(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コア層(P)とシェル層(Q)とで構成されるコア・シェル型の吸水性樹脂粒子であって、(P)が吸水性樹脂(A)を含有し、(Q)が融点50〜180℃の熱可塑性樹脂(B)を含有し、熱可塑性樹脂(B)が、ポリオレフィンを含む疎水性ブロックを有する重合体である吸水性樹脂粒子であって、融点が50〜180℃の熱可塑性樹脂(B)が、ポリオレフィンの疎水性ブロックと親水性ポリマーのブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合およびイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも一種を介して結合した交互ブロック共重合体(G)である、吸水性樹脂粒子。
熱可塑性樹脂(B)が、α−オレフィン単独重合体(C1)および/またはエチレン/α−オレフィン共重合体(C2)からなるα−オレフィン系(共)重合体(C)と低粘度ポリオレフィン系樹脂(D)の存在下に、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸またはその誘導体および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体(E)を加熱溶融混練機中で重合して得られた樹脂である請求項4に記載の吸水性樹脂粒子。
有機系合成繊維が、鞘芯型のもの、偏芯型のものおよび並列型のものから選ばれる少なくとも1種で、融点の異なる複数成分を含み、低融点成分の融点が50〜180℃の熱融着性複合繊維である請求項11に記載の吸収体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子において、上記コア層(P)は、吸水性樹脂(A)を含有する。上記コア層(P)は、実質的に吸水性樹脂(A)から構成されていてよいが、後述するその他の樹脂用添加剤を公知の配合量で含有することもできる。上記吸水性樹脂(A)としてはとくに限定されず、例えば、通常、自重の30倍以上から1000倍程度の水を吸収する能力のある親水性架橋高分子であって、その構成単位にカルボン酸(塩)基[カルボン酸および/またはカルボン酸塩基を言う。以下同様の記載を用いる。]、スルホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、水酸基、ポリエチレンオキシド基などの親水性基を有する吸水性樹脂を挙げることができ、樹脂の種類および製造方法は特に限定しない。本発明に好適に使用しうる吸水性樹脂(A)の例としては、特公昭53−46199号および特公昭53−46200号各公報などに記載のデンプン−アクリル酸(塩)共重合体、特公昭54−30710号および特開昭56−26909号各公報などに記載の逆相懸濁重合法による架橋あるいは自己架橋されたポリアクリル酸塩、特開昭55−133413号公報などに記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合、噴霧重合など)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、特開昭52−14689号および特開昭52−27455号各公報などに記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体ケン化物、特開昭58−2312号および特開昭61−36309号各公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有吸水性樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物、架橋カルボキシメチル誘導体、架橋ポリエチレンオキシド誘導体、架橋ポリビニルアルコール誘導体、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられる。
また、上記吸水性樹脂を更に表面架橋せしめた吸水性樹脂も使用できる。
上記吸水性樹脂は2種以上併用してもよい。
【0012】
上記吸水性樹脂(A)の生理食塩水(0.9%の塩化ナトリウム水溶液)に対する吸収能は,好ましくは自重の30倍以上であり、より好ましくは35〜100倍、さらに好ましくは40〜80倍である。
【0013】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子において、上記シェル層(Q)層は、融点が50〜180℃の熱可塑性樹脂(B)(以下、熱可塑性樹脂(B)又は単に(B)ともいう。)を含有する。該(B)の融点は、好ましくは60〜160℃である。融点が50℃未満の場合、保存中あるいは使用中にブロッキングの問題を生じる。一方融点が180℃を超えると、吸水性樹脂粒子と繊維状基材(F)とを固着させる際に高い温度で処理しなければならず、多大の熱エネルギーを必要として経済的でないばかりか、高い温度での処理により吸収性能の低下や着色現象を生じる。上記シェル層(Q)層は、実質的に熱可塑性樹脂(B)から構成されていてよいが、後述するその他の樹脂用添加剤を公知の配合量で含有することもできる。ただし、後述する低分子量ポリオレフィン(H)および/または可塑剤(I)等を使用する場合は、(Q)はこれらの成分も含む。
【0014】
上記熱可塑性樹脂(B)は、ポリオレフィンを含む疎水性ブロックを有する重合体であり、例えば、ポリオレフィンを含む疎水性ブロックを有するブロック共重合体が使用できる。
【0015】
上記重合体を構成する熱可塑性樹脂は、融点が50〜180℃であり、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなど)、ポリオレフィン誘導体(マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、ポリスチレン樹脂およびその誘導体(ポリスチレン、スルホン化ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体など)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、高分子量ポリエチレングリコール、酢酸ビニル樹脂、ワックス類(パラフィンワックス、ミツロウ、牛脂など)、長鎖脂肪酸エステル樹脂およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ポリオレフィンやその誘導体以外の樹脂は、ポリオレフィンを含む疎水性ブロック以外の部分を構成することができる。
【0016】
上記上記熱可塑性樹脂(B)が有する疎水性ブロックを構成するポリオレフィン(以下、ポリオレフィン(a)ともいう)としては、好ましくは、例えば、カルボニル基(好ましくはカルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)が使用でき、さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)及びアミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)が使用できる。これらのうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(a1)及び(a4)がより好ましい。
【0017】
(a1)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを好ましくは主成分(含量50重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、とくに好ましくは80〜100重量%)とするポリオレフィン(a0)の両末端にカルボニル基を導入したものが挙げられる。(a0)は、通常、両末端が変性可能なポリオレフィン、片末端が変性可能なポリオレフィン及び変性可能な末端基を持たないポリオレフィンの混合物であるが、両末端が変性可能なポリオレフィンが主成分であるものが好ましい。
【0018】
(a0)としては、炭素数(以下、Cと略記)2〜30のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合(重合又は共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィン[重合法]及び高分子量のポリオレフィン(C2〜30のオレフィンの重合によって得られるポリオレフィン)の熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィン[熱減成法]が使用できる。
【0019】
C2〜30のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、C4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン、及びC4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンなどが挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンなどが挙げられ、ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、シクロペンタジエン及び1,11−ドデカジエンなどが挙げられる。これらのうち好ましいのは、C2〜12(エチレン、プロピレン、C4〜12のα−オレフィン、ブタジエン及び/又はイソプレンなど)、さらに好ましいのはC2〜10(エチレン、プロピレン、C4〜10のα−オレフィン及び/又はブタジエンなど)、とくに好ましいのはエチレン、プロピレン及び/又はブタジエンである。
【0020】
熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンは、例えば、特開平3−62804号公報記載の方法等により容易に得ることができる。重合法によって得られるポリオレフィンは公知の方法等で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化物触媒、チーグラー触媒及びチーグラー−ナッタ触媒等の存在下で上記オレフィンを(共)重合させる方法等により容易に得ることができる。重合法又は熱減成法で得られるポリオレフィンのうち、変性基であるカルボニル基の導入のしやすさ、及び入手のしやすさの点で、熱減成法によるが好ましい。
【0021】
(a0)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量(以下、Mnと略記。)は、好ましくは800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、とくに好ましくは1,200〜6,000である。
(a0)中の二重結合の量は、相溶性の観点から好ましくは、C1,000当たり1〜40個、さらに好ましくは2〜30個、とくに好ましくは4〜20個である。
1分子当たりの二重結合の平均数は、繰り返し構造の形成性の観点及び相溶性の観点から好ましくは、1.1〜5、さらに好ましくは1.3〜3、とくに好ましくは1.5〜2.5、最も好ましくは1.8〜2.2である。
熱減成法においては、Mnが800〜6,000の範囲で、一分子当たりの平均末端二重結合数が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる〔例えば、村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)参照〕。
【0022】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)としては、(a0)の両末端をα、β−不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、そのC1〜4のアルキルエステル又はその無水物を意味する。以下、同様。)で変性した構造を有するポリオレフィン(a11)、(a11)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a12)、(a0)を酸化又はヒドロホルミル化変性した構造を有するポリオレフィン(a13)、(a13)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(a14)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0023】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)のMnは、耐熱性及び後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から好ましくは、800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
また、(a1)の酸価は、(b)との反応性の観点から好ましくは、4〜280(mgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)、さらに好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0024】
(a11)は、(a0)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)により変性することにより得られる。α,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、(a0)との反応性の観点から好ましいのは、ジカルボン酸、これらのアルキルエステル及びこれらの無水物、さらに好ましいのはマレイン酸(無水物)及びフマル酸、とくに好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
【0025】
(a12)は、(a11)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。ラクタム、アミノカルボン酸としては、二次変性の反応性の観点から好ましいのは、カプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸、さらに好ましいのはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、特に好ましいのはカプロラクタム及び12−アミノドデカン酸である。
【0026】
(a13)は、(a0)を酸素及び/又はオゾンにより酸化又はオキソ法によりヒドロホルミル化してカルボニル基を導入することにより得られる。これらの方法は、公知であり、適宜適用できる。
【0027】
(a14)は、(a13)をラクタム又はアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。ラクタム及びアミノカルボン酸としては、(a12)で例示したものが挙げられる。
【0028】
上記熱可塑性樹脂(B)における上記重合体としては、ポリオレフィンを含む疎水性ブロックを有するものであれば特に限定されない。たとえば、親水性ブロックも有するもの、ポリオレフィン以外のポリマー鎖を有するもの、等でありうる。また、親水性ブロック又はポリオレフィン以外のポリマー鎖とポリオレフィンを含む疎水性ブロックとの結合形式は、ブロック、ランダム、グラフト又はこれらの混合のいずれであってもよい。
これらのうち、例えば、上記ポリオレフィン(a)の疎水性ブロックと下記に詳述する親水性ポリマー(b)のブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合およびイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも一種を介して結合した交互ブロック共重合体(G)を好ましく挙げることができる。
【0029】
上記親水性ポリマー(b)としては、例えば、ポリエーテルジオール(b1)及びポリエーテルジアミン(b2)が使用できる。
【0030】
ポリエーテルジオール(b1)としては、ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)にアルキレンオキシド(以下、AOと略記)(C2〜12)を付加反応させることにより得られる構造のもの、例えば、一般式:H(OA
1)mO−E
1−O(A
1O)m’Hで示されるもの等が挙げられる。式中、E
1は、(b01)又は(b02)から水酸基を除いた残基を表し、A
1は、ハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基;m及びm’は1〜300、好ましくは2〜250、さらに好ましくは5〜200、とくに好ましくは8〜150、最も好ましくは10〜100の整数を表し、mとm’とは同一でも異なっていてもよい。また、m個の(OA
1)とm’個の(A
1O)とはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、また、これらがそれぞれ2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロック、ランダム又はこれらの組合せのいずれでもよい。
【0031】
ジオール(b01)としては、C2〜12(好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)の2価アルコール(脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族2価アルコール)及びC1〜12の3級アミノ基含有ジオールなどが挙げられる。脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。脂環式2価アルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロオクタンジオール及び1,3−シクロペンタンジオールなどが挙げられる。芳香脂肪族2価アルコールとしては、キシリレンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0032】
3級アミノ基含有ジオールとしては、脂肪族又は脂環式1級モノアミン(C1〜12、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)のビスヒドロキシアルキル(アルキル基のC1〜12、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜8)化物及び芳香(脂肪)族1級モノアミン(C6〜12)のビスヒドロキシアルキル(アルキル基のC1〜12)化物等が挙げられる。
【0033】
脂肪族1級モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、1−及び2−プロピルアミン、n−及びi−アミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−及び3−アミノヘプタン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン及びドデシルアミンなどが挙げられる。脂環式1級モノアミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香(脂肪)族1級モノアミンとしては、アニリン及びベンジルアミンなどが挙げられる。
【0034】
2価フェノール(b02)としては、C6〜18(好ましくは8〜18、さらに好ましくは10〜15)、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオールなど)、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキビフェニルなど)及び縮合多環2価フェノール(ジヒドロキシナフタレン、ビナフトールなど)などが挙げられる。
【0035】
(b01)及び(b02)のうち好ましいのは、2価アルコール及び2価フェノール、さらに好ましいのは脂肪族2価アルコール及びビスフェノール、とくに好ましいのはエチレングリコール及びビスフェノールAである。
【0036】
ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)に付加反応させるAOとしては、C2〜12のAO(エチレンオキサイド(以下EO)、プロピレンオキサイド(以下PO)、1,2−、1,4−、2,3−及び1,3−ブチレンオキシド及びこれらの2種以上の混合物)等が挙げられるが、必要によりその他のAO及び置換AOを併用してもよい。
【0037】
AOの付加モル数は、親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値の観点から好ましくは、(b01)又は(b02)の水酸基1個当り1〜300モル、さらに好ましくは2〜250モル、とくに好ましくは10〜100モルである。
【0038】
ポリエーテルジオール(b1)中のオキシアルキレン単位の含量は、(b1)の重量に基づいて、親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値の観点から、好ましくは、5〜99.8重量%、さらに好ましくは8〜99.6重量%、とくに好ましくは10〜98重量%である。また、ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量は、ポリオキシアルキレン鎖の重量に基づいて、(b)の体積固有抵抗値の観点から、好ましくは、5〜100重量%、さらに好ましくは10〜100重量%、とくに好ましくは50〜100重量%、最も好ましくは60〜100重量%である。
【0039】
ポリエーテルジアミン(b2)としては、ポリエーテルジオール(b1)の水酸基をアミノ基(1級又は2級アミノ基)に変性した構造のもの、例えば、一般式:
RNH−A
2−(OA
1)mO−E
1−O(A
1O)m−A
2−NHR
で示されるものが挙げられる。式中の記号E
1は、(b01)又は(b02)から水酸基を除いた残基を表し、A
1は、ハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基;m及びm’は1〜300、好ましくは2〜250、さらに好ましくは5〜200、とくに好ましくは8〜150、最も好ましくは10〜100の整数を表し、mとm’とは同一でも異なっていてもよい。A
2はハロゲン原子を含んでいてもよいC2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基を表し、A
1とA
2とは同じでも異なってもよい。RはH又はC1〜4(好ましくは1又は2)のアルキル基を表す。
【0040】
親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値(後述の方法で、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される値)は好ましくは1×10
5〜1×10
11Ω・cm、より好ましくは10
6〜10
10Ω・cm、さらに好ましくは10
7〜10
9Ω・cmである。体積固有抵抗値が10
5未満のものは樹脂物性が悪化し、10
11を超えると相溶性が悪化する。
【0041】
(b)のMnは、耐熱性及びポリオレフィン(a)との反応性の観点から好ましくは、150〜20,000、より好ましくは300〜18,000、さらに好ましくは1,000〜15,000、最も好ましくは1,200〜8,000である。
【0042】
なお、本発明で交互ブロック共重合体(G)とは、上記ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合及びイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものである。これらのうち好ましいものとして、例えば、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。
【0044】
上記式中、nは2〜50(好ましくは3〜40、さらに好ましくは4〜30)の整数;R
1及びR
2は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。ただし、R
1、R
2のいずれもがメチル基となることはない。yは15〜800(好ましくは20〜500、さらに好ましくは30〜400)の整数である。E
1は炭素数1〜11のアルキレン基又はフェニレン基(ジオール(b01)又は2価フェノール(b02)から水酸基を除いた残基)である。A
1はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数2〜12(好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜4)のアルキレン基である。m及びm′は、それぞれ独立に1〜300(好ましくは2〜250、さらに好ましくは5〜200、とくに好ましくは8〜150、最も好ましくは10〜100)の整数である。
【0045】
Xは、一般式(2)または一般式(3)で表される基であり、X’は一般式(2’)または一般式(3’)で表される基である。ただし、Xが一般式(2)で表される基であるとき、X’は一般式(2’)で表される基であり、Xが一般式(3)で表される基であるとき、X’は一般式(3’)で表される基である。
【0047】
一般式(2)、(3)、(2’)、(3’)式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4(好ましくは1又は2)のアルキル基である。R
3は炭素数1〜11(好ましくは2〜11、さらに好ましくは5〜11)のアルキレン基である。R
4は水素原子又は炭素数1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基である。A
2はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素数2〜12のアルキレン基である。rは1〜20(好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10)の整数であり、uは0又は1である。
【0048】
Qは一般式(4)で表される基である。Q’は一般式(4’)で表される基である。Tは一般式(5)で表される基である。T’は一般式(5’)で表される基である。
【0050】
一般式(4)、(4’)、(5)、(5’)中、R
5は水素原子又は炭素数1〜10(好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6)のアルキル基である。R
6は水素原子又はメチル基である。tは、R
6がメチル基の場合は1であり、R
6が水素原子の場合は0である。
【0051】
一般式(1)で示される繰り返し単位中の{ }内のポリエーテルセグメント{(OA
1)mO−E
1−O(A
1O)m}は、前記ポリエーテルジオール(b1)又はポリエーテルジアミン(b2)に由来する構造であり、式中のE
1、A
1、m及びm’は前記と同様である。
【0052】
一般式(1)において、Xが一般式(2)で示される基、及びX’が一般式(2’)で示される基であるブロックポリマーには、(a11)及び/又は(a12)と(b1)とを重合反応させることにより得られる(A−1)と、(a11)及び/又は(a12)と(b2)とを重合反応させることにより得られる(A−2)とが含まれる。(A−1)には(a11)と(b1)とを組み合わせた(A−11)、(a12)と(b1)とを組み合わせた(A−12)、及び(A−11)と(A−12)の混合物が含まれる。また、同様に(A−2)には(a11)と(b2)とを組み合わせた(A−21)、(a12)と(b2)とを組み合わせた(A−22)、及び(A−21)と(A−22)の混合物が含まれる。
【0053】
(A−1)は、公知の方法等、例えば(a11)及び/又は(a12)に、(b1)を加えて減圧下、通常200〜250℃で重合(重縮合)反応を行う方法、又は、一軸もしくは二軸の押出機を用い、通常160〜250℃、滞留時間0.1〜20分で重合する方法により製造することができる。特開2007−146145号公報記載の方法を参照することができる。
【0054】
(A−1)のうち、(A−12)は(a11)を前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸で二次変性した後に、(b1)を加えて反応させてもよいし、(a11)とラクタムもしくはアミノカルボン酸を(b1)の存在下反応させ、続いて(b1)と反応させて製造してもよい。
【0055】
(A−2)は、(A−1)における(a11)及び/又は(a12)と(b1)の組み合わせを、(a11)及び/又は(a12)と(b2)の組み合わせに代える以外は(A−1)と同様の方法で製造することができる。また、(A−2)のうち、(A−22)は(b2)を前記ラクタムもしくはアミノカルボン酸で二次変性した後に、これと(a11)とを反応させて製造してもよい。
【0056】
一般式(1)において、Xが一般式(3)で示される基、及びX’が一般式(3’)で示される基であるブロックポリマーには、(a13)(r=1の場合)及び/又は(a14)(r≧2の場合)と(b1)とを重合反応させることにより得られる(A−3)と、(a13)及び/又は(a14)と(b2)とを重合反応させることにより得られる(A−4)とが含まれる。(A−3)には(a13)と(b1)とを組み合わせた(A−31)、(a14)と(b1)とを組み合わせた(A−32)、及び(A−31)と(A−32)の混合物が含まれる。また、同様に(A−4)には(a13)と(b2)とを組み合わせた(A−41)、(a14)と(b2)とを組み合わせた(A−42)、及び(A−41)と(A−42)の混合物が含まれる。(A−3)及び(A−4)は(A−1)や(A−2)と同様の方法で製造することができる。
【0057】
交互ブロック共重合体(G)を構成する(b)の量は、相溶性の観点から、好ましくは(a)と(b)との合計重量に基づいて20〜90重量%、さらに好ましくは25〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。
【0058】
交互ブロック共重合体(G)のMnは、好ましくは2,000〜60,000、さらに好ましくは5,000〜40,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。Mnがこの範囲であれば、(G)が経時的にブリードアウトすることがない。MnはGPC法により公知の手法で測定することができる。
【0059】
交互ブロック共重合体(G)の構造において、ポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックとの繰り返し単位の平均繰り返し数(Nn)は、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜40、より好ましくは4〜30である。Nnは、(G)のMn、及び、
1H−NMR分析によって公知の方法、例えば、目的のいくつかのプロトンに帰属されるシグナルを観測してこれらのプロトン積分値の比を求めて、この比とMnとから、Nnを求めることができる。
【0060】
交互ブロック共重合体(G)の末端は、(a)由来のカルボニル基、アミノ基及び/又は無変性ポリオレフィン末端(何ら変性がなされていないポリオレフィン末端、すなわち、アルキル基又はアルケニル基)、あるいは(b)由来の水酸基及び/又はアミノ基のいずれかである。これらのうち反応性の観点から末端として好ましいのはカルボニル基、アミノ基、水酸基、さらに好ましいのはカルボニル基、水酸基である。
【0061】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子において、上記(B)は、高極性のドメインが成す島と低極性のドメインが成す海とからなる海島構造を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
【0062】
上記熱可塑性樹脂(B)が前記の海島構造を有する熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂(B)としては、α−オレフィン単独重合体(C1)および/またはエチレン/α−オレフィン共重合体(C2)からなるα−オレフィン系(共)重合体(C)と低粘度ポリオレフィン系樹脂(D)との存在下に、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸またはその誘導体および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性単量体(E)を加熱溶融混練機中で重合して得られた樹脂を、好ましく挙げることができる。上記(C)又は(D)はここで得られた熱可塑性樹脂の有する、ポリオレフィンを含む疎水性ブロックの構造となることができる。
【0063】
上記α−オレフィン単独重合体(C1)の具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体が挙げられる。エチレン/α−オレフィン共重合体(C2)の具体例としては、エチレンと上記α−オレフィンとの共重合体が挙げられる。上記(C1)、(C2)としては、これらの(共)重合体のビニル基含有カルボン酸類[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]によるグラフト変性体、ならびにこれらの(共)重合体もしくは変性体の2種以上のブレンド物等も挙げられる。
【0064】
上記α−オレフィン系(共)重合体(C)の具体例としては、上記(C1)、(C2)およびこれらの(共)重合体のビニル基含有カルボン酸類[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]によるグラフト変性体、ならびにこれらの(共)重合体もしくは変性体の2種以上のブレンド物等が挙げられる。これらのうち好ましいものはブテン−1単独重合体およびエチレン/ブテン−1共重合体である。
【0065】
上記(C1)のASTM D1238−L法(230℃、2160g)によるメルトインデックスは1〜100が好ましく、より好ましくは5〜50である。(C1)のメルトインデックスが100を越えると耐油性が不十分となるおそれがあり、1未満では十分な加工性が得られないおそれがある。
【0066】
上記(C2)のASTM D1238−L法(230℃、2160g)によるメルトインデックスは10〜100が好ましく、より好ましくは10〜50である。(C2)のメルトインデックスが100を越えると耐油性が不十分となるおそれがあり、10未満では十分な加工性が得られないおそれがある。
【0067】
上記低粘度ポリオレフィン系樹脂(D)としては、例えば熱減成で得られる低分子量ポリプロピレン系共重合体もしくは公知の重合法で得られる結晶化度10%以下のポリプロピレン系(共)重合体およびこれらのビニル基含有カルボン酸類[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]によるグラフト変性体を挙げることができる。また、(D)中のプロピレン単位含量は30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。(D)中のプロピレン含量が30重量%未満では熱可塑性樹脂(B)の耐熱性が低下するおそれがある。
【0068】
上記(D)の190℃での溶融粘度は、30〜100,000cPが好ましく、より好ましくは40〜20,000cPである。溶融粘度が30cP未満では熱可塑性樹脂(B2)の強度が不十分となるおそれがあり、100,000cPを越えると得られる熱可塑性樹脂(B2)が高粘度となるため、加工性および塗工性が低下するおそれがある。
【0069】
上記ラジカル重合性単量体(E)としては、スチレン系化合物、ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち好ましいものは、熱安定性の面からスチレン系化合物およびスチレン系化合物と上記他の単量体との併用である。
【0070】
スチレン系化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。これらのうち特に好ましいものはスチレンである。
【0071】
ビニル基含有カルボン酸類もしくはその誘導体としては、ビニル基含有カルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]、(メタ)アクリル酸エステル[炭素数1〜18のアルキル(メチル、エチル、プロピル、オクチル、ドデシル等)(メタ)アクリレート、炭素数6〜12の脂環式アルキル(シクロヘキシル、ジシクロヘキシル等)(メタ)アクリレート、炭素数7〜21のアラルキル(ベンジル等)(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等]、ビニル基含有ジカルボン酸のイミド化物[マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等]等が挙げられる。これらのうち好ましいのは(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸およびこれらのエステル化物である。
【0072】
上記海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)において、(C)、(D)、(E)の重量比(C):(D):(E)は、100:(30〜300):(1〜50)が好ましく、より好ましくは100:(50〜200):(3〜30)である。(D)の比率が30未満では得られる熱可塑性樹脂(B)が高粘度となるおそれがあり、300を超えると熱可塑性樹脂(B)のゴム弾性が低下する。また、(E)の比率が1未満では凝集力が弱くなり、熱可塑性樹脂(B)の強度が不十分となり、50を超えると熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度が高くなり加工性が不十分となる。
【0073】
上記海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)の低粘度化をさらに向上させるために、必要によって(液状)水添ポリブタジエン(J)含有させることができる。使用する場合の該(J)の含有量は,好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。(J)の比率が50重量%を越えると熱可塑性樹脂(B)の凝集力が低下する。
【0074】
海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)は、高極性のドメインが成す島と低極性のドメインが成す海とからなる海島構造を有する。このような熱可塑性樹脂(B)を製造する方法は、特に限定されないが、例えば下記の方法が挙げられる。
(1)あらかじめ(C)の存在下で(E)を重合したものと(D)の存在下で(E)を重合したものを混合する方法;
(2)(D)の存在下で(E)を重合したものと(C)の存在下に(E)を重合する方法;
(3)(C)の存在下で(E)を重合したものと(D)の存在下に(E)を重合する方法;
(4)(C)および(D)の存在下に(E)を重合する方法;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは(4)の方法である。
【0075】
海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)は、例えば、これらの方法における原料を、加熱溶融混練機中で重合して得られる。上記重合に用いる加熱溶融混練機としては、その様式形状等は特に限定されるものではないが、例えば、逆ネジ部を有する圧縮性の高い形状のスクリューまたはリボン状攪拌機を有する混合機、ニーダー、押出機、ミキサー等を挙げることができる。これらのうち非開放型の装置を用いるのが好ましく、重合の際には窒素等の不活性ガス雰囲気下で混練することが好ましい。
【0076】
この場合において、好ましくは、連続混合装置を用い、原料を分散した混合物を連続混合装置の原料供給口から供給し、滞留時間を保ちながら重合し、得られた混合物を、二軸押し出し機等によって脱モノマ−を行うことにより、海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)を得てもよい。
【0077】
重合には必要により公知の重合開始剤や有機溶剤を使用することができる。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パ−オキシエステル等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。有機溶剤としては脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、ハロゲン系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等が挙げられる。
【0078】
重合の温度は特に限定はなく、実質的に単量体を重合させる温度であればよいが、通常80〜260℃である。
【0079】
上記シェル層(Q)層が含有する、融点が50〜180℃の熱可塑性樹脂(B)は、さらに、任意に、低分子量ポリオレフィン(H)および/または可塑剤(I)を含有してもよい。
【0080】
上記低分子量ポリオレフィン(H)としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物[エチレン、α−オレフィン(C4〜12、例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等)、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸等]との共重合体、これらの(共)重合体の(無水)不飽和カルボン酸[前記のもの、例えば(無水)マレイン酸]によるグラフト変性体、及びこれらの共重合体もしくは変性体の2種以上のブレンド物が挙げられる。これらのうち、相溶性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン/エチレン共重合体およびこれらの(無水)不飽和カルボン酸によるグラフト変性体が好ましく、さらに好ましいのはポリプロピレンおよびポリプロピレンの(無水)不飽和カルボン酸によるグラフト変性体である。
【0081】
低分子量ポリオレフィン(H)のMnは、500以上が好ましく、さらに好ましくは800以上、特に好ましくは1,000以上であり、かつ、25,000以下が好ましく、さらに好ましくは23,000以下、特に好ましくは20,000以下である。
【0082】
(H)の使用量は、(B)の重量に基づいて、好ましくは30%以下、より好ましくは0.1〜25%、さらに好ましくは0.5〜20%である。
【0083】
上記可塑剤(I)しては、例えば、パラフィン系、ナフテン系もしくは芳香族系のプロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン及び液状ポリイソプレン等の液状樹脂[重量平均分子量(以下Mwと略記。測定はGPC法による。)=300〜10,000]、これらの液状樹脂の水素化体、天然もしくは合成のワックス{パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及び低分子量ポリオレフィンワックス(Mw=1,000〜30,000)等}、及びこれらの2種以上の混合物等、公知の可塑剤が用いられる。これらのうち、熱安定性及び耐候性の観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及びこれらの混合物が好ましい。
【0084】
(I)の使用量は、(B)の合計重量に基づいて、好ましくは50%以下、より好ましくは1〜45%、さらに好ましくは5〜40%である。
【0085】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子において、上記吸水性樹脂(A)に対する上記熱可塑性樹脂(B)の重量比率は、0.1〜10重量%であることが好ましい。この範囲を超えると、(A)本来が有する吸収性能、吸収速度および得られた吸収体の柔軟性が低下する。一方この範囲未満では(A)の繊維状基材(F)への固着性が低下するとともに、得られた吸収体の吸水後の形状保持性が劣る。
【0086】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子には、必要に応じてその他の樹脂用添加剤を使用することができ、例えば、着色剤、充填剤、核剤、滑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤及び抗菌剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの添加剤は、公知のものを公知の配合量等の手法で用いることができる。
【0087】
本発明のコア・シェル型の吸水性樹脂粒子の製造方法としては、どのような方法および過程で製造された樹脂粒子であってもよいが、コア・シェル型樹脂粒子を製造する方法として、次のような製造方法(I)〜(III)等が挙げられる。
(I):コア粒子を作成すると同時にコア・シェル構造にする方法。
熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂粒子の水性分散液(W)と、吸水性樹脂(A)またはその溶剤溶液とを混合し、(W)中に吸水性樹脂(A)またはその溶剤溶液を分散し、(W)中で吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子を形成する方法。
この場合、吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子の造粒と同時にその表面に熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂粒子が付着してコア層(P)・シェル層(Q)で構成されるコア・シェル型樹脂粒子の水性分散体ができ、これからから水性媒体を除去することによって造られる。
【0088】
(II):あらかじめ作製した吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子を熱可塑性樹脂(B)からなるコーティング剤(W’)でコーティングし、さらに必要ならばシェル層を被膜化することでコア・シェル型樹脂粒子を造る方法。
この場合、コーティング方法には、限定はなく、例えば、熱可塑性樹脂(B)の水性分散液(W’)中にあらかじめ作製した吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子を分散させる方法や、あらかじめ作製した吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子に熱可塑性樹脂(B)の溶解液をコーティング剤としてふりかける方法などが挙げられる。
(III):あらかじめ作製した吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子と、予め合成した熱可塑性樹脂(B)とを混合機に入れて混合した後、加熱処理を行い、熱可塑性樹脂(B)を吸水性樹脂(A)からなる樹脂粒子の表面にコーティングした吸水性樹脂粒子を得る方法。
これらの中では(III)の製法が好ましい。
【0089】
コア・シェル型の吸水性樹脂粒子の形状については、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール状、微粉末状などのいずれの形状であってもよい。好ましくは90重量%以上が1mm以下の粒度分布を有する粉粒状であり、特に好ましくは90重量%以上が0.1〜0.9mmの粒度分布を有する粒状、顆粒状、造粒状、リン片状あるいは塊状の吸水性樹脂である。
【0090】
本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子が繊維状基材(F)に固着化されてなる。
【0091】
上記繊維状基材(F)としては、好ましくは、セルロース系繊維、有機系合成繊維、および有機系合成繊維とセルロース系繊維との混合物からなる群から選ばれる1種以上である。セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプなどの天然繊維、ビコースレーヨン、アセテート、キュプラなどのセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹、広葉樹など)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ、CTMPなど)、漂白方法などについては特に限定されない。有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維、熱融着性複合繊維(例えば、融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型などに複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維、上記繊維の表層を改質した繊維など)が挙げられる。これらの繊維状基材の内で好ましいものは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維およびこれらの混合繊維であり、さらに好ましくは、得られた吸水材の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維およびこれらの混合物である。
【0092】
上記繊維状基材(F)の長さ、太さについては特に限定されず、通常長さは1〜200mm、太さは0.1〜100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状、ウェブ状などが例示される。
【0093】
吸水性樹脂粒子と繊維状基材(F)との比は、吸水性樹脂粒子:繊維状基材(F)が重量比で、好ましくは(20:80)〜(95:5)、より好ましくは(30:70)〜(90:10)、さらに好ましくは(35:65)〜(80:20)である。吸水性樹脂粒子の比が20未満では得られる吸収体の機能が十分発現せず、95を超えると吸水体の吸収後の形状保持性が劣る。
【0094】
吸水性樹脂粒子を繊維状基材(F)に固着化する方法としては、用いる(F)の性質に応じて公知の適宜の手法を採用することができる。この場合において、上記有機系合成繊維は、鞘芯型のもの、偏芯型のものおよび並列型のものから選ばれる少なくとも1種で、融点の異なる複数(2又はそれ以上)成分を含み、低融点成分の融点が50〜180℃の熱融着性複合繊維が、固着を実現するために、加熱するという簡単な方法を採用することができ、好ましい。
【0095】
本発明の吸水体を製造方法としては、(1)吸水性樹脂粒子を繊維状基材(F)と混合あるいは(F)に散布し、次いで、吸水性樹脂粒子のシェル層に含有される熱可塑性樹脂(B)の融点以上の温度で処理する方法、(2)吸水性樹脂粒子を繊維状基材(F)と(B)の融点以上の温度で混合し、混合と同時に吸水性樹脂粒子を繊維状基材(F)に部分的に固着させる方法、(3)あらかじめ吸水性樹脂粒子を(B)の融点以上の温度に保って繊維状基材(F)に散粒、塗布または接着させる方法、(4)吸水性樹脂粒子を、(B)の融点以上の温度に保った繊維状基材(F)に散布あるいは混合する方法、等を挙げることができる。
【0096】
吸水性樹脂粒子と繊維状基材(F)とを混合する装置としては通常の混合装置でよく、例えばコニカルブレンダー、ナウターミキサー、V型混合機、流動層式混合機、気流型混合装置、粉粒状物の吹き付けノズルを備えた気流型混合装置、粉粒状物の吹き付けノズルを備えた繊維状物の開砕装置などが挙げられる。(B)の融点以上の温度で処理する装置としては、例えば熱風加熱機、ナウター式加熱機、流動層式加熱機、気流型加熱機、加熱型カレンダーロール、赤外線加熱機、高周波加熱装置などが挙げられる。
【0097】
本発明において、必ずしも吸水性樹脂粒子のすべてが繊維状基材(F)に固着されている必要はなく、吸水性樹脂粒子が部分的に、例えばその50重量%以上が(F)に固着されていればよい。好ましい条件の選択により60重量%以上となる。固着率が50重量%未満では、紙おむつ、生理用品などの吸収性物品へ適用した場合、これら商品の保存、輸送などの過程で吸水性樹脂粒子の移動、遍在、分離もしくは脱落を生じることがある。
【0098】
本発明の吸収体において、上記固着率は、振動試験後の値であることが好ましい。振動試験は、例えば、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて行うことができる。
【0099】
本発明の吸収体は、必要により開砕、積層、圧縮、コールドカレンディング、ヒートカレンディング、ニードルパンチ、延伸、抄造など、通常繊維状物に施される処理を加えることができる。
【0100】
本発明の吸収体に、増量剤、添加剤として有機質粉体(例えばパルプ粉末、セルロース誘導体、天然多糖類など)、無機質粉末(例えばゼオライト、シリカ、アルミナ、ベントナイト、活性炭など)、ガラス繊維、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、界面活性剤、着色剤、香料などを必要により配合することができ、これらの量は吸収体の重量に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0101】
本発明の吸収性物品は、本発明の吸収体を用いたものである。上記吸収性物品としては、例えば、紙おむつ、生理用品、産褥マット、医療用アンダーパッドなどの各種衛生材料や吸収性物品を挙げることができる。特に、吸水性樹脂/繊維(パルプおよび/または熱有着性繊維)の比率が大きい薄型紙おむつや薄型生理用品に有用である。さらに、青果物の鮮度保持材、ドリップ吸収材、水分あるいは湿度調節シート、結露防止材、水稲用の育苗シート、コンクリート養生シート、通信ケーブルおよび光ファイバーケーブルの止水材などのシート状あるいはテープ状吸水材料を製造する際にも有用である。これらの吸収性物品の構成、構造は、当業者によく知られている。
【実施例】
【0102】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
固着率、吸水速度、吸水後の形状保持性は下記の方法により測定した。以下、特に言及しない限り部は重量部、%は重量%を表す。
【0103】
吸水速度:250メッシュのナイロン製ティーバッグに吸収体1gを入れ、これを大過剰の0.9%塩化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、15分間吊るして水切りを行った後に、増加重量を測定し、その測定値を2分間で除した値を吸収速度として評価した。
【0104】
固着率:ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、すなわち850μmのふるいに吸収体を載せ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。受け皿に脱落した吸収性樹脂粒子の重量(W)から固着率を求めた。
試験前の吸収体中に含まれる吸水性樹脂粒子の重量をW0とすると固着率は以下の式で求められる。
固着率(%)={(W0−W)/W0}×100
【0105】
形状保持性:吸水材10gに200mlの生理食塩水を吸収させた後、目開き4mmの金網の上に置いた。この金網に振動を与え、吸収後の吸水材の形状保持の程度、膨潤した吸水性樹脂の脱落の程度を観察し、次の基準で評価した。
◎:形状保持性は良好であり、吸水性樹脂の脱落もほとんど無い
○:形状保持性は良好であり、吸水性樹脂の脱落も少ない
△:ある程度の形状は保持されているが、吸水性樹脂の脱落が多い
×:形状は保持されておらず、吸水性樹脂の脱落も多い
【0106】
<製造例1>
アクリル酸ナトリウム88部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部および脱イオン水293を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素濃量を0.5ppm以下とした。引き続き、この混合液に、1重量%過酸化水素水溶液0.3部、0.2重量%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2重量%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、含水樹脂(ゲル1)を得た。
【0107】
この含水樹脂(ゲル1)400部をミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業(株)製 12VR−400K)にて25℃で5分間細断した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。
【0108】
この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(ホソカワミクロン(株)製、高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の5.5部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより粒子状の吸水性樹脂(A1)を得た。
【0109】
<製造例2>
熱減成法[23℃における密度0.90(単位はg/cm
3、以下数値のみを示す。)MFR6.0g/10分のエチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%)を410±0.1℃で熱減成]で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn3,500、密度0.89、C1,000個当たりの二重結合量7.1個、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90%)90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を混合後、窒素ガス雰囲気下(密閉下)、200℃で溶融させ、200℃で20時間反応させた。その後、過剰の無水マレイン酸とキシレンを減圧下、200℃、3時間で留去して、酸変性ポリプロピレン(a1)を得た。酸価は27.2、Mnは3,700であった。
【0110】
上述の(a1)を66部と1、2−アミノドデカン酸34部を窒素ガス雰囲気下、200℃で溶融し、200℃、3時間、10mmHg以下の減圧下で反応させ、酸変性ポリプロピレン(a2)を得た。(a2)の酸価は17.7、Mnは5,700であった。
【0111】
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリプロピレン(a2)を60部、ポリエチレングリコール(Mn3,200、体積固有抵抗値3×10
8Ω・cm)33部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム7部、酸化防止剤[イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、以下同じ。]0.3部及び酢酸亜鉛0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合させ、粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって、ブロックポリマー(a3)を得た。(a3)のMnは、28,000であり、融点は121℃であった。また、このMnと1H−NMR分析より求めた(a3)の平均繰り返し数Nnは3.4であった。
【0112】
<製造例3>
熱減成法[23℃における密度が0.90でMFRが10(g/10分)のポリプロピレンを410±0.1℃で熱減成]で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn10,000、密度0.89、C1,000個当たりの二重結合量1.3個、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90重量%)94部、無水マレイン酸6部及びキシレン30部を混合後、製造例1と同様にして、酸変性ポリプロピレン(a4)を得た。(a4)の酸価は5.0、Mnは10,000であった。
【0113】
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリプロピレン(a4)を71部、1、2−アミノドデカン酸2部、α、ω−ジアミノポリエチレングリコール(Mn8,000、体積固有抵抗値3×10
7Ω・cm)25部、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム0.5部、酸化防止剤0.3部及び酢酸ジルコニル0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で5時間重合させ、粘稠なポリマーを得た。以下、製造例2と同様にしてブロックポリマー(a5)を得た。(a5)のMnは、36,000であった。また、このMnと
1H−NMR分析より求めた(a5)の平均繰り返し数Nnは2.0であり、融点は128℃であった。
【0114】
<実施例1>
製造例1で製造した粒子状の吸水性樹脂(A1)20重量部と製造例2で合成したブロックポリマー(a3)0.2重量部をV型混合機に入れて20分間混合した後、150℃で15分間過熱処理を行い、ブロックポリマーを表面にコーティングした吸水性樹脂粒子(1)を得た。
次いで芯鞘型ポリエステル/ポリエチレン繊維(低融点成分の融点は50℃以上で150℃未満)を合繊用開綿機(大和機工株式会社製)で解繊し、サンプルローラーカード機(インテック株式会社、ISC−360)でウェブ形成を行った。ウェブ状の芯鞘型ポリエステル/ポリエチレン繊維5重量部に対して吸水性樹脂粒子(1)20重量部を均一になるように播き、150℃で5分間加熱処理を行い、吸収体(1)を得た。
【0115】
<実施例2>
実施例1のブロックポリマー(a3)を製造例3で合成したブロックポリマー(a5)としたこと以外は同様に行い吸収体(2)を得た。
【0116】
<比較例1>
実施例1のブロックポリマー(a3)を酸変性ワックス(分子量1,500、酸価60、融点104℃)としたこと以外は同様に行い吸収体(3)を得た。
【0117】
<比較例2>
実施例1のブロックポリマー(a3)をエチレンビニルアセテート(粘度595mPa・s、融点92℃)としたこと以外は同様に行い吸収体(4)を得た。
【0118】
<比較例3>
比較例1の酸変性ワックスの添加量を1重量部としたこと以外は同様に行い吸収体(5)を得た。
【0119】
<比較例4>
比較例2のエチレンビニルアセテートを1重量部としたこと以外は同様に行い吸収体(6)を得た。
【0120】
実施例1、2および比較例1〜4で得た吸収体(1)〜(6)について測定した吸水速度、固着率、形状保持性の結果を表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
<製造例4>
アクリル酸ナトリウム88部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部および脱イオン水293を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素濃量を0.5ppm以下とした。引き続き、この混合液に、1重量%過酸化水素水溶液0.3部、0.2重量%アスコルビン酸水溶液0.8部及び2重量%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、含水樹脂(ゲル2)を得た。
【0123】
この含水樹脂(ゲル2)400部をミンチ機(目皿穴径:6mm、飯塚工業(株)製12VR−400K)にて25℃で5分間細断した後、通気型バンド乾燥機(135℃、2.0m/秒;井上金属工業(株)製)で乾燥し、乾燥重合体を得た。
【0124】
この乾燥重合体をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器(株)製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(ホソカワミクロン(株)製、高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1重量%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=60/40)の5.5部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、140℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより粒子状の吸水性樹脂(A2)を得た。
【0125】
<製造例5>
ジャケットの熱媒温度を160℃に設定した直径5インチ、L/D=10の連続混合装置(栗本鉄工製KRCS5)を用い、スチレン50重量部、無水マレイン酸50重量部、エチレン−ブテン1共重合体(住友化学工業製「エスプレンN0377」)350重量部、非昌質エチレン−プロピレン共重合体(宇部レキセン製「ウベタックUT2315」)350重量部、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業製「ビスコール660P」)200重量部およびt−ブチルパーオキシベンゾエート0.5重量部を分散した混合物を連続混合装置の原料供給口から供給し、滞留時間が10分になるように保ちながら重合した。得られた混合物を、二軸押し出し機(池貝鉄工製PCM45、L/D=50)で脱モノマ−を行い、本発明における海島構造を有する熱可塑性樹脂(B)を得た。熱可塑性樹脂(B)の融点は105℃であった。
【0126】
<実施例3>
製造例4で製造した粒子状の吸水性樹脂(A2)20重量部と製造例5で合成した熱可塑性樹脂(B)0.2重量部をV型混合機に入れて20分間混合した後、150℃で15分間過熱処理を行い、熱可塑性樹脂(B)を表面にコーティングした吸水性樹脂粒子(2)を得た。
次いで芯鞘型ポリエステル/ポリエチレン繊維(低融点成分の融点は50℃以上で150℃未満)を合繊用開綿機(大和機工株式会社製)で解繊し、サンプルローラーカード機(インテック株式会社、ISC−360)でウェブ形成を行った。ウェブ状の芯鞘型ポリエステル/ポリエチレン繊維5重量部に対して吸水性樹脂粒子(2)20重量部を均一になるように播き、150℃で5分間加熱処理を行い、吸収体(7)を得た。
【0127】
<比較例5>
実施例3の熱可塑性樹脂(B)を酸変性ワックス(分子量1,500、酸価60、融点104℃)としたこと以外は同様に行い、吸収体(8)を得た。
【0128】
<比較例6>
実施例3の熱可塑性樹脂(B)をエチレンビニルアセテート(粘度595mPa・s、融点92℃)としたこと以外は同様に行い、吸収体(9)を得た。
【0129】
<比較例7>
比較例5の酸変性ワックスの添加量を1重量部としたこと以外は同様に行い、吸収体(10)を得た。
【0130】
<比較例8>
比較例6のエチレンビニルアセテートを1重量部としたこと以外は同様に行い、吸収体(11)を得た。
【0131】
実施例3および比較例5〜8で得た吸収体(7)〜(11)について測定した吸水速度、固着率、形状保持性の結果を表2に示した。
【0132】
【表2】