特許第6402208号(P6402208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402208飲料送出ポッドならびに使用方法および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402208
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】飲料送出ポッドならびに使用方法および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20181001BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20181001BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/06 340
   A47J31/36 122
   A47J31/40 107
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-4499(P2017-4499)
(22)【出願日】2017年1月13日
(62)【分割の表示】特願2013-557845(P2013-557845)の分割
【原出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-80511(P2017-80511A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】61/450,548
(32)【優先日】2011年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1103953.4
(32)【優先日】2011年3月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516386029
【氏名又は名称】コーニンクレイケ ダウ エグバーツ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アンドリュー ハンセン
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0007793(US,A1)
【文献】 特表2006−521246(JP,A)
【文献】 特表2005−525146(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0222089(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/008243(WO,A1)
【文献】 米国特許第05840189(US,A)
【文献】 特表2007−530108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0260895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数種の飲料の原料を収容するポッドであって、
開放上部を画定し、底部に向かって前記開放上部から下方に延び、出口開口に向かって内側に集まる外周側壁を有する概して硬質の外側部材であって、前記外周側壁の前記底部が、ドーム状の形状を有し、および、前記出口開口に向かって前記外側部材の内部内で内側に延びる複数のリブを画定し、前記外側部材は、隣接したリブの間に配置され、前記出口開口に向かって向けられた、飲料の出口流の経路を含む、前記外側部材と、
前記出口開口および前記飲料の出口流の経路の上方で前記複数のリブによって支持されるフィルタと、
前記外周側壁の前記底部であって、前記出口開口を取り囲む平坦な支持部分と、前記フィルタから前記出口開口を取り囲む前記平坦な支持部分まで延びる弓形の形状を有する曲線的な底壁部を含む、前記外周側壁の前記底部と、
前記外側部材の各々のリブであって、前記外側部材の外部に溝を画定し、前記外側部材の外部においてそれらの間に、溝の少なくとも一部を画定する、互いから離れて配置された一対の側壁部分を有する、前記外側部材のリブと、
前記外側部材の内部における、前記飲料の出口流の経路であって、それぞれ、前記外側部材の内部の近接するリブの側壁部分と前記曲線的な底壁部の一つによって、部分的に画定される、前記飲料の出口流の経路と、
蓋であって、該蓋は該蓋および前記フィルタによって一部境界が定められる飲料の原料の区画室を形成するように前記開放上部を閉じるために前記外側部材の前記側壁に取り付けられ、前記飲料の原料の区画室への水媒体の流入に対応するように穴をあけることが可能である、前記蓋と、
前記飲料の原料の区画室に配置される1種または複数種の飲料の原料と
を備えることを特徴とするポッド。
【請求項2】
前記側壁はその周辺の周りに内側段部を備え、該内側段部は前記リブの上面部と実質的に同一平面上にあり、前記フィルタが取り付けられる取り付け面を画定することを特徴とする請求項1に記載のポッド。
【請求項3】
前記取り付け面に取り付けられた前記フィルタが、自由に流れる面積と流れが遮断される面積との比が約3:1から約4:1の間であり、または、約3.2:1から約3.7:1の間であり、または、約3.4:1であることを特徴とする請求項2に記載のポッド。
【請求項4】
前記リブの上面が正確に同一平面上にある場合より前記取り付け面の面積が大きいように、前記リブの前記上面部は、わずかな傾斜で前記出口開口に向かって内側に延びていることを特徴とする請求項2または3に記載のポッド。
【請求項5】
前記飲料の出口流の経路が、曲線的な底壁および前記底壁の両側にある直立した内部の側壁部分によってそれぞれ一部画定され、前記側壁部分が隣接したリブの側壁部分も形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポッド。
【請求項6】
前記ドーム状の形状が、前記曲線的な底壁によって画定されることを特徴とする請求項に記載のポッド。
【請求項7】
前記ドーム状の形状が、前記ポッドの全高の約20%から約30%の間の高さ、または、前記ポッドの全高の約25%の高さを有することを特徴とする請求項5または6に記載のポッド。
【請求項8】
前記側壁の前記底部が、使用時に、前記ポッドが、飲料を分配するための位置で飲料抽出装置の抽出区画室内に少なくとも一部受け入れられるように構成され、そして該位置で、前記側壁の前記底部が、前記抽出区画室の直立した穴をあける要素から間隔をおいて配置されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポッド。
【請求項9】
前記側壁が環状であり、前記出口開口が、前記側壁の実質的に平坦な部分によって囲まれ、前記実質的に平坦な部分の直径と前記飲料の原料の区画室に隣接する側壁の最大直径との間の比が、約1:3.7から約1:4.7の間であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポッド。
【請求項10】
前記蓋が、非金属の多層のフィルムであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポッド。
【請求項11】
前記外側部材が、トウモロコシ由来の生分解性材料で形成されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のポッド。
【請求項12】
前記ポッドの前記蓋および/または外側部材のいずれかのバリア特性と比較してより大きいバリア特性を与える外側の可撓性ラッパーと組み合されることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のポッド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の前記ポッドにおける前記飲料の原料から作製される飲料を分配する方法であって、
前記出口開口が遮断されない構成で前記ポッドを用意するステップと、
前記ポッドを飲料抽出装置の抽出区画室に挿入するステップと、
前記蓋に開口を形成するステップと、
前記蓋の前記開口を通じて前記ポッドの前記飲料の原料の区画室の中に水媒体を注入するステップであって、それによって前記水媒体が、前記1種または複数種の飲料の原料と相互作用して飲料を形成する、ステップと、
前記飲料を前記フィルタに通して濾過するステップと、
前記飲料を前記ポッドから前記出口開口を通じて分配するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の飲料ポッドを製造する方法であって、
前記外側部材を用意するステップと、
前記フィルタを前記外側部材に挿入するステップと、
前記外側部材の前記底部において前記リブに前記フィルタを取り付け、少なくとも実質的に前記リブを囲む前記側壁の周辺部に取り付けるステップと、
前記1種または複数種の飲料の原料を前記フィルタの上方で前記外側部材の中に配置するステップと、
前記1種または複数種の飲料の原料の上方で前記蓋を前記外側部材に取り付けて前記飲料の原料の区画室を閉鎖するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載されているのは、飲料送出ポッド(beverage delivery pod)であり、詳細には、飲料の準備のために1種または複数種の原料を収容する密閉式の飲料送出ポッドである。
【背景技術】
【0002】
単一の飲料提供用飲料抽出システム(serve beverage brewing system)は、コーヒーまたは茶などの1種または複数種の飲料の原料の単一の提供部を含みフィルタ式ポッドを受け入れるように構成される抽出機械を有し得る。抽出機械は、ポッドを通じて加熱された水を通すときに、抽出機械から飲料を作製および分配するように構成され得る。ある機械は、ポッドの上部に穴をあけて水をポッドに注入すると共に、ポッドの底に穴をあけて飲料がポッドから出て行くことを可能にするように構成され得る。水の注入と飲料の退出の両方のためにポッドに穴をあけることは、全ての応用例に望ましいものであり得るとは限らない。
【0003】
飲料ポッドは、種々の異なる材料から、種々の異なるように構築され得るものであり、その全てが高い費用対効果の製造および廃棄をもたらすものでも、その全てが異なる飲料抽出システムでの使用に適しているわけでもない。例えば、ある飲料ポッドは、組立中に内部要素の複雑な操作を必要とし得る。またある飲料ポッドは、複雑な内部の射出成形の構成部品を必要とし得る。飲料ポッドは、そのコストを増すことになり望ましくない材料を用いて作製されることも知られている。
【発明の概要】
【0004】
1種または複数種の飲料の原料を収容するポッドが提供され、ポッドは、開放上部と底における出口開口とを備えるほぼ硬質の外側部材を備え、内部フィルタが外側部材の底部に隣接し、1種または複数種の飲料の原料がフィルタの上方に配置され、蓋が開放上部を閉じる。外側部材は、外周側壁を有し、外周側壁は、ほぼ環状であってもよく、開放上部を画定し、底部に向かって開放上部から下方に延び、出口開口に向かって内側に集まる。側壁の底部が、出口開口に向かって外側部材の内部内で内側に延びる複数のリブを画定する。飲料の出口流の経路が、隣接したリブの間に配置され、出口開口に向かって向けられる。実質的に平坦であってもよいフィルタは、出口開口および飲料の出口流の経路の上方でリブによって支持される。
【0005】
フィルタの取り付けを容易にするために、側壁は、リブの上面部と実質的に同一平面上にあるその周辺の周りに内側段部を備えて、接着剤または溶接などを用いることによってフィルタが取り付けできる取り付け面を画定する。大きい取り付け面は、フィルタの取り付けを簡単にすることができるが、大き過ぎる場合、フィルタのより多くの範囲が遮断されることになり、それによって自由に流れる面積を減少させる。一態様では、取り付け面に取り付けられたフィルタが、自由に流れる面積と流れが遮断される面積との比が約3:1から約4:1の間であり、より好ましくは約3.2:1から約3.7:1の間であり、さらにより好ましくは約3.4:1である。
【0006】
自由に流れる面積を含むフィルタの表面積を増大させるために、フィルタは、上方に向いていようが下方に向いていようが、切頭円錐形の構成を含む円錐形であってもよい。これは、リブの上面およびその上のフィルタが正確に同一平面上にある場合より取り付け面の面積が大きくなるように、ある傾斜で出口開口に向かって内側に延びるリブの上面部を構成することによって達成され得る。
【0007】
側壁の底部は、半円またはドーム状の形状を有してもよく、半円またはドーム状の形状は、出口流の経路の曲線的な底面によって少なくとも一部画定することができる。出口流の経路は、底壁の各々の両側に配置された直立した内部の側壁部分によって境界が定められてもよい。それらの同じ側壁部分は、隣接したリブの側壁部分も形成することができる。
【0008】
側壁の底部が半円またはドーム状の形状である場合に含まれる側壁の底部が、使用時に、ポッドが、飲料を分配するための位置で飲料抽出装置の抽出区画室内に少なくとも一部受け入れられるように構成されてもよく、側壁の底部が、抽出区画室の直立した穴をあける要素から間隔をおいて配置される。すなわち、側壁の底部は、飲料を分配するために穴をあけられる必要はない。一態様では、底部の高さは、ポッドの全高の約20%から約30%の間の高さ、より好ましくはポッドの全高の約25%の高さである。別の態様では、出口開口が、側壁の実質的に平坦な部分によって囲まれてもよい。実質的に平坦な部分の直径と飲料の原料の区画室に隣接する側壁の最大直径との間の比が、約1:3.7から約1:4.7の間であり得る。
【0009】
飲料送出ポッドを形成するのに使用される材料は、経済的な製造および/または再生利用性を促進するように選択されてもよい。一態様では、蓋は、非金属の多層のフィルムで形成されてもよい。金属層を省くことによって、蓋は、外側部材からより容易に取り外されて、使用後に残っている飲料の原料を空にし、蓋および/または外側部材を再生利用することができる。別の態様では、外側部材は、トウモロコシ由来の生分解性材料で形成されてもよい。さらに別の態様では、蓋および/または外側部材は、強化されたバリア特性を欠く材料で形成されてもよい。代わりに、1つまたは複数のポッドは、ポッドの蓋および/または外側部材のバリア特性と比較してより大きいバリア特性を与えることができる可撓性ラッパーなどの外装内に設けられてもよい。
【0010】
本明細書に記載のポッドのいずれかにおける飲料の原料から作製される飲料を分配する方法も提供される。この方法は、ポッドを飲料抽出装置の抽出区画室に挿入するステップと、蓋に開口を形成するステップと、蓋の開口を通じてポッドの飲料の原料の区画室の中に水媒体を注入する水媒体を注入するステップであって、それによって水媒体が、1種または複数種の飲料の原料と相互作用して飲料を形成する、ステップとを含む。この方法は、飲料をフィルタに通して濾過するステップと、その後に、飲料を飲料送出ポッドから出口開口を通じて分配するステップとをさらに含む。この方法は、抽出区画室の中にポッドを挿入するステップの前に、適宜、遮断されない構成でポッドを出口開口に与えることを含み、それによって結果として得られる飲料が、外側部材の底部に穴をあける必要なくポッドから出てくることができる。
【0011】
本明細書に記載の飲料送出ポッドのいずれかを製造する方法も提供される。この方法は、外側部材を用意するステップと、フィルタを外側部材に挿入するステップと、外側部材の底部においてリブにフィルタを取り付け、少なくとも実質的にリブを囲む側壁の周辺部に取り付けるステップと、1種または複数種の飲料の原料をフィルタ上方で外側部材の中に配置するステップと、1種または複数種の飲料の原料の上方で蓋を外側部材に取り付けて飲料の原料の区画室を閉鎖するステップとを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】蓋が取り付けられている外側部材を示す飲料送出ポッドの側面図である。
図2】飲料の原料が省略された状態で蓋、内部フィルタ、および外側部材を示す図1の飲料送出ポッドの分解斜視図である。
図3】外側部材の底部の内部の内側に延びる隆起したリブ、およびそれらの間の出口開口に向かって向けられた出口流の経路を示す図1の飲料送出ポッドの外側部材の斜視図である。
図4図1の飲料送出ポッドの外側部材の上面図である。
図5】蓋、飲料の原料、フィルタ、および出口流の経路の一部を画定する曲線的な壁を示す、(明確にするために、蓋、飲料の原料、およびフィルタは省略されている)図4に示される線5−5に沿った図1の飲料送出ポッドの断面立面図である。
図6】蓋、飲料の原料、フィルタ、およびリブを示す、(明確にするために、蓋、飲料の原料、およびフィルタは省略されている)図4に示される線6−6に沿った図1の飲料送出ポッドの断面立面図である。
図7図5の図と同様の飲料送出ポッドの断立面図であるが、外側部材の底部が、抽出区画室の底に穴をあける要素から間隔をおいて配置された状態で、飲料抽出装置の抽出区画室内に配置されるポッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
飲料送出ポッド10は、図1図7で全部または一部が示されるように、一般に、1種または複数種の飲料の原料18を収容するための外側部材12と、外側部材12の底部に支持されるフィルタ16と、外側部材12の上部を閉鎖する蓋14とを備える。使用時、飲料送出ポッド10は、その蓋14に穴をあけられて水媒体、典型的には水が開口を通じて導入される開口を形成するように構成される。1種または複数種の飲料の原料は、例えば、焙煎コーヒーおよび挽いたコーヒー、またはリーフティーであり得る。他の例示的な飲料の原料には、液体コーヒー、チョコレート、またはそれらの組み合わせなどが含まれる。水媒体は、ポッド10内の1種または複数種の飲料の原料18と混ざって飲料を形成し、飲料は、フィルタ16を通過し、外側部材12の底部に配置された出口開口34を通じて分配される。
【0014】
例示的な実施形態の飲料送出ポッド10は、外側部材12が穴をあけられる必要なく飲料の分配を可能にするように構成される。代わりに、図7に示されるように、飲料は、外側部材12の底部に配置された出口開口34から流れることが可能にされる。例示的な実施形態の飲料送出ポッド10は、出口開口34の上方の高い位置で支持される円錐形フィルタ16を用意することを含む製造を容易にするようにも構成される。例示的な実施形態の飲料送出ポッド10は、容易に再生利用可能であり得るコストを削減した構成要素を使用するようにさらに構成される。
【0015】
まず、飲料送出ポッド10の構成を参照すると、外側部材12は、一般に、図1図4に示されるように、環状のカップの形状である。外側部材12は、飲料送出ポッド10の径方向外側の境界、およびその底部を形成する外側壁20を備える。側壁は、図1に示されるように、側壁20の上部分26の上縁から径方向外側に延び、ポッド10の開放上部を囲む周辺フランジ22を含む。周辺フランジ22は、蓋14の外周部を封止する面を与える。直径は、側壁20の上部分26の下縁に位置する内側に延びる上段部28で減少する。側壁20の中間部分30は、上段部28の径方向内側の縁から下側段部32の外側の縁へ下方に延びる。下側段部32は、中間部分30から、外側部材12の底を表す下部のドーム状の底部24への側壁20の移行部にある。
【0016】
上部分26、中間部分30、および底部24は共に、内側に連続的に先が細くなっており、上部分26の先細りおよび中間部分30の先細りは実質的に一定であり、底部24の先細りは増しており、外側部材12の直径、およびしたがってポッド10の直径は、上部から底へ向かって減少するようになっている。そのような先が細くなった構成は、形成中の鋳型からの外側部材12の取り出しを容易にすることができると共に、飲料機械内の挿入および設置を容易にすることができる。段部28および段部32は、外側部材12の輪の強度を増大させるように機能することができ、それによって外側部材12を形成するのに使用される材料の厚さおよびしたがって量が最小にされることを可能にする。段部28および段部32の一方または両方は、充填作業中の設置および支持を助けることもできる。
【0017】
図2図4に示されるように、外側部材12の側壁20の底部24は、複数の隆起した内側に延びるリブ36を備える。図4に示されるように、リブ36は出口開口34を囲む。出口流の経路の少なくとも一部を画定する流れのチャンネルが、リブ36の間に配置され、使用時には、この出口流の経路を通じて、飲料は、出口開口34に向かって流れる間に、フィルタ16の下流に通過できる。リブ36および散在する流れのチャンネルは、外側部材12の内部に関連している。外部から見ると、リブ36は溝であるように見え、流れのチャンネルの境界は、溝によって隔てられた突出要素であるように見える。6つのリブ36および6つの流れのチャンネルが、図に示されているが、2つのリブおよび対応する数の流れのチャンネル、または好ましくは3つ以上のリブおよび対応する数の流れのチャンネルなどの他の個数が用いられてもよい。
【0018】
図4に示されるように、リブ36は、下側段部32の内側縁を起点とし、一対の内側に延びる側壁部分40および内側の正面壁42によってそれぞれ画定される。リブ36のそれぞれは、実質的に平坦な上面44も有する。リブ36の上面44は、下側段部32の内向きの面と実質的に同一平面上にあり、以下に説明する目的のために、下側段部32の内向きの面は、リブ36の周りにリングを形成するようになっている。
【0019】
流れのチャンネルも、下側段部32の内側縁を起点とし、その底において曲線的な底面38によって、およびその両側で隣接したリブ36を定めるのと同じ側壁部分40によってそれぞれ境界が定められる。曲線的な底面38は、フィルタを通じて出口開口34に向かって飲料を、概して滑らかなように、例えば、流れの方向に障害や変化がなく案内するように機能する。流れのチャンネルは、出口開口34周りに配置される共通の空間にそれぞれ向けられ、そこで流れは、図7に示されるように、突き当たり、混ぜ合わされて出口開口34から出て行く1本または複数本の飲料のストリームを形成することができる。曲線的な底面38の1つ1つを組み合わせると、図1に示されるように側面図で見るときなどに、外側部材12の側壁20の底部24のドーム状の外見が与えられる。
【0020】
下側段部32の内向きの面およびリブ36の上面44は、共同して実質的に平坦な面を形成し、そこにフィルタ16を付着することができる。実質的に平坦な面の少なくとも一部は、取り付け面として働き、この取り付け面は、取り付け面でフィルタを貫く流れを妨げるようにフィルタ16が取り付けられる部分である。付着は、接着剤、溶着、または他の適切な取り付け法を用いて達成することができる。好ましくは、下側段部32の内向きの面への取り付けは、実質的に連続的であり、より好ましくは、完全に連続的であり、そのため、全てではないとしてもほとんどの飲料が、出口開口34を通じて出て行く前にフィルタ16を通過しなければならない。リブ36の上面44は、出口開口34の上方の高い位置でフィルタ16を支持するのを助けることができ、それによってフィルタ16の十分に分散した範囲を与え、飲料は、フィルタが下側段部32の内側で支持されていない場合に生じ得るように出口開口34のすぐ上またはすぐ隣の領域に著しく集中されるのではなく、フィルタ16のくっついていない表面積のより多くを通過するようになっている。しかし、取り付け面は、フィルタ16のすぐ隣の部分を通る流体の流れを遮断することができる。好ましくは、この取り付け面は、飲料の分配時の加圧および濾過中に、その高い位置でフィルタ16を保持するのに十分な支持をまだ与えつつ、フィルタ16の表面積の大部分が取り付けられていない、すなわち、取り付け面によって遮断されないままであるようにある程度まで最小化される。好ましい実施形態では、フィルタ16は、自由に流れる面積と流れが遮断される面積との比が約3:1から約4:1の間であり、より好ましくは約3.2:1から約3.7:1の間であり、さらにより好ましくは約3.4:1である。遮断されない表面積がより大きいと、フィルタを通じて飲料を押し出すための圧力の要求が減少することになり得る。
【0021】
フィルタ16の遮断されない表面積を増加させるために、フィルタ16は、円錐形の構成にしてもよい。すなわち、フィルタ16の中央部は、その外周と正確に同一平面上にあるのではなく、形状が切頭円錐形を含む円錐形であってもよい。例えば、フィルタ16は、約10度から約15度ないし約20度の間で、より好ましくは約20度から約40度の間で、例示的な実施形態では、いっそうさらに好ましくは約30度で、その中央部に向かって傾斜角を有してもよい。フィルタ16は、その直径より低い高さを有してもよい。例えば、37mmの直径を有するフィルタにおける傾斜角30度は、フィルタ16の総面積を、正確に平坦である場合の1007mm2から1165mm2へ増大させることができる。円錐形形状は、上方または下方に向けられて表面積を増大させることができるが、フィルタ16の円錐形形状は、出口開口34に向かって下方に向けられることが好ましい。あるいは、フィルタは、実質的に平坦であってもよい。
【0022】
フィルタ16の円錐形形状を実現するために、リブ36の上面44は、フィルタ16に望ましい傾斜角と同じまたは概して同じ傾斜角で上方または下方にわずかに傾けられてもよい。さらに、リブ36の上面44は、内側に先が細くなっても狭められてもよく、それによって飲料が出て行く傾向にある場所であるその中央部に向かってフィルタ16のより少ない支持または遮断された表面積が存在する。
【0023】
次に、飲料送出ポッド10の構成要素の材料および構成の詳細に移ると、例示的な実施形態における外側部材12は、薄い壁があり、概して硬質の構成である。概して硬質であることによって意味されることは、この構造が、通常の取扱い中にそのそれぞれの形状を概して保持する能力を有し、変形があれば、その元の形状に向かって戻る傾向があるということである。好ましくは、外側部材12は、トウモロコシ由来の材料などの生分解性高分子材料で形成される。適した材料には、分解性のポリエチレン(例えば、Symphony Environmental、Borehamwood、英国によって供給される、SPITEK)、生分解性 ポリエステルアミド(例えば、Symphony Environmentalによって供給されるΒAΚ 1095)、ポリ乳酸(Cargill、Minn.、米国によって供給されるPLA)、デンプン由来のポリマー、セルロース誘導体、およびポリペプチドが含まれる。
【0024】
好ましくは、フィルタ16は、高い湿潤強度を有する材料、例えば、ポリエステル不織布繊維材料から作製される。使用できる他の材料には、織った紙繊維を含むセルロース材料などの水不浸透性セルロース材料が含まれる。織った紙繊維は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、および/またはポリエチレンの繊維と混合されてもよい。これのプラスチック材料のセルロース材料への組み込みは、リブ36の面部分44および下側段部32の内向きの面に対してセルロース材料をヒートシール性にさせる。フィルタ16は、材料が取り付け面に対して密閉できるように、熱および/または圧力によって活性化される材料処理またはコーティングすることもできる。
【0025】
好ましくは、蓋14は、1つまたは複数のポリプロピレン(PP)、または充填されたポリプロピレン層、およびポリエチレンテレフタレート(PET)層から作製される多層のフィルムである。一例では、蓋14は、以下の層を有することができ、すなわち、PP(約25ミクロン)、充填されたPP(約60ミクロン)、PP(約25ミクロン)、およびPET(約23ミクロン)の層を有することができる。好ましくは、必ずしも必要ではないが、蓋14は、アルミ箔層などの金属層を含まない。これにより、金属の残余物を背後に残すことなく、蓋14が外側部材12の側壁20のフランジ22に対する取り付けからより容易に取り外されることが可能になり得る。これにより、蓋14が、使用後に外側部材12から取り外され、内容物が捨てられまたは他の方法で取り除かれ、外側部材12の再生利用の準備ができることを可能にすることができる。
【0026】
蓋14と外側部材12はどちらも、従来のバリア層がなくてもよい。バリア層をなくすことにより、構成要素のコストを下げることができる。飲料送出ポッド10の適切な貯蔵寿命のためのバリア特性をもたらすために、フローラップフィルム(flow wrapped film)の形態にあり得る外側ラッパー(outer wrapper)などの2つ以上のポッド10のうちの1つまたは群について外装が設けられてもよい。
【0027】
図7に示されるように、飲料送出ポッド10は、外壁104によって画定される抽出区画室100を有する飲料抽出装置に使用されるように構成されてもよい。ポッド10の外側部材12の周辺フランジ22は、抽出区画室100の外壁104の上部分102に支持され得る。ポッド10は、抽出するのに十分な程度まで挿入されたときに区画室100の底壁106の底に穴をあける部材110によってポッド10が穴をあけられないように構成されてもよい。好ましくは、外側部材12の側壁20の底部24の出口開口34は、開放しており、例えば出口開口34が穴をあけられる必要がない。出口開口34は完全に開放していてもよいが、分配中の飲料、熱、または他の現行の非機械的ファクタによって溶解されるまで出口開口34を遮断するために、抽出区画室100に挿入される前に取り除くことができるラベル(label)、またはポッド10に配置される溶解できるプラグ(plug)などを用いて、出口開口34は最初に閉じていることもできる。
【0028】
本明細書に記載のポッドのいずれかにおける飲料の原料から作製される飲料を分配する方法も提供される。この方法は、ポッド10を飲料抽出装置の抽出区画室100に挿入するステップと、入口に穴をあける器具112などを用いて蓋14に開口を形成するステップと、蓋14内の開口および入口に穴をあける器具112によってポッド10の飲料の原料の区画室の中に水媒体を注入するステップであって、それによって水媒体が、1種または複数種の飲料の原料18と相互作用して飲料を形成する、ステップとを含む。この方法は、飲料をフィルタ16に通して濾過するステップと、その後に、飲料を飲料送出ポッド10から出口開口34を通じて抽出区画室100の中に入れ、抽出区画室100からその出口108を通じて分配するステップとをさらに含む。この方法は、抽出区画室100の中にポッドを挿入するステップの前に、適宜、遮断されない構成でポッド10を出口開口34に与えることを含み、それによって結果として得られる飲料が、抽出区画室100の底106に関連した穴をあける器具110などによって、外側部材12の底部に穴をあける必要なくポッド10から出てくることができる。
【0029】
ここに記載の飲料送出ポッド10のいずれかを製造する方法も提供される。この方法は、外側部材12を用意するステップと、フィルタ16を外側部材12に挿入するステップと、外側部材の底部においてリブ36にフィルタ16を取り付け、少なくとも実質的にリブ36を囲む下側段部32の内向きの面の周辺部に取り付けるステップと、1種または複数種の飲料の原料18をフィルタ16の上方で外側部材12の中に配置するステップと、1種または複数種の飲料の原料18の上方で蓋14を外側部材12に取り付けて飲料の原料の区画室を閉鎖するステップとを含んでもよい。
【0030】
前述より、飲料送出ポッド、使用方法、および製造方法が提供されることが理解されよう。しかし、多数の修正形態および変更形態が、本明細書中の説明および特許請求の範囲に記載の範囲から逸脱することなく当業者によってそれらになされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7