(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402168
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】両面型太陽電池構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20181001BHJP
H01L 21/283 20060101ALI20181001BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20181001BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20181001BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L21/283 B
H01L21/90 Z
H01L31/04 440
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-254598(P2016-254598)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120909(P2017-120909A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2016年12月28日
(31)【優先権主張番号】14/981,074
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515061673
【氏名又は名称】英▲穏▼達科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Inventec Solar EnergyCorporation
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼▲ゆ▼翔
(72)【発明者】
【氏名】程▲ゆ▼達
(72)【発明者】
【氏名】陳傳▲祺▼
(72)【発明者】
【氏名】林佳龍
(72)【発明者】
【氏名】曹金豹
(72)【発明者】
【氏名】簡榮吾
(72)【発明者】
【氏名】煙浩
【審査官】
吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−129867(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104538501(CN,A)
【文献】
特開2013−225619(JP,A)
【文献】
特開2013−093563(JP,A)
【文献】
特開2014−045036(JP,A)
【文献】
特表2012−514849(JP,A)
【文献】
特開2009−059833(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/045511(WO,A2)
【文献】
特開2014−112601(JP,A)
【文献】
特開昭52−141442(JP,A)
【文献】
特開平05−315628(JP,A)
【文献】
特開2008−282877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
H01L 31/18−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
p+型領域を形成するように半導体基材の第1の表面にボロン拡散の工程を行うと共に、前記p+型領域にボロンシリケートガラス層を形成する工程と、
前記p+型領域を露出させるように、前記p+型領域における前記ボロンシリケートガラス層を除去する工程と、
前記p+型領域に第1の反射防止層を形成する工程と、
前記第1の反射防止層に、後続のリン拡散を行う工程においてリン拡散による第1の反射防止層へのダメージが生じることを避けるための犠牲膜を形成する工程と、
n+型領域を形成すると共に前記n+型領域にリンシリケートガラス層を形成するように前記半導体基材の第2の表面にリン拡散を行う工程と、
前記n+型領域を露出させるように、前記n+型領域における前記リンシリケートガラス層を除去すると共に、前記第1の反射防止層における前記犠牲膜を除去する工程と、
前記n+型領域に第2の反射防止層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項2】
前記p+型領域を形成するように前記半導体基材の前記第1の表面に前記ボロン拡散の工程を行うと共に、前記p+型領域に前記ボロンシリケートガラス層を形成する工程の前に、
前記半導体基材の前記第1の表面及び前記第2の表面のそれぞれにテクスチャ構造組織を形成するように、前記半導体基材にアルカリエッチングステップを行う工程と、
前記半導体基材の前記第2の表面に、後続のボロン拡散の工程においてボロン拡散による前記第2の表面のダメージが生じることを避けるためのブロッキング層を形成する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項3】
前記ブロッキング層の材質は、有機材料又は無機材料であり、
前記有機材料の形成方法は、化学気相成長法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法及びスピンコート法のいずれか1つから選ばれ、
前記無機材料の形成方法は、化学気相成長法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法及びスピンコート法のいずれか1つから選ばれる、
ことを特徴とする請求項2に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項4】
前記第1の反射防止層は、単層構造又は多層構造であり、
前記単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれ、
前記多層構造は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項5】
前記n+型領域を形成すると共に前記n+型領域に前記リンシリケートガラス層を形成するように前記半導体基材の前記第2の表面に前記リン拡散を行う工程において、
前記犠牲膜は、前記第1の反射防止層が酸性エッチングされないように前記第1の反射防止層を保護するのに用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項6】
前記犠牲膜は、二酸化珪素及び酸窒化珪素からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項7】
前記犠牲膜の厚さは、10〜200ナノメートルであることを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項8】
フッ化水素酸で前記リンシリケートガラス層及び前記犠牲膜を除去することを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項9】
前記第2の反射防止層は、単層構造又は多層構造であり、
前記単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれ、
前記多層構造は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基材は、p+型又はn+型のドーパントを含むことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項11】
前記p+型領域及び前記n+型領域は、拡散工程、アニールステップを有するイオン注入工程、及び前駆体アニール工程のいずれか1つの工程を利用することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項12】
前記前駆体アニール工程は、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、及び常圧化学気相成長法のいずれか1つを含むことを特徴とする請求項11に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項13】
両面型太陽電池構造を生成するように前記n+型領域に前記第2の反射防止層を形成する工程の後に、前記p+型領域を電気的に接続するように前記第1の反射防止層に少なくとも1つの第1の電極を形成すると共に、前記n+型領域を電気的に接続するように前記第2の反射防止層に少なくとも1つの第2の電極を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項14】
前記p+型領域に前記第1の反射防止層を形成する工程において、
前記p+型領域の表面に前記第1の反射防止層を形成する工程と、
前記半導体基材の2つの対向する側辺部に前記第1の反射防止層を形成する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項15】
前記第1の反射防止層に前記犠牲膜を形成する工程において、
前記第1の反射防止層の表面に前記犠牲膜を形成する工程と、
前記半導体基材の2つの対向する側辺部に前記犠牲膜を形成する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【請求項16】
前記第1の反射防止層、前記犠牲膜及び前記第2の反射防止層は、化学気相成長法によって形成され、
前記化学気相成長法は、プラズマ励起化学気相成長法、減圧化学気相成長法、及び常圧化学気相成長法からなる群から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の両面型太陽電池構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池構造の製造方法に関し、特に両面型太陽電池構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、両面型太陽電池構造を製造する際には、先ず両面型太陽電池構造の上表面(upper side)に反射防止膜(anti−reflection coating、ARC)を形成した後、当該両面型太陽電池構造の裏面(rear side)にn+型領域拡散の処理を施す。拡散処理においては、オキシ塩化リン(phosphorus oxychloride、POCl
3)を液体リン拡散源として用いる。上記反射防止膜(ARC)の材質は例えば窒化シリコン(silicon nitride、SiN
x)である。しかしながら、リン酸は、一部の窒化シリコン(SiN
x)に対して高いエッチング率を有しており、且つ当該エッチング率は工程における温度上昇に伴って一層顕著となる。従って、両面型太陽電池構造の裏面においてn+型領域拡散の処理を施した後、両面型太陽電池構造の上表面の反射防止膜(ARC)においてピンホール(pin holes)が形成されるため、両面型太陽電池構造の表面に欠陥が生じる問題があった。
【0003】
また、両面型太陽電池の製作過程においては、湿式化学エッチング工程、レーザ絶縁工程又は従来の工程等の方法を利用して電気的絶縁処理(electrical isolation procedure)を施す必要がある。しかしながら、上述した各種電気的絶縁方法では、両面型太陽電池の工程が別途少なくとも1つ必要となることから、その別途設けられた工程によって、工程のコストが増加し、製品の歩留まりが低下することを回避することができない問題があった。
【0004】
従って、上述した問題を解決するために、新規な両面型太陽電池構造の製造方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リン酸の作用を回避して第1の反射防止膜(ARC)にピンホール又は欠陥が形成されないように、犠牲膜(sacrifice film)によって半導体基材の第1の反射防止膜(ARC)及び2つの対向する側辺部を保護する、両面型太陽電池構造の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
本発明はまた、p+型領域とn+型領域とを電気的に絶縁するように、半導体基材の2つの対向する側辺部に第1の反射防止膜(ARC)を同時に形成する、両面型太陽電池構造の製造方法を提供することを課題とする。当該製造方法において、pは正(positive)のイオンであり、nは負(negative)のイオンである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、1つの実施例において、本発明に係る両面型太陽電池構造の製造方法は、p+型領域を形成するように半導体基材の第1の表面にボロン拡散の工程を行うと共に、前記p+型領域にボロンシリケートガラス層を形成する工程と、前記p+型領域を露出させるように、前記p+型領域における前記ボロンシリケートガラス層を除去する工程と、前記p+型領域に第1の反射防止層を形成する工程と、前記第1の反射防止層に犠牲膜を形成する工程と、n+型領域を形成すると共に前記n+型領域にリンシリケートガラス層を形成するように前記半導体基材の第2の表面にリン拡散の工程を行う工程と、前記n+型領域を露出させるように、前記n+型領域における前記リンシリケートガラス層を除去すると共に、前記第1の反射防止層における前記犠牲膜を除去する工程と、前記n+型領域に第2の反射防止層を形成する工程と、を含む。
【0008】
1つの実施例において、前記p+型領域を形成するように前記半導体基材の前記第1の表面に前記ボロン拡散の工程を行うと共に、前記p+型領域に前記ボロンシリケートガラス層を形成する工程の前に、前記半導体基材の前記第1の表面及び前記第2の表面のそれぞれにテクスチャ構造組織を形成するように、前記半導体基材にアルカリエッチングステップを行う工程と、前記半導体基材の前記第2の表面にブロッキング層を形成する工程と、を更に含む。
【0009】
1つの実施例において、前記ブロッキング層の材質は、有機材料又は無機材料であり、前記有機材料の形成方法は、化学気相成長法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法及びスピンコート法のいずれか1つから選ばれ、前記無機材料の形成方法は、化学気相成長法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法及びスピンコート法のいずれか1つから選ばれる。
【0010】
1つの実施例において、前記第1の反射防止層は、単層構造又は多層構造であり、前記単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれ、前記多層構造は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0011】
1つの実施例において、前記n+型領域を形成すると共に前記n+型領域に前記リンシリケートガラス層を形成するように前記半導体基材の前記第2の表面に前記リン拡散の工程を行う工程において、前記犠牲膜は、前記第1の反射防止層が酸性エッチングされないように前記第1の反射防止層を保護するのに用いられる。
【0012】
1つの実施例において、前記犠牲膜は、二酸化珪素及び酸窒化珪素からなる群から選ばれる。
【0013】
1つの実施例において、前記犠牲膜の厚さは、10〜200ナノメートルである。
【0014】
1つの実施例において、フッ化水素酸で前記リンシリケートガラス層及び前記犠牲膜を除去する。
【0015】
1つの実施例において、前記第2の反射防止層は、単層構造又は多層構造であり、前記単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれ、前記多層構造は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0016】
1つの実施例において、前記半導体基材は、p+型又はn+型のドーパントを含む。
【0017】
1つの実施例において、前記p+型領域及び前記n+型領域は、拡散工程、アニールステップを有するイオン注入工程、及び前駆体アニール工程のいずれか1つの工程を利用することで形成される。
【0018】
1つの実施例において、前記前駆体アニール工程は、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、及び常圧化学気相成長法のいずれか1つを含む。
【0019】
1つの実施例において、両面型太陽電池構造を生成するように前記n+型領域に前記第2の反射防止層を形成する工程の後に、前記p+型領域を電気的に接続するように前記第1の反射防止層に少なくとも1つの第1の電極を形成すると共に、前記n+型領域を電気的に接続するように前記第2の反射防止層に少なくとも1つの第2の電極を形成する工程を更に含む。
【0020】
1つの実施例において、前記p+型領域に前記第1の反射防止層を形成する工程において、前記p+型領域の表面に前記第1の反射防止層を形成する工程と、前記半導体基材の2つの対向する側辺部に前記第1の反射防止層を形成する工程と、を更に含む。
【0021】
1つの実施例において、前記第1の反射防止層に前記犠牲膜を形成する工程において、前記第1の反射防止層の表面に前記犠牲膜を形成する工程と、前記半導体基材の2つの対向する側辺部に前記犠牲膜を形成する工程と、を更に含む。
【0022】
1つの実施例において、前記第1の反射防止層、前記犠牲膜及び前記第2の反射防止層は、化学気相成長法によって形成され、前記化学気相成長法は、プラズマ励起化学気相成長法、減圧化学気相成長法、及び常圧化学気相成長法からなる群から選ばれる。
【0023】
本発明の他の実施例において、両面型太陽電池構造の製造方法は、p+型領域を形成するように半導体基材の上表面にボロン拡散の工程を行う工程と、前記p+型領域に第1の反射防止層を形成する工程と、n+型領域を形成するように前記半導体基材の下表面にリン拡散の工程を行う工程と、前記n+型領域に第2の反射防止層を形成し、前記第1の反射防止層及び前記第2の反射防止層のいずれか1つの材質が二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる工程と、前記p+型領域を電気的に接続するように前記第1の反射防止層に少なくとも1つの第1の電極を形成すると共に、前記n+型領域を電気的に接続するように前記第2の反射防止層に少なくとも1つの第2の電極を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る両面型太陽電池構造の製造方法によれば、犠牲膜によって半導体基材の第1の反射防止膜(ARC)及び2つの対向する側辺部を保護することで、リン酸の作用を回避して、当該半導体基材の第1の反射防止膜(ARC)及び2つの対向する側辺部にピンホール又は欠陥が生じないようにすることができる。また、半導体基材の2つの対向する側辺部に同時に第1の反射防止膜(ARC)を形成することによって、p+型領域とn+型領域とを電気的に絶縁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例に係る両面型太陽電池構造の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2A】本発明の実施例における
図1のステップS100に対応するテクスチャ(texture structures)を有する半導体基材の断面図である。
【
図2B】本発明の実施例における
図1のステップS102に対応するブロッキング層(blocking layer)を有する半導体基材の断面図である。
【
図2C】本発明の実施例における
図1のステップS104に対応するp+型領域を有する半導体基材の断面図である。
【
図2D】本発明の実施例における
図1のステップS106に対応するブロッキング層を除去した半導体基材の断面図である。
【
図2E】本発明の実施例における
図1のステップS108に対応するp+型領域に第1の反射防止層を形成した半導体基材の断面図である。
【
図2F】本発明の実施例における
図1のステップS110に対応する第1の反射防止層に犠牲膜を形成した半導体基材の断面図である。
【
図2G】本発明の実施例における
図1のステップS112に対応するn+型領域及びそれに設けたリンシリケートガラス層(phosphorus silicon glass、PSG)を有する半導体基材の断面図である。
【
図2H】本発明の実施例における
図1のステップS114に対応するリンシリケートガラス層(PSG)及び犠牲膜を除去した半導体基材の断面図である。
【
図2I】本発明の実施例における
図1のステップS116に対応するn+型領域に第2の反射防止層を形成した半導体基材の断面図である。
【
図2J】本発明の実施例における
図1のステップS118に対応する金属化工程において複数の第1の電極及び複数の第2の電極を形成した半導体基材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら説明するが、図面における同一の符号は同一の素子又は類似の素子を示すものであり、それらを用いて本発明の原理を例示的に説明する。本明細書における説明は、例示としての具体的な実施例に基づくものであり、本発明を制限するものではない。
【0027】
以下、
図1及び
図2A乃至
図2Jを用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る両面型太陽電池構造の製造方法を示すフローチャートである。
図2A乃至
図2Jは、本発明の実施例における
図1の両面型太陽電池構造の製造方法のステップフローに対応する断面図である。
【0028】
図2Aは、本発明の実施例における
図1のステップS100に対応するテクスチャ(texture structures)202を有する半導体基材200の断面図である。ステップS100において、半導体基材200の2つの対向する表面(即ち上表面(upper surface)206及び下表面(lower surface)204)のそれぞれにテクスチャ202の構造を形成するように、半導体基材200をエッチングする。1つの実施例において、半導体基材200の上表面(upper surface)206及び下表面(lower surface)204のそれぞれにテクスチャ202の構造組織を形成するように、半導体基材200にアルカリエッチング(alkaline etching)を行う。半導体基材200は、例えばシリコン基材であってもよいが、それに限定されない。
【0029】
図2Bは、本発明の実施例における
図1のステップS102に対応するブロッキング層(blocking layer)208を有する半導体基材200の断面図である。ステップS102において、半導体基材200の下表面204にブロッキング層208を形成する。ブロッキング層208の材質は有機材料又は無機材料である。当該有機材料の形成方法は、化学気相成長法(chemical vapor deposition、CVD)、スクリーン印刷法(screen printing)、インクジェット印刷法(inkjet printing)及びスピンコート法(spin coating)のいずれか1つから選ばれる。また、当該無機材料は、二酸化珪素(SiO
2)、酸窒化珪素(SiON
x)及び窒化シリコン(SiN
x)からなる群から選ばれる。当該無機材料の形成方法は、化学気相成長法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法及びスピンコート法のいずれか1つから選ばれる。
【0030】
図2Cは、本発明の実施例における
図1のステップS104に対応するp+型領域210(例えば中程度ドープ領域(medium doping region))を有する半導体基材200の断面図である。ステップS104において、p+型領域210を形成するように、半導体基材200の上表面206にボロン拡散(boron diffusion)の工程を行うと共に、p+型領域210にボロンシリケートガラス層(boron silicon glass、BSG)212を形成する。好ましい実施例において、ブロッキング層208は、ボロン拡散ステップにおいて損害を被ることがないように半導体基材200の下表面204を保護するのに用いられる。1つの実施例において、p+型領域210は、例えばp++型領域(重度ドープ領域(heavy doping region))であり、当該p++型領域は、ボロンドーパント不純物原子を有するp型シリコン基材を含む。又は、p+型領域210は、ボロンドーパント不純物原子を有するn型シリコン基材を含む。1つの実施例において、半導体基材200は、p+型又はn+型のドーパントを含み、ボロン拡散(boron diffusion)ステップを行った場合、p+型領域210はp++型領域(重度ドープ領域(heavy doping region))となり、当該p++型領域はボロンドーパント不純物を有するp型シリコン基材を含む。又は、p+型領域210は、ボロンドーパント不純物を有するn型シリコン基材を含む。p+型領域210及び後述するn+型領域218(例えば中程度ドープ領域(medium doping region))は、拡散工程、アニールステップを有するイオン注入(ion−implantation)工程、及び前駆体アニール工程(precursor−annealing process)のいずれか1つの工程を利用することで形成される。当該前駆体アニール工程は、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、及び常圧化学気相成長法(atmospheric pressure chemical vapor deposition、APCVD)法のいずれか1つを含む。
【0031】
図2Dは、本発明の実施例における
図1のステップS106に対応する、ブロッキング層208を除去(strip)した半導体基材200の断面図である。ステップS106において、p+型領域210におけるボロンシリケートガラス層(BSG)212及び半導体基材200の下表面204のブロッキング層208を除去すると共に、p+型領域210を露出させる。1つの実施例において、フッ化水素酸(hydrofluoric acid、HF)でボロンシリケートガラス層(BSG)212及びブロッキング層208を除去する。
【0032】
図2Eは、本発明の実施例における
図1のステップS108に対応する、p+型領域210に第1の反射防止層214aを形成した半導体基材200の断面図である。好ましい実施例において、ステップS106においてp+型領域210におけるボロンシリケートガラス層(BSG)212及び半導体基材200の下表面204のブロッキング層208を除去すると共にp+型領域210を露出させた後、ステップS108において、水平方向221aに沿って、p+型領域210の表面に第1の反射防止層214aを形成する。第1の反射防止層214aは、単層構造又は多層構造である。当該単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれる。当該多層構造は、二酸化珪素(SiO
2)、酸窒化珪素(SiON
x)、酸化アルミニウム、窒化シリコン(SiN
x)及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。好ましい実施例において、第1の反射防止層214aは、水平方向221aに沿ってp+型領域210の表面に形成されると共に、垂直方向221bに沿って半導体基材200の2つの対向する側辺部(side portions)217に形成される。換言すれば、両面型太陽電池構造の逆電流(reverse current)を低減すべく、p+型領域210とn+型領域218とを電気的に絶縁するように(
図2Gを参照)、第1の反射防止層214aは、p+型領域210に形成されると共に半導体基材200を被覆するよう延在(extended to cover)される。
【0033】
図2Fは、本発明の実施例における
図1のステップS110に対応する、第1の反射防止層214aに犠牲膜216を形成した半導体基材200の断面図である。犠牲膜216は、例えば二酸化珪素(SiO
2)及び酸窒化珪素(SiON
x)である。1つの実施例において、ステップS110において、リン拡散(phosphorus diffusion)によって酸性エッチング液(acid etching)219に腐食されないよう(
図2F乃至2Gを参照)第1の反射防止層214aを保護するように、水平方向221aに沿って、第1の反射防止層214aの表面に犠牲膜216を形成する。同時に、半導体基材200における垂直方向221bに沿った2つの対向する側辺部217に犠牲膜216を更に形成する。換言すれば、ステップS110の後続の工程においてリン拡散による損害(damage)又は欠陥(defects)が生じないよう第1の反射防止層214aを保護するように、犠牲膜216は、第1の反射防止層214a、半導体基材200、p+型領域210及び2つの対向する側辺部217を被覆するよう延在される。1つの実施例において、犠牲膜216の厚さは10〜200ナノメートル(nanometer)であり、好ましくは、30〜50ナノメートルであるが、それに限定されない。
【0034】
図2Gは、本発明の実施例における
図1のステップS112に対応するn+型領域218及びそれに設けたリンシリケートガラス層(phosphorus silicon glass、PSG)220を有する半導体基材200の断面図である。ステップS112において、n+型領域218及び当該n+型領域218におけるリンシリケートガラス層(PSG)220を形成するように、半導体基材200の下表面204にリン拡散の工程を行う。1つの実施例において、n+型領域218は、例えばn++型領域(重度ドープ領域(heavy doping region))であり、当該n++型領域はリンドーパント不純物原子を有するn型シリコン基材を含む。又は、n+型領域218は、ボロンドーパント不純物原子を有するp型シリコン基材を含む。1つの実施例において、半導体基材200は、p+型又はn+型のドーパントを使用する。
【0035】
図2Hは、本発明の実施例における
図1のステップS114に対応する、リンシリケートガラス層(PSG)220及び犠牲膜216を除去した半導体基材200の断面図である。ステップS114において、n+型領域218を露出させるように、n+型領域218におけるリンシリケートガラス層(PSG)220及び第1の反射防止層214aにおける犠牲膜216を同時に除去する。1つの実施例において、フッ化水素酸で(HF)リンシリケートガラス層(PSG)220及び犠牲膜216を除去する。
【0036】
図2Iは、本発明の実施例における
図1のステップS116に対応する、n+型領域218に第2の反射防止層214bを形成した半導体基材200の断面図である。ステップS116において、n+型領域218に第2の反射防止層214bを形成する。当該第2の反射防止層214bは、単層構造又は多層構造である。当該単層構造の材質は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選ばれる。当該多層構造は、二酸化珪素(SiO
2)、酸窒化珪素(SiON
x)、酸化アルミニウム、窒化シリコン(SiN
x)及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0037】
図2Jは、本発明の実施例における
図1のステップS118に対応する金属化工程において複数の第1の電極222a及び複数の第2の電極222bを形成した半導体基材200の断面図である。ステップS118において、p+型領域210を電気的に接続するように第1の反射防止層214aに複数の第1の電極222aを形成すると共に、n+型領域218を電気的に接続するように第2の反射防止層214bに複数の第2の電極222bを形成する。
【0038】
本発明の1つの実施例において、第1の反射防止層214a、犠牲膜216及び第2の反射防止層214bは、化学気相成長法(CVD)によって形成される。化学気相成長法(CVD)は、プラズマ励起化学気相成長法(plasma−enhanced chemical vapor deposition、PECVD)、減圧化学気相成長法(low pressure chemical vapor deposition、LPCVD)、及び常圧化学気相成長法(APCVD)からなる群から選ばれる。
【0039】
このように、本発明に係る両面型太陽電池構造の製造方法によれば、犠牲膜によって半導体基材の第1の反射防止膜(ARC)及び2つの対向する側辺部を保護することで、リン酸の作用を回避して、当該半導体基材の第1の反射防止膜(ARC)及び2つの対向する側辺部にピンホール又は欠陥が生じないようにすることができる。また、半導体基材の2つの対向する側辺部に同時に第1の反射防止膜(ARC)を形成することによって、p+型領域とn+型領域とを電気的に絶縁することができる。
【0040】
なお、その他の実施例に係る両面型太陽電池構造の製造方法によれば、半導体基材の2つの対向する側辺部に同時に第1の反射防止膜(ARC)を形成することによって、p+型領域とn+型領域とを電気的に絶縁することができる。その他の実施例に係る両面型太陽電池構造の製造方法は、
図1に示すフローチャートの内、犠牲膜216を形成するS110を省略すればよい。
【0041】
以上は本発明の好ましい実施例を述べたものに過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、各種の変更及び修正を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載される。
【符号の説明】
【0042】
200 半導体基材
202 テクスチャ
204 下表面
206 上表面
208 ブロッキング層
210 p+型領域
212 ボロンシリケートガラス層
214a 第1の反射防止層
214b 第2の反射防止層
216 犠牲膜
217 側辺部
218 n+型領域
220 リンシリケートガラス層
221a 水平方向
221b 垂直方向
222a 第1の電極
222b 第2の電極
S100、S102、S104、S106、S108、S110、S112、S114、S116、S118 ステップ