(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1傾斜角度を測定する工程と前記第2傾斜角度を測定する工程との間に、前記光レセプタクルと前記レーザープローブから放出されるレーザー光の光軸とを相対的に回転させる工程をさらに有する、請求項1に記載の測定方法。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバーや光導波路などの光伝送体を用いた光通信には、面発光レーザー(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの発光素子を備えた光モジュールが使用されている。光モジュールは、発光素子から出射された通信情報を含む光を、光伝送体の端面に入射させる光レセプタクルを有する。
【0003】
また、光モジュールには、温度変化に対する発光素子の出力特性の安定化や光出力の調整を目的として、発光素子から出射された光の強度や光量を監視(モニター)するための検出素子を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、発光素子および検出素子(受光素子)を含む光電変換装置と、発光素子と光伝送体(光ファイバー)の端面とを光学的に接続させる光レセプタクルとを有する光モジュールが記載されている。また、特許文献1に記載の光レセプタクルは、発光素子から出射された光を入射させ、かつ受光素子に向けてモニター光を出射する第1の面と、発光素子から出射され、第1の面で入射した光を反射させる第1の反射面と、第1の反射面で反射された光を、第1の面に向かうモニター光と、光ファイバーの端面に結合すべき光(信号光)とに分離する光分離部と、光分離部によって分離された光を光ファイバーの端面に向けて出射する第2の面と、を有する。
【0005】
特許文献1に記載の光モジュールでは、発光素子から出射され、第1の面で入射した光は、第1の反射面で反射されて、光分離部に向かって進行する。光分離部に到達した光は、光分離部で信号光およびモニター光に分離される。モニター光は、受光素子の受光面に向けて第1の面から出射される。一方、信号光は、光ファイバーの受光面に向けて第2の面から出射される。
【0006】
光レセプタクルにおいて、光が透過または反射する光学平面は、光の送受信に影響を及ぼすため、その傾斜角度は、高精度に制御される必要があり、光学平面の傾斜角度は、高精度に測定される必要がある。光レセプタクルの光学平面の傾斜角度を高精度に測定できる方法として、測定対象物の形状を、レーザープローブを用いて非接触式で測定する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2には、ステージ走査型レーザープローブ方式で測定対象物の形状を測定するための方法および装置が記載されている。特許文献2に記載の測定装置は、レーザー光照射手段、対物レンズ、フォーカス手段、センサー、AF(Auto Focus)スケール、XステージおよびYステージを有する。まず、測定対象物(測定ワーク)をYステージ上に配置されたXステージの上に配置する。次いで、レーザー光照射手段により、対物レンズを介して測定対象物にレーザー光を照射させる。次いで、測定対象物で反射し、再び対物レンズを通ってきた反射光をセンサー上に結像させる。このとき、フォーカスが合っていなければ、フォーカス手段が対物レンズのZ軸方向における位置をフォーカスポイントまで移動させる。このとき、AFスケールは、対物レンズの位置(移動量)を検出する。このように、検出された各ポイントのXYZの座標値に基づいて、測定対象物の形状を測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(光モジュールの構成)
図1は、光モジュール100の断面図である。
図1Aには、発信用の光モジュール100における光路を示しており、
図1Bには、受信用の光モジュール100における光路を示している。なお、
図1Aおよび
図1Bでは、光レセプタクル140内の光路を示すために光レセプタクル140の断面へのハッチングを省略している。
【0017】
図1Aおよび
図1Bに示されるように、光モジュール100は、基板121および光電変換素子(発光素子122または受光素子123)を含む光電変換装置120と、光レセプタクル140と、を有する。光モジュール100は、光レセプタクル140に光伝送体150がフェルール152を介して接続された状態で使用される。
【0018】
光電変換装置120は、基板121と、発光素子122または受光素子123と、検出素子124と、を有する。送信用の光モジュール100では、光電変換素子として発光素子122が使用される。受信用の光モジュール100では、光電変換素子として受光素子123が使用される。基板121は、例えば、ガラスコンポジット基板やガラスエポキシ基板、フレキブシル基板などである。基板121上には、発光素子122または受光素子123と、検出素子124(後述)とが配置されている。
【0019】
発光素子122は、基板121上に配置され、発光素子122が配置された基板121の設置部に対して垂直方向にレーザー光を出射する。発光素子122の数は、特に限定されない。本実施の形態では、発光素子122の数は、1個である。また、発光素子122の位置も特に限定されない。発光素子122は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)である。
【0020】
受光素子123は、基板121上に配置され、光伝送体150の端面151からの受信光Lrを受光する。受光素子123の数は、特に限定されない。本実施の形態では、受光素子123の数は、1個である。また、受光素子123の位置も特に限定されない。受光素子123は、例えば、フォトディテクターである。
【0021】
検出素子124は、発光素子122から出射された出射光Lの出力(例えば、強度や光量)を監視するためのモニター光Lmを受光する。検出素子124は、例えば、フォトディテクターである。検出素子124の数は、特に限定されない。本実施の形態では、検出素子124の数は、1個である。
【0022】
光レセプタクル140は、光電変換装置120の基板121上に配置されている。光レセプタクル140は、光電変換装置120と光伝送体150との間に配置された状態で、発光素子122の発光面125または受光素子123の受光面126と、光伝送体150の端面151とを光学的に接続させる。光レセプタクル140の構成については、別途詳細に説明する。
【0023】
光伝送体150の種類は、特に限定されない。光伝送体150の例には、光ファイバー、光導波路などが含まれる。本実施の形態では、光伝送体150は、1本の光ファイバーである。光ファイバーは、シングルモード方式であってもよいし、マルチモード方式であってもよい。
【0024】
(光レセプタクルの構成)
図2A〜Dは、実施の形態1に係る光レセプタクル140の構成を示す図である。
図2Aは、光レセプタクル140の斜視図であり、
図2Bは、平面図であり、
図2Cは、底面図であり、
図2Dは、断面図である。以下、光レセプタクル140について、光伝送体150が接続される側の面を正面とし、光電変換装置120と対向する面を底面(裏面)として説明する。
【0025】
図1A、Bおよび
図2A〜Dに示されるように、光レセプタクル140は、略直方体形状の部材と略円筒形状の部材とを接合した形状である。送信用の光モジュール100では、光レセプタクル140は、発光素子122の発光面125から出射された出射光Lを光伝送体150の端面151に向けて出射させる。受信用の光モジュール100では、光レセプタクル140は、光伝送体150からの受信光Lrを受光素子123の受光面126に向けて出射させる。光レセプタクル140は、設置平面141、第1光学面142、反射面143、光分離部144、第2光学面145、第3光学面146および基準平面147を有する。光レセプタクル140は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、例えば、光レセプタクル140は、射出成形により製造される。
【0026】
設置平面141は、光レセプタクル140が光電変換装置120の基板上121に設置されたときに、光電変換装置120(基板121)に接触する面(底面)である。後述のとおり、本実施の形態では、設置平面141は、光レセプタクル140の光学平面の傾斜角度についての基準(0°)となる。光レセプタクル140が光電変換装置120の基板上121に設置されている場合、設置平面141は、基板121面と平行であり、反射面143と第2光学面145との間の出射光Lおよび受信光Lrの光軸に沿う。
【0027】
第1光学面142は、発光素子122から出射された出射光Lを光レセプタクル140の内部に入射させるか、光伝送体150からの受信光Lrを光レセプタクル140から受光素子123に向けて出射させる光学面である。本実施の形態では、第1光学面142の形状は、光電変換素子120に向かって凸状の凸レンズ面である。第1光学面142は、発光素子122から出射された出射光Lをコリメート光に変換させる。また、本実施の形態では、第1光学面142は、光レセプタクル140の裏側(設置平面141)に設けられた凹部の底面に、発光素子122の発光面125または受光素子123の受光面126とそれぞれ対向するように配置されている。また、第1光学面142の平面視形状は、円形である。第1光学面142の中心軸は、発光素子122の発光面125または受光素子123の受光面126に対して垂直であることが好ましい。また、第1光学面142の中心軸は、発光素子122から出射された光、または受光素子123に入射する光の光軸と一致することが好ましい。
【0028】
反射面143は、第1光学面142で入射した光を第2光学面145(後述)に向けて反射させるか、第2光学面145で光レセプタクル140の内部に入射した光を第1光学面142に向けて反射させる光学面(光学平面)である。反射面143は、第1光学面142および第2光学面145の間の光路上に配置されている。反射面143は、光レセプタクル140の底面側から天面側に向かうにつれて、光伝送体150(正面側)に近づくように傾斜している。本実施の形態では、設置平面141に対する反射面143の傾斜角度は、45°である。反射面143の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、反射面143の形状は、平面である。反射面143には、第1光学面142または第2光学面145で入射した光が、臨界角より大きな入射角で入射する。
【0029】
光分離部144は、第1光学面142で入射した所定の光束径の出射光(コリメート光)Lを検出素子124に向かうモニター光Lmと、第2光学面(光伝送体150の端面151)に向かう信号光Lsとに分離させる。光分離部144は、第1光学面142で入射し、反射面143で反射された出射光Lの光軸に対する傾斜面である。本実施の形態では、光分離部144は、光レセプタクル140の天面側から底面側に向かうにつれて光伝送体150(正面側)に近づくように傾斜している。これにより、光分離部144は、第1光学面142で入射し、反射面143で反射された出射光Lの一部を第3光学面146に向けて反射させる。また、光分離部144の設置平面141に対する傾斜角度は、特に限定されない。本実施の形態では、光分離部144の設置平面141に対する傾斜角度は、60°である。
【0030】
図1Aに示されるように、光分離部144には、第1光学面142で光レセプタクル140の内部に入射し、反射面143で反射された出射光Lのうちの天面側の一部の光が、臨界角より大きな入射角で入射する。光分離部144は、入射した出射光Lを第3光学面146に向けて反射させて、モニター光Lmを生成する。一方、出射光Lのうちの底面側の一部の光は、光分離部144に入射することなく第2光学面145に向かって進行し、光伝送体150の端面151に向かう信号光Lsとなる。
【0031】
信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、所望の光量の信号光Lsを得つつ、発光素子122から出射された出射光Lの強度や光量を監視することができるモニター光Lmを得ることができれば、特に限定されない。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、信号光Ls:モニター光Lm=6:4〜8:2であることが好ましく、信号光Ls:モニター光Lm=7:3であることがさらに好ましい。光分離部144に入射する出射光Lの光量を調整することで、信号光Lsと、モニター光Lmとの光量比を調整することができる。
【0032】
第2光学面145は、信号光Lsを光伝送体150の端面151に向けて出射させるか、光伝送体150の端面151から出射された受信光Lrを屈折させて光レセプタクル140の内部に入射させる光学面である。本実施の形態では、複数の第2光学面145は、光レセプタクル140の正面側に、光伝送体150の端面151と対向するように配置されている。第2光学面145の形状は、光伝送体150の端面に向かって凸状の凸レンズ面である。これにより、光分離部144で分離された信号光Lsを集光させて、光伝送体150の端面151に効率良く入射させることができる。また、光伝送体150から出射された受信光Lrも、収束させることで、光分離部144に進行を妨げられることなく、反射面143に到達させることができる。
【0033】
第3光学面146は、光レセプタクル140の底面側に、検出素子124と対向するように配置されている。本実施の形態では、第3光学面146は、検出素子124に向かって凸状の凸レンズ面である。第3光学面146は、光分離部144で分離されたモニター光Lmを収束させて検出素子124に向けて出射させる。これにより、モニター光Lmを検出素子124に効率良く入射させることができる。第3光学面146の中心軸は、検出素子124の受光面126(基板121)に対して垂直であることが好ましい。
【0034】
基準平面147は、光レセプタクル140内における光路上ではない位置に配置されている。詳細については後述するが、基準平面147は、設置平面141に対するその傾斜角度が、設置平面141に対する光学平面(例えば、反射面143または光分離部144)の傾斜角度よりも小さい。設置平面141に対する基準平面147の角度は、レーザープローブを用いた測定装置によって高精度に測定されうる範囲内であれば特に限定されない。基準平面147の設置平面141に対する傾斜角度は、例えば、40°以下である。本実施の形態では、設置平面141に対する基準平面147の傾斜角度は、30°である。
【0035】
以上、光レセプタクル140の構成について説明した。ここで、光モジュール100における光路について説明する。
【0036】
図1Aに示されるように、送信用の光モジュール100では、発光素子122から出射された出射光Lは、第1光学面142で光レセプタクル140の内部に入射する。このとき、入射光は、第1光学面142によってコリメート光に変換され、反射面143に向かって進行する。次いで、入射光は、反射面143で反射され、光分離部144に向かって進行する。光分離部144に到達した光束の一部は、反射面である光分離部144で反射され、第3光学面146で光レセプタクル140の外部に出射されて、モニター光Lmとして検出素子124に到達する。一方、光分離部144に到達しなかった光束の残部(光分離部144で反射されなかった光)は、信号光Lsとして光伝送体150の端面151に到達する。このとき、信号光Lsは、第2光学面145によって光伝送体150の端面の151中心に集光される。
【0037】
図1Bに示されるように、受信用の光モジュール100では、光伝送体150の端面151から出射された受信光Lrは、第2光学面145で光レセプタクル140の内部に入射する。受信光Lr(入射光)は、第2光学面145によって集光され、光分離部144に近づくにつれて光束径が小さくなる。これにより、受信光Lrは、光分離部144に進行を妨げられることなく、反射面143に到達する。このとき、受信光Lrは、反射面143に近づくにつれて光束径が大きくなる。次いで、反射面143で反射された光は、第1光学面141で光レセプタクル140の外部に出射され、受光素子123に到達する。このとき、受信光Lr(出射光)は、第1光学面141によって、受光素子123の受光面126の中心に集光される。
【0038】
(光学平面の傾斜角度の測定)
次に、本実施の形態に係る光レセプタクル140において、設置平面141に対する光学平面の傾斜角度を測定するための方法について説明する。本実施の形態では、光学平面として、設置平面141に対する光分離部144の傾斜角度(設計角度:60°)を測定する。本実施の形態に係る測定方法では、レーザープローブを用いて非接触形式で測定するための測定装置を用いる。そこで、先に測定装置の測定精度について説明し、その後に測定方法について説明する。
【0039】
(1)測定装置の測定精度
光レセプタクルの光学平面の傾斜角度を測定するための測定装置について、光学平面の傾斜角度と、測定装置の測定精度との関係について調べた。なお、本実験では、設置平面に対する光学平面の傾斜角度が35°、40°、45°、46°、47°、48°または49°である場合について測定を行った。光レセプタクルとしては、設置平面に対する傾斜角度が45°である光学平面を有する光レセプタクルを使用した。そして、設置平面に対する光学平面の傾斜角度が45°以外である場合について測定するときは、元の位置(回転前の位置)の設置平面に対して光学平面の傾斜角度が35°、40°、46°、47°、48°または49°となるように、高精度で角度調整可能なステージを用いて光レセプタクルを回転させた。このとき、元の位置(回転前の位置)の設置平面の傾斜角度を基準(0°)として光学平面の傾斜角度を測定した。光レセプタクルは、ポリエーテルイミド(PEI)を材料として、射出成形により製造した。測定装置として、レーザーフォーカス三次元測定機(三鷹光器株式会社製NH−3)を使用し、ポイントオートフォーカス法(ISO 25178−605:2014)により設置平面に対する光学平面の傾斜角度を測定した。このとき、測定範囲の直径を0.8mm、データ点数を800点として、光学平面の3次元形状を測定し、当該形状に基づいて設置平面に対する光学平面の傾斜角度を測定した。各傾斜角度について、上記の測定を5回ずつ行った。
【0040】
図3は、光学平面の傾斜角度と、測定結果の標準偏差との関係を示すグラフである。
図3において、横軸は、設置平面に対する光学平面の傾斜角度(°)を示し、縦軸は、5回の測定結果の標準偏差を示す。なお、傾斜角度が49°の光学平面については、装置の測定限界により測定できなかったため、測定結果を示していない。この結果から、この測定装置では、傾斜角度が40°を超えると、測定結果の標準偏差が増加し、測定精度が低下することがわかった。また、測定可能な限界の傾斜角度が48°であることもわかった。したがって、高精度な測定を行う観点から、設置平面に対する光学平面の傾斜角度は、40°以下であることが好ましい。
【0041】
本実施の形態に係る光レセプタクル140では、設置平面141に対する反射面143の傾斜角度は45°であり、設置平面141に対する光分離部144の傾斜角度は60°である。このため、この測定装置では、設置平面141に対する反射面143および光分離部144の傾斜角度を高精度に測定することは困難である。
【0042】
(2)光学平面の傾斜角度の測定方法
次に、本実施の形態に係る光学平面の傾斜角度の測定方法について説明する。
図4は、光学平面の傾斜角度の測定方法を説明するための部分拡大模式図である。
図4は、
図2Dにおいて破線で示される領域の部分拡大模式図である。
図4において、破線は、設置平面141に沿う平行線を示している。したがって、設置平面141に対する傾斜角度は、当該平行線に対する傾斜角度に等しい。また、本実施の形態に係る光学平面の傾斜角度の測定方法では、設置平面141に対する光学平面(光分離部144)の傾斜角度を2回に分けて測定する。
【0043】
まず、光レセプタクル140を準備して測定装置に設置する。このとき、測定装置が高精度に傾斜角度を測定できる角度範囲(例えば、装置における基準面(0°)に対して0〜±40°の範囲)内に、設置平面141の傾斜角度および基準平面147の傾斜角度が収まるように、光レセプタクル140を設置する。
【0044】
次いで、設置平面141に対する基準平面147の傾斜角度である第1傾斜角度θ1を測定する。具体的には、測定装置により、装置における基準面に対する設置平面141の傾斜角度および基準平面147の傾斜角度を測定し、これらの差分値を算出して第1傾斜角度θ1を測定する。
【0045】
次いで、光レセプタクル140と、レーザープローブから放出されるレーザー光の光軸とを相対的に回転させる。このとき、測定装置が高精度に傾斜角度を測定できる角度範囲(例えば、装置における基準面(0°)に対して0〜±40°の範囲)内に、基準平面147の傾斜角度および光分離部144の傾斜角度が収まるように、光レセプタクル140を回転させる。
【0046】
次いで、基準平面147に対する光分離部144の傾斜角度である第2傾斜角度θ2を測定する。具体的には、測定装置により、装置における基準面に対する基準平面147の傾斜角度および光分離部144の傾斜角度を測定し、これらの差分値を算出して第2傾斜角度θ2を測定する。
【0047】
最後に、測定した第1傾斜角度θ1および第2傾斜角度θ2を足し合わせて、設置平面141に対する光分離部144の傾斜角度である第3傾斜角度θ3を算出する。
【0048】
前述のとおり、本実施の形態に係る光レセプタクル140では、設置平面141に対する光分離部144の傾斜角度(第3傾斜角度θ3)は、60°であり、上記の測定装置の測定限界より大きい。しかしながら、設置平面141に対する基準平面147の傾斜角度(第1傾斜角度θ1)と、基準平面147に対する光分離部144の傾斜角度(第2傾斜角度θ2)とは、ともに30°であり、上記の測定装置により高精度に測定できる範囲内の大きさである。したがって、上記の手順により、測定装置の測定限界より大きい傾斜角度であったとしても、光レセプタクル140における、設置平面141に対する光分離部144の傾斜角度を高精度で測定することができる。
【0049】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る測定方法では、設置平面141に対する基準平面147の傾斜角度を測定し、当該基準平面147を基準として光学平面の傾斜角度を測定する。このように、高精度で測定することができる角度範囲内で、複数回に分けて光学平面の傾斜角度の測定を行う。結果として、1回の測定では、レーザープローブ方式の測定装置を使用して適切に測定することができない傾斜角度の光学平面であっても、高精度で傾斜角度を測定することができる。
【0050】
また、傾斜角度の基準となる基準平面147は、光レセプタクル140と一体化として、形成することができるため、簡単かつ高精度で光学平面の傾斜角度を測定することができる。
【0051】
なお、本実施の形態に係る測定方法では、光学平面の傾斜角度を2回に分けて測定する場合について説明したが、本発明に係る測定方法では、3回以上に分けて測定してもよい。
【0052】
また、本実施の形態に係る測定方法では、光学平面として光分離部144の傾斜角度を測定する場合について説明したが、本発明に係る測定方法では、測定対象となる光学平面は光分離部144に限定されない。測定対象となる光学平面は、第1光学面142および第2光学面145の間の光路上に配置され、第1光学面142で入射した光の少なくとも一部を第2光学面145に向けて透過または反射させ、あるいは第2光学面145で入射した光の少なくとも一部を第1光学面142に向けて透過または反射させる、設置平面141に対して40°より大きい角度で傾斜している光学平面であればよい。たとえば、設置平面141に対する反射面143の傾斜角度を測定してもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、2つの基準平面147を有する光レセプタクル140について説明したが、基準平面147の数は、これに限定されない。たとえば、基準平面147の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。傾斜角度を高精度で測定する観点から、傾斜角度の測定時において、基準平面147と、光学平面とは、隣接していることが好ましい。
【0054】
(変形例)
本実施の形態では、
図2Aに示されるように、2つの基準平面147が光分離部144の両側に隣接するように配置されている光レセプタクル140について説明したが、基準平面の位置は、これに限定されない。
図5A〜C、
図6A〜Dは、変形例に係る光レセプタクル140a〜140gの構成を示す斜視図である。
【0055】
図5A〜Cに示されるように、基準平面147a〜cは、光分離部144より光レセプタクル140aの天面側に配置されていてもよい。このとき、基準平面147a〜cを含む凹部は、光分離部144を含む凹部に開口していてもよいし(
図5A)、側面に開口していてもよいし(
図5B)、両方に開口していてもよい(
図5C)。
【0056】
また、
図6A〜Dに示されるように、基準平面147d〜gは、分離部144より光レセプタクル140dの背面側に配置されていてもよい。このとき、基準平面147d〜gを含む凹部は、光分離部144を含む凹部に開口していてもよいし(
図6A)、側面に開口していてもよいし(
図6B)、両方に開口していてもよいし(
図6C)、両方に開口していなくてもよい(
図6D)。
【0057】
さらに、本実施の形態では、1つの発光素子122の発光面125または1つの受光素子123の受光面126と、1つの光伝送体150の端面151とを光学的に接続させる光レセプタクル140について説明したが、本発明に係る光レセプタクル140は、この態様に限定されない。たとえば、
図7A〜D、
図8A〜E、
図9A〜C、
図10A〜Dに示されるように、本発明に係る光レセプタクルは、複数の発光素子の発光面または複数の受光素子の受光面と、複数の光伝送体の端面とをそれぞれ光学的に接続させてもよい。
【0058】
特に図示しないが、複数の光電変換素子と、複数の光伝送体の端面とをそれぞれ光学的に接続させる光レセプタクル(レンズアレイともいう)140h〜140wでは、複数の第1光学面142と、複数の第2光学面142とが、光レセプタクル140h〜140wの裏側に設けられた凹部の底面に長辺方向に沿って一列に配置され、複数の第3光学面146が、光レセプタクル140h〜140wの正面側に設けられた凹部の底面に長辺方向に沿って一列に配置されている。このため、光レセプタクル140h〜140wでは、本実施の形態に係る光レセプタクル140の反射面143および光分離部144と比較して、反射面143’および光分離部144’の面積が、より大きい。また、光レセプタクルの光分離部は、特開2012−194372号公報に記載されているレンズアレイ(光レセプタクル)の反射/透過部のような構成であってもよい。このような複数の光電変換素子と、複数の光伝送体とをそれぞれ光学的に接続させる光レセプタクルであっても、基準平面の位置は、特に限定されない。
図7A〜D、
図8A〜E、
図9A〜C、
図10A〜Dは、変形例に係る光レセプタクル140h〜140wの構成を示す斜視図である。
【0059】
図7A〜Dに示されるように、基準平面147h〜kは、光分離部144’の近傍に配置されていてもよい。このとき、基準平面147h〜kを含む凹部は、光分離部144’を含む凹部の両側において、光分離部144’を含む凹部に開口していてもよいし(
図7A)、側面に開口していてもよいし(
図7B)、両方に開口していてもよいし(
図7C)、光分離部144’を含む凹部の内側に配置されていてもよい(
図7D)。
【0060】
また、
図8A〜Eに示されるように、基準平面147l〜pは、光分離部144’より光レセプタクル140lの天面側に配置されていてもよい。このとき、基準平面147l〜pを含む凹部は、光分離部144’を含む凹部の両側において、光分離部144’を含む凹部に開口していてもよいし(
図8A)、側面に開口していてもよいし(
図8B)、両方に開口していてもよいし(
図8C)、両方に開口していなくてもよいし(
図8D)、光分離部144’を含む凹部の内側に配置されていてもよい(
図8E)。
【0061】
また、
図9A〜Cに示されるように、基準平面147q〜sは、光分離部144’より光レセプタクル140qの背面側に配置されていてもよい。このとき、基準平面147q〜sを含む凹部は、側面および背面の両方に開口していてもよいし(
図9A)、背面のみに開口していてもよいし(
図9Bおよび
図9C)。また、
図9Cに示されるように、基準平面147sは、1つであってもよい。
【0062】
また、
図10A〜Dに示されるように、基準平面147t〜wを含む凹部は、設置平面141と平行な底面を有していなくてもよい。このとき、基準平面147t〜wを含む凹部は、光分離部144’を含む凹部の両側において、光分離部144’を含む凹部に開口していてもよいし(
図10A)、側面に開口していてもよいし(
図10B)、両方に開口していてもよいし(
図10C)、光分離部144’を含む凹部の内側に配置されていてもよい(
図10D)。