特許第6402247号(P6402247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402247
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】エアポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20181001BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   F04B39/00 101F
   F04B39/00 101M
   F04B39/12 101B
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-513501(P2017-513501)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(65)【公表番号】特表2017-527737(P2017-527737A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】CN2015079326
(87)【国際公開番号】WO2016037493
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】201410464483.0
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201420526921.7
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512234669
【氏名又は名称】廈門科際精密器材有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】薫 振▲凱▼
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−316525(JP,A)
【文献】 特開2004−225607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口が形成された上蓋と、
前記上蓋の底部に設けられ、吸気口が形成された弁座と、
前記吸気口を開閉するように前記吸気口に移動可能に設けられた弁板と、
消音器と、を含み、
前記消音器は、前記上蓋と前記弁座との間に設けられ、前記吸気口と連通する連通孔が形成され、前記消音器と前記上蓋との間に、吸気通路と消音室と排気通路とが区画され、前記吸気通路は前記連通孔に連通され、前記排気通路は前記排気口に連通され、且つ前記吸気通路は前記消音室を介して前記排気通路と連通し、
前記消音器の上面に凹溝が形成され、
前記凹溝の底壁にボスが設けられ、
前記ボスと、前記凹溝と前記上蓋との間に、前記消音室が区画され、
前記吸気通路と前記排気通路とは、前記ボスの上面に形成され且つ離間されて配置される、
ことを特徴とするエアポンプ。
【請求項2】
前記吸気通路と前記排気通路とは、いずれも直線及び/又は曲線に沿って延伸する、
ことを特徴とする請求項に記載のエアポンプ。
【請求項3】
前記吸気通路は、前記ボスの内側に位置する吸気口と、順番で接続される復数のリング通路及び前記ボスの外側に位置する排気口とをこの順に含み、
前記吸気通路の上流側に位置するリング通路の出口端は、前記吸気通路の下流側に位置するリング通路の入口端に接続される、
ことを特徴とする請求項に記載のエアポンプ。
【請求項4】
前記排気通路は、前記ボスの外側に位置する吸気口と、リング通路と、直線通路と、前記ボスの内側に位置する排気口とをこの順に含み、
前記排気通路の上流側に位置するリング通路の出口端は、前記排気通路の下流側に位置する直線通路の入口端に接続される、
ことを特徴とする請求項又はに記載のエアポンプ。
【請求項5】
前記吸気通路は、内から外へ離間されて配置された復数の吸気通路セグメントを含み、隣り合う二つの前記吸気通路セグメントは接続され、且つ前記復数の吸気通路セグメントの接続箇所は内から外への方向にお互いにずらして配置され、前記復数の吸気通路セグメントは同心に設けられる円弧セグメント又は楕円弧セグメントである、
ことを特徴とする請求項に記載のエアポンプ。
【請求項6】
前記ボスは、前記消音器の中心に設けられ、且つ前記凹溝の側壁とお互いに離間される、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のエアポンプ。
【請求項7】
前記弁座と前記消音器との間に吸気室と排気室が区画され、
前記吸気室は前記吸気口と連通され、
前記排気室は前記連通孔に連通され、
前記吸気室は連通通路を介して前記排気室と連通する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のエアポンプ。
【請求項8】
前記弁座に形成された弁座消音室を更に含み、
前記弁座消音室は前記吸気室と連通して前記吸気室から流出した空気の少なくとも一部を前記弁座消音室内に流入させる、
ことを特徴とする請求項に記載のエアポンプ。
【請求項9】
前記吸気室は復数であり、前記復数の吸気室は周方向に沿って離間されて配置される、
ことを特徴とする請求項又はに記載のエアポンプ。
【請求項10】
前記消音器の横断面積は前記上蓋の横断面積と等しい、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のエアポンプ。
【請求項11】
前記上蓋と前記弁座との間に収納空間が区画され、
前記消音器は前記収納空間内に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のエアポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプの機械分野に関し、特にエアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ型エアポンプは医療機器、自動車の座席等の分野、例えば、血圧計、マッサージチェア等に広く用いられているが、関連技術におけるエアポンプの作業中に、騒音が生じやすいため、製品の質が下がられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術における少なくとも一つの技術的課題を解決することである。
【0004】
これに鑑み、本発明は作業騒音が低いエアポンプを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により提供されるエアポンプは、排気口が形成された上蓋と、前記上蓋の底部に設けられ、吸気口が形成された弁座と、前記吸気口を開閉するように前記吸気口に移動可能に設けられた弁板と、消音器と、を含み、前記消音器は、前記上蓋と前記弁座との間に設けられ、前記吸気口と連通する連通孔が形成され、前記消音器と前記上蓋との間に、吸気通路と消音室と排気通路とが区画され、前記吸気通路は前記連通孔に連通され、前記排気通路は前記排気口に連通され、且つ前記吸気通路は前記消音室を介して前記排気通路と連通し、前記消音器の上面に凹溝が形成され、前記凹溝の底壁にボスが設けられ、前記ボスと、前記凹溝と前記上蓋との間に、前記消音室が区画され、前記吸気通路と前記排気通路とは、前記ボスの上面に形成され且つ離間されて配置される。
【0006】
本発明の実施例によるエアポンプは、空気が弁座に入ってから上蓋へ排出する過程に順番に吸気通路と、消音室と排気通路を流れる必要となり、空気の流動経路を延長することができ、更に空気の流動騒音及びエアポンプ全体の騒音を低減する。
【0007】
なお、本発明の上記実施例によるエアポンプは更に以下の付加的な技術的特徴を有することができる。
【0009】
本発明の一つの例によると、前記吸気通路と前記排気通路とは、いずれも直線及び/又は曲線に沿って延伸する。
【0010】
本発明の一つの例によると、前記吸気通路は、順番に、前記ボス内側に位置する吸気口と、順番に接続する復数のリング通路及び前記ボス外側に位置する排気口とを含み、その中、前記吸気通路の上流側に位置するリング通路の出口端は前記吸気通路の下流側に位置するリング通路の吸気端に接続される。
【0011】
本発明の一つの例によると、前記排気通路は、前記ボス外側に位置する吸気口と、リング通路と、直線通路と、前記ボス内側に位置する排気口とを含み、ここで、前記排気通路の上流側に位置するリング通路の出口端は前記排気通路の下流側に位置する直線通路の吸気端に接続される。
【0012】
本発明の一つの例によると、前記吸気通路は内から外へ離間されて配置された復数の吸気通路セグメントを含み、隣り合う二つの前記吸気通路セグメントは接続され、且つ前記復数の吸気通路セグメントの接続点は内から外への方向にお互いにずらして配置され、前記復数の吸気通路セグメントは同心に設けられる円弧セグメント又は楕円弧セグメントである。
【0013】
本発明の一つの例によると、前記ボスは前記消音器の中心に設けられ、且つ前記凹溝の側壁とお互いに離間される。
【0014】
本発明の一つの例によると、前記弁座と前記消音器との間に吸気室と排気室が区画され、前記吸気室は前記吸気口と連通し、前記排気室は前記連通孔に連通され、前記吸気室は前記排気室と連通通路で連通する。
【0015】
本発明の一つの例によると、前記エアポンプは、弁座消音室を更に含み、前記弁座消音室は、前記弁座に形成され、前記弁財消音室は前記吸気室と連通して前記吸気室から流出した空気の少なくとも一部を前記弁座消音室内に流入する。
【0016】
本発明の一つの例によると、前記吸気室は復数で且つ前記復数の吸気室は周方向に沿って離間されて配置される。
【0017】
本発明の一つの例示によると、前記消音器の横断面積は前記上蓋の横断面積と等しい。
【0018】
本発明の一つの例示によると、前記上蓋と前記弁座との間に収納空間が区画され、前記消音器は前記収納空間内に設けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の付加的な特徴と利点は下記の説明により一部が与えられ、その一部が以下の説明により明らかになったり、本発明の実践により理解されたりする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例によるエアポンプの分解図である。
図2図1に示すエアポンプが組み立てされた後の断面図である。
図3図1に示す上蓋の透視図である。
図4図3に示す上蓋の底面図である。
図5図4示すA−A線に沿う断面図である。
図6図1に示す消音器の透視図である。
図7図6に示す消音器の平面図である。
図8図1に示す弁座の透視図である。
図9図8に示す弁座の平面図である。
【符号の説明】
【0021】
100 エアポンプ
1 上蓋
11排気口 12第1ボス 13第1凹溝
2 消音器
21連通孔 22ボス 23凹溝
3 弁座
31吸気口 32位置決め孔
33吸気溝 34排気溝 35連通通路溝 36弁座消音溝
4 弁板
41弁板部 42位置決め部 43位置決めボール
S1 吸気通路
S11第1吸気通路セグメント S12第1トランジション部
S13第2吸気通路セグメント S14第2トランジション部 S15第3吸気通路セグメント
S2 排気通路
S21第1排気通路部 S22第2排気通路部 S23排気トランジション部
S3 消音室
S4吸気室 S5排気室 S6連通通路
S7 弁座消音室
S71開口
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。前記実施形態の例が図面に示されるが、同一または類似する符号は、常に、相同又は類似の部品、或いは、相同又は類似の機能を有する部品を表す。以下に、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものと理解されてはならない。
【0023】
下記の開示にたくさんの異なる実施例又は例が提供されて本発明の異なる構造を達成する。本発明の開示を簡易化させるため、下記の説明に特定の例における部品と設定について説明する。勿論、これらはただの例であり、且つ本発明を限定することを目的とするものではない。なお、本発明は異なる例において数字及び/又は文字を重複に参照する事ができる。この重複は簡易化と明瞭化するためのもので、その自体は検討される各実施例及び/又は設定との間の関係を指示するものではない。なお、本発明は、各特定された工芸と材料の例が提供されるが、当業者は他の工芸の応用性及び/又は他の材料の利用を意識することができる。
【0024】
以下に、図1図9を参照しながら、本発明の実施例によるエアポンプ100を説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例によるエアポンプ100は、上蓋1と、弁座3と、弁板4と、消音器2とを含む。
【0026】
具体的には、図1図2に示すように、弁座3は上蓋1の底部に設けられ、消音器2は、上蓋1と弁座3との間に設けられ、上蓋1に排気口11が形成され、弁座3に吸気口31が形成され、消音器2に吸気口31と連通する連通孔21が形成され、弁板4は移動可能に吸気口31に設けられ吸気口31を打開し、消音器2は上蓋1との間には吸気通路S1と、消音室S3と、排気通路S2とが区画され、吸気通路S1は連通阿南21とレンツするが、排気通路S2は排気口11と連通し、且つ吸気通路S1は排気通路S2と消音室S3で連通する。
【0027】
なお、ここで、「吸気口31」は弁座3の吸気の場合のみのことで、エアポンプ100全体の吸気口を暗示するものではなく、「排気口11」は上蓋1の排気の場合のみのことで、エアポンプ100全体の排気口を暗示するものではない。
【0028】
図1図2に示すように、上蓋1と、消音器2と弁座3とは上から下に順に接続され、ここで、上蓋1は消音器2とともに上部空気収納室が区画され、上部空気収納室は順番に連通する吸気通路S1と消音室S3と排気通路S2とを含み、消音器2は弁座3とともに下部空気収納室(例えば、後文に記載の吸気室S4と、排気室S5と、連通通路S6及び弁座消音室S7とを含み)が区画され、吸気口31は下部空気収納室と連通して下部空気収納室内に空気を供給し、排気口11は上部空気収納室と連通し、上部空気収納室内の空気を外へ排出し、上部空気収納室は下部空気収納室と消音器2における連通孔21で連通され、下部空気収納室内における空気を上部空気収納室内に排出される。
【0029】
これにより、気体、例えば空気は吸気口31から弁座3と消音器2との間の下部空気収納室内に流入し、その後連通孔21を通して上部空気収納室に流入し、上部空気収納室内に吸気通路S1と、消音室S3と排気通路S2とを順に流れ、最後、排気口11で上蓋1から排出する。これにより、空気の流動経路を延長又は複雑化させ、騒音の損失が増え、空気の流動騒音及びエアポンプ100全体の騒音を有効に低減する。
【0030】
本発明の実施例によるエアポンプ100によると、空気は弁座3に入ってから上蓋1から排出する過程に吸気通路S1と、消音室S3と、排気通路S2とを順に流れる必要があり、空気の流動経路を延長することができ、更に空気の流動騒音とエアポンプ100全体の騒音を低減させる。
【0031】
なお、また、本発明の実施例によるエアポンプ100の他の構造例えば気嚢(不図示)等及びエアポンプ100の操作は当業者にとって周知なものであるため、ここで詳しく説明しない。
【0032】
本発明の一つの実施例において、消音器2の上面に下へ凹んだ凹溝23が形成され、凹溝23の底壁にボス22が設けられ、ボス22と凹溝23と上蓋1との間に消音室S3が区画される。図3図6に示すように、凹溝23は消音器2の上面から下へ凹んで形成され、ボス22は凹溝23の底壁から上へ突き出て形成され、ここで、ボス22は消音器2の中心に設けられ、且つボス22と凹溝23の側壁との同士は離間され、対応的に、上蓋1の下面に上へ凹んだ第1凹溝13が形成され、第1凹溝13の底壁に第1ボス12が設けられ、第1ボス12は第1凹溝13の底壁から下へ突き出て形成され、その中第1ボス12は上蓋1の中心に設けられ、且つ第1ボス12と第1凹溝13の側壁との同士は離間される。
【0033】
図3図6図7とを参照すると、凹溝23は、第1凹溝13の横断面形状とサイズとそれぞれ同一で、凹溝23は第1凹溝13と上下に対向し、ボス22は第1ボス12の横断面形状、サイズとそれぞれ同一で、且つボス22は第1ボス12と上下に対向し、上蓋1は消音器2と組み立て完了された後、凹溝23は第1凹溝13とともに消音室S3が区画され、この時ボス22と第1ボス12の外周壁とは消音室S3の内周壁と理解され、凹溝23と第1凹溝13の側壁とは消音室S3の外周壁と理解される。
【0034】
その中、消音器2は上蓋1と組み立てされて同軸する中心軸線を有してもよく、その中、「内」は中心軸線に向かう側と理解されてもよく、その反対側は「外」と定義され、即ち中心軸線から離れる側である。
【0035】
図6図7を更に参照すると、吸気通路S1と排気通路S2とがボス22の上面に形成され且つ間隔を持って分布され、例えば、吸気通路S1と排気通路S2はそれぞれボス22の上面から下へ凹んで形成され、上蓋1は消音器2と結合済んだ後、第1ボス12は吸気通路S1と排気通路S2との頂部を封止することができる。その中、吸気通路S1の吸気口端は連通孔21と連通され、吸気通路S1の排気口端は消音器S3と連通され、排気通路S2の吸気口端は消音室S3と連通され、排気通路S2の排気口端は排気口11と連通される。その中、上蓋1は消音器2の接触面に超音波溶接技術で接続される。
【0036】
好ましくは、吸気通路S1は直線に沿って延伸してもよく、曲線に沿って延伸してもよく、更に、その一部は直線に沿って延伸する一方、他の一部は曲線に沿って延伸してもよい。排気通路S2は、直線に沿って延伸してもよく、曲線に沿って延伸してもよく、更に、その一部は直線に沿って延伸する一方、他の一部は曲線に沿って延伸してもよい。例えば、図7の例において、吸気通路S1は円台形のボス22の中心からボス22の外縁部に蜿蜒延伸し、排気通路S2は丸いボス22の外縁部からボス22の中心へ蜿蜒延伸することができる。従って、排気通路S2のと吸気通路S1の長さを有効に延長させ、排気騒音を有効に低減させる。
【0037】
図7を参照すると、吸気通路S1は、ボス22内側(即ち中心に近い側)に位置する吸気口と、順番に接続された復数のリング通路とボス22の外側に位置する排気口とをこの順に含み、その中、吸気通路S1の上流側に位置するリング通路の出口端は吸気通路S1の下流側に位置するリング通路の吸気端に接続される。その中、「吸気通路S1の上流」とは、吸気通路S1を流れる流体の流動方向の上流を言う。「吸気通路S1の下流」は吸気通路S1を流れる流体の流動方向の下流を言う。具体的には、吸気通路S1は内から外へ離間されて配置された復数の吸気通路セグメントを含み、隣り合う二つの吸気通路セグメントは接続され、且つ復数の吸気通路セグメントの接続点は内から外への方向にお互いにずらして配置される。例えば図7の例において、吸気通路S1は三つの吸気通路セグメントを含み、前記三つの吸気通路セグメントは、それぞれ第1吸気通路セグメントS11と、第2吸気通路セグメントS13と第3吸気通路セグメントS15で、その中で、第1吸気通路セグメントS11と、第2吸気通路S13と第3吸気通路セグメントS15とはそれぞれ同軸する円弧線に沿って延伸し、且つ構造は同心する円弧セグメントである。第1吸気通路S11と、第2吸気通路セグメントS13と第3吸気通路セグメントS15との延伸線は内から外へ間隔を持って離間される。勿論、本発明はこれを限定するものではなく、各吸気通路セグメントS1部は更に楕円弧セグメント又は直線セグメント等であっても良い。
【0038】
図7に示すように、第1吸気通路セグメントS11は第2吸気通路セグメントS13と第1トランジション部S12で接続され、第2吸気通路セグメントS13は第3吸気通路セグメントS15と第2トランジション部S14で接続され、第1トランジション部S12と第2トランジション部S14とはそれぞれ第2吸気通路セグメントS13の両端に位置するため、第1トランジション部S12は第2トランジション部S14とお互いにずらして配置され、且つ第1トランジション部S12に接続された第1吸気通路S1は第2トランジション部S14に接続されるた第3吸気通路S1の内側に位置するため、第1トランジション部S12は第2トランジション部S14と内外に離間されている。なお、その中、吸気通路S1の数と形状は実の需要に応じ設けることができ、実の需要をより満足させる。
【0039】
具体的には、図7を参照すると、第1吸気通路S11の内部端部は連通孔21と連通し、第3吸気通路セグメントS15の外部端部は消音室S3と連通することにより、連通孔21から吸気通路S1内に入った空気は第1吸気通路セグメントS11と第2吸気通路セグメントS13と第3吸気通路セグメントS15とをこの順に流れ、最終、消音室S3内に排出される。
【0040】
図7を参照すると、排気通路S2はボス22の外側(即ち中心から離れる側)に位置する吸気口と、リング通路と直線通路と、ボス22の内側に位置する排気口とをこの順に含み、その中、排気通路S2の上流側に位置するリング通路の出口端は、排気通路S2の下流側に位置する直線通路の吸気端に接続される。なお、その中、「排気通路S2の上流」は吸気通路S2を流れる流体の流動方向の上流を言う。「排気通路S2の下流」は吸気通路S2を流れる流体の流動方向の下流を言う。具体的には、図7を参照すると、排気通路S2は二つの排気通路部を含み、前記二つの排気通路部は、それぞれ第1排気通路部S21と第2排気通路部S22とを含み、その中、第1排気通路S21の構造は直線部で、第2排気通路部S22の構造は円弧セグメントである。第1排気通路部S21は第2排気通路部S22の内側に位置し、且つ第1排気通路部S21は第2排気通路部S22に排気トランジション部S23で接続される。
【0041】
図4図7に示すように、排気口11は上下方向に沿って上蓋1の中心軸線を貫通し、且つ排気口11は下端が第1排気通路部S21の内部端部と連通され、第2排気通路S22は外部端部が消音室S3と連通され、これで消音室S3から第2排気通路S2内に入った空気は第2排気通路部S22と第1排気通路部S21とをこの順に流れ、最後排気口11から上蓋1に排出する。なお、その中、実の需要をより満足させるように、排気通路S2の数と形状は更に実の需要に応じ設けることができる。
【0042】
本発明の一つの実施例において、図2に示すように、弁座3は消音器2との間に吸気室S4と排気室S5とが区画され、吸気室S4は吸気口31と連通し、排気室S5は連通孔21と連通し、吸気室S4は排気室S5と連通通路S6で連通する。図8図9に示すように、弁座3の頂部に下へ凹んだ吸気溝33が形成され、吸気溝33は消音器2の底壁とともに吸気室S4が区画され、弁座3の頂部に下へ凹んだ排気溝34が形成され、排気溝34は消音器2の底壁とともに吸気室S4が区がされ、弁座3の頂部に下へ凹んだ連通通路溝35が形成され、連通通路溝35は消音器2の底壁とともに連通通路S6が区画され、連通通路S6の両端はそれぞれ吸気室S4と排気室S5と連通され、排気室S5は連通孔21と上下に対向するため、排気室S5内の空気は連通孔21に沿って上へ流れる。
【0043】
その中、吸気室S4は復数で、且つ復数の吸気室S4は周方向に沿って離間されて分布する。例えば、図8図9の例において、消音器2は弁座3とともに三つの吸気室S4が区画され、且つ三つの吸気室S4は中心軸線の周方向に均一に分布され、且つ各吸気室S4の構造と数は同一で、例えば、いずれも円柱形の空洞体の構造であっても良い。勿論、本発明はこれを限定するものではなく、実の需要をより満足させるように、吸気室S4の構造と数は実の需要に応じ設けることができる。
【0044】
図8図9に示すように、吸気溝33の底壁は上へ一つのボスに形成され、ボスの頂面に少なくとも一つの吸気口31が形成され、吸気溝33の底壁に吸気口31と離間された位置決め孔32が形成されている。好ましくは、吸気口31は復数で且つ復数の吸気口31は位置決め孔32の周方向に沿って間隔を持って分布されている。例えば、図8の例において、吸気溝33の底壁の中心に一つの位置決め孔32が形成され、位置決め孔32は丸い穴に構成され、且つ上下方向に吸気溝33の底壁を貫通し、位置決め孔32の周方向に三つの吸気口31を均一に分布にし、三つの吸気口31もそれぞれ上下方向に沿って吸気溝33の底壁を貫通する。
【0045】
対応的に、図1図2を参照すると、弁板4は弁板部41と位置決め孔42とを含み、弁板部41は位置決め孔42の上端に接続されかつ吸気室S4内に位置し、位置決め孔42の下端は位置決め孔32と配合し、弁板部41は吸気口31を覆う。具体的には、弁板部41の略構造は円弧面を有するシート状であってもよく、且つ弁板部41の中心は消音器2の方向へ突き出ている。弁板部41の横断面形状と、サイズ及び第1吸気溝33の横断面形状、サイズと同じであるため、弁板41は三つの吸気口31を完全に覆うことができる。
【0046】
更に、図2を参照すると、位置決め部42は弁板部41の下端面から垂直に延伸し、且つ位置決め部42の下部に略円球形状の位置決め孔43を有することができる。
【0047】
図2に示すように、エアポンプ100は作業する過程において、気体、例えば空気は、下から上へ吸気口31に入り、弁板部41を上へ押し上げ、空気を吸気室S4内に入れる。その中、実の需要をより満足させるように、吸気口31の数と形状は実の需要に応じて設けられることができる。
【0048】
更に、図8図9を参照すると、エアポンプ100は、弁座消音室S7を更に含み、弁座消音室S7は弁座3に形成され、弁座消音室S7は吸気室S4と連通して吸気室S4から流出する少なくとも一部が弁座消音室S7内に流れる。具体的には、弁座3の頂部に下へ凹んだ弁座消音溝36が形成され、弁座消音溝36は消音器2の底壁とともに弁座消音室S7が区画され、弁座消音室S7の側壁に連通通路S6と連通する開口S71が形成され、これにより連通通路S6内の一部の空気は開口S71から弁座消音室S7内に入り、且つ弁座消音室S7内の空気は連通通路S6を通して排気室S5内に流入し、これにより弁座消音室S7は空気緩衝の効果がある。
【0049】
好ましくは、吸気室S4と弁座消音器室S7及び連通通路S6の数は同じである。図8図9を参照すると、吸気室S4と、弁座消音室S7及び連通通路S6はいずれも三つあり、且つ各吸気室S4はそれぞれ一つの連通通路S6を通して一つの弁座消音室S7と排気室S5と連通する。
【0050】
好ましくは、消音器2の横断面積は上蓋1の横断面積と同一である。図2に示すように、消音器2の外縁直径と、上蓋1の外縁直径と弁座3の外縁直径とは皆同じであるため、この時ねじ締結具で消音器2と上蓋1と弁座3と一緒に固定されることで、取り付けやすくなり、且つエアポンプ100の構造は簡易である。勿論、本発明はこれを限定するものではなく、消音器2の横面積は上蓋1の横断面積より小さくてもよい。この時、上蓋1は弁座3との間に収納空間が区画されることができ、消音器2は収納空間内(不図示)に設けられ、これで材料を節約することができる。
【0051】
以下に、図1図9を参照しながら本発明の一つの実施例によるエアポンプ100の排気作業過程を簡単に説明する。その中、図3図4図6及び図7に示す矢印は空気の流動方向を示すためのものである。
【0052】
エアポンプ100は排気すると、吸気口31に覆われる弁板4は上に押し上げられ、空気はまず吸気室S4内に入り、次は連通通路S6で弁座消音室S7と排気室S5内に入り、その後排気室S5内の空気は連通孔21に沿って吸気通路S1内に排出し、その後吸気通路S1内の空気は順番で第1吸気通路セグメントS11と、第2吸気通路セグメントS13と第3吸気通路セグメントS15を流れてから消音室S3内に流入し、その後消音室S3内の空気は更に排気通路S2内に入り、最後、上蓋1の排気口11から排出する。
【0053】
その中、空気は弁座3に入ってから上蓋1から流れる流動経路は長くて複雑し、例えば吸気通路S1と排気通路S2の経路は長く、且つ吸気室S4から排気室S5への流動経路は複雑で、騒音を有効に低減させる。また、消音室S3の容積は吸気通路S1の容積と排気通路S2の容積より大きいため、空気は大、小室内に交代で流れることができることで、空気の流速と圧力を有効に変えられ、騒音を更に低下する効果を有効に達成する。
【0054】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定と理解してはいけない。
【0055】
なお、「第1」、「第2」の用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。そこで、「第1」、「第2」が限定されている特徴は一つ又はより多くの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、二つ又は二つ以上のことを意味する。
【0056】
なお、本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」、「固定」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、二つの部品の内部が連通することや、あるいは二つの部品の間に相互の作用関係があることも可能である。当業者にとって、具体的な場合によって上記用語の本発明においての具体的な意味を理解することができる。
【0057】
本発明において、明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでも良いし、第1特徴と第2特徴とがそれらの間の別の特徴を介して接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、或いは、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、或いは、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表す。
【0058】
本発明の説明において、「一つの実施形態」、「一部の実施形態」、「示例」、「具体的な示例」、或いは「一部の示例」などの用語を参考した説明とは、該実施形態或いは示例に結合して説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態或いは示例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な描写は、必ずしも同じ実施形態或いは示例を示すことではない。又、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれか一つ或いは複数の実施形態又は示例において適切に結合することができる。なお、お互いに矛盾しない場合、当業者は本明細書で描写された異なる実施例或いは示例、及び異なる実施例或いは示例の特徴を結合且つ組み合わせることができる。
【0059】
本発明の実施形態を示して説明したが、当業者にとって理解できるのは、本発明の原理及び主旨から逸脱しない限りこれらの実施形態に対して複種の変化、補正、切り替え及び変形を行うことができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物により限定される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9