特許第6402137号(P6402137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402137チャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402137
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】チャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/16 20060101AFI20181001BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   B62J1/16 A
   B62J1/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-101749(P2016-101749)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-206202(P2017-206202A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2017年8月4日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 光伸
(72)【発明者】
【氏名】宿利 広和
【審査官】 福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3164560(JP,U)
【文献】 特開2007−246131(JP,A)
【文献】 特開2011−195001(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166314(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3164538(JP,U)
【文献】 特開2015−229444(JP,A)
【文献】 特開2007−145038(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3001838(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第102180228(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1803521(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/16
B62J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に設置したチャイルドシートを覆うチャイルドシート用カバーであって、
前面部に開閉自在の前面カバーが、背面部に前記前面カバーを収納可能な収納部が、それぞれ設けられてなり、前記前面カバーの横幅が前記収納部の収納口幅と略同一であり、前記前面カバーの先端部に前記収納口に係止するストッパーが設けられていることを特徴とするチャイルドシート用カバー。
【請求項2】
前記ストッパーが前記収納部の収納口幅よりも幅広の長尺部材である請求項記載のチャイルドシート用カバー。
【請求項3】
前記収納部の底面部に開口部が存在する請求項1または2記載のチャイルドシート用カバー。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項記載のチャイルドシート用カバーの前記前面カバーの収納方法であって、
前記前面カバーを折り返し、該前面カバーを折り返した状態で前記収納部に収納することを特徴とする前面カバーの収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法に関し、詳しくは、前面カバーが雨に濡れても乾きやすく、収納部への前面カバーの出し入れが容易で、収納の作業性に優れたチャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自転車の前部または後部に設置することのできるチャイルドシートが普及しており、また、チャイルドシートに着座する幼児を風雨から保護するチャイルドシート用カバーも知られている。例えば、特許文献1では、幌部と前面透明カバー部と前掛け部と側面カバーと背もたれ後ろカバー部とを有し、チャイルドシートを上から全体を覆うように被せるチャイルドシート用カバーが提案されている。このチャイルドシート用カバーは、背もたれカバー部内側の下部と、後部カバーの下部にある面ファスナー取り付け部によってチャイルドシートに取り付けて使用するものである。フロントチャイルドシートに使用する際には、側面カバー部に有する開口から自転車ハンドルを抜き出して使用でき、前面透明カバーは側面カバー部と前掛け部の上端と線ファスナーにより開閉し、状況によって透明カバーを開閉や着脱して使用できる。
【0003】
また、特許文献2では、カバー本体部と閉鎖シート部材と集束部材と留めホックとを有し、ハンドル中央部に設けられたチャイルドシートを被覆するチャイルドシート用カバーが提案されている。このチャイルドシート用カバーは、カバー本体部が上面開口部を有し、上面開口部がすぼんでシートの上方端周縁部に締着できる。また、上面開口部を覆うことができる閉鎖シート部材の手前側(サドル側)の裏面およびカバー本体部の対応部位にはそれぞれ面ファスナーが設けられ、これによって閉鎖シート部材を開閉して使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4673441号公報
【特許文献2】登録実用新案第3166215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されているチャイルドシート用カバーは、前面透明カバーを全開するときは、前面透明カバーを後部カバー部の方にひっくり返して全開にして後部カバー部にボタンで留めることができる。この前面透明カバーの収納形態と比べて、より簡易で、より便利な収納形態が、特許文献2では提案されている。すなわち、特許文献2で提案されているチャイルドシート用カバーは、使用時には、開放した閉鎖シート部材をカバー本体部との連接部位に向かって巻回し、巻回した状態で集束部材および留めホックによって括り留め、上面開口部を露出させることによって、カバーを装着した状態のまま幼児をシートに座らせることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2のような閉鎖シート部材(前面カバー)を巻回するような収納形態では、雨で濡れた際に乾きにくく、濡れた部位がはり付いてしまうという問題や、前面カバーを出し入れする際に、巻回し元に戻す手間や、集束部材および留めホックを着脱する手間がかかってしまうという問題を有している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、前面カバーが雨に濡れても乾きやすく、収納部への前面カバーの出し入れが容易で、収納の作業性に優れたチャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、チャイルドシート用カバーの背面部に前面カバーを収納可能な収納部を設けることで、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のチャイルドシート用カバーは、自転車に設置したチャイルドシートを覆うチャイルドシート用カバーであって、
前面部に開閉自在の前面カバーが、背面部に前記前面カバーを収納可能な収納部が、それぞれ設けられてなり、前記前面カバーの横幅が前記収納部の収納口幅と略同一であり、前記前面カバーの先端部に前記収納口に係止するストッパーが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のチャイルドシート用カバーにおいては、前記前面カバーの先端部に前記収納口に係止するストッパーが設けられていることが好ましく、前記ストッパーが前記収納部の収納口幅よりも幅広の長尺部材であることが好ましい。また、本発明のチャイルドシート用カバーにおいては、前記収納部の底面部に開口部が存在することが好ましい。
【0011】
本発明の前面カバーの収納方法は、前記チャイルドシート用カバーの前記前面カバーの収納方法であって、前記前面カバーを折り返し、該前面カバーを折り返した状態で前記収納部に収納することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前面カバーが雨に濡れても乾きやすく、収納部への前面カバーの出し入れが容易で、収納の作業性に優れたチャイルドシート用カバーおよびその前面カバーの収納方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの斜視図である。
図2】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの前面カバーを2つに折り畳んだ状態の背面斜視図である。
図3】本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの前面カバーを2つに折り畳んだ状態で収納部に収納した背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの斜視図である。本発明のチャイルドシート用カバー10は、自転車に設置したチャイルドシートを覆うチャイルドシート用カバーである。図示するチャイルドシート用カバー10は、自転車の後部に設置されたリヤチャイルドシート用のカバーであり、カバー本体11の前面には開閉可能な前面カバー1が備えられている。また、図示する前面カバー1は、開閉手段として、先端部1aには面ファスナー2aが、両側縁部1bには線ファスナー2bが設けられており、これにより開閉自在となっているが、前面カバー1の開閉手段はこれに限られるものではなく、全てが線ファスナーまたは面ファスナー等で開閉可能としてもよい。
【0015】
本発明のチャイルドシート用カバー10は、背面部に収納部3が設けられ、前面カバー1が収納可能に構成されている。図2は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの前面カバーを2つに折り畳んだ状態の背面斜視図であり、図3は、本発明の一好適な実施の形態に係るチャイルドシート用カバーの前面カバーを2つに折り畳んだ状態で収納部に収納した背面斜視図である。図示するように、前面カバー1が上部に向かって開き、晴天時や幼児乗せ降ろし時に、チャイルドシート用カバー10の背面部で前面カバー1を2つに折り畳んだ状態で収納部3に差し込むだけで、容易に収納することができる。このような収納形態により、前面カバーを巻くことや、巻いた状態の前面カバーを留めホックやスナップボタン等の固定部材を用いて括り留めることがないため、雨で濡れた際に乾きにくく、濡れた部位がはり付いてしまうという問題や、前面カバーを出し入れする際の手間がかかるという問題が生じない。また、収納時に、前面カバー1を巻くことがないため、前面カバー1の厚みを出さずにコンパクトに収納することができ、前面カバー1のシワの発生を防ぐこともできるため、外観を向上することができる。図示する前面カバー1は、2つに折り畳んだ状態で収納部3に収納されているが、これに限られるものではなく、折り畳まずに先端部1aから差し込み収納部3に収納されていてもよい。
【0016】
また、本発明のチャイルドシート用カバー10においては、前面カバー1の横幅が収納部3の収納口幅と略同一であり、前面カバー1の先端部1aに収納口4に係止するストッパー5が設けられていることが好ましい。このような構成は、ストッパー5によって前面カバー1の先端部1aが収納口4に係止するため、先端部1aを持ち上げるだけで容易に前面カバー1を収納部3から取り出すことができ、作業性の観点から好適である。ここで、ストッパー5としては、収納部3の収納口幅よりも幅広の長尺部材が好ましい。図示例においては収納部3の収納口幅よりも幅広の長尺部材5を用いているが、収納口4に対して厚みのある板状の部材や、外側に向かって突出する凸部を有する部材を用いてもよく、容易に収納部3への前面カバー1の出し入れが可能であれば、これに限られるものではない。
【0017】
さらに、本発明のチャイルドシート用カバー10は、収納部3の底面部に開口部6が存在することが好ましい。このような開口部6は、雨で濡れた前面カバー1を収納部3に収納した場合でも、水滴が開口部6から抜けやすくなり、また、収納部内の通気性が向上するため、雨で濡れた前面カバー1が乾きやすくなり、これにより雨に濡れた部位のはり付きも抑えることができ、好適である。ここで、開口部6としては、図示例においては、底面部全面が開口しているが、網目状や、開口幅が底面部に向かって先細りになるようなテーパー形状であってもよく、雨で濡れた前面カバー1が乾きやすくなる形状であれば、特に制限はない。なお、本発明のチャイルドシート用カバー10においては、図示するように、収納部3の底面部に開口部6が存在すると、収納部3に差し込んだ前面カバー1が開口部6からズリ落ちてしまうことが考えられるが、上述のとおり、先端部1aにストッパー5を設けることにより、先端部1aが収納口4に係止するため、前面カバー1のズリ落ちを防止することができる。また、開口部6側から、差し込んだ前面カバー1を引っ張ることで前面カバー1をたるまないように収納することができ、シワの発生を防ぐことができる。
【0018】
本発明のチャイルドシート用カバー10は、上述のとおり、背面部に収納部3が設けられ、前面カバー1が収納可能に構成されている。このような構成により、前面カバー1の収納時に、前面カバー1が外側から見えにくくなり、チャイルドシート用カバー10の背面部を覆い隠すこともなく、収納の前後で外観の統一性を保つことができる。図示例においては、チャイルドシート用カバー10の背面部に反射板7が備えられており、この場合、前面カバー1の収納時に反射板を覆い隠すことがなく、収納の前後で交通の安全性を保つことができる。
【0019】
なお、本発明のチャイルドシート用カバー10においては、収納部3の形状、大きさ等は、必要に応じて種々設計することができ、材質についても特に制限はないが、収納部3の大きさは、図示するように、前面カバー1が太陽光により劣化してしまうことを防ぐために、収納された前面カバー1を覆い隠すことができる大きさであることが好ましい。具体的には、収納部3の縦幅がチャイルドシート用カバー10の背面部の縦幅の略半分であってもよいが、収納部3の縦幅が前面カバー1の縦幅の略半分であることが好適である。
【0020】
本発明のチャイルドシート用カバー10は、前面部に開閉自在の前面カバー1が、背面部に前面カバー1を収納可能な収納部3が、それぞれ設けられてなるものであればよく、その他の構成に制限はないが、図示するように、本発明のチャイルドシート用カバー10は、チャイルドシート全体を覆うタイプが好適であるが、これに限定されるものではない。また、本発明のチャイルドシート用カバー10は、図示例においては、リヤチャイルドシート用カバーであるが、フロントチャイルドシート用カバーであってもよい。
【0021】
また、本発明のチャイルドシート用カバー10をチャイルドシートに装着する手段も、従来と同様の手段を採用することができ、例えば、ボタン、スナップボタン、面ファスナー、バックルのついたベルト等を用いることができる。さらに、本発明のチャイルドシート用カバー10の形状、大きさ等は、必要に応じて種々設計することができる。さらにまた、本発明のチャイルドシート用カバー10においては、材質についても特に制限はない。例えば、前面カバー1は、幼児の視界を確保するために、ポリ塩化ビニル等からなる透明または半透明の樹脂シートを用い、その他の部分には、ポリエステル等からなる生地を使用することができるが、全面を透明または半透明の樹脂からなる生地を用いてもよく、適宜素材は自由に変更することができる。また、チャイルドシート用カバー10の表面は、撥水コーティング等が施されていてもよい。さらに、本発明のチャイルドシート用カバー10においては、通気口を設けることで、着座する幼児の呼吸を楽にしたり、カバー内の温度や湿度等を調節したりすることができる。
【0022】
本発明のチャイルドシート用カバー10は、あらゆるタイプのチャイルドシートに装着可能であるが、チャイルドシートとしては、背もたれの上部にヘッドレストを有し、側面と、座面と、座面前方両側に下垂して設けられた足置きを有しているものに好適である。このようなチャイルドシートに装着する場合、従来どおり、チャイルドシート用カバー10のカバー本体11の裾部分に、伸縮自在のゴム紐等のサイズ調整用アジャスターを挿通して、または、縫い込んでカバー本体11の裾部分がチャイルドシートの下端部の外形形状に沿って生地のたるみをとってもよい。
【0023】
次に、本発明の前面カバーの収納方法について説明する。本発明の前面カバーの収納方法は、上記本発明のチャイルドシート用カバーの前面カバーの収納方法である。本発明の前面カバーの収納方法においては、チャイルドシート用カバー10の前面カバー1を折り返し、前面カバー1を折り返した状態で収納部3に収納する。前面カバー1を折り返した状態としては、上記本発明のチャイルドシート用カバーと同様に、前面カバー1を2つに折り畳んだ状態が挙げられるが、これに限られるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1 前面カバー
1a 先端部
1b 側縁部
2a 面ファスナー
2b 線ファスナー
3 収納部
4 収納口
5 ストッパー(長尺部材)
6 開口部
7 反射板
10 チャイルドシート用カバー
11 カバー本体
図1
図2
図3