(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンクリート層を形成するコンクリートは、前記砕石層を通過して前記上層保護層と接した状態で硬化された請求項1記載の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造。
前記第1固定板又は前記第2固定板の少なくとも1以上は、前記車両進入路下以外の前記廃棄物最終処分場の斜面に対して、設けられていない、又は、疎に設けられている請求項1記載の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造。
前記下層遮水シート及び前記上層遮水シートは、前記車両進入路下以外の斜面に敷設される遮水シートと同材質である請求項1記載の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造。
前記固定板は、前記車両進入路下以外の前記廃棄物最終処分場の斜面に対して、設けられていない、又は、疎に設けられている請求項9又は12記載の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、廃棄物最終処分場の斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造及び遮水工法において、廃棄物を積載した車両が車両進入路を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間及び斜面との間で滑りを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造は、廃棄物最終処分場の斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造であって、前記斜面上に敷設された下層保護層と、上面に設けられた融着部と、下面から前記斜面に至るアンカーとを有し、前記下層保護層上に複数設けられる第1固定板と、前記下層保護層及び前記第1固定板の上に敷設され、前記融着部で融着された下層遮水シートと、前記下層遮水シート上に敷設された中間保護層と、上面と下面とに融着部を有し、前記中間保護層の複数の貫通穴内に設けられ、前記下面の融着部で前記下層遮水シートに融着された、複数の第2固定板と、前記中間保護層及び前記第2固定板の上に敷設され、前記上面の融着部で融着された上層遮水シートと、前記上層遮水シートの上に敷設された上層保護層と、を備えてなる。
【0011】
また、本発明に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水工法は、廃棄物最終処分場の斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水工法であって、前記斜面上に下層保護層を敷設する工程と、上面に設けられた融着部と、下面から前記斜面に至るアンカーとを有する第1固定板を前記下層保護
層上に複数設ける工程と、前記下層保護
層及び前記第1固定板の上に下層遮水シートを敷設する工程と、前記第1固定板を電磁誘導加熱し、前記下層遮水シートを前記融着部で融着する工程と、前記下層
遮水シート上に中間保護層を敷設する工程と、上面と下面とに融着部を有する第2固定板を前記中間保護層の複数の貫通穴内に設置する工程と、前記中間保護層の上に上層遮水シートを敷設する工程と、前記第2固定板を電磁誘導加熱し、前記下面の融着部で前記下層遮水シートに融着するとともに、前記上層遮水シートを前記上面の融着部で融着する工程と、前記上層遮水シートの上に、上層保護層を敷設する工程と、を備えてなる。
【0012】
本発明の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造及び遮水工法によれば、第2固定板の融着部が、それぞれ、上層遮水シートと下層遮水シートとに融着して、第2固定板を介して、上層遮水シートと下層遮水シートを強固に接合することができる。また、第1固定板の融着部が下層遮水シートに融着して強固に接合する。以上により、多層に積層された積層部材間の滑りが発生しない。そして、第1固定板はアンカーにより下層保護層を打ち抜いて斜面に固定される。これにより、遮水構造全体が斜面に固定できる。また、2層の遮水シートを用いており、遮水構造が多層であるので、遮水性が良好である。更に、アンカーは、下層保護層を打ち抜いて斜面に固定されており、上層遮水シート及び下層遮水シートに穴や切れ込みが無いため、遮水性が損なわれない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止する遮水構造及び遮水工法を提供することができる。尚、上層保護層の上表面は、砕石層を通過したコンクリートと一体化し、上層保護層と砕石層及びコンクリート層の間の滑りを防止することができる。
【0013】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記アンカーは、一体となった頭部と、打ち込み部とで構成され、前記第1固定板は、前記アンカーの前記頭部が嵌合する凹部と、前記アンカーの前記打ち込み部が挿入される貫通孔とで構成され、前記アンカーの前記打ち込み部が前記第1固定板の前記貫通孔に挿入されて、前記アンカーの前記頭部が前記第1固定板の前記凹部に嵌合して、前記アンカーと前記第1固定板とが固定されて良い。
第1固定板とアンカーとは、直交状態を維持するように固定されるため、土で構成される柔らかい斜面に対しても強固に固定することができる。例えば、アンカーは、棒状体を直角に折り曲げた頭部と打ち込み部とで構成されて良い。
【0014】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記アンカーは、1つの前記第1固定板に対して、複数固定されて良い。
第1固定板を複数のアンカーで固定することにより、斜面に対して、第1固定板をより強固に固定することができる。
【0015】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記コンクリート層を形成するコンクリートは、前記砕石層を通過して前記上層保護層と接した状態で硬化されて良い。
上層保護層の上表面が、砕石層を通過したコンクリートにより、砕石層とコンクリート層と一体化することにより、上層保護層と砕石層及びコンクリート層の間の滑りを防止することができる。
【0016】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記上層保護層の下表面に、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層を設ける、又は、前記上層保護層の下表面若しくは前記上層遮水シートの上表面に接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
上層保護層と上層遮水シートの間の滑りを、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0017】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記上層保護層の上表面に、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
上層保護層と砕石層の間の滑りを、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0018】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記第1固定板又は
前記第2固定板の少なくとも1以上は、前記車両進入路下以外の前記廃棄物最終処分場の斜面に対して、設けられていない、又は、疎に設けられて良い。
廃棄物最終処分場内の斜面の中でも、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路下の斜面において、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止することができる。
【0019】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記下層遮水シート及び前記上層遮水シートは、前記車両進入路下以外の斜面に敷設される遮水シートと同材質であって良い。
車両進路以外の斜面に敷設されている遮水シートとの熱融着接合を容易に行うことができる。
【0020】
また、別の観点における本発明に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造は、廃棄物最終処分場の斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造であって、前記斜面上に敷設された下層保護層と、上面に設けられた融着部と、下面から前記斜面に至るアンカーとを有し、前記下層保護層上に複数設けられる固定板と、前記下層保護層及び前記固定板の上に敷設され、前記融着部で融着された遮水シートと、前記遮水シート上に敷設された上層保護層と、を備えてなる。
【0021】
別の観点における本発明の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造によれば、固定板の下面に設けられたアンカーを、下層保護層を打ち抜いて斜面に打ち込むことにより、遮水構造が斜面に対して強固に固定される。そして、固定板が融着部で遮水シートと融着して、遮水シートと固定板が強固に接合されるため、遮水シートが地面に固定でき、遮水シート及び下層保護層と斜面との滑りを防止することができる。また、アンカーは、下層保護層を打ち抜いて斜面に固定されており、遮水シートに穴や切れ込みが無いため、遮水性が損なわれない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止することができる。尚、上層保護層の上表面は、砕石層を通過したコンクリートと一体化し、上層保護層と砕石層及びコンクリート層の間の滑りを防止することができる。
【0022】
前記上層保護層の下表面にシート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層を設ける、又は、前記上層保護層の下表面若しくは前記遮水シートの上表面に接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
上層保護層と遮水シートの間の滑りを、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0023】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記アンカーは、一体となった頭部と、打ち込み部とで構成され、前記固定板は、前記アンカーの前記頭部が嵌合する凹部と、前記アンカーの前記打ち込み部が挿入される貫通孔とで構成され、前記アンカーの前記打ち込み部が前記固定板の前記貫通孔に挿入されて、前記アンカーの前記頭部が前記固定板の前記凹部に嵌合して、前記アンカーと前記固定板とが固定されて良い。
固定板とアンカーとは、直交状態を維持するように固定されるため、土で構成される柔らかい斜面に対しても強固に固定することができる。例えば、アンカーは、棒状体を直角に折り曲げた頭部と打ち込み部とで構成されて良い。
【0024】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記固定板は、前記車両進入路下以外の前記廃棄物最終処分場の斜面に対して、設けられていない、又は、疎に設けられて良い。
廃棄物最終処分場内において、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路下で、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止することができる。
【0025】
また、別の観点における本発明に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造は、廃棄物最終処分場に至る斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造であって、前記斜面上に敷設された下層保護層と、前記下層保護層上に敷設された下層遮水シートと、前記下層
遮水シート上に敷設された中間保護層と、上面と下面とに融着部を有し、前記中間保護層の複数の貫通穴内に設けられ、前記下面の融着部で前記下層遮水シートに融着された、複数の固定板と、前記中間保護層及び前記固定板の上に敷設され、前記上面の融着部で融着された上層遮水シートと、前記上層遮水シートの上に敷設された上層保護層と、を備えてなる。
【0026】
別の観点における本発明の廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造によれば、固定板の融着部が上層遮水シートと下層遮水シートとに融着して、上層遮水シートと下層遮水シート間を強固に接合することでき、多層に積層された積層部材間の滑りが発生しない。また、2層の遮水シートを用いており、遮水構造が多層であるので、遮水性が良好である。更に、遮水シートを切開することなく、上下遮水シートを接合することができるので遮水性が低下しない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止することができる。尚、上層保護層の上表面は、砕石層を通過したコンクリートと一体化し、上層保護層と砕石層及びコンクリート層の間の滑りを防止することができる。
【0027】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記下層保護層の上表面にシート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層を設ける、又は、前記下層保護層の上表面若しくは前記下層遮水シートの下表面に接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
下層保護層と下層遮水シートの間の滑りを、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0028】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記上層保護層の下表面にシート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層を設ける、又は、前記上層保護層の下表面若しくは前記上層遮水シートの上表面に接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
上層保護層と上層遮水シートの間の滑りを、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0029】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記下層保護層の下表面にシート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層を設けて良い。
斜面との滑りの発生を、シート状の素材を貼り合わせて形成される若しくは接着剤を予め
塗布および硬化されて形成される粘着層又は接着剤を塗布することにより形成される接着層により防止することができる。
【0030】
上記廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造において、前記固定板は、前記車両進入路下以外の前記廃棄物最終処分場の斜面に対して、設けられていない、又は、疎に設けられて良い。
廃棄物最終処分場内において、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路下で、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間の滑りや、斜面との滑りの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、廃棄物最終処分場の斜面上に設置され、砕石層とコンクリート層とで覆って形成される、廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造及び遮水工法において、廃棄物を積載した車両が車両進入路を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材間及び斜面との間で滑りを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0034】
本実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造は、廃棄物を積載した車両が廃棄物最終処分場に進入する車両進入路を形成するために、すり鉢状に形成された廃棄物最終処分場の上部から底部に向かって形成された坂路となる斜面上に設置される。
【0035】
[第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造及び遮水工法]
まず、第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造について、
図1、
図2、
図3A〜Cに基づいて説明する。
【0036】
図1に示すように、第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100は、下層保護層111と、下層遮水シート112と、中間保護層113と、上層遮水シート114と、上層保護層115と、第1固定板120と、第2固定板130と、から構成され、斜面101の全面を覆うように、車両進入路104下に設置される。尚、下層保護層111と、下層遮水シート112と、中間保護層113と、上層遮水シート114と、上層保護層115と、から積層部材110が構成される。
【0037】
下層保護層111は、斜面101上に敷設される。下層保護層111は、下層遮水シート112を保護するものである。下層保護層111は、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの材質を用いられる。また、不織布、織布、発泡体や、不織布とシートの貼り合わせ材、不織布と発泡体の貼り合わせ材、発泡体とシートの貼り合わせ材などの形態で用いられる。また、下層保護層111は、厚みが3〜20mm程度のものが用いられる。厚みが3mm未満であると、十分な強度が得られず下層遮水シート112及び上層遮水シート114を保護することができないからである。また、20mmを超えると、屈曲性が低下して敷設時の扱いが困難となるからである。
【0038】
下層保護層111上には、第1固定板120が複数設けられる。第1固定板120は、上面に設けられた融着部121と、下面から斜面に至るアンカー122と、を有する。
【0039】
第1固定板120は、電磁誘導加熱によって加熱することのできる導体で形成される。また、第1固定板120は、防錆性、耐候性の高いものが好ましい。具体的には、第1固定板120は、鋼板、防錆加工された鋼板(溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融アルミニウムメッキ鋼板)、溶融亜鉛‐アルミ‐マグネシウム合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、冷間圧延ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などで形成される。
【0040】
第1固定板120は、径がφ60〜200mm程度の円形または正方形、矩形などの平板状に形成される。第1固定板120は、3〜40mm程度の厚みで形成される。厚みが3mm未満であると、剛性が低く、強度的に不足するため、後述する下層遮水シート112が風の負圧などで浮き上がろうとした時に破壊される可能性があるので好ましくない。また、40mmを超えると、加工性が乏しくなり、下層遮水シート112上に現れる段差が大きくなり外観を損ねることになるので好ましくない。
【0041】
第1固定板120の上面は、融着部121で覆われる。融着部121として、後述する下層遮水シート112と融着が可能な熱可塑性素材が用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートなどのオレフィン樹脂やそれらを変成した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変成オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。融着部121は、シートまたはフィルム状の熱可塑性素材を積層被覆したものでもよく、また、液状になった熱可塑性素材をコーティングしたものでもよい。ホットメルト樹脂をコーティングするのが比較的簡便な形態である。
【0042】
第1固定板120と融着部121とは、融着や接着剤を介在するなどして固着される。第1固定板120と融着部121との接着は、例えば次のような方法で行う。まず、融着部121として用いる金属板の脱脂処理を行う。脱脂方法は、アルカリ洗浄法、溶剤洗浄法、エマルション洗浄法、電界脱脂洗浄法などの中から、使用する金属にあわせて好適なものを選択する。次に、金属の防錆、粗面化を行う。化学的方法として、酸洗い法、アルカリ防錆法などがあり、物理的方法として、プラスト法、液体ホーニング法、ウォータージェット法、サンドペーパー研磨法などがあり、状況によって1つ、あるいは2つを組み合わせて用いる。次工程の化成処理は、金属の種類によって異なるが、リン酸塩皮膜、クロム酸塩皮膜、シュウ酸塩皮膜、カップリング材処理皮膜を施す。そして、第1固定板120と融着部121とをウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などを用いて接着する。また、第1固定板120と融着部121とを融着する場合は、第1固定板120の上面を接着と同様に処理し、ホットメルト型接合材を介在して熱融着するか、第1固定板120に直接融着部121を融着することなどが可能である。
【0043】
融着部121は、第1固定板120の上面にのみ配置しているが、全面を覆っていても構わない。第1固定板120の全面を覆った場合は、第1固定板120から融着部121が剥離しにくくなる点で好ましい。
【0044】
アンカー122は、第1固定板120を斜面101に固定できる強度があり、防錆性、耐候性が高いものが好ましい。具体的には、アンカー122は、防錆加工された鋼材(溶融亜鉛メッキ鋼材、溶融アルミニウムメッキ鋼材)、ステンレス鋼材、鋼材などで形成される。
【0045】
アンカー122は、一体となった頭部と、打ち込み部とで構成され、第1固定板120は、アンカー122の頭部が嵌合する凹部と、アンカー122の打ち込み部が挿入される貫通孔とで構成される。凹部と貫通孔とは、第1固定板120につながって形成される。具体的には、
図2に示すように、打ち込み部126に向かって径が細くなるように形成されたテーパ状の頭部125と棒状の打ち込み部126とでアンカー122が構成され、平板状の第1固定板120の略中央に、テーパ状の頭部125が嵌合する凹部123と棒状の打ち込み部126が挿入される貫通孔124とが設けられて構成される。ここで、頭部125及び打ち込み部126は、断面が円形であっても、矩形であっても、それ以外の形状であっても良い。尚、
図2の例では、融着部121は、第1固定板120の全面を覆っている。そして、アンカー122の打ち込み部126が第1固定板120の貫通孔124に挿入されて、アンカー122の頭部125が第1固定板120の凹部123に嵌合して、アンカー122と第1固定板120とが固定される。これにより、第1固定板120とアンカー122とは、直交状態を維持するように固定されるため、土で構成される柔らかい斜面に対しても強固に固定することができる。
【0046】
第一の変形例として、
図3A〜C、
図8に示すように、アンカー122は、一体となって形成される、第1固定板120の略中央の長手方向に設けられた凹部123に嵌合する頭部125と、凹部123に設けられた貫通孔124に挿入される先端が尖った打ち込みピン(打ち込み部)126とが直角に曲げられた状態で構成されることが好ましい。即ち、頭部125と打ち込みピン126は、L字型の形状になる。アンカー122は、例えば、一方の先端が尖った棒状体を、直角に折り曲げることにより、頭部125と打ち込みピン126とを構成する。尚、第一の変形例においては、頭部125と打ち込みピン126とを形成する棒状体は、断面が矩形で形成されているが、それに限らない。断面が円形やそれ以外の形の棒状体を用いてもよい。凹部123は、第1固定板120の中央に頭部125を嵌合させることができる形状で設けられる。
図3A〜Cでは、凹部123は、第1固定板120の上面に溝として形成されている。また、貫通孔124は、凹部123に第1固定板120の上面から下面に貫通して、打ち込みピン126を挿通させることができる形状で設けられる。そして、アンカー122は、打ち込みピン126が凹部123の貫通孔124に上面側から挿入されて下面側から突出するように取り付けられ、第1固定板120の下面から下層保護層111を打ち抜いて、斜面101に至るように打ち込まれると共に、頭部125が凹部123に嵌合する。これにより、第1固定板120を斜面101に固定するようになっている。また、第1固定板120の凹部123にL字型のアンカー122が嵌めこまれているので、アンカー122がはずれにくいという利点がある。
【0047】
また、第二の変形例として、
図7Aに示すように、アンカー122は、一体となって形成される、第1固定板120の略中央の長手方向に設けられた凹部123に係合する棒状の頭部125と、棒状の頭部125の両端部から直角に曲げられた状態で延伸され、凹部123に設けられた2つの貫通孔124に挿入される先端が尖った2つの打ち込みピン(打ち込み部)126と、で構成されることが好ましい。即ち、頭部125と打ち込みピン126は、コの字型またはU字型の形状になる。アンカー122は、例えば、両方の先端が尖った棒状体の両端部から所定の長さ離れた2箇所を、直角に折り曲げることにより、頭部125と打ち込みピン126とを構成する。尚、第二の変形例においては、頭部125と打ち込みピン126とを形成する棒状体は、断面が円形で形成されているが、それに限らない。断面が矩形やそれ以外の形の棒状体を用いてもよい。凹部123は、第1固定板120の中央に頭部125を嵌合させることができる形状で設けられる。
図7Bでは、凹部123は、第1固定板120の上面に、頭部125よりも深くて幅が広い溝として形成されている。また、貫通孔124は、凹部123に第1固定板120の上面から下面に貫通して、2本の打ち込みピン126を挿通させることができる形状で設けられる。そして、アンカー122は、2本の打ち込みピン126が凹部123の貫通孔124に上面側から挿入されて下面側から突出するように取り付けられ、第1固定板120の下面から下層保護層111を打ち抜いて、斜面101に至るように打ち込まれると共に、頭部125が凹部123に嵌合する。これにより、第1固定板120を斜面101により強固に固定するようになっている。また、第1固定板120の凹部123にコの字型のアンカー122が嵌めこまれているので、アンカー122がはずれにくいという利点がある。
【0048】
ここで、第一の変形例及び第二の変形例に示すアンカー122の寸法について、
図8、
図7A及び
図7Bに基づいて、説明する。
第一の変形例に示すアンカー122の寸法の比率が、(打ち込みピン126の長手方向の長さl
3)/(頭部125の長手方向の長さl
4)=2/1〜4/1であることが好ましい。同様に、第二の変形例に示すアンカー122の寸法の比率が、(打ち込みピン126の長手方向の長さl
1)/(頭部125の長手方向の長さl
2)=2/1〜4/1であることが好ましい。このような寸法でアンカー122を形成することにより、アンカー122の頭部125の長さと比較した打ち込み部126の長さが長くなりすぎないため、アンカー122を打ち込む際の処理を容易としつつ、アンカー122が第1固定板120から外れにくく、且つ、アンカー122で第1固定板120を斜面に強固に固定することができる。
【0049】
また、アンカー122について、第一の変形例及び第二の変形例で示すように、(頭部125及び打ち込みピン126を形成する棒状体の径φ)≦(第1固定板120の凹部123の深さD)であることが好ましい。また、アンカー122について、頭部125及び打ち込みピン126を形成する棒状体が円柱状でない場合は、(第1固定板120の凹部123に嵌合した頭部125及び打ち込みピン126を形成する棒状体の鉛直方向の長さφ)≦(第1固定板120の凹部123の深さD)であることが好ましい。このような寸法でアンカー122を形成することにより、アンカー122が第1固定板120の上面から突出しないため、第1固定板120とその上面に敷設される遮水シート(後述する下層遮水シート112等)とが融着部121で融着しにくくなったり、遮水シートを傷つけたりすることを防止することができる。
【0050】
尚、アンカー122について、(頭部125及び打ち込みピン126を形成する棒状体の径φ)≦(第1固定板120の凹部123の深さD)でない場合は、第1固定板120上面の融着部121を、アンカー122が打ち込まれる凹部123の周辺を避けて構成するようにしても良い。このような寸法でアンカー122を形成することにより、アンカー122が第1固定板120の上面から突出したとしても、第1固定板120とその上面に敷設される遮水シート(後述する下層遮水シート112等)とが融着部121で融着しにくくなることを防止することができる。
【0051】
第1固定板120の寸法は、具体的には、
図8、
図7A及び
図7Bに示すように、凹部123の長手方向の長さLが100〜2000mm、凹部123の長手方向と直交する幅方向の長さWが30〜70mm、凹部123の深さDが2〜20mm、第1固定板120自体の深さTを3〜40mmとなるように形成する。
第一の変形例に示すアンカー122の寸法は、具体的には、
図8に示すように、打ち込みピン126の長さl
3が100〜500mm、頭部125の長手方向の長さl
4が30〜100mm、打ち込みピン126の径φが5〜20mmとなるように形成する。
第二の変形例に示すアンカー122の寸法は、具体的には、
図7A及び
図7Bに示すように、打ち込みピン126の長さl
1が100〜500mm、頭部125の長手方向の長さl
2が50〜300mm、打ち込みピン126の径φが5〜20mmとなるように形成する。
【0052】
尚、第1固定板120とアンカー122の構成は上記
図2または
図3A〜Cまたは
図7A、7Bの構成に限らず、例えば、平板状の第1固定板120と、棒状のアンカー122とが、溶接等により一体で、T字型またはコの字型の形状になるように形成されているものであっても良い。
【0053】
第1固定板120は、下層保護層111上に、一定の間隔で配置される。即ち、第1固定板120は、車両進入路104下の斜面101に対して、一定の間隔で配置される。ここで、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に対して配置された遮水構造に対して、本実施形態の第1固定板120と同様の構成の固定板は、設けられていないことが好ましい。または、車両進入路104下の斜面と比較して、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に対して、本実施形態の第1固定板120と同様の構成の固定板は、疎に設けられていることが好ましい。即ち、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に、本実施形態の第1固定板120と同様の構成の固定板が設けられる場合、車両進入路104下の斜面101に配置された第1固定板120の方が、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された固定板よりも、密に設けられていることが好ましい。これは、廃棄物最終処分場内の斜面の中でも、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路104下の斜面に対して、第1固定板120で遮水構造100をより強固に固定することにより、廃棄物最終処分場内で特に高負荷である車両進入路104下において、斜面101との滑りの発生を防止することができる。
【0054】
下層遮水シート112は、下層保護層111及び第1固定板120の上に敷設される。下層遮水シート112は、融着部121と融着が可能なゴムまたは樹脂が用いられ、例えば、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、TPE(サーモプラスチックエラストマー)等の素材で形成される。ここで、下層遮水シート112は、車両進入路104下以外の斜面に敷設される遮水シートと同材質であることが好ましい。これにより、車両進路104下以外の斜面に敷設されている遮水シートとの熱融着接合を容易に行うことができる。
【0055】
また、下層遮水シート112は、厚みが0.5〜3.0mm程度のものが用いられる。厚みが0.5mm未満であると、強度不足で下層遮水シート112自体の破損が起こりやすくなるので好ましくない。また、3.0mmを超えると、シート同士の接合部において段差が大きくなりすぎて外観を損ね、シート同士の接合部の浮きなどの問題が発生するので好ましくない。
【0056】
下層遮水シート112と第1固定板120の融着部121とは、電磁誘導で加熱されることにより、融着される。即ち、下層遮水シート112の上から電磁誘導加熱機を用いることにより、下層遮水シート112と、第1固定板120の融着部121とが、電磁誘導で加熱される。そして、第1固定板120の融着部121が溶融されることにより、下層遮水シート112と第1固定板120とが熱融着される。
【0057】
中間保護層113は、下層遮水シート112上に敷設される。中間保護層113は、下層遮水シート112と上層遮水シート114を保護するものである。中間保護層113の材質、形態、厚みは、上述の下層保護層111と同様である。
【0058】
中間保護層113は、第2固定板130を収容する複数の貫通穴133を備える。貫通穴133は、平板状の第2固定板130を収容できるように、第2固定板130の横断面とほぼ同じ形状で形成される。第2固定板130の材質、形態、厚みは、上述の第1固定板120と同様である。
【0059】
第2固定板130は、上面が融着部131で、下面が融着部132で覆われる。融着部131と融着部132の素材は、上述した第1固定板120の融着部121と同様の素材が用いられる。尚、第2固定板130と融着部131及び融着部132とは、第1固定板120と融着部121と同様に、融着や接着剤を介在するなどして固着される。
【0060】
融着部131及び融着部132は、第2固定板130の上面及び下面にのみ配置しているが、全面を覆っていても構わない。第2固定板130の全面を覆った場合は、第2固定板130から融着部131及び融着部132が剥離しにくくなる点で好ましい。
【0061】
第2固定板130は、車両進入路104下の斜面101に対して、一定の間隔で配置される。ここで、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に対して配置された遮水構造に対して、本実施形態の第2固定板130と同様の構成の固定板が設けられていないことが好ましい。または、車両進入路104下の斜面と比較して、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に対して、本実施形態の第2固定板130と同様の構成の固定板は、疎に設けられていることが好ましい。即ち、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に、本実施形態の第2固定板130と同様の構成の固定板が設けられる場合、車両進入路104下の斜面101に配置された第2固定板130の方が、車両進入路104下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された固定板よりも、密に設けられていることが好ましい。これは、廃棄物最終処分場内の斜面の中でも、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路104下の斜面に対して、第2固定板130で遮水構造100をより強固に固定することにより、廃棄物最終処分場内において、特に高負荷である車両進入路104下においても、積層部材110間の滑りの発生を防止することができる。
【0062】
上層遮水シート114は、中間保護層113及び第2固定板130の上に敷設される。上層遮水シート114の材質、厚みは、上述の下層遮水シート112と同様である。
【0063】
下層遮水シート112と第2固定板130の融着部132、及び、上層遮水シート114と第2固定板130の融着部131は、電磁誘導で加熱されることにより融着される。即ち、上層遮水シート114の上から電磁誘導加熱機を用いることにより、下層遮水シート112と第2固定板130の融着部132、及び、上層遮水シート114と第2固定板130の融着部131とが、電磁誘導で加熱される。そして、第2固定板130の融着部132及び融着部131が溶融されることにより、下層遮水シート112及び上層遮水シート114と第2固定板130とが熱融着される。
【0064】
上層保護層115は、上層遮水シート114の上に敷設される。上層保護層115は、上層遮水シート114を保護するものである。上層保護層115の材質、形態、厚みは、上述の下層保護層111と同様である。
【0065】
上層保護層115は、砕石層102で覆われる。砕石層102は、岩石を粉砕した砕石によって構成される。更に、砕石層102は、コンクリート層103で覆われる。コンクリート層103の表面が、車両進入路104となる。コンクリート層103は、コンクリートを敷設して構成される。
【0066】
ここで、コンクリートを敷設してコンクリート層103を構成する際に、硬化前のコンクリートが砕石層102に浸み込み、上層保護層115にまで達し、上層保護層115と接した状態で硬化することが好ましい。即ち、コンクリート層103を形成するコンクリートは、砕石層102を通過して上層保護層115と接した状態で硬化することが好ましい。これにより、上層保護層115と砕石層102及びコンクリート層103の間の滑りを防止することができる。
【0067】
次に、第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水工法について、
図1に基づいて説明する。
【0068】
まず、廃棄物最終処分場の上部から底部に向かって形成された坂路となる斜面101上に、所定幅で所定長さのシートとして持ち込まれた下層保護層111を敷設する。
【0069】
次に、下層保護層111の表面に、一定の間隔で、第1固定板120を配置し、アンカー122を打ち込んで、斜面101に固定する。
【0070】
次に、下層保護層111及び第1固定板120の上に、所定幅で所定長さのシートとして持ち込まれた下層遮水シート112を敷設する。
【0071】
そして、下層遮水シート112の上から、第1固定板120が配置された箇所を電磁誘導加熱機で加熱し、下層遮水シート112と第1固定板120とを融着する。
【0072】
次に、下層遮水シート112の上に、所定幅で所定長さのシートとして持ち込まれた中間保護層113を敷設する。
【0073】
次に、中間保護層113に一定間隔で貫通穴133を開け、貫通穴133内に下層遮水シート112の表面と接するように第2固定板130を配置する。尚、貫通孔133は、予め設けられていても良い。
【0074】
次に、中間保護層113及び第2固定板130の上に、所定幅で所定長さのシートとして持ち込まれた上層遮水シート114を敷設する。
【0075】
そして、上層遮水シート114の上から、第2固定板130が配置された場所を電磁誘導加熱機で加熱し、上層遮水シート114と下層遮水シート112とを第2固定板130を介して接合する。
【0076】
次に、上層遮水シート114の上に、所定幅で所定長さのシートとして持ち込まれた上層保護層115を敷設する。以上により、遮水構造100が形成される。
【0077】
最後に、上層保護層115の上を砕石で覆い、砕石層102を形成する。その後、砕石層102の上からコンクリートで舗装して、コンクリート層103を形成して、車両進入路104を形成する。ここで、コンクリート層103を敷設する際に、硬化前のコンクリートが砕石層102に浸み込んで、上層保護層115にまで達し、上層保護層115と接した状態で硬化することが好ましい。
【0078】
尚、下層遮水シート112及び上層遮水シート114を並べて複数枚敷設する場合は、隣接する下層遮水シート112及び上層遮水シート114の端部を重ね合わせ、熱融着により接合する。
【0079】
以上のように、第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100及び遮水工法によれば、第2固定板130の融着部131,132が、それぞれ、上層遮水シート114と下層遮水シート112とに融着して、第2固定板130を介して、上層遮水シート114と下層遮水シート112を強固に接合することができる。また、第1固定板120の融着部121が下層遮水シート112に融着して強固に接合する。以上により、多層に積層された積層部材110間の滑りが発生しない。そして、第1固定板120はアンカー121により下層保護層112を打ち抜いて斜面101に固定される。これにより、遮水構造100全体が斜面101に固定できる。また、2層の遮水シート112,114を用いており、遮水構造100が多層であるので、遮水性が良好である。更に、アンカー121は、下層保護層112を打ち抜いて斜面101に固定されており、上層遮水シート114及び下層遮水シート112に穴や切れ込みが無いため、遮水性が損なわれない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路104を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材110間の滑りや、斜面101との滑りの発生を防止する遮水構造100及び遮水工法を提供することができる。
【0080】
以上、第一の発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
例えば、上層遮水シート114にポリエチレンのような樹脂を用い、上層保護層115に不織布を用いる場合、上層保護層115は上層遮水シート114より摩擦係数が高く滑りにくくなっている。また、上層遮水シート114にゴムを用いる場合、上層遮水シート114表面の摩擦係数が高く滑りにくくなっている。しかしながら、上層保護層115または上層遮水シート114単体での滑り防止が不十分な場合、上層保護層115の下表面に粘着層を設ける、又は、上層保護層115の下表面若しくは上層遮水シート114の上表面に接着層を設けることが好ましい。これにより、上層保護層115と上層遮水シート114との間の滑りを防止することができる。ここで、粘着層は、アクリル系、ウレタン系などの熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー、自然加硫型・非加硫型のブチル系ゴム等の素材が用いられる。粘着層は、上記素材をシート状にし、上層保護層115に貼り合わせて形成する。また、粘着層は、下記に挙げる接着剤を上層保護層115表面に予め
塗布および硬化して粘着層としても良い。また、接着層は、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤は、アクリル系、ウレタン系などの熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー、ブチル系ゴム、クロロプレン系ゴム等の素材を溶剤に希釈した溶剤系接着材、または、水に分散させた水系エマルジョン接着材が用いられる。
【0082】
また、コンクリート層103を敷設する際に、硬化前のコンクリートが砕石層102に浸み込み、上層保護層115にまで達し、上層保護層115と接した状態で硬化することによる、上層保護層115と砕石層102との間の滑り防止が不十分な場合、上層保護層115の上表面に、粘着層または接着層が設けて良い。これにより、上層保護層115と砕石層102との間の滑りを防止することができる。尚、粘着層は、上層保護層115の下表面に用いられるものと同様である。また、接着層は、上層保護層115の下表面若しくは上層遮水シート114の上表面に用いられるものと同様である。
【0083】
また、第1固定板120が有するアンカー122の打ち込みピン126は、その先端が拡開するように構成されていても良い。これにより、第1固定板120を、斜面101により強固に固定することができる。
【0084】
更に、
図9及び
図10に示すように、1つの第1固定板120を複数のアンカー122で固定するものであっても良い。即ち、下層保護層111の表面に、一定の間隔で、第1固定板120を配置し、1つの第1固定板120に対して、1または複数のアンカー122を打ち込んで、斜面101に固定するものであって良い。第1固定板120を複数のアンカー122で固定することにより、斜面101に対して、第1固定板120をより強固に固定することができる。尚、
図9では、アンカーが第一の変形例に係るアンカー122であり、
図10では、アンカーが第二の変形例に係るアンカー122である。アンカー122の形状は
図9及び
図10の形状に限らないが、第1固定板120をより強固に固定できるため、
図9及び
図10のようにL字型やコの字型のアンカーであることが好ましい。
【0085】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造について、
図4に基づいて説明する。
【0086】
図4に示すように、第二の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造200は、下層保護層211と、遮水シート212と、上層保護層213と、固定板220と、から構成され、斜面201の全面を覆うように、車両進入路204下に設置される。尚、下層保護層211と、遮水シート212と、上層保護層213と、から積層部材210が構成される。
【0087】
下層保護層211は、斜面201上に敷設される。下層保護層211は、遮水シート212を保護するものである。下層保護層211の材質、形態、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の下層保護層111と同様である。
【0088】
下層保護層211上には、固定板220が複数設けられる。固定板220は、上面に設けられた融着部221と、下面から斜面201に至るアンカー222と、を有する。固定板220の形状、材質は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の第1固定板120と同様である。
【0089】
固定板220の上面は、融着部221で覆われる。融着部221として、後述する遮水シート212と融着が可能な熱可塑性素材が用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートなどのオレフィン樹脂やそれらを変成した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変成オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。融着部221は、シートまたはフィルム状の熱可塑性素材を積層被覆したものでもよく、また、液状になった熱可塑性素材をコーティングしたものでもよい。ホットメルト樹脂をコーティングするのが比較的簡便な形態である。
【0090】
固定板220と融着部221とは、融着や接着剤を介在するなどして固着される。固定板220と融着部221との固着は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の第1固定板120と融着部121と同様である。
【0091】
融着部221は、固定板220の上面にのみ配置しているが、全面を覆っていても構わない。固定板220の全面を覆った場合は、固定板220から融着部221が剥離しにくくなる点で好ましい。
【0092】
アンカー222は、一体となった頭部と、打ち込み部とで構成され、固定板220は、アンカー222の頭部が嵌合する凹部と、アンカー222の打ち込み部が挿入される貫通孔とで構成される。そして、アンカー222の打ち込み部が固定板220の貫通孔に挿入されて、アンカー222の頭部が固定板の凹部に嵌合して、アンカー222と固定板220とが固定される。これにより、固定板とアンカーとは、直交状態を維持するように固定されるため、土で構成される柔らかい斜面に対しても強固に固定することができる。固定板220とアンカー222の構成の具体例は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の固定板120とアンカー122の構成と同様である。
【0093】
固定板220は、下層保護層211上に、一定の間隔で配置される。即ち、固定板220は、車両進入路204下の斜面201に対して、一定の間隔で配置される。ここで、車両進入路204下以外の廃棄物最終処分場の斜面に対して配置された遮水構造に対して、本実施形態の固定板220と同様の構成の固定板は、設けられていないことが好ましい。または、車両進入路204下の斜面と比較して、車両進入路204下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に対して、本実施形態の固定板220と同様の構成の固定板は、疎に設けられていることが好ましい。即ち、車両進入路204下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に、本実施形態の固定板220と同様の構成の固定板が設けられる場合、車両進入路204下の斜面201に配置された固定板220の方が、車両進入路204下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された固定板よりも、密に設けられていることが好ましい。これは、廃棄物最終処分場内の斜面の中でも、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路204下の斜面に対して、固定板220で遮水構造200をより強固に固定することにより、廃棄物最終処分場内で特に高負荷である車両進入路204下において、斜面201との滑りの発生を防止することができる。
【0094】
下層保護層211及び固定板220の上には、遮水シート212が敷設される。遮水シート212の材質、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の下層遮水シート112と同様である。
【0095】
遮水シート212と固定板220の融着部221とは、電磁誘導で加熱されることにより、融着される。即ち、遮水シート212の上から電磁誘導加熱機を用いることにより、遮水シート212と、固定板220の融着部221とが、電磁誘導で加熱される。そして、固定板220の融着部221が溶融されることにより、遮水シート212と固定板220とが熱融着される。
【0096】
上層保護層213は、遮水シート212上に敷設される。上層保護層213は、遮水シート212を保護するものである。上層保護層213の材質、形態、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の下層保護層111と同様である。
【0097】
ここで、遮水シート212にポリエチレンのような樹脂を用い、上層保護層213に不織布を用いる場合、上層保護層213は遮水シート212より摩擦係数が高く滑りにくくなっている。また、遮水シート212にゴムを用いる場合、遮水シート212表面の摩擦係数が高く滑りにくくなっている。しかしながら、上層保護層213または遮水シート212単体での滑り防止が不十分な場合、上層保護層213の下表面に粘着層を設ける、又は、上層保護層213の下表面若しくは遮水シート212の上表面に接着層を設けることが好ましい。これにより、上層保護層213と遮水シート212との間の滑りを防止することができる。ここで、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。
【0098】
上層保護層213は、砕石層202で覆われる。砕石層202は、岩石を粉砕した砕石によって構成される。更に、砕石層202は、コンクリート層203で覆われる。コンクリート層203の表面が、車両進入路204となる。コンクリート層203は、コンクリートを敷設して構成される。
【0099】
ここで、コンクリートを敷設してコンクリート層203を構成する際に、硬化前のコンクリートが砕石層202に浸み込み、上層保護層213にまで達し、上層保護層213と接した状態で硬化することが好ましい。即ち、コンクリート層203を形成するコンクリートは、砕石層202を通過して上層保護層213と接した状態で硬化することが好ましい。これにより、上層保護層213と砕石層202及びコンクリート層203の間の滑りを防止することができる。
【0100】
以上のように、第二の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造200によれば、固定板220の下面に設けられたアンカー222を、下層保護層211を打ち抜いて斜面201に打ち込むことにより、遮水構造200が斜面201に対して強固に固定される。そして、固定板220が融着部221で遮水シート212と融着して、遮水シート212と固定板220が強固に接合されるため、遮水シート212が地面に固定でき、遮水シート212及び下層保護層211と斜面201との滑りを防止することができる。また、アンカー222は、下層保護層211を打ち抜いて斜面201に固定されており、遮水シート212に穴や切れ込みが無いため、遮水性が損なわれない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路204を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材210間の滑りや、斜面201との滑りの発生を防止することができる。
【0101】
以上、第二の発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0102】
例えば、コンクリート層203を敷設する際に、硬化前のコンクリートが砕石層202に浸み込み、上層保護層213にまで達し、上層保護層213と接した状態で硬化することによる、上層保護層213と砕石層202との間の滑り防止が不十分な場合、上層保護層213の上表面に、粘着層または接着層が設けて良い。これにより、上層保護層213と砕石層202との間の滑りを防止することができる。尚、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。
【0103】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造について、
図5に基づいて説明する。
【0104】
図5に示すように、第三の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造300は、下層保護層311と、下層遮水シート312と、中間保護層313と、上層遮水シート314と、上層保護層315と、固定板330と、から構成され、斜面301の全面を覆うように、車両進入路304下に設置される。尚、下層保護層311と、下層遮水シート312と、中間保護層313と、上層遮水シート314と、上層保護層315と、から積層部材310が構成される。
【0105】
下層保護層311は、斜面301上に敷設される。下層保護層311は、遮水シート312を保護するものである。下層保護層311の材質、形態、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の下層保護層111と同様である。
【0106】
ここで、下層保護層311に不織布を用いる場合、下層保護層311表面の摩擦係数が高く滑りにくくなっている。しかしながら、下層保護層311単体での斜面301との滑り防止が不十分な場合、下層保護層311の下表面に接着層または粘着層を設けることが好ましい。これにより、下層保護層311と斜面301との間の滑りを防止することができる。ここで、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。
【0107】
下層遮水シート312は、下層保護層311の上に敷設される。下層遮水シート312の材質、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の下層遮水シート112と同様である。
【0108】
ここで、下層遮水シート312にポリエチレンのような樹脂を用い、下層保護層311に不織布を用いる場合、下層保護層311は下層遮水シート312より摩擦係数が高く滑りにくくなっている。また、下層遮水シート312にゴムを用いる場合、下層遮水シート313表面の摩擦係数が高く滑りにくくなっている。しかしながら、下層保護層311または下層遮水シート312単体での滑り防止が不十分な場合、下層保護層311の上表面に粘着層を設ける、又は、下層保護層311の上表面若しくは下層遮水シート312の下表面に接着層を設けることが好ましい。これにより、下層保護層311と下層遮水シート312との間の滑りを防止することができる。ここで、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。
【0109】
中間保護層313は、下層遮水シート312上に敷設される。中間保護層313は、下層遮水シート312と上層遮水シート314を保護するものである。中間保護層313の材質、形態、厚みは、上述の下層保護層311と同様である。
【0110】
中間保護層313は、固定板330を収容する複数の貫通穴333を備える。貫通穴333は、平板状の固定板330を収容できるように、固定板330の横断面とほぼ同じ形状で形成される。固定板330の材質、形態、厚みは、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100の第1固定板120と同様である。
【0111】
固定板330は、上面が融着部331で、下面が融着部332で覆われる。融着部331と融着部332の素材は、上述した第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の第1固定板120の融着部121と同様の素材が用いられる。尚、固定板330と融着部331及び融着部332は、上述した第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の第1固定板120と融着部121と同様に、融着や接着剤を介在するなどして固着される。
【0112】
融着部331及び融着部332は、固定板330の上面及び下面にのみ配置しているが、全面を覆っていても構わない。固定板330の全面を覆った場合は、固定板330から融着部331及び融着部332が剥離しにくくなる点で好ましい。
【0113】
固定板330は、車両進入路304下の斜面301に対して、一定の間隔で配置される。ここで、車両進入路304下以外の廃棄物最終処分場の斜面に対して配置された遮水構造に対して、本実施形態の固定板330と同様の構成の固定板が設けられていないことが好ましい。または、車両進入路304下の斜面と比較して、車両進入路304下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に対して、本実施形態の固定板330と同様の構成の固定板は、疎に設けられていることが好ましい。即ち、車両進入路304下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された遮水構造に、本実施形態の固定板330と同様の構成の固定板が設けられる場合、車両進入路304下の斜面301に配置された固定板330の方が、車両進入路304下以外の廃棄物最終処分場の斜面に配置された固定板よりも、密に設けられていることが好ましい。これは、廃棄物最終処分場内の斜面の中でも、廃棄物を積載した車両が走行する特に高負荷な車両進入路304下の斜面に対して、固定板330で遮水構造300をより強固に固定することにより、廃棄物最終処分場内で特に高負荷である車両進入路下において、積層部材310間の滑りの発生を防止することができる。
【0114】
上層遮水シート314は、中間保護層313及び固定板330の上に敷設される。上層遮水シート314の材質、厚みは、上述の下層遮水シート312と同様である。
【0115】
下層遮水シート312と固定板330の融着部332、及び、上層遮水シート314と固定板330の融着部331は、電磁誘導で加熱されることにより融着される。即ち、上層遮水シート314の上から電磁誘導加熱機を用いることにより、下層遮水シート312と固定板330の融着部332、及び、上層遮水シート314と固定板330の融着部331とが、電磁誘導で加熱される。そして、固定板330の融着部332及び融着部331が溶融されることにより、下層遮水シート312及び上層遮水シート314と固定板330とが熱融着される。
【0116】
上層保護層315は、上層遮水シート314の上に敷設される。上層保護層315は、上層遮水シート314を保護するものである。上層保護層315の材質、形態、厚みは、上述の下層保護層311と同様である。
【0117】
ここで、上層遮水シート314にポリエチレンのような樹脂を用い、上層保護層315に不織布を用いる場合、上層保護層315は上層遮水シート314より摩擦係数が高く滑りにくくなっている。また、上層遮水シート314にゴムを用いる場合、上層遮水シート314表面の摩擦係数が高く滑りにくくなっている。しかしながら、上層保護層315または上層遮水シート314単体での滑り防止が不十分な場合、上層保護層315の下表面に粘着層を設ける、又は、上層保護層315の下表面若しくは上層遮水シート314の上表面に接着層を設けることが好ましい。これにより、上層保護層315と上層遮水シート314との間の滑りを防止することができる。ここで、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。
【0118】
上層保護層315は、砕石層302で覆われる。砕石層302は、岩石を粉砕した砕石によって構成される。更に、砕石層302は、コンクリート層303で覆われる。コンクリート層303の表面が、車両進入路304となる。コンクリート層303は、コンクリートを敷設して構成される。
【0119】
ここで、コンクリートを敷設してコンクリート層303を構成する際に、硬化前のコンクリートが砕石層302に浸み込み、上層保護層315にまで達し、上層保護層315と接した状態で硬化することが好ましい。即ち、コンクリート層303を形成するコンクリートは、砕石層302を通過して上層保護層315と接した状態で硬化することが好ましい。これにより、上層保護層315と砕石層302及びコンクリート層303の間の滑りを防止することができる。
【0120】
以上のように、第三の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造300によれば、固定板330の融着部331,332が上層遮水シート314と下層遮水シート312とに融着して、上層遮水シート314と下層遮水シート312間を強固に接合することでき、多層に積層された積層部材310間の滑りが発生しない。また、2層の遮水シート312,314を用いており、遮水構造が多層であるので、遮水性が良好である。更に、遮水シート312,314を切開することなく、上下遮水シート312,314を接合することができるので遮水性が低下しない。以上により、廃棄物を積載した車両が車両進入路304を走行しても、遮水性を損なうことなく、多層に積層された積層部材310間の滑りや、斜面301との滑りの発生を防止することができる。
【0121】
以上、第三の発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0122】
例えば、コンクリート層303を敷設する際に、硬化前のコンクリートが砕石層302に浸み込み、上層保護層315にまで達し、上層保護層315と接した状態で硬化することによる、上層保護層315と砕石層302との間の滑り防止が不十分な場合、上層保護層315の上表面に、粘着層または接着層が設けて良い。これにより、上層保護層315と砕石層302との間の滑りを防止することができる。尚、粘着層及び接着剤は、上述の第一の実施形態に係る廃棄物最終処分場内の車両進入路下の遮水構造100に用いられる素材と同様である。