(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、例えば特許文献1には、円板状媒体が繰り出される繰出口と、この繰出口へ円板状媒体を繰り出す円板状媒体繰出部と、この円板状媒体繰出部から前記繰出口に繰り出す円板状媒体を検知する第1のセンサおよび第2のセンサを有し、これら第1のセンサと第2のセンサとは前記繰出口の両側に対向して配置されていると共に検知方式が異なり、第1のセンサは円板状媒体検知時の出力信号がHレベル、非円板状媒体検知時の出力信号がLレベルとなり、第2のセンサは円板状媒体検知時の出力信号がLレベル、非円板状媒体検知時の出力信号がHレベルとなるセンサ部と、前記円板状媒体検知時の第1のセンサからの出力信号と前記第2のセンサからの出力信号とでカウントし、第2のセンサからのLレベルの出力信号が所定時間以上継続する場合および第1のセンサのカウント値と第2のセンサのカウント値とが所定数以上相違する場合には異常と判断する制御部とを具備していることを特徴とする円板状媒体貸出装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の円板状媒体貸出装置では、本来払い出される円板状媒体(以下、正規コインと記載する)と直径等のサイズが異なる円板状媒体(以下、不正コインと記載する)が含まれている場合、正規コインおよび不正コインの区別が行われずに、不正コインも正規コインとしてカウントされるという問題がある。
【0004】
第2の従来技術として、例えば特許文献2には、投入されたメダルをホッパーに導く導入経路と、前記ホッパー内のメダルを1枚ずつ送出する送出手段と、前記送出手段が送り出した全てのメダルを検知する第1検知手段と、前記送出手段が送り出したメダルのうち直径が所定値以上である正規のメダルを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段が検知した回数を計数する第1計数手段と、前記第2検知手段が検知した回数を計数する第2計数手段と、所定の異常判定条件が成立した場合に、前記第1計数手段による計数値と前記第2計数手段による計数値との差もしくは比率である異常指標が所定の異常判定値に達していることを条件として異常と判定する異常判定手段と、該異常判定手段が異常と判定したときに異常を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とするメダル計数装置が開示されている。
【0005】
特許文献2のメダル計数装置では、第1検知手段では全メダルが検知されるが、第2検知手段では直径が所定値以下のメダルは検知されないように構成されているため、直径が所定値以上のメダルは正規コインとして検知され、直径が所定値以下のメダルは不正コインとして検知される。特許文献2のメダル計数装置では、第2検知手段はメダル通路に突出して配置された板バネと第2センサとを含んで構成され、正規のメダル(正規コイン)に押されて、板バネがメダル通路から退避することによって、メダルの通過が検知される。しかしながら、正規コインよりわずかに直径が小さい不正コインの場合、正規コインと同様に不正コインによって板バネが押され、不正コインの通過が第2検知手段で検知されるという問題がある。また、不正コインが第2検知手段の板バネと衝突することによって、板バネがメダル通路から退避する方向に動き、その結果、不正コインが第2検知手段で検知されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、払い出されるコインの直径を精度よく判定することが可能なコインホッパおよびコイン径判定方法を提供することにある。なお、ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明に係るコインホッパおよびコイン径判定方法は以下のように構成される。
【0009】
(1)本発明のコインホッパは、所定の軸を中心に回転し、ばら積み状態のコインを一枚ずつ分離して送り出す回転ディスクと、前記回転ディスクから送り出されたコインが通過するコイン通路と、前記コイン通路が延在する方向に沿って所定の間隔を置いて配置され、前記コインの通過を検出する第1検出手段および第2検出手段を有するコイン検出手段と、前記第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間に基づいて前記コインの直径を判定する制御部と、を備え
、前記制御部は、前記第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの前記時間と所定のしきい値とを比較し、前記時間が前記しきい値以下の場合に、前記コインを第1の直径を有する第1のコインと判定し、前記時間が前記しきい値を越える場合に、前記コインを第2の直径を有する第2のコインと判定し、前記第1検出手段が非検出状態から検出状態に変化せずに、前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化した場合に、前記コインを第3の直径を有する第3のコインと判定するコインホッパである。
【0010】
本発明のコインホッパでは、回転ディスクによって一枚ずつに分離されコイン通路に向けて送り出されるコインが、コイン通路に配置された第1および第2検出手段で検出される。コイン通路を通過するコインの直径(以下、コイン径と記載する)は、第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間(以下、待機時間と記載する)に基づいて判定される。コインが第1検出手段で検出される時間はコイン径に依存しているので、コイン径が小さくなるほどに第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化するタイミングが早くなる。一方、コインは一定の速度で回転する回転ディスクによってコイン通路に向けて送り出されるので、第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するタイミングはコイン径に拘らず一定である。そのため、待機時間はコインのコイン径に依存し、コイン径が小さくなるほど待機時間は長くなる。したがって、コインのコイン径を待機時間に基づいて精度よく判定できる。
【0011】
本発明のコインホッ
パでは、前記制御部は、前記第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの前記時間と所定のしきい値とを比較し、前記時間が前記しきい値以下の場合に、前記コインを第1の直径を有する第1のコインと判定し、前記時間が前記しきい値以上の場合に前記コインを第2の直径を有する第2のコインと判定する。待機時間はコインのコイン径に依存するので、待機時間と所定のしきい値とを比較することによって、第1および第2コインを精度よく判定できる。
【0012】
本発明のコインホッパでは、前記制御部は、前記第1検出手段が非検出状態から検出状態に変化せずに、前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化した場合に、前記コインを第3の直径を有する第3のコインと判定する。
【0014】
(
2)本発明のコインホッパ
の好ましい例では、前記制御部は、前記コインが前記第1〜第3のコインのうち少なくともいずれかと判定した場合に、異常と判断する。
【0015】
(
3)本発明のコインホッパの更なる好ましい例では、前記制御部は、異常と判断した場合に、前記回転ディスクによる前記コインの送り出しを停止させる。
【0016】
(
4)本発明のコイン径判定方法では、所定の軸を中心に回転する回転ディスクによって一枚ずつ分離して送り出され、コイン通路を通過するコインの直径を判定するコイン径判定方法であって、前記コイン通路に配置された第1検出手段によって前記コインを検出する工程と、前記コイン通路が延在する方向に沿って前記第1検出手段から所定の間隔を置いて配置された第2検出手段によって前記コインを検出する工程と、前記第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間を検出する工程と、前記時間と所定のしきい値とを比較する工程と、前記時間が前記しきい値以下の場合に前記コインを第1の直径を有する第1のコインと判定し、前記時間が前記しきい値以上の場合に前記コインを第2の直径を有する第2のコインと判定
し、前記第1検出手段が非検出状態から検出状態に変化せずに、前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化した場合に、前記コインを第3の直径を有する第3のコインと判定する工程と、を備えるコイン径判定方法である。
【0017】
本発明のコイン径判定方法では、回転ディスクによって一枚ずつに分離してコイン通路に送り出されたコインを第1および第2検出手段で検出する工程と、第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間である待機時間を検出する工程と、待機時間と所定のしきい値とを比較する工程と、待機時間がしきい値以下の場合にコインを第1のコインと判定し、待機時間がしきい値以上の場合にコインを第2のコインと判定する工程と、を備えている。コインが第1検出手段で検出される時間はコイン径に依存しているので、コイン径が小さくなるほどに第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化するタイミングが早くなる。一方、コインは一定の速度で回転する回転ディスクによってコイン通路に向けて送り出されるので、第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するタイミングはコイン径に拘らず一定である。そのため、待機時間はコインのコイン径に依存し、コイン径が小さくなるほど待機時間は長くなる。したがって、コインのコイン径を待機時間に基づいて精度よく判定でき、待機時間と所定のしきい値とを比較することによって、第1および第2コインを精度よく判定できる。
【0018】
本発明のコイン径判定方
法では、前記第1検出手段が非検出状態から検出状態に変化せずに、前記第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化した場合に、前記コインを第3の直径を有する第3のコインと判定する。
【0020】
(
5)本発明のコイン径判定方法
の好ましい例では、前記コインが前記第1〜第3のコインのうち少なくともいずれかと判定した場合に、異常と判断する。
【0021】
(
6)本発明のコイン径判定方法の更なる好ましい例では、異常と判断した場合に、前記回転ディスクによる前記コインの送り出しを停止させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコインホッパによれば、回転ディスクによって一枚ずつに分離されコイン通路に向けて送り出されたコインが、第1および第2検出手段で検出され、第1検出手段が検出状態から非検出状態に変化した時点から第2検出手段が非検出状態から検出状態に変化するまでの待機時間に基づいてコイン径が判定される。待機時間はコインのコイン径に依存するため、コインのコイン径は待機時間に基づいて精度よく判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るコインホッパ100を
図1〜
図8を参照しながら説明する。
コインホッパ100は、ばら積み状態のコインCを一枚ずつに分離して送り出す機能を有している。コインホッパ100は、ベース220と、ばら積み状態のコインCを一枚ずつに分離して送り出す回転ディスク240と、回転ディスク240から送り出されたコインCを検出する第1検出手段270および第2検出手段280と、ベース220を貫通して回転ディスク240と駆動連結され、回転ディスク240を回転させる駆動源230と、を含んで構成されている。
【0025】
ベース220の上面には、略円形状の凹部222と、凹部222に連続して設けられた略直線状のコイン通路224とが形成されている。凹部222には、回転ディスク240が凹部222の底面に垂直な回転軸線L1の周りを回転可能に配置されている。回転ディスク240は、回転軸線L1を中心とした同心円上に形成された複数の貫通孔242が形成されている。これにより、ばら積み状態のコインCは貫通孔242を介してベース220の凹部222の底面に案内される。回転ディスク240の裏面には、隣接する貫通孔242の間に、回転ディスク240の裏面から突出する押動部(図示されない)が形成されている。回転ディスク240の回転に伴って、押動部(図示されない)は凹部222内において回転移動する。これにより、貫通孔242を介して凹部222の底面上に案内されたコインCは、コインCの平面が凹部222の底面に保持され、かつ、凹部222の周面にコインCの周面が案内されつつ、回転ディスク240の回転に伴って回転移動する押動部(図示されない)に押動される。
【0026】
凹部222の底面には、後述する送出装置260の近傍において、凹部222の底面から突出し、かつ進退可能に構成された一対のピン228が配置されている。回転ディスク240の回転に伴って、一対のピン228まで搬送されたコインCは、一対のピン228の周面に接触した後、コイン通路224に向かって移動される。
【0027】
コイン通路224には、ガイド250と送出装置260とがコイン通路224を挟んで配置されている。ガイド250と送出装置260とは、ガイド250と送出装置260との間をコインCが移動可能に所定の間隔を置いて配置されている。コイン通路224の回転ディスク240の正回転方向R1の上流側にはガイド250が配置され、コイン通路224の回転ディスク240の正回転方向R1の下流側に送出装置260が配置されている。
【0028】
ガイド250は回転ディスク240に隣接して配置されている。ガイド250の回転ディスク240と相対する側面252は、凹部222の周面に連なり、送出装置260に近づくにつれて回転ディスク240から連続的に離れるように構成されている。
【0029】
送出装置260は、ベース220の凹部222の底面に垂直な回転軸線の周りを回転可能に構成されたローラ262と、ベース220の凹部222の底面に垂直な回動軸264を中心に回動するレバー268と、を含んで構成されている。ローラ262は、ベース220の裏面側において、レバー268の一端に接続されている。回転ディスク240に隣接する位置において、ベース220を貫通する弧状の貫通孔266が形成されている。ローラ262は、ベース220の裏面側から貫通孔266に挿入されている。ローラ262は、貫通孔266内において、ガイド250の側面252の送出装置260側の端部254とローラ262の周面との距離がコインCの直径より小さい待機位置P1と、端部254とローラ262の周面との距離がコインCの直径より大きい移動位置P2との間を往復移動可能に構成されている。ローラ262は、ガイド250の端部254に近づく方向に向かって図示されないバネなどの弾性部材で付勢され、待機位置P1に維持される。
【0030】
回転ディスク240によってガイド250まで搬送されたコインCは、コインCの周面がガイド250の側面252に案内されながら回転ディスク240の押動部(図示されない)によって押動され、待機位置P1に位置する送出装置260のローラ262に当接する。さらに、コインCが回転ディスク240の押動部(図示されない)に押動されると、コインCはローラ262を押圧して、ガイド250の端部254とローラ262との間の隙間を押し広げる。換言すると、コインCは、ローラ262を待機位置P1から移動位置P2に向けて移動させる。ローラ262が移動位置P2まで移動して、ガイド250の端部254とローラ262との間をコインCの直径部分が通過すると、ローラ262は図示されない付勢部材の付勢力によって待機位置P1に復帰する。そのため、コインCはガイド250とローラ262とによって弾かれ、コイン通路224を移動する。
【0031】
ベース220の裏面側には、コインCが回転ディスク240から送り出されたかどうかを検出する第1検出手段270が配置されている。第1検出手段270は、送出装置260の動作を検出することで、コインCが回転ディスク240から送り出されたかどうかを間接的に検出する。第1検出手段270は第1検出センサ274と被検出部材272とで構成されている。第1検出センサ274は、ベース220の裏面側かつ送出装置260の側方においてブラケット276を介してベース220に取り付けられている。第1検出センサ274は、コの字状の溝部を有している。第1検出センサ274は、コの字状の溝部の両側面にそれぞれ設けられた発光素子と受光素子とが対向配置して構成されている。第1検出センサ274の発光素子は、コインホッパ100が作動中は常に発光している。第1検出センサ274は、コの字状の溝部が送出装置260、換言すれば送出装置260のレバー268に相対して配置されている。
【0032】
被検出部材272は非透光性の板状部材で形成されている。被検出部材272は、送出装置260のレバー268と一体的に構成されている、被検出部材272は、第1検出センサ274のコの字状の溝部に進退可能な高さで、第1検出センサ274に向かって突出している。ローラ262が待機位置P1に位置するとき、被検出部材272は第1検出センサ274のコの字状の溝部から退避した非検出位置P3に位置するように構成されている。これにより、ローラ262が待機位置P1に位置するとき、第1検出センサ274の発光素子から受光素子に向かう光軸が被検出部材272によって遮られず、第1検出センサ274の発光素子から照射された光が受光素子で受光される。この時、第1検出センサ274の出力信号はHレベルにある。一方、ローラ262が移動位置P2に位置するとき、被検出部材272は第1検出センサ274のコの字状の溝部に進入した検出位置P4に位置するように構成されている。これにより、ローラ262が移動位置P2に位置するとき、第1検出センサ274の発光素子から受光素子に向かう光軸が被検出部材272によって遮られ、第1検出センサ274の発光素子から照射された光が受光素子で受光されない。この時、第1検出センサ274の出力信号はLレベルにある。
【0033】
なお、本発明の実施の形態では、被検出部材272が第1検出センサ274の発光素子から受光素子に向かう光軸を遮断することで、コインCが回転ディスク240から送り出されたことを検出しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ローラ262が待機位置P1から移動位置P2に向かって移動されるのに連動して、被検出部材272が第1検出センサ274のコの字状の溝部から退出し、第1検出センサ274の発光素子から照射された光が受光素子で受光されることで、コインCが送出装置260から送り出されたことを検出するように構成しても構わない。また、第1検出センサ274は、マイクロスイッチや磁気センサなどを用いても構わない。さらに、本発明の実施の形態では、第1検出手段270は送出装置260の動作を検出することで、コインCが回転ディスク240から送り出されたかどうかを検出しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コイン通路224に光センサや磁気センサなどを配置し、コイン通路224を移動するコインCを直接的に検出するように構成しても構わない。
【0034】
コイン通路224には、第2検出手段280が配置されている。第2検出手段280は、送出装置260に対してコイン通路224のコインCの進行方向下流側に配置されている。第2検出手段280は、コイン通路224の上方に配置された第2検出センサ282で構成されている。本発明の実施の形態において、第2検出センサ282は、コイン通路224上のコインCに向かって光を照射する発光部とコインCで反射した光を受光する受光部とを有する反射型の光センサで構成されている。第2検出センサ282は、発光部からの光の照射域にコインCが位置する場合と、位置しない場合との受光部で受光する光の強度の差異によってコイン通路224を通過するコインCの有無を検出する。なお、第2検出手段280はこれに限定されるものではなく、例えば、第2検出センサ282を透過型の光センサや磁気センサなどで構成しても構わない。また、第1検出手段270のように、コイン通路224を通過するコインCによって可動される可動部材を介してコインCを検出するように構成しても構わない。
【0035】
(制御部)
コインホッパ100の制御部160は、
図6のような構成を有している。制御部160は、コイン径判定部162、駆動制御部164および報知制御部166を有している。コイン径判定部162は、第1および第2検出センサ274、282でのコインCの検出結果に基づいてコイン径を判定する。換言すれば、コイン径判定部162は、第1検出手段270の第1検出センサ274が出力する第1検知信号D1と、第2検出手段280の第2検出センサ282が出力する第2検知信号D2と、に基づいて、第1および第2検出手段270、280で検出されたコインCのコイン径を判定する。駆動制御部164は、駆動源230の駆動状態を制御する駆動制御信号D3を出力する。
【0036】
コイン径判定部162は、コイン通路224を通過するコインCのコイン径が所定の範囲内にあると判定した場合、換言すればコインCが正規コインTCであると判定した場合に、外部装置400の制御部402に対して計数信号D5を出力する。外部装置400の制御部402は、計数信号D5を受信したことに基づいて正規コインTCの払出し枚数を計数する。なお、本発明の実施の形態において、正規コインTCの払出し枚数を外部装置400で行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、コインホッパ100の制御部160で行うように構成しても構わない。
【0037】
コイン径判定部162は、コイン通路224を通過するコインCのコイン径が所定の範囲内にないと判定した場合、換言すれば、本来払い出される正規コインTCではない不正コインFCであると判定した場合、エラー信号D4を駆動制御部164に対して出力する。駆動制御部164は、エラー信号D4を受信したことに伴って、コインCの払出しを停止するために、駆動制御信号D3を出力して駆動源230を停止させる。
【0038】
なお、エラー信号D6を受信したことに伴う制御は、本発明の実施形態に限定されるものではない。例えば、コインホッパ100に報知手段を設け、当該報知手段からエラーを報知するようにしても構わない。また、図示されない外部装置の制御部に対してエラー信号D4を出力し、当該外部装置から報知するように構成しても構わない。
【0039】
(コインの検出)
次に、第1検出手段270および第2検出手段280でのコインCの検出について、
図3〜
図5および
図7を参照しながら説明する。正規コインTCである大径コインLCおよび不正コインである中径コインMCと小径コインSCのそれぞれの場合について、第1検出手段270および第2検出手段280での検出について説明する。
【0040】
コインCは、回転ディスク240に押動されてコイン通路224まで移動されると、コインCの周面がガイド250の端部254および送出装置260のローラ262の周面のそれぞれと接触する。コインCは、さらに回転ディスク240に押動されると、ローラ262を待機位置P1から移動位置P2に向かって移動させながら、端部254とローラ262との間を通過する。コインCの直径部が端部254とローラ262との間を通過すると、図示されない弾性部材によってローラ262は移動位置P2から待機位置P1に向かって移動される。これにより、コインCの周面がローラ262によって押され、コインCはコイン通路224を第2検出手段280に向かってコイン通路224を移動する。
【0041】
まず、大径コインLCの検出について、
図3および
図7(a)を参照しながら説明する。大径コインLCは、回転ディスク240に押動されてコイン通路224まで移動されると、大径コインLCの周面がガイド250の端部254および送出装置260のローラ262の周面のそれぞれと接触する。このとき、第1検出手段270の第1検出センサ274は、大径コインLCを検出しない非検出状態であり、第1検出センサ274の出力信号はHレベルにある。また、第2検出手段280の第2検出センサ282は、大径コインLCを検出しない非検出状態であり、第2検出センサ282の出力信号はLレベルにある。
【0042】
大径コインLCがさらに回転ディスク240に押動され、コイン通路224に向かって移動すると、ローラ262は大径コインLCの周面に押されて待機位置P1から移動位置P2に向かって移動すると共に、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する。そして、タイミングt11において、第1検出センサ274の光軸が被検出部材272に遮られ、第1検出センサ274の出力信号がLレベルになり、第1検出手段270は大径コインLCが検出されない非検出状態から大径コインLCが検出される検出状態に変化する。
【0043】
大径コインLCの直径部が端部254とローラ262との間を通過すると、ローラ262が図示されない弾性部材の付勢力によって移動位置P2から待機位置P1に向かって移動すると共に、被検出部材272が検出位置P4から非検出位置P3に向かって移動する。そして、タイミングt11から時間T11経過したタイミングt12において、被検出手段272は第1検出センサ274の光軸を遮らない位置まで移動し、第1検出センサ274の出力信号がHレベルになり、第1検出手段270は大径コインLCが検出される検出状態から大径コインLCが検出されない非検出状態に変化する。
【0044】
大径コインLCは、移動位置P2から待機位置P1に向かって移動するローラ262によって押されてコイン通路224を移動し、タイミングt13において第2検出センサ282に到達する。これにより、第2検出センサ282の発光部から照射された光が大径コインLCの表面によって反射され、第2検出センサ282の出力信号がHレベルになり、第2検出手段280が非検出状態から検出状態に変化する。そして、タイミングt13から時間T12経過したタイミングt14において、大径コインLCが第2検出センサ282を通過し、第2検出センサ282の出力信号がLレベルになり、第2検出手段280が検出状態から非検出状態に変化する。
【0045】
次に、中径コインMCの検出について、
図4および
図7(b)を参照しながら説明する。中径コインMCは、回転ディスク240に押動されてコイン通路224まで移動されると、中径コインMCの周面がガイド250の端部254および送出装置260のローラ262の周面のそれぞれと接触する。このとき、第1検出手段270の第1検出センサ274は、中径コインMCを検出しない非検出状態であり、第1検出センサ274の出力信号はHレベルにある。また、第2検出手段280の第2検出センサ282は、中径コインMCを検出しない非検出状態であり、第2検出センサ282の出力信号はLレベルにある。
【0046】
中径コインMCがさらに回転ディスク240に押動され、コイン通路224に向かって移動すると、ローラ262は中径コインMCの周面に押されて待機位置P1から移動位置P2に向かって移動すると共に、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する。そして、タイミングt21において、第1検出センサ274の光軸が被検出部材272に遮られ、第1検出センサ274の出力信号がLレベルになり、第1検出手段270は中径コインMCが検出されない非検出状態から中径コインMCが検出される検出状態に変化する。
【0047】
中径コインMCの直径部が端部254とローラ262との間を通過すると、ローラ262が図示されない弾性部材の付勢力によって移動位置P2から待機位置P1に向かって移動すると共に、被検出部材272が検出位置P4から非検出位置P3に向かって移動する。そして、タイミングt21から時間T21経過したタイミングt22において、被検出手段272は第1検出センサ274の光軸を遮らない位置まで移動し、第1検出センサ274の出力信号がHレベルになり、第1検出手段270は中径コインMCが検出される検出状態から中径コインMCが検出されない非検出状態に変化する。
【0048】
中径コインMCは、移動位置P2から待機位置P1に向かって移動するローラ262によって押されてコイン通路224を移動し、タイミングt23において第2検出センサ282に到達する。これにより、第2検出センサ282の発光部から照射された光が中径コインMCの表面によって反射され、第2検出センサ282の出力信号がHレベルになり、第2検出手段280が非検出状態から検出状態に変化する。そして、タイミングt23から時間T22経過したタイミングt24において、中径コインMCが第2検出センサ282を通過し、第2検出センサ282の出力信号がLレベルになり、第2検出手段280が検出状態から非検出状態に変化する。
【0049】
次に、小径コインSCの検出について、
図5および
図7(c)を参照しながら説明する。小径コインSCは、回転ディスク240に押動されてコイン通路224まで移動されると、小径コインSCの周面がガイド250の端部254および送出装置260のローラ262の周面のそれぞれと接触する。このとき、第1検出手段270の第1検出センサ274は、小径コインSCを検出しない非検出状態であり、第1検出センサ274の出力信号はHレベルにある。また、第2検出手段280の第2検出センサ282は、小径コインSCを検出しない非検出状態であり、第2検出センサ282の出力信号はLレベルにある。
【0050】
小径コインSCがさらに回転ディスク240に押動され、コイン通路224に向かって移動すると、ローラ262は小径コインSCの周面に押されて待機位置P1から移動位置P2に向かって移動すると共に、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する。しかしながら、第1検出手段270は、小径コインSCが端部254とローラ262との間を通過する過程において、小径コインSCが検出されないように構成されている。換言すれば、小径コインが端部254とローラ262との間を通過するとき、被検出部材272は、検出位置P4まで移動せずに、第1検出センサ274の光軸を遮らないように構成されている。これにより、小径コインSCが端部254とローラ262との間を通過するとき、第1検出センサ274の出力信号はHレベルに維持され、第1検出手段270は小径コインSCを検出しない非検出状態を維持する。
【0051】
小径コインSCは、移動位置P2から待機位置P1に向かって移動するローラ262によって押されてコイン通路224を移動し、タイミングt33において第2検出センサ282に到達する。これにより、第2検出センサ282の発光部から照射された光が小径コインSCの表面によって反射され、第2検出センサ282の出力信号がHレベルになり、第2検出手段280が非検出状態から検出状態に変化する。そして、タイミングt23から時間T22経過したタイミングt24において、小径コインSCが第2検出センサ282を通過し、第2検出センサ282の出力信号がLレベルになり、第2検出手段280が検出状態から非検出状態に変化する。
【0052】
(コイン径の判定)
次に、大径コインLC、中径コインMCおよび小径コインSCそれぞれのコイン径の判定方法について説明する。大径コインLCおよび中径コインMCのそれぞれは第1検出手段270および第2検出手段280で検出され、小径コインSCは第2検出手段280でのみ検出される。そのため、第1検出手段270で検出されず、第2検出手段280でのみ検出されたコインCは小径コインSCと判定される。
【0053】
大径コインLCおよび中径コインMCのそれぞれの判定方法について説明する。被検出部材272の非検出位置P3と検出位置P4との間の移動は、ローラ262の待機位置P1と移動位置P2との間の移動と連動しているので、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する距離(または角度)はローラ262が待機位置P1から移動位置P2に向かって移動する距離(または角度)に依存する。ローラ262はコインCの周面に押されて待機位置P1から移動位置P2に向かって移動するので、ローラ262が待機位置P1から移動位置P2に向かって移動する距離はコインCの直径に依存する。そのため、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する距離はコインCの直径に依存する。これにより、被検出部材272が非検出位置P3から検出位置P4に向かって移動する距離は、大径コインLCに対して中径コインMCの方が小さくなるので、被検出部材272が第1検出センサ274の光軸を遮っている間、換言すれば、第1検出センサ274が検出状態にある間に、被検出部材272が移動する距離は、大径コインLCに対して中径コインMCの方が小さくなる。したがって、第1検出手段270で中径コインMCが検出される時間T21は、第1検出手段270で大径コインLCが検出される時間T11と比べて短くなり、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化する時刻が、大径コインLCに対して中径コインMCの方が早くなる(t12>t22)。
【0054】
大径コインLC、中径コインMCおよび小径コインSCのそれぞれは、ほぼ等回転速度で回転する回転ディスク240によって一枚ずつ払い出されるので、ほぼ同じ速度でコイン通路224を移動する。そのため、大径コインLCが第2検出センサ282に到達するタイミングt13、中径コインMCが第2検出センサ282に到達するタイミングt23、および小径コインSCが第2検出センサ282に到達するタイミングt33はほぼ同じタイミングとなる(t13=t23=t33)。
【0055】
大径コインLCおよび中径コインMCのそれぞれの検出において、第2検出センサ282が非検出状態から検出状態に変化するタイミングt13、t23が同じである。一方、大径コインLCおよび中径コインMCのそれぞれの検出において、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化するタイミングt12、t22は異なり、タイミングt22はタイミングt12より早くなる。そのため、大径コインLCの検出における、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化してから第2検出センサ282が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間T13と、中径コインMCの検出における、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化してから第2検出センサ282が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間T23は異なり、時間T23は時間T13より大きくなる(T23>T13)。これにより、コインCの検出における、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化してから第2検出センサ282が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間Tdと、あらかじめ設定された時間(しきい値)T0とを比較することによって、コインCが大径コインLCと中径コインMCとのいずれかであるかを判定することができる。換言すれば、時間Tdがしきい値T0以下の場合(Td≦T0)は大径コインLCと判定され、時間Tdがしきい値T0より大きい場合(Td>T0)は中径コインMCと判定される。
【0056】
(動作)
次に、
図8を参照しながら、コインホッパ100の動作について説明する。
【0057】
まず、ステップS1において、コインCが第1検出センサ274で検出されたかどうかは判断される。コインCが第1検出センサ274で検出された場合、ステップS2に進み、コインCが第2検出センサ282で検出される。
【0058】
続くステップS3では、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化してから第2検出センサ282が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間Tdが所定のしきい値T0以下であるかどうかが判断される。時間Tdがしきい値T0以下の場合(Td≦T0)、ステップS4に進み、コインCが大径コインLCであると判定される。続いて、ステップS5に進み、計数信号D5が出力され、払い出されたコインCが大径コインLCとして計数される。ステップS5の実行後、ステップS1に戻る。
【0059】
ステップS3で、時間Tdがしきい値T0より大きいと判断された場合(Td>T0)、ステップS6に進み、コインCが中径コインMCと判断される。ステップS7に進み、異常状態と判断され、エラー信号D4が出力される。続いて、ステップS8に進み、駆動源230が停止され、コインホッパ100の動作が終了される。
【0060】
ステップS1で、コインCが第1検出センサ274で検出されない場合、ステップS9に進み、コインCが第2検出センサ282で検出されたかどうかが判断される。コインCが第2検出センサ282で検出された場合、ステップS10に進み、コインCが小径コインSCであると判断される。ステップS7に進み、異常状態と判断され、エラー信号D4が出力される。続いて、ステップS8に進み、駆動源230が停止され、コインホッパ100の動作が終了される。
【0061】
ステップS9で、コインCが第2検出センサ282で検出されない場合、ステップS11に進み、第1検出センサ274が検出状態から非検出状態に変化してから経過した時間Tsが所定時間Ts0経過したかどうかが判断される。時間Tsが所定時間Ts0経過していない場合(Ts≦Ts0)、ステップS1に戻る。
【0062】
ステップS11で、時間Tsが所定時間Ts0経過した場合(Ts>Ts0)、ステップS8に進み、駆動源230が停止され、コインホッパ100の動作が終了される。
【0063】
このように、本発明のコインホッパ100は、コインCのコイン径が、第1検出手段270が検出状態から非検出状態に変化した時点から第2検出手段280が非検出状態から検出状態に変化するまでの時間Tdに基づいて判定される。時間TdはコインCのコイン径に応じて変化するので、コインCのコイン径は時間Tdに基づいて精度よく判定することができる。このため、正規コインとコイン径が異なる不正コインが使用されても、その不正行為を検出することができ、その不正対策に効果的となる高い検出機能を確保することができる。
【0064】
(変形例)
上述した実施の形態は、本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。なお、以降の説明では、便宜上、上述した実施の形態と同様の構成および処理工程については、同じ符号を用いてその説明を適宜省略する。
【0065】
例えば、
図9のように、ステップS206で、コインCが中径コインMCであると判定された場合、ステップS207で、払い出されたコインCを中径コインMCとして計数するように構成しても構わない。これにより、コインホッパ100から払い出される大径コインLCおよび中径コインMCのそれぞれを計数することができ、小径コインSCを不正コインとして検出することができる。
【0066】
また、
図10のように、ステップS309で、コインCが小径コインSCであると判定された場合、ステップS320で、払い出されたコインCを小径コインSCとして計数するように構成しても構わない。これにより、コインホッパ100から払い出される大径コインLC、中径コインMCおよび小径コインSCのそれぞれを計数することができる。