(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状に形成された缶体の外周面に対峙する箇所に配置されるとともに、当該缶体の周方向における位置が互いに異なるように配置され、当該缶体を取り囲むように配置されるとともに、当該缶体の全周に亘って配置され、当該缶体の当該外周面に対してインクを吐出する複数のインク吐出口と、
前記複数のインク吐出口により取り込まれた領域内に、缶体を供給する缶体供給手段と、
を備える印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる印刷装置1の構成を示した図である。
本実施形態の印刷装置1には、缶体5が投入される缶体投入部10、缶体5への印刷を行う印刷部20、印刷部20による印刷が終了した缶体5の排出が行われる缶体排出部30が設けられている。さらに、印刷装置1には、缶体5を支持する支持部材であるマンドレル7を、図中下方から上方へ(鉛直方向における下方から上方へ)搬送するマンドレル搬送部40が設けられている。
【0009】
印刷装置1の上部には、上側マンドレル移送部50が設けられている。上側マンドレル移送部50は、マンドレル搬送部40から缶体投入部10へのマンドレル7(空のマンドレル7)の移送、缶体投入部10から印刷部20へのマンドレル7(缶体5を保持したマンドレル7)の移送を行う
さらに、印刷装置1の下部には、下側マンドレル移送部60が設けられている。下側マンドレル移送部60は、印刷部20から缶体排出部30へのマンドレル7(缶体5を保持したマンドレル7)の移送、缶体排出部30からマンドレル搬送部40へのマンドレル7(空のマンドレル7)の移送を行う。
【0010】
図2(A)、(B)は、上側マンドレル移送部50を説明する図である。
なお、
図2(A)は、
図1における矢印IIA方向から上側マンドレル移送部50を眺めた場合の図である。
図2(B)は、
図2(A)における矢印IIB方向から上側マンドレル移送部50を眺めた場合の図である。
【0011】
図2(A)に示すとおり、上側マンドレル移送部50には、回転中心を中心に反時計回り方向へ回転する円盤状のトップタレット51が設けられている。トップタレット51には、トップタレット51の外周縁51Aの内側に、3つの貫通孔51Bが設けられている。
【0012】
3つの貫通孔51Bは、トップタレット51の回転方向において、120°おきに配置されている。
図1にて示した缶体投入部10、印刷部20、マンドレル搬送部40は、トップタレット51の回転中心を中心として放射状に配置され、さらに、トップタレット51の回転方向において、120°おきに配置されている。
3つの貫通孔51Bは、このように配置された缶体投入部10、印刷部20、マンドレル搬送部40に対応するように、トップタレット51の回転方向において、120°おきに配置されている。
【0013】
貫通孔51Bの周囲には、励磁コイルR0が設けられている。
貫通孔51Bの各々には、永久磁石が取り付けられたマンドレル7が挿入されるが(詳細は後述)、本実施形態では、励磁コイルR0によって、マンドレル7が保持される。具体的には、励磁コイルR0への通電が行われて励磁コイルR0が励磁され、この励磁コイルR0により発生する磁力によって、マンドレル7が保持される。
さらに、
図2(B)に示すように、缶体投入部10であって、トップタレット51の下方には、マンドレル7を介して缶体5の吸引を行うバキュームノズル51Cが設けられている。
【0014】
本実施形態では、缶体投入部10(
図2(A)参照)にて缶体5の投入が行われ、この缶体5は、マンドレル7(
図2では不図示)によって保持される。具体的には、缶体5の投入が行われる際、缶体投入部10には、励磁コイルR0によって保持されているマンドレル7がバキュームノズル51Cと接触した状態で待機している。マンドレル7の中心には貫通孔75(
図3参照)が設けられ、マンドレル7の貫通孔75(
図3)と接触するバキュームノズル51Cの部位には吸引穴(不図示)が設けられていて、缶体5が投入されると、バキュームノズル51Cは、マンドレル7の貫通孔75(
図3)を介して、缶体5の吸引を行う(吸引を開始する)。
吸引による負圧により缶体5とマンドレル7が密着し、缶体投入部10から投入された缶体5は、マンドレル7に保持される。缶体5がマンドレル7に保持されると、バキュームノズル51Cは、吸引を停止し、その後下方に移動する。これにより、バキュームノズル51Cとマンドレル7の接触は解除される。この時、マンドレル7の貫通孔75(
図3)からの吸引は停止しているが、マンドレル7と缶体5の内面との間における負圧は残圧として残り、缶体5とマンドレル7の保持は継続される。
次いで、
図2(A)における矢印2Aに示すように、トップタレット51が、反時計回り方向へ120°回転する。トップタレット51が、反時計回り方向へ120°回転する際、下方に移動したバキュームノズル51Cは、トップタレット51と一緒に回転はしないで、その位置で待機している。そして、トップタレット51の回転に伴い、次の缶体5の挿入されていない空のマンドレル7がバキュームノズル51Cの上方へ移動してくると、バキュームノズル51Cはマンドレル7と接触するまで上昇する。
一方、トップタレット51の回転に伴い、缶体5を保持したマンドレル7は、印刷部20の上方へ移動する。次いで、励磁コイルR0(印刷部20の上方に位置する励磁コイルR0)への通電の制御が行われる。
【0015】
これにより、下方に位置する印刷部20に対して、缶体5(マンドレル7が挿入された缶体5)が移動する。そして、印刷部20では、缶体5への印刷が行われる。
印刷部20への缶体5の移動(下降)に伴い、この缶体5が位置していた貫通孔51Bは空となる。そして、空となった貫通孔51Bは、トップタレット51の回転に伴い、マンドレル搬送部40(
図2(A)参照)の上方へ移動する。
【0016】
マンドレル搬送部40(
図1参照)は、鉛直方向における下方から上方に向けてマンドレル7(空のマンドレル7)を搬送する。そして、搬送されたマンドレル7は、トップタレット51に形成された貫通孔51B(
図2(A)参照、空の状態の貫通孔51B)に入り込む。そして、このマンドレル7は、通電された励磁コイルR0にて生じる磁力によって、励磁コイルR0に引き寄せられ、励磁コイルR0を介してトップタレット51により保持される。次いで、このマンドレル7は、トップタレット51の回転により、缶体投入部10へ移動する。
【0017】
図1に示すように、マンドレル搬送部40は、筒状に形成されたマンドレル搬送路41を有する。マンドレル搬送路41の周囲には、励磁コイルR8が設けられている。
マンドレル搬送部40では、励磁コイルR8への通電を行うことで、磁界を発生させ、いわゆるリニア駆動によって、マンドレル7を上方へ移動させる。
【0018】
図3(A)〜(E)は、マンドレル7を説明する図である。
なお、
図3(A)では、マンドレル7が挿入される缶体5の断面図を示している。また、
図3(B)は、マンドレル7の内部状態を説明する図である。
図3(C)は、マンドレル7の上面図である。
図3(D)、(E)は、
図3(B)のIIID―IIID線における断面図である。
【0019】
図3(B)、(D)に示すように、マンドレル7の内部であってマンドレル7の外周面71の内側には、複数の永久磁石72が設けられている。永久磁石72は、マンドレル7の軸方向に並べられている。さらに、永久磁石72は、マンドレル7の周方向にも並べられている。さらに、
図3(B)に示すように、永久磁石72の各々は、N極が図中上方に位置し、S極が図中下方に位置するように配置されている。言い換えると、本実施形態では、一方の磁極、他方の磁極のそれぞれが向く方向が、永久磁石72毎に揃っている。
【0020】
なお、
図3(D)では、永久磁石72が、隙間をあけずにマンドレル7の周方向に並べられた構成例を示しているが、
図3(E)に示すように、周方向において互いに隣接する永久磁石72の間に、間隙Gを設けるようにしてもよい。
【0021】
図3(B)、(C)に示すように、マンドレル7の上面7Aであって、マンドレル7の径方向における中心部には、上側開口73が形成されている。さらに、
図3(B)に示すように、マンドレル7の下面7Bであって、マンドレル7の径方向における中心部には、下側開口74が形成されている。
さらに、マンドレル7の内部には、マンドレル7の軸方向に沿って形成され、上側開口73と下側開口74とを接続する貫通孔75が設けられている。
【0022】
一方で、缶体5は、円筒状に形成されている。さらに、
図3(A)に示すように、缶体5は、図中上側に位置する一方の端部が塞がれており、この一方の端部には、底部53が設けられている。缶体5の内部に飲料などの内容物が充填される際には、この底部53が下方に配置される。
これに対し、缶体5のうち、図中下側に位置する他方の端部は、開放され、この他方の端部には、開口5Eが設けられている。
【0023】
図2(A)、(B)にて示した缶体投入部10では、マンドレル7の下方に位置するバキュームノズル51Cが、マンドレル7の下面7Bに接触配置され、マンドレル7の貫通孔75の内部の空気が吸引される。これにより、マンドレル7は、上側開口73を通じて、外部の空気を吸い込む。
【0024】
さらに、缶体投入部10では、
図1に示すように、マンドレル7の上方から缶体5が供給される。より具体的には、缶体5の開口5E(
図3(A)参照)がマンドレル7側を向いた状態で、下方に位置するマンドレル7に対して缶体5が供給される。
缶体5が供給されると、缶体5は、マンドレル7により吸引される。そして、缶体5の内部にこのマンドレル7が入り込む。これにより、マンドレル7による缶体5の保持が開始される。
【0025】
なお、
図3(A)、(B)に示すように、マンドレル7の上面7Aは、缶体5の底部53の内面5Aに倣う形状を有している。このため、マンドレル7による缶体5の吸引が行われ、缶体5の内部にマンドレル7が入り込むと、最終的には、缶体5の底部53の内面5Aに、マンドレル7の上面7Aが密着する。
【0026】
また、マンドレル7の下面7Bは、缶体5の底部53の外面5B(
図3(A)参照)に倣う形状を有している。
後述するように、本実施形態の印刷部20では、缶体5の底部53に、上方に位置するマンドレル7が載るが、マンドレル7の下面7Bが、缶体5の底部53の外面5Bに倣う形状を有していると、缶体5の底部53に、上方に位置するマンドレル7がより安定的に載るようになる。
【0027】
なお、マンドレル7から缶体5を取り外す際には(缶体排出部30(
図1参照)では)、マンドレル7の下面7Bに設けられた下側開口74から貫通孔75の内部に、圧縮空気を供給する。これにより、缶体5の底部53が、底部53の内面5A側から押圧され、マンドレル7から離れる方向へ缶体5が移動する。これにより、マンドレル7から缶体5が取り外されるようになる。
【0028】
図4は、印刷部20の構成を説明する図である。
印刷部20は、上下方向に沿って配置されており、印刷部20の上端部には、缶体5を保持したマンドレル7(上側マンドレル移送部50(
図1参照)から供給されたマンドレル7)を下方へ移動させる上側励磁コイルR1が設けられている。
また、印刷部20の下端部にも、缶体5を保持したマンドレル7を下方へ移動させる下側励磁コイルR7が設けられている。
【0029】
本実施形態では、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7への通電の制御を行い、これにより、永久磁石72を備えたマンドレル7が、図中下方へ移動する。
付言すると、本実施形態では、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7への通電の制御を行い、いわゆるリニア駆動を用いて、マンドレル7を下方へ移動させる。
【0030】
図5(リニア駆動を説明する図)を参照して具体的に説明すると、本実施形態では、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7への通電の制御を行うことで、マンドレル7の周囲の磁極を、N極からS極へ切り替え、また、S極をN極へ切り替えて、マンドレル7に設けられた永久磁石72を下方に(下流側に)向かわせる磁界を形成する。
なお、本図では省略されているが、マンドレル7の永久磁石72の磁極、および上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7の磁極は、マンドレル7の径方向中心に対し左側のみ記載されているが右側も同じである。つまり、径方向中心(マンドレル7の移動経路R51)に対しシンメトリに同じ磁極で配置されている。
【0031】
より具体的には、マンドレル7に設けられた永久磁石72が有するS極に対峙する箇所からやや下流側にN極が位置するように、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7への通電を制御する。また、永久磁石72が有するN極に対峙する箇所からやや下流側にS極が位置するように、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7への通電を制御する。
図5(A)を参照すると、マンドレル7に設けられた永久磁石72のN極は、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7のN極の一部と対面し、同じ磁極であるため互いに反発している。一方、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7のN極の下側は、S極であり、そのS極と永久磁石72のN極は、一部対面し、互いに異なる磁極であるため、互いに引き合うようになる。
これにより、マンドレル7が下流側へ引き寄せられるようになり、マンドレル7が下方へ移動する。これに伴い缶体5も下方へ移動する。
一方、マンドレル7の永久磁石72と、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7とは、対峙して配置され、さらに、永久磁石72、上側励磁コイルR1、下側励磁コイルR7は、径方向中心(移動経路R51)に対し、シンメトリに配置され、さらに、永久磁石72、上側励磁コイルR1、下側励磁コイルR7は、全周囲に配置されている。
このため、互いに反発もしくは引き合う力が、径方向において打ち消しあい、相殺される状況となる。これにより、マンドレル7、上側励磁コイルR1、下側励磁コイルR7の径方向において、マンドレル7の径方向中心と、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7の径方向中心とが一致するようになる。
なお、マンドレル搬送部40(
図1参照)においても、同様の原理で、マンドレル7の搬送を行う。
【0032】
図4を再度参照し、印刷部20についてさらに説明する。
印刷部20には、上側励磁コイルR1と下側励磁コイルR7との間に、缶体5の外周面への印刷を行う5つのインクジェットヘッドH1〜H5が設けられている。
この5つのインクジェットヘッドH1〜H5は、高さ方向における位置が互いに異なるように配置されており、上方から下方に向かって順に、第1インクジェットヘッドH1、第2インクジェットヘッドH2、第3インクジェットヘッドH3、第4インクジェットヘッドH4、第5インクジェットヘッドH5が設けられている。
【0033】
例えば、第1インクジェットヘッドH1は、イエロー(Y)のインクを缶体5の外周面に吐出する。第2インクジェットヘッドH2は、マゼンタ(M)のインクを缶体5の外周面に吐出する。第3インクジェットヘッドH3は、シアン(C)のインクを缶体5の外周面に吐出する。第4インクジェットヘッドH4は、黒(K)のインクを缶体5の外周面に吐出する。第5インクジェットヘッドH5は、白色のインクや、ユーザにより予め設定された色のインクを、缶体5の外周面に吐出する。
【0034】
さらに、上下方向にて互いに隣接する2つのインクジェットヘッドの間、および、第5インクジェットヘッドH5と下側励磁コイルR7との間には、マンドレル7の径方向における、マンドレル7の位置決めを行う位置決め用励磁コイルR3が設けられている。
【0035】
位置決め用励磁コイルR3は、マンドレル7を取り囲むように環状に形成されている。また、位置決め用励磁コイルR3は、通電されることで、磁力を発生し、この磁力を用いて、マンドレル7の位置決めを行う。
具体的には、位置決め用励磁コイルR3は、通電されることで、
図6(位置決め用励磁コイルR3によるマンドレル7の位置決めを説明する図)に示すように、N極とS極を有するようになる。
【0036】
そして、本実施形態では、位置決め用励磁コイルR3が有するN極と、マンドレル7の永久磁石72に設けられたN極とが反発し、位置決め用励磁コイルR3が有するS極と、マンドレル7の永久磁石72に設けられたS極とが反発する。これにより、位置決め用励磁コイルR3の径方向における中心部(軸心)と、マンドレル7の径方向における中心部(軸心)とが一致する。
かかる場合、位置決め用励磁コイルR3の中心部とマンドレル7の中心部とが一致しない場合に比べ、インクジェットヘッドH1〜H5と、缶体5の外周面との距離が一定となりやすく、缶体5の外周面に形成される画像の質が安定化する。
なお、前述の上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7のようにして、位置決め用励磁コイルR3への通電を制御し、マンドレル7の下方向への移動を促すこともできる。
【0037】
さらに、本実施形態では、
図4に示すように、複数のマンドレル7が上下方向に積層される構成となっている。このような場合に、上側励磁コイルR1および下側励磁コイルR7のみで、これらのマンドレル7を支持する場合(径方向におけるマンドレル7の位置決めを行う場合)、マンドレル7が鉛直方向に沿って直線状に並びにくくなる。
かかる場合、インクジェットヘッドH1〜H5に缶体5が接近するなどし、形成される画像の質が低下するおそれがある。本実施形態のように、位置決め用励磁コイルR3を設けると、缶体5とインクジェットヘッドH1〜H5との離間距離の変動が抑制され、形成される画像の質が安定化する。
【0038】
さらに、本実施形態では、下側励磁コイルR7がマンドレル7を移動させる際の移動速度と、上側励磁コイルR1がマンドレル7を移動させる際の移動速度とを異ならせている。
具体的には、下側励磁コイルR7がマンドレル7を移動させる際の移動速度の方を、上側励磁コイルR1がマンドレル7を移動させる際の移動速度よりも小さくしている。
さらに、上側励磁コイルR1がマンドレル7を移動させる際の推進力と下側励磁コイルR7がマンドレル7を移動させる際の推進力に差を持たせるようにしている。この場合、推進力の強い方がマンドレル7の停止位置(基準位置)となる。
【0039】
これにより、
図4にて、7個表示されているマンドレル7のうちの上位の6個のマンドレル7が下方に付勢され、各マンドレル7が互いに密着するようになる。
かかる場合、マンドレル7の軸方向における各マンドレル7の位置が、マンドレル7同士を密着させない場合に比べ安定し、缶体5に形成される画像の位置ずれ(缶体5の軸方向における位置ずれ)が抑制される。
【0040】
印刷部20における一連の動作を説明する。
まず、
図1にて示した上側マンドレル移送部50によって、缶体5を保持したマンドレル7が、印刷部20の上方まで搬送される。そして、上側マンドレル移送部50に設けられた励磁コイルR0(
図2(A)参照)(3つの励磁コイルR0のうちの、印刷部20の上方に位置する励磁コイルR0)への通電が制御され、缶体5を保持したマンドレル7が、印刷部20に設けられた上側励磁コイルR1(
図4参照)の内部へ入る。
【0041】
次いで、このマンドレル7は、上側励磁コイルR1によって下方へ送られる。なお、印刷部20には、上側マンドレル移送部50からマンドレル7が順次供給され、供給されたマンドレル7は、先行しているマンドレル7の上に載るようになる。
マンドレル7は、第1インクジェットヘッドH1〜第5インクジェットヘッドH5の5つのインクジェットヘッドを順次通過する。本実施形態では、マンドレル7が各インクジェットヘッドH1〜H5を通過している最中に(マンドレル7の移動中に)、各インクジェットヘッドH1〜H5から缶体5の外周面に対してインクを吐出する。これにより、缶体5の外周面に、5色の色の画像(カラーの画像)が形成される。
【0042】
本実施形態では、上記のように、マンドレル7の径方向におけるマンドレル7の位置決めを行う位置決め用励磁コイルR3が設けられており、これにより、インクジェットヘッドH1〜H5と、缶体5の外周面との距離の変動が起こりにくくなり、形成される画像の質が安定化する。
さらに、本実施形態では、上位6個のマンドレル7が下方に付勢され、上下方向におけるマンドレル7の位置が安定化する。これにより、缶体5の軸方向における、画像の形成位置も安定化する。
【0043】
さらに、本実施形態では、上記のとおり、マンドレル7の下面7B(
図3(B)参照)は、缶体5の底部53の外面5B(
図3(A)参照)に倣う形状を有している。
このため、下方に位置する缶体5による、上方のマンドレル7の支持が、より安定的に行われる。これにより、缶体5の変動がさらに抑制され、形成される画像の質が安定化する。
【0044】
本実施形態では、缶体5が軸心方向に移動している最中に、缶体5の周囲に位置するインクジェットヘッドH1〜H5から缶体5へインクを吐出して、缶体5に画像を形成する。かかる構成では、缶体5を停止させる必要がなく、印刷効率が向上する。
さらに、本実施形態の構成では、缶体5を周方向へ回転させる必要もないため、この点からも、印刷効率が向上する。
なお、缶体5の停止を排除するものはなく、インクジェットヘッドH1〜H5に缶体5が到達する度に缶体5を停止させ、停止している缶体5に対してインクを吐出するようにしてもよい。
【0045】
次に、個々のインクジェットヘッドについて詳細に説明する。
図7(A)、(B)は、第1インクジェットヘッドH1〜第5インクジェットヘッドH5に含まれる個々のインクジェットヘッドを説明する図である。なお、
図7では、第1インクジェットヘッドH1を例示しているが、第2インクジェットヘッドH2〜第5インクジェットヘッドH5も、第1インクジェットヘッドH1と同様に構成されている。
また、
図7(A)は、鉛直方向に沿った面における第1インクジェットヘッドH1の断面図(縦断面図)を示し、
図7(B)は、
図7(A)のVIIB−VIIB線における、第1インクジェットヘッドH1の断面図を示している。
【0046】
本実施形態の第1インクジェットヘッドH1は、
図7(B)に示すように環状(円環状)に形成され、さらに、缶体5(マンドレル7)の移動経路の周囲に配置されている。また、第1インクジェットヘッドH1は、缶体5の移動経路を取り囲むように形成されている。
【0047】
第1インクジェットヘッドH1の内周面には、複数のインク吐出口58が形成されている。インク吐出口58は、
図7(A)に示すように、第1インクジェットヘッドH1の軸方向に並び、また、
図7(B)に示すように、インクジェットヘッドH1の周方向に並んでいる。そして、この第1インクジェットヘッドH1では、各インク吐出口58から、第1インクジェットヘッドH1の径方向における中央部側に向かってインクが吐出される。
【0048】
複数のインク吐出口58は、第1インクジェットヘッドH1の軸心(鉛直方向に沿った軸心)を中心として放射状に配置され、この軸心側へのインクの吐出を行う。そして、本実施形態では、この複数のインク吐出口58により取り囲まれた領域内に、缶体5が供給されて、缶体5の外周面へのインクの吐出が行われる。
なお、インク吐出口58により取り囲まれた領域への缶体5の供給は、缶体供給手段として機能する上側励磁コイルR1(
図4参照)、下側励磁コイルR7により行われる。
【0049】
さらに説明すると、本実施形態では、複数のインク吐出口58は、筒状に形成された缶体5の外周面に対峙する箇所に配置されるとともに、缶体5の周方向における位置が互いに異なるように配置されている。また、複数のインク吐出口58は、缶体5を取り囲むように配置されるとともに、缶体5の全周(缶体5の周方向において360°の領域)に亘って配置されている。そして、本実施形態では、複数のインク吐出口58の各々から、缶体5の外周面へインクが吐出され、外周面に画像が形成される。
【0050】
なお、本実施形態の印刷部20では、
図4に示したように、缶体5を、鉛直方向に沿って、図中上方から下方へ移動させる。このため、本実施形態では、複数のインク吐出口58は、鉛直方向に沿った軸を中心に放射状に配置されている。
ここで、印刷部20では、鉛直方向の他に、例えば、水平方向に沿って缶体5を移動させることもできる。この場合、複数のインク吐出口58は、水平方向に沿った軸を中心に放射状に配置されることになる。
【0051】
なお、鉛直方向に沿った軸を中心として複数のインク吐出口58が放射状に配置されている方が、水平方向に沿った軸を中心として複数のインク吐出口58が放射状に配置されている場合に比べ、缶体5の周方向における印刷むらが起きにくくなる。
【0052】
水平方向に沿った軸を中心として複数のインク吐出口58が放射状に配置されている場合、吐出されたインクに作用する重力の方向が、インク吐出口58の設置位置毎に異なるようになる。かかる場合、缶体5におけるインクの付着位置がばらつきやすく、印刷むらが起きやすくなる。
一方で、鉛直方向に沿った軸を中心として複数のインク吐出口58が放射状に配置されている場合、吐出されたインクに作用する重力の方向は、インク吐出口58の設置位置に関わらず、一定の方向(下向きの方向)となる。かかる場合、缶体5におけるインクの付着位置がばらつきにくく、印刷むらが起きにくくなる。
【0053】
図8(A)〜(C)は、第1インクジェットヘッドH1の他の構成例を示した図である。なお、上記と同様、第2インクジェットヘッドH2〜第5インクジェットヘッドH5は、第1インクジェットヘッドH1と同様に構成されている。
また、
図8(A)は、第1インクジェットヘッドの正面図であり、
図8(B)は、
図8(A)のVIIIB―VIIIB線における第1インクジェットヘッドH1の断面図であり、
図8(C)は、
図8(A)のVIIIC―VIIIC線における第1インクジェットヘッドH1の断面図である。
【0054】
図8に示すこの構成例では、第1インクジェットヘッドH1は、
図8(A)に示すように、第1プリントヘッド群HE1と、第2プリントヘッド群HE2とにより構成されている。
第1プリントヘッド群HE1および第2プリントヘッド群HE2は、マンドレル7の移動方向における位置が互いにずれており、第1プリントヘッド群HE1がマンドレル7の移動方向における上流側に位置し、第2プリントヘッド群HE2がマンドレル7の移動方向における下流側に位置する。
図8(B)を参照すると、この構成例の第1インクジェットヘッドH1は、直方体の形状をした普及品のインクジェットヘッドをマンドレルの移動経路を中心としてインク吐出面が向き合うように放射状に12台並べて配置したものである。
図7のインクジェットヘッドは缶径に合わせて製作するものであるが、本例の場合、普及品のインクジェットヘッドの組み合わせによるものであるため製作が容易であり、仮にインク吐出孔の目詰まりなどのトラブルが発生しても、不具合品のインクジェットヘッドを交換することにより対応ができる。
【0055】
第1プリントヘッド群HE1および第2プリントヘッド群HE2の各々は、環状に形成されている。より具体的には、第1プリントヘッド群HE1および第2プリントヘッド群HE2の各々には、
図8(B)、(C)に示すように、複数のインク吐出ヘッドHDが放射状に配置されている。
本実施形態では、第1プリントヘッド群HE1および第2プリントヘッド群HE2のそれぞれには、12個のインク吐出ヘッドHDが配置されている。
【0056】
図8(B)、(C)に示すように、各インク吐出ヘッドHDのうち、マンドレル7の移動経路側に位置する面には、インク吐出口58が形成され、このインク吐出口58から、缶体5の外周面にインクが吐出される。
なお、各インク吐出ヘッドHDでは、インク吐出口58が複数設けられ、この複数のインク吐出口58は、マンドレル7の移動方向に沿って並んでいる(鉛直方向における上下方向に並んでいる)。
【0057】
さらに、本実施形態では、第1プリントヘッド群HE1の位相と、第2プリントヘッド群HE2の位相とがずれており、第1プリントヘッド群HE1は、第2プリントヘッド群HE2に対して15°回転した状態となっている。言い換えると、第1プリントヘッド群HE1は、マンドレル7の移動経路を回転軸とした場合に、第2プリントヘッド群HE2に対して15°回転した状態となっている。
【0058】
これにより、本実施形態では、第1プリントヘッド群HE1と第2プリントヘッド群HE2とを、マンドレル7の搬送方向上流側から眺めた場合において(
図8(A)における矢印8A方向から眺めた場合において)、第1プリントヘッド群HE1に含まれる個々のインク吐出ヘッドHDの間に、第2プリントヘッド群HE2に含まれるインク吐出ヘッドHDが位置するようになる。
【0059】
ここで、複数のインク吐出ヘッドHDを放射状に配置する場合、各インク吐出ヘッドHDの厚みに起因し、互いに隣接するインク吐出ヘッドHDの各々に設けられたインク吐出口58が離れてしまうことが起こりうる。かかる場合、形成される画像の密度が低下しやすい。
【0060】
そこで、本実施形態の構成では、複数のインク吐出ヘッドHDが放射状に配置されたプリントヘッド群を2組設けるとともに、一方のプリントヘッド群を、他方のプリントヘッド群に対して回転させ、2つのプリントヘッド群の位相を異ならせた。
付言すると、本実施形態では、一方のプリントヘッド群に設けられた複数のインク吐出口58により構成されるインク吐出口群(第1のインク吐出口群)を、他方のプリントヘッド群に設けられた複数のインク吐出口58により構成されるインク吐出口群(第2のインク吐出口群)に対して回転させた。
【0061】
かかる場合、一方のプリントヘッド群から吐出されたインクの缶体5における付着位置の間に、他方のプリントヘッド群から吐出されたインクが付着するようになり、画像密度が高まるようになる。
付言すると、本実施形態では、第1のインク吐出口群から吐出されたインクの缶体5における付着位置と、第2のインク吐出口群から吐出されたインクの缶体5における付着位置とが、缶体5の周方向において異なるようになり、画像密度が高まるようになる。
【0062】
なお、画像密度の向上は、このように、第1インクジェットヘッドH1に、複数のプリントヘッド群を設けることで行うこともできるが、1つのプリントヘッド群だけでも、画像密度の向上を図れる。
具体的には、まず、第1インクジェットヘッドH1(1つのプリントヘッド群の内側)に缶体5が到着すると、一旦この缶体5を停止させる。そして、缶体5を停止させた状態にて、第1インクジェットヘッドH1から缶体5へインクを吐出する。
【0063】
その後、缶体5を周方向に15°回転させたうえで、第1インクジェットヘッドH1からのインクの吐出を再び行う。これにより、1回目のインクの吐出位置の間に、2回目のインク吐出により吐出されたインクが載るようになる。
【0064】
より具体的に説明すると、本実施形態の第1インクジェットヘッドH1は、鉛直方向に沿って軸を中心として複数のインク吐出口58が放射状に配置された構成となっているが、最初に、この複数のインク吐出口58により取り囲まれた領域内に、缶体5を供給する。
そして、インク吐出口58の各々から缶体5の外周面に向けてインクを吐出し、この外周面に画像を形成する。
【0065】
次いで、缶体5を周方向に沿って15°回転させる。より具体的には、上記鉛直方向に沿った軸(第1インクジェットヘッドH1の配置中心を通る鉛直方向の軸)を中心として、缶体5を15°回転させる。
その後、インク吐出口58の各々から缶体5の外周面に向けて再びインクを吐出する。これにより、1回目のインクの吐出位置の間に、2回目のインク吐出により吐出されたインクが載るようになる。
【0066】
なお、缶体5の周方向への上記回転は、例えば、回転手段の一例としてのモータなどを用いてマンドレル7を周方向に回転させることで行うことができる。
また、缶体5の周方向への上記回転は、上記と同様、リニア駆動を用いてマンドレル7を周方向に回転させることで行うことができる。より具体的には、マンドレル7の周方向において、N極とS極とが交互に現れるようし、且つ、N極とS極とが切り替わるようにすることで、マンドレル7が周方向に回転し、これに伴い、缶体5が周方向へ回転する。
【0067】
図9は、上側励磁コイルR1を説明する図である。なお、下側励磁コイルR7、励磁コイルR8(マンドレル搬送部40に設けられた励磁コイルR8)も、上側励磁コイルR1と同様に構成されている。また、
図9(A)は、鉛直方向に沿った面における上側励磁コイルR1の断面図(縦断面図)であり、
図9(B)、(C)は、
図9(A)のIXB−IXB線における断面図である。
【0068】
図9(B)に示すように、上側励磁コイルR1は、マンドレル7の移動経路を取り囲むように環状に配置されている。さらに、
図9(A)に示すように、上側励磁コイルR1は、マンドレル7の移動経路に沿うように配置されている。
本実施形態では、
図5に示したとおり、上側励磁コイルR1への通電の制御を行うことで、マンドレル7の周囲の磁極を切り替える。具体的には、N極からS極へ切り替え、また、S極からN極へ切り替える。これにより、永久磁石72を有したマンドレル7が下方へ移動し、これに伴い缶体5も下方へ移動する。
【0069】
ここで、
図9(C)に示すように、上側励磁コイルR1内の導線同士を密着させず、導線間に、間隙Gを設けるようにしてもよい。
かかる場合、
図3(E)にて示したマンドレル7(周方向において互いに隣接する永久磁石72の間に間隙Gが設けられたマンドレル7)と、
図9(C)にて示した上側励磁コイルR1とを組み合わせて用いると、間隙Gが設けられていない構成に比べ、周方向へのマンドレル7の回転が起きにくくなる。
【0070】
図10(A)、(B)は、下側マンドレル移送部60を説明する図である。なお、
図10(A)は、
図1における矢印XA方向から下側マンドレル移送部60を眺めた場合の図であり、
図10(B)は、
図10(A)の矢印XB方向から下側マンドレル移送部60を眺めた場合の図である。
図10(A)に示すように、下側マンドレル移送部60には、回転中心を中心に時計回り方向へ回転するボトムタレット61が設けられている。ボトムタレット61には、ボトムタレット61の外周縁61Aの内側に、マンドレル昇降部62が設けられている。
【0071】
図10(A)に示すように、マンドレル昇降部62は、ボトムタレット61の回転方向において、120°おきに配置されている。
本実施形態では、印刷部20、缶体排出部30、マンドレル搬送部40が、ボトムタレット61の回転方向において、120°おきに配置されており、マンドレル昇降部62は、印刷部20、缶体排出部30、マンドレル搬送部40に対応するように、ボトムタレット61の回転方向において、120°おきに配置されている。
【0072】
また、
図10(B)に示すように、マンドレル昇降部62は、マンドレル7を支持するマンドレル支持パット62A、このマンドレル支持パット62Aを昇降させるエアシリンダ62Bを備えている。マンドレル支持パット62Aは、不図示のコンプレッサーおよびバキュームポンプに接続されており、マンドレル7を吸引して保持する。また、マンドレル支持パット62Aには、マンドレル7に形成された貫通孔75(
図3(B)参照)内に、下側開口74を通じて空気を供給する空気供給部が設けられている。
【0073】
図1も参照しながら、下側マンドレル移送部60の動きを説明する。
図1の符号1Aに示すように、印刷部20における印刷が終了すると、缶体5を保持したマンドレル7が、下側マンドレル移送部60へ送られる。
このとき、マンドレル支持パット62Aが下方で待機しており、下側マンドレル移送部60へ送られたマンドレル7は、バキュームポンプから吸引負圧が供給され、このマンドレル支持パット62Aによって保持される。
【0074】
次いで、ボトムタレット61が回転を開始し、
図1にて示す缶体排出部30へ、マンドレル7が移動する。缶体排出部30では、空気供給部(不図示)によって、貫通孔75(
図3(B)参照)内にコンプレッサーによる圧縮空気が供給され、マンドレル7の上面7Aに形成された上側開口73から圧縮空気が排出される。
これにより、缶体5の底部53(
図3(A)参照)が、底部53の内面5A側から押圧され、マンドレル7から離れる方向へ缶体5が移動する。この時、吸引負圧によりマンドレル7がマンドレル支持パット62Aに保持された状態は継続している。さらに、本実施形態では、この缶体5の上方に、缶体5を受け取る受け取り機構(不図示)が設けられており、この受け取り機構より缶体5が受け取られる。受け取られた缶体5は、次の工程に移送される。
【0075】
受け取り機構による缶体5の受け取りによって空となったマンドレル7は、ボトムタレット61の回転に伴って、マンドレル搬送部40(
図1参照)の下方まで移動する。
次いで、エアシリンダ62Bが駆動され、マンドレル支持パット62Aが、マンドレル搬送部40の下端部まで移動し、マンドレル搬送部40に設けられた励磁コイルR8内に、マンドレル7が入り込む。この時、マンドレル支持パット62A内ではバキュームポンプから供給される吸引負圧からコンプレッサーから供給される圧縮空気に切り替え、励磁コイルR8内へのマンドレル7への移動を促すようにする。
【0076】
次いで、励磁コイルR8の励磁が開始される。これにより、マンドレル7が、
図1における上方へ移動し、マンドレル搬送部40の上端部まで達する。そして、このマンドレル7は、トップタレット51に形成された貫通孔51B(
図2(A)参照)内に入り込む。
また、トップタレット51に設けられた励磁コイルR0が励磁され、トップタレット51によってマンドレル7が保持される。その後、トップタレット51の回転に伴って、缶体投入部10までマンドレル7は移動し、缶体投入部10では、新たな缶体5がマンドレル7に供給される。
【0077】
なお、本実施形態では、トップタレット51に形成された貫通孔51Bまでマンドレル7が達した際に、この貫通孔51B内に、先行する別のマンドレル7がある場合、後続するマンドレル7は、励磁コイルR8内で待機させる。そして、空の他の貫通孔51Bが、マンドレル搬送部40の上方に来ると、この他の貫通孔51Bに、待機させておいたマンドレル7を送り込む。
【0078】
図11(A)〜(C)は、
図1にて示した印刷装置1の断面図を示した図である。
図11(A)は、
図1のXIA−XIA線における印刷装置1の断面図であり、
図11(B)は、
図1のXIB−XIB線における印刷装置1の断面図であり、
図11(C)は、
図1のXIC−XIC線における印刷装置1の断面図である。
【0079】
図11(A)では、缶体投入部10の直下における印刷装置1の断面を示している。この位置には、印刷部20の上側励磁コイルR1、マンドレル搬送部40の励磁コイルR8が位置する。
図11(B)では、印刷部20に設けられた第2インクジェットヘッドH2を通る面における断面を示している。この断面には、第2インクジェットヘッドH2の他に、マンドレル搬送部40の励磁コイルR8が位置する。
図11(C)では、印刷部20に設けられた第3インクジェットヘッドH3と第4インクジェットヘッドH4との間を通る面における断面を示している。この断面には、マンドレル7の位置決めを行う位置決め用励磁コイルR3と、マンドレル搬送部40の励磁コイルR8が位置する。
【0080】
図12は、印刷部20の他の構成例を示した図である。
上記にて説明した印刷部20では、缶体5の全長とほぼ同じ長さのインクジェットヘッドH1〜H5を設けたが、
図12に示すように、缶体5の全長よりも短い長さのインクジェットヘッドH1〜H5を設けてもよい。
【0081】
さらに、この印刷装置1では、インクジェットヘッド間に位置する位置決め用励磁コイルR3(
図1参照)を省略し、各インクジェットヘッドH1〜H5を接近させている。
マンドレル7の径方向におけるマンドレル7の位置決めは、第5インクジェットヘッドH5の下方に位置する1つの位置決め用励磁コイルR3で行っている。
【0082】
この印刷装置1では、上記と同様、上側励磁コイルR1と下側励磁コイルR7とで、マンドレル7を下方へ移動させる。この移動の最中に、インクジェットヘッドH1〜H5から、缶体5の外周面に対して、インクを吐出する。これにより、缶体5がインクジェットヘッドH1〜H5を通過し終えると、缶体5の外周面に画像が形成された状態となる。
本実施形態の構成では、インクジェットヘッドH1〜H5の各々の全長が小さく、さらに、位置決め用励磁コイルR3が少ないため、
図1にて示した構成よりも、印刷装置1の占有体積が小さくなる。
【0083】
(その他)
本実施形態の印刷部20では、
図4にて示した通り、鉛直方向に沿った移動経路に沿って缶体5(マンドレル7)を移動させるが、このように予め定められた移動経路に沿って缶体5を移動させる移動形態としては、
図13(缶体5の他の移動形態を示した図)のような移動形態も考えられる。この移動形態では、缶体5の移動経路の脇にレールなどのガイド部材210を設置し、さらに、ガイド部材210から缶体5に向かって延びる缶体支持部材220を設ける。そして、この缶体支持部材220を、ガイド部材210に沿って移動させる。
【0084】
ところで、この移動形態では、缶体5が移動する移動経路の脇に、缶体支持部材220を通過させるための経路を設ける必要が生じる。より具体的には、破線200で示す箇所に、缶体支持部材220を通過させるための経路を設ける必要が生じる。かかる場合、缶体5が移動する移動経路の脇には、他の部材の設置を行えない空間が生じる。
【0085】
付言すると、缶体支持部材220との干渉を避けるために、缶体5が移動する移動経路の脇には、他の部材の設置を行えなくなる。具体的には、例えば、上記にて説明した、環状のインクジェットヘッドH1〜H5などを設置できなくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、缶体支持部材220を通過させるための上記経路を省略できるようになり、環状のインクジェットヘッドH1〜H5を設置できるようになる。