(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の先端部を有する内視鏡を、外部装置及びモニタとともに概略的に示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される、例えば外科用または泌尿器等を検査、処置するものであって、被検体内の所定の観察部位を光学的に撮像する構成を有している。
【0024】
尚、内視鏡1が挿入される被検体は、人体に限らず、他の生体であっても良いし、機械、建造物等の人工物であっても良い。
【0025】
内視鏡1は、被検体内に挿入される硬質な挿入部2と、該挿入部2の基端に連設された操作部3と、該操作部3から延出されたユニバーサルコード4と、該ユニバーサルコード4の延出端に設けられた外部装置5に接続されるコネクタ4aとを具備して主要部が構成されている。
【0026】
尚、本実施の形態において例示される内視鏡1としては、挿入部2に可撓性を有する部位を具備しない、所謂硬性鏡、腹腔鏡、腎盂尿管鏡等が挙げられる。
【0027】
勿論、本実施の形態の構成は、口腔から挿入される上部内視鏡、肛門から挿入する下部内視鏡等の軟性内視鏡にも適用可能である。
【0028】
外部装置5に、図示しない画像処理部が設けられている。この画像処理部は、内視鏡1に設けられた図示しない撮像素子から出力された撮像素子出力信号に基づいて映像信号を生成し、モニタ6に出力する。
【0029】
即ち、本実施の形態では、撮像素子により撮像された光学像(内視鏡像)が、映像としてモニタ6に表示される。
【0030】
尚、撮像素子は、非常に小型な電子部品であり、入射される光に応じた電気信号を所定のタイミングで出力する複数の素子が面状の受光部に配列されたものであり、例えば一般にCCD(電荷結合素子)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ等と称される形式、あるいはその他の各種の形式が挙げられる。
【0031】
また、内視鏡1の挿入部2において、先端に観察窓としてのドーム状のカバーガラス7が設けられている。
【0032】
尚、挿入部2内において、カバーガラス7に対向する位置、即ち、挿入部2の先端部2s内に、視野方向可変機構100(
図2参照)が設けられている。
【0033】
さらに、内視鏡1の操作部3に、内視鏡1の視野方向を可変するために操作される、所謂ジョイスティックタイプの操作部材である操作レバー8が設けられており、該操作レバー8の根元部分に、該根元部分を覆うゴムブーツ9が設けられている。
【0034】
次に、
図2及び
図3を用いて、内視鏡1の挿入部2に設けられる視野方向可変機構について説明する。
【0035】
図2は、
図1の挿入部の先端部内に設けられる視野方向可変機構を概略的に示す部分斜視図、
図3は、
図2の視野方向可変機構を、
図2中のIII方向からみた側面図である。
【0036】
図2及び
図3に示すように、視野方向可変機構100は、第1の枠部材である保持部11を具備している。
【0037】
保持部11は、例えばステンレス等の金属または硬質樹脂から略円筒状に形成されており、先端に、それぞれ対向して保持部11の長手軸方向の前方に突出する2つの腕部11a、11bが設けられている。
【0038】
また、各腕部11a、11bに、それぞれ円形の外形を有する軸受けである軸受け孔11hが、長手軸方向に略直交する方向に貫通して形成されている。
【0039】
軸受け孔11hに、第2の枠部材であるプリズム保持枠10の回動軸13が回動自在に嵌入している。
【0040】
プリズム保持枠10は、断面L字状を有するとともに、光学部材であるプリズム19が、例えば接着により固定されている。
【0041】
また、プリズム保持枠10の腕部11aの一方に対向する部位に、外周面12gが円形を有する円板状のカム12が固定されている。
【0042】
カム12及びプリズム保持枠10の腕部11bに対向する部位にそれぞれ設けられた回動軸13が腕部11a、11bの各軸受け孔11hにそれぞれ嵌入している。このことにより、プリズム保持枠10は、保持部11に一方向R1または他方向R2に回動自在に保持されている。
【0043】
これにより、プリズム保持枠10は、2つの腕部11a、11bの間に挟まれた状態において、回動軸13回りに回動自在に設けられる。
【0044】
尚、
図2、
図3に示すように、カム12に設けられた回動軸13は、円形のカム12の中心から上方に偏芯して位置している。
【0045】
また、プリズム保持枠10に、操作レバー8の傾倒操作によって牽引されることにより、プリズム保持枠10を一方向R1に回転させる牽引力である第1のモーメントKをプリズム保持枠10に与える1本の牽引ワイヤ14の先端が、半田、カシメ等により固定されている。
【0046】
牽引ワイヤ14は、保持部11の内部を通して、操作部3まで延出されている。尚、牽引ワイヤ14の基端は、操作部3に設けられた操作レバー8に接続されている。
【0047】
さらに、保持部11に、L字状を有する弾性部材17の固定部17aが固定されている。尚、本実施の形態においては、弾性部材17は、板バネを例に挙げて示しているが、線バネ、トーションバネ等を用いても構わない。
【0048】
また、弾性部材17に、固定部17aに連続して形成されているとともにカム12の外周面12gを押圧しながらカム12に当接する押圧部17bが設けられている。
【0049】
押圧部17bは、カム12を押圧することにより、カム12に押圧部17bから与えられる弾性力Tにて、第1のモーメントKと反対のプリズム保持枠10を他方向R2に回転させる第2のモーメントQをプリズム保持枠10に生じさせる。
【0050】
その結果、牽引ワイヤ14に対して牽引方向とは反対の力をプリズム保持枠10に付与する。よって、牽引ワイヤ14は、非牽引状態においても第2のモーメントQにより常に張力が付与されている状態となっている。
【0051】
また、押圧部17bは、カム12を弾性力Tにて押圧することにより、回動軸13を軸受け孔11hに対して常に一方向に押し付ける力Pを回動軸13に付与する。
【0052】
尚、その他の視野方向可変機構100の構成は、従来と同じである。
【0053】
このように構成された、視野方向可変機構100は、一方、操作レバー8の傾倒操作により、牽引ワイヤ14が牽引され、押圧部17bからプリズム保持枠10に付与される第2のモーメントQに抗してプリズム保持枠10に第1のモーメントKが付与されると、プリズム保持枠10が、一方向R1、即ち、
図2、
図3中の上方向に回転する。
【0054】
これにより、プリズム保持枠10に保持されているプリズム19の光の屈折方向が変わり、内視鏡1の視野方向が撮像素子の受光面を基準とした直視方向から上方向側に偏向される。
【0055】
他方、操作レバー8の傾倒操作が終わると、プリズム保持枠10に対して弾性部材17の押圧部17bから第2のモーメントQが付与されることにより、プリズム保持枠10は、他方向R2、即ち、
図2、
図3中の下方向に回転する。
【0056】
これにより、プリズム保持枠10に保持されているプリズム19の光の屈折方向が変わり、内視鏡1の視野方向が直視方向から撮像素子の受光面を基準とした下方向側に偏向される。
【0057】
このように、本実施の形態においては、1本の牽引ワイヤ14は、プリズム保持枠10に対して第1のモーメントKを付与することにより、プリズム保持枠10を一方向R1に回転させる力をプリズム保持枠10に付与すると示した。
【0058】
また、弾性部材17は、押圧部17bがカム12の外周面12gに対して弾性力Tを付与してプリズム保持枠10に第2のモーメントQを付与することにより、プリズム保持枠10を他方向R2に回転させる力をプリズム保持枠10に付与すると示した。
【0059】
このことによれば、軸受け孔11hに対して回動軸13は、弾性力Tによって回動軸13に付与された力Pにより常に一方向に押し付けられるため、軸受け孔11hに対して回動軸13がガタ付いてしまうことがない。よって、撮像光軸のズレによる画像劣化や視野トビを防止することができる。
【0060】
また、押圧部17bから第2のモーメントQがプリズム保持枠10に付与されることにより、挿入部2内に牽引ワイヤ14が1本しか挿通されていなかったとしても、プリズム保持枠10を他方向R2にも回転させることができる。
【0061】
このため、1本の牽引ワイヤ14にて、内視鏡1の視野方向を2方向に可変させることができる。よって、挿入部2の小径化及び小型化を実現することができる。
【0062】
以上から、挿入部2を大径化することなく、プリズム19の回動軸13のガタ付きを防止することができる構成を具備する内視鏡1の先端部2s、該内視鏡1の先端部2sを有する内視鏡1を提供することができる。
【0063】
(第2実施の形態)
図4は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図、
図5は、
図4の視野方向可変機構を、視野方向が上方向に偏向された状態にて示す側面図、
図6は、
図4の視野方向可変機構を、視野方向が下方向に偏向された状態にて示す側面図である。
【0064】
この第2実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図1〜
図3に示した第1実施の形態の内視鏡の先端部と比して、カムの外周面に切り欠き部が形成されている点が異なる。
【0065】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0066】
図4〜
図6に示すように、視野方向可変機構200におけるカム12の外周面12gにおいて、押圧部17bが接触する部位に、切り欠き部12kが平面状に形成されている。
【0067】
切り欠き部12kは、押圧部17bからプリズム保持枠10に第2のモーメントQが付与され、プリズム保持枠10が他方向R2に回転した際、押圧部17bが当接することにより、カム12の他方向R2への回転を停止させる機能を有している。
【0068】
尚、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0069】
このような構成によれば、繰り返しの使用により、牽引ワイヤ14に、
図6に示すように塑性伸びが発生した場合、第2のモーメントQにより、プリズム保持枠10が他方向R2に想定以上に回転してしまい、プリズム19が他の部材に接触してしまう可能性がある。
【0070】
尚、従来においても、牽引ワイヤ14を牽引した状態において、牽引ワイヤ14に対し牽引力とは反対の弛緩力が働かないように牽引ワイヤの位置を固定するストッパが操作部3に設けられた構成が周知である。
【0071】
ところが、この構成では、牽引ワイヤ14の基端側の位置を固定する構成のため、
図6に示すように、牽引ワイヤ14の先端側に塑性伸びが発生した場合においては、第2のモーメントQの付与によるプリズム保持枠10の他方向R2の回転位置を、規定位置にて止めることは出来ない。
【0072】
しかしながら、本実施の形態においては、
図6に示すように、牽引ワイヤ14に塑性伸びが発生していたとしても、切り欠き部12kに押圧部17bが接触するため、他方向R2への回転を、規定位置にて確実に止めることができる。
【0073】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0074】
(第3実施の形態)
図7は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図、
図8は、
図7の視野方向可変機構を、視野方向が上方向に偏向された状態にて示す側面図、
図9は、
図7の視野方向可変機構を、視野方向が下方向に偏向された状態にて示す側面図である。
【0075】
この第3実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図4〜
図6に示した第2実施の形態の内視鏡の先端部と比して、カムの外周面に形成された切り欠き部の大きさが異なる。
【0076】
よって、この相違点のみを説明し、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0077】
図7〜
図9に示すように、視野方向可変機構300におけるカム12の外周面12gにおいて、
図7に示すように、直視方向視野において押圧部17bが接触する部位に、切り欠き部12k’が平面状に形成されている。尚、切り欠き部12k'は、
図4〜
図6に示した切り欠き部12kよりも小さく形成されている。
【0078】
切り欠き部12k’は、牽引ワイヤ14によりプリズム保持枠10に第1のモーメントKが付与され、プリズム保持枠10が、
図9及び
図7に示すように、視野方向が下方向から直視方向となるよう一方向R1に回転した際、または、押圧部17bからプリズム保持枠10に第2のモーメントQが付与され、プリズム保持枠10が、
図8及び
図7に示すように、視野方向が上方向から直視方向となるよう他方向R2に回転した際、押圧部17bが当接することによって、牽引ワイヤ14に振動を生じさせることによってクリック感を発生させることにより、操作者に操作レバー8をみなくとも直視方向を認識させる機能を有している。
【0079】
よって、クリック感を発生させることができるのであれば、切り欠き部12k’に限らず、外周面12gに、突起や凹部等が形成されていても構わない。また、切り欠き部12k’を用いたクリック感の発生は、直視方向視野に限定されない。
【0080】
さらに、本実施の形態の切り欠き部12k’は、第2実施の形態の切り欠き部12kに比べて小さいことから、第2実施の形態にように、切り欠き部12k’がカム12の他方向R2への回転を停止させる機能を有していない。
【0081】
尚、その他の効果は、上述した第2実施の形態と同じである。
【0082】
(第4実施の形態)
図10は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図、
図11は、
図10の視野方向可変機構を、視野方向が上方向に偏向された状態にて示す側面図、
図12は、
図10の視野方向可変機構を、視野方向が下方向に偏向された状態にて示す側面図である。
【0083】
この第4実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図1〜
図3に示した第1実施の形態の内視鏡の先端部と比して、カムの外周面がインボリュート曲線に倣って形成されている点が異なる。
【0084】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0085】
図10〜
図12に示すように、視野方向可変機構400におけるカム12の外周面12gは、回動軸13を基準とする既知のインボリュート曲線に倣って形成されている。
【0086】
尚、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0087】
このような構成によれば、上述した第1実施の形態のように、カム12の外周面12gが円形の場合は、上方向視野〜直視方向視野〜下方向視野の間のプリズム保持枠10の回動に伴い、外周面12gに対する押圧部17bと回動軸13の中心との距離が僅かにずれる。このため、回動位置により軸受け孔11hに対する回動軸13が押し付けられる力Pの力量、方向が僅かにずれてしまう可能性がある。
【0088】
しかしながら、本実施の形態においては、
図10〜
図12に示すように、外周面12gに対する押圧部17bと回動軸13の中心との距離Lがプリズム保持枠10の回動によらず常に一定な事から、軸受け孔11hに対する回動軸13が押し付けられる力Pの力量、方向が常に一定となる。このため、第1実施の形態よりもよりガタ付きを抑制することができる。
【0089】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0090】
(第5実施の形態)
図13は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図である。
【0091】
この第5実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図1〜
図3に示した第1実施の形態の内視鏡の先端部と比して、軸受け孔がV字状に形成されている点が異なる。
【0092】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0093】
図13に示すように、本実施の形態の視野方向可変機構500においては、軸受け孔11mは、各腕部11a、11bに対して保持部11の長手軸方向の前方に開口する、例えばV字状に形成されている。
【0094】
また、軸受け孔11mに対して回動軸13は回動自在に嵌入している。尚、軸受け孔11は、V字状に限定されず、V字状以外の凹形状、例えば半円形状や、U字状に形成されていても構わない。
【0095】
尚、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0096】
このような構成によれば、押圧部17bによってカム12に付与される弾性力Tにより、回動軸13は、軸受け孔11mに対して該軸受け孔11mの2つの平面に力P’にて押し付けられることから、円形の軸受け孔11hよりもガタ付きが発生し難く、また、組み立てがしやすい。
【0097】
尚、その他の効果は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0098】
(第6実施の形態)
図14は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図、
図15は、
図13中のカム及び回動軸、
図14中のカムを、
図13、
図14中のXV方向からみて並べて示した平面図である。
【0099】
この第6実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図13に示した第5実施の形態の内視鏡の先端部と比して、カムと回動軸とが一体的に形成されている点が異なる。
【0100】
よって、この相違点のみを説明し、第5実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
図14に示すように、本実施の形態の視野方向可変機構600においては、カム120と、回動軸120jとが一体的に形成されている。
【0102】
具体的には、カム120の一部に、プリズム19よりも前方から平面視した際、カム120の肉厚V2と略等しいとともに肉厚V2に重なって位置する回動軸120jが形成されている。
【0103】
即ち、カム120をプリズム19よりも前方から平面視した際、外周面120gに対する押圧部17bの当接位置と、軸受け孔11mに対する回動軸120jの嵌入位置とが同一平面状に位置する。
【0104】
回動軸120jは、V字状の軸受け孔11mに対して回動自在に嵌入している。
【0105】
押圧部17bによりカム120に付与される弾性力Tにより、回動軸120jは、軸受け孔11mに対して該軸受け孔11mの2つの平面に力P’’にて押し付けられる。このことにより、軸受け孔11mに対する回動軸120jのガタ付きが防がれている。
【0106】
また、牽引ワイヤ14によりプリズム保持枠10に付与される第1のモーメントKにより、プリズム保持枠10に一方向R1への回転力が付与され、さらに、押圧部17bによりカム120に付与される弾性力Tにより、カム120に、第2のモーメントQが付与され、プリズム保持枠10に他方向R2への回転力が付与される。
【0107】
尚、本実施の形態においては、回動軸120jは、軸受け孔11mに嵌入する部位のみが外周が円形に形成されている。
【0108】
尚、その他の構成は、上述した第5実施の形態と同じである。
【0109】
このような構成によれば、
図13に示すように、回動軸13をカム12と別に設けるよりも、
図14に示すように、回動軸120jをカム120と一体的に設けるほうが、
図15に示すように、
図13のカム12及び回動軸13の肉厚をV1とし、カム120の肉厚をV2とすると、本実施の形態のほうが、肉厚が小さくなる(V2<V1)。
【0110】
このため、より視野方向可変機構600の小型化、即ち、視野方向可変機構600が設けられる先端部2sの小型化及び小径化を実現することができる。
【0111】
尚、その他の効果は、上述した第5実施の形態と同じである。
【0112】
(第7実施の形態)
図16は、本実施の形態の内視鏡の先端部内に設けられる視野方向可変機構を、視野方向が直視方向にて示す側面図、
図17は、
図16のプリズム及びカムを、
図16中のXVII方向からみた正面図である。
【0113】
この第7実施の形態の内視鏡の先端部、該内視鏡の先端部を有する内視鏡の構成は、上述した
図1〜
図3に示した第1実施の形態の内視鏡の先端部、
図13に示した第5実施の形態の内視鏡の先端部、
図14、
図15に示した第6実施の形態の内視鏡の先端部と比して、V字状の軸受け孔にカム自体が嵌入する点と、カムに弾性部材の押圧部が当接する切り欠きが形成されている点が異なる。
【0114】
よって、この相違点のみを説明し、第1、第5、第6実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0115】
図16に示すように、本実施の形態においては、視野方向可変機構700において、軸受け孔11mに対して外周面12gが円形に形成されたカム12自体が嵌入する構成となっている。
【0116】
また、
図16、
図17に示すように、カム12の一部に、弾性部材17の押圧部17b’が当接する切り欠き12cが形成されている。
【0117】
押圧部17b’は、カム12の外周面12gに弾性力Tを付与することにより、カム12を、軸受け孔11mに対して力P’’’にて押し付けるとともに、カム12に第2のモーメントQを発生させる。
【0118】
尚、その他の構成は、上述した第1、第5、第6実施の形態と同じである。
【0119】
このような構成によっても、上述した第6実施の形態と同様に、視野方向可変機構700の小型化、即ち、視野方向可変機構700が設けられる先端部2sの小型化及び小径化を実現することができる他、第6実施の形態よりもカムを容易に形成することができる。
【0120】
その他の効果は、上述した第1、第5、第6実施の形態と同じである。
【0121】
尚、上述した第1〜第7実施の形態においては、内視鏡の視野方向を上下方向に可変させる視野方向可変機構を例に挙げて示したが、これに限らず、撮像素子の受光面を基準として左右方向に可変させる視野方向可変機構にも適用可能であることは勿論である。
【0122】
本出願は、2017年5月26日に日本国に出願された特願2017−104689号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。
保持部11と、保持部11に回動自在に保持されるとともに、プリズム19が固定されたプリズム保持枠と、プリズム保持枠に固定され、牽引することによりプリズム保持枠を一方向に回転させる第1のモーメントKをプリズム保持枠に与える牽引ワイヤ14と、保持枠11に対して固定される固定部17aと、プリズム保持枠を押圧しながら当接する押圧部17bとを有し、押圧部17bによる押圧によってプリズム保持枠に与えられる力にて第1のモーメントKと逆方向の第2のモーメントQをプリズム保持枠に生じさせ、プリズム保持枠を他方向R2に回転させる弾性部材17と、を具備する。