特許第6402110号(P6402110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402110アミノペプチダーゼNおよびネプリライシンの混合阻害剤
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  • 特許6402110-アミノペプチダーゼNおよびネプリライシンの混合阻害剤 図000093
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402110
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】アミノペプチダーゼNおよびネプリライシンの混合阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 323/56 20060101AFI20181001BHJP
   C07C 323/61 20060101ALI20181001BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20181001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   C07C323/56CSP
   C07C323/61
   A61K31/27
   A61P25/04
   A61P25/22
   A61P25/24
   A61P29/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】17
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2015-538432(P2015-538432)
(86)(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公表番号】特表2016-503393(P2016-503393A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013072203
(87)【国際公開番号】WO2014064166
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】1260097
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508125896
【氏名又は名称】ファルマリーズ
【氏名又は名称原語表記】PHARMALEADS
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ロケス ベルナルド ピエール
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ−ザルスキ マリー−クロード
(72)【発明者】
【氏名】ポラス ヘルヴェ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表平5−502016(JP,A)
【文献】 特表2009−513600(JP,A)
【文献】 特表2011−522797(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0012153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 323/00−323/67
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)の化合物:
(1) R-NH-CH(R1)-CH2-S-S-C(R2)(R3)-COCH2-CH(R4)-COR5
式中、Rは以下の通りである:
a) Rは以下であり:
- 水素;
- R'C(O)OCH(R'')OC(O)-、ここでR'およびR''は独立して、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である;
b) R1は、-OR'''、-SOR'''、または-SR'''基で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、ここでR'''は、1個または複数のハロゲン原子で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子のアルキル基であり;
c) R2は、置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または 以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・フェニル基;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;かつ
R3は水素であるか; あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となり:
・飽和5員環式基;
・芳香環に縮合する飽和5員環式基;
・飽和6員環式基;
d) R4は、以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・以下で置換されたかまたは置換されていないフェニル基:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- -OR6基、ここでR6は、水素、1〜4個の炭素の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基である;
- フェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
e) R5は、ヒドロキシル基である。
【請求項2】
R2が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または
・フェニル基;
・4位がフッ素もしくは臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位がフェニル基で置換されたフェニル基
で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつメチル基またはエチル基であるか、あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員または6員環式基;
・芳香環に縮合した飽和5員環式基;
・飽和6員環式基
となる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R4が、
・フェニル基; または
・以下:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基
で置換されたフェニル基
で置換された、1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R5がヒドロキシルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
a) R1が-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SOCH3、-CH2CH2CH2CH3より選択され;
b) R2が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または
・フェニル基;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員もしくは6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、飽和5員もしくは6員環式基もしくは複素環式基
で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員環式基;
・芳香環に縮合した飽和5員環式基;
・飽和6員環式基; または
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含む、飽和6員複素環式基
となり、
c) R4が、
・フェニル基; または
・以下:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基
で置換されたフェニル基
で置換された、1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、
d) R5がヒドロキシル基である、
請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
R2が、
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基
で置換された、イソブチル基またはメチル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつメチル基またはエチル基であるか、あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員もしくは6員環状基; または
・芳香環に縮合した飽和5員環状基
となる、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
R4が、
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基
で1個の炭素が置換されたアルキル基である、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; または
- R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph;
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- -C(R2)(R3)- = シクロペンチリデン; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- -C(R2)(R3)- = シクロヘキシリデン; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- -C(R2)(R3)- = インダニリデン; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- -C(R2)(R3)- = シクロヘキシリデン; R4 = CH2(4-Ph-Ph); または
- -C(R2)(R3)- = インダニリデン; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
である、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
R1が-CH2CH2SCH3、CH2CH2SOCH3、-CH2CH2CH2CH3より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
- R1 = CH2CH2SCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SOCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3)- = シクロヘキシリデン; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SCH3; C(R2)(R3) = シクロヘキシリデン; R4 = CH2(4-Ph-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3) = シクロヘキシリデン; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
である、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
薬物としての使用のための、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬としての使用のための、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項記載の少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
モルヒネおよびその誘導体、内在性カンナビノイドおよび内在性カンナビノイド代謝阻害剤、GABA誘導体、デュロキセチン、またはメサドンより選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
GABA誘導体が、ガバペンチンまたはプレガバリンである、請求項14記載の薬学的組成物。
【請求項16】
非経口投与、局所投与、経口投与、または経鼻投与用の、請求項13〜15のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項17】
鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬としての使用のための、請求項13〜16のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、エンケファリンの分解に関与する酵素であるアミノペプチダーゼNおよびネプリライシンの混合阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エンケファリン、すなわちTyr-Gly-Gly-Phe-Met(Leu)は、オピオイド受容体μおよびδの内因性リガンドであり、中枢神経系および末梢神経系における侵害受容インパルスの制御に関与している。しかし、げっ歯類に脳室内投与されるこれらのペプチドは、ヒトを含むインビボで非常に急速に不活性化されることから非常に短い鎮痛応答しか誘導しないが(Mosnaim et al. (2008) Neurochem. Res., 33, 81-86(非特許文献1))、オピオイド受容体に対する親和性はモルヒネのそれと同様である。この不活性化は2つのメタロペプチダーゼが原因である。すなわち、アミノペプチダーゼN(APN、EC 3.4.11.2)およびネプリライシン(NEP、EC 3.4.24.11)は、エンケファリンのTyr1-Gly2結合およびGly3-Phe4結合をそれぞれ開裂させることで不活性代謝産物を生じさせる(Roques et al. (1993) Pharmacol. Rev., 45, 87-146(非特許文献2))。
【0003】
内因性エンケファリンを酵素的分解から完全に保護することでエンケファリンの薬理活性、特に鎮痛活性および抗うつ活性を示す、これら2つの酵素の混合阻害剤が知られている(Noble et al. (2007) Expert. Opin. Ther. Targets, 11, 145-149(非特許文献3))。先行技術に開示されているこれらの阻害剤としてはヒドロキサメート(FR2518088およびFR2605004(特許文献1および2))、アミノホスフィン化合物(FR2755135、FR2777780、FR0855015(特許文献3〜5))、チオール官能基を有するアミノ酸誘導体(FR2651229、FR0510862、FR0604030、FR0853092(特許文献6〜9))、内因性ペプチド(Wisner et al. PNAS (2006), 103, 17979-17984(非特許文献4))が挙げられる。これらの様々な分子が有する物理化学特性(溶解度)および薬力学特性(バイオアベイラビリティー)によって、該分子には異なる種類の疼痛、特に、過剰な侵害受容を伴う急性痛または慢性痛(Noble et al. (2007) Expert. Opin. Ther. Targets, 11, 145-149(非特許文献3))、および神経障害性疼痛(Menendez et al. (2008) Eur J Pharmacol, 596, 50-55(非特許文献5); Thibault et al. (2008) Eur. J. Pharmacol., 600, 71-77(非特許文献6))に対する静脈内または経口での薬理有効性が与えられる。
【0004】
しかし、これまでに開示されたどの混合阻害剤も、鋭痛(術後痛、がん疼痛、外傷痛、歯痛など)の場合において、臨床的に好適な媒体中での長期灌流における使用を可能にする低用量での静脈内投与後に、迅速で強力かつ作用期間が十分に長い鎮痛応答を得ることを可能にしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】FR2518088
【特許文献2】FR2605004
【特許文献3】FR2755135
【特許文献4】FR2777780
【特許文献5】FR0855015
【特許文献6】FR2651229
【特許文献7】FR0510862
【特許文献8】FR0604030
【特許文献9】FR0853092
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mosnaim et al. (2008) Neurochem. Res., 33, 81-86
【非特許文献2】Roques et al. (1993) Pharmacol. Rev., 45, 87-146
【非特許文献3】Noble et al. (2007) Expert. Opin. Ther. Targets, 11, 145-149
【非特許文献4】Wisner et al. PNAS (2006), 103, 17979-17984
【非特許文献5】Menendez et al. (2008) Eur J Pharmacol, 596, 50-55
【非特許文献6】Thibault et al. (2008) Eur. J. Pharmacol., 600, 71-77
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、中枢神経系に関する主な欠点(習慣性、身体依存および精神依存、呼吸抑制)ならびに末梢神経系に関する主な欠点(便秘)なしに、中枢神経系に対するモルヒネ物質の有益な特性、特に鎮痛、挙動効果(疼痛の情動的要素の減少、および抗うつ応答)を示す化合物を提供することにある。さらに、該化合物が上述の欠点なしに有益な末梢効果(抗炎症および抗神経障害)を示すことが有利であろう。
【0008】
発明の簡単な説明
本発明は、下記一般式(I)を有する化合物に関する:
(1) R-NH-CH(R1)-CH2-S-S-C(R2)(R3)-COCH2-CH(R4)-COR5
式中、R、R1、R2、R3、R4およびR5は請求項1に定義の通りである。
【0009】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの化合物を含有する薬学的組成物に関する。
【0010】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの化合物と、モルヒネおよびその誘導体、内在性カンナビノイドおよび内在性カンナビノイド代謝阻害剤、ガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGABA誘導体、デュロキセチンまたはメサドンより選択される少なくとも1つの化合物とを含有する、薬学的組成物に関する。
【0011】
最後に、本発明は、鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬または抗炎症薬として使用される、本発明の化合物またはそれを含有する薬学的組成物に関する。
[本発明1001]
一般式(1)の化合物:
(1) R-NH-CH(R1)-CH2-S-S-C(R2)(R3)-COCH2-CH(R4)-COR5
式中、Rは以下の通りである:
a) Rは以下であり:
- 水素;
- アルコキシアルキルカルボニル基R'C(O)OCH(R'')OC(O)-、ここでR'およびR''は独立して、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である;
b) R1は、-OR'''、-SOR'''、または-SR'''基で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、ここでR'''は、1個または複数のハロゲン原子で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子のアルキル基であり;
c) R2は以下であり:
- 以下で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・-OR6、-SR6、または-SOR6基、ここでR6は水素、1〜4個の炭素の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基である;
・-CO2R7基、ここでR7は水素、2〜4個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、またはベンジル基である;
・-NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む飽和5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる; あるいは
・カルボキサミド基-CONR8R9、ここで-NR8R9は上記定義の通りである;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで、R6が上記と同じ定義を有するアルコキシ基-OR6で、またはフェニル基で置換されたかまたは置換されていないフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;
- 酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物; あるいは
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンでまたはR5が上記と同じ定義を有する-OR5基で置換されたかまたは置換されていないフェニル基;かつ
R3は水素であるか; あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となり:
・芳香環に縮合するかまたは縮合せず、好ましくはインダニル環を生じさせる、飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物;
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含有している飽和6員複素環式化合物であって、該ヘテロ原子が窒素である場合、該窒素が、1〜6個の炭素原子のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはアルカノイル基で、置換されたかまたは置換されていない、飽和6員複素環式化合物;
d) R4は以下であり:
- 以下で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・-OR6、-SR6、または-SOR6基、ここでR6は水素、1〜4個の炭素の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基である;
・-CO2R7基、ここでR7は水素、2〜4個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、ベンジル基である;
・-NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む飽和5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる;
・カルボキサミド基-CONR8R9、ここで-NR8R9は上記定義の通りである;
・以下で置換されたかまたは置換されていないフェニル基:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- -OR6基、ここでR6は上記と同じ定義を有する;
- フェニル基もしくはチエニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環; あるいは
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;
- 以下で置換されたかまたは置換されていないフェニル基:
・1個もしくは複数のハロゲン、特にフッ素もしくは臭素;
・-OR6基、ここでR6は上記と同じ定義を有する;
・フェニル;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員もしくは6員複素環;
e) R5は以下である:
- ヒドロキシル基;
- -NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる;
- アルコキシ基-OR10、ここでR10は以下である:
・2〜6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基;
・ベンジル基;
・-CHR11-COOR12、-CHR11-O-C(=O)R12、-CHR11、-または-C(=O)-OR12基、ここでR11およびR12は独立して1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である。
[本発明1002]
R2が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または
・フェニル基;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員もしくは6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、飽和5員もしくは6員環式化合物もしくは複素環式化合物
で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか、あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員環式化合物;
・芳香環に縮合した飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物; または
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含む、飽和6員複素環式化合物
となる、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
R4が、
・フェニル基; または
・以下:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基
で置換されたフェニル基
で置換された、1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基である、本発明1001または1002の化合物。
[本発明1004]
R5がヒドロキシルである、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1005]
a) R1が-CH2CH2SCH3、-CH2CH2SOCH3、-CH2CH2CH2CH3より選択され;
b) R2が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または
・フェニル基;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員もしくは6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む、飽和5員もしくは6員環式化合物もしくは複素環式化合物
で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員環式化合物;
・芳香環に縮合した飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物; または
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含む、飽和6員複素環式化合物
となり、
c) R4が、
・フェニル基; または
・以下:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基
で置換されたフェニル基
で置換された、1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、
d) R5がヒドロキシル基である、
前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1006]
R2が、
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基
で置換された、イソブチル基またはメチル基であり、かつ
R3が水素であるか、あるいは、
R2およびR3が同一であり、かつメチル基またはエチル基であるか、あるいは、
-C(R2)(R3)-が一緒になって
・飽和5員もしくは6員環状基; または
・芳香環に縮合した飽和5員環状基
となる、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1007]
R4が、
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基
で1個の炭素が置換されたアルキル基である、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1008]
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; または
- R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph;
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- -C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Ph-Ph); または
- C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
である、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1009]
R1が-CH2CH2SCH3、CH2CH2SOCH3、-CH2CH2CH2CH3より選択される、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1010]
- R1 = CH2CH2SCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SOCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3)- = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SCH3; C(R2)(R3) = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Ph-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3) = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
である、本発明1001〜1007のいずれかの化合物。
[本発明1011]
薬物としての使用のための、前記本発明のいずれかの化合物。
[本発明1012]
鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬としての使用のための、本発明1011の化合物。
[本発明1013]
本発明1001〜1010のいずれかの少なくとも1つの化合物と、薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[本発明1014]
鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬としての使用のための、本発明1013の薬学的組成物。
[本発明1015]
モルヒネおよびその誘導体、内在性カンナビノイドおよび内在性カンナビノイド代謝阻害剤、ガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGABA誘導体、デュロキセチン、またはメサドンより選択される少なくとも1つの化合物を含む、本発明1013または1014の薬学的組成物。
[本発明1016]
非経口投与、局所投与、経口投与、または経鼻投与用の、本発明1013〜1015のいずれかの薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の化合物の静脈内注射(10mg/kg)後に誘導された抗侵害受容性応答 - マウスを用いるホットプレート試験。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
アルキル基とは、直鎖状または分岐状のC1、C2、C3、C4、C5、またはC6炭化水素鎖、特にメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、またはt-ブチル基を意味する。
【0014】
少なくとも1個の硫黄原子、酸素原子、または窒素原子を含む芳香族または飽和5原子または6原子複素環の例としては以下の基が挙げられる: チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、チアジアゾリル、フリル、ピラニル、イソオキサゾリル、モルホリニル、フラザニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、およびオキサゾリニル。
【0015】
本明細書において明示される「ハロゲン」という用語は、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素を意味する。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の化合物は、ジスルフィド架橋を経由したAPN阻害剤とNEP阻害剤との会合であって、これら2つの酵素の活性をナノモル濃度で阻害可能な会合に対応している。このジスルフィド架橋はインビボで開裂してこの2つの阻害剤を放出し、これにより該阻害剤はそれぞれの標的(NEPまたはAPN)と相互作用する(Fournie-Zaluski et al. (1992) J. Med. Chem., 35, 2473-2481)。
【0017】
これまでに開示されたNEP阻害剤は一般にペプチドモチーフを有しており、したがって1個もしくは複数のアミド結合を有する。例えば、少なくとも1個のアミド結合を含有しかつジスルフィドモチーフをさらに含有するペプチド模倣誘導体がRoquesらの論文(Nature Rev. Drug Discov. (2012) 11, 292-311)、Nobleらの1992年の論文(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 261 (1992), 1, 181-190)、Nobleらの1997年の論文(Pain 73 (97), 383-391)、ならびに特許文献WO 2009/138436およびFR 2892413に開示された。さらに、それらは一般に500Daを超える分子量(MW)を有する。これらの特徴は例えば腸関門などの生理的関門の横断にはあまり好ましくなく、結果としてこれらの生成物はかなり低い経口バイオアベイラビリティーを示す。これは血液脳関門の横断にも当てはまる。
【0018】
本発明において有用であってこれらの欠点を克服することを可能にするNEP阻害剤の構造は、i) 単座または二座でNEPの亜鉛と相互作用可能な新規チオケトンモチーフ、ii) ペプチドモチーフの非存在(したがってアミド結合の欠如)、iii) NEPに対するナノモル親和性を実現可能にする最小限の基を含む骨格、iv) 低分子量を特徴とする。
【0019】
本発明の化合物は下記一般式(1)を有する:
(1) R-NH-CH(R1)-CH2-S-S-C(R2)(R3)-COCH2-CH(R4)-COR5
式中、Rは以下の通りである:
a) Rは以下であり:
- 水素;
- アルコキシアルキルカルボニル基R'C(O)OCH(R'')OC(O)-、ここでR'およびR''は独立して、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である;
b) R1は、-OR'''、-SOR'''、または-SR'''基で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、ここでR'''は、1個または複数のハロゲン原子で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子のアルキル基であり;
c) R2は以下であり:
- 以下で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・-OR6、-SR6、または-SOR6基、ここでR6は水素、1〜4個の炭素の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基である;
・-CO2R7基、ここでR7は水素、2〜4個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、またはベンジル基である;
・-NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む飽和5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる; あるいは
・カルボキサミド基-CONR8R9、ここで-NR8R9は上記定義の通りである;
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで、R6が上記と同じ定義を有するアルコキシ基-OR6で、またはフェニル基で置換されたかまたは置換されていないフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;
- 酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物; あるいは
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで、またはR5が上記と同じ定義を有する-OR5基で置換されたかまたは置換されていないフェニル基;かつ
R3は水素であるか; あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となり:
・芳香環に縮合するかまたは縮合しない(例えばインダニル環を生じさせる)、飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物;
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含有しておいる飽和6員複素環式化合物であって、該ヘテロ原子が窒素である場合、該窒素が1〜6個の炭素原子のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはアルカノイル基で置換されたかまたは置換されていない、飽和6員複素環式化合物;
d) R4は以下であり:
- 以下で置換されたかまたは置換されていない1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基:
・-OR6、-SR6、または-SOR6基、ここでR6は水素、1〜4個の炭素の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基である;
・-CO2R7基、ここでR7は水素、2〜4個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、ベンジル基である;
・-NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む飽和5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる;
・カルボキサミド基-CONR8R9、ここで-NR8R9は上記定義の通りである;
・以下で置換されたかまたは置換されていないフェニル基:
- フッ素または臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- -OR6基、ここでR6は上記と同じ定義を有する;
- フェニル基またはチエニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環; あるいは
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;
- 以下で置換されたかまたは置換されていないフェニル基:
・1個または複数のハロゲン、特にフッ素または臭素;
・-OR6基、ここでR6は上記と同じ定義を有する;
・フェニル;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員もまたは6員複素環;
e) R5は以下である:
- ヒドロキシル基;
- -NR8R9基、ここでR8およびR9は独立して水素、1〜4個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、フェニル基またはベンジル基であるか、あるいは、-NR8R9は一緒になって、NまたはOより選択される1個または複数のヘテロ原子を含む5員または6員複素環となり、好ましくはモルホリンまたはピペリジンとなる;
- アルコキシ基-OR10、ここでR10は以下である:
・2〜6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基;
・ベンジル基;
・-CHR11-COOR12、-CHR11-O-C(=O)R12、-CHR11-、または-C(=O)-OR12基、ここでR11およびR12は独立して1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である。
【0020】
本発明の化合物は、薬理学的に許容される付加塩、例えば、アミン官能基が遊離している場合は無機酸もしくは有機酸との、または、酸官能基が遊離している場合は無機塩基もしくは有機塩基との、式(1)の化合物の付加塩の形態でありうる。
【0021】
一般に、様々な投与経路によるバイオアベイラビリティーを促進するために、R基およびR5基によるN末端部分および/またはC末端部分の保護が行われる。
【0022】
本発明の特定の態様では、本化合物は一般式(1)を有し、式中、R2は、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり:
・フェニル基;
・フッ素または臭素より選択される1個または複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;かつ
R3は水素であるか; あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となり:
・飽和5員環式化合物;
・芳香環に縮合した飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物; または
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含む、飽和6員複素環式化合物;
R、R1、R4、R5は上記または下記の通りである。
【0023】
より具体的には、R2は、以下で置換されたイソブチル基またはメチル基を表すことができ:
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基;かつ
R3は水素であるか、あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつメチル基またはエチル基であるか、あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となる:
・飽和5員もしくは6員環状基; または
・芳香環に縮合した飽和5員環状基。
【0024】
本発明の特定の態様では、本化合物は下記一般式(1)を有し、式中、R4は、以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり:
・フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲンで、R6が上記と同じ定義を有するアルコキシ基-OR6で、またはフェニル基で置換されたかまたは置換されていないフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
・飽和5員または6員環式化合物;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員複素環環式化合物;
R、R1、R2、R3、R5は上記または下記の通りである。
【0025】
有利には、R4は、以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり:
・フェニル基; または
・以下で置換されたフェニル基:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基;
R、R1、R2、R3、R5は上記または下記の通りである。
【0026】
より具体的には、R4は、以下で置換された1個の炭素を有するアルキル基を表すことができる:
・フェニル基;
・4位においてフッ素または臭素より選択されるハロゲンで置換されたフェニル基;
・4位においてフェニル基で置換されたフェニル基。
【0027】
本発明の特定の態様では、本化合物は一般式(1)を有し、式中、R5は以下であり:
- ヒドロキシル基; または
- アルコキシ基-OR10、ここでR10は以下である:
・2〜6個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;
・ベンジル基;
-CHR11-COOR12、-CHR11-O-C(=O)R12、-CHR11-、-または-C(=O)-OR12基、ここでR11およびR12は独立して1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基である;
R、R1、R2、R3、R4は上記または下記の通りである。
【0028】
有利には、R5はヒドロキシル基であり、R、R1、R2、R3、R4は上記または下記の通りである。
【0029】
好ましい化合物は下記一般式(1)を有し、式中、
a) R1は-CH2CH2SCH3、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2SOCH3より選択され;
b) R2は、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり:
・フェニル基;
・フッ素または臭素より選択される1個または複数のハロゲンで置換されたフェニル基;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、芳香族5員または6員複素環;
・酸素、窒素、および硫黄より選択される1個または2個のヘテロ原子を含む、飽和5員または6員環式化合物または複素環式化合物;かつ
R3は水素であるか; あるいは、
R2およびR3は同一であり、かつ1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であるか; あるいは、
-C(R2)(R3)-は一緒になって以下となり:
・飽和5員環式化合物;
・芳香環に縮合した飽和5員環式化合物;
・飽和6員環式化合物; または
・4位において酸素、窒素、および硫黄より選択される1個のヘテロ原子を含む、飽和6員複素環式化合物;
c) R4は、以下で置換された1〜6個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基であり:
・フェニル基; または
・以下で置換されたフェニル基:
- フッ素もしくは臭素より選択される1個もしくは複数のハロゲン;
- フェニル基もしくはチエニル基;
d) R5はヒドロキシル基である。
【0030】
好ましい化合物は式(1)を有し、式中、
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; または
- R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph; または
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Ph-Ph); または
- C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Ph-Ph)である。
【0031】
特定の態様では、本発明の化合物は式(1)を有し、式中、R1は-CH2CH2SCH3、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2SOCH3より選択される。
【0032】
好ましい態様では、本発明の化合物は式(1)を有し、式中、R1は-CH2CH2SCH3、-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2SOCH3より選択され、
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; または
- R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph;
- R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Ph-Ph); または
- C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph); または
- C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Ph-Ph)である。
【0033】
他の態様では、本発明の化合物は式(1)を有し、式中、
- R1 = CH2CH2SCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3= H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3= H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SOCH3; R2 = CH2CH(CH3)2; R3= H; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2CH2CH3; -C(R2R3)- = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Br-Ph);
- R1 = CH2CH2SCH3; -C(R2)(R3)- = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Ph-Ph); または
- R1 = CH2CH2CH2CH3; -C(R2)(R3)- = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Ph-Ph)であり;
RおよびR5は上記の通りである。
【0034】
本発明の特定の態様では、本発明の化合物は式(1)を有し、式中、Rは水素であり、あるいは、RはR'C(O)OCH(R'')OC(O)-基であり、R'はイソプロピル基であり、R''はメチル基であり、R1、R2、R3、R4およびR5は上記の通りである。
【0035】
本発明の化合物は薬物として使用することができる。より具体的には、本化合物は、有効成分としての少なくとも1つの上記の化合物と薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤との組み合わせを含む薬学的組成物を調製するために使用することができる。前記賦形剤は、所望の剤形および投与様式に従って、当業者に公知である通常の賦形剤より選択される。
【0036】
本発明の化合物は、エンケファリンの分解の原因である酵素活性を同時に阻害することから、それらの細胞外内因性率を増大させ、これが理由で、有効な鎮痛薬および/または抗うつ薬であると判明する。本化合物の鎮痛効果は様々な急性痛または慢性痛、例えば神経因性疼痛、神経障害性疼痛、神経炎症性疼痛もしくは侵害受容性疼痛、または線維筋痛症などの全身痛に対して現れる。疼痛の例としては器質的疼痛(例えば筋痛、血管虚血)、幻肢痛、帯状疱疹が引き起こす疼痛、がんそれ自体または処置の結果に関連するがん疼痛、炎症性疾患に関連する疼痛(例えば関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、痛風)、I型糖尿病に関連する疼痛、片頭痛に関連する疼痛、顔面神経痛、頭痛、末梢神経損傷に関連する疼痛(例えば術後痛)、背部神経痛、歯痛、熱傷に関連する疼痛、日焼け、刺咬傷、感染症に関連する疼痛、代謝障害(糖尿病、アルコール依存症)、神経圧迫(ヘルニア、手根管症候群、線維症など)、骨折、熱傷、血腫、切り傷、および炎症が挙げられる。
【0037】
最後に、通常は有利なことに、本発明の化合物はモルヒネ物質の主な欠点(耐性、身体依存、呼吸抑制、悪心、鎮静、便秘など)を示さない。
【0038】
したがって、本発明の化合物およびそれを含有する薬学的組成物は以下の用途より選択される少なくとも1つの用途に有用でありうる: 鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬。
【0039】
本発明はまた、鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、または抗炎症薬、より具体的には疼痛処置用の薬物の製造のための、上記定義の式(I)の化合物およびそれを含有する薬学的組成物の使用に関する。疼痛は特に上記定義の慢性痛または急性痛でありうる。
【0040】
本発明の化合物は単独でまたは抗侵害受容性について公知である化合物との組み合わせで使用することができる。高用量での公知の抗侵害受容化合物が望ましくない副作用を一般に示すことから、この組み合わせは薬理効果の増強を可能にしうる。
【0041】
過去に、本発明の混合阻害剤のそれとは異なる化学構造を有する混合阻害剤と公知の抗侵害受容化合物とを組み合わせることによる、薬理効果のそのような増強(相乗作用)が示された。したがって、例えばモルヒネ(Mas Nieto et al. (2001) Neuropharmacol. 41, 496-506)、THC (Valverde et al. (2001) Eur. J. Neurosci., 13, 1816-1824)、ガバペンチン(Menendez et al. (2007) Eur. J. Pharmacol., 596, 50-55)およびその類似体、例えばプレガバリンとの組み合わせで、抗侵害受容性応答の強力な増強が得られた。これらの組み合わせによって、同等の薬理効果について、組み合わせの成分(例えばモルヒネおよび阻害剤)の用量を3〜10倍減少させることが可能になる。
【0042】
したがって、一態様では、本薬学的組成物は、有効成分としての本発明の少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの抗侵害受容薬および薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤との組み合わせを含む。抗侵害受容薬は以下より選択することができる:
- モルヒネおよびその誘導体、
- 内在性カンナビノイド、Δ9 THC、合成カンナビノイド受容体アゴニストまたはアナンダミド分解阻害剤(FAAH)、あるいは
- ガバペンチンまたはプレガバリンなどのGABA誘導体、あるいは
- セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤であるデュロキセチン。
【0043】
別の態様では、本薬学的組成物は、有効成分としての本発明の少なくとも1つの化合物とメサドンおよび薬学的に許容される少なくとも1つの賦形剤との組み合わせを含む。
【0044】
別の態様では、本発明は
a) 上記定義の式(1)の少なくとも1つの化合物と、
b) 例えばモルヒネおよびその誘導体、内在性カンナビノイド、Δ9 THC、合成カンナビノイド受容体アゴニスト、またはアナンダミド分解阻害剤(FAAH)、またはガバペンチンもしくはプレガバリンなどのGABA類似体、またはデュロキセチンより選択される少なくとも1つの抗侵害受容薬と
を疼痛、特に慢性痛または急性痛の処置における同時使用、個別使用、または連続使用のための組み合わせ生成物として含む、組成物に関する。
【0045】
過去に、本発明の化合物のそれとは異なる化学構造を有する混合阻害剤とメサドンとの組み合わせによって該構成成分の作用を相乗的に増幅することが可能になることが示された(Le Guen et al. (2003) Pain, 104, 139-148)。この組み合わせによってオピエートおよびコカインの嗜癖過程が減少する。
【0046】
本発明の薬学的組成物は、非経口投与、例えば静脈内投与もしくは皮内投与、または局所投与、経口投与、または経鼻投与することができる。
【0047】
非経口投与可能な形態としては、薬理学的に適合性のある分散剤および/または湿潤剤を含有しうる水性懸濁液剤、等張生理食塩水剤または滅菌注射溶液剤が挙げられる。経口投与可能な形態としては錠剤、軟カプセル剤または硬カプセル剤、散剤、顆粒剤、経口溶液剤および懸濁液剤が挙げられる。経鼻投与可能な形態としてはエアロゾル剤が挙げられる。局所投与可能な形態としてはパッチ剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、噴霧剤、点眼剤が挙げられる。
【0048】
本発明の化合物の有効量は、例えば選択される投与経路、ならびに体重、年齢、性別、処置される病理の進行状況および処置される個人の感受性などの多くのパラメータの関数として変動する。
【0049】
別の局面によれば、本発明はまた、上記で示した病理を処置するための方法に関し、本方法は、それを必要とする患者に有効量の本発明の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または本発明の組成物を投与、好ましくは非経口投与、経口投与、または経鼻投与する段階を含む。
【0050】
混合NEP-APN阻害剤1は2工程で調製することができる。第1の工程では、Bocβ-アミノチオール11(Fournie-Zaluski M-C. et al. (1992) J. Med. Chem., 35, 2473-2481)をメトキシカルボニルスルホン酸クロリドによって活性化し、次に第2の工程ではメルカプトアルカン酸10と縮合させて化合物12を得る。
【0051】
対応するアルコールR5OHとの反応によって、または酢酸エチル中、Et3Nの存在下で塩素化誘導体R5Clと共に還流させることで、酸12からエステル13を得る。
【0052】
ギ酸の作用によって13のN末端Boc基の脱保護を行うことで1を放出する。
【0053】
あるいは、ギ酸の作用によってN末端Boc基を脱保護した後、室温にてSOCl2の存在下で対応するアルコールによりエステル化することで、12からエステル1を得ることもできる。
【0054】
あるいは、ギ酸の作用によってN末端Boc基を脱保護した後、CH3CN中、2N NaHCO3の存在下でイソ酪酸1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)カルボニルオキシ)エチルと縮合させることで、12からN保護化合物1(R = iPrCOOCH(CH3)OCO)を得ることもできる(Cundy et al. (2004) J. Pharm. Exp. Therap., 311, 315-323)。
【0055】
R3 = HおよびR5 = OHである式10の化合物は、規定の絶対配置、好ましくは(R)のアミノ酸2から5工程で得ることができる。
【0056】
工程1:
一般的には立体配置の保持を伴って行われる脱アミノ化-ハロゲン化反応によって、アミノ酸2を臭素化誘導体3に変換する(Claeson G. et al. (1968) Acta Chem. Scand. 22, 3155-3159; Dutta A. et al. (1987) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 111-120)。
【0057】
塩基性媒体中での4-メトキシ-α-トルエンチオール(PMBSH)の作用による立体配置の反転を伴う求核置換によって、臭素化誘導体3をチオエーテル4に変換する。
【0058】
工程2: 4からのハロゲノメチルケトン6の調製
方法1:
4の混合無水物(クロロギ酸イソブチルおよびN-メチルモルホリンの作用により調製)から、または酸塩化物(4に対する塩化チオニルの作用により調製)から、化合物4をケテン5に変換する。
【0059】
次に、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルまたは酢酸エチル中にHClガスまたはHBrガスを吹き込むことで、ケテン5をハロゲノメチルケトン6に変換する。
【0060】
方法2:
あるいは、新たに調製されたLDAの存在下での4のメチルエステル(DMAPおよびEDCIの存在下でまたはメタノール中での塩化アセチルの作用により調製)に対するクロロヨードメタンの作用によってクロロメチルケトン6(X=Cl)を得ることもできる(Chen et al. (1997) Tet. Lett. 38, 18, 3175-3178)。
【0061】
工程3
方法1:
NaIで処理されたハロゲノメチルケトン6は、ハロゲン交換を経た後、マロン酸ジアルキルナトリウム塩に対して反応することで化合物7を生じさせる。R13はメチル基、エチル基またはtert-ブチル基でありうる。
【0062】
NaHによりその場で脱プロトン化された前記マロン酸エステル7のアニオンに対する臭素化誘導体R4Brの作用によって置換基R4を導入する。化合物8が得られる。
【0063】
方法2:
X=Brの場合、ハロゲノメチルケトン6に対して置換基R4を直接導入してもよい。NaIで処理された後者は、ハロゲン交換を経た後、置換マロン酸ジアルキルナトリウム塩に対して反応することで化合物8を生じさせる。
【0064】
この反応により、チオールを保有する炭素の立体配置が保存される。
【0065】
工程4
TFAの作用(R13がtert-ブチル基である場合)または鹸化(R13がメチル基もしくはエチル基である場合)による8のエステルの加水分解後、例えばトルエン中での還流下の脱カルボキシル化によって化合物9を得る。
【0066】
工程5
トリフルオロ酢酸中でDTNP(2,2'-ジチオビス(5-ニトロピリジン))を作用させた後、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)と反応させることによる2工程で(Harris K.M. et al. (2007) J. Pept. Sci. (2), 81-93)、またはトリフルオロ酢酸中、アニソールの存在下50℃で直接加熱することで、化合物9上に存在するチオールの脱保護を行うことにより、メルカプトアルカン酸10を得る。
【0067】
ブロモ酢酸と4-メトキシベンジルメルカプタンとを反応させてクロロメチルケトン6を得た後、上記のような二重アルキル化およびクロロメチルケトン6への変換を行うことで、R2 = R3 = アルキル、R = HおよびR5 = OHである化合物10を得ることができる。
【0068】
4-メトキシベンジルメルカプタンジスルフィドを使用する(またはこのチオールの別の活性化からの)アルキル化およびクロロメチルケトン6への変換によって、対応するエステル(例えばメチル)からクロロメチルケトン6を直接調製することで、R2およびR3が環を形成する化合物10を得ることができる。
【0069】
あるいは、活性化4-メトキシベンジルメルカプタンを使用するアルキル化、およびTMSN2溶液を使用するブロモメチルケトン6への変換によって、対応するエステル(例えばメチル)から環状ジェミナルクロロメチルケトン6を直接調製することもできる。
【0070】
合成の残りは上記のように行う。
【0071】
R4が4-ブロモベンジルである場合、化合物9は、ベンジル上に芳香族を導入するための鈴木反応を経ることができる。
【0072】
R3 = Hである場合、化合物9は2個の不斉中心を有し、4つの立体異性体を含む。R2 = R3 = アルキルまたは環である場合、化合物9は不斉中心を1個のみ有し、したがって2つの立体異性体の混合物である。
【0073】
化合物10は9の脱保護後に得られる。
【0074】
化合物9がキラルである場合、α-メチルベンジルアミンもしくはノルエフェドリンなどのキラルアミンによる選択的析出で、またはキラルカラムHPLCで分離することができる。
【実施例】
【0075】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は実施例に決して限定されるものではない。
【0076】
1. 混合NEP-APN阻害剤の合成
1.1 NEP阻害剤の合成
1.1.1 工程1: (R)-2-ブロモカルボン酸の合成
立体配置(R)-のアミノ酸(39.3mmol)を水50mlに可溶化させる。0℃でKBr(3.5当量、31.8g)、次にH2SO4(7.73ml)をそれぞれ滴下し、温度を5℃未満に維持する。混合物を-10℃に冷却し、水17mlに可溶化したNaNO2(1.3当量、3.59g)を滴下する。混合物を-5℃で2時間攪拌する。
【0077】
室温に戻した後、混合物をCH2Cl2(2x50ml)で抽出する。有機相をH2O、飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させて所期の立体配置(R)の生成物を得る。
3a R2 = CH2Ph: 明黄色油状物; (収率: 50%); Rf (CH2Cl2/MeOH): 0.62
NMR
3b R2 = CH2CH(CH3)2: 油状物; (収率: 82.5%); Rf (CH2Cl2/MeOH): 0.49
NMR
3c R2 = CH2(4-Br-Ph): 明黄色油状物; (収率: 50%); Rf (CH2Cl2/MeOH): 0.62
NMR
3d R2 = CH2(4-Ph-Ph): 明黄色油状物; (収率: 60%); Rf (CH2Cl2/MeOH): 0.7
NMR
【0078】
(S)-2-(4-メトキシベンジルチオ)カルボン酸の合成
不活性雰囲気下で、4-メトキシベンジルメルカプタン(4.2ml; 30.06mmol、1当量)を無水THF 70mlに可溶化させ、60% NaH 1.1当量(1.33g; 33.07mmol)を加える。混合物を室温で15分間攪拌した後、THF 30mlに可溶化した臭素化誘導体3(1当量、30.06mmol)をスポイトを使用して臭素に滴下する。混合物を室温で終夜攪拌する。混合物を蒸発乾固させた後、AcOEt中に取り込む。有機相をH2O、飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧蒸発させて粗生成物を得る。後者を、CHex/AcOEt 5/5を溶離系とするシリカ上でのクロマトグラフィーで精製して立体配置(S)の化合物4を油状物の形態で得る。
4a R2 = CH2Ph: 油状物; (収率: 40%); Rf (CH2Cl2/MeOH/ 9/1): 0.5
NMR
4b R2 = CH2CH(CH3)2: 油状物; (収率: 26%); Rf (CHex/AcOEt): 0.65
NMR
4c R2 = CH2(4-Br-Ph): 油状物; (収率: 40%); Rf (CH2Cl2/MeOH/ 9/1): 0.5
NMR
4d R2 = CH2(4-Ph-Ph): 油状物; (収率: 50%); Rf (CH2Cl2/MeOH/ 9/1): 0.6
NMR
【0079】
1.1.2 工程2:
手順1:
方法1: 混合無水物からのジアゾケトンの合成
酸4(18.5mmol)の乾燥THF 20ml溶液に不活性雰囲気下、-20℃でN-メチルモルホリン(2.15ml; 1.05当量)およびiBuOCOCl(2.52ml; 1.05当量)を順次加える。混合物を-20℃で5〜10分間攪拌した後、析出物をセライト上で濾過し、THF 20mlで洗浄する。
【0080】
CH2N2のエーテル溶液(2.5当量)(Diazald(登録商標)、およびカルビトール中KOHから事前に調製)を活性化エステル溶液に0℃で移す。溶液は黄色になる。混合物を室温で2時間攪拌する。
【0081】
方法2: 酸塩化物からのジアゾケトンの合成
酸4(14.5mmol)を無水CH2Cl2 23mLに可溶化させる。SOCl2(1.5当量; 21.75mmol)を室温で加え、混合物を不活性雰囲気下で2時間還流させる。次に混合物を蒸発乾固させて褐色油状物を得る。生成物を濃度5mmol/mlで無水THFに可溶化させる。
【0082】
事前に調製したCH2N2(2.5当量)のエーテル溶液を酸塩化物溶液に0℃で移す。溶液は黄色になる。混合物を不活性雰囲気下、室温で2時間攪拌する。
【0083】
クロロメチルケトンの合成
不活性雰囲気下で化合物5の溶液を、0℃に維持された三つ口フラスコに入れる。混合物にHClを0℃で吹き込むことで飽和させる。
【0084】
30分後、溶媒および過剰のHClを減圧蒸発させる。生成物をAcOEt(150ml)中に取り込んだ後、10% NaHCO3、H2Oで洗浄し、Na2SO4で乾燥させて生成物を粗状態で得る。後者を精製せずに次の工程にそのまま使用する。
【0085】
手順2: メチルエステルからの合成
無水MeOH 50ml中酸溶液4(9.1mmol)に不活性ガス下、0℃で塩化アセチル(3当量; 2ml)を滴下する。混合物を室温で終夜攪拌する。混合物を減圧濃縮し、MTBE(メチル-tert-ブチルエーテル)(200ml)中に取り込む。有機相を10% NaHCO3(100ml)、H2O(100ml)および飽和NaCl(100ml)で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮してメチルエステルを粗状態で得る。後者をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0086】
メチルエステル(4.42mmol)およびクロロヨードメタン(1.3ml; 4当量)のTHF 25ml溶液に、ヘキサン中1.6M BuLi(15ml)およびジイソプロピルアミン(3.4ml)から新たに調製したLDA(5当量)のTHF(55ml)溶液を30分かけて滴下する。反応液の内温を添加中は-70℃未満に、10分間は-75℃に維持する。温度を-65℃未満に維持しながら酢酸溶液(THF 44ml中6ml)を加えて媒体を中和する。次に混合物をAcOEtで中和する。有機相を10% NaHCO3、10%クエン酸、飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して粗生成物を得て、これを次の工程にそのまま使用する。
6a R2 = CH2Ph; R3 = H: 橙色油状物; (収率: 93.0%); Rf (CHex/AcOEt 6/4): 0.73
HPLC: Kromasil C18 CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 60/40 Rt: 19.18分
NMR
6b R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H: 橙色油状物; (収率: 94.0%); Rf (CHex/AcOEt 5/5): 0.68
NMR
6c R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H: 橙色油状物; (収率: 85.0%); Rf (CHex/AcOEt 6/4): 0.80
NMR
6d R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H: 橙色油状物; (収率: 90.0%); Rf (CHex/AcOEt 6/4): 0.73
NMR
【0087】
ジェミナルクロロメチルケトンの合成
不活性雰囲気下でブロモ酢酸(10g、72mmol)をMeOH 50mlに溶解させる。4-メトキシベンジルメルカプタン11ml(1.1当量)を4℃で加え、水酸化ナトリウムのアルコール溶液(NaOH 6.4g(2.2当量)のMeOH 100 ml溶液)を滴下する。混合物を室温で40分間攪拌する。溶媒を減圧蒸発させる。生成物をEt2O(200ml)および10% NaHCO3 350ml中に取り込む。水相をpH=1に酸性化した後、Et2O 350mlで抽出する。有機相をH2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて粗白色固体15g(収率: 98%)を得て、これを次の工程にそのまま使用する。
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配10〜90% 15分、Rt = 10.64分
NMR
【0088】
前記の酸(70.8mmol)の無水MeOH 150ml溶液に不活性雰囲気下、4℃で塩化アセチル(1.5当量; 7.6ml; 106mmol)を滴下する。混合物を室温で終夜攪拌する。混合物を減圧濃縮し、MTBE(メチル-tert-ブチルエーテル)(350ml)中に取り込む。有機相を0.5N HCl(2x100ml)、10% NaHCO3(2x100ml)、H2O(100ml)および飽和NaCl(100ml)で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮してメチルエステルを得る。
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 5.24分
NMR
【0089】
無水THF 5mlに可溶化した前記エステル(1g; 4.4mmol; 1当量)の溶液に不活性雰囲気下、-78℃で1M LiHMDSのTHF溶液(4.4ml; 1当量)を滴下する。混合物を-78℃で1時間攪拌した後、誘導体RXの溶液(1当量)を不活性雰囲気下、-78℃で加える。室温に戻した混合物を3時間攪拌する。混合物を再度-78℃に冷却し、LiHMDS 1当量、続いてRX 1.5当量を加える。室温に戻した混合物を4時間攪拌する。次に混合物を1N HCl 200mlとAcOEt 300mlとの間で分配する。有機相をNa2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲル上でのクロマトグラフィーで精製する。
R2 = CH3、R3 = CH3: 油状物(収率: 44%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、 Rt = 7.39分
NMR
R2 = C2H5、R3 = C2H5: 油状物(収率: 55%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 9.72分
NMR
【0090】
4bに記載のようにクロロメチルケトンを合成する。
6e R2 = CH3、R3 = CH3: 琥珀色油状物
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 7.91分
NMR
6f R2 = C2H5, R3 = C2H5: 琥珀色油状物
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 10.04分
NMR
【0091】
環状クロロメチルケトンの合成
方法1:
DIPA(ジイソプロピルエチルアミン)(3mmol; 1.3当量; 420μl)のTHF(9ml)溶液に不活性雰囲気下、-10℃でBuLiのヘキサン中2.5M溶液(2.77mmol; 1.1ml; 1.2当量)を加える。混合物を0℃で1時間攪拌する。シクロペンタン酸メチルエステルのTHF 5ml溶液に、新たに調製したこのLDA溶液を-55℃で滴下する。混合物を不活性雰囲気下、-55℃で1時間攪拌する。HMPA(ヘキシルメチルホスホルアミド)(3.46mmol; 1.5当量; 610μl)を加え、混合物を同温で10分間攪拌する。次に4-メトキシベンジルメルカプタンジスルフィド(3mmol; 1.3当量; 920mg)のTHF 12ml溶液を-55℃で滴下する。室温に戻した後、混合物を終夜攪拌する。混合物を飽和NH4Cl 10mlとAcOEt 20mlとの間で分配する。有機相を飽和NH4Cl(2x10ml)、飽和NaCl(2x15ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲル上でのクロマトグラフィーで精製する。
C(R2R3) = シクロペンチル: 油状物(収率: 40%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配30〜90% 10分、Rt = 9.68分
NMR
【0092】
4bに記載のようにクロロメチルケトンを合成する。
6g C(R2)(R3) = シクロペンチル: 琥珀色油状物
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配60〜90% 10分、Rt = 6.47分
NMR
6h C(R2)(R3) = シクロヘキシル: 琥珀色油状物
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 8.11分
NMR
【0093】
方法2:
DIPA(ジイソプロピルエチルアミン)(16.7mmol; 1.2当量; 2.34ml)のTHF(10ml)溶液に不活性雰囲気下、-10℃でBuLiのヘキサン中2.5M溶液(16mmol; 6.4ml; 1.15当量)を加える。混合物を0℃で1時間攪拌する。フェニルシクロペンタン酸メチルエステルのTHF 5mlおよびHMPA(ヘキシルメチルホスホロアミド)(1.0当量; 2.5ml)溶液に、新たに調製したこのLDA溶液を-78℃で滴下する。混合物を不活性雰囲気下、-78℃で1時間攪拌する。活性化4-メトキシベンジルメルカプタンチオール(18mmol; 1.3当量; 6.37mg)を-78℃にて固体状態で加える。混合物を-78℃で1.5時間攪拌する。混合物を1N HCl 200mlとAcOEt 200mlとの間で分配する。有機相をAcOEt 200mlで希釈し、飽和NaCl(200ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して粗生成物を得て、これをシリカゲル上でのクロマトグラフィーで精製する。
C(R2R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル): 白色固体(収率: 25%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 9.59分
NMR
【0094】
前工程の生成物(1.13g; 3.44mmol)をTHF/MeOH混合物14mlに可溶化させる。2N NaOH 14mlを加え、混合物を室温で3時間攪拌する。混合物をH2O 40mlで希釈する。混合物を減圧濃縮する。水相を1N HClで酸性化した後、MTBE(3x100ml)で抽出し、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して白色固体(収率: 98%)を得る。
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 6.50分
【0095】
前記の酸(1.38mmol; 434mg)のCH2Cl2 10ml溶液に不活性雰囲気下、0℃にてDMF 20μl(0.2当量)の存在下で塩化オキサリル(2mmol; 1.5当量; 177μl)を滴下する。混合物を室温に戻した後、室温で30分間攪拌する。
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 6.70分。
【0096】
減圧蒸発後、不活性雰囲気下で酸塩化物を無水CH3CN(5ml)中に取り込み、TMSCHN2(Et2O中1M)(1.5当量; 1ml)を0℃で滴下する。混合物を室温に戻した後、1.5時間攪拌する。次に混合物を酢酸中33% HBr 300μl(1.65mmol; 1.2当量)で捕捉する。混合物を室温で15分間攪拌する。混合物を減圧濃縮した後、MTBE(200ml)中に取り込む。有機相を10% NaHCO3(100ml)、飽和NaCl(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮して化合物6hを褐色油状物(収率: 83%)の形態で得る。
6h C(R2R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル): 白色固体
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 5.30分
NMR
【0097】
1.1.3 工程3
方法1
不活性雰囲気下で、DME(1,2-ジメトキシエタン)25ml(1ml/mmol)中マロン酸ジアルキル(1当量)に60% NaH(1当量)980mgを加える。混合物を室温で1時間攪拌する。
【0098】
クロロメチルケトン6(24.42mmol)およびNaI(24.42mmol、3.66g、1当量)のDME 50ml中混合物を室温で15分間攪拌した後、新たに調製したマロン酸ジアルキルナトリウム塩溶液に加える。混合物を室温で4時間攪拌する。
【0099】
反応の終わりに溶媒を減圧蒸発させる。生成物をジクロロメタン中に取り込む。有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させる。生成物を、CHex/AcOEt 9/1を溶離系とするシリカカラム上でのクロマトグラフィーで精製する。
7a1 R2 = CH2Ph、R3 = H、R13 = CH2CH3: 橙色油状物; (収率: 60%); Rf (CHex/AcOEt 9/1): 0.16
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 80/20 Rt: 6.57分
NMR
7a2 R2 = CH2Ph、R3 = H、R13 = tBu: 橙色油状物; (収率: 62%); Rf (CHex/AcOEt 9/1): 0.36
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 85/15 Rt: 15.51分
NMR
7b R2 = CH2CH(CH3)2、R3 = H、R13 = tBu: 橙色油状物; (収率: 30%); Rf (CHex/AcOEt 9/1): 0.49
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 90/10 Rt: 6.49分
NMR
7c R2 = CH2(4-Br-Ph)、R3 = H、R13 = tBu: 橙色油状物; (収率: 62%); Rf (CHex/AcOEt 9/1): 0.36
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 85/15 Rt: 15.51分
NMR
7d R2 = CH2(4-Ph-Ph)、R3 = H、R13 = tBu: 橙色油状物; (収率: 60%); Rf (CHex/AcOEt 9/1): 0.36
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 85/15 Rt: 16.71分
NMR
7e R2 = CH3、R3 = CH3、R13 = Et (収率: 40%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 4.87分
NMR
7f R2 = C2H5, R3 = C2H5, R13 = Et (収率: 30%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、次に90〜50%、Rt = 11.56分
NMR
7g C(R2)(R3) = シクロペンチル、R13: Et (収率: 24%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配60〜90% 10分、Rt = 8.04分
NMR
7h C(R2)(R3) = シクロヘキシル、R13: Et (収率: 33%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 7.76分
NMR
7i C(R2)(R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル)、 R13: Et (収率: 80%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 6.57分
NMR
【0100】
マロン酸エステルのアルキル化
生成物7のDME(ジメトキシエタン)15ml溶液に60% NaH 1.5当量を加える。
【0101】
混合物を室温で1時間攪拌した後、臭素化誘導体R4Br(3当量)を加える。混合物を室温で終夜攪拌する。
【0102】
溶媒を減圧蒸発させた後、混合物をH2OおよびAcOEt中に取り込む。有機相をH2Oで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた後、減圧濃縮する。
【0103】
生成物を、CHex/AcOEt 9/1を溶離系とするシリカ上でのクロマトグラフィーで精製して所望の生成物8を得る。
8a R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8b R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; R13 = tBu: 橙色油状物
8c R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Ph-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8d R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2Ph; R13 = Et: 橙色油状物
8e R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8f R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph; R13 = tBu: 橙色油状物
8g R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = tBu: 橙色油状物
8h R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = tBu: 橙色油状物
8i R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8j R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8k C(R2)(R3) = シクロペンチル; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8l C(R2)(R3) = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
8m C(R2)(R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル); R4 = CH2(4-Br-Ph); R13 = Et: 橙色油状物
【0104】
1.1.4 工程4
R13がメチルエチル基である場合、化合物8(0.585mmol)をEtOH 10mlに溶解させ、2N NaOH(6当量)を加える。混合物を室温で終夜攪拌する。エタノールを減圧蒸発させる。生成物を水中に取り込み、Et2Oで抽出する。水相を3N HClで酸性化し、Et2Oで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥させた後、減圧蒸発させて黄色油状物を得る。
【0105】
R13がtert-ブチル基である場合、生成物8をCH2Cl2 10mlに溶解させ、TFA 10mlを加える。混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒を減圧蒸発させる。生成物を水中に取り込み、Et2Oで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥させた後、減圧蒸発させて黄色油状物を得る。
【0106】
次に形成された生成物をトルエン6mlに可溶化させ、150℃に12時間加熱する。
【0107】
溶媒を減圧蒸発させて化合物9を得る。
9a R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9b R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph; 橙色油状物
9c R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Ph-Ph); 橙色油状物
9d R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2Ph; 橙色油状物
9e R2 = CH2CH(CH3)2; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9f R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph; 橙色油状物
9g R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9h R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9i R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9j R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9k C(R2)(R3) = シクロペンチル; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9l C(R2)(R3) = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
9m C(R2)(R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル); R4 = CH2(4-Br-Ph); 橙色油状物
【0108】
鈴木反応
不活性雰囲気下で化合物9l(180mg; 0.356mmol)をトルエン2mlに溶解させる。Pd(PPh3)4(11mg; 3% mol)を加え、混合物を室温で5分間攪拌した。MeOH 1mlにフェニルボロン酸(46mg; 0.374mmol; 1.05当量)、続いて2M Na2CO3 500μlを加える。混合物を1.5時間還流させた後、混合物を減圧濃縮する。反応混合物をEt2O 30mlおよび1N HCl 30ml中に取り込む。有機相を1N HCl 20ml、飽和NaCl 10mlで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮する。生成物を、Hept/AcOEt 65/35を溶離系とするシリカ上でのクロマトグラフィーで精製して所望の生成物9nを得る。
9n C(R2)(R3) = シクロヘキシル; R4 = CH2(4-Ph-Ph); 橙色油状物75mg(収率: 47%)
ESI(+): [M+Na]+ = 525.2
HPLC: Atlantis T3 CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 8.60分
【0109】
以下の化合物を同一のプロトコールに従って得る。
9o C(R2)(R3) = シクロペンチル; R4 = CH2(4-Ph-Ph); 橙色油状物(収率: 25%)
ESI(-): [M-H]- = 487.2
HPLC: Atlantis T3 CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 6.60分
9p C(R2)(R3) = フェニルシクロペンチル(インダニル); R4 = CH2(4-Ph-Ph); 橙色油状物(収率: 55%)
ESI(-): [M-H]- = 535.2
HPLC: Atlantis T3 CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90% 10分、Rt = 7.45分
【0110】
1.1.5 工程5
方法1:
BTFA(トリストリフルオロ酢酸ホウ素)(1M)(BBr3およびTFAから事前に調製)2.1mlに工程7の化合物9(0.53mmol)を可溶化させ、室温で1時間攪拌する。溶媒を減圧蒸発させ、混合物を半分取HPLCで精製する。
10a R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2Ph
ESI(+): [M+H]+ = 329
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 7.50分
10b R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 372および374
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 8.60分
10c R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 384
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 10.52分
10d R2 = CH2(4-Br-Ph); R3 = H; R4 = CH2Ph
ESI(+): [M+H]+ = 406および408
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 9.01分
10e R2 = CH2Ph; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 406および408
HPLC: Kromasil C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 80/20; Rt: 6.23分
10f R2 = CH2(4-Ph-Ph); R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 482および484
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 11.4分
【0111】
方法2:
生成物9c(2.03mmol)をTFA 10mlにアニソール5当量(1.1ml)の存在下で可溶化させる。混合物を50℃で2.5時間加熱する。溶媒を減圧蒸発させ、混合物を半分取HPLCで精製して化合物10bを得る。
10b R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 372および374
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 勾配60/90を30分; Rt: 8.60分
【0112】
方法3:
化合物9c(0.447mmol; 120mg)のTFA 4.5ml溶液に不活性雰囲気下でチオアニソール(2.8当量; 0.936mmol; 110μl)を加えた後、2,2'-ジチオビス(5-ニトロピリジン)(3当量; 1.0mmol; 417mg)を加えると、溶液は橙色になる。混合物を室温で1時間攪拌する。混合物を30℃で減圧濃縮する。形成されたジスルフィドを半分取HPLCで精製して生成物146mg(収率: 62%)を得る。
【0113】
前記ジスルフィドをCH3CN(720μl)/H2O(180μl)に可溶化させる。次にトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(1.2当量; 96mg)を加え、混合物を室温で10分間攪拌する。溶媒を減圧蒸発させ、化合物を半分取HPLCで精製して10bを得る。
【0114】
この合成スキームは、分子のキラリティーが存在する場合はそれを保存する。
10b R2 = iBu; R3 = H; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 372および374
HPLC: ACE C18 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 60/90を30分; Rt: 8.60分
NMR
【0115】
以下の化合物を同一のプロトコールに従って得る。
10g R2 = CH3; R3 = CH3; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+Na]+ = 366および368
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 50/90を10分; Rt: 6.51分
NMR
10h R2 = C2H5; R3 = C2H5; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+Na]+ = 394および396
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 70/90を10分; Rt: 3.9分
NMR
10i C(R2)(R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 370および372
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 60/90を10分; Rt: 5.0分
NMR
10j C(R2)(R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+Na]+ = 382および384
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 70/90を10分; Rt: 8.97分
NMR
10k C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+Na]+ = 442および444
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 70/90を10分; Rt: 3.84分
NMR
10l C(R2R3) = C6H10; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 383
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 70/90を10分; Rt: 5.35分
NMR
10m C(R2R3) = C5H8; R4 = CH2(4-Br-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 368および370
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 60/40; Rt: 9.79分
NMR
10n C(R2)(R3) = C9H8; R4 = CH2(4-Ph-Ph)
ESI(+): [M+H]+ = 415
HPLC: Atlantis T3 CH3CN/H2O (0.1% TFA) 70/90を10分; Rt: 4.73分
NMR
【0116】
1.2 混合NEP-APN阻害剤の合成
1.2.1 Boc-β-アミノチオール11の合成
J. Med. Chem., 35, 1992, 2473に記載のプロトコールに従ってこの化合物を調製する。
11a R1: CH2CH2SCH3; 白色固体
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90% 10分、Rt = 6.45分
NMR
11b R1: CH2CH2CH2CH3; 白色固体
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 30%〜70%, Rt = 13.53分
NMR
11c R1: CH2CH2OCH3; 白色固体
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 50%〜50%, Rt = 5.58分
NMR
11d R1: CH2CH2OCH2CH3; 白色固体
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 40%〜60%、Rt = 13.33分
NMR
11e R1: CH2OCH2CH3; 白色固体
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 40%〜60%、Rt = 14.00分
NMR
【0117】
1.2.2 非対称ジスルフィド12の合成
不活性雰囲気下、0℃でBoc-アミノチオールチオール11(9.86mmol、2.5g)を脱気MeOH 20mlに溶解させる。Et3N(2当量; 2.79ml)を加えた後、メトキシカルボニルスルホン酸クロリド(2当量、1.78ml)の脱気CHCl3 20ml溶液を加える。混合物を0℃で15分間攪拌した後、CHCl3 100mlを加える。有機相を10%クエン酸(2x100ml)、H2O(100ml)、飽和NaCl(100ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮する。
【0118】
生成物をシリカゲル上で精製する。
R1: CH2CH2SCH3; 白色固体(収率: 40%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90%を10分、Rt = 3.66分
NMR
R1: CH2CH2CH2CH3; 白色固体(収率: 41%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90%を10分、Rt = 5.57分
NMR
【0119】
不活性雰囲気下で前記化合物(0.754mmol、1当量)の脱気CHCl3 8ml溶液に化合物10を加える。混合物を-10℃に冷却し、脱気Et3N(0.754mmol、105μl、1当量)を加える。混合物を-10℃で30分間攪拌した後、CH2Cl2 10mlで希釈する。有機相を10%クエン酸(5ml)、飽和NaCl(2x10ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して化合物12を得る。
12a-b R1: CH2CH2SCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph) (収率: 64%)
ESI(+): [M+Na]+ = 644および646
12b-b R1: CH2CH2CH2CH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph) (収率: 87%)
ESI(+): [M+Na]+ = 626および628
12b-l R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率: 85%)
ESI(+): [M+Na]+ = 637
12b-j R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2 R3): C6H10; R4: CH2(4-Br-Ph) (収率: 90%)
ESI(+): [M+Na]+ = 638および640
12a-l R1: CH2CH2SCH3; C(R2 R3): C6H10; R4: CH2(Ph-Ph) (収率: 90%)
ESI(+): [M+H]+ = 632
【0120】
1.2.3 化合物1の調製
方法1
パート1: エステルの合成
化合物13a-b-1: 1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル 2-(4-ブロモベンジル)-5-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(メチルチオ)ブチル)ジスルファニル)-7-メチル-4-オキソオクタノエート
化合物12a-b(640mg; 1.03mmol)およびEt3N(730μl、5当量)をAcOEt 10mlに溶解させる。混合物を室温で15分間攪拌する。1-クロロエチル炭酸エチル(Barcelo et al. Synthesis, 1986, 627に従って調製)(800μl; 5当量)およびNaI(800mg、5当量)を加える。混合物を3時間還流させる。混合物をH2O 10mlおよびAcOEt 20mlで希釈する。水相をAcOEt 3x30mlで抽出する。有機相を10%クエン酸(2x15ml)、10% NaHCO3(2x15ml)、飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧蒸発させて粗生成物を得る。混合物を半分取HPLCで精製して黄色油状物80mgを得る。
13a-b-1 R1: CH2CH2SCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: CH(CH3)OCOOC2H5 (収率10.5%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70〜90%を10分、Rt = 12.85分
ESI(+): [M+Na]+ = 760および762
【0121】
化合物13b-b-1: エチル 2-(4-ブロモベンジル)-5-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシル)ジスルファニル)-7-メチル-4-オキソオクタノエート
不活性雰囲気下、4℃で化合物12b-b(395mg; 0.653mmol)をCH2Cl2 4.3mlに溶解させる。EDCI-HCl(138mg; 0.718mmol; 1.1当量)、続いてDMAP(88mg; 0.718mmol; 1.1当量)およびEtOH(0.784mmol; 1.2当量)を加える。混合物を室温で4時間攪拌する。混合物を10%クエン酸10mlおよびCH2Cl2 20mlで希釈する。有機相を10%クエン酸(2x10ml)、10% NaHCO3(2x10ml)、飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧蒸発させて粗生成物を得る。混合物を半分取HPLCで精製して黄色油状物を得る。
13b-b-1 R1: CH2CH2CH2CH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: C2H5 (収率60%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配80〜90%で10分、Rt = 12.20〜12.65分
【0122】
パート2: アミンの脱保護
化合物1a-b-1: 1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル 5-(((S)-2-アミノ-4-(メチルチオ)ブチル)ジスルファニル)-2-(4-ブロモベンジル)-7-メチル-4-オキソオクタノエート
化合物13a-b-1(130mg; 0.176mmol)をHCOOH 2ml中で1時間攪拌する。混合物を減圧蒸発させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して化合物1a-b-1 13mgを得る。
1a-b-1 R1: CH2CH2SCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: CH(CH3)OCOOC2H5 (収率11%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配10〜90%を15分、Rt = 14.50分
ESI(+): [M+H]+ = 638および640
【0123】
化合物1b-b-1: エチル 5-(((S)-2-アミノヘキシル)ジスルファニル)-2-(4-ブロモベンジル)-7-メチル-4-オキソオクタノエート
化合物13b-b-1(141mg; 0.223mmol)をHCOOH 2ml中で1時間攪拌する。混合物を減圧蒸発させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して化合物1b-b-1 92mgを得る。
1b-b-1 R1: CH2CH2CH2CH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: C2H5 (収率64%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50〜90%を10分、Rt = 7.79分
ESI(+): [M+H]+ = 532および534
【0124】
化合物1f-b-1: エチル 5-((2-アミノ-4-(メチルスルフィニル)ブチル)ジスルファニル)-2-(4-ブロモベンジル)-7-メチル-4-オキソオクタノエート
1f-b-1 R1: CH2CH2SOCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: C2H5 (収率47.9%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配10〜90%を15分、Rt = 12.45分
ESI(+): [M+H]+ = 566および568
【0125】
方法2
化合物12(0.323mmol)をHCOOH 4ml中で1時間攪拌する。混合物を減圧蒸発させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して酸を得る。
R1: CH2CH2SCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph) (収率69%)
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 60/40%、Rt = 8.0分
ESI(+): [M+H]+ = 522および524
R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率60%)
HPLC: Luna T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 60/40%、Rt = 2.83分
ESI(+): [M+H]+ = 514
R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Br-Ph) (収率69%)
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 60/40%、Rt = 8.0分
ESI(+): [M+H]+ = 516および518
R1: CH2CH2SCH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率70%)
HPLC: Luna C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 50/50%、Rt = 5.43分
ESI(+): [M+H]+ = 532
【0126】
不活性雰囲気下、0℃で前記の酸(0.068mmol)の無水EtOH(R5=Et)400μl懸濁液にSOCl2(30μl、6当量)を加える。溶液は透明になる。混合物を室温で終夜攪拌する。混合物を減圧蒸発させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して所期の生成物35mgを得る。
1a-b-2 R1: CH2CH2SCH3; R2: iBu; R3: H; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: C2H5 (収率82%)
HPLC: ACE C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50/90%を30分、Rt = 11.98分
ESI(+): [M+H]+ = 550および552
1b-l-1 R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C5H10; R4: CH2(4-Ph-Ph); R5: C2H5 (収率80%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70/90%を10分、Rt = 4.0分
ESI(+): [M+H]+ = 542
1b-j-1 R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Br-Ph); R5: C2H5 (収率85%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70/90%を10分、Rt = 3.28分
ESI(+): [M+H]+ = 546および548
1a-l-1 R1: CH2CH2SCH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph); R5: C2H5 (収率86%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配50/90%を10分、Rt = 8.42分
ESI(+): [M+H]+ = 560
1b-l-2 R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph); R5: CH2Ph (収率71%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70/90%を10分、Rt = 5.71分
ESI(+): [M+H]+ = 604
【0127】
方法3
化合物1b-l-3: 2-(ビフェニル-4-イルメチル)-4-(1-((2-((1-(イソブチリルオキシ)エトキシ)カルボニルアミノ)(S)-ヘキシル)ジスルファニル)シクロヘキシル)-4-オキソブタン酸
化合物12b-l(590mg; 0.961mmol)をHCOOH 10ml中で1時間攪拌する。混合物を減圧蒸発させて粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して2つのジアステレオ異性体を得る。
R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率89%)
HPLCジア1: Luna C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 55/35%、Rt = 3.90分
HPLCジア2: Luna C18、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 55/35%、Rt = 4.10分
ESI(+): [M+H]+ = 522.2
【0128】
前記化合物(155mg、0.246mmol)を無水CH3CN 2mlに可溶化させる。2N NaHCO3 370μl、続いてH2O 1mlを加える。混合物を室温で10分間攪拌し、CH3CN(1ml)中イソ酪酸1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)カルボニルオキシ)エチル(90mg; 0.329mmol; 1当量)(Cundy et al. (2004) J. Pharm. Exp. Therap., 311, 315-323)を加える。混合物を60℃で30分間攪拌する。溶媒を減圧蒸発させる。生成物をAcOEt、1N HCl中に取り込む。有機相を洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得て、これを半分取HPLCで精製して所期の生成物を得る。
1b-l-3ジア1 R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率85%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) 勾配70/90%を15分、Rt = 10.50分および10.80分
ESI(+): [M+H]+ = 672.1
1b-l-3ジア2 R1: CH2CH2CH2CH3; C(R2)(R3): C6H10; R4: CH2(4-Ph-Ph) (収率85%)
HPLC: Atlantis T3、CH3CN(0.1% TFA)/H2O (0.1% TFA) Gradient 70/90%を15分、Rt = 10.80分および11.10分
ESI(+): [M+H]+ = 672.1
【0129】
2. 阻害強度の測定
アッセイを96ウェルプレート中にて特定の蛍光発生基質の存在下で行う。
【0130】
発せられた蛍光をBerthold Twinkle LS970Bプレートリーダー中で読み取る。次に阻害剤濃度の関数としての阻害プロットをGraphPadソフトウェアを使用して作り出した後、KiをCheng Prusoff式Ki=IC50/(1+(S/Km))から決定する。
【0131】
2つの標的酵素に対する阻害強度を以下から決定する:
- N末端および/またはC末端保護ならびにジスルフィド架橋のその場開裂後のプロドラッグ1から。
- 前記の値をプロドラッグの合成における中間体である選択的阻害剤、すなわちネプリライシンに対する化合物10、およびAPNに対するアミン官能基の脱保護後の化合物11から確認する。
【0132】
ネプリライシン(NEP)活性の阻害
ウサギ腎から精製したネプリライシン(Aubry M. et al. 1987, Biochem. Cell. Biol. 65, 398-404)を50mM Tris緩衝液pH 7.4中最終濃度200ng/mlで使用する。基質ダンシル-Gly-(NO2)Phe-β-Ala(Goudreau N. et al. (1994) Anal. Biochem., 219, 87-95)(Km=37μM)をエタノールに溶解させ、最終濃度20μMで使用する。増大する濃度(10-10〜10-3M)の阻害剤をNEP-1と共に50mM Tris緩衝液pH 7.4中にて37℃で15分間プレインキュベートする。次に基質を加え、インキュベーションを60分間続ける。プレートを氷に10分間入れることで反応を停止させる。発せられた蛍光を蛍光光度計中にてλex = 355nm、λem = 535nmで読み取る。結果を以下の表に示す。
【0133】
APN活性の阻害
アミノペプチダーゼN(APN)の阻害をL-Ala↓β-NA基質(50μM、Sigma Aldrich)の使用によって測定する。阻害強度を組換えヒト酵素(rh)(50ng/ml; R&D System)を使用して決定する。濃度を増大させた(10-10〜10-3M)阻害剤をAPN-Rhと共に50mM Tris緩衝液pH 7.4中にて37℃で30分間プレインキュベートする。次に基質を加え、インキュベーションを37℃で30分間続ける。プレートを氷に10分間入れることで反応を停止させる。発せられた蛍光を蛍光光度計中にてλex = 340nm、λem = 405nmで読み取る。結果を以下の表に示す。
【0134】
3. 薬理作用: ホットプレート試験
52℃に加熱したプレート上に置いたマウスにおける跳躍反射を、疼痛から逃れるために該動物が跳躍するために要する時間(跳躍待ち時間)によって測定する(Eddy, N.B et al. J. Pharm. Exp. Therap., 1953, 107, 385-389)。
【0135】
式(1a-b-1 ジア3)または(1b-l-1 ジア1)の化合物をエタノール/tween 80/水(1/1/8)の混合物に溶解させた後に雄OF1マウス(23〜26g)に静脈内注射する(10mg/kg)。
注射量: 10ml/kg
【0136】
静脈内注射の10分後に跳躍待ち時間を測定する。
【0137】
結果を下記式を使用して鎮痛パーセントとして表す。
最大待ち時間 = 240秒。
【0138】
結果は平均±SEMに関して表す。結果を図1に示す。
図1