後における、
図17に示す代表的な実施形態による流量制御弁機構を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図19】作動前における、本発明の代表的な実施形態による流量制御弁機構および隔壁作動部を有するカテーテル本体の断面図である。
【
図20】作動後における、
図19に示す代表的な実施形態による流量制御弁機構を有するカテーテル本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の現在の好ましい実施形態が、同様の参照符号は同一または機能的に同様の要素を示す図面を参照することによって最も良く理解されるであろう。本明細書で一般的に説明し図示する本発明の構成要素は、多種多様な異なる構成に配置し設計することができることが容易に理解されよう。したがって、図に示す以下のより詳細な説明は、本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の現在の好ましい実施形態を示しているに過ぎない。
【0018】
「近位」という用語は、通常使用時に使用者に最も近く、患者から最も遠いデバイスの部分を示すために使用される。「遠位」という用語は、通常使用時にデバイスを使用している使用者から最も遠く、患者に最も近いデバイスの部分を示すために使用される。弁機構または隔壁の「作動」という用語は、そのような弁の開動作または閉動作を示すために使用される。
【0019】
従来技術の血管外システムの例が、特許文献1に開示されており、
図1から
図3に示されている。
図1に示すように、留置カテーテルは、中空のカテーテル本体1、カテーテル本体1の遠位端に設けられた保持部1b内に嵌合されたカテーテル2、カテーテル本体1の内部に嵌合された隔壁3、およびカテーテル本体1の内部に摺動可能に嵌合された中空のプッシャー4を含む。カテーテルチューブ2、隔壁3、およびプッシャー4はこの順序で同軸に整列されている。
【0020】
カテーテル本体1は筒状の形状を有する。内面1aは遠位端に向かって先細になっており、直径が徐々に小さくなる。カテーテル本体1は、内部を示し、内部の動作の確認を可能にするように、好ましくは透明または半透明の材料のものである。カテーテル本体1に適切な材料は、限定はされないが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性ポリマー樹脂を含む。
【0021】
カテーテル2は、近位端がカテーテル本体1の内部と連通する管保持部1bへと圧入される。皮膚を通ってまたは血管へと挿入することによって生じる抵抗を減らすために、カテーテル2の全体または一部に潤滑剤コーティングを施すことが好ましい。カテーテル2に適切な材料は、限定はされないが、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂を含む。好ましくは、カテーテル2は、患者の体内に存在する生理的条件に曝されると軟化する熱可塑性親水性ポリウレタンから形成される。
【0022】
隔壁3は全体的に筒状の形状であり、近位端8、および遠位端11に位置する平坦面10を有する膜部分9を有する。一般に、隔壁3は、導入針5が隔壁3を貫通しやすいように、膜部分9を通って延びる、膜部分9の中心付近に位置する単一の針スリット3aすなわち弁開口をさらに含む。針スリット3aの対向するスリット面は、保管中は導入針5の形状に密接に沿い、導入針5の除去中および除去後は流体の流出を防ぎ、導入針5が除去されると同時にシールするように設計されている。プッシャー4が挿入されると、スリット3aは遠位方向前方に拡張して開き、カテーテル2と、カテーテル本体1の後部との間に流体連通をもたらす。環状突起3bが、隔壁3の後部開口の内面に設けられており、プッシャー4の近位方向の動きを制限しプッシャー4が隔壁3から外れないように、プッシャー4の遠位端で肩部4cに係合する。複数の隙間3cが、隔壁3の外周部とカテーテル本体1の内面1aとの間に画成されている。隔壁3によって分けられた遠位側空間および近位側空間は、隙間3cを通じて互いに連通する。したがって、空気が隙間3cを通り、隔壁3は滑らかに摺動する。
【0023】
プッシャー4は一般に、剛性の熱可塑性材料または同様の材料から形成され、中を通って延びるルーメンを有する。プッシャー4は、筒状部分4a、筒状部分4aの後部近位端に連結された円錐状フランジ4b、および筒状部分4aの外周部から突出する肩部4cを有する。したがって、筒状部分4aとカテーテル本体1の内面1aとの間に、環状の間隙空間が作られる。筒状部分4aの遠位前端は、筒状部分4aを隔壁3のスリット3aに貫通しやすいように面取りされ、隔壁3の環状突起3bによって摺動可能に支持されている。円錐形フランジ4bは、針5を挿入しやすいように、円錐形内面を有する。フランジ4bの外周面は、カテーテル本体1の内面1aと接触し、プッシャー4に安定性を与え、カテーテル2に対する同軸の位置を維持するように機能する。しかし、フランジ4bの外周面は、内面1aとともに流体シールを形成しない。
【0024】
留置カテーテルは、
図1に示すように使用できる状態に準備され、針5の前端がカテーテル2の前端から突き出ている。この状態において針5は隔壁3を貫通し、これらの間を水密に連結し、それにより血液の漏れを防ぐ。
【0025】
この状態で留置カテーテルは患者の体内へと挿入される。次いで、
図2に示すように、チューブ2が患者の体内に保持された状態で、針5を除去する。隔壁3は、針5が除去されると同時に流体シールを維持し、環状突起1eによってカテーテル本体1内に維持される。プッシャー4は、環状突起3bと肩部4cとの相互作用によって、近位位置に維持される。
【0026】
次いで、血管アクセスデバイスのコネクタ6(例えば、ルアーコネクタ)が、カテーテル本体1の近位端から挿入される。カテーテル本体1へと押し込まれると、コネクタ6はその遠位端でプッシャー4を押す。したがって、プッシャー4は、遠位方向前方に摺動し、その遠位端で隔壁3のスリット3aを押し開き、それにより流量制御弁を作動して開位置にする。次いで、隔壁3はカテーテル本体1の先細状のキャビティ1cの内面に押し付けられ、プッシャー4の前方への移動が
図3に示す遠位位置で止まり、カテーテル2と血管アクセスデバイスとの間が連通される。カテーテル本体1の先細状の内面1aは、カテーテル本体1の近位端からの流体の漏れを防ぐように、コネクタ6の滑らかな挿入およびコネクタ6の外面6aと内面1aとの圧入による密接な接触を可能にする。
【0027】
しかし、この弁機構は、使用中に流体が流入することがある小さい隙間空間/領域をカテーテル本体1内に有し、流体の流れが少ないまたは流体が流れない領域を生じさせることに留意されたい。例えば、使用時には、流体はフランジ4bの外周面とカテーテル本体1の内面1aとの間を流れることがあり、筒状部分4aの外周面と内面1aとの間の隙間空間98へと流入することがある。さらに、流体は、隔壁3の外周面とカテーテル本体1の内面1aとの間の隙間3cである隙間空間99へとに流入することがある。空間/領域98および99で流体の流れが少ないまたは流体が流れないことにより、カテーテルの使用中にこれらの領域へと流入することがある血液、薬剤または気泡を、後でフラッシュアウトすることが非常に困難になる。
【0028】
ここで
図4を参照すると、カテーテルアセンブリ101が示されている。カテーテルアセンブリ101は一般に、カテーテルアダプタ14の遠位端32に連結されたカテーテル12を含む。カテーテル12およびカテーテルアダプタ14は一体に連結され、カテーテルアダプタ14の内部ルーメン16はカテーテル12のルーメン18と流体連通している。カテーテル12は一般に、患者へのカテーテルの挿入に関連する圧力に耐える十分な剛性を有する生体適合性材料を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル12は、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、モリブデン、外科用鋼材およびそれらの合金などの金属材料を含む。他の実施形態では、カテーテル12は、ビニルなどの堅いポリマー材料を含む。カテーテルの先端部分20は一般に、傾斜切断面48を含むように構成される。傾斜切断面48は、カテーテル12を患者の血管系へと挿入することができるように、患者に開口を形成するために使用される。
【0029】
オーバーザニードルカテーテルアセンブリで使用するために、カテーテルアセンブリの特徴を組み込むことができる。例えば、カテーテルを患者へと挿入することができるように、可橈性または半可橈性のポリマーカテーテルを、剛性の導入針と組み合わせて使用することができる。外科的に埋め込まれるカテーテルを使用することもできる。
【0030】
患者へと挿入されると、カテーテル12およびカテーテルアダプタ14は、所望の輸液処置に必要な、患者への流体の供給および/または患者からの流体の回収をしやすくする流体管路を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、カテーテル12およびカテーテルアダプタ14の材料は、輸液処置で一般的に使用される生物流体および薬剤との適合性があるように選択される。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル12および/またはカテーテルアダプタ14の一部分は、患者への流体の供給または患者からの流体の除去をさらに容易にするために、静脈チューブ40の部分とともに使用されるように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14の近位端22はフランジ28を含む。フランジ28は、静脈チューブまたは患者導管40をカテーテルアセンブリ101へと連結することができるように構成することができる凸状面を提供する。いくつかの実施形態では、フランジ28は一組のねじ30を含む。ねじ30は一般に、雄ルアーまたは導管連結器42の一部分を含む一組の相補的なねじ44を適合的に受けるように設けられ、構成される。導管連結器42は一般に、患者導管40の端部部分に流体密に連結される。いくつかの実施形態では、導管連結器42の内側部分は外向きに延長され、プローブ面46を提供する。
【0032】
プローブ面46は一般に、カテーテルアダプタ14の近位端22内に適合的に挿入するように構成される。プローブ46がカテーテルアダプタ14の近位端22へと挿入された後、導管連結器42を回転して、連結器42およびフランジ28を(一組のねじ30および44を介して)連結する。連結器42およびフランジ28を連結するプロセス中、(
図8に示すように)プローブ46は、挿入位置へとカテーテルアダプタ14のルーメン16内を前進する。プローブ面46の挿入位置は、カテーテルアセンブリ101を作動して、流体がカテーテル12およびカテーテルアダプタ14を通って流れることができるようにする。導管連結器42およびカテーテルアダプタ14が取り付けられると、流体を、患者導管40および挿入されたカテーテル12を通って患者へと供給することができる。
【0033】
ここで
図5Aを参照すると、カテーテルアセンブリ101の分解断面図が示されている。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14は、カテーテルアセンブリ101を通る流体の流れを制御および/または制限する様々な設計特徴および構成部品を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、隔壁50が、カテーテルアダプタ14の内部ルーメン16内に配置される。隔壁50は一般に、カテーテルアダプタ14の内面24に形成された溝またはチャネル60内に適合的に設置されるように構成された外径を有する、可橈性または半可橈性のポリマープラグを含む。いくつかの実施形態では、隔壁50は、隔壁50の遠位端を含むバリア面52を有し、隔壁50の近位端を含む開口54をさらに有する円筒形である。溝60内に配置されたとき、隔壁50のバリア面52は、カテーテルアダプタ14の内部ルーメン16を、前部流体室62および後部流体室64へと分割する。したがって、隔壁50の存在が、前部流体室62と後部流体室64との間の流体の通過を制御し、または制限する。特に、隔壁50のバリア面52の選択される構成は、カテーテルアダプタ14の内部ルーメン16を通って流れる流体の能力に大きく影響する。
【0034】
例えば、いくつかの実施形態では、隔壁50のバリア面52は、スリット56を含むように構成される。スリット56は、バリア面52を通る流体の選択的なアクセスまたは流れを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、スリット56は、隔壁作動部80をスリット56を通って遠位方向390に前進させることによって作動し、または開くまで、閉じた流体密の位置に維持されるように構成される。いくつかの実施形態では、バリア面52は一つのスリット56を含む。他の実施形態では、バリア面52は、
図8に示されるように、複数のスリット56、66を含むように変更される。例えば、隔壁50は、単一の開口を形成するように中心点で交差する3つのスリットである、トライスリット構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、隔壁50はシリコーンゴム材料を含む。いくつかの実施形態では、隔壁50は基本的にシリコーンゴム材料から構成される。
【0035】
いくつかの態様では、隔壁50のスリット56の表面の内部を含む隔壁50の表面に、パリレンコーティングが配設される。パリレンは、無機および有機流体、強酸、苛性溶液、気体および水蒸気に対して優れたバリア特性を備えた耐薬品性のコーティングである。いくつかの実施形態では、パリレンコーティングは蒸着によって隔壁50の外面に施される。パリレンコーティングはシリコーンゴムまたは同様の材料など、隔壁の基板材料より硬い材料である。隔壁50が1マイクロメートルより大きい一般的な産業用パリレンの厚さでコーティングされるとき、スリット50の縁部は非常に固くなる。産業におけるパリレンの一般的なコーティングの厚さは、0.001から0.025ミリメートル超の範囲である。スリットリーフのより硬い縁部は、スリットの柔らかい面を窪ませることがあり、したがって針の抜去後にスリットが適切な閉鎖を妨げることがある。このように閉鎖への抵抗が増加すると、シールが効果的でなくなる。さらに、隔壁50が業界基準のパリレンの厚い層でコーティングされると、隔壁50とカテーテルアダプタ14の内面24との間の摩擦係数が小さくなり、したがって隔壁50をカテーテルアダプタ14内から除去するのに必要な力が小さくなる。 他方、隔壁がパリレンでコーティングされないと、シリコーン隔壁は粘着性になり、自動化されたプロセスで給送することが困難になる。
【0036】
したがって、いくつかの構成では、パリレンコーティングの厚さは0.00005から0.0005ミリメートルとすることができる。他の実施形態では、パリレンコーティングの厚さは0.0001から0.0035ミリメートルである。他の実施形態では、パリレンコーティングの厚さは0.0001から0.0002ミリメートルである。このタイプのパリレンコーティングの薄い層では、スリット56は、針の抜去後に簡単に閉じる。さらに、パリレンコーティングの厚さが薄くなると、隔壁50の外面とカテーテルアダプタ14の内面24との間の摩擦係数が増え、隔壁50の維持力が増加する。
【0037】
いくつかの輸液療法技術では、隔壁作動部80で隔壁50を作動する前に、隔壁50を通る流体の制御された流れを可能にすることが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、スリット56はリーク開口58をさらに含む。リーク開口58は、バリア面52に配置され、前部室62と後部室64との間の液体または空気の制御された流れを可能にするように計算された開口径を含む。いくつかの実施形態では、バリア面52は、単一のリーク開口58を含むように変更される。他の実施形態では、バリア面52は、複数のリーク開口を含むように構成される。さらに他の実施形態では、バリア面52はスリット56を含まず少なくとも1つのリーク開口58を含む。これらの実施形態では、隔壁50は一般に、弾性材料を含み、隔壁作動部80が遠位方向390に前進するとき、隔壁作動部80の前縁92がバリア面52に接触し、リーク開口58を伸長させ、より大きい開口にし、それによりカテーテルアダプタ14を通る空気および/または流体の流れを増加させることができる。
【0038】
隔壁が設置される溝またはチャネル60は、カテーテルアダプタ14の内面24の凹部を含む。隔壁50の外径は一般に、チャネル60内に適合的に確実に設置されるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、隔壁50の外径は、チャネル60の直径よりわずかに小さく、内部ルーメン16の直径よりわずかに大きいように選択される。したがって、隔壁50は、カテーテルアセンブリ101の使用中、チャネル60内に維持される。
【0039】
いくつかの輸液療法技術では、前部室62と後部室64との間に空気が流れることが望ましいことがある。例えば、流体密スリット56を有する隔壁50を含む実施形態では、上述したように、隔壁作動部80によって隔壁50を開きまたは作動する前は前部室62から後部室64への空気の通過が禁止される。したがって、カテーテルアセンブリ101のカテーテル12が患者の血管系へと挿入されたとき、前部室62内に正圧が発生し、それにより、カテーテルアダプタ14内への患者の血液の望ましいフラッシュバックを防げる。患者の静脈内にカテーテル先端20が正確に配置されたことを確認するために、観察可能なフラッシュバックは一般に望ましい。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、隔壁作動部80による隔壁50の作動を必要とせずに、前部室62と後部室64との間の空気流を可能にする特徴または要素を含む。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、輸液処置に一般に望ましいように、観察可能なフラッシュバックを提供する。
【0040】
例えば、いくつかの実施形態では、隔壁50のバリア面52は、上述したように、リーク開口58を含むように変更される。他の実施形態では、複数の通気路70が、隔壁50とカテーテルアダプタ14の内面24との間に挿置される。通気路70は、空気が隔壁50を迂回して後部室64へと入るためのアクセスを設けることによって、前部室62内の正圧を緩和する。いくつかの実施形態では、通気路70は、チャネル60面の部分を除去して、全体的に平行な複数の溝を形成することによって作製される。
【0041】
前部室62と後部室64と間の空気流を可能にすることに加えて、通気路70は、隔壁作動部80によってスリット56を作動しまたは開く前に、カテーテルアダプタ14を通って流体が流れることができるように構成することができる。いくつかの実施形態では、前部室62と後部室64との間を流れる空気および/または流体の流量は、カテーテルアダプタ14を、より多いまたは少ない数の通気路70を含むように製造することによって調節される。他の実施形態では、前部室62と後部室64との間を流れる空気および/または流体の流量は、カテーテルアダプタ14を、より大きいまたは小さい断面積を有する通気路70を含むように製造することによって調節される。したがって、いくつかの実施形態では、前部室62と後部室64との間を流れる空気および/または流体の流量は、より多い数の通気路70またはより大きい断面積を有する通気路70を含むカテーテルアダプタ14を製造することによって、増加する。反対に、他の実施形態では、前部室62と後部室64との間を流れる空気および/または流体の流量は、より少ない数の通気路70またはより小さい断面積を有する通気路70を含むカテーテルアダプタ14を製造することによって、減少する。
【0042】
引き続き
図5Aを参照すると、隔壁作動部80は、カテーテルアダプタ14の後部室64に最初に収容されるプローブ様の構造を含む。隔壁作動部80は一般に、遠位端84および近位端86を有する筒状本体82を含む。筒状本体82は、プラスチックまたは金属材料など、剛性または半剛性材料を含む。筒状本体82は、隔壁作動部80を通る流体および/または液体の流れを容易にするための内部ルーメン88をさらに含む。
【0043】
筒状本体82の遠位端84は、隔壁50の開口54内に適合的に挿入するように構成される。遠位端84は、
図8に示すように、隔壁50のバリア面52の近位側の位置へと、隔壁50の開口54を通って延びる、プローブ面90をさらに含む。隔壁作動部がカテーテルアダプタ14を通って遠位方向390に前進すると、プローブ面90は、スリット56およびスリット66を通って、またはリーク開口58を通って前進する。カテーテルアダプタ14を通る隔壁作動部80の前進は、
図7および
図8に関連して、以下で詳細に説明する。
【0044】
さらに、他の実施形態では、隔壁50は疎水性コーティングまたはポリマー膨張コーティングによって被覆され、流体が通気路70を通って流れることを阻止または防止する。疎水性コーティングは一般に、隔壁50および/またはアダプタ14の表面エネルギーを低減し、通気路70内への血液のウィッキングを阻止するように選択される。いくつかの実施形態では、隔壁50またはカテーテルアダプタ14の表面は、パリレンなどのポリキシリレンポリマー材料で被覆される。他の実施形態では、ポリキシリレンポリマーコーティングが、蒸着によって通気路70に塗布される。
【0045】
いくつかの実施形態では、脱水ポリマー材料が、通気路70を含む隔壁50またはカテーテルアダプタ14の表面に塗布される。脱水ポリマーは一般に、流体と接触すると拡張し、または膨張するように選択される。したがって、脱水ポリマーが膨張すると、通気路70を通る流れは、膨張したポリマーによって阻止され、または塞がれる。最初は、脱水ポリマーは一般に、水分に曝露される前は薄い外形を含む。しかし、水分に曝露されると、ポリマーは水分を吸収し、これによりポリマーの外形が増大し、通気口70を通る流れを阻止する。したがって、隔壁50および/またはカテーテルアダプタ14を望ましいコーティングで被覆することによって、通気路70を通る流体の流れを防止しながら、前部室62と後部室64との間の空気の流れを可能にする。
【0046】
ここで
図5Bを参照すると、隔壁150の実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、隔壁150の外面166は、複数の凹溝72を含むように変更される。凹溝72は、空気および/または流体が流れることができる、前部室62と後部室64との間の流路を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、溝60は通気路70を含まず、隔壁150の外面166が前部室62と後部室64との間の望ましい流れを提供するように変更される。
【0047】
患者の血圧は、カテーテルアセンブリ101の隔壁50および隔壁150を通る血液および空気の流量に大きく影響する。したがって、システムを通る流量は、すべての流路の有効液圧直径の合計によって影響される。したがって、いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ101を通る流量を増加または減少するように、通気路70および/または凹溝72の液圧直径が変更される。他の実施形態では、通気路70および/または凹溝72の液圧直径が減少され、それにより、通気手段を通る流れが実質的に減少し、または停止する。通気手段を通る流量を制御するための支配方程式は式1で表され、式中、BPは血圧、Aは通気手段の表面積、
【0049】
は血液の表面張力、Pは通気手段の外周である。
【0052】
したがって、式1によると、通気手段の外周が小さいと、通気手段は通気を可能にするが、血液の表面張力
【0054】
が比較的高いため、血液の流れは防止する。しかし、通気手段の外周が増加すると、血液と通気口の間の表面張力が減少し、血液が通気口を通って隔壁の周りにゆっくりとリークすることができ、制御されているが望ましいフラッシュバックを提供する。したがって、式1の様々な変数を調整することによって、望ましい流れが達成される。したがって、隔壁の周りの通気口のサイズおよび/または数に基づいて、カテーテルアセンブリの設計は、隔壁50または隔壁150の周りのカスタマイズされ制御された予測可能な血液の流れを提供する。いくつかの実施形態では、血液に直ちに曝露する危険性を伴わずに、カテーテルが血管内にあることを示す視覚的表示を提供する手段として、ゆっくりとした制御された血液の流れを可能にすることが望ましい。他の実施形態では、通気口に空気だけを通過させることが望ましい。
【0055】
ここで
図6Aを参照すると、カテーテルアダプタ14の内部ルーメンの断面が示されている。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14は、狭い溝またはポート160を介して流体接続された前部流体室62および後部流体室64を含む。構成されているように、いくつかの実施形態では、流体経路170が画成され、これにより流体146は、後部流体室64からポート160を通って前部流体室62内へと下流に流れる。流体経路170は、前部流体室62をさらに通り、遠位端32から、カテーテル(図示せず)または他の下流側導管へと出る。流体146がカテーテルアダプタ14のルーメン全体を満たす間、流体経路170は一般に、カテーテルアダプタ14の断面の中央部を通る狭い経路に抑制される。したがって、狭い流体経路170の一部ではない流体146は、デッドゾーン156内で停滞し、または循環する。これらのデッドゾーン内に集められた流体146は、流体経路170の流体146との十分な混合が妨げられる。いくつかの実施形態では、停滞によって、薬剤の沈殿、凝固、または危険な高用量投与につながる可能性がある、薬品、体液および/または薬剤の高い局所的な濃度が発生する。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14のルーメン内のデッドゾーン156を排除する特徴を有する隔壁作動部80が設けられている。
【0056】
ここで
図6Bを参照すると、隔壁作動部80の斜視図が示されている。いくつかの実施形態では、筒状本体82の遠位端84は、第1の直径100は、近位端86の第2の直径102より小さい第1の直径100を含む。より狭い遠位端84は隔壁50の開口54内に適合的に挿入するように構成され、より広い近位端86はカテーテルアダプタ14の後部室64内に適合的に設置するように構成される。いくつかの実施形態では、隔壁作動部は、遠位端84および近位端86を連結する先細状の中間部104をさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、隔壁作動部80の近位端86は、保持ばね110をさらに含む。保持ばね110は一般に、
図5A、
図7、
図8に示すように、隔壁作動部の保持溝68に適合的に係合するように構成された、筒状本体82の外向きに付勢された部分を含む。保持ばね110と保持溝68との間の相互作用は、隔壁作動部80がカテーテルアダプタ14のルーメン16内で横方向に移動することを制限する。したがって、保持溝68の幅は、カテーテルアダプタ14内での隔壁作動部80の移動距離を決定し、または制限する。さらに、保持ばね110と保持溝68との間の相互作用は、カテーテルアダプタ14から隔壁作動部80が外れることを防止する。いくつかの実施形態では隔壁作動部80は複数の保持ばね110を含み、他の実施形態では隔壁作動部80は単一の保持ばね110を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、隔壁作動部80は、隔壁作動部80の周りおよび/または隔壁作動部80を通る流体の流れを方向付け、または方向を変えるための特徴をさらに備える。分流は、閉塞をもたらす、隔壁作動部80および/またはカテーテルアダプタ14のルーメン16のデッドゾーン156内での流体の停滞または凝固を防止するのに重要である。さらに、カテーテルアセンブリ101を通る流体の流れの停滞は、上述したように、カテーテルアダプタ14および/または隔壁作動部80内での薬剤の望ましくない濃度の上昇をもたらすことがある。望ましくない濃度の上昇は、死亡を含む重大な副作用を引き起こす、有効ではない処置をもたらすことがある。したがって、いくつかの実施形態では、隔壁作動部80は、フラッシュ可能なカテーテルアセンブリ101システムを提供するように、複数の流体偏向部120および分流溝130を含むように変更される。
【0059】
流体偏向部120は一般に、隔壁作動部80外面の内向きおよび外向きに傾斜した部分を含む。流体偏向部120は、カテーテルアダプタ14を通る流路内へと突出するように配置される。したがって、流体が流体偏向部120に接触すると、流体の流路が乱される。この乱れによって、隔壁作動部80の内部ルーメン88を通る流体の流れおよび隔壁作動部80の外面とカテーテルアダプタ14の内面24との間を通る流体の流れの方向が変わる。いくつかの実施形態では、保持ばね110は流体偏向部120としても機能する。
【0060】
分流溝130は、カテーテルアダプタ16のルーメンと隔壁作動部80の内部ルーメン88との間で流体の交換を可能にするように設けられる。したがって、分流溝130は、カテーテルアダプタ14の内面24と隔壁作動部80の外面との間での流体の停滞および/または凝固を防止する。いくつかの実施形態では、分流溝130は、筒状本体82の表面の窓または開口を含む。他の実施形態では、分流溝130は、流体を、分流溝130を通って流れるようさらに方向付けるように、フラップまたは傾斜面をさらに含む。
【0061】
隔壁作動部80の近位端86は、接触面140をさらに含む。接触面140は、以下で
図7に示すように、隔壁作動部80の最近位端部分を含み、カテーテルアダプタ14の近位側開口26に隣接して、カテーテルアダプタ14の後部室64内に配置される。
【0062】
ここで
図6Cを参照すると、カテーテルアダプタ14(仮想線で示す)のルーメンに配置された隔壁作動部180の実施形態が示される。いくつかの実施形態では、隔壁作動部180は、様々な再循環特徴を含むように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、隔壁作動部180は、流体経路170からデッドゾーン156へと流体の方向を変えるように構成された種々の開口200を含む。したがって、流体が隔壁作動部180へと流入し、隔壁作動部180を流通すると、隔壁作動部180内の流体は、通気口200を通過し、作動部180の外面とカテーテルアダプタ14の内壁面との間のデッドゾーン156に入る。方向を変えられた流体は、デッドゾーン156内の流体と混合し、流体をデッドゾーン156からフラッシュし、上述したように、停滞および/または過度の集中を防ぐ。
【0063】
いくつかの実施形態では、隔壁作動部180は、フラッシングフィン220を含むようにさらに変更される。フラッシングフィン220は一般に、作動部180とカテーテルアダプタ14の内壁面との間のデッドゾーン156へと延びる作動部180の外面の垂直な延長部を含む。フラッシングフィン220は、流体経路170内の流体をデッドゾーン156へと方向を変え、再び方向付けるように設けられる。したがって、デッドゾーン156内の流体が流体経路170内の流体と混合し、カテーテルアダプタ14内の流体の停滞および/または過度の集中を防ぐ。
【0064】
最後に、いくつかの実施形態では、分流溝130は、流体偏向部230を含むように変更される。流体偏向部230は、流体経路170内の流体を、前部流体室62のデッドゾーン156内へと方向を変えるよう配置された、分流溝130の傾斜した遠位側表面を含む。したがって、
図6Dに示すように、流体146が隔壁作動部180を通って流れると、流体の一部分が、分流溝130を通って方向を変え、流体偏向部230を介してデッドゾーン156内へと流れる。
【0065】
引き続き
図6Dを参照すると、カテーテルアダプタ14の断面内に配置された隔壁作動部180の断面である。上述したように、隔壁作動部180の近位端86および遠位端186の両方に再循環特徴を付加することができる。いくつかの実施形態では、隔壁作動部180の近位端86は、流体の流れ246を、後部流体室64のデッドゾーン156内へと向きを変更する、湾曲した窓特徴240を含むように変更される。したがって、窓特徴240の湾曲面242は、カテーテルアダプタ14内の流体の停滞および過度の集中を防止するように、単独でおよび/または他の再循環特徴と組み合わせて、デッドゾーン156内の流体の混合を促進する。
【0066】
いくつかの実施形態では、再循環特徴は、最良のフラッシングを誘導するように対称構成で配置される。他の実施形態では、再循環特徴は、最良のフラッシングを誘導するように非対称構成で配置される。最後に、いくつかの実施形態では、再循環特徴は、隔壁作動部180の流体フラッシング能力を補助するように、隔壁作動部180のさらなる拡散、循環および再循環特徴と組み合わせて使用される。上記の開示に照らして、隔壁作動部180内の流体の流れ効率、混合および洗浄を所望の通りに増加または減少するように、隔壁作動部180の別の表面を変更することができる。
【0067】
ここで
図7を参照すると、隔壁作動部80によって隔壁50を作動する前における、組み立てられたカテーテルアセンブリ101の断面図が示される。作動前、隔壁作動部80の全体が、カテーテルアダプタ14の後部流体室64内に配置される。さらに、保持ばね110が、保持溝68内に係合され、保持溝68の近位端付近に配置される。隔壁作動部80の接触面140は、カテーテルアダプタ14の開口26の付近に配置され、隔壁作動部80の近位側開口142は、カテーテルアダプタの開口26に全体的に平行な面にくるようになっている。最後に、外向きに付勢された保持ばね110が、溝68の表面上に拘束され、それにより、カテーテルアダプタ14内での隔壁作動部80の非作動位置を維持する。
【0068】
ここで
図8を参照すると、隔壁作動部80によって隔壁50を作動した後における、カテーテルアセンブリ101の断面図が示される。連結器42がカテーテルアダプタ14の近位開口26へと挿入されると、連結器42のプローブ部分46は、隔壁作動部80の接触面140と接触する。連結器42がカテーテルアダプタ14の近位側開口26へとさらに挿入されると、隔壁作動部80は遠位方向390に前進する。連結器42が近位側開口26へとさらに前進すると、隔壁作動部80のプローブ面90は、隔壁50のバリア面52を通過する。したがって、隔壁作動部80のプローブ面90は、前部室62内に配置され、隔壁50を通る流体経路を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ101は、カテーテルアダプタ14から連結器42が除去された後、隔壁作動部80が後部室64内の位置に完全に戻ることができるように構成される。したがって、連結器46がカテーテルアセンブリ101から除去されまたは取り外されたとき、隔壁50を通る流体経路は再び閉じられる。いくつかの実施形態では、保持ばね110は、隔壁作動部80の接触面140と連結器42のプローブ46との接触時に、内向きに曲がるように構成される。保持ばね110が内向きに曲がったとき、隔壁作動部80のプローブ面90は、スリット66および56、またはリーク開口58を開くよう付勢するように遠位方向390に一時的に前進する。プローブ46と接触面140との接触が終了すると、保持ばね110は弛緩位置へと戻る。弛緩位置は、隔壁作動部80のプローブ面90をバリア面52から引き抜き、それによりスリット66および56を閉じることができる。
【0070】
ここで
図9を参照すると、カテーテルアセンブリ300の断面図が、導入針350を組み込んで示されている。針350の近位端352は、カテーテルの実施中に使用者が針350を保持し、操作しやすいように、針ハブ(図示せず)または挿入アセンブリ(図示せず)と連結することができる。この図示を明瞭にするために、針アセンブリの残りの部分は取り除かれている。
【0071】
作動前、隔壁作動部380は、完全にカテーテルアダプタ314の後部室364内に配置される。導入針350を通過させることができるように、作動部380の内部ルーメン316を通る経路が設けられる。針350の中間部分は、隔壁356を通過し、前部室362を通って可橈性カテーテル312へと入る。針350の先端部分(図示せず)は、カテーテル312の先端部分(図示せず)を超えて延び、針先端が、患者の血管へのアクセスを得るために利用可能となっている。
【0072】
隔壁356のスリット366は、導入針350によって開くよう付勢される。いくつかの実施形態では、針350の外面とスリット366との間にシールが形成される。したがって、針350とスリット366との間の境界によって、流体および空気流が隔壁を迂回(バイパス)することが防止される。いくつかの実施形態では、スリット366と針350との間に、これらの二部品間の制御されたリークまたは流れを可能にする溝または通路が設けられる。
【0073】
他の実施形態では、流体および/または空気の起こり得るリークをさらに排除するように、針350とスリット366との間の境界に非湿潤性潤滑剤などの潤滑剤が塗布される。非湿潤性潤滑剤は、針がカテーテルの実施後にカテーテルアセンブリから除去するときに起こり得る、スリットの裂けまたは他の損傷を防ぐためにも有益である。非湿潤性潤滑剤はまた、針350の除去後にスリット366の半体を適切に再び位置合わせしやすくすることもできる。非湿潤性潤滑剤の非限定的な例は、エンデュラコーティング社(Endura CoatingCo.)製のエンデュラなどの公知のテフロン(登録商標)ベースの非湿潤性材料を含み、ティオダイズ(Tiodize)製のA20、E−20、1000−S20、FEPグリーン、PTFEおよびX−40、AEエール(AEYale)製のキャミー2000、ラッドリサーチ(Ladd Research)製の21845、ミラーステファソン(Miller−Stepheson)製のMS122−22、MS122DF、MS−143DF、MS−122V、MS−122VM、MS143V、MS−136W、MS−145W、U0316A2、U0316B2、MS−123、MS−125、MS−322、MS−324、およびオトボック(Otto Bock)製の633T2も使用可能である。種々の非テフロン(登録商標)ベースの非湿潤性潤滑型材料は、アート(ART)製のディリン、ニーバー、ダイアマネックス、NiLAD、TIDLN、キスコート、酸化チタン、3M製のフルオキャドフルオロケミカルコーティング FC−722、デュポン(Dupont)製のパーマコート、プラズマテック社(Plasma Tech,Inc.)製のプラズマテック1633、およびシリコンスプレーを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、隔壁作動部380の遠位端384は細長く、接触面340がカテーテルアダプタ314の近位側開口326のより近くに配置されるようになっている。したがって、短縮したプローブ部分(図示せず)を有する連結器は、遠位端384が隔壁356を通って前進するように、接触面340と十分に接触することができる。他の実施形態では、隔壁作動部380の遠位端384は、導入針350の外径と実質的に同じサイズの内径を含むように構成される。したがって、遠位端384の内径は、針350の外面と隔壁作動部380の遠位端384の内面との間の最小の公差382を維持しながら、針350の通過を可能にするように構成される。この最小公差382はシールを提供し、それによりカテーテルアセンブリ300から針350を抜去しながら、針350と隔壁作動部380との間の血液のリークまたは流れを防止する。
【0075】
いくつかの実施形態では、後部室364内に並進溝368が設けられる。並進溝368は一般に、所定の長さ370を有する環状凹部を含む。並進溝368はさらに、フラッシングフィン320を受けるように構成され、フラッシングフィン320は溝368内に保持されるようになっている。したがって、長さ370は、隔壁作動部380が後部室364内で移動できる最大横方向距離を表わす。いくつかの実施形態では、溝368の近位端は、環状隆起372によって画成される。他の実施形態では、溝368の遠位端は、第2の環状隆起374によって画成される。さらに、他の実施形態では、第2の環状隆起374は、隔壁溝60の近位端を形成する。
【0076】
ここで
図10を参照すると、導入針350の除去後のカテーテルアセンブリ300の断面図が示されている。導入針350が除去されると、隔壁356のスリット366は開くよう付勢されなくなり、したがって、スリット366を通る液体および/または空気の流れを妨げるように、再び閉じ、シールする。上述したように、いくつかの実施形態では、スリット366は、前部室362と後部室364と間の制御された流れを可能にするリーク開口(図示せず)を含む。他の実施形態では、複数の通気路70が、隔壁356の外面と隔壁溝60との間に設けられる。
【0077】
ここで
図11A〜11Dを参照すると、隔壁356は、隔壁作動部380の遠位端384を安定させるための様々な構成および特徴を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、隔壁356は、
図11Aに示すように、隔壁作動部380の遠位端384の外径と実質的に等しいサイズの内径358を含むように構成される。他の実施形態では、隔壁356は、
図11Bに示すように、遠位端384の外径と実質的に等しいサイズの内径358を有する内部環状隆起または突起360を有するように構成される。したがって、これらの実施形態では、遠位端384は隔壁356によって径方向に支持される。
【0078】
図11Cを参照すると、いくつかの実施形態では、隔壁356の内面376は、1つまたは複数の起伏部391を含むように変更される。いくつかの実施形態では、起伏部391は、隔壁作動部380の遠位端384の一部分を含む凸状特徴392を受けるように構成された、窪んだ環状凹部を含む。他の実施形態では、起伏部391は、隔壁作動部380の特徴392を受けるサイズおよび構成の単一の窪みを含む。さらに、他の実施形態では、起伏部391は凸状特徴を含み、特徴392は凹状または凹部特徴(図示せず)を含む。したがって、いくつかの実施形態では、起伏部391と特徴392との相互作用は、カテーテルアダプタ314内での隔壁作動部380の径方向支持および軸方向維持を提供する。この構成により、クリップおよび保持溝などの追加の保持特徴が必要でなくなる。
【0079】
ここで
図11Dを参照すると、隔壁356は、導入針350の除去後に、隔壁356の遠位面386に加えられる圧力に対抗するドーム形状部394を含む。ドーム形状部394は、隔壁356の遠位面386に追加的強度を与え、それにより隔壁356に勝るのに必要な流体圧力が増加する。いくつかの実施形態では、血液が隔壁356に到達すると、ドーム形状部394は、前部室362内の血液の流れからの圧力により隔壁356が閉まることを助ける。他の実施形態では、隔壁356は、
図5A、5B、7〜11Cに示すように全体的に平坦な形状を含み、または、平坦面と湾曲面との組み合わせを含むこともできる(図示せず)。
【0080】
ここで
図12を参照すると、隔壁作動部380によって隔壁356を作動した後における、カテーテルアセンブリ300の断面図が示されている。連結器342がカテーテルアダプタ314の近位側開口326へと挿入されると、連結器342のプローブ部分346は、隔壁作動部380の接触面340と接触する。連結器342が近位側開口326にさらに挿入されると、隔壁作動部380は遠位方向390に前進し、それによりフラッシングフィン320を並進溝368内で移動させる。連結器342が近位側開口326へとさらに前進すると、隔壁作動部380のプローブ面348は、隔壁356のスリット366を通過する。したがって、隔壁作動部380のプローブ面348は、前部室362内に配置され、隔壁356を通る流体経路を提供する。
【0081】
ここで
図13〜20を参照すると、隔壁および隔壁作動部またはプッシャーを含む弁機構を含む、血管アクセスデバイス内で生じる流体の流れが少ないまたは流体が流れない領域をさらに排除しまたは低減することを目的とする、いくつかの実施形態による複数の弁が示されている。
【0082】
図13および
図14は、スリーブ45を使用して、流体の流れが少ないまたは流体が流れない領域である隙間空間へと流体が流れることを防ぐ、本発明の実施形態を示す。
【0083】
図13は、針の除去後、隔壁作動部またはプッシャー344が近位位置にある状態で、カテーテル本体41のルーメン341内に流体シールを形成する隔壁43を示す。スリーブ45は、プッシャー344の周囲に取り付けられ、プッシャー344の近位部分348の外周面53と、ルーメン341の内面354との間の流体シールを形成する。したがって、流体はプッシャー344の近位端とルーメン341の内面354との間から隙間空間498へと流れることができない。
図14は、遠位位置にあるプッシャー344を示し、流体は、プッシャー344のルーメン51を通ってのみ流れることができる。スリーブ45は引き続きプッシャー344の外周面53とルーメン341の内面54との間の流体シールを維持する。したがって、流体は隙間空間498へと流れることができない。さらに、プッシャー344が遠位位置にあるとき、スリーブ45の遠位側部分の先細状の外面351によって、隙間空間498のサイズが低減される。スリーブ45は、例えば液体シリコーンゴムなど、より柔軟なエラストマー材料から作られ、インサート成形、射出成形および他の成形技術または成形技術の組み合わせなど、適切な成形工程によってプッシャー344に取り付けられる。
【0084】
図15、16は、流体が作動部365とカテーテル本体61のルーメン363の内面74との間の隙間空間698および隙間空間699へと流入することを防ぐように、筒状の隔壁作動部365の近位端65および遠位端75でシールを使用する弁機構を有する、本発明の別の実施形態を示す。プッシャーが
図15に示すような近位位置または
図16に示すような遠位位置にあるとき、流体が作動部365の遠位端と隔壁63の近位面との間を流れることを防ぐように、遠位シール75が隔壁63に組み込まれている。近位シール65は、作動部365の近位端の外周縁の周りの連続した隆起またはドーナツ状バンドであり、作動部の近位位置および遠位位置において、カテーテル本体61のルーメン363の内面74とともに流体シールを形成する。近位シール65は、例えば液体シリコーンゴムなど、より柔軟なエラストマー材料から作られ、作動部365上にオーバー成形され、作動部365の近位端の外面上のリップ367によって定位置に維持される。作動部365は、外面371の外周から延び、外周の周りに均等に分布された複数のフィン369を有する。これらのフィン369は、ルーメン363の内面74の一部73と接触するのに十分なほど長く、フィン369を使用して、遠位方向で隔壁63と接触し、近位方向で内面74の窪みまたは段差378と接触することによって、カテーテル本体に沿った作動部365の移動を制限する。
【0085】
図17〜20は、狭く囲まれた隙間空間を排除し、それにより流体の流れが少ないまたは流体が流れない領域を排除するように構成された弁機構を有する、いくつかの実施形態を示す。
【0086】
図17および18は、隔壁83が作動部383の大部分を収容する実施形態を示す。作動部383は、頭部、筒状部およびプランジャを含む。流体が内面94とプランジャ80との間を通過することができないように、少なくともカテーテル本体81のルーメン385の直径と等しい直径を有するプランジャ381は、作動部383の近位端に配置される。隔壁83は、その全長に沿って、少なくともルーメン82の外径と等しい外径を有し、隔壁83とルーメン385の内面94との間に隙間空間が存在しないようになっている。さらに、隔壁83は、内径が作動部383の筒状部87の外径と等しいルーメン85を有し、それにより筒状部87の長さに沿った追加の流体シールが形成される。さらに、作動部383および隔壁83の相対的な長さは、
図18に示すように、作動部383が遠位位置にあるとき、プランジャ381の遠位面389が隔壁83の近位端388と密に接触するようになっている。したがって、プランジャ381と隔壁83との間には隙間空間が存在しない。頭部は、作動部383の遠位端に位置し、流体の流れが作動部383のルーメン91から分岐できるようにし、内面74で隔壁83の遠位面の周りに流体が流れないまたは流体の流れが少ない領域393ができる可能性を低減するために、ルーメン91の側壁に長手方向スロット387を含む。
【0087】
図19および
図20は、隔壁103が、遠位端108を有する筒状部107、近位端105に位置する近位平面を有する膜部109を含む、弁機構の他の実施形態を示す。隔壁103の筒状部107は、隔壁ハウジング111内に実質的に配設され、ルーメン385の表面に形成された肩部または環状凹部121によって遠位方向の移動が妨げられる。膜部109の外周とルーメン385の近位部110の内面114との間に、流体シールが形成され、弁が閉じられたときに隔壁103を通過して流体がリークすることを防ぐ。いくつかの実施形態では、隔壁103は、導入針5が隔壁103を貫通しやすいように、膜部109を通って延びる、膜部109の中心付近に位置する針スリット113すなわち弁開口をさらに含む。隔壁作動部304は、ルーメン385の近位部に位置し、筒状部115を含む。いくつかの実施形態では、筒状部またはスリーブ部分115は、筒状部115の外周の周りに均等に分布され、遠位端または作動端117に位置する、複数の長手方向スロットまたは流路116を側壁にさらに含み、作動端117と膜109との間に隙間が形成されるようになっている。
【0088】
図19は、導入針5の除去後における、近位位置にある隔壁作動部304を示す。特に、隔壁作動部304の作動端117は、隔壁103の膜部109の近位平面に対して配置され、境界を形成する。近位部310におけるルーメン385の直径は、血管アクセスデバイスのコネクタ106(例えば、ルアーコネクタ)、隔壁作動部304および膜部109の外径とほぼ等しく、コネクタ106(
図20に示す)、隔壁作動部304および膜部109の接触端の間に隙間空間がなくなる。第1のルーメン385の内面114と近位部310は、膜部109によってさらにシールされる。
【0089】
ここで
図20を参照すると、遠位位置にある隔壁作動部304が示されており、コネクタ106は、隔壁作動部304を遠位方向前方に移動させ、隔壁作動部304の作動端117が膜部109を変形させる。この変形により流体経路が形成され、流体は、スロット116を通って膜部109を迂回し、次いで膜部109の外周と内面114との間を流れ、筒状部107の側壁の開口118を通って案内される。この膜部109の外周の周りの分岐流体通路は、停滞または低流領域がルーメン385の肩部119付近に発生する可能性を低減する乱流流体の流れを生じさせる。次いで流体は、筒状部分107の内径に沿って引き続き流れ、ルーメン385の遠位部112へと流れる。
【0090】
本明細書に記述されたいかなる隔壁も、多様な適切な材料によって、また多様な適切な製造方法によって作製することができる。例えば、隔壁は、インサート成形、射出成形、他の成形技術、または成形技術の組み合わせなど、適切な成形工程によって、液体シリコーンゴムから形成することができる。隔壁103、または本明細書に記述されたいかなる隔壁も、その任意の表面、特に流体と接触する表面に、抗菌物質のコーティングを含むことができる。
【0091】
本発明は、本明細書に広く記載され以下で特許請求されるような構造、方法または他の基本的性質から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。記載された実施形態は、あらゆる点において、限定ではなく例示として解釈される。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に含まれるすべての変更は、特許請求の範囲内に含まれる。