特許第6401984号(P6401984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6401984-粘着テープカッター装置 図000002
  • 特許6401984-粘着テープカッター装置 図000003
  • 特許6401984-粘着テープカッター装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401984
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】粘着テープカッター装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   B65H35/07 N
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-185195(P2014-185195)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-56008(P2016-56008A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】505190862
【氏名又は名称】川村 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100184767
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098556
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 紘造
(72)【発明者】
【氏名】川村 新一
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−167051(JP,U)
【文献】 特開平10−139262(JP,A)
【文献】 特開平1−281256(JP,A)
【文献】 特開2006−219213(JP,A)
【文献】 実開平2−120463(JP,U)
【文献】 実開昭61−135852(JP,U)
【文献】 実開昭62−98663(JP,U)
【文献】 実開平6−61860(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープロールを回転可能に保持する保持具と、粘着テープカット刃と、上方に紙片ストッパー付開口を有し非粘着部形成用の紙片を上方に付勢して収納するカセットと、該カセットを上下可動かつ独立に弾性的に支えるように収納した外筐とを具備してなり、前記カセットを収納した外筐は前記カット刃に対して保持具と反対側に位置するようにした粘着テープカッター装置であって、粘着テープの端をロールより引き出して下方に押し付けることによりテープの切断とテープの端近傍に非粘着部形成用の紙片を付着させてテープの摘み部分を形成可能にしたテープカッター装置。
【請求項2】
上方に紙片ストッパー付開口を有し非粘着部形成用の紙片を上方に付勢して収納するカセットと、該カセットを上下可動かつ独立に弾性的に支えるように収納した外筐とよりなるテープカッター装置用紙片収納部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープカッター装置に関する。さらに詳しくは、粘着テープの端近傍に非粘着性の掴み部を容易に形成可能な粘着テープカッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装紙等に貼付した粘着テ−プは、摘まむところがなく簡単に剥がすことが困難である。その為、粘着テープカッター装置でテープをカットする際に、非粘着性の摘み部を形成することが行われている。例えば、テープをカットするに際し、その一端を粘着剤層側に折り返し、摘み部を形成したりしている。しかしながら、かかる技術は複雑で、また簡単には摘み部を形成できないことがある。
【0003】
また、テープの一端にラベルを貼り付けて摘み部とする技術も知られている。例えば特許文献1には、カッター装置のカッター相当部を粘着テープの着留部とカッター刃に分離形成し、両者間にカセット装着凹部を形成し、該凹部にラベル束を押し上げ方向に弾発付勢されるように装填したカセットを装着し、粘着テープを引き出した時に粘着面にラベルを1枚ずつ付着させて摘み部を形成するようにした粘着テープカッター装置が開示されている。しかしながら、この技術は、ラベル束上面とテープ着留部とカッター刃テープ面の高さの調節が難しく、ラベルがうまくテープ粘着面につかなかったり、所望でない個所に付着してしまったりするトラブルが発生しやすい。またテープを引き出す際は、摘み部から先に引き出されるため、被接着体によっては接着しにくい場合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3160001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、粘着テープに紙片を付着させて簡単に摘み部を形成できる粘着テープカッター装置を提供することである。本発明の他の目的は、紙片を容易かつ確実に粘着テープに付着させて摘み部を形成できる粘着テープカッター装置を提供することである。本発明のさらに他の目的は、粘着テープの引き出し側に摘み部を形成できる粘着テープカッター装置を提供することである。本発明のさらに他の目的は、既存の粘着テープカッター装置に取り付けて上記の目的を達成できるような部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下により達成される。
1.粘着テープロールを回転可能に保持する保持具と、粘着テープカット刃と、上方に紙片ストッパー付開口を有し非粘着部形成用の紙片を上方に付勢して収納するカセットと、該カセットを弾性的に支えるように収納した外筐とを具備してなり、前記カセットを収納した外筐は前記カット刃に対して保持具と反対側に位置するようにした粘着テープカッター装置であって、粘着テープの端をロールより引き出して下方に押し付けることによりテープの切断とテープの端近傍に非粘着部形成用の紙片を付着させてテープの摘み部分を形成可能にしたテープカッター装置。
2.上方に紙片ストッパー付開口を有し非粘着部形成用の紙片を上方に付勢して収納するカセットと、該カセットを弾性的に支えるように収納した外筐とよりなるテープカッター装置用紙片収納部材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粘着テープカッター装置は、粘着テープを指でカセットに収納した非粘着部形成用の紙片に押し付けるので、紙片がしっかりとテープに付着する。また、カセットも同時に筐体内の弾性に逆らって押し下がるので、テープの切断も簡単かつ完全に行える。さらに、非粘着部が引出側の反対側に形成されるので、被包装体にテープを付着させた後に所望の長さでテープをカットし反対側の端に非粘着部を形成できるので、物によっては包装しやすくなる。
また、本発明の紙片収納部材は、従来市販の粘着テープカッター装置に容易に取り付けることができ、上記の如き本発明の粘着テープカッター装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例である卓上型粘着テープカッター装置を側面より見た図である。
図2】非粘着部形成用の紙片を上方に付勢して収納するカセットと、該カセットを弾性的に支えるように収納した外筐よりなる紙片収納部材の斜視図である。
図3】カセットと外筐の縦断面を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
図1〜3は本発明の一実施例である卓上型のテープカッター装置である。図1〜3において、1は粘着テープロールで、保持具3に嵌め込まれ、台座5に回転かつ着脱可能に取り付けられている。台座5は一端に粘着テープを一時的に付着させておく仮留部7とカット刃9をその上部に有する突出部23を具備している。
【0010】
11は非粘着部形成用の紙片の束17を収納する、上部が開口し下部にバネ31を収納する筒状部27を有するカセットである。カセット11の内部には上下にスライド可能な紙片を載せる紙片支持板13を有し、カセットの筒状部27の底面より、例えばバネ31により上方に付勢されている。
【0011】
カセット開口部には紙片ストッパー15が設けられ、支持板13を介して上方に付勢された紙片の束17は、支持板13と紙片ストッパー15により挟持されてカセット11内に収納される。紙片ストッパー15は、通常状態においては紙片束17をカセット内に保持することができ、粘着テープを付着させてカットした後テープをカセットから剥がす時には紙片を付着させたまま取り出すことができるような構造であればよい。例えばカセットの開口部の上端の1辺又は向かい合った2辺若しくは4辺又は3辺の辺の全部又は一部を内側にわずかに折り曲げて紙片の端が引っ掛かるように形成してもよい、好ましくは図2に示すようにカット刃の反対側の1辺を除いて内側に曲げて紙片ストッパーとしてもよい。この場合、紙片ストッパーを設けない1辺18は、紙片を指で押さえつけ易くなるように、かつ粘着テ−プに付着した紙片をスムースにカセットより排出されるように、例えば下方にゆるやかな円弧状に開口していてもよい。
また、カセットの縦の稜線25に切り込みを入れてカセット上部側面が多少外側に撓むことが可能なようにすると、紙片束17のセットがスムースにできるようになる。
【0012】
カセット11は外筐19に上下動可能に、例えばバネ29で弾性的に支えるように収納されている。好ましくは、カセット11の対向する側面にはカセットストッパー12が突出して設けられ、外筐の側面に設けられたスリット14に嵌め込まれてスライドし、カセットの上下動を案内するとともに、カセットの上下のストッパーの役割を果たしている。外筐の中程内側にはブッシュ28を具備し、その上面でバネ29の下端を支えるとともに、カセットの筒状部の上下動に際しての横ブレを抑える機能を果たしている。
なお、カセット11は必ずしも図3のような構造でなくてもよい。例えば、カセットの筒状分27は必ずしも必要ではなく、カセット11がスムースに上下にスライド可能であればよい。
【0013】
外筐19は文字どおりの函でなくてもよく、カセット11を上下方向にスライド可能に弾性的に支えるようにした構造であれば特に制限はない。例えば、カセットの縦の稜辺25に沿ってガイドレールを設けたような構造のものでもよい。
外筐19は台座又は台座の突出部23に取り付けられる。取付は、直接突出部23に接着等で取り付けてよく、また取付具21を用いて取り付けてもよい。台座の取付具の構造には特に制限はなく、例えば図2に示すように一端が延伸されている外套でビス穴33により突出部23に螺着したり、外套の先端を折り曲げて突出部23に単に嵌め込んだりしてもよい。
なお、上記カセット11と外筐19をあわせて紙片収納部材と称する。
【0014】
次に、このテープカッター装置でテープをカットすると同時に非粘着性の掴み部を形成する方法について説明する。
粘着テープが仮留部7及びカット刃9に付着しないようにロールから必要長引き出す。必要であれば、先ず引き出した粘着テープの端を被着物、例えば包装紙に貼りつけてもよい。次に、カセット11の上方から指で粘着テープを下方に押し下げて紙片を付着させる。紙片はバネ31により上方に付勢されているので、粘着テープにしっかりと付着する。このときカセットは筐体19内のバネ29の弾性に抗して筐体内を下方にスライドするので、粘着テープは仮留部7に粘着しつつカット刃9により切断され、紙片が付着した非粘着部が形成される。指を離すとカセットはバネ29の弾性によって押し上げられ元の位置に戻る。カットされた粘着テープの端をつまんで上方に引き上げると、紙片は粘着テープに付着しているので紙片ストッパー15に抗してカセットから離脱し、カットされた粘着テープの端近傍に非粘着部分が形成される。ロール側の粘着テープの端は仮留め部7に付着したままなので、次に引き出す時は該端を摘まんで同じ操作を繰り返せばよい。
【0015】
以上は、卓上型テープカッター装置の実施例であるが、本発明は卓上型でなくともよい。例えば、スーパ-のレジにおいて用いるテープカッター装置でも差支えない。この場合は、粘着テープロールの保持具は、例えば適当なアームに回転可能に取り付けられる。同様に、カット刃及び要すれば仮留部も適宜アーム等に固定されている。要は、カセットを収納した外筐が前記カット刃に対して保持具と反対側に位置するように相対的位置関係が定められていればいかなるものでも差支えない。
【0016】
本発明のテープカッター装置は、既存の装置にカセットと筐体よりなる紙片収納部材を取り付けるだけで容易に製作できるので、コスト的にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のテープカッター装置は極めて簡単に非粘着性の摘み部を形成できるので、各種の包装その他、従来のテープカッター装置に代わって広く用いることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 粘着テープロール
3 保持具
5 台座
7 仮留部
9 カット刃
11 カセット
12 カセットストッパー
13 支持板
14 スリット
15 紙片ストッパー
17 紙片束
19 外筐
21 取付具
23 突出部
25 カセット稜線
28 ブッシュ
29 筐体内バネ
31 カセット内バネ
33 ねじ穴

図1
図2
図3