特許第6402145号(P6402145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402145
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   H01R13/42 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-138796(P2016-138796)
(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公開番号】特開2018-10787(P2018-10787A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上之園 大輔
(72)【発明者】
【氏名】塚本 節
(72)【発明者】
【氏名】植田 翔也
(72)【発明者】
【氏名】杉江 直人
(72)【発明者】
【氏名】柴山 弘達
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0113479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が挿入される複数の端子収容室を有するハウジングと、
前記ハウジングに装着され、前記各端子収容室に収容される前記端子に接続された電線を支持するリアホルダと、
を備えたコネクタであって、
前記リアホルダが、前記各端子収容室に対する挿入方向の所定位置に前記各端子を保持する端子保持部を有
前記端子保持部が、
前記端子に係合して該端子の端子挿入方向位置を規制する前方係止部と、
前記前方係止部より後方側に形成され、前記端子に係合して該端子を前記リアホルダに対して抜け止め係止する後方係止部と、
を備え、
前記前方係止部及び前記後方係止部によって、前記端子が前記リアホルダに前後方向で離脱不能に装着されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
端子が挿入される複数の端子収容室を有するハウジングと、
前記ハウジングに装着され、前記各端子収容室に収容される前記端子に接続された電線を支持するリアホルダと、
を備えたコネクタであって、
前記リアホルダが、前記各端子収容室に対する挿入方向の所定位置に前記各端子を保持する端子保持部を有し、
前記端子保持部が、
前記端子収容室に嵌挿される複数の可撓片と、
前記可撓片の先端部に形成され、前記端子に係合して該端子の端子挿入方向位置を規制する前方係止部と、
前記前方係止部より前記可撓片の基部側に形成され、前記端子に係合して該端子を前記リアホルダに対して抜け止め係止する後方係止部と、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記後方係止部のリアホルダ後方側には、前記可撓片の内面に向かって傾斜するテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングに組付けられて、ハウジングに収容される端子に接続された電線を支持するホルダ(リアホルダ)を備えるコネクタが知られている(特許文献1等参照)。ホルダは、係止部を備えた第1のホルダと、被係止部が係止部に係止されることで、電線を第1のホルダとで挟持する第2のホルダと、を有する。
【0003】
また、図6に示すコネクタ500は、端子501を収容するハウジング503と、ハウジング503の後端に装着されて、ハウジング503とで端子501を保持するリアホルダ505と、を有する。リアホルダ505には、端子501に接続された電線507をセットするためのスリット509が形成される。
このコネクタ500を組付ける際には、先ず、ハウジング503の端子収容室502に複数の端子501をそれぞれ挿入する。
次に、複数の電線507を上下によせてスペース511をつくる。次に、できたスペース511にリアホルダ505を通す。リアホルダ505のスリット509に電線507をセットする。
最後に、図7に示すように、リアホルダ505をハウジング503の後端に装着し、リアホルダ505により端子501を抜け止めしてコネクタ500の組付けを完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−8099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたコネクタは、ハウジングに装着されて端子に接続された電線を支持しているホルダが、第1のホルダと第2のホルダに分割されており、構造が複雑である。このため、組付け作業性がよくないという問題がある。
また、図6及び図7に示したコネクタ500は、端子501を抜け止めするためのリアホルダ505をハウジング503に組付ける際の手順が複雑であり、これに加え電線507が絡むので難作業となる。また、リアホルダ505がハウジング503に装着されるまで、端子501をハウジング503に抜け止めすることができず、端子501が正規の位置から外れる可能性がある。端子501が正規の位置から外れた状態では、リアホルダ505を組付けた場合、端子保持力を得ることができず、組付け不良となる虞がある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、組付け作業性を向上させることができるとともに、組付け不良を抑制できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 端子が挿入される複数の端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングに装着され、前記各端子収容室に収容される前記端子に接続された電線を支持するリアホルダと、を備えたコネクタであって、前記リアホルダが、前記各端子収容室に対する挿入方向の所定位置に前記各端子を保持する端子保持部を有前記端子保持部が、前記端子に係合して該端子の端子挿入方向位置を規制する前方係止部と、前記前方係止部より後方側に形成され、前記端子に係合して該端子を前記リアホルダに対して抜け止め係止する後方係止部と、を備え、前記前方係止部及び前記後方係止部によって、前記端子が前記リアホルダに前後方向で離脱不能に装着されることを特徴とするコネクタ。
【0008】
上記(1)の構成のコネクタによれば、リアホルダをハウジングに装着する前に、端子をリアホルダに組付けることができる。これにより、端子保持部が端子を保持した状態で、リアホルダをハウジングに装着することができ、組付け作業性が向上する。また、端子保持部に対する端子の保持状態が、目視可能となり、組み付け不良の抑制が容易となる。
【0009】
(2) 端子が挿入される複数の端子収容室を有するハウジングと、前記ハウジングに装着され、前記各端子収容室に収容される前記端子に接続された電線を支持するリアホルダと、を備えたコネクタであって、前記リアホルダが、前記各端子収容室に対する挿入方向の所定位置に前記各端子を保持する端子保持部を有し、前記端子保持部が、前記端子収容室に嵌挿される複数の可撓片と、前記可撓片の先端部に形成され、前記端子に係合して該端子の端子挿入方向位置を規制する前方係止部と、前記前方係止部より前記可撓片の基部側に形成され、前記端子に係合して該端子を前記リアホルダに対して抜け止め係止する後方係止部と、を備えることを特徴とするコネクタ。
【0010】
上記(2)の構成のコネクタによれば、リアホルダの端子保持部が、前方係止部と後方係止部が先端部側に設けられた可撓片により構成される。前方係止部は、端子の端子挿入方向位置を規制する。後方係止部は、端子に係合して、リアホルダの後方から端子の抜けることを規制する。そこで、電線の末端に取り付けられた端子は、リアホルダの装着方向と同方向でリアホルダに挿入される。リアホルダに挿入された端子は、端子保持部における可撓片を撓めることにより、可撓片の後方係止部を乗り越えた後、前方係止部にて端子挿入方向位置が規制されて止まる。端子は、前方係止部により端子挿入方向位置が定まると同時に、可撓片が弾性復帰することにより、後方係止部によってリアホルダの後方からの抜けが規制された状態となる。つまり、端子は、リアホルダに離脱不能に装着される。そして、この端子を装着したリアホルダが、ハウジングに装着される。従って、端子は、リアホルダを介してハウジングに組み込まれることになる。本構成のコネクタでは、前方係止部と後方係止部を有する可撓片により、端子保持部をリアホルダに容易に一体成形することができる。
【0011】
(3) 前記後方係止部のリアホルダ後方側には、前記可撓片の内面に向かって傾斜するテーパ面が形成されていることを特徴とする上記(2)に記載のコネクタ。
【0012】
上記(3)の構成のコネクタによれば、電線の末端に取り付けられた端子が、リアホルダの装着方向と同方向で、リアホルダの後方からリアホルダに挿入されると、端子が後方係止部のテーパ面に当たる。更に端子が同方向に挿入されると、可撓片は、テーパ面に当接する端子から受ける力の分力により、後方係止部を端子から退ける方向へ撓ませる。これにより、リアホルダに挿入される端子は、可撓片を撓めることにより、可撓片の後方係止部を容易に乗り越えて、端子保持部への保持がスムースに行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコネクタによれば、組付け作業性を向上させることができるとともに、組付け不良を抑制できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの後端面側からの斜視図である。
図2図1に示したコネクタの縦断面図である。
図3】端子が装着されたリアホルダの側面図である。
図4】端子が装着される前のリアホルダの後端面側からの斜視図である。
図5】端子を装着したリアホルダが装着される前のハウジングの後端面側からの斜視図である。
図6】従来のコネクタにおいて、端子をセットしたリアホルダが挿入される前のハウジングの後端面側からの斜視図である。
図7図6に示したコネクタの水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
本実施形態に係る充電コネクタ100は、例えば車両に搭載される受電側のコネクタに好適に用いることができる。勿論、本発明に係るコネクタは、車両に搭載される給電側のコネクタとして用いられるものであってもよい。以下、本実施形態において、充電コネクタ100として説明する。充電コネクタ100は、複数の端子収容室23を有するハウジング11と、端子保持部15を有するリアホルダ13と、を主要な構成として有する。
なお、本実施形態において、上下前後左右の方向は、図1に示した矢印の方向に従う。
【0017】
図1及び図2に示すように、ハウジング11は、コネクタ嵌合部17と、コネクタ嵌合部17より側方に突出された取付鍔部19と、コネクタ嵌合部17とは反対側に取付鍔部19から突出されたインナー筒部21と、を有する絶縁樹脂製のハウジングである。コネクタ嵌合部17の前端面には複数の端子収容室23の先端側が開口し、この開口より相手コネクタ(図示略)の相手メス端子が挿入される。コネクタ嵌合部17の先端面は、蓋(図示略)によって開閉される。充電コネクタ100は、取付鍔部19の取り付け穴20を利用して車体側にボルト固定される。インナー筒部21の後端面には、各端子収容室23が開口している。各端子25に接続された電源用及び接地用の電線27や、端子29に接続された信号用の電線31は、この各開口より車体内に引き出される。
【0018】
それぞれの端子収容室23には、複数の端子25,29が、リアホルダ13を介してそれぞれ挿入される。複数の端子25は、例えば2個が電源用の端子、1個が接地用の端子となる。また、2個の端子29は、車体側信号用の端子となる。車体側信号用の端子29は、給電側コネクタ(図示略)に収容保持された装置側信号用の端子に接続される端子金具である。車体側信号用の端子29の基端には、車載のバッテリへの給電部に接続される信号用の電線31が接続される。車体側信号用の端子29は、電源用の端子25よりも小サイズでほぼ相似形状となる。従って、車体側信号用の端子29は、電源用の端子25とほぼ同様の保持構造によりハウジング11に抜け止めされる。このため、本明細書では電源用の端子25の保持構造を例に説明し、車体側信号用の端子29の保持構造については説明を省略する。
【0019】
端子25は、導電性金属を切削加工することにより略円柱状に形成される。この他、端子は、所定形状の導電性金属板材をプレス加工で折り曲げることによって形成されてもよい。端子25は、相手メス端子(図示略)が接触される相手端子接触部33と、電線27に接続される電線接続部35と、相手端子接触部33と電線接続部35の間に設けられた円形の鍔状に張りだしたフランジ部37と、を備える。
このフランジ部37は、端子25がハウジング11から抜け止めされる係止部となる。相手端子接触部33は、円形ロッド状に形成されている。つまり、端子25は、オス端子となる。電線接続部35は、電線27の導体28に圧着接続されている。更に、電線接続部35と電線27の間は、外周面を熱収縮チューブ39で覆うことにより防水処理されている。
【0020】
図2に示すように、ハウジング11には、それぞれの端子25,29を収容する複数の端子収容室23が形成される。端子収容室23は、端子挿入方向の略中央部が、隔壁45により仕切られている。端子収容室23は、隔壁45よりも前側が相手メス端子受入部47となり、隔壁45よりも後側がリアホルダ進入部49となる。隔壁45には、接触部挿通孔51が穿設される。接触部挿通孔51には、フランジ部37よりも前側の相手端子接触部33が挿通される。相手端子接触部33は、接触部挿通孔51を貫通することにより相手メス端子受入部47に突出して配置される。
【0021】
この隔壁45の接触部挿通孔51には、リアホルダ進入部49に沿って後方に突出する周壁部53が同軸に形成される。周壁部53は、突出先端面が、僅かな間隙を有して端子25のフランジ部37に対向して配置される。
【0022】
インナー筒部21の外周には、リアホルダ13を係止するための複数(本実施形態では上下左右二対)のホルダ係止突起55が突設される。ホルダ係止突起55は、後端側が案内傾斜面となり、先端側が係止垂直面となる。
【0023】
リアホルダ13は、各端子収容室23に収容される端子25,29に接続された電線27,31を支持する。リアホルダ13は、ハウジング11におけるインナー筒部21の後端面に取り付けられる。リアホルダ13は、ハウジング11に取り付けるための複数(本実施形態では上下左右二対)のホルダ係止アーム57を有する。ホルダ係止アーム57は、基端がリアホルダ本体59に支持されて挿入先端が自由端となる。ホルダ係止アーム57は、先端に係止部61を有する。係止部61は、ハウジング11のホルダ係止突起55に係止される。ホルダ係止アーム57は、係止部61がホルダ係止突起55の係止垂直面に係止されることにより、リアホルダ13の後方移動を規制し、リアホルダ13を離脱不能として、インナー筒部21の後端面にリアホルダ13を固定する。
【0024】
更に、リアホルダ13は、端子収容筒部63を有する。端子収容筒部63は、後方からの端子25,29の挿入を可能とする端子挿通ホルダ開口65が、リアホルダ13の後端面に開口している。端子収容筒部63の端子挿通ホルダ開口65には、電線27,31が接続されたままの端子25,29が、相手端子接触部33を先端側として挿入される。この端子収容筒部63の先端には、端子保持部15が同軸で一体に連設される。本実施形態において、端子保持部15は、端子収容筒部63と一体成形されている。
【0025】
図3に示すように、リアホルダ13の端子保持部15は、各端子収容室23に対する挿入方向の所定位置にそれぞれの端子25,29を保持する。端子保持部15は、端子収容室23に嵌挿される複数の可撓片67を有する。可撓片67は、端子収容筒部63から同軸で延出する例えば円筒部を軸線に沿う複数の切り込みにより円周方向に複数に分割することにより形成することができる。本実施形態において、可撓片67は、上下一対で形成されている。
なお、端子保持部15は、保持する端子の直径に応じて、2〜4片程度の可撓片により構成することができる。
【0026】
一対の可撓片67には、先端部の内側対向面に、一対の前方係止部69が形成される。前方係止部69は、端子25,29のフランジ部37の前面に係合して、端子25,29の端子挿入方向位置を規制する。前方係止部69は、対向する可撓片67に向かって垂設された内向突起がフランジ部37の前面に当接する前抜け規制面を有する。
【0027】
一対の可撓片67には、前方係止部69より可撓片67の基部側に、後方係止部71が形成される。後方係止部71は、端子25を係止して、端子25のリアホルダ13に対する後抜けを規制する。後方係止部71は、対向する可撓片67に向かって垂設された内向突起がフランジ部37の後面に当接する後抜け規制面を有する。
【0028】
また、後方係止部71は、リアホルダ後方側に、可撓片67の内面に向かって傾斜するテーパ面73が形成されている。テーパ面73は、端子挿入方向に向かって、端子25,29の中心線に徐々に接近する方向の傾斜となる。端子保持部15における一対の可撓片67の間に、端子25,29がそれぞれ挿入されると、フランジ部37の外径側がテーパ面73を押圧し、一対の可撓片67が拡開される。一対の可撓片67は、フランジ部37が後方係止部71を通過すると、弾性復元力により元に戻り、後抜け規制面がフランジ部37の後面を係止する。これにより、端子25,29は、後抜けが規制される。
【0029】
一対の可撓片67は、図2に示すように、リアホルダ13がハウジング11に装着されると、外径側がハウジング11のリアホルダ進入部49の内径側に嵌入される。従って、端子保持部15は、リアホルダ進入部49に進入することにより一対の可撓片67の拡開が規制される。これにより、端子保持部15は、前方係止部69及び後方係止部71がフランジ部37から離れる方向の変位が阻止され、係止構造に緩みが生じないように構成されている。
【0030】
次に、上記構成を有する充電コネクタ100の組み付け手順を説明する。
図4に示すように、充電コネクタ100を組み付けるには、先ず、リアホルダ13の各端子挿通ホルダ開口65に、後方から端子25,29をそれぞれ挿入する。端子挿通ホルダ開口65に挿入された端子25,29は、端子収容筒部63から端子保持部15にフランジ部37が進入すると、可撓片67の後方係止部71を挿入方向に押圧する。一対の可撓片67は、後方係止部71のテーパ面73がフランジ部37に押圧されることにより拡開する。これにより、フランジ部37は、後方係止部71を通過する。端子保持部15は、フランジ部37が後方係止部71を通過すると、可撓片67が弾性復帰し、フランジ部37の前面が前方係止部69に当接すると同時に、後方係止部71がフランジ部37の後面を係止する。
【0031】
図5に示すように、全ての端子保持部15により端子25,29を保持したリアホルダ13は、ハウジング11のインナー筒部21に装着される。リアホルダ13は、先端側から突出したそれぞれの端子25,29が、インナー筒部21の後端面で開口する端子収容室23のリアホルダ進入部49に挿入される。この状態で、リアホルダ13をハウジング11に押し込むと、端子保持部15の外径側が、端子収容室23のリアホルダ進入部49の内径側に嵌入される。更に、リアホルダ13を押し込むと、リアホルダ13のホルダ係止アーム57が、ハウジング11のホルダ係止突起55に係止されるので、リアホルダ13のハウジング11からの離脱が規制され、リアホルダ13がハウジング11に保持される。これにより、充電コネクタ100の組み付けが完了する。
【0032】
次に、上記した充電コネクタ100における構成の作用を説明する。
本実施形態に係る充電コネクタ100は、図3及び図5に示したように、リアホルダ13をハウジング11に装着する前に、端子25,29をリアホルダ13の端子保持部15に組付けることができる。これにより、端子保持部15が端子25,29を保持した状態で、リアホルダ13をハウジング11に装着することができ、組付け作業性が向上する。また、端子保持部15に対する端子25,29の保持状態(端子半挿入等の異常等)が、目視可能となり、組み付け不良の抑制が容易となる。
【0033】
また、本実施形態の充電コネクタ100は、リアホルダ13の端子保持部15が、前方係止部69と後方係止部71を先端部側に有する可撓片67により構成されている。前方係止部69は、フランジ部37の前面を係止して端子25,29の端子挿入方向位置を規制する。後方係止部71は、フランジ部37の後面に係合して、リアホルダ13の後方から端子25,29が抜けることを規制する。電線27,31の末端に取り付けられた端子25,29は、リアホルダ13の装着方向と同方向でリアホルダ13に挿入される。リアホルダ13に挿入された端子25,29は、端子保持部15における可撓片67を撓めることにより、可撓片67の後方係止部71を乗り越えた後、前方係止部69にて端子挿入方向位置が規制されて止まる。端子25,29は、前方係止部69により端子挿入方向位置が定まると同時に、可撓片67が弾性復帰することにより、後方係止部71によってリアホルダ13の後方からの抜けが規制された状態となる。つまり、端子25,29は、リアホルダ13に前後方向で離脱不能に装着される。
【0034】
そして、この端子25,29を装着したリアホルダ13が、ハウジング11に装着される。従って、端子25,29は、リアホルダ13を介してハウジング11に組み込まれることになる。従って、本実施形態の充電コネクタ100は、図6に示した従来のコネクタ500のような電線27をかき分ける等の難作業を要さない。
また、本実施形態の充電コネクタ100は、前方係止部69と後方係止部71を有する可撓片67により、端子保持部15をリアホルダ13に容易に一体成形することができる。
【0035】
本実施形態の充電コネクタ100では、電線27,31の末端に取り付けられた端子25,29が、リアホルダ13の装着方向と同方向で、リアホルダ13の後方からリアホルダ13のリアホルダ進入部49に挿入されると、端子25,29が後方係止部71のテーパ面73に当たる。更に端子25,29が同方向に挿入されると、可撓片67は、テーパ面73に当接する端子25,29から受ける力の分力により、後方係止部71を端子25,29から退ける方向へ撓ませる。これにより、リアホルダ13に挿入される端子25,29は、可撓片67を撓めることにより、可撓片67の後方係止部71を容易に乗り越えて、端子保持部15への保持がスムースに行われる。
【0036】
従って、本実施形態に係る充電コネクタ100によれば、組付け作業性を向上させることができるとともに、組付け不良を抑制できる。
【0037】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0038】
例えば、上記実施形態では、端子保持部15が可撓片67により構成される場合を例に説明したが、端子保持部は、剛性を有し、撓まずに端子を抜け止めするものであってもよい。この場合、端子は、端子25,29のようにフランジ部37を有する切削品ではなく、例えばプレス加工で折り曲げ形成され、切り起し形成した可撓性を有する係止部が、剛性を有する端子保持部に係止される。この例では、端子を挿入する際、上記実施形態とは逆に、端子の係止部が変形して端子保持部の後方係止部を乗り越えることになる。この例によれば、端子を後抜け規制する後方係止部の剛性を高めることができ、端子保持部の高い後抜け強度を得ることで端子を高信頼性の下に保持することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、端子25,29をリアホルダ13のリアホルダ進入部49に後方から挿入して端子保持部15に保持する構成を例に説明したが、本発明の端子保持部はこれに限らず、リアホルダの側面に従来同様のスリット(図6のスリット509を参照)を開口し、端子をリアホルダの側方から挿入して保持する端子保持部の構成としてもよい。
【0040】
ここで、上述した本発明に係るコネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 端子(25,29)が挿入される複数の端子収容室(23)を有するハウジング(11)と、
前記ハウジングに装着され、前記各端子収容室に収容される前記端子に接続された電線(27)を支持するリアホルダ(13)と、
を備えたコネクタであって、
前記リアホルダが、前記各端子収容室に対する挿入方向の所定位置に前記各端子を保持する端子保持部(15)を有する、
ことを特徴とするコネクタ(充電コネクタ100)。
[2] 前記端子保持部が、
前記端子収容室に嵌挿される複数の可撓片(67)と、
前記可撓片の先端部に形成され、前記端子に係合して該端子の端子挿入方向位置を規制する前方係止部(69)と、
前記前方係止部より前記可撓片の基部側に形成され、前記端子に係合して該端子を前記リアホルダに対して抜け止め係止する後方係止部(71)と、
を備えることを特徴とする上記[1]に記載のコネクタ(充電コネクタ100)。
[3] 前記後方係止部のリアホルダ後方側には、前記可撓片の内面に向かって傾斜するテーパ面(73)が形成されていることを特徴とする上記[2]に記載のコネクタ(充電コネクタ100)。
【符号の説明】
【0041】
11…ハウジング
13…リアホルダ
15…端子保持部
23…端子収容室
25…端子
27…電線
67…可撓片
69…前方係止部
71…後方係止部
73…テーパ面
100…充電コネクタ(コネクタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7