特許第6402286号(P6402286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6402286
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】撮像システム及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20181001BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20181001BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61B1/00 511
   A61B1/045 610
   A61B1/045 630
   G02B23/24 B
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-536896(P2018-536896)
(86)(22)【出願日】2018年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2018009790
【審査請求日】2018年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-127324(P2017-127324)
(32)【優先日】2017年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 紗依里
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−233533(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/035829(WO,A1)
【文献】 特開2011−250925(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0203343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、フィールド毎に前記映像信号を増幅して出力可能な出力部と、前記出力部のゲインとして設定すべき設定ゲインを外部との通信により取得する通信部と、を有する撮像素子と、
前記通信部との通信により、前記フィールド毎の前記設定ゲインを前記撮像素子に送信する撮像制御部と、
前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されているか否かを検出する検出部と、
前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す前記検出部の検出結果によって、前記撮像素子からの前記映像信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路に設定する補正ゲインを求める補正ゲイン取得部とを具備したことを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記出力部が前記映像信号に付与したゲインを実ゲインとして取得し、前記設定ゲインと前記実ゲインとの比較によって前記検出結果を得ることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記撮像制御部と前記通信部との間の通信エラーを検出することによって前記検出結果を得ることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記補正ゲイン取得部は、前記実ゲインと前記設定ゲインとの差分に基づいて前記補正ゲインを得ることを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記補正ゲイン取得部は、前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないフィールドの情報と当該フィールドの前のフィールドの情報とに基づいて前記補正ゲインを得ることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記撮像制御部は、前記検出部によって、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す検出結果が得られた場合には、前記設定ゲインを前記撮像素子に再送信することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項7】
内視鏡と、フィールド毎に異なる波長の照明光を被写体に照射可能な光源装置と、前記内視鏡からの映像信号を画像処理するビデオプロセッサとを有する内視鏡システムにおいて、
前記内視鏡に設けられ、前記被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、フィールド毎に前記映像信号を増幅して出力可能な出力部と、前記出力部のゲインとして設定すべき設定ゲインを外部との通信により取得する通信部と、を有する撮像素子と、
前記通信部との通信により、前記フィールド毎の前記設定ゲインを前記撮像素子に送信する撮像制御部と、
前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されているか否かを検出する検出部と、
前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す前記検出部の検出結果によって、前記撮像素子からの前記映像信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路に設定する補正ゲインを求める補正ゲイン取得部とを具備したことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項8】
前記内視鏡に設けられ、前記フィールド毎の設定ゲインの情報を記憶するメモリを具備したことを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記撮像制御部は、前記内視鏡に設けられることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記増幅回路は、前記内視鏡から出力されるデジタル映像信号に対してデジタルゲインを付与することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光観察に好適な撮像システム及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、組織から発せられる自家蛍光や、蛍光薬剤を生体の対象部位へ散布または注入した後、該対象部位において発せられる蛍光に基づいて病変部の有無を判別する診断方法が採用されることがある。内視鏡装置において、この技術を利用した蛍光観察による診断が可能である。即ち、光源装置からの励起光を内視鏡の挿入部から被写体に照射し、病変部に集積した蛍光薬剤からの蛍光を内視鏡に設けた撮像素子によって捉えることで病変部の存在診断や悪性度などの質的診断を行うのである。
【0003】
ところで、蛍光観察においては、病変部から蛍光を発生させるための励起光を生体組織に照射すると共に、生体組織の構造や形態を視覚化するための参照光を生体組織に照射する。励起光によって得られた蛍光を基に生成した蛍光画像と、参照光が被写体において反射して得られた背景光を基に生成した背景画像とを合成した合成画像(以下、蛍光観察画像という)によって、病変部等の確認が容易となる。
【0004】
しかし、励起光によって得られる蛍光の強度(光量)は、参照光によって得られる背景光の強度(光量)に比べて小さい。このため、光源装置において参照光の出射光量を励起光の出射光量に比べて減少させるだけでなく、蛍光及び背景光を受光して光電変換する撮像素子において、蛍光画像と背景画像とのレベル(明るさ)が適正なレベルとなるように調整を行っている。
【0005】
例えば、撮像素子としてCCDを採用した場合には、電子シャッタ(電荷リセット機能)を用いて背景光受光時において余分な電荷を捨てて背景画像の明るさを減少させることで、見やすい蛍光観察画像を得る。
【0006】
また、撮像素子として、ローリングシャッタ方式のCMOSセンサが採用されることもある。ローロングシャッタ方式では、ライン毎に異なるタイミングで、リセット、露光及び読み出しが行われ、あるラインの読み出しに時において別のラインでは露光が行われる。一方、蛍光観察においては、励起光と参照光とを生体組織に時分割に照射する方法が採用されることがある。このような照明方法がローリングシャッタ方式のCMOSセンサの読み出し期間に行われると、混色等の問題が生じる。そこで、蛍光観察において、ローリングシャッタ方式のCMOSセンサを採用する場合には、露光を読み出し期間以外の期間において行っている。この場合、電子シャッタ(電荷リセット機能)を使うと、ラインごとに電荷がリセットされるタイミングが異なるため、明るさのムラが出てしまう。このため、ローリングシャッタ方式のCMOSセンサを使用する場合は、電子シャッタではなく、撮像素子内のアンプによって蛍光画像と背景画像のゲインを調整するようになっている。
【0007】
なお、日本国特開2014−233533号公報には、白色光と狭帯域光とを1フレーム単位で交互照射し、フィールド毎にアンプの増幅率を更新設定する技術が開示されている。
【0008】
ところで、一般的には、内視鏡挿入部の細径化を考慮すると、挿入部の先端に撮像素子を配置し、挿入部の基端側に接続される操作部やコネクタ部等に撮像素子を駆動する電子回路を搭載した基板が配置される。基板上に撮像素子の電子シャッタやゲインを調整するための制御回路が搭載され、制御回路から撮像素子まで配線された信号線を介して、制御信号が撮像素子に伝達される。
【0009】
撮像素子としてCCDを採用して上述したように電子シャッタによる制御を行う場合には、制御回路からは高電圧のアナログ信号が制御信号として伝送されることになり、耐ノイズ性に優れている。一方、CMOSセンサを採用する場合、ゲイン調整のための情報(ゲイン設定値)は、デジタル通信として制御回路から撮像素子まで伝送される。
【0010】
ところが、内視鏡は通信の外乱が発生する環境下で使用されることがある。例えば、高周波電流が通電される電気メス使用時には、制御回路から撮像素子との間の通信に外乱による悪影響が与えられる可能性がある。このような外乱によって、撮像素子において制御回路からのゲイン設定値が誤検出され、正確なゲイン制御が行われないことがある。
【0011】
デジタル通信において一般的に使用されているチェックサムやパリティ、CRC等を用いてエラー検出を行えば、誤ったゲイン設定値によりゲイン設定値が更新されることはない。従って、通常光観察時等で行われる調光(被写体に応じた明るさ制御)のためにゲイン調整を行っている場合には、明るさ制御に若干の遅延が生じるだけである。しかしながら、蛍光観察時には、調光ではなく蛍光画像と背景画像との明るさ比を調整するためにゲイン調整を行っているため、蛍光画像に対して必要な大きさのゲインを付与するためのゲイン設定値の更新が行われずに、背景画像に比べて蛍光画像が著しく暗くなったり、或いは蛍光画像に比べて背景画像が著しく明るくなって、蛍光観察画像の品位が著しく低下することがあるという問題があった。
【0012】
本発明は、通信時の外乱等に拘わらず、各フィールドの映像信号に対して正しいゲインを付与することができる撮像システム及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による撮像システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、フィールド毎に前記映像信号を増幅して出力可能な出力部と、前記出力部のゲインとして設定すべき設定ゲインを外部との通信により取得する通信部と、を有する撮像素子と、前記通信部との通信により、前記フィールド毎の前記設定ゲインを前記撮像素子に送信する撮像制御部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されているか否かを検出する検出部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す前記検出部の検出結果によって、前記撮像素子からの前記映像信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路に設定する補正ゲインを求める補正ゲイン取得部とを具備する。
【0014】
本発明の一態様による内視鏡システムは、内視鏡と、フィールド毎に異なる波長の照明光を被写体に照射可能な光源装置と、前記内視鏡からの映像信号を画像処理するビデオプロセッサとを有する内視鏡システムにおいて、前記内視鏡に設けられ、前記被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、フィールド毎に前記映像信号を増幅して出力可能な出力部と、前記出力部のゲインとして設定すべき設定ゲインを外部との通信により取得する通信部と、を有する撮像素子と、前記通信部との通信により、前記フィールド毎の前記設定ゲインを前記撮像素子に送信する撮像制御部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されているか否かを検出する検出部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す前記検出部の検出結果によって、前記撮像素子からの前記映像信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路に設定する補正ゲインを求める補正ゲイン取得部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像システムを含む内視鏡システムを示すブロック図。
図2】設定ゲインを説明するための説明図。
図3】外乱発生時における実ゲインを説明するための説明図。
図4】外乱発生時において補正ゲインの付与を行う例を示す説明図。
図5】第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
図6】変形例を示すブロック図。
図7】変形例を示すブロック図。
図8】本発明の第2の実施の形態において採用されるフローチャート。
図9】本発明の第3の実施の形態において採用されるフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮像システムを含む内視鏡システムを示すブロック図である。
【0018】
本実施の形態は、撮像素子が実際に各画素の出力に付与したゲイン(以下、実ゲインという)の情報を取得することで、撮像素子が各画素の出力に付与すべきゲイン(以下、設定ゲインという)との差分を補正ゲインとして求めて、撮像素子出力に補正ゲインを付与することで、各フィールドにおいて適正なレベルの映像信号を得るものである。なお、本実施の形態においては、フィールド毎に励起光又は参照光を照射する内視鏡システムにおける蛍光観察モードの例を説明するが、フィールド毎にゲインを設定可能な撮像システムの各種動作モードに適用することができる。動作モードには、面順次モードや、NBI等の特殊観察モード、赤外光(IR)観察モードを含むが、これに限らない。
【0019】
図1において、内視鏡システム1は、被検体内に挿入されるとともに、当該被検体内における生体組織等の被写体を撮像して映像信号として出力するように構成された内視鏡2と、当該被写体を照明するための照明光を内視鏡2に供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2から出力される映像信号に対して信号処理を施すことにより蛍光観察画像等を生成して出力するように構成されたビデオプロセッサ4と、ビデオプロセッサ4から出力される蛍光観察画像等を画面上に表示するように構成されたモニタ5と、を有している。
【0020】
内視鏡2は、被検体の体腔内に挿入される細長の挿入部2aを有する。挿入部2aの基端には、図示しない操作部が接続され、操作部から延設された図示しないケーブルの端部にはコネクタ部2bが設けられている。このコネクタ部2bを介して内視鏡2と光源装置3及びビデオプロセッサ4とが接続されるようになっている。
【0021】
光源装置3は、LED光源31と光源制御部32とを有して構成されている。LED光源31は、通常観察用の図示しない白色LEDと参照光用の図示しない参照光用LEDと図示しない励起光用LEDとによって構成されており、光源制御部32によって制御されて、通常観察モード又は蛍光観察モードに応じて参照光用LEDと励起光用LEDの点灯及び消灯を行うようになっている。LED光源31の発光量は、光源制御部32によって制御されるようになっている。光源制御部32は、制御部41から出力される照明制御信号に基づいて、LED光源31からの照明光(出射光)の種類を選択し、発光タイミング及び発光量を制御する。LED光源31からの照明光は、ライトガイド21に出射される。
【0022】
なお、LED光源31においては、白色光を照射するための白色LEDに代えて、R,G,Bの3色のLEDを採用することとしてもよいし、LED光源31に代えて白色光を生成するXe等ランプとカラーフィルタの組み合わせ光源を採用することとしてもよいし、これらを組み合わせても良い。
【0023】
光源制御部32は、蛍光観察モード時において、LED光源31を制御して、参照光と励起光とを所定のフィールド毎に時分割で出射させるようになっている。例えば、光源制御部32は、3フィールドのうち2フィールド期間内で励起光を出射し、残りの1フィールド期間内で参照光を出射するように制御してもよい。
【0024】
内視鏡2の挿入部2aの内部には、照明光を伝送するためのライトガイド21が挿通されている。ライトガイド21の出射端部は、挿入部2aの先端部に配置されている。ライトガイド21は、光源装置3からの照明光を挿入部2aの先端側に導き、挿入部2aの先端部に設けた図示しない照明レンズを介して被検体に照明光を照射する。
【0025】
挿入部2aの先端部には、図示しない対物レンズが設けられており、被検体からの戻り光は対物レンズを介して挿入部2aの先端側に設けられた撮像素子22の光電変換部(PD)22aに入射するようになっている。撮像部としての光電変換部22aは、撮像面に入射した被写体光学像を光電変換により映像信号に変換して出力する。光電変換部22aの出力はアンプ22bに供給される。撮像素子22は、通信部22cを有しており、通信部22cは、信号線24aを介して撮像制御部25の通信部25aとの間で通信可能に構成されている。通信部22cは、撮像制御部25から信号線24aを介して供給されるゲイン制御信号を受信し、ゲイン制御信号に含まれるゲインの情報をアンプ22bに供給して設定する。出力部としてのアンプ22bは、光電変換部22aからの映像信号を設定されたゲインで増幅して出力する。撮像素子22からの映像信号は信号線24bを介して映像受信部26に与えられる。
【0026】
映像受信部26は、撮像素子22がアナログ出力の場合、撮像素子22からのアナログ映像信号に対して相関二重サンプリング処理を施してノイズを除去する。また、映像受信部26は、ノイズを除去した映像信号をアナログ/デジタル変換処理によってデジタル信号に変換してビデオプロセッサ4の画像処理部42に出力するようになっている。
【0027】
映像受信部26は、撮像素子22がデジタル出力の場合、撮像素子22からのデジタル映像信号を受信し、ビデオプロセッサ4の画像処理部42に出力するようになっている。
【0028】
なお、映像受信部26及び後述する撮像制御部25は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により構成されていてもよく、また、CPU等のプロセッサにより構成されて、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御するように構成されていてもよい。
【0029】
ビデオプロセッサ4には各部を制御する制御部41が設けられている。制御部41は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により構成されていてもよく、また、CPU等のプロセッサにより構成されて、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御するように構成されていてもよい。
【0030】
画像処理部42は、増幅回路42aを有しており、増幅回路42aは、入力された映像信号に対して増幅処理を施す。また、画像処理部42は、増幅後の映像信号に対して、色信号を生成する色信号処理、ガンマ補正処理、電子ズーム処理、ホワイトバランス(W/B)処理等の各種信号処理を施し、モニタ5に適した表示形式に変換してモニタ5に出力する。こうして、モニタ5の表示画面上において、撮像素子22によって撮像された内視鏡画像(蛍光観察画像等)が表示される。
【0031】
制御部41は、蛍光観察時には、照明制御信号によって光源制御部32を制御して、LED光源31から励起光と参照光とを所定のフィールド周期で出射させると共に、参照光の光量を励起光の光量に比べて十分に低減させるようになっている。
【0032】
また、制御部41は、撮像素子22のゲインを設定するためのフィールド情報を撮像制御部25に供給するようになっている。フィールド情報は、撮像素子22に励起光に基づく蛍光が入射されるフィールド(以下、蛍光フィールドという)か参照光に基づく背景光が入射されるフィールド(以下、背景光フィールドという)かを示すと共に、各フィールドにおいて、アンプ22bが付与すべきゲイン(設定ゲイン)の情報を含む。メモリ43には、設定ゲインに関する情報が記憶されており、制御部41は、メモリ43の情報を読み出すことで、蛍光フィールドの設定ゲインの情報と背景光フィールドの設定ゲインの情報とを取得して、フィールド情報によって撮像制御部25に伝達するようになっている。
【0033】
なお、蛍光フィールドの設定ゲインは、背景光フィールドの設定ゲインに比べて十分に大きなゲインに設定されている。
【0034】
撮像制御部25は、信号線24aを介したデジタル通信によって、設定ゲインを指定するゲイン制御信号を通信部22cに出力する。通信部22cは、受信した設定ゲインをアンプ22bに設定する。これにより、アンプ22bは、各フィールドにおいて、設定ゲインに従ったゲインで光電変換部22aからの映像信号を増幅して出力する。
【0035】
なお、蛍光観察モード時において、各フィールドに設定するゲインがフィールド毎に異なるだけでなく、通常観察モード時と蛍光観察モード時とでも各フィールドに設定するゲインが異なる。そこで、メモリ43は、各モード毎に設定ゲインの情報を記憶するようになっている。制御部41は、モード及びフィールドの種類に応じた設定ゲインをメモリ43から読み出して、フィールド情報によって通知することになる。
【0036】
この場合において、制御部41は、フィールド情報をフィールド毎に通知するようになっていてもよい。また、内視鏡2において、フィールド情報の受信及びゲイン設定に遅延が生じる場合は、その遅延分だけ、制御部41は早めにフィールド情報を送信するようになっていてもよい。或いは、制御部41は、各フィールドにおいてどの設定ゲインを用いればよいかを纏めて通知してもよい。例えば、制御部41は、蛍光フィールドと背景光フィールドの各設定ゲインの値を事前に通知し、フィールド毎にいずれのフィールドであるかのみを示すフィールド情報を通知することで、撮像制御部25において、フィールド毎の設定ゲインをアンプ22bに設定するようになっていてもよい。
【0037】
アンプ22bが各フィールドに設定された設定ゲインを用いて映像信号を増幅して出力することにより、映像受信部26に供給される蛍光に基づく映像信号(以下、蛍光映像信号)と背景光に基づく映像信号(以下、背景映像信号)のレベルが適正なものとなる。これにより、これらの映像信号に基づく蛍光観察画像は、見やすい画像となる。
【0038】
しかしながら、外乱の発生によって、設定ゲインが伝送されない場合や、誤った設定ゲインが伝送される場合がある。これにより、例えば、設定ゲインとは無関係のゲインがアンプ22bに設定されたり、蛍光フィールドの設定ゲインが背景光フィールドの設定ゲインとしてアンプ22bに設定されたり、逆に、背景光フィールドの設定ゲインが蛍光フィールドの設定ゲインとしてアンプ22bに設定されたり、或いは、設定ゲインが伝送されずに変更されるべき前のフィールドのゲインがそのままアンプ22bに設定されて増幅が行われることもある。
【0039】
そこで、本実施の形態においては、実ゲインの情報を取得することで、設定ゲインが設定されているか否かを判定すると共に、設定ゲインが設定されていない場合には設定ゲインに相当するゲインを付与するための制御を行うことで、設定ゲインが付与された場合と同様のレベルの蛍光映像信号及び背景映像信号を得るようになっている。
【0040】
(実ゲインの取得方法)
例えば、撮像素子22は、映像信号の垂直ブランキング期間又は水平ブランキング期間に、映像信号に付与されているゲイン値(実ゲイン)の情報を埋め込んで出力することができるようになっている。映像受信部26は、受信した映像信号からこの実ゲインの情報を取得する。映像受信部26は、取得した実ゲインの情報をそのままビデオプロセッサ4の制御部41に送信するようになっていてもよい。例えば、映像受信部26は、ビデオプロセッサ4の画像処理部42に送信する映像信号の垂直ブランキング期間又は水平ブランキング期間に、実ゲインの情報を埋め込んだ後、映像信号を送信してもよい。この場合には、画像処理部42は、映像信号から取得した実ゲインの情報を制御部41に与えるようになっている。
【0041】
また、例えば、映像受信部26は、映像信号の通信ラインと異なる図示しない通信ラインを介して実ゲインの情報をビデオプロセッサ4の制御部41に供給するようになっていてもよい。
【0042】
また、信号線24aによる通信不良によって実ゲインが設定されない場合には、実ゲインが前フィールドの設定ゲインであることがあり、この場合には、映像受信部26は、実ゲインが設定ゲインに一致しているか否かの情報のみをビデオプロセッサ4に伝送するようになっていてもよい。
【0043】
また、映像受信部26は、例えば、ビデオプロセッサ4の制御部41から設定ゲインの情報を受信しておくようになっていてもよい。この場合には、映像受信部26は、設定ゲインの情報と実ゲインの情報とに基づいて、補正すべきゲインである補正ゲインを求めてもよい。例えば、映像受信部26は、設定ゲインと実ゲインとの差分を補正ゲインとして求めて、補正ゲインの情報をビデオプロセッサ4に送信するようになっていてもよい。
【0044】
また、映像受信部26によって実ゲインを求める手法以外にも、撮像制御部25によって実ゲインを求める手法を採用することもできる。撮像制御部25は、撮像素子22の通信部22cとの間の信号線24aを介したデジタル通信によって、アンプ22bによって付与されている実ゲインの情報を取得するようになっていてもよい。この場合には、撮像制御部25は、取得した実ゲインの情報をビデオプロセッサ4の制御部41に送信する。また、撮像制御部25においても、実ゲインと設定ゲインとの一致不一致の情報を制御部41に出力してもよく、また、撮像制御部25において補正ゲインを求めて、求めた補正ゲインの情報を制御部41に出力するようになっていてもよい。
【0045】
制御部41は、メモリ43から設定ゲインの情報を読み出して、実ゲインと設定ゲインとの差異があるか否かを判定し、差異がある場合には、実ゲインと設定ゲインとの差分を求めて補正ゲインとして画像処理部42に与える。画像処理部42は、与えられた補正ゲインを増幅回路42aに設定して、映像受信部26からの映像信号に対して補正ゲインを付与する。
【0046】
即ち、撮像制御部25、映像受信部26及び制御部41は、単独で又は組み合わされて、アンプ22bにおいて映像信号に設定ゲインが付与されたか否かを検出する検出部として機能と共に、補正ゲインを取得する補正ゲイン取得部として機能する。
【0047】
なお、画像処理部42は、設定ゲインと実ゲインとが一致しない旨の情報を撮像素子22から受信した場合には、制御部41に対して補正ゲインの情報を要求してもよい。制御部41は、画像処理部42に入力されている映像信号がいずれのフィールドのものであるかに応じた補正ゲインを画像処理部42に供給する。増幅回路42aは、この補正ゲインを用いて入力映像信号を増幅する。
【0048】
また、画像処理部42は、映像受信部26から補正ゲインの情報が与えられた場合には、増幅回路42aによって、入力された映像信号に対して、受信した補正ゲインを用いた増幅を行う。
【0049】
なお、実ゲインの情報、実ゲインと設定ゲインの一致不一致の情報又は補正ゲインの情報が撮像制御部25から制御部41に供給される場合には、制御部41はこれらの情報に基づいて、画像処理部42に補正ゲインを設定するようになっている。
【0050】
増幅回路42aは、設定ゲイン−実ゲイン>0の場合には、増幅率が1より大きい補正ゲインを映像信号に付与し、設定ゲイン−実ゲイン<0の場合には、増幅率が1よりも小さい補正ゲインを映像信号に付与する。補正ゲインは実ゲインと設定ゲインとの差に基づいて求められており、各フィールドの映像信号には、設定ゲインに相当するゲインが付与されることになり、各フィールドの映像信号は適切なレベルまで増幅される。
【0051】
なお、図1の例では内視鏡2からデジタル映像信号が出力されており、画像処理部42の増幅回路42aはデジタル処理によって増幅を行うが、内視鏡2からアナログ映像信号が出力される場合には、アナログ処理によって補正ゲインを付与すればよい。
【0052】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図2から図5を参照して説明する。図2は設定ゲインを説明するための説明図である。図3は外乱発生時における実ゲインを説明するための説明図である。図4は外乱発生時において補正ゲインの付与を行う例を示す説明図である。図5は第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
いま、蛍光観察モードが設定されているものとする。制御部41は、光源装置3の光源制御部32に照明制御信号を出力して、蛍光観察に適した照明光の出射を指示する。光源制御部32は、LED光源31を制御して、参照光と励起光とを時分割に出射させる。
【0054】
図2はこの場合の光源からの出射光を示しており、1フィールド毎に時分割で、励起光、励起光及び参照光が被検体に照射されることを示している。即ち、図2の例は3フィールドのうち2フィールドの期間内で励起光を被検体に照射し、残りの1フィールドの期間内で被検体に参照光を照射する例を示している。
【0055】
光源装置3の出射光はライトガイド21を介して挿入部2aの先端に導かれて図示しない被検体に照射される。被検体からの戻り光は、図示しない対物レンズを介して撮像素子22の光電変換部22aに入射する。光電変換部22aは、入射した光学像を光電変換して映像信号を出力する。即ち、図2に示すように、蛍光フィールドにおいては、励起光の照射に応じた被検体からの戻り光である蛍光が光電変換部22aに入射され、蛍光に基づく映像信号がアンプ22bに供給される。また、背景光フィールドにおいては、参照光の照射に応じた被検体からの戻り光である背景光が光電変換部22aに入射され、背景光に基づく映像信号がアンプ22bに供給される。
【0056】
一方、制御部41は、メモリ43から蛍光フィールド及び背景光フィールドに設定する設定ゲインを読み出し、図5のステップS1において、各フィールドが蛍光フィールドであるか背景光フィールドであるかを示すフィールド情報に設定ゲインの情報を含めて、撮像制御部25に送信する。撮像制御部25は、デジタル通信により、通信部22cにゲイン制御信号を送信する。
【0057】
これにより、各フィールドに対応する設定ゲインがアンプ22bに設定され、アンプ22bは、設定ゲインを映像信号に付与して出力する。図2はこの状態を示しており、蛍光フィールドにおける設定ゲインがAであり、背景光フィールドにおける設定ゲインがBであることを示している。ゲインAはゲインBよりも十分に大きな値に設定されており、比較的光量が少ない蛍光に基づく映像信号は十分大きなゲインAで増幅され、比較的光量が大きい背景光に基づく映像信号は比較的小さいゲインBで増幅される。これにより、撮像素子22から出力される各フィールドの映像信号のレベルは適正なものとなる。
【0058】
撮像素子22からの映像信号は映像受信部26に供給される。撮像素子22がアナログ出力の場合、映像受信部26は、入力された映像信号に対する相関二重サンプリング処理によりノイズを除去し、アナログ/デジタル変換処理によってデジタル信号に変換した後、ビデオプロセッサ4の画像処理部42に出力する。
【0059】
また、撮像素子22がデジタル出力の場合、映像受信部26は、撮像素子22からのデジタル映像信号を受信し、ビデオプロセッサ4の画像処理部42に出力する。
【0060】
画像処理部42は、入力された映像信号に対して、所定の画像信号処理を施した後、モニタ5に適した表示形式に変換してモニタ5に出力する。なお、蛍光に基づく映像信号と背景光に基づく映像信号とは合成され、蛍光画像と背景光画像とが合成された蛍光観察画像がモニタ5の表示画面上に表示される。こうして、撮像素子22によって撮像された蛍光観察画像を観察することができる。
【0061】
いま、撮像制御部25とアンプ22bとの間の通信によって伝送されるゲイン制御信号が外乱の影響を受け、設定ゲインが正しくアンプ22bに伝達されなかったものとする。図3はこの場合の一例を示しており、本来ゲインBを設定すべきであった所定の背景光フィールドにおいて、外乱により、ゲインA(斜線部)が設定された例を示している。
【0062】
ゲインAはゲインBに比べて十分大きく、光量が大きい背景光に基づく映像信号は、大きなゲインAによって増幅されることで、この背景光に基づく映像信号のレベルは極めて大きくなる。即ち、この場合には、蛍光画像に比べて背景画像の明るさが明るくなりすぎて、蛍光観察画像が見難くなってしまう。
【0063】
そこで、本実施の形態においては、撮像素子22は、例えば、ブランキング期間に実ゲインの情報を含む映像信号を出力し、映像受信部26は、入力された映像信号から実ゲインの情報を取得し(ステップS2)、例えば映像信号のブランキング期間に実ゲインの情報を含めた後、画像処理部42に出力する。画像処理部42は、映像信号から実ゲインの情報を取得して制御部41に出力する。制御部41は、メモリ43を参照して、設定ゲインを読み出して、画像処理部42からの実ゲインと比較する(ステップS3)。制御部41は、設定ゲインと実ゲインとが一致しているか否かを検出し(ステップS4)、一致している場合には処理を終了し、不一致の場合には、実ゲインと設定ゲインとの差に基づいて補正ゲインを求める(ステップS5)。
【0064】
図4はこうして求められる補正ゲインを示している。図4の例は、外乱により斜線部に示すように、背景光フィールドにおいてゲインAが映像信号に付与され、蛍光フィールドにおいてゲインBが映像信号に付与された例を示している。この場合には、制御部41は、ゲインAが付与された背景光フィールドにおいて、増幅率が1よりも小さい補正ゲインCを発生し、ゲインBが付与された蛍光フィールドにおいて、増幅率が1よりも大きい補正ゲインDを求める。
【0065】
なお、制御部41が求める補正ゲインは、アンプ22bの実ゲインと設定ゲインとの差に応じたゲインであり、映像信号に補正ゲインを付与することによって、実ゲインに拘わらず、映像信号が設定ゲインによって増幅された場合と同様の増幅を可能にするものである。
【0066】
制御部41は、求めた補正ゲインを画像処理部42の増幅回路42aに与える。増幅回路42aは、入力された映像信号に補正ゲインを付与する(ステップS6)。こうして、ゲインAが付与された背景光フィールドの映像信号は減衰され、ゲインBが付与された蛍光フィールドの映像信号は増幅されて、撮像素子22において設定ゲインにより増幅された他のフィールドの映像信号と同様の適切なレベルとなる。
【0067】
即ち、外乱等により撮像素子22において設定ゲイン以外のゲインが付与された場合でも、画像処理部42の増幅回路42aにおいて補正ゲインを用いて適正なレベルに増幅されるので、蛍光画像と背景光画像の明るさを適正な明るさにすることができる。こうして、外乱等の影響により、撮像素子22に正しい設定ゲインを設定することができない場合でも、モニタ5に表示される蛍光観察画像を見やすい画像にすることができる。
【0068】
このように本実施の形態においては、撮像素子において各フィールドにおいて付与された実ゲインを検出し、各フィールドにおいて本来設定すべき設定ゲインと実ゲインとの比較により補正ゲインを求めて、撮像素子の後段の回路において実ゲインに応じた補正ゲインを映像信号に付与する。これにより、本実施の形態においては、外乱等により撮像素子に設定すべきゲインが設定されない場合でも、各フィールドに設定すべきゲインと同様のゲインを付与した映像信号を得ることができる。従って、蛍光フィールドと背景光フィールドとで異なるゲインを設定する場合等においても、外乱等の影響に拘わらず、各フィールドに設定すべきゲインと同様のゲインを映像信号に付与することができ、蛍光画像と背景光画像とを適正な明るさにして、見やすい蛍光観察画像を得ることができる。
【0069】
(変形例)
図6は変形例を示すブロック図である。図6において図1と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本変形例は、増幅回路42aを省略した画像処理部44を有するビデオプロセッサ7を採用すると共に、映像受信部26に補正ゲインを付与する増幅回路28aを搭載した映像受信部28を内蔵する内視鏡6を採用するものである。
【0070】
本変形例では、制御部41は、補正ゲインの情報を増幅回路28aに供給するようになっている。映像受信部28は映像受信部26と同様の機能の他に増幅回路28aによる増幅機能を備えている。撮像素子22からの映像信号は増幅回路28aにより必要に応じて補正ゲインを用いて増幅された後、ビデオプロセッサ7の画像処理部44に供給される。
【0071】
他の構成及び作用効果は図1の実施の形態と同様である。
【0072】
(変形例)
図7は変形例を示すブロック図である。図7において図1と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本変形例は、メモリ27をコネクタ部2bに内蔵する内視鏡8を採用するものである。
【0073】
メモリ27は図1のメモリ43と同様の情報を記憶する。制御部41は内視鏡8がコネクタ部2bによりビデオプロセッサ9に接続されると、メモリ27に記憶されている情報を読み出すようになっている。蛍光フィールドと背景光フィールドに付与すべきゲイン値やゲイン比率は、撮像素子22の分光感度特性の影響を受ける。そこで、メモリ27には、撮像素子22の分光感度特性に対応した設定ゲインの情報を記憶させる。例えば、図1のビデオプロセッサ4内のメモリ43に記憶されていない新しい種類の撮像素子を搭載した内視鏡を採用する場合でも、メモリ27にはその新しい種類の撮像素子を考慮した設定ゲインの情報が記憶されており、撮像素子に最適な設定ゲインを設定可能である。
【0074】
また、内視鏡8の光学系及び撮像素子22の分光感度特性等は、個体差を有する。そこで、内視鏡8に内蔵するメモリ27には、この個体差のばらつきを吸収するゲイン値を設定ゲインの情報として記憶させることができる。例えば、事前に光学系や撮像素子の特性を検査し、検査結果に応じて、この個体差のばらつきを吸収するゲイン値を設定してもよい。例えば、蛍光波長での感度が低い撮像素子が搭載されている場合には、蛍光に基づく映像信号に付与するゲインを高く設定すればよい。
【0075】
このように、本変形例では、内視鏡8に搭載されたメモリ27の情報に基づいてゲインを設定することによって、新規の撮像素子が搭載された内視鏡であっても、また、内視鏡毎の固体差に拘わらず、安定した増幅処理が可能となり、常に見やすい蛍光観察画像を得ることができる。
【0076】
なお、図1の例では、ビデオプロセッサ4の制御部41は、フィールド情報中に設定ゲインの情報を含めて撮像制御部25に通知する例を示したが、本変形例では設定ゲインの情報がメモリ27に記憶されていることから、制御部41はモード及びフィールドの種類を示すフィールド情報のみを撮像制御部25に通知するようになっていてもよい。この場合には、撮像制御部25は、フィールド情報に応じてメモリ27から設定ゲインを読み出して、アンプ22bに設定すればよい。
【0077】
(第2の実施の形態)
図8は本発明の第2の実施の形態において採用されるフローチャートである。本実施の形態のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。図8において図5と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
第1の実施の形態においては内視鏡2において実ゲインを取得し、実ゲインと設定ゲインとの比較によって、必要ならば補正ゲインを映像信号に付与する例について説明した。実ゲインと設定ゲインとが不一致となるのは、外乱等によって信号線24aを介した通信に障害が生じることが理由と考えられる。この通信エラーによって、設定ゲインがアンプ22bに通知されない場合には、アンプ22bは、通知前の前フィールドに付与した設定ゲインを次のフィールドにおいても映像信号に付与するものと考えられる。即ち、通信エラー発生時におけるモード及びフィールドの種類が既知であれば、付与すべきゲインを知ることができる。
【0079】
そこで、本実施の形態においては、通信エラーが発生した場合には、実ゲインを取得することなく、通信エラー発生時におけるモード及びフィールドの種類から補正ゲインを求めるようになっている。
【0080】
撮像制御部25は、信号線24aを介して撮像素子22の通信部22cとの間で通信を行っており、一般的な各種手法によって、通信エラーの検知が可能である。例えば、撮像制御部25は、通知する設定ゲインの情報にチェックサムを付加して送信し、通信部22cにおいてこのチェックサムを利用して通信エラーを検知する。
【0081】
また、撮像制御部25は、通信時にハンドシェイクを実施する通信規格を採用した場合には、ハンドシェイクに失敗したことによって通信エラーを検知することが可能である。例えば、このような通信規格としてI2C(Inter-Integrated Circuit)バス等があり、ACK(ACKnowledgement )が返ってくるかどうかによって通信エラーを判定することができる。
【0082】
撮像制御部25は、撮像素子22との通信によって通信エラーを検出すると、通信エラーの情報を制御部41に出力する。これにより、制御部41は、通信エラー発生時のモード及びフィールドの種類に応じた設定ゲインと前フィールドの設定ゲインとに基づいて、補正ゲインを算出する。なお、この補正ゲインは、既知の値であり、メモリ43に補正ゲインの情報を記憶させておくことで、制御部41は簡単に補正ゲインを求めることができる。
【0083】
このように構成された実施の形態においては、図8のステップS11において、撮像制御部25は通信エラーを検出する。撮像制御部25は、通信エラーが発生したことを検出した場合には、その情報を制御部41に送信する。制御部41はステップS12において、通信エラーが検出されたか否かを判定する。制御部41は、通信エラーが検出されない場合には処理を終了し、検出された場合には、ステップS5において、エラー発生時のモード及びフィールドの種類に応じた設定ゲインと前フィールドの設定ゲインとに基づいて補正ゲインを算出する。
【0084】
他の作用は第1の実施の形態と同様である。
【0085】
このように本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、実ゲインと設定ゲインとの比較に基づいて補正ゲインを算出する必要は無く、簡単に補正ゲインを求めることができる場合があり、処理を簡単化できる。
【0086】
(第3の実施の形態)
図9は本発明の第3の実施の形態において採用されるフローチャートである。本実施の形態のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。図9において図8と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
第1の実施の形態においては、補正ゲインとして、デジタルゲインを付加した。しかしながら、実ゲイン<設定ゲインにより正のデジタルゲインを付与すると、蛍光画像と背景光画像の明るさを適切な明るさにすることができる反面、A/D変換時のビット数に応じた階調数が、ゲイン分だけ少なくなり、分解能が低下して画質が劣化する。また、実ゲイン>設定ゲインにより、映像信号がA/D変換の入力レンジを超えるレベルまで増幅された場合には、負のデジタルゲインを付与したとしても入力レンジを超えた部分の情報を復元することはできないので、画質改善効果は比較的小さい。なお、この場合でも、負のデジタルゲインを付与することで、当該フィールドが明るすぎることによって他のフィールドの画像が見難くなることを防止する効果はある。
【0088】
このように、補正ゲインとしてデジタルゲインを付与した場合には、画質劣化等の問題が生じる。そこで、本実施の形態においては、通信エラーが発生した場合には、設定ゲインを指定するゲイン制御信号を再送信することによって、アンプ22bに設定ゲインを設定すると共に、再送信によっても通信エラーを回避することができない場合に、第1及び第2の実施の形態の補正ゲインの付与を行うものである。
【0089】
図9の例はステップS12において通信エラー有りと判定された場合に、ステップS21を経由してステップS5に移行する点が図8のフローと異なる。撮像制御部25は、ステップS12において通信エラーが発生していると判定した場合には、ステップS21において、設定ゲインの送信回数が規定回数に到達したか否かを判定する。規定回数に到達していない場合には、撮像制御部25は、処理をステップS1に戻して、設定ゲインの情報をゲイン制御信号によって通信部22cに再送信する。この再送信によって、設定ゲインが正しくアンプ22bに設定されると、撮像制御部25は、ステップS12においてエラー無しと判定して処理を終了する。
【0090】
再送信によっても通信エラーが発生すると、撮像制御部25は、ステップS21において設定ゲインの送信回数が規定回数に到達したか否かを判定する。送信回数が規定回数に到達すると、撮像制御部25は、ステップS5に処理を移行して、補正ゲインの算出を行う。
【0091】
他の作用は第1及び第2の実施の形態と同様である。
【0092】
このように本実施の形態においては、通信エラーが発生した場合には、設定ゲインの情報を再送信することで、正しい設定ゲインを撮像素子に設定し、再送信によっても正しく設定ゲインを撮像素子に設定することができない場合に初めて、補正ゲインを付与するようになっている。再送信によって正しい設定ゲインを設定することができれば、画質劣化を伴うことなく、各フィールドの画像の明るさを最適な明るさにすることができる。
【0093】
なお、図9では通信エラーの発生時に設定ゲインを指定するゲイン制御信号を再送信する例について示したが、実ゲインを検出し実ゲインと設定ゲインとが不一致の場合に、設定ゲインを指定するゲイン制御信号を再送信するようにしてもよい。
【0094】
また、画像処理部42は、補正ゲインを付与するだけでなく、補正ゲインに併せて、ノイズリダクション等の画像処理のパラメータも変更し、画質の劣化度合いをさらに軽減させても良い。
【0095】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0096】
本出願は、2017年6月29日に日本国に出願された特願2017−127324号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
【要約】
撮像システムは、被写体を撮像して映像信号を出力する撮像部と、フィールド毎に前記映像信号を増幅して出力可能な出力部と、前記出力部のゲインとして設定すべき設定ゲインを外部との通信により取得する通信部と、を有する撮像素子と、前記通信部との通信により、前記フィールド毎の前記設定ゲインを前記撮像素子に送信する撮像制御部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されているか否かを検出する検出部と、前記出力部において前記映像信号が前記設定ゲインで増幅されていないことを示す前記検出部の検出結果によって、前記撮像素子からの前記映像信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路に設定する補正ゲインを求める補正ゲイン取得部とを具備する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9