特許第6402302号(P6402302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402302
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】加湿器及び呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20181001BHJP
   F24F 6/04 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   A61M16/16 E
   F24F6/04
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-16734(P2014-16734)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-142647(P2015-142647A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138060
【氏名又は名称】株式会社メトラン
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】新田 一福
(72)【発明者】
【氏名】新田 ダン
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−028737(JP,A)
【文献】 実開昭63−071041(JP,U)
【文献】 実開平04−025753(JP,U)
【文献】 特開2005−58709(JP,A)
【文献】 特開2006−223332(JP,A)
【文献】 特許第4771711(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
F24F 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿用の液体を収容する容器と、
前記容器の容量を経時的に減少させて該容器から前記液体を送り出す送出機構と、
呼吸補助装置の利用者の気道に吸気を導く吸気管内に配置され、前記容器からの前記液体が供給されて該液体を気化させる透水性部材と、
前記容器と前記透水性部材を連結して前記液体を案内すると共に、前記容器内の前記液体の液圧を前記透水性部材まで伝達する配管と、
を備え
前記送出機構は、外部からの付勢力によって前記容器を押圧して前記液体を送り出す伸縮部材を有していることを特徴とする、
加湿器。
【請求項2】
加湿用の液体を収容する容器と、
前記容器の容量を経時的に減少させて該容器から前記液体を送り出す送出機構と、
呼吸補助装置の利用者の気道に吸気を導く吸気管内に配置され、前記容器からの前記液体が供給されて該液体を気化させる透水性部材と、
前記容器と前記透水性部材を連結して前記液体を案内すると共に、前記容器内の前記液体の液圧を前記透水性部材まで伝達する配管と、
前記容器に対して接離可能に接続され、該容器に液体を注入する注入器と、
前記配管に配置されて、前記注入器を連絡させる三方弁と、を備え、
前記三方弁は、前記注入器からの前記液体を前記容器に導く一方で、前記容器からの前記液体を前記透水性部材に導くことを特徴とする、
加湿器。
【請求項3】
前記送出機構は、前記容器自体が収縮性を有することで実現されることを特徴とする、
請求項1〜のいずれかに記載の加湿器。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の加湿器を備えていることを特徴とする、
呼吸補助装置。
【請求項5】
睡眠時無呼吸症候群の患者に用いられることを特徴とする、
請求項4に記載の呼吸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器及び呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの呼吸に障害がある患者に対し、人工呼吸器などの呼吸補助装置が用いられている。呼吸補助装置は、ブロアなどから供給される圧縮空気などの気体を、吸気管を通じ、加湿器で加湿してから患者の気道に送り込む(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された加湿器は、貯水槽やポンプなどを備え、吸気管内に配置された疎水性の膜に水を供給する。これにより、疎水性の膜から水が蒸発して気体が加湿される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4771711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような加湿器を備える呼吸補助装置は、医療施設で用いられるだけでなく、在宅で用いられるので、簡単な構造で取扱いを簡便にすることが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡単な構造で取扱いを簡便にした加湿器及び呼吸補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、液体を収容する容器と、前記容器の容量を経時的に減少させて該容器から前記液体を送り出す送出機構と、呼吸補助装置の利用者の気道に吸気を導く吸気管内に配置され、前記容器からの前記液体が供給されて該液体を気化させる透水性部材と、を備えていることを特徴とする、加湿器である。
【0008】
本発明によれば、ポンプを備えず簡単な構造で吸気を加湿できる。このため、取扱いが簡便である。
【0009】
(2)本発明はまた、前記容器に対して接離可能に接続され、該容器に液体を注入する注入器を備えていることを特徴とする、上記(1)に記載の加湿器である。
【0010】
上記発明によれば、簡単な構造で、加湿に用いる液体を補充できる。このため、取扱いが簡便である。
【0011】
(3)本発明はまた、前記容器、前記透水性部材、及び該容器に間接的に接続される前記注入器を連絡させる三方弁を備え、前記三方弁は、前記注入器からの前記液体を前記容器に導く一方で、前記容器からの前記液体を前記透水性部材に導くことを特徴とする、上記(2)に記載の加湿器である。
【0012】
上記発明によれば、簡単な構造で、加湿に用いる液体を注入器から容器に導ける一方で、容器の液体を透水性部材に導ける。
【0013】
(4)本発明はまた、前記送出機構は、前記容器自体が収縮性を有することで実現されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の加湿器である。
【0014】
上記発明によれば、簡単な構造で送出機構を実現できる。
【0015】
(5)本発明はまた、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の加湿器を備えていることを特徴とする、呼吸補助装置である。
【0016】
上記発明によれば、簡単な構造で取扱いが簡便である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記(1)〜(4)に記載の加湿器、及び上記(5)に記載の呼吸補助装置によれば、簡単な構造で取扱いを簡便にすることができるという優れた効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る呼吸補助装置を示す概略図である。
図2】加湿器における注入時の液体の流れを説明する概略図であり、(A)は注入前の状態を示し、(B)は注入後の状態を示す。
図3】加湿器における加湿時の液体の流れを説明する概略図であり、(A)は加湿開始時の状態を示し、(B)は加湿中の状態を示す。
図4】本発明の第2実施形態に係る呼吸補助装置における加湿器の一部を示す概略図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る呼吸補助装置における加湿器の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る呼吸補助装置1,2,3について詳細に説明する。
【0020】
[第1実施形態]まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る呼吸補助装置1の構成について説明する。図1は、呼吸補助装置1を示す概略図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化している。
【0021】
図1に示される呼吸補助装置1は、呼吸に障害がある患者(利用者)が利用するものであり、患者の気道に吸気となる気体(圧縮空気、酸素など)を送り込む。具体的に、呼吸補助装置1は、供給源10と、吸気管11と、加湿器12と、などを備えている。
【0022】
供給源10は、気体を供給する。この供給源10には、周知の酸素ボンベや送風機などが用いられる。送風機の詳細は、例えば、特許第5211302号公報を参照されたい。
【0023】
吸気管11の一端は、供給源10に接続される。そして、吸気管11の他端は、例えば、患者の口及び鼻を覆うマスクMA1に接続される。この吸気管11は、患者の気道に気体を導く。なお、呼気弁などの呼気回路の図示は省略する。
【0024】
加湿器12は、吸気管11内の気体を加湿する。具体的に、加湿器12は、容器13と、透水性部材14と、注入器15と、三方弁16と、などを備えている。
【0025】
容器13は、密閉性を有し、必要量(例えば、一晩(8時間)分の60cc)の液体(水など)を収容する入れ物であり、三方弁16によって、透水性部材14及び注入器15のそれぞれに連絡されるように、当該透水性部材14に間接的に接続されていると共に、当該注入器15に間接的に接続される。
【0026】
この容器13は、伸縮する蛇腹などで構成されており、伸縮性(伸張性及び収縮性)を有する。そして、容器13は、注入器15によって液体が注入されて伸張する。また、容器13は、自身が有する収縮性によって収縮することで、自身の容量を経時的に(例えば、一晩(8時間)掛けて)徐々に減少させて、透水性部材14に向けて液体を送り出す。すなわち、容器13は、自身の容量を経時的に減少させて、自身が収容する液体を送り出す送出機構として機能する。
【0027】
透水性部材14は、透水性を有するファイバーなどであり、吸気管11内に配置される。この透水性部材14は、三方弁16によって容器13に連絡されるように、当該容器13に間接的に接続されている。そして、透水性部材14は、容器13からの液体が供給されて当該液体を自然に気化させる。
【0028】
注入器15には、周知のシリンジなどが用いられる。この注入器15は、三方弁16によって容器13に連絡されるように、容器13に対して間接的に、かつ接離可能に接続される。そして、注入器15は、操作されることで、容器13の容量に応じた量の液体を、当該容器13に注入する。
【0029】
三方弁16は、容器13、透水性部材14、及び注入器15を連絡させる。この三方弁16は、注入器15から容器13に液体を導くことを許容すると共に、注入器15から透水性部材14に液体を導くことを禁止する。そして、三方弁16は、容器13から透水性部材14に液体を導くことを許容すると共に、容器13から注入器15に液体を導くことを禁止する。また、三方弁16は、透水性部材14から容器13及び注入器15に液体を導くことを禁止する。
【0030】
これにより、三方弁15は、注入器15からの液体を容器13に導く一方で、容器13からの液体を透水性部材14に導く。
【0031】
次に、図2を用いて、加湿器12における注入時の液体の流れを説明する。図2は、加湿器12における注入時の液体の流れを説明する概略図である。図2(A)は、注入前の状態を示す。図2(B)は、注入後の状態を示す。
【0032】
加湿器12を使用する前であって、容器13に液体が注入される前は、容器13が空である。そして、液体の入った注入器15が、容器13に対して間接的に接続されて、当該容器13に液体が注入されることが可能となる(図2(A)参照)。その後、注入器15が操作されることで、当該注入器15内の液体が容器13に注入される(図2(B)参照)。
【0033】
次に、図3を用いて、加湿器12における加湿時の液体の流れを説明する。図3は、加湿器12における加湿時の液体の流れを説明する概略図である。図3(A)は、加湿開始時の状態を示す。図3(B)は、加湿中の状態を示す。
【0034】
容器13が有する収縮性によって、当該容器13の容量が経時的に徐々に減少する。これにより、容器13内の液体は、透水性部材14に向けて送り出される(図3(A)→図3(B)参照)。そして、透水性部材14に供給された液体が気化することで、吸気管11内の気体が加湿される。
【0035】
以上説明したように、加湿器12によれば、送出機構として機能する容器13と、透水性部材14と、を備えているので、ポンプを備えず簡単な構造で吸気を加湿できる。このため、取扱いが簡便である。
【0036】
そして、注入器15を備えているので、簡単な構造で、加湿に用いる液体を補充できる。
【0037】
また、三方弁16を備えているので、簡単な構造で、加湿に用いる液体を注入器15から容器13に導ける一方で、容器13の液体を透水性部材14に導ける。
【0038】
さらに、容器13自体が収縮性を有するので、簡単な構造で送出機構を実現できる。
【0039】
そして、このような加湿器12を備える呼吸補助装置1は、簡単な構造で取扱いが簡便であるといえる。
【0040】
[第2実施形態]次に、図4を用いて、本発明の第2実施形態に係る呼吸補助装置2の構成について説明する。図4は、呼吸補助装置2における加湿器22の一部を示す概略図である。
【0041】
なお、ここでは、呼吸補助装置2の特徴部分のみを説明し、上述した呼吸補助装置1と同様の構成、作用及び効果についての説明は適宜省略する。また、この後に説明する実施形態についても、特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は適宜省略する。
【0042】
図4に示されるように、加湿器22は、容器13に代えて、容器23と、送出機構24と、を備えている。
【0043】
容器23は、通常の使用によって変形しない剛性を有する材料で構成されている。
【0044】
送出機構24は、プレート25と、伸縮部材26と、からなる。
【0045】
プレート25は、容器23内に配置され、当該容器23内を、液体を収容する空間23aと、伸縮部材26が配置される空間23bと、に仕切る。
【0046】
伸縮部材26には、例えば、コイルスプリングが用いられる。この伸縮部材26は、容器23の内壁及びプレート25の間に介在するように、当該容器23の空間23b内に配置される。
【0047】
このような送出機構24は、容器23における空間23aの容量を経時的に徐々に減少させて、容器23が空間23aに収容する液体を、透水性部材14に向けて送り出す。
【0048】
[第3実施形態]次に、図5を用いて、本発明の第3実施形態に係る呼吸補助装置3の構成について説明する。図5は、呼吸補助装置3における加湿器32の一部を示す概略図である。
【0049】
図5に示されるように、加湿器32は、三方弁16に代えて、容器13及び注入器15を連絡させる逆止弁33と、容器13及び透水性部材14を連絡させる逆止弁34と、を備えている。
【0050】
容器13は、逆止弁33によって注入器15に連絡されるように、当該注入器15に間接的に接続される。そして、容器13は、逆止弁34によって透水性部材14に連絡されるように、当該透水性部材14に間接的に接続されている。
【0051】
透水性部材14は、逆止弁34によって容器13に連絡されるように、当該容器13に間接的に接続されている。
【0052】
注入器15は、逆止弁33によって容器13に連絡されるように、当該容器13に間接的に接続される。
【0053】
逆止弁33は、注入器15から容器13に液体を導くことを許容すると共に、容器13から注入器15に液体を導くことを禁止する。これにより、逆止弁33は、注入器15からの液体を容器13に導く。
【0054】
逆止弁34は、容器13から透水性部材14に液体を導くことを許容すると共に、透水性部材14から容器13に液体を導くことを禁止する。これにより、逆止弁34は、容器13からの液体を透水性部材14に導く。
【0055】
本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0056】
すなわち、上記各実施形態において、各構成の位置、大きさ(寸法)、形状、材質、向き、数量などは適宜変更できる。
【0057】
あるいは、上記各実施形態の構成を、可能な範囲で他の実施形態に適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,2,3 呼吸補助装置
11 吸気管
12,22,32 加湿器
13 容器(送出機構)
14 透水性部材
15 注入器
16 三方弁
23 容器
24 送出機構
図1
図2
図3
図4
図5