(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を
図1ないし
図4に従って説明する。
1は敷設地盤で、この地盤1上には、バラスである埋設基盤2が扁平台形断面をしたものとして敷設されている。これらの図における埋設基盤2は軌道装置の直線誘導部分に相当して設けられている。
【0010】
3は既設の枕木で、PC製とされているが木質やFFU(ガラス繊維)、あるいは樹脂(PE+廃タイヤ)製であってもよい。これらの枕木3の複数本は、前後に一定の間隔を置いて互いに平行をなす形で埋設基盤2に上面露出状に埋設されている。枕木3の上には一側と他側のレール5,5が配備され、それらは犬釘や図示した押さえばね式締結具であるレール固定具6…により固定されている。
【0011】
7は調節規定機構で、8はその要部である取付基材で、四角金属パイプあるいは硬質樹脂さらにはPC製などとされて一対の枕木3,3のうち一定距離離間したものの前後間に位置するように配置されている。その通し方は、
図4に示すように、埋設基盤2における前記一対の枕木3,3間下方に相当する部分を掘削除去して通し路9を形成するとともに、この通し路9内に取付基材8を通して上へ持ち上げ上面がレール5の下面に当たるようにする。
【0012】
取付基材8の長手方向には、内側8aと外側8bからなる一対の受ねじが
図2に示すように一側(左側)と他側(右側)とにそれぞれ対称的に配備されるとともに、一側(左側)の外側8bと他側(右側)の内側8aの各受ねじに止着具11を介して2形の内側レール固定具12と外側レール固定具13とが各1個ずつ取り付けられている。これらレール固定具12,13は長孔14をそれぞれ有しているので、止着具11を緩めることでレール5に直交する方向に進退調節可能とされている。
【0013】
この実施形態では、
図4に示すように、内側レール固定具12と外側レール固定具13の各1個ずつが取付基材8上に前以って取り付けられ、両者12,13は同じ方向に向けられて先間寸法が適正寸法Wとなるようにして強固に止着具11,11により固定されている。
そして、レール5,5間の間隔が経時変化で変動しないようにするため、まず、既設の埋設基盤2のうち所望の一対の枕木3,3間に相当するレール下部分に取付基材8を通すための通し路9を造っておくとともに、この通し路9を利用して前記レール固定具12,13をもつ取付基材8を持ち上げながら
図4の矢印のように通してレール固定具12,13が左右のレール5,5に係るように押し進めてゆき、
図2のようにレール固定具12,13先端がレール5の各ウェブ5aに当たるようにして保持する。その保持は図示しない底ブロックを差し込んだりジャッキで一時的に持ち上げたりして行う。
【0014】
そのあと、
図4のように他の内・外側レール固定具12,13を止着具11,11によりやや緩めにして取付基材8側に取り付けるとともに、左右それぞれ一対のレール固定具12,13を万力にて挟み付けるように保持しながら前記緩めの止着具11側を強く締付けることによって
図3のように前後のレール固定具12,13でレール5を挟持した状態を得る。レール固定具12,13はその先端がウェブ5a面に当たるようにされる。
【0015】
この挟持状態は、止着具11…を強く固定しておくことにより左右のレール5,5間の間隔(中心間の間隔)は適正寸法Wに調整維持されて確実にかつ強く規定されることになる。規定後の取付基材8は、その底域を含む外まわりをバラスである埋設基盤2で元の状態にまで埋め合わせておくようにする。前記Z形とは、下側の取付フランジの上にアングルを一体化した形状のことを略称している。
【0016】
尚、前記受ねじ8a、8bは、埋込プラグタイプのものにしてもよい。前記正規寸法Wは図示しないねじ式進退調整具によりなされる。
前記レール固定具12,13はアングルを備えたZ形のものとされていたが、
図3の右欄に示すように、取付用の下フランジと当接による幅規定用の円弧部とを一体にした形にしてもよい。
また、
図3の実施形態ではレール5のウェブ5aにレール固定具12,13が当るようにしてあったが、
図5に示すように、レール5の基部フランジ5bにレール固定具12,13が当って幅を規定するようにしてもよい。この場合、レール固定具12,13をZ形にしてもよいが、不要な部分をできるだけ省いた右上欄のようなL形にしたり、その下欄図のように平板状にしてもよい。
【0017】
図6(施工後)、
図7(
図6の要部拡大図)および
図8(施工中)は他の実施形態を示し、この実施形態は、四角金属パイプ(あるいは硬質樹脂やPC製など)とされた取付基材8上に両外側レール固定具13,13が設けられて調節規定機構7が構成されているが、その一方13は
図7のように溶接により予め固定され他方13は
図8のように通し路9に取付基材8が通されたあとで止着具11により取り付けられる脱着式となっている。
【0018】
17は挿入され溶接固着された受ねじ筒であるナットで、止着具11がねじ込まれるものであり、前記他方の外側レール固定具13は長孔を介して前後に位置合わせされたあと
図6に示すように一方の外側レール固定具13と同様にレール5のウェブ5aに当たって位置規定するようになっている。
【0019】
レール固定具13の後にはストッパ18を設けておけばレール固定具13のずれ防止がより確実になる。
図8の状態から埋設基盤2を埋め合わせることで
図6のような状態になる。両レール固定具13,13の内幅はW+ウェブ幅とすればレール5,5の中心間の間隔はWに規定され、前記長孔によるレール固定具13の進退調整によってより精確に寸法規定されることになる。
【0020】
図6の実施形態では幅の拡がりは規制されるものの狭まるのは規制されない不利があるが、
図9(施工後)および
図10(施工中)に示す実施形態では狭まるのも規制することができる。同実施形態は、一側(図の左側)の外側レール固定具13と他側(図の右側)の内側レール固定具12が調節規定機構7の要部である取付基材8に溶接固定してあってその取付基材8を
図10のように通し路9内に通して持ち上げながらレール固定具13,12をレール5,5に当て付けるようにしたあと、一側(図の左側)の内側レール固定具12と他側(図の右側)の外側レール固定具13はナット17と止着具11とによって取付基材8に後付けして止着具11,11を締め付けることで
図9のようにレール固定具12,13間にレール5を挟持しレール5,5間の間隔を規定できるようにしてある。レール固定具12,13の後にはストッパ18を設けておけばずれ防止になる。
図10における溶接固定したレール固定具13,12の先端間の間隔はWにしておけば、
図9のようにレール5,5の中心間の間隔をWに規定し、その幅Wが変動しないように規定することができる。
【0021】
図11、
図12および
図13は他の実施形態を示す。
同実施形態は、施工後には調節規定機構7の要部である1本の取付基材8を
図12の右欄に示すような金属製で長尺状をしたフラットバーとしこれを既設で木製の朽廃化した(あるいは朽廃化が想定される)枕木3の所望のものの側脇に枕木3と上面を合わせた形で添接するとともに枕木3と連結しさらにレール5,5間の幅Wが常に一定に確保されるように締結して配置したものである。
【0022】
この取付基材8は、枕木3の一方の脇下に形成した通し路9を通じて横から通されその上面が枕木3の上面と同じになりしかも枕木3の側脇に離間して平行に配置されている。21は側脇連結板で、取付基材8の長手方向端部上に直角をなすようにして止着具22でもって取り付けられ、この連結板21は枕木3上に延びるとともに止着具22により連結固定されるものである。
尚、取付基材8の長手方向中央にも中央連結板20を止め付けて枕木3側と止着具22により連結固定して強度アップを図ってもよい。
【0023】
取付基材8は、
図13に拡大図を示すように、先端部が緩衝用の硬質ゴム板28を介して下フランジ5b上にそれぞれ乗り掛かるような機械加工品である平板状の内側および外側レール固定具12,13を備え、これら内側、外側レール固定具12,13は、前後に一対の長孔14を備えた共通型のものとされ、ボルトナット、平およびバネワッシャの組である止着具11により前後に進退調整可能な状態で固定されている。
【0024】
レール5,5の中心間の幅(間隔)は、安全走行が確約される基準値として図示Wが好適である。この基準値Wは例えば、1132mmであり、左右のレール固定具12,13の位置調節をしながら止着具11…により締付け固定することで規定される。ここで、外側レール固定具13と側脇連結板21との対面間隔cは、
図11および
図12に示す程度の一定寸法、例えば、両レール5,5がずれた場合の安全許容値19mmに設定しておく。
【0025】
このようにしておくと、外側レール固定具13が経時変化により外側へ例えば、10mmずれたとしてもそのずれはc(19mm)の範囲内であって車両走行にとって安全なものであり、cが0になってずれが19mmとなったところ、すなわち、外側レール固定具13が側脇連結板21に当たったところを限度にしてずれが止まるようにしておけば安全が保障されるのである。側脇連結板21と取付基材8および枕木3の連結はレール5の長手方向に向く長孔(図示省略)により前記cなどの寸法合わせを可能にする。
【0026】
取付基材8を通すために形成される通し路9は、取付基材8の底域などを含めて全てバラスである埋設基盤2にて埋設施工される。
前記取付基材8は、枕木3と一体化されて1本の強い枕木となっており、その上でレール固定具12,13を備えているので、レール間幅の規定機能が安定かつ確実に発揮されることになる。
【0027】
レール固定具12,13の首下部は、
図13に示すように、機械加工によって直角状に加工しておくとレール5が首を持ち上げて掬い揚げることでレール5に外側方へのずれが発生しようとしてもそれを有効に防止することができる。
レール固定具12,13は
図13の左上欄に示すようにプレス成形品としてもよい。
また、取付基材8は、前記実施形態ではフラットバー型にしたが、
図13の右欄に示すように、金属製アングルにより形成してもよく、この場合、止着具25により枕木3へ取付基材8を連結するようにすると取付基材8側が安定確実に固定化される。
【0028】
レール固定具12,13は首下が直角になっていることでレール5の外側へのずれが防止されるようになるが、
図14のように、レール5の底面に硬質ゴム製座盤30を介装してレール5のフランジ部分を少し高くしておくことでもレール5のずれを有効に防止することができる。
尚、レール固定具12,13のずれを防止するため、同レール固定具12,13の裏面には
図14の下欄に示すように粗目加工を施しておくようにする。また、レール固定具12,13には進退調整具31を付してレール固定具12,13をレール面により精確に当て付けるようにしてもよい。また、止着具11の緩みを防止するため、
図14に示すように、ロックナット33を装着してもよい。
【0029】
図16および
図17は、止着具11の緩みを防止する他の実施形態を示す。各止着具11の頭部には通し孔35が形成されており、これらの通し孔35を使って回り止め線材36を通して複数の止着具11,11が勝手に廻らないようにしてもよい。
また、
図18および
図19に示すように、アイボルトなどの通し部を備えたアンカーボルト38をレール固定具12,13における止着具11近傍位置にねじ込み、このアンカーボルト38の通し部と止着具11の通し孔39とを回り止め線材40により連結したものである。これら回り止め線材36,40は、ばね線材やSUS線材のような変形可能なものを使うものとする。
【0030】
図20および
図21は他の実施形態を示し、同実施形態は、既設の枕木3が永年使用に因り朽廃して本来の枕木としての機能が薄くなった場合の対策例を示している。例えば、
図20の枕木3のうち上下中段に示すものに朽廃が激しくなった場合に、
図21にも示すようなH型鋼やPCなどによる取付基材(調節規定機構7の一部)8をフランジ面が上下にくるようにししかも
図20・
図21の左側の外側レール固定具13と右側の内側レール固定具12が上面に装着された状態にして図示しない通し路内に通すとともに、取付基材8を枕木3に平行に添接するようにしかも前記両レール固定具13,12がレール5,5に乗り掛かる状態となるようにレール5下に通し、残る左側の内側レール固定具12と右側の外側レール固定具13とを緩めた状態から締付けてレール5,5間の間隔が適正寸法Wとなるように固定するようにしたものである。
【0031】
尚、
図20の42はずれ検出センサー内蔵器で、レール固定具12,13のずれによりレール間幅が変動しようとしたときにそれを検出して信号を図示しない制御センターに送りずれを知らせるためのものである。
【0032】
図22は他の実施形態を示し、既設の朽廃した枕木3はレール固定具6の取り外しにより除去し、そのあとにH型などの新規枕木45を通してレール固定具12,13によりレール5,5間が適正間隔となるようにして締め付け固定したものである。
【0033】
図23および
図24は他の実施形態で、レール5,5中心間の幅寸法を車両安全走行を保障する基準値W(実施例寸法:1132mm)に間隔調節手段を用いて簡単確実に規定し得る実施形態を示す。
1は敷設地盤で、この地盤1上には、バラスである埋設基盤2が台形盛土状に形成されている。これらの図における埋設基盤2は軌道の直線誘導部分に相当して設けられている。
【0034】
3は既設の枕木で、朽廃化のおそれのある木質とされているが、PC製やFFU(ガラス繊維)、あるいは樹脂(PE+廃タイヤ)製であってもよい。これらの枕木3の複数本は、前後に一定の間隔を置いて互いに平行をなす形で上面露出状をなして埋設基盤2内に埋設されている。枕木3の上には一側(図の左側)と他側(図の右側)のレール5,5が配備され、それらは犬釘であるレール固定具6…により固定されている。
【0035】
図25の48はターンバックル機構を採用した調節規定機構で、金属製の短い矩形フラットバーである取付基材8の左右一対を有するとともに、各取付基材8にはその上面を介して溶接固定された内側レール固定具12と、その底面を介して溶接固定された受ねじ49とを備えたものである。
取付基材8は、金属製のアングルや四角パイプ、あるいは溝形鋼、H鋼などを使用することもでき、硬質樹脂さらにはPC製など材質は問わない。
【0036】
内側レール固定具12は、先端底面が斜め面状でレール5の下フランジ5b上に直接あるいは緩衝ゴムを介して間接的に乗り掛かり得るような先端部を有するフラットバー型の金属製板材でなっている。
受ねじ49は、
図25の左右の関係において逆ねじであるメスネジが形成されたものである。
【0037】
50はバックル軸で、逆ねじ関係のねじ部を軸両端部に備えて前記受ねじ49内に螺合するもので、その軸中間には4面軸部のような回転操作部51が設けられるとともにロックナット52により操作後のロックがなされるようになっている。前記回転操作部51は
図25の下欄に示すように六角あるいは四角軸状の長軸太径のものにすれば回転操作しやすくしかも強度もある。
【0038】
この調節規定機構48は、レール間幅を規定する必要性の高い枕木3…のうちの所望のものの側脇に対応してバラスを掘削除去して形成された
図25の通し路9を通じて持ち込まれたあと、レール5,5側にセットするようにする。このセットは、両内側レール固定具12,12の先端同士の間隔がレール5,5の下フランジ5b、5b間の間隔よりも十分小さくなる関係にして一方の内側レール固定具12を下フランジ5b上に乗り掛かるようにしてのち回転操作部51を回して矢印のように両受ねじ49,49の間隔を離間させて他方の内側レール固定具12を対応する下フランジ5b上に乗り掛からせるようにする。その際、回転操作部51の回転操作により両レール5,5の中心間の間隔が基準値であるWになるようにしておく。
【0039】
こうしてセットされた調節規定機構48に対し、それぞれ止着具(ボルトナット)11,22により外側レール固定具13と側脇連結板21が取り付けられる。外側レール固定具13は、長孔により進退調節可能に止め付けられることでその先端首部が下フランジ5b上にしっかりと乗り掛かって固定され外側からレール5を押圧規定する。側脇連結板21の方は、枕木3上に伸びて止着具22…により固定されて枕木3と補強関係とされる。
【0040】
この側脇連結板21は、上記と同様に外側レール固定具13との間隔をcとし、仮に外側レール固定具13が経時変化に伴い外側方へずれるようなことがあっても側脇連結板13がストッパとして機能することで安全走行に支障のない許容範囲内に抑えることができる設定にしてある。
図25の通し路9にはバラスが埋め合わされて
図24のようにしっかりとした埋設基盤2が造成される。
【0041】
尚、
図24の下欄に示すように、取付基材8をアングル型としてその内側に角筒状の受ねじ49を溶接固着し、この受ねじ49に太軸状のバックル軸50をねじ付けることにより強い調節規定機構48とすることができる。
また、調節規定機構48はターンバックル機構を採用しているが、取付基材8,8の間隔をねじ機構により長短に調節できるもの(軸長可変調節機構)であればよく、例えば、
図25において右側にねじ部を備えたねじ軸を左側のジョイント内で回転自在に支持する一方右端のねじ部は右側の受ねじ49で進退自在に螺合して構成されたものにしてもよい。
【0042】
図26および
図27は他の実施形態を示し、調節規定機構48のうち内側レール固定具12が受ねじ49として取付基材8上に溶接固定され、これら内側レール固定具12,12間をバックル軸50でつなぐようにしてある。54は押さえ板で、止着具55により内側レール固定具12の先端に取り付けられて下フランジ5bを上から押さえ付けることで同フランジ5bの上方への浮きを防止するようにしてある。
【0043】
その他、
図23ないし
図25と同じ構成部分は同じ符号を付して説明は省略する。調節規定機構48のうちバックル軸50は埋設基盤2上でレール5,5間に露出した状態とされるので、幅Wをバラス2を掘削することなくいつでも好適値に微調整することができるようになる。
【0044】
この調節規定機構48は、レール間幅を規定する必要性の高い枕木3…のうちの所望のものの側脇に対応してバラスを掘削除去して形成された
図26の通し路9を通じて持ち込まれたあと、レール5,5側にセットするようにする。このセットは、両内側レール固定具12,12の先端同士の間隔がレール5,5の下フランジ5b、5b間の間隔よりも十分小さくなる関係にして一方の内側レール固定具12(49)を下フランジ5bに当て付けるとともに押さえ板54を下フランジ5b上に乗り掛かるようにしてのち回転操作部51を伸びる方向に回して矢印のように両受ねじ49,49の間隔を離間させて他方の押さえ板54を対応する下フランジ5b上に乗り掛からせるようにする。その際、回転操作部51の回転操作により両レール5,5の中心間の間隔が基準値であるWになるようにしておく。
【0045】
こうしてセットされた調節規定機構48に対し、それぞれ止着具(ボルトナット)11,22により外側レール固定具13と側脇連結板21が取り付けられる。外側レール固定具13は、長孔により進退調節可能に止め付けられることでその先端首部が下フランジ5b上にしっかりと乗り掛かって固定され外側からレール5を押圧規定する。側脇連結板21の方は、枕木3上に伸びて止着具22…により固定されて枕木3と補強関係とされる。
【0046】
この側脇連結板21は、上記と同様に外側レール固定具13との間隔をcとし、仮に外側レール固定具13が経時変化に伴い外側方へずれるようなことがあっても側脇連結板13がストッパとして機能することで安全走行に支障のない許容範囲内に抑えることができる設定にしてある。
図26の通し路9にはバラスが埋め合わされてしっかりとした埋設基盤2が再造成される。
【0047】
尚、
図26の下欄に示すように、取付基材8をアングル型にしてそれに太い角筒状の受ねじ49を溶接固着して一体化し、この受ねじ49に太軸状のバックル軸50をねじ付けることにより強い調節規定機構48とすることができる。この場合、取付基材8を枕木3に対して止着具25により止め付けて両者を一体化することもある。
【0048】
また、左右のレール5,5にそれぞれ個別的に微小電流を流すことで必要な信号として検知利用し得るように構成することが従来からなされているが、その場合左右のレール5,5間に電流が流れると個別信号を取り出せないおそれもあり、そうしたことに対処して、この実施形態でレール5,5間に構成される調節規定機構48のいずれかの部材あるいは部品、例えば、取付基材8や受ねじ49、バックル軸50などのうちいずれかあるいは所望の組み合わせのものを絶縁材として構成することができる。
【0049】
他の絶縁のための方法として、
図26の右下欄に示すように、レール5のフランジ5b周りに耐震・防振機能をもつ絶縁ゴムなどの絶縁被覆材32を履かせて対処することもできる。前記取付基材8やバックル軸50などの外周には、降雪や降雨などによる通電のおそれを防止するための防水カバーを被覆してもよい。
【0050】
図28ないし
図30は他の実施形態を示し、この実施形態において1は敷設地盤、2は埋設基盤、3は複数本の既設の枕木、5は軌道装置の要部である左右一対のレールでウェブ5aと下フランジ5bを備えてレール固定具6…により平行なる関係で複数本離間して配備されている。
60は調節規定機構で、両端にねじ部61aを形成したねじ軸61を備えるとともに、このねじ軸61の各端部には先部が下フランジ5b、5b上に乗り掛かり押え板62および平座金・バネワッシャ・ナットなどによる止着具63による螺着によってレール5を両側から固定する通孔付きL字形レール固定具64,64を備えている。
【0051】
図30に示すように、両端部に各一対のレール固定具64,64を備えた調節規定機構60は、通し路9の形成されたレール5の下に通されてレール固定具64.64でそれぞれ固定されるのであるが、その際、外側レール固定具64,64を少し緩めながら内側レール固定具64,64を止着具63の調節により進退調節することによりレール間幅Wを許容値以内に規定操作する。調節が終わったら外側レール固定具64,64を止着具63の調節により締め付けることにより内外のレール固定具64,64によりレール5をWの間幅として固定する。
【0052】
このようにねじ軸61にレール固定具64を直接組み合わせたことにより、例えば、
図23ないし
図25に示す実施形態のような取付基材48・受けねじ49を省略した簡易構造の装置にすることができる。
尚、
図30の左上欄のようにレール5の下フランジ5b周りに絶縁被覆材66を付したり、あるいは
図30の下欄のような絶縁パイプ67をねじ軸61周りに装備することで、左右のレール5,5間が絶縁状態になって独自に信号を伝播できるようにしてもよい。
【0053】
また、
図30の実施形態では、レール固定具64の一体の基部に通孔を形成しておいてそこにねじ軸61を通していたが、
図31に示すように、レール固定具64とその基部である基部材65とを別体物として溶接一体化してねじ部61aを通し止着具63で移動調節可能に固定するように構成してもよい。
【0054】
ねじ軸61は両端のねじ部61aと中央軸部61bとが一体に形成されているが、同図下欄に示すように、回転操作部70a付きで止着具63で固定されるタイプのバックル軸70を中央軸部として構成してバックル軸70を別途操作することで先に固定したレール固定具64,64を移動調節可能に構成してもよい。調節がしやすくなる利点がある。
図31は装置の要部のみを示すもので、その施工時の背景は
図30に示すと同様であり、また施工後の状態は
図28および
図29に示す背景と同様である。
【0055】
図32おび
図33は他の実施形態を示す。同実施形態は、調節規定機構69の一部であるねじ軸61を左右一対のものとしてそれぞれに一対のレール固定具64,64と止着具63を備えるとともにねじ軸61を止着具63付きのバックル軸70により長さ調節可能に連結したものである。
このように左右のねじ軸61,61をバックル軸70の操作で前後調節可能にしておくことで、先にレール固定具64,64をレール5に固定したあとでバックル軸70を操作すれば簡単確実に所望の間幅Wを得ることができるようになる。
【0056】
尚、バックル軸70は、
図33に示すように、一部面取式の回転操作部70aを有するタイプの他、同図下欄に示すように全体が六角軸状をなすタイプにしてもよい。
前記各実施形態においてレール間幅とはレール中心間の幅として説明したが、レール上部の内面同士あるいは外面同士の間隔とすることもある。
【0057】
図34ないし
図36は他の実施形態を示す。この実施形態は、既設の枕木固定方式以外に平行に設けられてレール間幅をできるだけ永い期間許容範囲内にあるように規定して安全走行可能な軌道装置を確保できるようにしたレール間幅規定装置を提供することを目的とするものである。
埋設基盤74に一定寸法離間して配備した枕木75…のうちの図示したものの側部に通し路を形成してその通し路を通じてレール幅方向に向く調節規定機構76を設けることによりレール5の内幅を一定に維持するようにしたものである。
【0058】
調節規定機構76は、ねじ軸77とその両端のねじ部78とを一体に備え、ねじ軸77の外周には回転操作部79を形成するとともに、ねじ軸77には電気絶縁機能のある短管80を外嵌しその端部には押さえ板81の一対を設けて止着具82により押さえ板81をレール5のフランジ5b上に押さえ付けることでレール5,5の内幅寸法(レール中心間寸法W−レール幅寸法)が適正とされる1067mmとなるように規定するようになっている。
【0059】
83は絶縁被覆材で、レール5のフランジ5bの上下両面を被覆するものであり、押さえ板81はこの絶縁被覆材83を介してレール5を挟み付けるようになっている。調節規定機構77によって内幅を所定に規定したあとは基盤74を埋設することで幅が長期に亘って変動しにくい軌道を得ることができるようになる。
【0060】
図37ないし
図39は他の実施形態を示す。この実施形態は、既設の枕木固定方式以外に平行に設けられてレール間幅をできるだけ永い期間許容範囲内にあるように規定して安全走行可能な軌道装置を確保できるようにしたレール間幅規定装置を提供することを目的とするものである。
【0061】
埋設基盤86に並列に配備された枕木87…が木質であると腐植劣化が早期に進みその状況下においては枕木87を止め付ける犬釘も抜け易くなる。特に、レールが左右において高低差のある曲がり軌道条件下にあってそこに列車が繰り返し走行する場合レールに倒れる方向の偏荷重が掛かって低い側のレールを止める犬釘が抜け上がってきてそれに伴い他方側の車輪が脱落してしまうようなトラブルが発生する。そうしたトラブルのないようにこの実施形態で対策をした。
【0062】
即ち、
図37ないし
図39は一定間隔を置く枕木87…のうちの1つのものを示し、この枕木87は埋設基盤86で埋設固定されているとともにその上面を介して左右一対のレール5,5が通されている。この枕木87の上には左右一対をなすように保護カバー88,88が設けられている。
【0063】
この保護カバー88は、枕木87に上からはめ込まれてその上面と前後側面に適合するようなスチールあるいはアルミ合金、または樹脂製などによる溝形枠状の部材でなり、
図38のように左右一対をなすカバー88,88の長手方向各中心がレール5,5の中心間幅Wの端位置と同じ位置になるようにして叩き込み式固定具90…の複数本により固定されるようになっている。
【0064】
保護カバー88は、
図37の下欄に取り出して示すように、前記固定具90…を通すための固定具用孔a…を周縁部に有し、幅間位置には第1受座bの一対と第2受座cとが同列状をなすようにして溶接などにより固定して設けられ、第1受座bにはレール押さえ具91が載せ付けられてボルトである止着具92によりねじ込み固定されるようになっており、第2受座cには、調節規定機構93の端部ジョイント94が載せ付けられてボルトである連結具95によるねじ込みで固定されるようになっている。
【0065】
調節規定機構93は、回転操作可能な本体であるバックル軸96と、その端部にねじ込まれた各ねじ軸97とを備えたもので、ねじ軸97に前記端部ジョイント94が一体に設けられている。前記レール押さえ具91と止着具92とは、それらを一体化したような犬釘にしてもよく、この場合、第1受座bは通孔式とする。レール5のフランジ周りには前記絶縁被覆材83のような絶縁手段を設けてレール5間を電気的に遮断して独自に信号が流れるようにすることがある。前記端部ジョイント94は、
図37の上欄に示すように複数の連結具95が固定されるように構成してもよい。
【0066】
各保護カバー88は、枕木87のレール5,5下に対応するように差し入れられてのちレール押さえ具91を止着具92により固定することでレール5との連結をする。そして、保護カバー88,88間には調節規定機構93が渡されるとともに、この調節規定機構93を長さ調節することで
図38の内幅が規定寸法になるようにされる。レール間幅が規定されたあと、固定具90…が打込まれて保護カバー88が枕木87側に固定されるようになっている。枕木87は保護カバー88によって重要部分が保護されているので、レール5,5間の幅は長期に亘って規定寸法を維持することができるようになる。