(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上方に開口する点検口と、側部に形成され、排水が流入する流入口と、側部に形成され、排水が流出する第1流出口と、側部に形成され、排水が流出する第2流出口と、内部に設けられ、上流端が前記流入口と連通する流入側インバートと、内部に設けられ、上流端が前記流入側インバートの下流部と連通し、下流端が前記第1流出口と連通する第1流出側インバートと、内部に設けられ、上流端が前記流入側インバートの下流部と連通し、下流端が前記第2流出口と連通する第2流出側インバートと、前記第1流出側インバートに設けられた第1溝部と、前記第2流出側インバートに設けられた第2溝部と、を有する有底筒状のます本体と、
前記第1溝部に着脱自在に設けられ、前記第1溝部を埋める溝埋め部材と、
前記第2溝部に着脱自在に設けられ、排水の流れを塞き止める仕切部材と、
を備え、
前記第1流出側インバートおよび前記第2流出側インバートは、それぞれ半管状の形状を有し、
前記溝埋め部材は、開口部を有する板状の部材であり、
前記溝埋め部材の前記開口部の半径は、前記第1流出側インバートおよび前記第2流出側インバートのそれぞれの深さと同じ、または前記深さよりも長い、排水ます。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大規模な地震または津波等の災害が発生した場合、下水本管が破損するおそれがある。下水本管が破損してしまった場合、下水本管から排水が外部に漏れてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本願出願人は、特許文献1に記載された排水ますを、三方向流出型の排水ますとして使用することを検討した。すなわち、排水設備に接続された流入管路を下流側排水路と連通させ、複数の流出管路を、それぞれ複数の上流側排水路に連通させる。そして、複数の流出管路のうち一の流出管路を下水本管に接続し、他の流出管路を排水を貯留する貯留槽に接続する。通常時には、排水を下水本管に流し、かつ、貯留槽に流さないように、貯留槽に接続された流出管路に連通する上流側排水路の嵌合部に仕切板を装着する。一方、下水本管等が破損した災害時には、排水を貯留槽に流し、かつ、下水本管に流さないように、下水本管に接続された流出管路に連通する上流側排水路の嵌合部に仕切板を装着する。このことによって、災害時において、下水本管等が破損して、排水設備から流出する排水を下水本管に流せない場合であっても、その排水を貯留槽に流すことができる。よって、下水本管が破損した場合であっても排水設備を使用することができる。
【0007】
しかし、特許文献1に記載された排水ますにおいて、使用される上流側排水路に形成された溝状の嵌合部には、仕切板が装着されていない。使用される上流側排水路に形成された嵌合部は、露出している。そのため、排水に含まれるトイレットペーパー等の異物が、この嵌合部に詰まってしまうおそれがあった。また、排水ますの流路を切り替える際、嵌合部に異物が詰まっていると、その嵌合部に仕切板を円滑に装着することができないおそれがあった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水の流路に溝部を備えた排水ますであって、排水ますに接続される管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合、排水の流路を円滑に切り替えることができ、かつ、排水に含まれる異物が溝部に詰まることを防止することができる排水ますおよびそれを備えた排水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る排水ますは、上方に開口する点検口と、側部に形成され、排水が流入する流入口と、側部に形成され、排水が流出する第1流出口と、側部に形成され、排水が流出する第2流出口と、内部に設けられ、上流端が前記流入口と連通する流入側インバートと、内部に設けられ、上流端が前記流入側インバートの下流部と連通し、下流端が前記第1流出口と連通する第1流出側インバートと、内部に設けられ、上流端が前記流入側インバートの下流部と連通し、下流端が前記第2流出口と連通する第2流出側インバートと、前記第1流出側インバートに設けられた第1溝部と、前記第2流出側インバートに設けられた第2溝部と、を有する有底筒状のます本体と、前記第1溝部に着脱自在に設けられ、前記第1溝部を埋める溝埋め部材と、前記第2溝部に着脱自在に設けられ、排水の流れを塞き止める仕切部材と、を備えている。
【0010】
前記排水ますによれば、流入口からます本体内に流入する排水が第1流出口から流出する場合、溝埋め部材は第1溝部に装着され、仕切部材は第2溝部に装着される。よって、流入口からます本体内に流入する排水は、第2流出口へ流れずに、流入側インバートおよび第1流出側インバートを通って第1流出口へ流れる。このとき、第1溝部は、溝埋め部材によって埋められているため、排水に含まれる異物が第1溝部に詰まることを防止することができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記仕切部材は、前記第1溝部に着脱自在に設けられる。前記溝埋め部材は、前記第2溝部に着脱自在に設けられる。
【0012】
上記態様によれば、流入口からます本体内に流入する排水が第2流出口から流出する場合、溝埋め部材は第2溝部に装着され、仕切部材は第1溝部に装着される。よって、流入口からます本体内に流入する排水は、第1流出口へ流れずに、流入側インバートおよび第2流出側インバートを通って第2流出口へ流れる。このとき、第2溝部は、溝埋め部材によって埋められているため、排水に含まれる異物が第2溝部に詰まることを防止することができる。
【0013】
仮に、第1流出口に接続された管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合、流入口から流入する排水を第2流出口からます本体の外部へ流出するように、排水の流路を変更する。このとき、仕切部材を第2溝部から取り外し、かつ、溝埋め部材を第1溝部から取り外す。そして、仕切部材を第1溝部に装着し、溝埋め部材を第2溝部に装着する。このとき、第1溝部および第2溝部には、異物が詰まっていないため、仕切部材および溝埋め部材を容易に装着することができる。したがって、排水の流路を円滑に切り替えることができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1溝部および前記第2溝部は、可撓性を有する部材によって形成されている。
【0015】
上記態様によれば、仕切部材は、第1溝部および第2溝部に密着して装着される。よって、第1溝部に仕切部材を装着したとき、仕切部材と第1溝部との間から排水が流れることをより防止することができる。一方、第2溝部に仕切部材を装着したとき、仕切部材と第2溝部との間から排水が流れることをより防止することができる。また、溝埋め部材は、第1溝部および第2溝部に密着して装着される。よって、第1溝部に溝埋め部材を装着したとき、第1溝部に異物が詰まることをより防止することができる。一方、第2溝部に溝埋め部材を装着したとき、第2溝部に異物が詰まることをより防止することができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記仕切部材には、取っ手が設けられている。
【0017】
上記態様によれば、作業者が第1溝部および第2溝部に仕切部材を着脱し易くなる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記溝埋め部材には、取っ手が設けられている。
【0019】
上記態様によれば、作業者が第1溝部および第2溝部に溝埋め部材を着脱し易くなる。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記溝埋め部材は、開口部を有する板状の部材である。
【0021】
上記態様によれば、溝埋め部材は板状の部材であるから、作業者は溝埋め部材を第1溝部および第2溝部に着脱し易い。流入口からます本体内に流入する排水が第1流出口からます本体の外部へ流出するとき、溝埋め部材は第1溝部に装着される。このとき、流入口から流入する排水を、溝埋め部材の開口部を通って第1流出口へ流すことができる。一方、流入口からます本体内に流入する排水が第2流出口からます本体の外部へ流出するとき、溝埋め部材は第2溝部に装着される。このとき、流入口から流入する排水を、溝埋め部材の開口部を通って第2流出口へ流すことができる。
【0022】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記溝埋め部材の前記開口部の半径は、前記第1流出側インバートおよび前記第2流出側インバートのそれぞれの溝の深さと同じ、または前記深さよりも長い。
【0023】
上記態様によれば、開口部から排水が流れ易くなる。
【0024】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記ます本体は、側部に形成され、排水が流出する第3流出口と、内部に設けられ、上流端が前記流入側インバートの下流部と連通し、下流端が前記第3流出口と連通する第3流出側インバートと、前記第3流出側インバートに設けられ、前記仕切部材または前記溝埋め部材が着脱自在に設けられる第3溝部と、を備えている。
【0025】
上記態様によれば、仮に、第2流出口側に他の管路等の物体が配置されており、第2流出口に管路が接続できない場合であっても、第3流出口に管路を接続することができる。よって、第1流出口に接続された管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合であっても、排水の流路を切り替えて、流入口からます本体内に流入する排水を流入側インバートおよび第3流出側インバートを通じて第3流出口からます本体の外部へ流出させることができる。
【0026】
本発明の排水システムは、上述した何れか一つに記載された排水ますと、上流端が排水設備に接続され、下流端が前記流入口に接続された流入管路と、上流端が前記第1流出口および前記第2流出口のうち一方に接続され、下流端が下水本管に接続された第1流出管路と、上流端が前記第1流出口および前記第2流出口のうち他方に接続された第2流出管路と、前記第2流出管路の下流端に接続された貯留槽と、を備えている。
【0027】
前記排水システムによれば、第1流出管路または下水本管が破損した場合であっても、排水ますによって排水の流路を切り替えることで、排水設備から流入管路に流入する排水を、排水ますを通じて、第2流出管路から貯留槽へ排出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、排水の流路に溝部を備えた排水ますであって、排水ますに接続される管路に排水の漏洩等の異常が発生した場合、排水の流路を円滑に切り替えることができ、かつ、排水に含まれる異物が溝部に詰まることを防止することができる排水ますおよびそれを備えた排水システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る排水ますおよび排水システムの各実施形態について説明する。ここで説明される各実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0031】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る排水システム1Aについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る排水システム1Aの平面図である。
図2は、排水システム1Aの正面図である。
図3は、排水システム1Aの背面図である。
図1に示すように、排水システム1Aは、排水が流れるシステムである。ここで、「排水」には、汚水および雨水が含まれる。「汚水」とは、トイレ、風呂、および台所の流し台等から排出される水であり、そのままでは河川に放流させることができないものである。本実施形態では、トイレ、風呂、および台所の流し台等のように、汚水が排出される設備を排水設備5とする。「雨水」とは、降雨などの自然現象に起因する水であり、そのまま河川に放流させることができるものである。ここでは、排水システム1Aは、排水のうち排水設備5から流出する汚水が流れるシステムである。しかし、排水システム1Aは、雨水が流れるシステムであってもよい。この場合、排水設備5は、雨水が集約される側溝等に置換される。本実施形態では、
図2に示すように、排水システム1Aは、地中に埋設されている。排水システム1Aは、排水管路10と、排水の流路が切り替えることが可能な排水ます20と、貯留槽70とを備えている。
【0032】
排水管路10は、特に図示はしていないが、下流に向かって下方に傾斜している。
図1に示すように、排水管路10は、流入管路11と、第1流出管路12と、第2流出管路13とを備えている。流入管路11には、排水設備5から排出される汚水が流入する。流入管路11の上流端は、排水設備5に接続されている。流入管路11の下流端は、排水ます20の流入口32に接続されている。
【0033】
図2に示すように、第1流出管路12の上流端は、排水ます20の第1流出口33に接続されている。第1流出管路12の下流端は、汚水を汚水処理場等に導く下水本管15に接続されている。第1流出管路12内には、公共ます16が設けられている。
図3に示すように、第2流出管路13の上流端は、排水ます20の第2流出口34に接続されている。第2流出管路13の下流端は、汚水を貯留する貯留槽70に接続されている。なお、「管路」とは、水を流通させる通路を意味する。「管路」は、一本の配管によって構成されていてもよいし、本実施形態のように、複数本の配管とそれら配管を接続する継手によって構成されていてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る排水ます20について説明する。排水ます20は、排水(本実施形態では汚水)の流路を切り替えが可能なますである。排水ます20は、排水管路10の途中箇所に設けられている。
図4は、排水ます20の平面図である。
図4に示すように、排水ます20は、ます本体21と、仕切板22と、溝埋め板23とを備えている。
【0035】
図5は、ます本体21の平面図である。
図6は、ます本体21の正面図である。
図7は、ます本体21の右側面図であり、第1流出口33側から見た図である。
図6に示すように、ます本体21は、有底筒状の部材である。ます本体21は、内部に空間を有する。ます本体21の上部には、上方に開口する点検口31が形成されている。ます本体21の側部には、側方に開口する流入口32、第1流出口33、第2流出口34(
図7参照)および第3流出口35が形成されている。
図5に示すように、ます本体21の内部には、流入側インバート32aと、第1流出側インバート33aと、第2流出側インバート34aと、第3流出側インバート35aとが設けられている。
【0036】
点検口31は、作業者がます本体21の内部に破損または詰まり等がないかのメンテナンスを行う部位である。
図6に示すように、点検口31は、流入口32、第1流出口33、第2流出口34(
図7参照)および第3流出口35よりも大きく開口している。点検口31の内径は、流入口32、第1流出口33、第2流出口34および第3流出口のそれぞれの内径よりも長い。そのため、作業者は、点検口31を通じて、ます本体21の内部の上記メンテナンスを容易に行うことができる。
図2に示すように、点検口31には、点検筒17が接続されている。ここでは、点検筒17の上端が地面と略同じ高さに配置されるように、排水ます20は地中に埋設されている。作業者は、点検筒17を通じて、ます本体21の内部の上記メンテナンスを行う。なお、点検筒17の上端には、蓋18が配置されている。通常時、点検筒17は、蓋18によって閉じられている。
【0037】
流入口32は、ます本体21の側部に設けられている。ここでは、流入口32には、汚水が流入する。本実施形態では、流入口32は、配管が挿入される受口であるが、配管に挿入される差口であってもよい。
図1に示すように、前述の通り、流入口32には流入管路11が接続される。なお、本実施形態では流入口32には、流入管路11の一部をなす配管が直接接続されるが、流入口32に上記配管が他の部材などを介して間接的に接続されていてもよい。
【0038】
第1流出口33は、ます本体21の側部に設けられている。ここでは、
図5に示すように、第1流出口33は、平面視において、流入口32と対向している。第1流出口33から汚水が流出する。本実施形態では、第1流出口33は受口であるが、第1流出口33は差口であってもよい。
図1に示すように、前述の通り、第1流出口33には、第1流出管路12が接続される。第1流出口33には、第1流出管路12の一部をなす配管が直接接続されていてもよく、上記配管が他の部材を介して間接的に接続されていてもよい。
【0039】
図7に示すように、第2流出口34は、ます本体21の側部に設けられている。ここでは、
図5において、ます本体21の左側(流入口32が設けられている側)を上流側、右側(第1流出口33が設けられている側)を下流側としたとき、第2流出口34は、ます本体21の側部の下流側に設けられている。第2流出口34から汚水が流出する。本実施形態では、第2流出口34は受口であるが、第2流出口34は差口であってもよい。
図1に示すように、前述の通り、第2流出口34には、第2流出管路13が接続される。第2流出口34には、第2流出管路13の一部をなす配管が直接接続されていてもよく、上記配管が他の部材を介して間接的に接続されていてもよい。
【0040】
図6に示すように、第3流出口35は、ます本体21の側部に設けられている。ここでは、
図5に示すように、第3流出口35は、ます本体21の側部の下流側に設けられている。第3流出口35は、第2流出口34と対向するように、第2流出口34の反対側に配置されている。第3流出口35は、平面視において、第1流出口33の中心軸を中心として第2流出口34と線対称の位置に配置されている。第3流出口35から汚水が流出することが可能である。ただし、本実施形態では、第3流出口35には、排水管路10の一部をなす配管が接続されていない。ここでは、第3流出口35は使用されないものである。
【0041】
なお、本実施形態では、
図6に示すように、流入口32と第1流出口33と第2流出口34(
図7参照)と第3流出口35とは、ます本体21の側部の同じ高さの位置に設けられている。また、流入口32と第1流出口33と第2流出口34と第3流出口35とは、同じ大きさで開口しており、それらの底部は同じ高さに位置している。ただし、流入口32と第1流出口33と第2流出口34と第3流出口35との高さおよび開口の大きさの関係は特に限定されない。例えば、流入口32は、第1流出口33、第2流出口34および第3流出口35よりも高い位置に設けられていてもよい。また、流入口32と第1流出口33と第2流出口34と第3流出口35とは、それぞれ異なる大きさで開口していてもよい。
【0042】
図5に示すように、流入側インバート32aは、ます本体21の底面に設けられている。流入側インバート32aは、半管状の形状を有している。流入側インバート32aは、直線状の溝である。流入側インバート32aの上流端は、流入口32と連通している。流入側インバート32aは、流入口32と連続している。
【0043】
第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aは、ます本体21の底面に設けられている。第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aは、半管状の形状を有している。
【0044】
第1流出側インバート33aの上流端は、流入側インバート32aの下流部と連通している。第1流出側インバート33aの上流端は、流入側インバート32aの下流部と連続している。第1流出側インバート33aの下流端は、第1流出口33と連通している。第1流出側インバート33aの下流端は、第1流出口33と連続している。第2流出側インバート34aの上流端は、流入側インバート32aの下流部と連通し、連続している。第2流出側インバート34aの下流端は、第2流出口34と連通し、連続している。第3流出側インバート35aの上流端は、流入側インバート32aの下流端と連通し、連続している。第3流出側インバート35aの下流端は、第3流出口35と連通し、連続している。
【0045】
なお、本実施形態では、流入側インバート32aと第2流出側インバート34aとの間、第2流出側インバート34aと第1流出側インバート33aとの間、第1流出側インバート33aと第3流出側インバート35aとの間、および、第3流出側インバート35aと流入側インバート32aとの間には、それぞれ土手部39が設けられている。土手部39のそれぞれは、流入側インバート32a、第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aよりも上方に配置されている。土手部39によって、流入側インバート32aと、第1流出側インバート33aと、第2流出側インバート34aと、第3流出側インバート35aとは、区画されている。
【0046】
ます本体21は、第1溝部41と、第2溝部42と、第3溝部43とを備えている。第1溝部41は、第1流出側インバート33aに設けられている。第2溝部42は、第2流出側インバート34aに設けられている。第3溝部43は、第3流出側インバート35aに設けられている。
【0047】
本実施形態では、第1溝部41と、第2溝部42と、第3溝部43とは同様の構成をしている。そのため、ここでは、第1溝部41について詳細に説明し、第2溝部42および第3溝部43の説明は省略する。ただし、以下の説明において、第2溝部42の場合、第1流出側インバート33aは第2流出側インバート34aに置換され、第3溝部43の場合、第1流出側インバート33aは第3流出側インバート35aに置換される。第1溝部41は、第1流出側インバート33aの上流部に設けられている。ここでは、第1溝部41は、第1流出側インバート33aと流入側インバート32aとが連続する位置の近傍に設けられている。ただし、第1溝部41の位置は、第1流出側インバート33aの下流部に配置されてもよい。第1溝部41は、平面視において、点検口31の内側に配置されている。第1溝部41は、第1流出側インバート33aの上流部を横切るようにして上流部の内周面に配置されている。ただし、第1溝部41は、第1流出側インバート33aの上流部の上部の内周面にのみ配置されていてもよい。第1溝部41は、平面視において、直線状の溝である。第1溝部41は、可撓性を有する部材によって形成されている。本実施形態では、第1溝部41は、ゴム製である。
【0048】
次に、仕切板22について説明する。本実施形態では、仕切板22が「仕切部材」に対応する。
図4に示すように、仕切板22は、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に着脱自在に設けられるものである。仕切板22は、第1溝部41に装着されたとき、第1流出口33に汚水が流出することを塞き止める。同様に、仕切板22は、第2溝部42に装着されたとき、第2流出口34に汚水が流出することを塞き止め、第3溝部43に装着されたとき、第3流出口35に汚水が流出することを塞き止める。仕切板22は、平面視において、点検口31の内部に設けられている。このことによって、作業者は、点検口31を通じて仕切板22を着脱することができる。
図8は、仕切板22の正面図である。
図9は、仕切板22の側面図である。
図10は、仕切板22を第1溝部41に装着した状態を示す図である。本実施形態では、
図10に示すように、仕切板22は、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に嵌る。
図8に示すように、仕切板22は、略半月形状をした板状の部材である。
【0049】
仕切板22は、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に対応した形状をしており、ここでは、仕切板22の上端面を除く端面は湾曲している。仕切板22の上端面を除く端面には、可撓性を有する可撓部材51が設けられている。可撓部材51は、仕切板22の左右両側端および下端に設けられている。
図9に示すように、可撓部材51は、仕切板22の厚み方向に対して略中央に配置されているが、仕切板22の厚み方向に対して一端側に配置されていてもよい。可撓部材51は、例えば、ゴム製である。
図10に示すように、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43には、仕切板22の可撓部材51が嵌る。このことによって、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に仕切板22を密着して装着することができる。なお、本実施形態では、仕切板22は2つある。
【0050】
図8に示すように、仕切板22の上端面には、取っ手52が設けられている。取っ手52の形状は特に限定されないが、ここでは、取っ手52は、仕切板22の上端面から上方に延びており、中央部分に空間を有している。取っ手52は、仕切板22と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0051】
次に、溝埋め板23について説明する。本実施形態では、溝埋め板23が「溝埋め部材」に対応する。
図4に示すように、溝埋め板23は、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に着脱自在に設けられるものである。溝埋め板23は、第1溝部41に装着されたとき、第1溝部41の溝を埋める。同様に、溝埋め板23は、第2溝部42に装着したとき、第2溝部42の溝を埋め、第3溝部43に装着したとき、第3溝部43の溝を埋める。溝埋め板23は、平面視において、点検口31の内部に設けられている。このことによって、作業者は、点検口31を通じて溝埋め板23を着脱することができる。
図11は、溝埋め板23の正面図である。
図12は、溝埋め板23の側面図である。
図13および
図14は、溝埋め板23を第1溝部41に装着した状態を示す図である。本実施形態では、
図13に示すように、溝埋め板23は、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に嵌る。
図11に示すように、溝埋め板23は、略半月形状をした板状の部材である。溝埋め板23は、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に対応した形状をしており、ここでは、溝埋め板23の左右両側端および下端は湾曲している。溝埋め板23の上端面を除く端面には、可撓性を有する可撓部材61が設けられている。可撓部材61は、例えば、ゴム製である。
図13に示すように、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43には、溝埋め板23の可撓部材61が嵌る。このことによって、第1溝部41、第2溝部42または第3溝部43に溝埋め板23を密着して装着することができる。
【0052】
図11に示すように、溝埋め板23には、開口部62が設けられている。開口部62は、溝埋め板23の中央部分に設けられている。開口部62の形状は特に限定されないが、ここでは、
図14に示すように、開口部62は円形状である。開口部62の半径L1は、第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aのそれぞれの溝の深さL2と同じ長さである。開口部62は、第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aの開口断面よりも大きい。なお、開口部62の半径L1は、第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aの溝の深さL2よりも長くてもよい。ただし、開口部62が円形状ではなく、例えば四角形状の場合、「開口部の半径」とは、その開口部62の面積と同じ面積における円形状の半径(すなわち、等価直径/2)となる。
【0053】
図11に示すように、溝埋め板23の上端面には、取っ手63が設けられている。取っ手63の形状は特に限定されないが、ここでは、取っ手63は、溝埋め板23の上端面から上方に延びており、中央部分に空間を有している。取っ手63は、溝埋め板23と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0054】
次に、貯留槽70について説明する。
図3に示すように、貯留槽70は、排水設備5から排出された汚水を貯留する槽である。貯留槽70は、タンクによって構成されており、内部に密封された空間を有している。貯留槽70の側面上部には、排水口71が形成されている。排水口71には、第2流出管路13の下流端が接続されており、第2流出管路13を介して排水ます20の第2流出口34が接続されている。
【0055】
貯留槽70の上面には、鉛直方向に円筒78が突設されている。円筒78は、上端が地面と略同一の高さとなるようにして、貯留槽70の上面に設けられている。作業者は、円筒78を通じて、浄化槽70の内部を保守および点検することができる。なお、通常時において、円筒78の上部は蓋79によって閉塞されている。
【0056】
次に、本実施形態に係る排水システム1Aおよび排水ます20の利用方法について説明する。排水システム1Aは、通常時は排水設備5から流出する汚水を下水本管15に排出し、地震または津波等の災害が発生して第1流出管路12または下水本管15が破損したときには、排水ます20の流路を切り替えて、排水設備5から排出する汚水を貯留槽70へ排出するように用いられる。以下の説明では、通常時の利用態様を通常時モードといい、災害時の利用態様を災害時モードということとする。
【0057】
図4に示すように、通常時モードでは、排水ます20の流入口32からます本体21内に流入した汚水が、第1流出口33から流出して、下水本管15に排出されるように、2つの仕切板22および溝埋め板23を配置する。具体的には、一の仕切板22は、第2流出側インバート34aに設けられた第2溝部42(
図5参照)に装着される。他の仕切板22は、第3流出側インバート35aに設けられた第3溝部43(
図5参照)に装着される。また、第1流出側インバート33aに設けられた第1溝部41(
図5参照)には、溝埋め板23が装着される。
【0058】
図1に示すように、通常時モードでは、排水設備5から流出した汚水は、流入管路11を流れた後、排水ます20の流入口32からます本体21内に流入する。
図4に示すように、ます本体21内に流入した汚水は、流入側インバート32aを通過する。その後、汚水は、溝埋め板23の開口部62(
図11参照)を通った後、第1流出側インバート33aを通り、第1流出口33からます本体21の外へ流出する。なお、このとき、第2流出側インバート34aの第2溝部42には、仕切板22が装着されている。そのため、汚水は、仕切板22によって、第2流出口34に流れない。第3流出側インバート35aの第3溝部43には、同様に仕切板22が装着されている。そのため、汚水は、仕切板22によって、第3流出口35には流れない。また、第1流出側インバート33aの第1溝部41には、溝埋め板23が装着されている。このことによって、汚水に含まれる異物が第1溝部41に引っ掛かることを防止している。
図1に示すように、第1流出口33から流出した汚水は、第1流出管路12を流れ、下水本管15に排出される。下水本管15に排出された汚水は、汚水処理場等に導かれ、浄化処理される。
【0059】
災害時モードでは、排水ます20によって汚水の流路を切り替えて、流入口32からます本体21内に流入した汚水が、第2流出口34から流出して、貯留槽70に排出されるように、2つの仕切板22および溝埋め板23の配置を変更する。
図15は、災害時モードにおける、仕切板22および溝埋め板23の配置状態を示した図である。具体的には、作業者は、
図4に示すように、第2流出側インバート34aの第2溝部42(
図5参照)に装着された仕切板22、および、第1流出側インバート33aの第1溝部41(
図5参照)に装着された溝埋め板23を取り外す。次に、
図15に示すように、作業者は、第2溝部42に溝埋め板23を装着し、第1溝部41に仕切板22を装着する。なお、第3溝部43には、仕切板22が装着された状態である。
【0060】
図1に示すように、災害時モードでは、排水設備5から流出した汚水は、第1流出管路11を流れた後、排水ます20の流入口32からます本体21内に流入する。
図15に示すように、ます本体21内に流入した汚水は、流入側インバート32aを通過する。その後、汚水は、溝埋め板23の開口部62(
図11参照)を通った後、第2流出側インバート34aを通り、第2流出口34からます本体21の外へ流出する。なお、このとき、第1溝部41および第3溝部43には、それぞれ仕切板22が装着されているため、汚水は、第1流出口33および第3流出口35に流れない。また、第2流出側インバート34aの第2溝部42には、溝埋め板23が装着されている。このことによって、汚水に含まれる異物が第2溝部42に引っ掛かることを防止している。
図1に示すように、第2流出口34から流出した汚水は、第2流出管路13を通じて貯留槽70へ排出され、貯留される。貯留槽70に貯留された汚水は、例えば、吸引ポンプ(図示せず)によって吸い上げられる。この場合、作業者は、貯留槽70の上面に設けられた円筒78の上部を閉塞する蓋79を取り外し、円筒78を介して貯留槽70に上記吸引ポンプを挿入する。そして、上記吸引ポンプによって、貯留槽70に貯留された汚水を外部へ吸い上げる。
【0061】
以上のように、本実施形態では、
図4に示すように、通常時モードにおいて、流入口32からます本体21内に流入した汚水が第1流出口33から流出するために、2つの仕切板22は、それぞれ第2溝部42(
図5参照)および第3溝部43(
図5参照)に装着され、溝埋め板23は第1溝部41(
図5参照)に装着される。流入口32から流入する汚水は、仕切板22によって、第2流出口34および第3流出口35へ流れずに、流入側インバート32aおよび第1流出側インバート33aを通って第1流出口33へ流れる。このとき、第1溝部41は、溝埋め板23によって埋められているため、汚水に含まれる異物が第1溝部41に詰まることを防止することができる。その後、
図1に示すように、第1流出口33からます本体21内に流出した汚水は、第1流出管路12を通って下水本管15に排出される。よって、通常時モードにおいて、排水設備5から流出した汚水を下水本管15へ排出することができる。
【0062】
一方、災害時モードでは、流入口32からます本体21内に流入する汚水が第2流出口34から流出するように、排水ます20によって汚水の流路を変更する。このとき、
図4に示すように、第1溝部41に装着された溝埋め板23、および、第2溝部42に装着された仕切板22を取り外す。そして、
図15に示すように、第1溝部41に仕切板22を装着し、第2溝部42に溝埋め板23を装着する。このとき、第1溝部41および第2溝部42には、汚水に含まれる異物が詰まっていないため、仕切板22および溝埋め板23を容易に装着することができる。したがって、汚水の流路を円滑に切り替えることができる。
【0063】
災害時モードでは、流入口32からます本体21内に流入する汚水は、第1流出口33および第3流出口35へ流れずに、流入側インバート32aおよび第2流出側インバート34aを通って第2流出口34へ流れる。このとき、第2流出側インバート34aに設けられた第2溝部42は、溝埋め板23によって埋められているため、汚水に含まれる異物が第2溝部42に詰まることを防止することができる。その後、
図1に示すように、第2流出口34から流出した汚水は、第2流出管路13を通って貯留槽70に排出される。よって、災害時モードにおいて、排水設備5から流出した汚水を貯留槽70へ排出することができる。
【0064】
本実施形態では、
図5に示すように、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43は、可撓性を有する部材によって形成されている。このことによって、
図10に示すように、仕切板22は、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に密着して装着される。よって、第1溝部41に仕切板22を装着したとき、仕切板22と第1溝部41との間から汚水が流れることをより防止することができる。同様に、第2溝部42に仕切板22を装着したとき、および、第3溝部43仕切板22を装着したとき、第2溝部42と仕切板22との間、および、第3溝部43と仕切板22との間から汚水が流れることをより防止することができる。また、
図13に示すように、溝埋め板23は、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に密着して装着される。よって、第1溝部41に溝埋め板23を装着したとき、第1溝部41に異物が詰まることをより防止することができる。同様に、第2溝部42に溝埋め板23を装着したとき、および、第3溝部43に溝埋め板23を装着したとき、第2溝部42および第3溝部43に異物が詰まることをより防止することができる。
【0065】
本実施形態では、
図8に示すように、仕切板22には、取っ手52が設けられている。このことによって、作業者が取っ手52を把持して、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に仕切板22を着脱し易くなる。
【0066】
また、本実施形態では、
図11に示すように、溝埋め板23には、取っ手63が設けられている。このことによって、作業者が取っ手63を把持して、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に溝埋め板23を着脱し易くなる。
【0067】
本実施形態では、溝埋め板23は、開口部62を有する板状の部材である。このことによって、溝埋め板23は、第1溝部41、第2溝部42および第3溝部43に対して着脱し易くなる。また、通常時モードにおいて、流入口32からます本体21内に流入した汚水を、溝埋め板23の開口部62を通って第1流出口33へ流すことができる。一方、災害時モードにおいて、流入口32からます本体21内に流入した汚水を、溝埋め板23の開口部62を通って第2流出口34へ流すことができる。
【0068】
また、本実施形態では、
図14に示すように、溝埋め板23の開口部62の半径L1は、第1流出側インバート33a、第2流出側インバート34aおよび第3流出側インバート35aのそれぞれの溝の深さL2と同じ長さである。このことによって、開口部62から汚水が流れ易くなる。
【0069】
本実施形態では、
図3に示すように、貯留槽70が接続された第2流出口34は、ます本体21の側部に形成されている。よって、貯留槽70をできるだけ浅い位置に埋設することができる。そのため、貯留槽70を埋設するための作業時間を短縮することができると共に、貯留槽70を埋設するための作業コストを削減することができる。
【0070】
以上、第1実施形態に係る排水システム1Aについて説明した。しかし、本発明に係る排水システムは、第1実施形態に係る排水システム1Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成は同じ符号を付し、その説明は省略することとする。
【0071】
<第2実施形態>
第1実施形態では、排水ます20の第2流出口34には、貯留槽70が接続された第2流出管路13が接続されていた。排水ます20の第3流出口35には、排水管路10の一部をなす配管が接続されておらず、第3流出口35は使用されないものであった。
【0072】
図16は、第2実施形態に係る排水システム1Bの平面図である。
図16に示すように、排水システム1Bの排水管路10は、第3流出管路14を備えている。第3流出管路14の上流端は、排水ます20の第3流出口35に接続されている。第3流出管路14の下流端は、汚水を貯留する貯留槽70に接続されている。排水ます20の第2流出口34には、排水管路10の一部をなす配管が接続されていない。ここでは、第2流出口34は、使用されないものである。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第2流出口34と第3流出口35とは、ます本体21に設けられ、対向した位置に配置されている。
【0073】
次に、本実施形態に係る排水システム1Bの利用方法について説明する。通常時モードでは、第1実施形態と同様であるため、その詳しい説明は省略する。災害時モードでは、排水ます20によって汚水の流路を切り替えて、流入口32からます本体21内に流入した汚水が、第3流出口35から流出して、貯留槽70に排出されるように、2つの仕切板22および溝埋め板23の配置を変更する。具体的には、
図4に示すように、作業者は、第3流出側インバート35aの第3溝部43(
図5参照)に装着された仕切板22、および、第1流出側インバート33aの第1溝部41(
図5参照)に装着された溝埋め板23を取り外す。次に、作業者は、第3溝部43に溝埋め板23を装着し、第1溝部41に仕切板22を装着する。なお、第2溝部42には、仕切板22が装着された状態である。
【0074】
図16に示すように、災害時モードでは、排水設備5から流出した汚水は、第1流出管路11を流れた後、排水ます20の流入口32からます本体21内に流入する。ます本体21内に流入した汚水は、流入側インバート32aを通過する。その後、汚水は、溝埋め板23の開口部62(
図11参照)を通った後、第3流出側インバート35aを通り、第3流出口35からます本体21の外へ流出する。なお、このとき、第1溝部41および第2溝部42には、それぞれ仕切板22が装着されているため、汚水は、第1流出口33および第2流出口34には流れない。また、第3流出側インバート35aの第3溝部43には、溝埋め板23が装着されている。このことによって、汚水に含まれる異物が第3溝部43に引っ掛かることを防止している。第3流出口35から流出した汚水は、第3流出管路14を通じて貯留槽70へ排出され、貯留される。
【0075】
本実施形態では、仮に、第2流出口34側に他の管路等の物体が配置されおり、第2流出口34に排水管路10の一部をなす配管が接続できない場合、または、第2流出口34側に貯留槽70が配置できない場合であっても、第3流出口35側に貯留槽70を配置し、第3流出口35に、貯留槽70が接続された第3流出管路14を接続することができる。よって、災害時において、汚水の流路を切り替えて、流入口32からます本体21内に流入する汚水を第3流出口35からます本体21の外部へ流出させることができる。
【0076】
<他の実施形態>
上記各実施形態では、溝埋め部材は、板状の溝埋め板であった。しかし、本発明の溝埋め部材は、
図11に示すような可撓部材61のみであってもよいし、可撓部材61と、可撓部材61の両端に設けられた取っ手とを有するものであってもよい。
【0077】
上記各実施形態では、排水ます20のます本体21の側部には、3つの流出口(第1流出口33、第2流出口34および第3流出口35)が設けられていた。しかし、本発明の排水ますは、第3流出口35を省略することが可能である。すなわち、本発明の排水ますは、第1流出口33および第2流出口34の2つの流出口が設けられてもよい。また、本発明の排水ますは、ます本体の側部に4つ以上の複数の流出口が設けられてもよい。この場合、ます本体の内部には、複数の流出口のそれぞれと連通する複数の流出側インバートが設けられているとよい。また、複数の流出側インバートのそれぞれには、仕切部材および溝埋め部材が着脱自在な溝部が設けられているとよい。
【0078】
上記各実施形態において、
図4に示すように、第1流出口33は、流入口32と対向する位置に設けられていた。しかし、第1流出口33は、流入口32側から見て、ます本体21の左側に設けられてもよい。第1流出口33の位置と第2流出口34の位置とを入れ替えてもよい。この場合、第1流出側インバート33aが第2流出側インバート34aとなり、第2流出側インバート34aが第1流出側インバート33aとなる。また、第1流出口33は、流入口32側から見て、ます本体21の右側に設けられてもよい。第1流出口33の位置と第3流出口35の位置とを入れ替えてもよい。この場合、第1流出側インバート33aが第3流出側インバート35aとなり、第3流出側インバート35aが第1流出側インバート33aとなる。
【0079】
上記各実施形態では、第1溝部41と、第2溝部42と、第3溝部43とは、平面視において、それぞれ直線状の溝であった。しかし、第1溝部41と、第2溝部42と、第3溝部43とは、平面視において、それぞれ湾曲した溝であってもよいし、屈曲した溝であってもよい。この場合、仕切板22および溝埋め板23は、共に第1溝部41と第2溝部42と第3溝部43とに対応する形状であるとよい。また、第1溝部41と、第2溝部42と、第3溝部43とは、それぞれ異なる形状であってもよい。この場合、第1溝部41専用、第2溝部42専用、および、第3溝部43専用の3つの仕切板22および3つの溝埋め板23が用いられるとよい。
【0080】
また、本発明の排水システムは、第1実施形態および第2実施形態を組み合わせたものであってもよい。すなわち、第2流出口34に第2流出管路13の上流端が接続され、かつ、第3流出口35に第3流出管路14の上流端が接続されていてもよい。この場合、第2流出管路の下流端と第3流出管路の下流端とには、同一の貯留槽が接続されていてもよいし、異なる貯留槽が接続されていてもよい。