(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の動力系を構成する複数の機器の画像と前記複数の機器に対するエネルギーの入出力される方向、或いはエネルギーの入出力される方向及び大きさを示す表示とをした前記動力系の全体を俯瞰した動力系画面である第1の画面と、複数の第2の画面を備え、
前記第2の画面は前記車両の動力系を構成する複数の機器の各機器ごとに当該機器についての作動情報を表示する画面であり、前記第1の画面を表示しているときに、当該第1の画面に表示した前記車両の動力系を構成する複数の機器の画像のうち1の機器の画像がユーザによって選択されたことを検出した場合、前記複数の第2の画面のうち当該選択された機器の画像が示す機器についての数値表示とその数値の種類名称文字列の組を複数備える作動情報を表示する第2の画面へ切り替える機能と、
前記第2の画面における前記複数の数値表示とその数値の種類名称文字列の組のうち、ユーザによって1の組が選択されたことを検出した場合、当該組における数値表示の時系列情報を表示する画面である第3の画面へと切り替える機能を備えること
を特徴とするシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えば、燃費をより深く追求したいというユーザの要望も存在し得る。その要望を抱くユーザは、各動力源のエネルギーの配分の他、その配分原因が関心事項となり得る。例えば、運転の仕方ではなく、むしろバッテリの劣化が動力源のエネルギー配分に影響を及ぼしている場合もある。しかし、従来のようにエネルギー配分に的を絞って作動情報を限定すると、そのようなエネルギー配分の原因探求は困難となる。一方で、そのエネルギー配分及び配分原因を探求可能な各作動状態を詳細に提供しようとすると、多くの作動情報が込み入って表示され、走行中の確認が困難となる。
【0012】
すなわち、従来は、動力系に複数の動力源を備えた車両において急増した作動情報の把握容易性と、作動情報を欠くことなく提供できる完全性とが両立しなかった。この状況は、燃費の追求に限らず、例えば走行性を深く追求したいユーザにとっては、走行性の把握と其の走行性の原因の両方が関心事項となるところ、従来と同様に走行性を把握する作動情報のみに絞った表示態様とすると、その関心事項を満たす作動情報の把握容易性と完全性が非両立となる。
【0013】
要するに、ユーザには、把握すべき作動情報に優先度が存在し、優先度に従って把握を所望する頻度が異なるが、従来は作動情報を提供か非提供かの択一で区分しており、作動情報の把握容易性と完全性を両立させることができなかった。
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために提案されたものであり、その目的は、車両において急増した作動情報をユーザの把握容易性を低下させることなく、より多く提供することができるシステム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記の目的を達成するために、本発明のシステムは、複数の動力源を有する車両の少なくとも一部に関する各作動情報を複数の画面に分配し、その複数の画面のうちの一画面を表示手段に表示させ、表示手段に表示する画面を切り替え可能とすることを特徴とする。
【0016】
これにより、一画面に表示させる作動情報の数を限定でき、作動情報の把握が容易となる。画面を切り換えれば、他の作動情報も閲覧可能となるため、従来よりも多くの作動情報を容易かつ確実に提供できる。例えば、ユーザが要望する作動情報を余すことなく各画面に分配する構成とすれば、ユーザが要望する作動情報を欠くことなく提供できる。そのため、例えば、車両、其の動力系、或いは動力系のうちの電気系統のみといった車両の一部に関する作動情報の完全性を担保することができる。従って、車両運転者が要望する関心事項を十分に満たすことが可能となる。
【0017】
(2)前記複数の画面には、ユーザが把握を所望する作動情報を集めた第1の画面と、その他の作動情報が分配された一又は複数の第2の画面とを含むようにするとよい。
【0018】
これにより、ユーザは、基本的には第1の画面を参照して所望観点に係る動力系の動向を概略把握しておき、概略把握の結果を深く追求したい場合には第2の画面を参照するという使用方法を実行可能となるのでよい。
【0019】
(3)第1の画面には、前記車両の動力系全体の作動状態が概略把握できる作動情報が表示されることが望ましい。ユーザは、所望観点を動力系全体の脈略から把握でき、第2の画面の何れのページを更に参照すべきかの判断が容易となる。尚、ユーザの所望観点は、例えば、燃費の追求、走行性の追求、車の性能維持或いは長寿命化の追求等とするとよい。
【0020】
(4)前記第1の画面を、前記動力系全体を俯瞰した動力系画面として表示し、前記第2の画面を、前記動力系を複数に区分けした区分け別に用意し、当該区分けに属する各部に関する作動情報が表示される各部詳細画面として表示するとよい。
【0021】
動力系全体を俯瞰した動力系画面では、動力系の全体的な動向を脈略をもって把握しやすい。各部詳細画面では、動力系の全体的な動向に基づき、その動向の原因追及が可能となる。そのため、作動情報の把握容易性と完全性とをユーザの利便性を獲得した上で両立することができるのでよい。
【0022】
ここで、作動状態の概略が把握できる作動情報としては、例えば、各機器に対するエネルギーの入出力とするとよい。動力系が所謂ハイブリッドシステムである場合、すなわち、エンジン、バッテリ、フロントモータ、リアモータ、及びジェネレータモータを主構成として動力系が構成されている場合、作動状態の概略が把握できる作動情報とは、例えば、エンジンパワー、エンジン回転数、冷却水温度、バッテリ電流、バッテリ容量、フロントモータパワー、リアモータパワー、モータトルク配分比、発電電力等とするとよい。
【0023】
エンジンパワー、エンジン回転数、冷却水温度、バッテリ電流、バッテリ容量、フロントモータパワー、リアモータパワー、モータトルク配分比、発電電力等の作動情報は、複数の動力系が生み出すエネルギーの配分を把握することが可能となるだけでなく、例えば、車両の走行状態とこれら作動情報の齟齬等を発見し、例えば、エネルギー配分の原因を追求するきっかけを提供することもできる。
【0024】
(5)前記動力系画面の作動情報として、各部に入出力されるエネルギーの方向、或いはエネルギーの方向及び大きさを表す矢印表示を備え、前記各部詳細画面の前記その他の作動情報として、数値又はメータ表示を備えるとよい。
【0025】
これにより、複数の動力源のエネルギー配分と其の配分原因の追及をユーザの所望観点とする場合、エネルギー配分の把握容易性、エネルギー配分の原因追求のための情報の完全性、及びユーザの利便性を一挙に高めることができる。
【0026】
すなわち、動力系画面では、動力系の脈略を一見で把握でき、例えば一見してエネルギー配分を掴みやすい。エネルギー配分の把握という車両走行中に頻繁に行われるユーザ動作を補助できる。各部詳細画面では、そのエネルギー配分が如何なるメカニズムにより生じているのか原因を追求し易い。そして、動力系画面と各部詳細画面とを分けておくことで、ユーザがエネルギー配分の確認を所望するか、エネルギー配分の原因追求を所望するかにより、その要望に対する迅速な対応が可能となるのでよい。尚、エネルギーの大きさは、矢印の太さや色で示すとよい。
【0027】
(6)前記第1の画面を、前記車両の動力系或いは車両の模式図を表示するとともに、前記第2の画面に表示されるよりも少ない数の作動情報を其の主体の存在位置に対応させて表示し、前記第2の画面を、作動情報と其の作動情報の種類名称とを組にして、複数列に亘って表示するとよい。
【0028】
第1の画面では、車両の模式図とともに表示するため、例えば、煩雑さを避けるために情報量は少なくなるが、作動情報の種類を特定する名称を文字列で表示する必要はない。このように構成すれば、この名称文字列と相俟って文字列表記される作動情報が見難くなることがなく、作動情報の概略把握に有利である。一方、第2の画面では、例えば、より多くの作動情報を作動情報の意味を理解できる名称文字列とともに表示するとよく、このようにすれば作動情報の完全性が追求可能となる。この第1の画面と第2の画面とが併用されることにより、作動情報の把握容易性と完全性とユーザの利便性とをより向上させることができるのでよい。
【0029】
また、動力系画面は、車両をワイヤーフレームで描画した背景画面とし、各機器の位置に被せるように作動情報を表示してもよい。動力系画面をワイヤーフレームの背景画面とすると、ユーザに臨場感を与えることができる。尚、動力系画面の背景画面は各種用意しておき、ユーザの選択に応じるようにするとよい。
【0030】
(7)前記複数の画面には、前記作動情報の変化を時系列で表示する時系列画面を含むようにするとよい。ユーザの原因追及に作動情報の時系列的な変化の把握が必要である場合に有益であるのでよい。例えば、作動情報の変化とユーザの運転とを関連づけることが容易となり、所望するエネルギー配分の方法等をユーザに理解させることが可能となる。時系列画面としては、折れ線グラフの画面、表形式の画面、時間スケールを縮めて数値や棒グラフが動的に変化する動画面等、時間と作動情報が関連づけられている構成とするとよい。
【0031】
(8)ユーザによる作動情報の選択を受け付け、前記第1の画面に対して、その余白にユーザにより選択された作動情報を表示するようにするとよい。これにより、例えば、ユーザが概略把握のため以外に特に重要視している作動情報等を切り換え不要で常に把握させることができ、ユーザの関心をより満足させることが可能となるのでよい。
【0032】
また、ユーザによる作動情報の選択を受け付け、前記複数の画面のうちの1つ又は複数に対して、その余白にユーザにより選択された作動情報を表示するようにしてもよい。すなわち、第1の画面のみならず、他の画面においてもユーザが選択した作動情報を余白に表示するとよく、画面を切り換えてもユーザが所望する作動情報が画面から消失することはなく、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0033】
(9)前記第1の画面に対して、その余白にダイアグ情報を表示し、又はダイアグ情報の存在を報知する表示を備えるようにするとよい。また、(11)前記複数の画面のうちの1つ又は複数に対して、その余白にダイアグ情報を表示し、又はダイアグ情報の存在を報知する表示を行うとよい。
【0034】
ユーザが追求しようとする原因の根源は、時として車両の不具合にある。余白にダイアグ情報を表示したり、ダイアグ情報の存在を報知する表示を行うことで、その原因の根源をユーザに簡便に知らせることが可能となるのでよい。特に、燃費や走行性の状況を提供しようとするシステムにあっては、ダイアグ情報の親和性は高く、ユーザが車両の不具合を放置する虞も低下する。特に、作動情報の概略把握に力点をおいた第1の画面においては、画面内の煩雑さは多少増すこととなるが、その煩雑さを引き替えにしても概略把握の正確性が向上するのでよい。
【0035】
(10)ユーザによる作動情報の選択を受け付け、前記複数の画面のうちの1つ又は複数に対して、その余白にユーザにより選択された作動情報を表示するようにしてもよい。ダイアグ情報の他にもユーザが重要と考える情報を簡便に知らせることができる。尚、余白とは、画面の縁に存在する何も表記事項のない領域、或いは個々の作動情報表示領域間に存在する何も表記事項のない領域の何れでもよいが、他の作動情報に対する視認性を考慮すると、画面の縁に存在する何も表記事項のない領域が望ましい。特に、この余白に表示する作動情報やダイアグ情報は、ユーザにとって重要事項であることが多いため、画面上側のうち運転席に近い角側がより望ましい。但し、個々の作動情報表示領域間に存在する余白が大きくとられており、視認性に問題がない場合には、当該余白に表示することもできる。
【0036】
画面の切り換え態様としては、ユーザのタップ操作とタップされた画面領域に対応して前記画面を切り換えるとよい。このシステムでは、複数の画面に各作動情報を分散させるため、一画面中に情報が込み入ることがなく、タップの誤操作の虞を低減することができる。
【0037】
以上のようなシステムとしての機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムとして機能させるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、動力系に複数の動力源を備えた車両において急増した作動情報をユーザの把握容易性を低下させることなく、より多く提供することのでき、ユーザの利便性を損なうことなく、ユーザの関心を満足させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明のシステムを構成する電子機器の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のシステムを構成する電子機器1の外観を示し、(a)は電子機器1の前面側の斜視図、(b)は背面側の斜視図である。前面は車両後方に向く面を指し、換言すると運転者側に向く面を指す。背面は前面と反対の面を指す。
図2は、本発明のシステムを構成する電子機器1の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
図1に示す電子機器1は、例えばレーダー探知機、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム、又は車両状態表示装置等である。電子機器1は、普通自動車やトラック等の車両に搭載され、車両内外で発生する情報を乗員に対して図形、数値、文字列等で視覚的に提供する。
【0042】
この電子機器1は、インダッシュ型として車両の内装パネルに組み込まれ、或いはオンダッシュ型として車内空間に設置される。オンダッシュ型の電子機器1はブラケット3を介して外付けされる。電子機器1は薄型矩形状のケース本体2で形作られている。電子機器1は、ケース本体2の背面側下方にブラケット3を取り付け、ブラケット3を車両のダッシュボード上等に貼り付けることで、車両に固定される。
【0043】
ケース本体2の背面側下方には、DCジャック17が配置される。DCジャック17は、シガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続されて電源供給を受け得るようにする。ヒューズボックスを経由して電源をとるコードをDCジャック17に接続して電子機器1に電源を供給するようにしてもよい。
【0044】
ケース本体2の前面には表示器5を備える。表示器5は、情報を視覚的に表示する表示手段であり、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。この表示器5上にはタッチパネル6を備える。タッチパネル6は、ユーザ操作を受け付ける入力手段であり、表示器5上のタッチ位置を静電容量方式又は感圧方式によって検出する。
【0045】
また、
図2に示すように、電子機器1は、車両へ接続される接続ケーブル22を備える。車両側のコネクタは、車両のECUが出力する車両の各種作動情報を取り出す取出口である。この車両側のコネクタは、例えば故障診断コネクタとも称されるOBD-IIコネクタである。接続ケーブル22は、一端にOBD−IIコネクタに着脱自在なコネクタ端子23が取り付けられている。接続ケーブル22の他端には、ケース本体2の側面に設けたソケット口24と接続するためのコネクタ端子25が設けられており、電子機器1に対しても着脱可能となっている。
【0046】
更に、この電子機器1はケース本体2の内部に制御部18を備えている。制御部18は、CPU、EEPROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/O等を備えるコンピュータである。EEPROMには実行プログラムが格納され、これをRAMに適宜展開し、CPUで適宜実行することで、各種機能を備える制御部18を実現する。
【0047】
この制御部18は、表示器5、タッチパネル6及び車両のECUと信号入出力可能に接続される。タッチパネル6からは制御部18にタッチ位置を示す操作信号が入力される。車両のECUからは、接続ケーブル22を介して、車両の各種作動情報を示すデジタル信号が制御部18に入力される。他方、制御部18は、情報を表示した表示画面の映像信号を表示器5に出力する。
【0048】
この制御部18は、作動情報を表示する複数の画面候補から1枚の表示画面を選択し、選択した表示画面の映像信号を表示器5に出力する。制御部18は、現在の表示画面、及びタッチ位置を示す操作信号の組み合わせに応じて次の表示画面を選択する。
【0049】
各画面には、表示する作動情報の種類、数、表示形式及び配置位置が定められている。作動情報の種類、数、表示形式及び配置位置の定め方は、画面が有する各目的、及び其の目的から導かれる視認容易性や把握容易性に依る。
【0050】
制御部18は、表示画面のテンプレートに従って、表示する作動情報を選択し、選択した作動情報を規定の表示形式に変換し、或いは規定の表示形式に沿った図形から作動情報に合った図形を選択し、変換した作動情報或いは選択した表示図形を規定の画面領域に配置することで、表示画面を生成し、映像信号に変換して表示器5へ出力する。
【0051】
各画面を作動情報の種類、数、表示形式、及び配置位置で区別すると、制御部18は、3種類の画面をメモリに記憶している。第1の画面は、車両又は車両の一部を構成する主要構成要素を描き入れた模式図を表示し、作動情報を其の模式図内に図形で表示する。この第1の画面は、ユーザの関心事項を動力系全体の脈略から直感的に概略把握させるために用意されている。
【0052】
例えば、第1の画面は、
図3に示すように、車両の動力系全体を俯瞰した動力系画面P1である。この動力系画面P1は、複数の動力源を備える車両に搭載された電力機器1における表示例である。尚、動力源とは車両の走行に必要な運動エネルギーの発生源である。複数の動力源を備える車両とは、例えば同種又は異種の2以上のモータ、同種又は異種の2以上のエンジン、或いはエンジンとモータを併用するハイブリッドシステムのように異種の動力源を組み合わせた車両である。
【0053】
動力系画面P1において、作動情報の種類は動力系の構成要素間のエネルギー入出力である。作動情報は、後述の第2の画面P2より少数であり、同時に表示された他の作動情報と区別して視認することが容易となっている。作動情報の表示形式は矢印表示A1〜A4であり、一瞥して作動情報の内容が概略把握容易となっている。作動情報の表示位置はエネルギーを入出力する主要構成要素の近傍であり、一瞥して情報の主体が把握容易となっている。すなわち、この動力系画面P1は、車両のエネルギー配分動向をユーザに瞬時に把握させる。
【0054】
具体的には、動力系画面P1は、背景画像B上にエネルギーを入出力する主要構成要素を摸した各部画像G1〜G6を有する。背景画像B上において、各部画像G1〜G6の近傍には、エネルギーの入出力を示す矢印表示A1〜A4を有する。
【0055】
背景画像Bは、車両のシャシーを想起させる広い板の周囲4箇所にタイヤの図形を配してなる。各部画像G1〜G6は、フロントドライブシャフト画像G1、リアドライブシャフト画像G2、エンジン画像G3、バッテリ画像G4、フロントモータ画像G5、リアモータ画像G6である。フロントドライブシャフト画像G1及びリアドライブシャフト画像G2は背景画像Bの一部である。エンジン画像G3、バッテリ画像G4、フロントモータ画像G5、リアモータ画像G6はアイコンである。
【0056】
矢印表示A1〜A4は、エンジンのエネルギー出力により車両が駆動していることを示す矢印表示A1、車両の駆動のためのフロントモータのエネルギー出力により車両が駆動していることを示す矢印表示A2、リアモータのエネルギー出力により車両が駆動していることを示す矢印表示A3、エンジンがジェネレータモータを介してバッテリとエネルギーを授受していることを示す矢印表示A4である。
【0057】
この動力系画面P1において、矢印表示A1〜A4で表示される作動情報は、情報の種類及び情報の内容を示す。すなわち、矢印の表示位置が作動情報の種類を直感的に表す。矢印の向きがエネルギーの入出力方向を表す。また、矢印の太さ或いは色がエネルギーの入出力量を表す。制御部18は、車両のECUから動力系画面P1に表示する作動情報の数値データを受信し、数値データの正負及び大きさに応じた矢印表示A1〜A4を生成して動力系画面P1に配置する。
【0058】
第2の画面は、車両を構成する主要構成要素の1つについて、その主要構成要素の詳細な作動状態を表す各種の作動情報を数値により表形式に纏めて表示する。この第2の画面は、第1の画面によって把握した車両の作動状況の発生原因を追求させるために用意されている。
【0059】
例えば、第2の画面は、
図4に示すように、動力系を構成する1つの主要構成要素に関する各種の作動情報を表示する各部詳細画面P2である。各部詳細画面P2は、1つの主要構成要素の各種作動情報を画面内に複数行複数列に並べて表示する。作動情報は数値表示D1となっており、作動情報は其の種類名称を示す種類名称文字列D2と隣同士に並べて表示される。
【0060】
一例を挙げると、エンジンの各部詳細画面P2は、エンジンパワー、エンジン負荷、点火時期、噴射時間、冷却水温、エンジン油温、アクセル開度、エンジン回転数、エンジントルク、インマニ圧、吸入空気量(MAF)、吸気温度、バッテリ電圧を示す種類名称文字列D2を2列7段で並べ、各種類名称文字列D2の右隣に対応の作動情報の数値表示D1を単位付きで並べる。
【0061】
尚、各部詳細画面P2では、複数の構成要素、或いは複数の構成要素間に跨る各種の作動情報を表示させる構成を採ることもできる。すなわち、1つの主要構成要素に関する各作動情報を表示する態様は、動力系に関する詳細な作動情報を区分けして表示するための一例であり、様々な観点から動力系を構成する各部を複数に区分けし、各部詳細画面P2を区分け別に用意し、その区分けに属する各部に関する作動情報を表示させてもよい。
【0062】
図5は、他の区分けに基づく各部詳細画面P2の一例である。
図5に示す各部詳細画面P2では、動力系全体の各部における作動情報を動力系画面P1による作動情報の表示よりも一段詳細に表示し、電気系からエアコン消費に関する作動情報を加えている。具体的には、エンジン油温、システムパワー、フロントモータパワー、バッテリ電流、バッテリ電圧、補機バッテリ、全電池容量、エンジンパワー、昇圧後電圧、アクセル開度、エアコン消費、ジェネレータ発電、HV滑空、及びダイアグコードの存在数の作動情報の数値表示D1を配置し、種類名称文字列D2と組にしている。
【0063】
第3の画面は、作動情報の1つを時系列で表示する。この第3の画面は、第2の画面である各部詳細画面P2によって見込みを付けた原因を時間変化の観点から検証して確証を得るため、或いは第1の画面である動力系画面P1によって把握した状況の発生原因を時間変化から見出すために用意されている。
【0064】
例えば、第3の画面は、
図6に示すように、1つの作動情報の時間による数値変化をグラフにより示した時系列画面P3である。時系列画面P3は、直交座標を有する。作動情報は、直交座標にプロットされてグラフD3となる。直交座標において、横軸は時間経過であり、縦軸は作動情報の数値である。
【0065】
制御部18は、この動力系画面P1、各部詳細画面P2、及び時系列画面P3の関係を三層のツリー構造で記憶する。ユーザ操作に応じて層を切り替えて表示器5に表示させる。三層のツリー構造において、動力系画面P1はトップ画面、ルート画面又はホーム画面ともいうべき最上層に位置する。各部詳細画面P2は中層に位置する。時系列画面P3は最下層に位置する。そして、制御部18は、動力系画面P1に対して複数の各部詳細画面P2を関連付けし、各部詳細画面P2に対して複数の時系列画面P3を関連付けている。
【0066】
そして、制御部18は、タッチパネル6を用いたユーザ操作によって動力系画面P1内で各部画像G3〜G6により表されるアイコンが押下されると、押下されたアイコンに対応する構成要素の各部詳細画面を表示器5に表示させる。また、制御部18は、タッチパネル6を用いたユーザ操作によって各部詳細画面P2の作動情報の数値表示D1或いは其の種類名称文字列D2が押下されると、押下された表示領域に表示されていた作動情報の時系列画面P3を表示器5に表示させる。
【0067】
図7は、制御部18が記憶するツリー構造を模式的に示す表である。
図7に示すように、最上層の動力系画面P1が表示するエンジン画像G3の押下に対応して、制御部18は、エンジンに関する各部詳細画面P2を表示器5に表示させる。エンジンに関する各部詳細画面P2には、エンジンパワー、エンジン負荷、点火時期、噴射時間、冷却水温、エンジン油温、アクセル開度、エンジン回転数、エンジントルク、インマニ圧、MAF、吸気温度、バッテリ電圧を示す種類名称文字列D2が2列7段にわたって並べられ、その右隣に対応の作動情報の数値表示D1が並べられる。
【0068】
最上層の動力系画面P1が表示するバッテリ画像G4の押下に対応して、制御部18は、バッテリに関する各部詳細画面P2を表示器5に表示させる。バッテリに関する各部詳細画面P2には、バッテリ電流、バッテリ容量、バッテリ電圧、昇圧後電圧、電池ブロック電圧のMAXとMIN、電池温度のMAXとMIN、内部抵抗のMAXとMINを示す種類名称文字列D2が7段にわたって並べられ、その右隣に対応の作動情報の数値表示D1が並べられる。
【0069】
最上層の動力系画面P1が表示するフロントモータ画像G5の押下に対応して、制御部18は、フロントモータに関する各部詳細画面をP2表示器5に表示させる。フロントモータに関する各部詳細画面P2には、フロントモータパワー、フロントモータトルク、フロントモータ回転数、フロントモータ温度、フロントモータ用のインバータ温度を示す種類名称文字列D2が5段にわたって並べられ、その右隣に対応の作動情報の数値表示D1が並べられる。
【0070】
最上層の動力系画面P1が表示するリアモータ画像G6の押下に対応して、制御部18は、リアモータに関する各部詳細画面P2を表示器5に表示させる。リアモータに関する各部詳細画面P2には、リアモータパワー、リアモータトルク、リアモータ回転数、リアモータ温度、リアモータ用のインバータ温度、モータトルク配分比を示す種類名称文字列D2が6段にわたって並べられ、その右隣に対応の作動情報の数値表示D1が並べられる。
【0071】
最上層の動力系画面P1にアイコン化されたジェネレータモータ画像が表示される場合、このジェネレータモータ画像の押下に対応して、制御部18は、ジェネレータモータに関する各部詳細画面P2を表示器5に表示させる。ジェネレータモータに関する各部詳細画面P2には、発電電力、ジェネレータ回転数、ジェネレータトルク、ジェネレータ温度、ジェネレータ用のインバータ温度を示す種類名称文字列D2が5段にわたって並べられ、その右隣に対応の作動情報の数値表示D1が並べられる。
【0072】
この電子機器1の作用を説明する使用例を
図8に基づき説明する。まず、複数の動力源を有する車両の運転者は、運転中は動力系画面P1を表示器5に表示させ、各動力源のエネルギー配分を動力系全体の脈略の中で把握する。動力系画面P1によって把握したエネルギー配分の原因を追及するために動力系画面P1に表示されていない作動情報を閲覧したいとき、運転者は、動力系画面P1に表示されるアイコンの何れかを押下する。
【0073】
例えば、動力系画面P1においてフロントモータ及びリアモータから出る矢印表示が通常より低いエネルギー出力量を示す場合、運転者がバッテリ画像G4のアイコンを押下することが考えられる。このとき、タッチパネル6からバッテリ画像G4のアイコンをタッチ位置とする操作信号が制御部18に入力される。
【0074】
この操作信号を受けて、制御部18は表示器5の表示画面をバッテリの各部詳細画面P2に切り換える。運転者は、バッテリ各部詳細画面P2に表示されるバッテリ電流、バッテリ容量、バッテリ電圧、昇圧後電圧、電池ブロック電圧のMAXとMIN、電池温度のMAXとMIN、内部抵抗のMAXとMINの作動情報を検討する。検討の結果、例えばバッテリ電流等が過少であればバッテリの劣化をエネルギー配分の原因として疑う。また、内部抵抗のMAXが過剰であればバッテリの劣化に一定の確証を持つ。
【0075】
更に、運転者は、バッテリの初期不良を疑うことが考えられる。このとき、運転者は、バッテリの各部詳細画面P2において、バッテリ電圧等の作動情報を示す数値表示D1と其の数値の種類名称文字列D2の何れかを押下する。例えば、内部抵抗(MAX)を押下する。この押下を検知したタッチパネル6は、そのタッチ位置を示す操作信号を制御部18に入力する。
【0076】
制御部18は、この操作信号の入力を受けて、タッチされた作動情報の時系列画面P3を表示器5に表示させる。運転者は、時系列画面P3に表示された内部抵抗等の作動情報のグラフD3を観察し、バッテリが初期不良か経年劣化を判断することができる。
【0077】
このような電子機器1は、ユーザが車両の燃費を関心事項としてエネルギー配分の把握と其の原因追及を要望するケースを想定した一例である。他の関心事項の把握に答える作動情報を視認容易性と把握容易性を遵守の上で第1の画面に集め、その他の原因追求のための作動情報を一又は複数の第2の画面に分配することもできる。他の関心事項としては、走行性の追求、車の性能維持或いは長寿命化の追求等が挙げられる。
【0078】
以上のように、本実施形態に係るシステムを構成する電子機器1は、複数の動力源を有する車両の少なくとも一部に関する各作動情報を複数の画面に分配し、その複数の画面のうちの一画面を表示器5に表示させ、表示器5に表示する画面を切り替え可能とした。
【0079】
これにより、一画面に表示させる作動情報の数を限定でき、作動情報の把握が容易となる。画面を切り換えれば、他の作動情報も閲覧可能となるため、ユーザが要望する作動情報を欠くことなく提供できる。そのため、車両、其の動力系、或いは動力系のうちの電気系統のみといった一部に関する作動情報の完全性を担保することができる。従って、車両運転者が要望する関心事項を十分に満たすことが可能となる。
【0080】
複数の画面には、ユーザが把握を所望する作動情報を集めた第1の画面と、その他の作動情報が分配された第2の画面とを含むようにした。すなわち、例えばユーザが燃費に関心事項を有する場合、ユーザは複数の動力源のエネルギー配分を把握することを所望するため、動力系を構成する主要構成要素のエネルギー入出力に関する作動情報を第1の画面に集めた。
【0081】
これにより、ユーザは、基本的には第1の画面を参照して所望観点に係る動力系の動向を概略把握しておき、概略把握の結果を深く追求したい場合には第2の画面を参照するという使用方法を実行可能となるのでよい。
【0082】
第1の画面は、車両の動力系全体の作動状態が概略把握できる作動情報が表示されるようにした。ユーザは、所望観点を動力系全体の脈略から把握でき、第2の画面の何れのページを更に参照すべきかの判断が容易となる。
【0083】
第1の画面に動力系全体の作動状態が概略把握できる作動情報を表示させる場合、第1の画面を動力系全体を俯瞰した動力系画面P1として表示し、第2の画面を動力系を複数に区分けした区分け別に用意し、当該区分けに属する各部に関する作動情報が表示される各部詳細画面P2として表示した。
【0084】
動力系全体を俯瞰した動力系画面P1では、動力系の全体的な動向を脈略をもって把握しやすい。各部詳細画面P2では、動力系の全体的な動向に基づき、その動向の原因追及が可能となる。そのため、作動情報の把握容易性と完全性とをユーザの利便性を獲得した上で両立することができるのでよい。
【0085】
動力系画面P1の作動情報として、各部に入出力されるエネルギーの方向、或いはエネルギーの方向及び大きさを表す矢印表示A1〜A4を備え、前記各部詳細画面P2のその他の作動情報として、数値表示D1を備えた。これにより、複数の動力源のエネルギー配分と其の配分原因の追及をユーザの所望観点とする場合、エネルギー配分の把握容易性、エネルギー配分の原因追求のための情報の完全性、及びユーザの利便性を一挙に高めることができる。
【0086】
すなわち、動力系画面P1では、動力系の脈略を一見で把握でき、例えば一見してエネルギー配分を掴みやすい。エネルギー配分の把握という車両走行中に頻繁に行われるユーザ動作を補助できる。各部詳細画面P2では、そのエネルギー配分が如何なるメカニズムにより生じているのか原因を追求し易い。そして、動力系画面P1と各部詳細画面P2とを分けておくことで、ユーザがエネルギー配分の確認を所望するか、エネルギー配分の原因追求を所望するかにより、その要望に対する迅速な対応が可能となるのでよい。尚、エネルギーの大きさは、矢印の太さや色で示すとよい。
【0087】
また、第1の画面を、車両の動力系或いは車両の模式図を表示するとともに、第2の画面に表示されるよりも少ない数の作動情報を其の主体の存在位置に対応させて表示し、第2の画面を、作動情報と其の作動情報の種類名称とを組にして、複数列に亘って表示した。
【0088】
第1の画面では、車両の模式図とともに表示するため、煩雑さを避けるために情報量は少なくなるが、作動情報の種類を特定する名称を文字列で表示する必要はない。そのため、この名称文字列と相俟って文字列表記される作動情報が見難くなることがなく、作動情報の概略把握に有利である。一方、第2の画面では、より多くの作動情報を作動情報の意味を理解できる名称文字列とともに表示するため、作動情報の完全性が追求可能となる。この第1の画面と第2の画面とが併用されることにより、作動情報の把握容易性と完全性とユーザの利便性とをより向上させることができるのでよい。
【0089】
また、複数の画面には、作動情報の変化を時系列で表示する時系列画面P3を含むようにした。ユーザの原因追及に作動情報の時系列的な変化の把握が必要である場合に有益であるのでよい。例えば、作動情報の変化とユーザの運転とを関連づけることが容易となり、所望するエネルギー配分の方法等をユーザに理解させることが可能となる。時系列画面としては、折れ線グラフの画面、表形式の画面、時間スケールを縮めて数値や棒グラフが動的に変化する動画面等、時間と作動情報が関連づけられていれば何れでもよい。
【0090】
また、画面の切り換え態様としては、ユーザのタップ操作とタップされた画面領域に対応して画面を切り換えるとよい。この電子機器1では、複数の画面に各作動情報を分散させるため、一画面中に情報が込み入ることがなく、タップの誤操作の虞を低減することができる。但し、音声入力やジェスチャー入力に応答して画面を切り換えるようにすることもできる。音声入力の場合には、システムにマイクを備え、又は車両に搭載済みのマイクを用いるようにすればよい。ジェスチャー入力の場合には、システムにカメラを備え、又は車両に搭載済みの車内カメラを用いるようにすればよい。これにより、車両走行中のユーザ操作を簡便にすることができる。
【0091】
この電子機器1をレーダー探知機を前提に其の適用例を説明する。レーダー探知機は、
図9に示すように、制御部18とデータの入出力が可能なデータベース19を備える。データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース19には、出荷時に地図データ並びに一定の警報対象に関する情報が登録されており、その後に追加された警報対象についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新される。
【0092】
制御部18に対する情報入力源としては、タッチパネル6及び車両のECUの他、GPS受信器13、マイクロ波受信器14、無線受信器15、地磁気センサ36、加速度センサ37、気圧センサ38等を有する。
【0093】
GPS受信器13は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、現在位置(経度・緯度)情報を出力する。マイクロ波受信器14は、速度測定装置から出射される所定周波数のマイクロ波を受信する。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。
【0094】
地磁気センサ36は、地磁気を検出して北方向が進行方向に対してどの方向にあるかを検出するセンサである。加速度センサ37は、車両の前後、左右、上下の加速度を検出するセンサである。気圧センサ38は、ケース本体2が設置された車両の現在位置における大気圧を測定するセンサである。
【0095】
また、電力機器1は、制御部18からの情報出力源としてスピーカ16を内蔵する。スピーカ口は、ケース本体2の底面に設けている。また、入力手段として、ケース本体2の前面の右サイドには音量調整ボタン7が配置され、同左サイドには各種の作業用ボタン8が配置される。ケース本体2の右側面には、メモリカード11が挿入されるカード挿入口9を備え(
図1参照)、内部にメモリカードリーダ10を備える。
【0096】
ケース本体2の前面には、表示器5に加えて、ランプ31、リモコン受信器32、赤外線通信機34を配置している。ランプ31は、警報の種類・緊急度に応じて、種々の色で光って警告する。リモコン受信器32は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)33とデータ通信をし、本装置に対する各種の設定を行なう。赤外線通信機34は、携帯電話機35等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間で、データの送受を行なう。
【0097】
このレーダー探知機において、制御部18は、GPSログ機能、待ち受け画面表示機能、マップ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等を有する。待ち受け画面表示機能は、車両の少なくとも一部に関する各作動情報を複数の画面に分配し、その複数の画面のうちの一画面を表示手段に表示させ、前記表示手段に表示する画面を切り替え可能とするものである。すなわち、このレーダー探知機は、待ち受け画面として、動力系画面、各部詳細画面及び時系列画面をユーザ操作に応じて切り換えて表示器5に表示する。
【0098】
GPSログ機能は、制御部18が1秒ごとにGPS受信器13によって検出された現在位置をその検出した時刻および速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリに記憶する機能である。この位置履歴は例えばNMEA形式で記録する。
【0099】
マップ表示機能は、
図10に示すように、GPS受信器13によって検出した現在位置に基づき、データベース19にアクセスし、そこに記憶されている地図データを読み出して表示する機能である。また、マップ表示機能は、現在位置の周囲の警報対象をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、周囲に警報対象が存在する場合に地図上の該当する位置にその警報対象を示す情報(ターゲットアイコン112等)を重ねて表示する機能も備える。具体的な表示態様は、以下の通りである。
【0100】
制御部18は、表示器5のほぼ全面のメイン表示領域R1に、車両の進行方向が常に上を向くように地図を表示する。制御部18は、メイン表示領域R1の下側中央が現在の自車位置になるように地図を表示するとともに、当該位置に自車アイコン111を表示する。
【0101】
制御部18は、メイン表示領域R1の上方側に設定されたステータスエリアR2に、ステータス情報を表示する。ステータスエリアR2に表示するステータス情報は、左から順に、現在時刻121(図では、「15:10」),GPS電波受信レベル表示アイコン122(図では、長さの異なる3本の直線が平行に起立した最大受信レベル),駐車禁止エリアアイコン123(駐車最重点エリア,駐車重点エリア内のときに表示),レーダーの受信感度を示す受信感度モード表示アイコン124(図では、最高感度の「SE」)、車両速度125(図では「30km/h」)、方位磁針126となっている。ステータスエリアR2は、透明な領域とし、メイン表示領域R1のレイアよりも上のレイアを用いて配置する。これにより、ステータスエリアR2内でも、ステータス情報が表示されていない場所では、下側に位置する地図が視認できる。
【0102】
制御部18は、メイン表示領域R1の左サイドに設定されるスケール表示領域R3に、現在のスケール情報(縮尺)を表示する。スケールは、自車位置を0mとし、その自車位置からメイン領域R1の上下方向の中間位置までの距離(図では「500」)と、上方位置までの距離(図では「1000」)を表示する。単位は、「m」である。制御部18は、メイン表示領域R1が2回連続してタッチされたことを検知すると、メイン表示領域R1内の所定位置(スケール表示領域R3に添う位置)に地図スケール変更ボタンを表示し(図示省略)、その地図スケール変更ボタンに対するタッチに応じて地図スケールを変更する。つまり、制御部18は、変更した地図スケールの縮尺に合わせてメイン表示領域R1に表示する地図の縮尺を変更すると共に、スケール表示領域R3に表示するスケール情報も変更する。
【0103】
制御部18は、待ち受け画面表示機能、マップ表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行し、当該機能の処理終了時には元の待受機能の処理に戻る。各機能の優先度は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
【0104】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された警報対象の緯度経度とGPS受信器13によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離になった場合に、表示器5に警報画面であるGPS警報表示130(警報対象の模式図・残り距離等)をし、スピーカ16からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0105】
こうした警報対象としては、居眠り運転事故地点、速度測定装置(レーダー式、ループコイル式、Hシステム、LHシステム、光電管式、移動式等)、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目標物の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示器5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0106】
図11(a)は、レーダー波警報機能の表示例を示している。このレーダー波警報機能は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示器5に対して警報画面であるGPS警報表示131を表示するとともに、スピーカ16から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器14によって検出された場合に、
図11(b)に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示器5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ16から出力する。表示する距離は、例えば、電界強度から推定した距離とするとよい。
【0107】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示器5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ16からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。
【0108】
(第2の実施形態)
本発明のシステムを構成する電子機器1の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第1の実施形態と同一構成、同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図12は、第2の実施形態に係る動力系画面P1の例を示す模式図である。
【0109】
車両のECU及び制御部18は、作動情報を解析して車両の故障を診断する故障診断機能を有する。
図12に示すように、制御部18は、故障診断の結果としてダイアグ情報が存在すると、動力系画面P1の余白にダイアグ情報の存在を示す報知表示G7を表示させる。タッチパネル6から報知表示G7の押下を示す操作信号が入力されると、制御部18は、
図13に示すように、表示器5にダイアグ情報を表示したダイアグ画面の映像信号を出力する。
【0110】
ダイアグ情報の存在を示す報知表示G7を表示させる余白は、背景画像を除いた画面領域R1の辺縁が望ましい。より望ましくは、画面下側のうち運転席に近い角側である。例えば、
図12に示すように、報知表示G7は画面の右下隅に表示し、他の画像や作動情報と比べて目立つように赤色を基調としたデザインを採用する。ダイアグ情報は、ユーザにとって重要事項であることが多いため視認性をより高めるためである。
【0111】
ユーザが追求しようとする原因の根源は、時として車両の不具合にある。余白にダイアグ情報の存在を報知する表示を行うことで、その原因の根源をユーザに簡便に知らせることが可能となるのでよい。特に、燃費や走行性の状況を提供しようとするシステムにあっては、ダイアグ情報の親和性は高く、ユーザが車両の不具合を放置する虞も低下する。特に、作動情報の概略把握に力点をおいた第1の画面においては、画面内の煩雑さは多少増すこととなるが、その煩雑さを引き替えにしても概略把握の正確性が向上するのでよい。
【0112】
また、ダイアグ情報の存在を示す報知表示G7に代えて、或いは報知表示G7とは異なる余白に、ユーザにより選択された作動情報を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザが概略把握のため以外に特に重要視している作動情報を切り換え不要で常に把握させることができ、ユーザの関心をより満足させることが可能となるのでよい。
【0113】
この報知表示G7或いはユーザが特別に設定した作動情報は、動力系画面P1、各部詳細画面P2及び時系列画面P3の何れに切り換えられても、現在表示している画面の全てに表示することが望ましい。動力系画面P1のみならず、画面を切り換えても報知表示G7或いはユーザが所望する作動情報が画面から消失することはなく、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0114】
(第3の実施形態)
本発明のシステムを構成する電子機器1の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第1乃至2の実施形態と同一構成、同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図14は、第3の実施形態に係る動力系画面P1の例を示す模式図であり、
図15は、第3の実施形態に係る各部詳細画面P2の例を示す模式図である。
【0115】
図14に示すように、動力系画面P1は、車両をワイヤーフレームで描画した背景画像とし、各機器の位置に被せるように作動情報を表示してもよい。そして、この作動情報の表示領域をタッチ操作すると、画面を切り換えるようにする。動力系画面P1をワイヤーフレームの背景画面とすると、ユーザに臨場感を与えることができる。尚、動力系画面P1の背景画像は各種用意しておき、設定画面によりユーザの選択に応じるようにするとよい。
【0116】
この動力系画面P1は、エネルギー配分を把握することのできる作動情報に数を絞って表示しており、作動情報を数値で表し、作動情報の種類名称を示す文字列と組にして枠で囲うことで視認性を高めている。制御部18は、この枠がタッチされると、タッチされた枠内の作動情報が代表する区分けの各部詳細画面P2へと切り換える。
【0117】
図15に示すように、各部詳細画面P2において、作動情報は数値表示の他、メータ表示を備えるようにしてもよい。メータ表示は、円弧に沿って数値を付した背景画像を有し、円弧の中心から円弧に向かって延びる指針画像の指し先を作動情報が示す数値に合わせて変化させる。車両においてエンジンの回転数や車速を表示するタコメータと調和がとれ、車内の審美性を向上させることができる。