特許第6402013号(P6402013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402013
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   B23Q3/06 304F
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-246833(P2014-246833)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-107370(P2016-107370A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 画
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−040922(JP,A)
【文献】 特開2001−300831(JP,A)
【文献】 特開2008−229777(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073723(WO,A1)
【文献】 米国特許第8613434(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(30)よりも先端側へ突出されてクランプ対象物(10)の孔(11)に挿入可能なロック部材(80)と、そのロック部材(80)を所定の力で先端側へ押す進出手段(58)と、前記ロック部材(80)に先端側から係合する楔面(71)を有するクランプロッド(70)と、そのクランプロッド(70)を基端側へクランプ駆動すると共に先端側へアンクランプ駆動する駆動手段(40)と、を備え、
前記ロック部材(80)は、前記孔(11)に挿入されるベース部(85)と、前記ベース部(85)よりも先端側に配置されると共に当該ロック部材(80)が半径方向の外方の拡径位置へ移動されたときに前記孔(11)の周壁に先端側から対面可能な突出部(87)と、を備え、
前記ロック部材(80)の前記拡径位置では前記孔(11)の内周面に対して前記ベース部(85)の外周面(85a)が基端側へ移動するのが許容されるように、当該ロック部材(80)に対して前記クランプロッド(70)が所定量を越えて基端側へ移動するのを制限する相対移動制限機構(M)を、さらに備える、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1のクランプ装置において、
前記ロック部材(80)の前記拡径位置では、前記ベース部(85)の前記外周面(85a)が前記孔(11)の前記の内周面に接触する、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項1のクランプ装置において、
前記ロック部材(80)の前記拡径位置では、前記ベース部(85)の前記外周面(85a)と前記孔(11)の前記の内周面との間に所定の隙間が形成される、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのクランプ装置において、
前記ロック部材(80)を半径方向へ移動可能に支持するガイド部材(50)であって、当該ロック部材(80)と共に前記クランプ対象物(10)の前記孔(11)に挿入可能なように前記ハウジング(30)よりも先端側へ突出されたガイド部材(50)を有し、
前記ガイド部材(50)のうちの基端側の部分(51)と前記クランプロッド(70)との間に前記の相対移動制限機構(M)を配置した、
ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項4のクランプ装置において、
前記の相対移動制限機構(M)は、前記クランプロッド(70)から半径方向の外方へ突出されたピン部材(78)と、前記ガイド部材(50)の前記の基端側の部分(51)の周壁に当該ガイド部材(50)の軸心方向へ延びるように形成されると共に前記ピン部材(78)の外端部が挿入されるピン孔(51p)と、を備える、
ことを特徴とするクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク等のクランプ対象物をクランプする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクランプ装置は、特許文献1(日本国・特開2010−36314号公報)に示すように、次のように構成されている(明細書の段落番号0051と0052を参照)。
クランプ駆動時には、クランプ対象物としてのワークの穴にグリップ部材とクランプロッドのテーパ軸部とを挿入し、そのクランプロッドを下方へ移動させる。すると、まず、グリップ部材に対してクランプロッドが相対的に下方へ移動する。これにより、クランプロッドのテーパ軸部によりグリップ部材のグリップ爪部が拡径駆動されて、そのグリップ爪部がワークの穴の内周面に食いついて係合状態になる。引き続いて、グリップ部材とクランプロッドが一体的に下方へわずかに駆動され、ワークが着座面に強く押圧される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−036314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、ワークの穴の周壁部が厚い場合には、その穴の内周面の面積が広いので、グリップ爪部が穴の内周面に食いついて係合状態になることが可能である。しかし、ワークの穴の周壁部が薄い場合には、その穴の内周面の面積が狭いので、その穴に対するグリップ爪部の係合が不十分になる。このため、ワークを確実にクランプすることが困難になるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ワーク等のクランプ対象物を確実にクランプできる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のクランプ装置は、例えば、図1A図5Bに示すように、次のように構成される。
クランプ対象物10の孔11に挿入可能なロック部材80が、ハウジング30よりも先端側へ突出される。そのロック部材80が進出手段58によって所定の力で先端側へ押される。前記ロック部材80にクランプロッド70の楔面71が先端側から係合される。そのクランプロッド70が、駆動手段40によって基端側へクランプ駆動されると共に先端側へアンクランプ駆動される。前記ロック部材80は、前記孔11に挿入されるベース部85と、そのベース部85よりも先端側に配置される突出部87とを備える。その突出部87は、前記ロック部材80が半径方向の外方の拡径位置へ移動されたときに、前記孔11の周壁に先端側から対面可能に構成される。前記ロック部材80に対して前記クランプロッド70が所定量を越えて基端側へ移動するのを制限する相対移動制限機構Mが設けられる。その相対移動制限機構Mにより、前記ロック部材80の前記拡径位置では、前記孔11の内周面に対して前記ベース部85の外周面85aが基端側へ移動することが許容される。
【0007】
上記構成において、前記ロック部材80の前記拡径位置では、前記ベース部85の前記外周面85aと前記孔11の前記内周面との両者が接触する場合や、上記両者の間に所定の隙間が形成される場合が考えられる。換言すれば、前記ロック部材80の前記拡径位置では、上記両者が塑性変形で食い付いたり強力に密着したりすることの無いように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、ワーク等のクランプ対象物を確実にクランプできる装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、アンクランプ状態のクランプ装置の立断面図である。図1Bは、図1Aの1B−1B線の断面図である。
図2図2Aは、上記クランプ装置のクランプロッドの立断面図である。図2Bは、図2Aの2B−2B線の部分断面図である。
図3図3Aは、上記クランプ装置のロック部材の立面図である。図3Bは、図3Aの3B矢視図である。図3Cは、図3Aの3C−3C線の断面図である。
図4図4は、図2Bに示すクランプロッドと図3Cに示すロック部材とが組み合わされた状態を示す部分断面図である。
図5図5Aは、上記クランプ装置のクランプ途中状態を示し、上記図1Aに類似する部分図である。図5Bは、上記クランプ装置のクランプ状態を示し、上記図1Aに類似する部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aから図5Bは、本発明の一実施形態を示している。この実施形態のクランプ装置は、クランプ対象物としてのワークを固定するのに利用される。
まず、図1A図1Bに基づいて、上記ワーク及びクランプ装置の概要を説明する。
【0011】
ワーク10は、ここでは、自動車用パネルの材料として使用される鋼板であって、その厚さが約1mm〜2mmに形成されている。上記ワーク10には、その厚さ方向に孔11が貫通されている。
【0012】
クランプ装置20は、上記ワーク10の孔11の周壁部を利用して当該ワーク10をクランプする。そのクランプ装置20は、ハウジング30と駆動手段40とガイド部材50と進出バネ(進出手段)58とクランプロッド70とロック部材80等を備える。
より具体的にいえば、上記クランプ装置20は、図1A図1Bに示すように、次のように構成されている。
【0013】
テーブル等の固定台(図示せず)に上記ハウジング30が取り付けられる。そのハウジング30は、複数のボルト(図示せず)によって固定台に固定される下ハウジング31と、その下ハウジング31の上面に載置される筒状の上ハウジング33と、を備える。これら下ハウジング31と上ハウジング33とが複数のボルト(図示せず)によって締結されている。
【0014】
下ハウジング31には、大径のシリンダ孔31aと小径孔31bと中径孔31cとが下から順に形成される。
上記シリンダ孔31aにピストン41が保密状に挿入され、そのピストン41から上方へ突出させたピストンロッド43が小径孔31bに保密状に挿入される。ピストン41の上側に形成したクランプ室45に給排ポート45pを介して圧縮空気が供給および排出される。また、ピストン41の下側に形成したアンクランプ室47に別の給排ポート47pを介して圧縮空気が供給および排出される。
上記ピストン41とピストンロッド43とクランプ室45とアンクランプ室47とが、前記クランプロッド70の前記駆動手段40を構成している。
【0015】
前記の上ハウジング33の上端には、ワーク10を受け止める着座部35が設けられる。その上ハウジング33の筒壁には、上下方向へ延びる検出路37が形成される。その検出路37の上部37aが着座部35に開口され、その検出路37の下部が供給ポート37pに連通される。その供給ポート37pに検出用の加圧エアが供給可能に構成されている。
【0016】
また、上ハウジング33の上部にガイド部材50が上下方向(軸心方向)へ移動可能に挿入される。そのガイド部材50は、継ぎ目なしで一体に形成されており、下側から順に形成された支持筒51と周壁53と頂壁55とを備える。上記ガイド部材50が、上ハウジング33の上端(先端)よりも上側(先端側)へ突出されて、前記ワーク10の孔11に挿入可能になっている。
【0017】
上記の周壁53には、一対のガイド溝53gが水平方向で向い合せに貫通される。各ガイド溝53gに前記ロック部材80が半径方向(水平方向)へ移動可能に挿入される。そのロック部材80は、前記支持筒51によって下側から受け止め可能に構成されている。
【0018】
上記ガイド部材50内に前記クランプロッド70が下側(基端側)から挿入可能になっている。ここでは、クランプロッド70は前記ピストンロッド43と一体に形成されている。
上記クランプロッド70の上部に設けた楔面71が、各ロック部材80の内側面に形成した傾斜面81に上側から係合される。上記楔面71と傾斜面81とは、下方へ向かうにつれてクランプロッド70の軸心へ近づくように傾斜されており、ここでは平面によって構成されている。
なお、上記クランプロッド70の軸心に対する楔面71の傾斜角度は、ここでは約10度から約14度の範囲に設定しているが、ワーク10の厚さや当該ワーク10が搬入される高さ位置に応じて所望の範囲内に設定可能である。
【0019】
上記ガイド部材50を所定の力で上方へ押す進出手段が設けられる。その進出手段は、ハウジング30とピストンロッド43との間の環状空間に装着された進出バネ58によって構成される。その進出バネ58がガイド部材50を介してロック部材80を上方へ付勢している。
【0020】
また、ガイド部材50が直進ガイド手段60によって上下方向へ案内される。その直進ガイド手段60は、上ハウジング33の内周に装着したボール61と、ガイド部材50の外周に上下方向へ形成された直進ガイド溝63とを備える。直進ガイド溝63にボール61が嵌合される。
【0021】
前記クランプロッド70の下部に、半径方向(水平方向)へ延びるピン部材78が装着される。そのピン部材78の両端部が、ガイド部材50の支持筒51の周壁に形成したピン孔51pに挿入される。各ピン孔51pの下壁(基端壁)が、ガイド部材50(及びロック部材80)に対してクランプロッド70が所定量を越えて下方(基端方向)へ移動するのを制限している。即ち、上記ピン部材78とピン孔51pとによって相対移動制限機構Mが構成されている。
【0022】
前記クランプロッド70の詳細な構造について、図1Aを参照しながら図2A及び図2Bに基づいて説明する。
クランプロッド70の上部に、前記ロック部材80を半径方向の外方の拡径位置と半径方向の内方の縮径位置とに移動させる溝部Gが上下方向へ形成される。その溝部Gの底面によって前記楔面71が構成され、その楔面71の両側に係合溝71aが形成される。
また、クランプロッド70の外周下部に、相互に連通された一対の凹部73が形成される。その凹部73には、ロック部材80の下部83の内周部が収容される。
【0023】
前記ロック部材80の詳細な構造について、図1Aを参照しながら図3Aから図3C図4に基づいて説明する。
ロック部材80は、下側から順に配置された前記の下部83とベース部85と突出部87とを備える。図3Aに示すように、下部83は、ガイド部材50の支持筒51によって受け止められる端面83aと、内周部83bと、外周部83cとを有する。また、下部83の外周部83cと前記突出部87の外周面とは、ベース部85の外周面85aよりも半径方向の外方(図3A中の左方)へ突出されている。上記突出部87の内周部とベース部85の内周部とに、クランプロッド70の楔面71に接当される前記の傾斜面81と、その傾斜面81の両側に設けられた係合部81aとが形成される。上記係合部81aがクランプロッド70の係合溝71aに嵌合される。
【0024】
なお、図1Aに示すように、上ハウジング33の内周面の上部とロック部材80との間にダストシール90が配置される。そのダストシール90は、合成樹脂等によって構成されており、その内周部がベース部85の外周面85aの下部に接当されている。これにより、上記ダストシール90がロック部材80を半径方向の内方へ付勢している。
【0025】
上記クランプ装置20は、図1A図5A及び図5Bに示すように、次のように動作する。
図1Aのアンクランプ状態では、クランプ室45の圧縮空気が排出されると共にアンクランプ室47に圧縮空気が供給されている。これにより、ピストン41がクランプロッド70を上方のアンクランプ位置へ移動させ、進出バネ58がガイド部材50及びロック部材80を上方のアンクランプ位置へ移動させ、各ロック部材80が、前記係合溝71aと係合部81aとの嵌合構造に従って、半径方向の内方へ大きく後退されている。
このため、ロック部材80の突出部87の外周面が、ガイド部材50の周壁53の外周面よりも内方に後退される。また、上記一対のロック部材80,80の下部83の内周部83b(図3Aを参照)同士が接触される。これにより、下記のワーク10の搬入時に、ワーク10の孔11の周壁がロック部材80に衝突するのを上記ガイド部材50によって防止できる。
【0026】
上記アンクランプ状態でワーク10を下降させると、そのワーク10の孔11が、ガイド部材50の周壁53とロック部材80とに所定の隙間をあけて外嵌されると共に、上記ワーク10の下面が着座部材(図1A中の二点鎖線図で示された仮想の三角形部分を参照)によって受け止められる。
【0027】
図1Aのアンクランプ状態からクランプ状態へ切り換えるときには、アンクランプ室47の圧縮空気を排出すると共にクランプ室45に圧縮空気を供給し、ピストン41を下降させる。
これにより、まず、進出バネ58の付勢力によって上昇位置に保持されたガイド部材50及びロック部材80に対してクランプロッド70が下降していく。
【0028】
すると、図5Aのクランプ途中状態に示すように、クランプロッド70の楔面71がロック部材80を半径方向の外方へ押し出していき、これと同時に、クランプロッド70のピン部材78の外端部がガイド部材50の支持筒51のピン孔51pの下壁に接当する。これにより、ガイド部材50及びロック部材80に対してクランプロッド70が下降することが制限される。
上記図5Aのクランプ途中状態では、ロック部材80が半径方向の外方の拡径位置へ移動され、そのロック部材80のベース部85の外周面85aがワーク10の孔11の内周面に接触するので、そのワーク10が水平方向に位置決めされる。また、ロック部材80の突出部87が孔11の周壁に上側から対面される。
【0029】
引き続いて、図5Bのクランプ状態に示すように、上記ガイド部材50及びロック部材80とクランプロッド70とが一体となって進出バネ58に抗して下降していき、ロック部材80の突出部87の下面87aがワーク10の孔11の周壁を引き下げると共に当該ワーク10を前記の上ハウジング33の着座部35に押し付ける。これにより、厚さが薄いワーク10を強力かつ確実にクランプできる。なお、このクランプ状態では、薄いワーク10のうちの孔11から水平方向へ離れた領域(図1A中の二点鎖線部分を参照)に対して当該孔11の近傍領域が下方へ撓むことにより、その孔11の周壁が引き下げられている。
【0030】
なお、ロック部材80の前記拡径位置では(図5Aを参照)、ワーク10の孔11の内周面と前記ベース部85の外周面85aとは、単に接触するだけであり、塑性変形で食い付いたり強力に密着したりすることが無いので、その孔11に対してロック部材80が円滑に下降する。
また、上記図5Bのクランプ状態では、前記検出路37の上部37aがワーク10の下面によって閉じられるので、その検出路37に供給された検出用の加圧エアの圧力が設定圧力よりも上昇する。それを圧力スイッチ等で検知することにより、上記ワーク10がクランプされたことを確認できる。
【0031】
なお、上記クランプ装置20のアンクランプ動作は、上述したクランプ動作とほぼ逆の手順で行われる。
【0032】
上記の実施形態は、次の長所を奏する。
上述したとおり、ロック部材80の拡径位置では(図5Aを参照)、ベース部85の外周面85aがワーク10の孔11の内周面に接触するように構成したので、そのワーク10を水平方向に位置決めできる。
また、図1Aに示すように、任意の高さ位置に搬入されたワーク10を引き下げることが可能である。
ロック部材80は、ガイド部材50に半径方向へ移動可能に支持されるので、その移動を円滑に行える。ガイド部材50の基端側の部分としての支持筒51とクランプロッド70との間に前記の相対移動制限機構Mを設けたので、その相対移動制限機構Mを簡素に構成できる。また、相対移動制限機構Mは、支持筒51のピン孔51pとクランプロッド70のピン部材78とによって構成されたことにより、その構成がさらに簡素化される。
【0033】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
ロック部材80の拡径位置では(図5Aを参照)、ベース部85の外周面85aとワーク10の孔11の内周面との間に所定の隙間を形成するようにしてもよい。
駆動手段40に使用する作動流体は、圧縮空気に代えて圧油などの液体であってもよい。その駆動手段40としては、例示の複動式に代えて、バネリリース式やバネロック式などの単動式を採用してもよい。また、その駆動手段40は、流体圧アクチュエータに代えて、電動機などの他の種類のアクチュエータであってもよい。
前記クランプロッド70とピストンロッド43とは、一体に形成することに代えて、別体に構成してもよい。
【0034】
前記の進出手段は、例示の進出バネ58に代えて、圧縮空気や圧油などの圧力流体を用いたものでもよい。
ガイド部材50は、支持筒51と周壁53と頂壁55との複数の部分を継ぎ目なしで一体に形成することに代えて、上記の複数の部分を別体に形成してもよい。
また、ガイド部材50を省略して、ロック部材80を外部空間に露出させてもよい。この場合、そのロック部材80の下部を上ハウジング33の上部に半径方向へ移動可能に支持することが考えられる。
【0035】
クランプロッド70の係合溝71aとロック部材80の係合部81aとを省略してもよい。この場合、上記2つのロック部材80を半径方向の内方の縮径位置へ復帰させるためには、これらロック部材80に環状弾性体を外嵌めすることが考えられる。
上記ロック部材80は、2つ設けることに代えて3つ以上設けてもよく、さらには、複数に分割することに代えて、スリットを有する一体の環状コレットによって構成することも可能である。
【0036】
前記クランプロッド70の一対の凹部73,73は、そのクランプロッド70の外周面に形成すればよく、連通させることが必須ではない。
前記の相対移動制限機構Mは、クランプロッド70の上部とロック部材80の上部との間に設けることが可能である。
ワーク10を受け止める着座部35は、上ハウジング33の上部に設けること代えて、その上ハウジング33の半径方向の外方に配置された着座ブロックに設けてもよい。
クランプされるワーク10は、例示した薄肉のものに限定されるものではなく、厚肉のものでも支障ない。
本発明のクランプ装置20は、例示した上下姿勢に配置することに代えて、上下逆の姿勢や水平姿勢や斜め姿勢に配置してもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10:クランプ対象物(ワーク),11:孔,30:ハウジング,40:駆動手段,50:ガイド部材,51:ガイド部材50のうちの基端側の部分(支持筒),51p:ピン孔,58:進出手段(進出バネ),70:クランプロッド,71:楔面,78:ピン部材,80:ロック部材,85:ベース部,85a:外周面,87:突出部,M:相対移動制限機構.
図1
図2
図3
図4
図5