(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
四角形状の底面板と、該底面板の各辺から立設する、前面板、右側面板、後面板及び左側面板と、前記後面板の上端辺に連接し、前記底面板に対向する天面板とを有する角筒状箱体であり、
該角筒状箱体は、前記天面板に連接し、前記前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有し、
前記後面板には左右方向に伸びるヒンジ線が形成され、該ヒンジ線の両端に連結する開封線が前記右側面板、前記前面板及び前記左側面板に跨って形成され、
前記ヒンジ線及び前記開封線を境界として、前記底面板を含み、内部に内容物を収容する本体部と、前記天面板を含み、前記ヒンジ線を軸として後方に回動することで前記本体部を開封する開封部とが区画された包装用箱において、
前記被覆フラップは、前記前面板の前記開封線よりも上方の領域に接着され、かつ、前記前面板に形成された開封線を覆い、
前記前面板は、前記開封線と、該開封線から下方に向かって伸び、かつ、前記被覆フラップの下端辺よりも下方位置まで延在する2本の切目線と、該2本の切目線の下端部同士を結ぶ連結線とで区画された押し破り領域を有し、
前記前面板に形成された前記開封線は、段差部を1つずつ形成する一対の第1開封線と、各段差部のために各第1開封線よりも下方に1つずつ配置された一対の第2開封線とを有し、
前記左右方向において、前記押し破り領域は、2つの前記段差部によって挟まれていることを特徴とする包装用箱。
前記右側面板及び前記左側面板に形成された開封線は、線状の第1切れ目と、該第1切れ目の前記切目線側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目と、該第2切れ目の端に連続し、前記第1切れ目の延長線に並行する線状の第3切れ目とを有する複数の屈曲線状の切れ目線が、それぞれつなぎを介して1列に並べられており、
前記前面板に形成された前記押し破り領域以外の部分の開封線は、
(a)線状の第1切れ目と、該第1切れ目の前記切目線側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目とからなる屈曲線状の第1切れ目線である前記第1開封線を含むことを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【背景技術】
【0002】
従来、包装用箱に関し、開封性の工夫がなされている。例えば、包装箱の一つの面上に開口誘導辺を挟んで隣接する第1開口部及び第2開口部を設け、第1開口部を押し下げて形成された空間を利用して、第2開口部を引き上げることで、容易に開封することができる包装箱が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
前面パネルに横方向の帯状破断部が設けられていると共に両側面パネルには帯状破断部に連続して斜め上向きのミシン目が設けられており、開封時に帯状破断部を破り去りミシン目を破断して開封する紙製容器が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
上蓋片と、上蓋片に連接する差込片と、箱の側面に設けられ、該側面の上端辺及び破断線で囲まれて差込片が糊付された糊付片と、糊付片の下方で糊付片から離れた位置に形成された長丸形の押込み部と、を有し、押込み部を箱の内側に押し入れて形成された開口部に、差込片の摘み部が張り出す構成となっており、この張り出した摘み部を引き上げることで、糊付片が破断線の切断によって側面から分離して、差込片及び上蓋片が側面から離れて開封される包装用箱が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0005】
対向する前壁と後壁とを含み、後壁の上端縁に連設された開閉フラップが前壁を上端側から部分的に覆うように延在し、前壁は、その上端近傍領域において、破断線で区画された破取り可能な開封片を備えるとともに、開閉フラップはその内面において開封片に接着され、開封片を区画する破断線の下端部は、前壁を覆う開閉フラップの下端部より下方位置にまで延在して、破断線の下端部と開閉フラップの下端部で囲まれた押破り領域が外部から視認可能に前壁上に露出し、押破り領域を指で押し破るとともに、開封片及び開閉フラップを一体に摘んで開封するよう構成した包装用箱が開示されている(例えば、特許文献4を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3又は4記載の箱のように、箱の前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有する箱は、再封止性を有するため、数回に分けて使用される内容物の容器として適している。箱の前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有する箱では、被覆フラップ及び前面板の2枚の板が同時に引き上げられることで、適正な開封がなされる。ところが、特許文献3記載の紙製容器では、開封動作が差込片だけを摘んで持ち上げる動作であるため、差込片と糊付片とが剥離して差込片だけが引き上げられてしまい、適正な開封ができないおそれがある。特許文献4記載の包装用箱では、開封片及び開閉フラップを一体に摘んで開封するよう構成されているため、開封動作時に開封片と開閉フラップとが剥離する問題は生じにくい。しかし、開封後の箱は押破り領域が押込まれて箱の内部に通じる孔が形成されており、その孔からほこり又はごみが入りやすい問題がある。このため、長期保存する場合のある内容物の容器としては適さない。
【0008】
本発明の目的は、前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有する包装用箱に関し、輸送時又は保管時などの未開封状態時に意図せず開封されることがなく、開封時にはより確実に開封することができる包装用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装用箱は、四角形状の底面板と、該底面板の各辺から立設する、前面板、右側面板、後面板及び左側面板と、前記後面板の上端辺に連接し、前記底面板に対向する天面板とを有する角筒状箱体であり、該角筒状箱体は、前記天面板に連接し、前記前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有し、前記後面板には左右方向に伸びるヒンジ線が形成され、該ヒンジ線の両端に連結する開封線が前記右側面板、前記前面板及び前記左側面板に跨って形成され、前記ヒンジ線及び前記開封線を境界として、前記底面板を含み、内部に内容物を収容する本体部と、前記天面板を含み、前記ヒンジ線を軸として後方に回動することで前記本体部を開封する開封部とが区画された包装用箱において、前記被覆フラップは、前記前面板の前記開封線よりも上方の領域に接着され、かつ、前記前面板に形成された開封線を覆い、前記前面板は、前記開封線と、該開封線から下方に向かって伸び、かつ、前記被覆フラップの下端辺よりも下方位置まで延在する2本の切目線と、該2本の切目線の下端部同士を結ぶ連結線とで区画された押し破り領域を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る包装用箱では、前記右側面板及び前記左側面板に形成された開封線は、線状の第1切れ目と、該第1切れ目の前記切目線側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目と、該第2切れ目の端に連続し、前記第1切れ目の延長線に並行する線状の第3切れ目とを有する複数の屈曲線状の切れ目線が、それぞれつなぎを介して1列に並べられており、前記前面板に形成された前記押し破り領域以外の部分の開封線は、(a)線状の第1切れ目と、該第1切れ目の前記切目線側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目とからなる屈曲線状の切れ目線を有する、(b)線状の第1切れ目からなる切れ目線を有する、又は(a)及び(b)の組合せであることが好ましい。右側面板及び左側面板では開封線が意図せず切断することを防止しながら、前面板では開封線をより小さな力で開封できる。
【0011】
本発明に係る包装用箱では、前記内容物が折曲げられたシート状物であり、該折曲げられたシート状物が、前記押し破り領域の内表面に接した状態で収納されていることが好ましい。折曲げられたシート状物が押し破り領域を箱の内方から押すことで押し破り領域に外部から加えられる衝撃が吸収されるため、押し破り領域が意図せず押し破られにくい。また、仮に押し破り領域が意図せず破れたとしても、押し破り領域が箱の内方に押し込まれにくく、商品の見た目が悪くなることを防止することができる。
【0012】
本発明に係る包装用箱では、前記被覆フラップの下端辺と前記開封線の前記2本の切目線の間の部分との距離は、5mm以下であることが好ましい。開封時に、使用者が被覆フラップ及び前面板を同時に摘んで引き上げることができ、より確実に適正な開封をすることができる。
【0013】
本発明に係る包装用箱では、前記押し破り領域に押し破ることを指示する表示部を設けることが好ましい。使用者により確実に適正な開封をできる手順を伝えることができる。
【0014】
本発明に係る包装用箱では、前記右側面板及び前記左側面板に形成された開封線を先行して破断することを示す第1表示部と、前記右側面板及び前記左側面板に形成された開封線を破断後、前記押し破り領域を押し破ることを指示する第2表示部とを有することが好ましい。使用者により確実に適正な開封をできる手順を伝えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、前面板を上端から部分的に覆う被覆フラップを有する包装用箱に関し、輸送時又は保管時などの未開封状態時に意図せず開封されることがなく、開封時にはより確実に開封することができる包装用箱を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0018】
図1及び
図2は、本実施形態に係る包装用箱の一例を示す斜視図である。本実施形態に係る包装用箱1は、
図1及び
図2に示すように、四角形状の底面板2と、底面板2の各辺から立設する、前面板3、右側面板4、後面板5及び左側面板6と、後面板5の上端辺に連接し、底面板2に対向する天面板7とを有する角筒状箱体であり、角筒状箱体は、天面板7に連接し、前面板3を上端から部分的に覆う被覆フラップ8を有し、後面板5には左右方向に伸びるヒンジ線21が形成され、ヒンジ線21の両端に連結する開封線22(22a,22b,22c)が右側面板4、前面板3及び左側面板6に跨って形成され、ヒンジ線21及び開封線22を境界として、底面板2を含み、内部に内容物を収容する本体部30と、天面板7を含み、ヒンジ線21を軸として後方に回動することで本体部30を開封する開封部31とが区画された包装用箱において、被覆フラップ8は、前面板3の開封線22bよりも上方の領域3cに接着され、かつ、前面板3に形成された開封線22bを覆い、前面板3は、開封線22bと、開封線22bから下方に向かって伸び、かつ、被覆フラップ8の下端辺8aよりも下方位置まで延在する2本の切目線23と、2本の切目線23の下端部同士を結ぶ連結線24とで区画された押し破り領域25を有する。
【0019】
包装用箱1は、
図1及び
図2に示すように、角筒状箱体であり、例えば、底面板2、前面板3、右側面板4、後面板5、左側面板6及び天面板7で構成された六面体形状をなす。包装用箱1の材質は、特に限定されないが、例えば、板紙若しくはダンボール紙などの紙、又はプラスチック板である。包装用箱1を構成する板材の厚さは、特に限定されないが、例えば0.3〜1.0mmである。
【0020】
図3は、本実施形態に係る包装用箱のブランクシートの一例を示す図である。包装用箱1は、例えば、
図3に示すような1枚のブランクシート100を組み立てて形成される。ブランクシート100では、右側面板4、前面板3、左側面板6、後面板5及び糊付片9が、それぞれ折罫線を介して連接する。右側面板4の上端辺4a及び下端辺4bには、折罫線が設けられ、右上片11及び右下片13がそれぞれ連接する。前面板3の上端辺3aには、折罫線が設けられ、天面糊付片10が連接し、天面糊付片10には差込片16が折罫線10aを介して連接する。前面板3の下端辺3bには、折罫線が設けられ、底面板2が連接する。左側面板6の上端辺6a及び下端辺6bには、折罫線が設けられ、左上片12及び左下片14がそれぞれ連接する。後面板5の上端辺5aには、折罫線が設けられ、天面板7が連接し、天面板7には被覆フラップ8が折罫線7aを介して連接する。後面板5の下端辺5bには、折罫線が設けられ、底面糊付片15が連接する。また、
図3に示すブランクシート100は、本発明の効果を損なわない範囲で種々の変形をしてもよい。
【0021】
ヒンジ線21は、
図3に示すように、後面板5を横切って、左右方向に伸びる線であり、後面板5の上端辺5aと平行であることが好ましい。ヒンジ線21は、後面板5を上下方向に二等分したとき、上半分にあることが好ましい。ヒンジ線21は、折罫線又はミシン目線などの折曲げやすい加工が施されていることが好ましい。本明細書において、右方向とは、左側面板6から右側面板4に向かう方向をいい、左方向とは、右側面板4から左側面板6に向かう方向をいう。また、上方向とは底面板2から天面板7に向かう方向をいい、下方向とは天面板7から底面板2に向かう方向をいう。
【0022】
開封線22(22a,22b,22c)は、
図3に示すように、右側面板4、前面板3及び左側面板6に跨って形成され、右側面板4に形成された開封線22aと、前面板3に形成された開封線22bと、左側面板6に形成された開封線22cとを有する。開封線22(22a,22b,22c)は、例えば、ミシン目線である。包装用箱1を組み立てたとき、開封線22の両端は、ヒンジ線21に連結する。右側面板4に設けられた開封線22aは、例えば、前面板3に近づくにつれて下方に向かう下り傾斜をなす。前面板3に設けられた開封線22bは、段差部41を形成する開封線22b1と、段差部41によって他の部分よりも下方に配置された開封線22b2とを有することが好ましい。段差部41は、開封後に、被覆フラップ8を内側に差し込む部分である。段差部41の内側に被覆フラップ8を差し込むことで、包装用箱1をリクローズすることができる。左側面板6に設けられた開封線22cは、例えば、前面板3に近づくにつれて下方に向かう下り傾斜をなす。
【0023】
押し破り領域25は、開封線22bと、開封線22bから下方に向かって伸び、かつ、被覆フラップ8の下端辺8aよりも下方位置まで延在する2本の切目線23と、2本の切目線23の下端部同士を結ぶ連結線24とで区画された領域である。押し破り領域25を区画する開封線22bは、段差部41によって他の部分よりも下方に配置された開封線22b2であることが好ましい。2本の切目線23は、互いに間隔をあけて並列する。2本の切目線23同士の間隔Sは、押し破り領域25を指で押し込むことができればよく、特に限定されないが、例えば10〜50mmである。より好ましくは15〜30mmである。また、切目線23の長さT0は、被覆フラップ8の下端辺8aよりも下方位置まで延在していればよく、特に限定されないが、例えば10〜30mmである。より好ましくは、10〜30mmである。連結線24は、折罫線又はミシン目線などの折曲げやすい加工が施されていることが好ましいが、印刷線であってもよい。連結線24は、開封線22b2と平行であることが好ましい。
【0024】
次に、ブランクシート100から包装用箱1を組み立てる手順の一例を説明する。ブランクシート100では、右側面板4、前面板3、左側面板6及び後面板5が角筒状に折曲げられ、糊付片9が右側面板4に接着される。次いで、右下片13及び左下片14が折り曲げられた後、底面糊付片15及び底面板2が順次折曲げられるとともに、底面板2が底面糊付片15に接着される。また、右上片11及び左上片12が折り曲げられた後、天面糊付片10が折り曲げられて、差込片16が後面板5の内壁面に当接した状態で差し込まれる。最後に、天面板7が天面糊付片10を覆うように折り曲げられ、被覆フラップ8が前面板3を覆うように折り曲げられるとともに、天面板7が天面糊付片10に接着され、被覆フラップ8が前面板3の開封線22bよりも上方の領域3cに接着される。
【0025】
本体部30は、
図1及び
図2に示すように、包装用箱1のうち、ヒンジ線21及び開封線22よりも天面板7側の部分であり、内容物(不図示)が収容される。内容物は、特に限定されないが、例えば、日用品、食品又は医薬品である。開封部31は、包装用箱1のうち、ヒンジ線21及び開封線22よりも底面板2側の部分である。
【0026】
図4は、本実施形態に係る包装用箱の一例を示す正面図である。被覆フラップ8は、
図4に示すように、前面板3に形成された開封線22bを覆う。すなわち、被覆フラップ8の下端辺8aは、開封線22bよりも底面板2側にある。被覆フラップ8の下端辺8aの形状は、前面板3に形成された開封線22bを覆っていればよく、特に限定されず、例えば、
図5に示すような直線状の他、下方向に凸の曲線状、上方向に凸の曲線状又は波線状であってもよい。被覆フラップ8が開封線22bを覆うことで、開封線22bが輸送時又は保管時に意図せず切断することを防止することができる。
【0027】
本実施形態に係る包装用箱1では、被覆フラップ8の下端辺8aと開封線22bの2本の切目線23の間の部分との距離T1は、5mm以下であることが好ましい。より好ましくは3mm以下である。被覆フラップ8の下端辺8aと開封線22bの2本の切目線23の間の部分との距離T1を適切な範囲とすることで、開封時に、使用者が被覆フラップ8及び前面板3の開封線22bよりも上方の領域3cを同時に摘んで引き上げることができ、より確実に適正な開封をすることができる。距離T1が5mmを超えると、被覆フラップ8だけを摘んで開封されるおそれがある。その結果、被覆フラップ8が前面板3から剥離して、被覆フラップ8だけが引き上げられて適正な開封ができない場合がある。被覆フラップ8の下端辺8aと開封線22bの2本の切目線23の間の部分との距離T1の下限は、開封線22bの保護の観点から、0mmを超えることが好ましく、1mm以上であることがより好ましい。被覆フラップ8の下端辺8aと開封線22bの2本の切目線23の間の部分との距離T1は、被覆フラップ8の下端辺8a上の任意の点から開封線22bの2本の切目線23の間の部分に下ろした垂線のうち、最長なものの長さをいう。
【0028】
2本の
切目線23は、被覆フラップ8の下端辺8aよりも下方位置まで延在する。2本の切目線23が被覆フラップ8の下端辺8aよりも下方位置まで延在する長さT2は、押し破り領域25を指で押し込むことができればよく、特に限定されないが、例えば5〜30mmである。より好ましくは、8〜20mmである。
【0029】
次に、開封線22(22a,22b,22c)のより好ましい形態について説明する。
【0030】
図5は、本実施形態に係る包装用箱の一例を示す右側面図である。本実施形態に係る包装用箱1では、右側面板4に形成された開封線22aは、線状の第1切れ目201と、第1切れ目201の切目線23(
図3に図示)側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目202と、第2切れ目202の端に連続し、第1切れ目201の延長線に並行する線状の第3切れ目203とを有する複数の屈曲線状の切れ目線200が、それぞれつなぎ204を介して1列に並べられていることが好ましい。また、左側面板6に形成された開封線22cは、
図2に示すように、右側面板4に形成された開封線22aと同様に、複数の屈曲線状の切れ目線200が、それぞれつなぎ204を介して1列に並べられていることが好ましい。
【0031】
屈曲線状の切れ目線200を構成する各切れ目201〜203及びつなぎ204について説明する。第1切れ目201は、
図5に示すように曲線状であるか、又は直線状(不図示)若しくは曲げ部を有する折れ線状(不図示)などの線状であってもよい。
図5では、一例として並び合う第1切れ目201同士が、全体として天面板7側に凸の曲線状をなす形態を示したが、本願発明はこれに限定されない。第1切れ目201の長さは、特に限定されないが、例えば3〜15mmである。第2切れ目202は、直線状(
図5に図示)、曲線状(不図示)又は曲げ部を有する折れ線状(不図示)などの線状であり、直線状であることが好ましい。第2切れ目202の長さは、特に限定されないが、例えば1〜4mmである。第1切れ目201が曲線状であるとき、第2切れ目202と第1切れ目201の切目線23側の先端で引いた接線とのなす角度のうち開封部31側の角度は、例えば30〜60°である。第1切れ目201が直線状であるとき、第2切れ目202と第1切れ目201とのなす角度のうち開封部31側の角度は、例えば30〜60°である。第3切れ目203は、直線状(
図5に図示)、曲線状(不図示)又は曲げ部を有する折れ線状(不図示)などの線状であり、直線状であることが好ましい。第3切れ目203の長さは、特に限定されないが、例えば1〜3mmである。つなぎ204は、並び合う第1切れ目201間の距離であり、その距離は、特に限定されないが、例えば0.5〜4mmである。
【0032】
本実施形態に係る包装用箱1では、前面板3に形成された押し破り領域25以外の部分の開封線22b1は、
図4に示すように、(a)線状の第1切れ目301と、第1切れ目301の切目線23側の先端から斜めに伸びる線状の第2切れ目302とからなる屈曲線状の切れ目線300Aと、(b)線状の第1切れ目304からなる切れ目線300Bと、の組合せであることが好ましい。
【0033】
(a)屈曲線状の切れ目線300Aは、第1切れ目301と第2切れ目302とからなる。屈曲線状の切れ目線300Aを構成する各切れ目301,302について説明する。第1切れ目301は、
図4に示すように曲り部303を有する折れ線状であるか、又は直線状(不図示)若しくは曲線状(不図示)などの線状であってもよい。第1切れ目301の長さは、特に限定されないが、例えば3〜15mmである。第2切れ目302は、直線状(
図4に図示)、曲り部を有する折れ線状(不図示)又は曲線状(不図示)などの線状であり、直線状であることが好ましい。第2切れ目302の長さは、特に限定されないが、例えば1〜4mmである。第2切れ目302は、第1切れ目301とのなす角度のうち開封部31側の角度は、例えば30〜60°である。屈曲線状の切れ目線300は、前面板3に形成された押し破り領域25以外の部分の長さに応じて、1個配置するか、又は複数個配置してもよい。屈曲線状の切れ目線300を複数個配置するとき、複数の屈曲線状の切れ目線300は、それぞれつなぎ(不図示)を介して1列に並べられる。つなぎ(不図示)は、並び合う第1切れ目301間の距離であり、その距離は、特に限定されないが、例えば0.5〜4mmである。
【0034】
(b)切れ目線300Bは、第1切れ目304だけからなる。第1切れ目304は、
図4に示すような直線状であるか、又は曲げ部を有する折れ線状(不図示)若しくは曲線状(不図示)などの線状であってもよい。前面板3に形成された開封線22bのうち、押し破り領域25以外の部分の開封線22b1は、
図4では(a)及び(b)の組合せである形態を示したが、これに限定されない。開封線22b1の変形形態の第一例としては、
図4において、切れ目線300Aを構成する第2切れ目302を省略して、第1切れ目301だけからなる切れ目線(不図示)に置き換えた形態である。この変形形態の第一例では、開封線22b1が(b)だけを有することとなる。また、開封線22b1の変形形態の第二例としては、
図4において、切れ目線300Bを構成する第1切れ目304の切目線23側の先端を短くして、第1切れ目304の切目線23側の先端に、第1切れ目304に対して斜めに伸びる第2切れ目(不図示)を設ける形態である。この変形形態の第二例では、開封線22b1が(a)だけを有することとなる。
【0035】
前面板3に形成された開封線22bのうち、押し破り領域25を区画する開封線22b2は、複数の線状の切れ目線305が、それぞれつなぎ306を介して1列に並べられていることが好ましい。押し破り領域25の押し破りをより小さな力で行うことができる。切れ目線305は、
図4に示すような直線状であるか、又は曲り部を有する折れ線状(不図示)若しくは曲線状(不図示)などの線状であってもよい。
【0036】
右側面板4及び左側面板6に形成された開封線22a,22cを屈曲線状の切れ目線200とし、かつ、前面板3に形成された開封線22bのうち、押し破り領域25以外の部分の開封線22b1を(a)、(b)又は、(a)及び(b)の組合せとすることで、次の作用効果が得られる。すなわち、右側面板4に形成された開封線22a及び左側面板に形成された開封線22cはフラップなどで覆われることなく露出しており、輸送時又は保管時などの未開封状態時に生じる外部からの衝撃に対抗しうる強度が求められる。そこで、開封線22a,22cを、屈曲線状の切れ目線200のような、比較的強度が高い構造とすることで、輸送時又は保管時などの未開封状態時に意図せず開封線22a,22cが切断することを防止することができる。一方、前面板3に形成された開封線22bは、被覆フラップ8で覆われているため、耐衝撃性よりも、開封しやすさが重要となる。特に、前面板3に形成された開封線22bのうち押し破り領域25以外の部分の開封線22b1は、被覆フラップ8の引き上げによって切断される部分であるため、比較的強度が弱い構造とすることで、より小さな力で開封することができる。また、万一被覆フラップ8だけを摘んで開封動作がなされたとしても、被覆フラップ8が前面板3から剥離するにくくすることができる。このように、前面板3と、右側面板4及び左側面板6とでは、開封線22a,22b1,22cに求められる強度がそれぞれ異なり、適正な構造の開封線を組合せて配置することで、良好な開封性と、意図しない開封の防止とを両立することができる。
【0037】
図6は、
図4のX−X線で切断した断面図である。本実施形態に係る包装用箱1では、
図6に示すように、内容物32が折曲げられたシート状物であり、折曲げられたシート状物が、押し破り領域25の内表面に接した状態で収納されていることが好ましい。折曲げられたシート状物は全体で弾力を有する。このため、折曲げられたシート状物が押し破り領域25を箱の内方から押すことで押し破り領域25に外部から加えられる衝撃が吸収される。その結果、押し破り領域が意図せず押し破られにくい。また、仮に押し破り領域25が意図せず破れたとしても、押し破り領域25が箱の内方に押し込まれにくく、商品の見た目が悪くなることを防止することができる。シート状物は、例えば、チャック袋などの保存袋(
図6に図示)、ごみ袋、保存用袋、ふきん、フィルター又は脱臭シートである。これらは複数枚入りの商品として流通することが多く、通常、箱内に折曲げられて収容される。
【0038】
図7は、包装用箱を開封した状態を示す図である。
図7を参照して、包装用箱1の開封動作を説明する。まず、押し破り領域25を指で箱の内方に向けて押圧する。押し破り領域25を指で押圧すると、開封線22b2(
図1に図示)及び2本の切目線23(
図1に図示)が切断され、押し破り領域25は、連結線24を軸として包装用箱1の内方に回動して、包装用箱1の内方に押し込まれる。次いで、押し破り領域25を押し破って形成された孔42から被覆フラップ8及び前面板3の開封線22bよりも上方の領域3cを同時に摘んで引き上げると、開封線22b1(
図1に図示)が切断し、次いで開封線22a(
図1に図示),22c(
図2に図示)が切断する。そして、開封部31がヒンジ線21(
図2に図示)を軸として後方に回動し、包装用箱1が開封される。このように、被覆フラップ8及び前面板3の開封線22bよりも上方の領域3cを同時に摘んで引き上げることで、被覆フラップ8が前面板3から剥離して被覆フラップ8だけが引き上げられることを防止することができる。また、開封後にリクローズするときは、被覆フラップ8を段差部41の内側に差し込む。
【0039】
本実施形態に係る包装用箱1では、押し破り領域25に押し破ることを指示する表示部(不図示)を設けることが好ましい。表示部(不図示)は、例えば、押し破り領域25に設けた、「OPEN」、「PUSH」又は「押す」などの印刷である。表示部を設けることで、使用者により確実に適正な開封ができる手順を伝えることができる。
【0040】
本実施形態に係る包装用箱1では、右側面板4及び左側面板6に形成された開封線22a,22cを先行して破断することを示す第1表示部(不図示)と、右側面板4及び左側面板6に形成された開封線22a,22cを破断後、押し破り領域25を押し破ることを指示する第2表示部(不図示)とを有することが好ましい。第1表示部(不図示)は、例えば、右側面板4及び左側面板6に設けた印刷である。第2表示部(不図示)は、例えば、押し破り領域25に設けた印刷である。第1表示部及び第2表示部を設けることで、使用者により確実に適正な開封ができる手順を伝えることができる。
【0041】
ここまで、包装用箱1が、
図1及び
図2に示すように、左右方向の長さを上下方向の長さよりも小さくした、縦長の直方体形状である形態を示したが、本実施形態ではこれに限定されず、横長の直方体形状、立方体形状又はこれらの変形形状としてもよい。変形形状としては、例えば、底面板2を、角を丸めた四角形状とし、丸めた部分から立設する連結板(不図示)を、前面板3、右側面板4、後面板5及び左側面板6のそれぞれの間に設けた形態である。