【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、
(1)自転車による走行中に走行に伴って変化する情報(以下、走行情報とする)をユーザーが目視可能に表示する表示装置であって、第1の表示画面と、前記第1の表示画面よりも相対的に電力消費の小さな第2の表示画面と、前記第1及び第2の表示画面への表示制御を行う制御手段を備え、前記制御手段は、走行情報のうち、走行中に変化し、かつ変化しながら前記ユーザーが把握可能な第2の走行情報を前記第2の表示画面に表示するとともに、前記第2の走行情報と比べ走行中には表示画面に表示された走行情報の把握が前記ユーザーにとって相対的に困難な第1の走行情報を前記第1の表示画面に表示する制御を行い、前記第2の表示画面には前記第2の走行情報を常時表示させる一方、前記第1の表示画面を所定の条件で電力消費抑制モードとする制御を行うことをその要旨とする。
このような構成であれば、例えば、第2の表示画面には走行中に常時第2の走行情報が表示され、一方、第1の走行情報を表示する第1の表示画面は所定の条件で電力消費抑制モードとされることとなる。これによって、例えば常時は第2の表示画面に第2の走行情報を表示させ、第1の表示画面側を電力消費抑制モードすることで、例えば、第2の表示画面ほどには明瞭に目視できないような低輝度あるいは消灯状態での表示制御をすることができ、電力消費の大きな第1の表示画面の電力消費を抑制することができる。つまり、通常の走行状態ではもともと第1の表示画面に比べて電力消費の小さな第2の表示画面を主として目視させ、電力消費の大きな走行情報の表示については第1の表示画面に担保させなおかつその電力消費を抑制するという発想である。
【0006】
ここに、第2の走行情報としては走行情報のうち、走行中に変化し、かつ変化しながら前記ユーザーが把握可能なものであり、第2の走行情報と比べ走行中には表示画面に表示された走行情報の把握が前記ユーザーにとって相対的に困難なものが第1の走行情報である。
走行情報としては、例えば、自転車そのものの状態、自転車の周囲の環境の状態、自転車を運転する運転者の状態等に関する情報とするとよい。具体的には、例えば走行速度、現在位置、平均速度、目的地までの距離、目的地までのラップ計測、目的地の方向、クランクの回転速度(ケイデンス)、走行中の心拍状態(ハートレート)、高度、気圧、方位、道路の勾配、時刻、日付等が挙げられる。このうち、第2の走行情報となりうるものは、「走行中に変化し、かつ変化しながら前記ユーザーが把握可能なもの」である。一方、第1の走行情報は、第2の走行情報と比べ走行中には表示画面に表示された走行情報の把握がユーザーにとって相対的に困難な走行情報である。例えば、第2の走行情報を走行中に変化し、かつ変化しながら前記ユーザーが把握可能なものとして、数値やグラフで表示可能な情報とする一方、第1の走行情報を第2の走行情報と比べ走行中には表示画面に表示された走行情報の把握がユーザーにとって相対的に困難な走行情報である地図とする。この例のように、第1の走行情報は、全体的な配置関係を読み取る必要のある情報とする一方、第2の走行情報は、全体的な配置関係を読み取る必要のない情報とするとよい。また、第1の走行情報は、解釈を要する情報とする一方、第2の走行情報は解釈を要しない情報とするとよい。
制御手段としては、第1の表示画面と第2の表示画面の双方を制御する1つのマイコン等の制御部から構成してもよく、第1の表示画面の制御をする第1マイコン等の第1制御部と、第2の表示画面の制御をする第2マイコン等の第2制御部等の複数の制御部から構成するようにしてもよい。
自転車用表示装置は自転車と一体的に、あるいはアダプタのような取り付け手段によって間接的に(二次的に)取り付けることができる。
【0007】
(2)前記第2の走行情報は、自転車の可動部の可動状態を検出する検出手段からの信号に基づく走行情報であり、前記第1の走行情報は、自転車の可動部の可動状態ではない状態を検出する検出手段からの信号に基づく走行情報であることをその要旨とする。
これは第1及び第2の走行情報の差異を
(1)から更に具体化した例を示すものである。「自転車の可動部の可動状態を検出する検出手段」とは具体的には例えば車輪の回転数を検出する車輪回転センサ(車輪回転数検出手段)やクランクの回転数を検出するクランク回転センサ(クランク回転速度算出手段)が挙げられる。これらの検出手段によって得られる情報としては、例えば、走行速度、クランクの回転速度(ケイデンス)が挙げられる。また、例えば、これらの情報をベースとして二次的に得られる平均速度、目的地までのラップ計測、目的地までの距離等が挙げられる。このように、「検出手段からの信号に基づく走行情報」は、例えば、検出手段からの信号に含まれる情報そのものとしてもよいし、検出手段からの信号に含まれる情報を利用して導出した情報としてもよい。検出手段は、例えば、複数の信号を出力し、走行情報は複数の信号に基づいて導出した情報としてもよい。
【0008】
(3)前記第2の走行情報は、前記第1の走行情報よりも走行中に高頻度に更新される情報であることをその要旨とする。
これは第1及び第2の走行情報の差異を
(1)又は
(2)から更に具体化する例を示すものである。頻繁に更新する情報は値が刻一刻とどんどん変化していく情報であって常時ユーザーが目視したい情報でもあるため、これを常時表示画面である第2の表示画面に表示させるわけである。例えば上記車輪回転センサの情報から得られる走行速度は車輪が1秒間に数回回転するため頻繁に速度情報が更新されるが、地図情報の場合ではある領域を画面上に表示する場合についてその地図情報は車輪回転センサの情報から得られる走行速度に比べて急激に変化するものではないためは頻繁に更新がされないものである。クランク回転センサの情報も地図情報よりも高頻度に更新される情報である。
【0009】
(4)前記第2の走行情報は複数の走行情報からユーザーによって選択された1又は複数の情報であることをその要旨とする。
これによって、ユーザー自身が常時目視したい任意の走行情報を第2の表示画面へ表示させることができ、ユーザーの選択した走行情報のみを常時表示させる走行情報とすることができ、ユーザーの目的に応じて常時表示させる走行情報の幅が広がることとなる。ユーザーによる選択は、例えば、入力手段をも受けて入力によって選択するように構成してもよいし、記憶手段に選択された走行情報を特定する情報を記憶しておき、この情報に従って選択するように構成してもよい。
(5)前記第1の表示画面に表示される入力画面の表示に基づいて前記第2の走行情報のユーザーによる選択が実行されることをその要旨とする。
入力画面はある程度の面積のある画面とする方が入力が容易であるが、画面が大きくなると消費電力も大きくなる傾向となる。そのため、常時表示を行う第2の表示画面は消費電力を抑制するために入力画面を設定せず、電力消費抑制モードとすることができる第1の表示画面側から第2の表示画面側の第2の走行情報の設定を行うとするものである。これで第1の表示画面の入力画面を大きくしても電力消費抑制モードとすることができるため、電力消費の抑制となる。更に、前記第2の走行情報の任意の選択を実行するために前記第1の表示画面に前記入力画面を表示する際には、前記電力消費抑制モードとしない構成とするとよい。
(6)選択された前記第2の走行情報と同じ走行情報は前記第1の表示画面には表示させないことをその要旨とする。
つまり、第2の走行情報は常時表示させる第2の表示画面のみに表示させるようにし、第1の表示画面からは目視できないようにするものである。これによって、もともとそれほど大きな表示画面を設ける余裕の少ない自転車用表示装置において同じ走行情報が二重に表示されることによる第2の走行情報以外の走行情報の表示スペースへの影響を小さくすることができる。また、単純に二重に表示させる無駄をなくす意味もある。
【0010】
(7)前記第2の走行情報とは経時的に変化する数値情報であることをその要旨とする。
このような数値で表示できる走行情報は走行に伴う変化がユーザーにおいて瞬時に把握できる代表的な情報であるため、第2の走行情報として妥当であるからである。数値情報として表現できる走行情報としては、例えば、走行速度、平均速度、目的地までの距離、目的地までのラップ計測、クランクの回転速度(ケイデンス)、走行中の心拍状態(ハートレート)、高度、気圧、方位、道路の勾配、時刻、日付等が挙げられる。
(8)前記制御手段は前記電力消費抑制モードにおいては前記第1の表示画面を消灯させるようにしたことをその要旨とする。
これは第1の表示画面での電力消費抑制モードの具体的な例を挙げたものである。常時は消灯させることで電力消費は大幅に抑制できるからである。
(9)前記制御手段は前記電力消費抑制モードにおいては前記第1の表示画面の輝度を減衰させるようにしたことをその要旨とする。
これは第1の表示画面での電力消費抑制モードの具体的な例を挙げたものである。常時は輝度を減衰させることで第1の走行情報を減衰した表示状態であるものの目視できなおかつ電力消費も抑制できるからである。
【0011】
(10)入力手段による入力操作によって前記制御手段は前記第1の表示画面の前記電力消費抑制モードを解除するとともに、所定の時間の経過によって再び前記電力消費抑制モードに移行させることをその要旨とする。
これは常時は電力消費抑制モードにある第1の表示画面の電力消費抑制モードを解除して第2の表示画面と同じ通常の表示モードとする場合の条件である。入力手段を操作することで通常の表示モードとすることが可能であるが、その後の所定の時間の経過によって再び前記電力消費抑制モードに移行させることで電力消費を抑制することができる。所定の時間は変更して設定することが可能である。
ここに、「入力手段」としては第1の表示画面がタッチパネルを兼ねている場合には第1の表示画面自体が入力手段とされる。その他、自転車用表示装置に併設された入力用のボタンスイッチ等が想定される。
【0012】
(11)前記第1の表示画面は前記第2の表示画面より大きな画面であることをその要旨とする。
このような構成では、電力消費抑制モードとなる第1の表示画面が第2の表示画面より大きな画面であるため、より大きな電力消費抑制効果が期待できることとなる。
(12)に記載の発明では
、前記第1の表示画面は前記第2の表示画面より大きな画面であって、前記第1の走行情報は第2の走行情報よりも大きな面積で表示されることをその要旨とする。
このような構成では、電力消費抑制モードとなる第1の表示画面が第2の表示画面より大きな画面であるため、より大きな電力消費抑制効果が期待できることとなる。また、大きな面積での表示が好ましい情報を第1の走行情報として第1の表示画面側に表示させるようにすることで電力消費抑制を図ることができる。
【0013】
(13)ハンドルバー又はステムに取り付けた状態で前記第2の表示画面は運転者の視線方向に向いて配置されるとともに、前記第1の表示画面は前記第2の表示画面とは異なる方向を向いて配置されることをその要旨とする。
このような構成とすることによって、ユーザーが走行中においては走行姿勢を保ったままで、第2の表示画面に視線を移すだけで走行情報を目視することができることとなり、走行しながら常に変化する第2の走行情報の確認がしやすくなっている。一方、常時は第2の走行情報ほどは頻繁に見ることがない第1の走行情報が表示される第1の表示画面をユーザーの視線方向に配置しないことで、あまり見ない画面が見やすい位置にあって第2の表示画面の目視の邪魔となってしまうことがないようにしている。第1の表示画面の向きは第2の表示画面の方向に対して上方に向かって変位させた方向が好ましい。
【0014】
(14)前記第1の表示画面は走行情報として地図情報を表示させることをその要旨とする。
地図情報は大きな表示領域とカラー表示をすることが多いため、電力消費が大きく、電力消費抑制モードの対象とすることが好ましいからである。
【0015】
(15)前記第1の表示画面はドットマトリックス方式のカラー液晶パネルからなるディスプレイから構成されていることをその要旨とする。
第1の表示画面がこのようなドットマトリックス方式のカラー液晶パネルのディスプレイから構成されていると電力消費が大きく、そのようなディスプレイであるからこそ電力消費抑制モードの対象とすることが好ましいからである。
(16)前記第2の表示画面はモノクロ液晶パネルからなるディスプレイから構成されていることをその要旨とする。
第2の表示画面がこのようなディスプレイから構成されていれば電力消費は小さいため常時通常の態様で表示させる場合には好ましいデバイスだからである。
(17)前記第2の表示画面のディスプレイはセグメントディスプレイであることをその要旨とする。
セグメントディスプレイはドットディスプレイに比べて消費電力が小さいため、第2の表示画面として好ましいからである。
(18)二次電池を電源とすることをその要旨とする。
二次電池を電源とするほどの電力消費がある自転車用表示装置だからこそ電力消費の抑制をする必要があるためである。
(19)(1)〜(18)のいずれかに記載の自転車用表示装置における制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムとすることをその要旨とする