【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
[概略構成]
図1は、本実施例に係る測定装置100の概略構成図である。
図1に示す測定装置100は、テーブル4に並べられたLEDチップ5の光学(的)特性を検査する装置であって、主に、支持部1と、導光部2と、プローブ3と、遮光部6と、バネ7(7A、7B)と、リフレクタ8と、積分球9と、制御部15と、計測制御部16と、分光器17と、を備える。また、
図2は、LEDチップ5の側面図である。以後では、テーブル4と垂直な方向を「Z軸方向」と呼び、テーブル4と平行な面を「XY平面」とも呼ぶ。
【0021】
支持部1は、導光部2及び遮光部6を支持する。具体的には、支持部1の中央部には、略円筒状の孔10が設けられており、当該孔10に遮光部6が嵌め込まれている。この場合、支持部1の下部に形成された突起部11は、孔10に対して突き出ており、同じく突き出た遮光部6の端部と係り合うことで遮光部6を支持する。さらに、支持部1の孔10には、支持部1の上面から導光部2が嵌め込まれている。この場合、導光部2の外側に突き出た係止部20が支持部1の上面に係り合うことで導光部2が支持部1に対して固定されている。また、支持部1には、支持部1の外側から支持部1の孔10へプローブ3を挿通させるための切欠き18が設けられている。支持部1は、制御部15の制御に基づき、導光部2と一体となってZ軸方向及びXY平面を移動自在である。
【0022】
導光部2は、LEDチップ5から発せられた光をフォトディテクタ9へ通過させるための光路部21を有する。光路部21は、Z軸方向に沿って形成されている。また、光路部21を形成する導光部2の壁面に沿って、リフレクタ8が設けられている。支持部1及び導光部2は、本発明における「移動部」の一例である。
【0023】
プローブ3は、LEDチップ5の電極に触針することでLEDチップ50を通電状態にするプローブ針30を有する。プローブ3は、支持部1の外から切欠き18及び切欠き60に挿通され、プローブ針30が遮光部6の光路部63に露出する。そして、プローブ3は、可撓性を持つ構造に設計され、材質が選定されている。なお、プローブ針30は、光路部63内において、テーブル4の方向に向かって折曲がっている。折れ曲がった構造にすることで、プローブ自体の可撓性をます構造にしている。曲げた角度は、Z軸方向を0度としたとき、針先は20度±10度、針先以降は70度±10度が最適となる。プローブ3は、支持部1に対して固定されており、支持部1及び導光部2と共にZ軸方向及びXY平面を移動する。
【0024】
テーブル4は、例えば、図示しないモータを備えた円形のテーブルであり、制御部15の制御に基づき、テーブル4と平行な面内及び上下方向に移動自在である。LEDチップ5は、略円形のテーブル4に略等間隔で格子状に並べられており、
図2に示すように、基板50と、電極51と、LED52とを有する。
図2の例では、基板50の上面に、電極51とLED52とが並べられている。電極51は、LED52よりも厚さが薄い。
【0025】
遮光部6は、プローブ針30を測定対象のLEDチップ5の電極51に触針させてLED52を発光させる測定時に、測定対象のLEDチップ5の四方に隣接するLEDチップ5への遮光を行う。遮光部6は、光の反射率が高い白色樹脂などの非透過部材である。遮光部6は、支持部1の孔10に嵌め込まれており、中心部分に円筒状の孔である光路部63がZ軸方向に沿って設けられている。また、遮光部6には、プローブ3が挿通するための切欠き60が設けられている。後述するように、遮光部6は、テーブル4の方向に押し込まれた場合に、導光部2の下面との距離(幅A1参照)分だけ支持部1に対してスライド自在に構成されている。遮光部6の構造については、[遮光部の構成]のセクションで詳しく説明する。
【0026】
バネ7(7A、7B)は、導光部2の下面と遮光部6の上面64とに挟まれた位置に存在し、一端が導光部2に嵌め込まれており、他端が遮光部6に嵌め込まれている。そして、バネ7は、Z軸方向への圧力に応じて伸縮し、導光部2の下面と遮光部6の上面64との距離(幅A1参照)を調整する。バネ7は、測定時に遮光部6がテーブル4の方向に押し込まれた際の圧力により、LEDチップ5に破損等が生じないような強度を有する。なお、バネ7は、
図1ではバネ7A、7Bのみが図示されているが、3本以上設けられていてもよい。本願では、図示されていないが、当分割(等配)で4本のバネを設けている。バネ7は、本発明における「弾性部」の一例である。
【0027】
バネ7の荷重は大きくすると、遮光部6をテーブル4の方向に押し込んだときにLED52を破損させるなどの不都合を生じる。また弱くすると遮光部6が押し込んだ後に、もとの位置に戻らないなどの不都合を生じる。したがって、バネ数×荷重の合計が、設計した押込み量に対して30g(0.3N)f〜300gf(3N)の間が適している。本願では押込み量は0.3mmに設定している。
【0028】
リフレクタ8は、LEDチップ5が発した光を反射して積分球9に到達させる。リフレクタ8は、先端部分を切り取った円錐形状を有し、テーブル4に向かって先細りとなっている。また、リフレクタ8の上端は、導光部2の上面22に沿って折り曲げられて上面22に対して係止しており、リフレクタ8の下端は、遮光部6に形成された溝部61により規制されている。リフレクタ8は、本発明における「反射板」の一例である。
【0029】
計測制御部16は、プローブ3のプローブ針30を介してLED52に電圧を印加し、電流を流す。これによりLED52が発光する。
【0030】
積分球9は、LEDチップ5の発光を受光する。積分球9が受光した一部の光を光ファイバで分光器17へ導く。分光器17が受光した光は波長毎に電気信号に変換することで、LEDチップ5の光学的特性の測定を行う。この場合、LED52から発せられた光は、直接積分球9に到達する光と、光路部63を通過し、リフレクタ8に反射されることで積分球9に到達する光の合計になる。
【0031】
[遮光部の構成]
次に、遮光部6の詳細な構成について、
図3及び
図4を参照して具体的に説明する。
【0032】
図3は、遮光部6の上面図である。
図3の例では、遮光部6の上面64には、プローブ3が遮光部6の外から光路部63に挿通するための切欠き60A、60Bが設けられている。この場合、プローブ3は、針先が光路部63で露出するように、切欠き60A、60Bのいずれか一方(本実施例では切欠き60A)もしくは両方を通る。また、溝部61は、上面視において、光路部63を中心とする円形状に形成され、切欠き60A、60B部分が欠けている。
図1の説明で述べたように、溝部61には、先細りとなった円筒状のリフレクタ8の端部が浮いた状態で嵌め込まれる。また、後述するように、遮光部6の上面64には、バネ7Bの一端を嵌め込むための凹部62Bが設けられている。
【0033】
図4(A)は、遮光部6のA−A断面図を示す。
図4(A)に示すように、遮光部6を切欠き60を通らない断面で切断した場合、切断面は、中心部分に設けられた通路である光路部63と、所定の深さに設計された溝部61とを通る。ここで、溝部61は、好適には、遮光部6がテーブル4の方向に押し込まれた際に支持部1に対してZ軸上でスライドした場合であっても、リフレクタ8の下端が当接しないような深さに設計される。
【0034】
図4(B)は、遮光部6のB−B断面図を示す。
図4(B)に示すように、遮光部6を切欠き60Aを通る断面で切断した場合、切欠き60Aに相当する部分が空洞となっている。ここで、切欠き60Aには、遮光部6がテーブル4の方向に押し込まれた際に支持部1に対してZ軸上でスライドした場合であっても、プローブ3が遮光部6に接触しないように、Z軸方向において、挿通するプローブ3の太さよりも十分に大きい幅(例えば
図1の矢印A1だけ大きい幅)に設計されている。また、切欠き60Aには、バネ7Aの一端を嵌め込むための凹部62Aが設けられている。同様に、光路部63に対して凹部62Aと対称の位置には、バネ7Bの一端を嵌め込むための凹部62Bが設けられている。
【0035】
また、測定対象のLED52の光学測定をより正確におこなうためには、同LED52の発光をより多く測定するのが好ましいことから、遮光部6は、可視光帯域において、反射率が70%を超える材料で構成されている。遮光部6の材料は、材料表面の反射率が高く、透過率の小さい材料が選定されている。遮光部6の表面は、好適には白色である。遮光部6の光路部63の内壁は正反射であっても良いし、拡散反射であってもよい。光路部63の内壁は、反射した光が極力測定系へ導かれるように、リフレクタ8と同様に先細り状態でも良い。
【0036】
[遮光部の押し込み動作]
次に、LEDチップ5の検査時に、プローブ針30を電極51に触針させる際に実行する遮光部6の押し込み動作について説明する。
【0037】
図5(A)は、支持部1をテーブル4の方向に移動させて支持部1とテーブル4とを近付けた場合の測定装置100を示す。以後では、LEDチップ5B、5Cと隣接するLEDチップ5A(「測定対象チップ」とも呼ぶ。)の検査を行う場合について説明する。
【0038】
この場合、まず、制御部15は、光路部63が測定対象のLEDチップ5AとXY平面で重なるように、XY平面での支持部1又はテーブル4の位置調整を行った後、支持部1をテーブル4の方向に移動させる。そして、
図5(A)の例では、支持部1とテーブル4とを近付けた結果、遮光部6の下面66は、測定対象チップ5Aに隣接するLEDチップ5B、5C(単に「隣接チップ」とも呼ぶ。)のLED52の上面に接触している。
【0039】
図5(B)は、
図5(A)の状態からさらに所定幅「W2」だけ支持部1をテーブル4の方向に移動させてプローブ針30をLEDチップ5Aの電極51に触針させた場合の測定装置100を示す。また、
図5(C)は、
図5(B)の状態でのLEDチップ5A〜5Cの拡大図である。
【0040】
遮光部6の下面66が隣接チップ5B、5CのLED52の上面と面接触した状態で、支持部1とテーブル4との距離が縮められた場合、遮光部6には、隣接チップ5B、5CのLED52により押し上げられる圧力が加わる。その結果、遮光部6は、幅W2だけ支持部1に対して上方にスライドする。この場合、バネ7は、幅W2だけ縮んだ状態で静止する。なお、遮光部6の下面66の隣接チップのLED52への接触時や押し込み時にLED52の発光面に傷がつかないように、好適には、遮光部6は樹脂等により形成され、かつ、適度の強度を有するバネがバネ7として用いられる。
【0041】
また、
図5(B)では、プローブ針30が測定対象チップ5Aの電極51に触針したことから、測定対象チップ5AのLED52が発光する。このとき、
図5(B)、(C)に示すように、各隣接チップのLED52の上面に測定対象チップ5AのLED52の光が到達しないように、又は、仮に到達しても、その量が非常に少なくなるように、遮光部6が各隣接チップのLED52の上面に面接触している。さらにこれにより、遮光部6は、各隣接チップのLED52の上面にLEDチップ5Aが発した光が入射するのを好適に防ぐ。
【0042】
また、切欠き60Aは、遮光部6が支持部1に対してZ軸上でスライドした場合であっても、プローブ針30が遮光部6に接触しないように、そして、プローブ針30が電極51に触針し、押し込むことにより、プローブ3にたわみが生じてリフレクタ8に接触しないようにプローブ3の太さよりも大きいZ軸方向の幅を有する。従って、遮光部6が支持部1に対してZ軸上でスライドした場合であっても、プローブ3が遮光部6に接触せず、プローブ針30の位置調整には影響がない。また、遮光部6が支持部1に対してスライドしない
図5(A)の状態では、溝部61に嵌め込まれたリフレクタ8の下端は、あらかじめ設定された幅W2押し込んでも溝部61の底に対して浮いている。よって、遮光部6の支持部1に対してスライドした
図5(B)に示す状態であっても、リフレクタ8の下端と遮光部6とは接触せず、遮光部6の移動は妨げられない。
【0043】
ここで、遮光部6を設けることの効果について補足説明する。
【0044】
一般に、LEDチップ5が蛍光体を含んだ白色LED(疑似白色LED)の場合、測定対象チップが測定時に発する青色光が隣接チップのLED52に入射すると、隣接チップのLED52の蛍光体が当該入射光を吸収し、黄色に発光することになる。この場合、積分球9には、隣接チップのLED52が発光する黄色の光が混じって入射するため、制御部15は、測定対象チップの正確な測定ができなくなる。
【0045】
以上を勘案し、本実施例では、測定装置100は、遮光部6を有し、プローブ針30が測定対象チップのLED52に触針した状態で、隣接チップのLED52の上面と遮光部6の下面66とを面接触させる。これにより、隣接チップのLED52の上面に測定対象チップが発した光が入射するのを好適に抑制することができる。なお、本実施例では、測定対象チップの出射光が隣接チップのLED52の側面に入射する可能性があるが、当該側面の面積は、遮光部6により遮蔽されるLED52の上面の面積に比べて無視できる程度に小さい。よって、本実施例の測定装置100によれば、測定対象チップの測定精度を好適に向上させることができる。また、隣接チップのLED52の上面と遮光部6の下面66とを面接触させる態様では、LEDチップ5がテーブル4に隙間なく並べられている場合であっても、隣接チップのLED52への遮光を実現することができる。さらに、本実施例の測定装置100によれば、隣接チップのLED52の蛍光体が発光した場合であっても、その発光が、測定対象チップのLED52の光学測定系に混入しないように遮光部6により抑制している。このように、本願の遮光部6は、測定対象チップが発した光が隣接チップに入射するのを抑制すると共に、隣接チップからの光が光学測定系に混入するのを抑制している。遮光部6は、これらの2つの抑制を同時に行っているので、測定装置100は、測定チップから隣接チップへの入射遮光、隣接チップから光学測定系への光の混入の遮光を完全に行わなくても、正確な光学特性の測定が可能になる。
【0046】
また、遮光部6と導光部2との間には、伸縮自在な複数のバネ7が設けられており、測定装置100は、遮光部2と支持部1及び導光部2とのZ軸方向での相対位置を調整可能に構成される。これにより、測定装置100は、遮光部6を、隣接チップのLED52の上面と確実に面接触するように押し込んだ状態で、プローブ針30を測定対象チップの電極51に触針させることができる。また、測定終了後に支持部1とテーブル4とが離れるように支持部1をZ軸方向に移動させた場合には、遮光部6は、バネ7の復元力により、支持部1に対して下方にスライドし、支持部1の突起部11と接触する位置で再び静止する。
【0047】
以上説明したように、本実施例に係る測定装置100は、支持部1と、導光部2と、プローブ3と、テーブル4と、遮光部6と、バネ7とを有する。テーブル4には、複数のLEDチップ5が隣接して載置される。プローブ3は、複数のLEDチップ5のうち、測定対象チップに電力を供給して当該測定対象チップのLED52を発光させる。遮光部6は、プローブ3が測定対象チップに電力を供給する場合に、当該測定対象チップを囲む。支持部1及び導光部2は、遮光部6をZ軸方向に移動させる。バネ7は、導光部2と遮光部6との間に設けられる。そして、プローブ3が測定対象チップに電力を供給する前に、支持部1は、遮光部6を、バネ7が縮む方向に押し込む。この態様により、測定装置100は、確実に、遮光部6を、測定対象チップを囲む位置に移動させ、測定対象チップから隣接チップに光が漏れるのを好適に抑制することができる。
【0048】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用することが可能である。
【0049】
(変形例1)
図2に示すLEDチップ5は、基板50の上面に電極51及びLED52が並べて設けられていた。これに代えて、電極51とLED52とは、基板50の表裏に形成されていてもよい。
【0050】
図6は、本変形例に係る測定時の測定対象チップ及び隣接チップの拡大図を示す。
図6の例では、各LEDチップ5の基板50の裏面には、電極51が形成されており、プローブ針30は、LEDチップ5の下方から電極51に接触している。この場合、例えば、図示しないテーブル4は、各LEDチップ5の電極51部分を露出するように、各LEDチップ5を支持する。
【0051】
図6の例では、プローブ3は、LEDチップ5よりも下方に設けられ、LEDチップ5の下方から電極51に触針する。よって、この場合、プローブ3は、遮光部6内を通らないため、遮光部6は、切欠き60を有しない。
【0052】
また、遮光部6の下面66は、測定時において、測定対象チップのLED52と隣接チップのLED52との間において、基板50の上面と接触している。この場合、測定対象チップのLED52が発する光の光路は、遮光部6の光路部63により規制されるため、LED52の出射光は、隣接チップのLED52に到達しない。よって、本変形例では、遮光部6は、測定対象チップ5Aが発した光が隣接チップのLED52に入射するのを好適に抑制することができる。なお、
図6に代えて、上述した実施例と同様に、隣接チップのLED52の上面と遮光部6の下面66とが対向し、測定時にはこれらが面接触する構成であってもよい。
【0053】
(変形例2)
本発明が適用可能な遮光部6は、測定対象チップの測定時において、隣接チップのLED52の上面に接する態様に限定されない。
【0054】
図7は、本変形例に係る測定時の測定対象チップ及び隣接チップの拡大図を示す。
図7の例では、遮光部6は、測定時に測定対象チップを囲む突起部65が設けられている。突起部65は、遮光部6の下面66から突起しており、測定対象チップと隣接チップとの間の隙間と対向する位置に形成されている。そして、突起部65は、プローブ針30の触針時において、測定対象チップと隣接チップとの隙間に挿入され、測定対象チップのLED52からの出射光が隣接チップのLED52の側面から入射する光を遮る。このように、
図6の例では、遮光部6は、突起部65を有することで、測定対象チップのLED52から隣接チップのLED52への光の入射をより好適に遮断することができる。なお、
図6では、LED52は分割され、測定対象チップと隣接チップとの間に隙間が形成されているが、分割されていることには限定されない。これに代えて、1枚の基板50上に複数のLED52が配列されてもよい。