【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明に従って、本出願人らは、改変された内因性遺伝子または染色体座を含む真核生物細胞を作製およびスクリーニングするための新規、迅速、効率的、かつ効果的な方法を開発した。この新規の方法は、初めて、以下を組み合わせる:
1.大きなクローン化されたゲノムフラグメント中での所望の遺伝子改変を正確に操作し、それによって真核生物細胞において使用するための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製するための細菌相同組み換え;
2.これらの真核生物細胞における目的の内因性染色体座を改変するための、これらの細胞へのこれらのLTVECの直接的な導入;および
3.標的化配列の外側の配列情報を必要としない親対立遺伝子の対立遺伝子改変(MOA)のためのアッセイ(例えば、定量PCR)を含む、標的化された対立遺伝子が所望するように改変された希な真核生物細胞を決定するための分析。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、以下の工程を包含する、真核生物細胞において内因性遺伝子または染色体座を遺伝子改変する方法である:a)目的のDNA配列を含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、真核生物において使用するための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;c)(b)のLTVECを真核生物細胞に導入して、この細胞中の内因性遺伝子または染色体座を改変する工程;ならびにd)(c)の真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変された真核生物細胞を同定する工程。
【0013】
本発明の別の実施形態は、内因性遺伝子または染色体座に対するこの遺伝子改変が、コード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの欠失;コード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの変更;新たなコード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの挿入;条件付き対立遺伝子の作製;または1つの種由来のコード配列または遺伝子セグメントと、異なる種由来の相同またはオルソロガスな(orthologous)コード配列との置換を含む方法である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、コード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの変更が、置換、付加、または融合を含み、その融合体がエピトープタグまたは二官能性タンパク質を含む方法である。
【0015】
本発明のなお別の実施形態は、定量アッセイが、定量PCR、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、または固定化されたプローブに対する定量ハイブリダイゼーションを含み、定量PCRが、TaqMan(登録商標)技術または分子ビーコンを用いる定量PCRを含む方法である。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態は、真核生物細胞が、哺乳動物胚性幹細胞であり、特に、この胚性幹細胞がマウス、ラット、または他の齧歯類の胚性幹細胞である方法である。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態は、内因性遺伝子または染色体座が、哺乳動物の遺伝子または染色体座、好ましくは、ヒトの遺伝子または染色体座、あるいはマウス、ラット、または他の齧歯類の遺伝子または染色体座である方法である。
【0018】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、LTVECが20kbよりも大きなDNAフラグメント、特に100kbより大きなDNAフラグメントを収容し得る方法である。
【0019】
別の好ましい実施形態は、本発明の方法により産生される遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座である。
【0020】
なお別の好ましい実施形態は、本発明の方法により産生される遺伝子改変された真核生物細胞である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態は、本発明の方法により産生される遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座を含む非ヒト生物である。
【0022】
本発明の方法により産生される遺伝子改変された真核生物細胞または胚性幹細胞から産生される非ヒト生物もまた好ましい。
【0023】
好ましい実施形態は、以下の工程を含む方法により産生される、遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座を含む、非ヒト生物である:a)目的のDNA配列を含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、胚性幹細胞において使用するための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;c)(b)のLTVECを胚性幹細胞に導入して、細胞中の内因性遺伝子または染色体座を改変する工程;d)(c)の胚性幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変された胚性幹細胞を同定する工程;e)(d)の胚性幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびにf)(e)の胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、以下の工程を含む方法により産生される、遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座を含む、非ヒト生物である:a)目的のDNA配列を含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、真核生物において使用するための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;c)(b)のLTVECを真核生物細胞に導入して、この細胞中の内因性遺伝子または染色体座を遺伝子改変する工程;d)(c)の真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変された真核生物細胞を同定する工程;e)(d)の真核生物細胞から核を取り除く工程;f)(e)の核を卵母細胞に導入する工程;ならびにg)(f)の卵母細胞を妊娠のための代理母に導入する工程。
【0025】
なお別の好ましい実施形態は、以下の工程を含む方法により産生される、遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座を含む、非ヒト生物である:a)目的のDNA配列を含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、真核生物において使用するための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;c)(b)のLTVECを真核生物細胞に導入して、この細胞中で内因性遺伝子または染色体座を遺伝子改変する工程;d)(c)の真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変された真核生物細胞を同定する工程;e)(d)の真核生物細胞と別の真核生物細胞とを融合させる工程;ならびにf)(e)の融合された真核生物細胞を妊娠のための代理母に導入する工程。
【0026】
別の好ましい実施形態において、非ヒト生物はマウス、ラット、または他の齧歯類であり;胚盤胞は、マウス、ラット、または他の齧歯類の胚盤胞であり;卵母細胞は、マウス、ラット、または他の齧歯類の卵母細胞であり;そして代理母は、マウス、ラット、または他の齧歯類である。
【0027】
別の好ましい実施形態は、胚性幹細胞が哺乳動物胚性幹細胞、好ましくは、マウス、ラット、または他の齧歯類の胚性幹細胞である方法である。
【0028】
さらなる好ましい実施形態は、非ヒト生物の産生のための、本発明の遺伝子改変された真核生物細胞の使用、特に、非ヒト生物の産生のための、本発明の遺伝子改変された胚性幹細胞の使用である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、マウス胚性幹細胞において目的の内因性遺伝子または染色体座を遺伝子改変する方法である。この方法は、a)目的のDNA配列を含む20kbよりも大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程(この大きなクローン化されたDNAフラグメントは内因性遺伝子または染色体座に相同である);b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、マウス胚性幹細胞において使用するための大きな標的化ベクターを作製する工程(遺伝子改変は、コード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの欠失である);c)(b)の大きな標的化ベクターをマウス胚性幹細胞に導入して、この細胞中の内因性遺伝子または染色体座を改変する工程;およびd)(c)のマウス胚性幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変されたマウス胚性幹細胞を同定する工程(定量アッセイは定量PCRである)を包含する。この方法により産生される遺伝子改変されたマウス胚性幹細胞;この方法により産生される遺伝子改変された内因性遺伝子または染色体座を含むマウス;および遺伝子改変されたマウス胚性幹細胞から産生されるマウスもまた好ましい。
【0030】
別の好ましい実施形態は、以下の工程を包含する方法により産生される、遺伝子改変された目的の内因性遺伝子または染色体座を含むマウスである:a)目的のDNA配列を含む20kbよりも大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程(この大きなクローン化されたDNAフラグメントは内因性遺伝子または染色体座に相同である);b)細菌相同組み換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、マウス胚性幹細胞において使用するための大きな標的化ベクターを作製する工程(遺伝子改変は、コード配列、遺伝子セグメント、または調節エレメントの欠失である);c)(b)の大きな標的化ベクターをマウス胚性幹細胞に導入して、この細胞中の内因性遺伝子または染色体座を改変する工程;d)(c)のマウス胚性幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性遺伝子または染色体座が遺伝子改変されたマウス胚性幹細胞を同定する工程(定量アッセイは定量PCRである);e)(d)のマウス胚性幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびにf)(e)の胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程。
【0031】
マウスの産生のための、上記遺伝子改変されたマウス胚性幹細胞の使用もまた好ましい。
【0032】
本発明の1つの実施形態は、以下の工程を包含する、非ヒト真核生物細胞において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座を相同ヒト遺伝子座またはオルソログなヒト遺伝子座と、全部または一部置換する方法である:
a)ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座を、全部または一部含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)のクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、真核生物細胞における使用のための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;
c)(b)のLTVECを真核生物細胞に導入して、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
d)(c)の真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された真核生物細胞を同定する工程。
【0033】
別の実施形態は、以下の工程をさらに包含する、非ヒト真核生物細胞において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換する方法である:
e)(a)のフラグメントと異なるホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座の一部を含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
f)細菌相同組換えを使用して、(e)のクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、第2のLTVECを作製する工程;
g)(f)の第2のLTVECを工程(d)で同定された真核生物細胞に導入して、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
h)(g)の真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された真核生物生物を同定する工程。
【0034】
上記方法の別の実施形態は、工程(e)〜(h)が、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と全部置換されるまで繰り返される方法である。
【0035】
この方法の別の実施形態は、免疫グロブリン可変遺伝子座が、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される座である方法である。
【0036】
好ましい実施形態は、定量アッセイが、定量PCR、FISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、または固定されたプローブに対する定量ハイブリダイゼーションを含み、特に、定量PCRが、TaqMan(登録商標)技術または分子ビーコンを用いる定量PCRを含む方法である。
【0037】
なお別の好ましい実施形態は、以下の工程を包含する、マウス胚性幹細胞において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換する方法である:
a)ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座を、全部または一部含む大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、胚性幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
c)(b)の大きな標的化ベクターをマウス胚性幹細胞に導入して、細胞中の内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
d)(d)のマウス胚性幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量PCRアッセイを使用して、内因性可変遺伝子座が、ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換されたマウス胚性幹細胞を同定する工程。
【0038】
別の実施形態において、この方法はさらに、以下の工程を包含する:
e)(a)のフラグメントと異なるホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座の一部を含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
f)細菌相同組換えを使用して、(e)のクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、胚性幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
g)(f)の大きな標的化ベクターを工程(d)で同定されたマウス胚性幹細胞に導入して、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
h)(g)のマウス胚性幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、ホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換されたマウス胚性幹細胞を同定する工程。
【0039】
さらに別の好ましい実施形態は、上記工程(e)〜(h)が、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と全部置換されるまで、繰り返される、方法である。
【0040】
好ましいのはまた、上記免疫グロブリン可変遺伝子座は、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される座を含む、方法である。
【0041】
別の好ましい実施形態は、上記の方法によって産生される遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座;上記の方法によって産生される遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含む遺伝子改変された真核生物細胞;上記の方法により遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含む非ヒト生物;および上記の方法により遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含むマウス胚幹細胞である。
【0042】
好ましいのはまた、マウス重鎖可変遺伝子座が、ヒト重鎖可変遺伝子座と、全部または一部置換された胚幹細胞;マウスκ軽鎖可変領域遺伝子座が、ヒトκ軽鎖可変領域遺伝子座と、全部または一部置換された胚幹細胞;マウスλ軽鎖可変領域遺伝子座が、ヒトλ軽鎖可変領域遺伝子座と、全部または一部置換された胚幹細胞;および重鎖可変領域遺伝子座および軽鎖可変領域遺伝子座が、それらのヒトホモログまたはオルソログと、全部置換された胚幹細胞である。
【0043】
別の好ましい実施形態は、上記の胚幹細胞から作製されたマウスである。
【0044】
なお別の好ましい実施形態は、上記の遺伝子改変された可変領域遺伝子座によりコードされるヒト可変領域を含む抗体;非ヒト定常領域をさらに含む抗体;およびヒト定常領域をさらに含む抗体である。
【0045】
また好ましいのは、トランスジェニックマウスであって、このマウスは、内因性マウス定常領域座を完全に作動可能に連結されたヒト重鎖可変領域座およびヒト軽鎖可変領域座を完全に含むゲノムを有し、その結果、このマウスが、抗原性刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を含有する血清を産生する、トランスジェニックマウス;トランスジェニックマウスであって、このマウスは、内因性マウス定常領域座に作動可能に連結されたヒト重鎖可変領域座および/またはヒト軽鎖可変領域座を含むゲノムを有し、その結果、このマウスは、抗原性刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を含有する血清を産生する、トランスジェニックマウス;トランスジェニックマウスであって、このマウスは、ホモログヒト可変座またはオルソログヒト可変座で置換された内因性免疫グロブリン可変領域座を含み、このマウスは、以下:
a)ホモログヒト可変領域座全体またはオルソログヒト可変領域座全体を含む、1つ以上の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)のクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、マウス胚幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
c)(b)の大きな標的化ベクターをマウス胚幹細胞に導入して、この細胞において内因性可変領域座全体を置換する工程;ならびに
d)(c)のマウス胚幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量PCRアッセイを使用して、内因性可変領域座全体が、ホモログヒト可変領域座またはオルソログヒト可変領域座と置換されたマウス胚幹細胞を同定する、工程、
e)(d)のマウス胚幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびに
f)(e)の胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程、
を包含する、方法によって作製される、
トランスジェニックマウスである。
【0046】
別の好ましい実施形態は、上記のトランスジェニックマウスであって、免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される1つ以上の座を含む、トランスジェニックマウスである。
【0047】
また好ましいのは、マウス胚幹細胞が、上記の方法により作製されたトランスジェニックマウスに由来する、上記の方法である。
【0048】
本発明のなおさらに別の好ましい実施形態は、ヒト抗体を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)上記のマウスを抗原性刺激に曝す工程であって、その結果、このマウスは抗原に対する抗体を産生する、工程;
b)抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするDNAを単離する工程;
c)活性な抗体を発現し得る細胞中で、(b)の可変領域をコードするDNAをヒト重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する工程;
d)この細胞を、ヒト抗体を発現するような条件下で増殖させる工程;ならびに
e)抗体を回収する工程、
を包含する、方法である。
【0049】
別の好ましい実施形態において、上記の細胞は、CHO細胞である。
【0050】
また好ましいのは、上記の工程(b)のDNAが、上記工程(a)中の抗原性刺激に曝されたマウスの脾臓から作製されたハイブリドーマから単離される方法である。
【0051】
また好ましいのは、DNAがPCRによって単離される、上記方法である。
【0052】
別の好ましい実施形態は、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログ遺伝子座(homologous gene locus)またはオルソログ遺伝子座(orthologous gene locus)と、全部または一部置換する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、その可変遺伝子座内の下流相同性アーム、およびその可変遺伝子座内の上流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、このJセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位、その可変遺伝子座内の上流相同性アーム、およびその可変遺伝子座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)のLTVECを真核生物細胞に導入する工程;
d)この可変遺伝子座中の対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性可変領域遺伝子座に隣接する工程(c)の真核生物細胞を同定する工程;
e)このオルソログ遺伝子座またはこのホモログ遺伝子座の全部または一部に隣接する部位特異的組換え配列を含むベクターを作製する工程;ならびに
f)組換えを介して、この内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がこのホモログ遺伝子座またはこのオルソログ遺伝子座と、全部または一部置換されるように、工程(d)において同定された真核生物中に(e)のベクターを導入する工程、
を包含する、方法である。
【0053】
また好ましいのは、トランスジェニックマウスであって、このマウスは、ホモログヒト免疫グロブリン可変領域座またはオルソログヒト免疫グロブリン可変領域座で置換された内因性免疫グロブリン可変領域座を含み、このマウスは、以下:
a)部位特異的組換え部位および下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、このマウス免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、このJセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位および上流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、このマウス免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のマウスV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)のLTVECをその真核生物細胞に導入する工程;この可変遺伝子座中の対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に隣接する工程(c)の真核生物細胞を同定する工程;
d)このオルソログ遺伝子座またはホモログ遺伝子座の全部または一部に隣接する部位特異的組換え配列を含むベクターを作製する工程;
e)組換えを介して、この内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がこのホモログ遺伝子座またはオルソログ遺伝子座と、全部または一部置換されるように、工程(d)において同定されたこの真核生物細胞中に(d)のベクターを導入する工程;
f)(e)のマウス胚幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびに
(f)の胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程、
を包含する、方法によって作製される、トランスジェニックマウスである。
【0054】
なお別の好ましい実施形態は、真核生物細胞において、下流が部位特異的組換え部位と隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、この座内の下流相同性アーム、この座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、この内因性遺伝子座領域の3’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)(a)のLTVECをこの真核生物細胞内に導入する工程;ならびに
c)この内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この内因性遺伝子座の下流がこの部位特異的組換え部位と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法である。
【0055】
なお別の好ましい実施形態は、真核生物細胞において、上流が部位特異的組換え部位と隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、その座内の上流相同性アーム、その座内の下流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、この内因性遺伝子座領域の5’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)(a)のLTVECをこの真核生物に導入する工程;ならびに
c)この内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この内因性遺伝子座の上流がこの部位特異的組換え部位と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、を包含する、方法である。
【0056】
また好ましいのは、真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、この座内の下流相同性アーム、この座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、この内因性遺伝子座領域の3’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)部位特異的組換え部位、その座内の上流相同性アーム、その座内の下流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、この内因性遺伝子座領域の5’末端に隣接する領域を含む、工程;
c)(a)および(b)のLTVECをこの真核生物細胞内に導入する工程;ならびに
d)この内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性遺伝子座と隣接する(c)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法である。
【0057】
なお別の好ましい実施形態は、真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、その可変遺伝子座内の下流相同性アーム、その可変遺伝子座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、このJセグメントを含まない、工程;
b)(a)のLTVECをこの真核生物細胞内に導入する工程;ならびに
c)この可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流末端と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法である。
【0058】
また好ましいのは、真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、この座内の上流相同性アーム、この座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
b)(a)のLTVECをこの真核生物細胞内に導入する工程;ならびに
c)この可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の上流末端と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法である。
【0059】
なお別の実施形態は、真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、この方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、この座内の下流相同性アーム、この座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、この下流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、このJセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位、この座内の上流相同性アーム、この座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、この上流相同性アームは、この免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)のLTVECをこの真核生物細胞内に導入する工程;ならびに
d)この可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、この部位特異的組換え部位がこの内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座と隣接する(c)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法である。
本発明の好適な実施形態によれば、例えば以下の方法などが提供される:
(項目1)
非ヒト真核生物細胞において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換する方法であって、該方法は、以下:
a)改変改変該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座を全部または一部含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)の該クローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、真核生物細胞における使用のための大きな標的化ベクター(LTVEC)を作製する工程;
c)(b)の該LTVECを該真核生物細胞に導入して、該内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
d)(c)の該真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された真核生物細胞を同定する、工程、
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、該方法はさらに、以下:
e)(a)の前記フラグメントと異なるホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座の一部を含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
f)細菌相同組換えを使用して、(e)の該クローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、第2のLTVECを作製する工程;
g)(f)の該第2のLTVECを工程(d)で同定された前記真核生物細胞に導入して、前記内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
h)(g)の該真核生物細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された真核生物細胞を同定する、工程、
を包含する、方法。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、ここで、工程(e)〜(h)は、前記内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と全部置換されるまで、繰り返される、方法。
(項目4)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記免疫グロブリン可変遺伝子座は、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される座である、方法。
(項目5)
項目4に記載の方法であって、ここで、前記定量アッセイが、定量PCR、FISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、または固定されたプローブに対する定量ハイブリダイゼーションを含む、方法。
(項目6)
前記定量PCRが、TaqMan(登録商標)技術または分子ビーコンを用いる定量PCRを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
マウス胚幹細胞において、内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換する方法であって、該方法は、以下:
a)改変該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座を全部または一部含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)の該大きなクローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、該胚幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
c)(b)の該大きな標的化ベクターを胚幹細胞に導入して、該細胞中の該内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
d)(c)の該胚幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量PCRアッセイを使用して、該内因性可変遺伝子座が、該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された胚幹細胞を同定する、工程、
を包含する、方法。
(項目8)
項目7に記載の方法であって、該方法はさらに、以下:
e)(a)の前記フラグメントと異なるホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座の一部を含む、大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
f)細菌相同組換えを使用して、(e)の該クローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、前記胚幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
g)(f)の該大きな標的化ベクターを工程(d)で同定された該胚幹細胞に導入して、前記内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を、全部または一部置換する工程;ならびに
h)(g)の該マウス胚幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が、該ホモログヒト遺伝子座または該オルソログヒト遺伝子座と、全部または一部置換された胚幹細胞を同定する、工程、
を包含する、方法。
(項目9)
項目8に記載の方法であって、ここで、工程(e)〜(h)は、前記内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座がホモログヒト遺伝子座またはオルソログヒト遺伝子座と全部置換されるまで、繰り返される、方法。
(項目10)
項目7に記載の方法であって、ここで、前記免疫グロブリン可変遺伝子座は、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される座を含む、方法。
(項目11)
内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座をホモログ遺伝子座またはオルソログ遺伝子座と、全部または一部置換する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該可変遺伝子座内の下流相同性アーム、該可変遺伝子座内の上流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、該Jセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位、該可変遺伝子座内の上流相同性アーム、該可変遺伝子座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)のLTVECを真核生物細胞に導入する工程;
d)該可変遺伝子座中の対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性可変領域遺伝子座に隣接する工程(c)の真核生物細胞を同定する工程;
e)該オルソログ遺伝子座または該ホモログ遺伝子座の全部または一部に隣接する部位特異的組換え配列を含むベクターを作製する工程;ならびに
f)組換えを介して、該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が該ホモログ遺伝子座または該オルソログ遺伝子座と、全部または一部置換されるように、工程(d)において同定された真核生物細胞中に(e)のベクターを導入する工程、
を包含する、方法。
(項目12)
前記真核生物細胞が胚幹細胞である、項目11に記載の方法。
(項目13)
項目1、4、7、8、10、11、または12に記載の方法によって産生される、遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座。
(項目14)
項目1、4、7、8、11、または12に記載の方法によって産生される遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含む、遺伝子改変された真核生物細胞。
(項目15)
項目1、4、7、8、10、または11に記載の方法によって産生される遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含む、非ヒト生物。
(項目16)
項目7、8、10、または12に記載の方法によって作製される遺伝子改変された免疫グロブリン可変領域遺伝子座を含む、マウス胚幹細胞。
(項目17)
前記マウス重鎖可変領域座が、ヒト重鎖可変遺伝子座で全部または一部置換された、項目16に記載の胚幹細胞。
(項目18)
前記マウスκ軽鎖可変領域座が、ヒトκ軽鎖可変領域座で全部または一部置換された、項目16に記載の胚幹細胞。
(項目19)
前記マウスλ軽鎖可変領域座が、ヒトλ軽鎖可変領域座で全部または一部置換された、項目16に記載の胚幹細胞。
(項目20)
前記重鎖可変領域遺伝子座および前記軽鎖可変領域遺伝子座が、そのヒトホモログまたはヒトオルソログで全部置換された、項目16に記載の胚幹細胞。
(項目21)
項目16に記載の胚幹細胞から作製される、マウス。
(項目22)
項目17に記載の胚幹細胞から作製される、マウス。
(項目23)
項目18に記載の胚幹細胞から作製される、マウス。
(項目24)
項目19に記載の胚幹細胞から作製される、マウス。
(項目25)
項目20に記載の胚幹細胞から作製される、マウス。
(項目26)
項目11に記載の遺伝子改変された改変遺伝子座によってコードされるヒト可変領域を含む、抗体。
(項目27)
非ヒト定常領域をさらに含む、項目26に記載の抗体。
(項目28)
ヒト定常領域をさらに含む、項目26に記載の抗体。
(項目29)
トランスジェニックマウスであって、該マウスは、内因性マウス定常領域座に完全に作動可能に連結されたヒト重鎖可変領域座およびヒト軽鎖可変領域座を完全に含むゲノムを有し、その結果、該マウスは、抗原性刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を含有する血清を産生する、トランスジェニックマウス。
(項目30)
トランスジェニックマウスであって、該マウスは、内因性マウス定常領域座に作動可能に連結されたヒト重鎖可変領域座および/またはヒト軽鎖可変領域座を含むゲノムを有し、その結果、該マウスは、抗原性刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を含有する血清を産生する、トランスジェニックマウス。
(項目31)
トランスジェニックマウスであって、該マウスは、ホモログヒト可変領域座またはオルソログヒト可変領域座で置換された内因性免疫グロブリン可変領域座を含み、該マウスは、以下:
a)結合された場合に該ホモログヒト可変領域座または該オルソログヒト可変領域座に広がる、1つ以上の大きなクローン化されたゲノムフラグメントを得る工程;
b)細菌相同組換えを使用して、(a)の該クローン化されたゲノムフラグメントを遺伝子改変し、マウス胚幹細胞における使用のための大きな標的化ベクターを作製する工程;
c)(b)の該大きな標的化ベクターをマウス胚幹細胞に導入して、該細胞において該内因性可変領域座を置換する工程;
d)(c)の該マウス胚幹細胞において対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量PCRアッセイを使用して、該内因性可変領域座が、該ホモログヒト可変領域座または該オルソログヒト可変領域座と置換されたマウス胚幹細胞を同定する、工程、
e)(d)の該マウス胚幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびに
f)(e)の該胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程、
を包含する、方法
によって作製される、トランスジェニックマウス。
(項目32)
トランスジェニックマウスであって、該マウスは、ホモログヒト免疫グロブリン可変領域座またはオルソログヒト免疫グロブリン可変領域座で置換された内因性免疫グロブリン可変領域座を含み、該マウスは、以下:
a)部位特異的組換え部位および下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該マウス免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、該Jセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位および上流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該マウス免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のマウスV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)のLTVECを該真核生物細胞に導入する工程;
d)該可変遺伝子座中の対立遺伝子の改変(MOA)を検出するために定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座に隣接する工程(c)の真核生物細胞を同定する工程;
e)該オルソログ遺伝子座または該ホモログ遺伝子座の全部または一部に隣接する部位特異的組換え配列を含むベクターを作製する工程;
f)組換えを介して、該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座が該ホモログ遺伝子座または該オルソログ遺伝子座と、全部または一部置換されるように、工程(d)において同定された該真核生物中に(e)の該ベクターを導入する工程;
g)(d)の該マウス胚幹細胞を胚盤胞に導入する工程;ならびに
h)(e)の該胚盤胞を妊娠のために代理母に導入する工程、
を包含する、方法
によって作製される、トランスジェニックマウス。
(項目33)
項目30、31、または32に記載のトランスジェニックマウスであって、ここで、前記免疫グロブリン可変領域遺伝子座は、以下:
a)κ軽鎖の可変遺伝子座;
b)λ軽鎖の可変遺伝子座;および
c)重鎖の可変遺伝子座、
からなる群より選択される1つ以上の座を含む、トランスジェニックマウス。
(項目34)
前記マウス胚幹細胞が、項目31に記載の方法によって作製されたトランスジェニックマウスに由来する、項目7、8、9、10または12に記載の方法。
(項目35)
前記マウス胚幹細胞が、項目32に記載の方法によって作製されたトランスジェニックマウスに由来する、項目7、8、9、10または12に記載の方法。
(項目36)
ヒト抗体を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)項目26に記載のマウスを抗原性刺激に曝す工程であって、その結果、該マウスは該抗原に対する抗体を産生する、工程;
b)該抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードするDNAを単離する工程;
c)活性な抗体を発現し得る細胞中で、(b)の該可変領域をコードするDNAをヒト重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する工程;
d)該細胞を、該ヒト抗体を発現するような条件下で増殖させる工程;ならびに
e)抗体を回収する工程、
を包含する、方法。
(項目37)
前記細胞がCHO細胞である、項目36に記載の方法。
(項目38)
工程(b)の前記DNAが、工程(a)中の抗原性刺激に曝された前記マウスの脾臓から作製されたハイブリドーマから単離される、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記DNAがPCRによって単離される、項目31に記載の方法。
(項目40)
真核生物細胞において、下流が部位特異的組換え部位と隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該座内の下流相同性アーム、該座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該内因性遺伝子座領域の3’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)(a)の該LTVECを該真核生物細胞に導入する工程;ならびに
c)該内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該内因性遺伝子座の下流が該部位特異的組換え部位と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目41)
真核生物細胞において、上流が部位特異的組換え部位と隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該座内の上流相同性アーム、該座内の下流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該内因性遺伝子座領域の5’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)(a)の該LTVECを該真核生物細胞に導入する工程;ならびに
c)該内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該内因性遺伝子座の上流が該部位特異的組換え部位と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目42)
真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該座内の下流相同性アーム、該座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該内因性遺伝子座領域の3’末端に隣接する領域を含む、工程;
b)部位特異的組換え部位、該座内の上流相同性アーム、該座内の下流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該内因性遺伝子座領域の5’末端に隣接する領域を含む、工程;
c)(a)および(b)の該LTVECを該真核生物細胞に導入する工程;ならびに
d)該内因性遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性遺伝子座と隣接する(c)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目43)
真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該可変遺伝子座内の下流相同性アーム、該可変遺伝子座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、該Jセグメントを含まない、工程;
b)(a)の該LTVECを該真核生物に導入する工程;ならびに
c)該可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性免疫グロブリン可変遺伝子座の下流末端と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目44)
真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該座内の上流相同性アーム、該座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
b)(a)の該LTVECを該真核生物に導入する工程;ならびに
c)該可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座の上流末端と隣接する(b)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目45)
真核生物細胞において、部位特異的組換え部位が隣接した内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を作製する方法であって、該方法は、以下:
a)部位特異的組換え部位、該座内の下流相同性アーム、該座内の上流相同性アームを含むLTVECを作製する工程であって、
ここで、該下流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域のJセグメントにすぐ隣接する領域を含むが、該Jセグメントを含まない、工程;
b)部位特異的組換え部位、該座内の上流相同性アーム、該座内の下流相同性アームを含む、LTVECを作製する工程であって、
ここで、該上流相同性アームは、該免疫グロブリン可変遺伝子座領域の最も遠位のV遺伝子セグメントに隣接する領域を含むが、いかなるV遺伝子セグメントも含まない、工程;
c)(a)および(b)の該LTVECを該真核生物に導入する工程;ならびに
d)該可変遺伝子座における対立遺伝子の改変(MOA)を検出するための定量アッセイを使用して、該部位特異的組換え部位が該内因性免疫グロブリン可変領域遺伝子座と隣接する(c)の真核生物細胞を同定する工程、
を包含する、方法。
(項目46)
1つの部位特異的組換え部位が隣接する、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座。
(項目47)
部位特異的組換え部位が隣接する、内因性免疫グロブリン可変遺伝子座。
(項目48)
1つの部位特異的組換え部位が隣接する内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を含む、ES細胞。
(項目49)
部位特異的組換え部位が隣接する内因性免疫グロブリン可変遺伝子座を含む、ES細胞。
(項目50)
項目48または49の細胞によって作製される、マウス。