(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
印刷物の印刷層上に、少なくとも接着剤層およびシーラント層を有する積層体における印刷層を形成するための、ポリウレタン樹脂(A)、塩化ビニル共重合樹脂(B)、顔料(C)および有機溶剤(D)を含有するグラビアインキであって、ポリウレタン樹脂(A)が、ひまし油ポリオール(a1)由来の構造と、セバシン酸および/またはアジピン酸を含む二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(a2)由来の構造とを有し、ひまし油ポリオール(a1)がリシノレイン酸ポリオールであり、リシノレイン酸ポリオール由来の構造とポリエステルポリオール(a2)由来の構造の質量比(リシノレイン酸ポリオール)/(a2)が、50/50〜30/70であり、
有機溶剤(D)がエステル系有機溶剤およびアルコール系有機溶剤を含有し、その質量比(エステル系有機溶剤)/(アルコール系有機溶剤)が84.8/15.2〜60.9/39.1であり、
前記インキ100質量%中にグリコールエーテル系有機溶剤を8質量%以下で含有することを特徴とするグラビアインキ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0016】
本発明は、ポリウレタン樹脂(A)、塩化ビニル共重合樹脂(B)、顔料(C)および有機溶剤(D)を含有するグラビアインキであって、ポリウレタン樹脂(A)が、ひまし油ポリオール(a1)由来の構造と、セバシン酸および/またはアジピン酸を含む二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(a2)由来の構造とを有することを特徴とするグラビアインキに関する。ポリウレタン樹脂(A)は、塩化ビニル共重合樹脂(B)との相溶性に非常に優れ、それにより印刷適性およびラミネート物性に優れたグラビアインキを得ることができる。
【0017】
<ポリウレタン樹脂(A)>
本発明において使用するポリウレタン樹脂(A)は、その構造中にひまし油ポリオール(a1)由来の構造と、セバシン酸および/またはアジピン酸を含む二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(a2)由来の構造とを含有する。特に限定するわけではないが、ひまし油ポリオール(a1)とポリエステルポリオール(a2)を含むポリオールとポリイソシアネートを重合してなる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーが、ポリアミンにて鎖延長されたポリウレタン樹脂(A)が好ましい。
【0018】
ひまし油ポリオール(a1)由来の構造とポリエステルポリオール(a2)由来の構造の合計は、ポリウレタン樹脂(A)100質量%中、20〜90質量%であることが好ましく、40〜65質量%がより好ましい。また、(a1)/(a2)が質量比で90/10〜30/70であることが好ましく、塩化ビニル共重合樹脂(B)との相溶性を向上させ、グラビアインキの印刷適性とラミネート強度を向上させるため、(a1)/(a2)が質量比で80/20〜40/60であることが、より好ましい。
【0019】
本明細書においてひまし油ポリオール(a1)由来の構造とは、ひまし油ポリオール(a1)の一つの末端の水酸基に由来する酸素原子から、他の末端の水酸基に由来する酸素原子までの構造を示し、ポリウレタン樹脂(A)の原料としてのひまし油ポリオール(a1)の配合量より算出した値である。他のポリオール由来の構造についても同様である。
【0020】
(ひまし油ポリオール(a1))
ひまし油ポリオール(a1)としては、以下の例には限定されないが、例えばひまし油を加水分解して得られるひまし油脂肪酸(リシノレイン酸)を、ジオールを開始剤としてエステル化反応により得られるひまし油ポリオールであることが好ましい。また、公知の水素添加反応により不飽和基を水素添加することで得ることができる水添ひまし油ポリオール、ひまし油脂肪酸を水素添加して水添ひまし油脂肪酸とした後、ジオールを開始剤としてエステル化することでも得ることができる水添ひまし油ポリオールとしても良い。開始剤として用いられるジオールとしては、以下の例には限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。これらのひまし油ポリオール(a1)は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。ひまし油ポリオール(a1)100質量%中、リシノレイン酸からなるポリエステル構造を50質量%以上含有することが好ましい。また、60質量%以上含有することがより好ましい。
【0021】
ひまし油ポリオール(a1)は補助的に、リシノレイン酸以外のヒドロキシ酸を使用しても良い。ヒドロキシ酸としては乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、2‐ヒドロキシ酪酸、3‐ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸等が挙げられる。
【0022】
ひまし油ポリオール(a1) の分子量としては、他の樹脂との相溶性が向上するため、数平均分子量で800〜10000のものが好ましく、1000〜5000であることが更に好ましい。本発明に用いるポリエステルポリオール(a2)の酸価は5.0mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0023】
(ポリエステルポリオール(a2))
セバシン酸および/またはアジピン酸を含む二塩基酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(a2)としては、セバシン酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール、アジピン酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオール、セバシン酸およびアジピン酸とジオールの縮合物であるポリエステルポリオールが挙げられ、エステル化反応により得ることができる。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
なかでも、分岐構造を有するジオールが好ましい。分岐構造とは、ジオールに含まれるアルキレン基の水素原子の少なくとも1つがアルキル基によって置換された、アルキル側鎖を有する構造を意味し、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、および2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、塩化ビニル共重合樹脂(B)との相溶性を向上させ、印刷適性、印刷効果、ラミネート強度を向上させるため特に好ましい。
【0024】
ポリエステルポリオール(a2)は、本発明の効果を損なわない範囲で補助的にセバシン酸、アジピン酸以外の二塩基酸を併用しても良い。二塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオール(a2)は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
ポリエステルポリオール(a2)の数平均分子量は、800〜10,000であることが好ましい。また、1000〜5000であることがより好ましい。本発明に用いるポリエステルポリオール(a2)の酸価は1.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0026】
本発明においてポリウレタン樹脂(A)に使用されるポリオールは、他のポリオールを使用してもよく、有機溶剤の溶解性向上および塩化ビニル共重合樹脂(B)との相溶性向上の観点から、さらにポリエーテルポリオールを含有することが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、以下の例には限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、これらの共重合ポリエーテルジオール等が好ましい。これらを使用する場合、ポリウレタン樹脂(A)100質量%中、ポリエーテルポリオール由来の構造が1〜30質量%であることが好ましい。ポリエーテルポリオールは、数平均分子量が500〜10000 であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。
【0027】
本発明に使用するポリオールの数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
【0028】
ポリオールは更に他のポリオールを含むことができる。以下の例には限定はされないが、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、水添ダイマージオール等の繰り返し単位を持たないジオール等が挙げられる。
【0029】
本発明において、ポリイソシアネートとしては、以下の例には限定されないが、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(別名:MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2 種以上を混合して用いることができる。中でも黄変性の観点から1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネートが好ましい。
【0030】
ポリアミンとしては、以下の例には限定されないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の水酸基を有さないジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル) プロピレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)プロピレンジアミン等の分子内に水酸基を有するジアミン、ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ラウリルイミノビスプロピルアミン等の分子内にアミノ基を3つ以上有するアミンも用いることができる。これらのポリアミンは単独で使用しても良いが、2種以上を混合して用いることが好ましい。上記のうち、水酸基を有さないジアミンと水酸基を有するジアミンを併用することがより好ましい。
【0031】
また、ポリウレタン樹脂(A)の末端が、一価の活性水素化合物で置換されていても良い。かかる化合物としては例えば、1級、2級のアミノ基を有する化合物、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類やアミノアルコール類等があげられる。1級、2級のアミノ基を有するアミノアルコール類が好ましい。これらの化合物はポリウレタン油脂(A)の製造時に重合停止剤として機能する。
【0032】
次に、ポリウレタン樹脂(A)の形態および製造方法について説明する。ポリウレタン樹脂(A)を製造する方法については、特に制限はなく、一般的なポリウレタンウレア樹脂の製造方法で製造できる。例えば、まず酢酸エチルや酢酸プロピルなどのポリイソシアネートに反応不活性な溶剤中、もしくは無溶剤で、ひまし油ポリオール(a1)、ポリエステルポリオール(a2)を含むポリオールとポリイソシアネートとを、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が過剰となる当量比で反応させて、イソシアネート基含有のウレタンプレポリマーを作る。ついで、イソシアネート基含有のウレタンプレポリマーとポリアミンとを反応させて得ることができる。
【0033】
上記ウレタンプレポリマーを無溶剤で作成する場合、反応終了後に適宜ポリイソシアネートに反応不活性な溶剤で希釈して適正な粘度に希釈してポリアミンと反応させても良い。粘度として好ましくは25℃におけるB型粘度計にて100〜1000mPa・sが好ましく、更に好ましくは200〜600mPa・sである。
【0034】
さらに、このウレタン化反応には触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどの3級アミン系の触媒;スズ、亜鉛などの金属系の触媒などが挙げられる。これらの触媒は通常ポリオール化合物に対して0.001〜1モル%の範囲で使用される。
【0035】
ウレタンプレポリマーを製造するにあたり、ポリオールとポリイソシアネートとの割合は、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数とポリオールの水酸基のモル数の比であるNCO/OH比を1.1〜3.0 の範囲となるようにすることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5である。
【0036】
ポリウレタン樹脂(A)は、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは10,000〜100,000である。
【0037】
さらにポリウレタン樹脂(A)は、アミノ基を有することが好ましい。グラビアインキを印刷するフィルム基材は通常コロナ処理されている場合が多く、基材表面にカルボン酸基や水酸基等の官能基が存在し、ポリウレタン樹脂(A)のアミノ基と水素結合するため、基材との密着性が向上し、ラミネート加工後にデラミネーションしにくくなる。アミン価が0.5〜40.0mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくはアミン価が3.0〜20.0mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0038】
また、ポリウレタン樹脂(A)は、印刷適性が向上するため水酸基を有することが好ましい。水酸基価としては3.0〜20.0mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0039】
<塩化ビニル共重合樹脂(B)>
本発明において使用する塩化ビニル共重合体(B)としては塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂等が挙げられる。中でも、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましい。
【0040】
ポリウレタン樹脂(A)と塩化ビニル共重合樹脂(B)の質量比率は、95/5〜50/50であることが好ましく、ラミネート強度向上させるためには、90/10〜60/40であることがより好ましい。
【0041】
(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000〜100,000のものが好ましく、20,000〜70,000が更に好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1〜30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70〜95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
また、有機溶剤への溶解性およびポリウレタン樹脂(A)との相溶性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコールもしくは水酸基を有するアクリルモノマー由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20〜200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃〜90℃であることが好ましい。
【0042】
(塩化ビニル−アクリル共重合樹脂)
塩化ビニル−アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、アクリルモノマーとしては、基材に対する接着性と有機溶剤に対する溶解性が向上するため水酸基を有するアクリルモノマーを含むことが好ましい。アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフトされていても良い。塩化ビニル−アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることが更に好ましい。
【0043】
また、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂中の塩化ビニルモノマー由来の構造は塩化ビニル−アクリル共重合樹脂固形分100質量%中、70〜95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
【0044】
以下の説明において、(メタ)アクリルないし(メタ)アクリレートはそれぞれメタクリルおよびアクリル、メタクリレートおよびアクリレートを意味する。
【0045】
前記水酸基を有するアクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられ、例としては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが溶剤に対する溶解性を向上させるため、より好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。
【0046】
前記アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも含んで良く、アルキル基の炭素数は1〜20が好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。更にアルキル基は更にベンゼン環構造を有しても良い。これらは単独または2種以上を併用できる。
【0047】
またアクリルモノマーは水酸基以外の官能基を有しても良く、官能基の例としてはカルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキシ基等が挙げられる。
【0048】
本発明のグラビアインキ100質量%中、ポリウレタン樹脂(A)と塩化ビニル共重合樹脂(B)は合計で固形分にて3.0〜25.0質量%で含まれることが好ましい。また、4.5〜20.0質量%で含まれることが更に好ましい。
【0049】
<顔料(C)>
本発明のグラビアインキで使用される顔料は、無機顔料および/または有機顔料であり、有機顔料は、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0050】
以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示す。以下に示す黒色顔料、藍色顔料、緑色顔料、赤色顔料、紫色顔料、黄色顔料、橙色顔料、茶色顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種または二種以上が好ましい。また更には、黒色顔料、藍色顔料、赤色顔料、黄色顔料、からなる群より選ばれる少なくとも一種または二種以上が好ましい。特に藍色顔料、赤色顔料の使用で重ね刷りの印刷効果(トラッピング性)が向上し、これらの使用が特に好ましい。
【0051】
<黒色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントブラック1〜34の黒色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である黒色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20などが挙げられる。
<藍色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントブルー1〜80の藍色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である藍色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
<緑色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントグリーン1〜50の緑色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である緑色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
<赤色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントレッド1〜279の赤色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である赤色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントレッド1〜C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
<紫色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントバイオレット1〜50の紫色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である紫色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
<黄色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントイエロー1〜219の黄色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である黄色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
<橙色顔料>
具体的にはC.I.ピグメントオレンジ1〜81の橙色顔料のうち、有機化合物または有機金属錯体である橙色顔料が好ましく、例えば
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
<茶色顔料>
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
【0052】
以上のうち、好ましくは、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメント レッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメント レッド166、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
【0053】
本発明のグラビアインキにおける色相は、必要に応じて他の色相のインキ(基本色として、黄、紅、藍、墨の合計5色、プロセスガマット外色として赤(橙)、草(緑)、紫の3色、更に透明黄、牡丹、朱、茶、パール)と混合して使用しても良い。
【0054】
一方、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカなどの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0055】
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングのいずれでも良いが、ノンリーフィングタイプのアルミニウムペーストが好ましい。
【0056】
顔料(C)は、グラビアインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1〜50質量%、インキ中の固形分質量比では10〜90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0057】
<有機溶剤(D)>
本発明のグラビアインキは、液状媒体として有機溶剤(D)を含む。以下に限定されるものではないが、使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤など公知の有機溶剤を使用でき、混合して使用しても良い。中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更には、ポリウレタン樹脂(A)と塩化ビニル共重合樹脂(B)の相溶性と、インキの経時安定性を良化させるため、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤を含む有機溶剤が好ましく、これらの質量比(エステル系有機溶剤)/(アルコール系有機溶剤)が80/20〜30/70であることが好ましい。この場合、インキ100質量%中、8質量%以下の量でグリコールエーテル系有機溶剤を含むことが好ましい。なお、本発明のグラビアインキは、液状媒体として水を含んでいても良いが、その含有量は液状媒体100質量%中0.1〜5質量%が好ましい。
【0058】
前記グリコールエーテル系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノn‐プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、メトキシエトキシエタノール、エチレングリコールモノアリルエーテル等のエチレングリコールエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル等のジエチレングリコールエーテル類;
トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のトリエチレングリコールエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブトキシプロパノール等のプロピレングリコールエーテル類;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールエーテル類;
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のトリプロピレングリコールエーテル類が挙げられる。
中でも、エチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールエーテル類が本発明で用いる樹脂同士の相溶性を上げる効果があるため好ましい。
【0059】
<添加剤>
本発明のグラビアインキは、添加剤として従来公知のものを適宜含むことができ、インキ組成物の製造においては必要に応じて添加剤、例えば顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、キレート架橋剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤などを使用することができる。
【0060】
本発明のグラビアインキにおいて、必要に応じてポリウレタン樹脂(A)と塩化ビニル共重合樹脂(B)以外の樹脂を併用して用いても良い。例えば、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキル変性セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロース変性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができ、その含有量は、グラビアインキ100質量%中に0.5〜20質量%で含むことが好ましい。
【0061】
本発明のグラビアインキは、顔料を安定に分散させるため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総質量100質量%に対して0.1〜10.0質量%でインキ中に含まれることが好ましい。さらに、0.1〜3.0質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0062】
<グラビアインキの製造>
本発明のグラビアインキは、ポリウレタン樹脂(A)、塩化ビニル共重合樹脂(B)および顔料(C)等を有機溶剤(D)中に溶解および/または分散することにより製造することができる。以下に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン樹脂(A)、塩化ビニル共重合樹脂(B)、顔料(C)および必要に応じて分散剤を混合し、有機溶剤(D)に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、更にポリウレタン樹脂(A)、必要に応じて他の樹脂や添加剤などを配合することによりグラビアインキを製造することができる。また、顔料分散体の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。インキ中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0063】
グラビアインキの粘度は、グラビア印刷法での高速印刷(50〜300m/分)に対応させるため、B型粘度計での25℃における粘度が40〜500cpsの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜400cpsである。この粘度範囲は、ザーンカップ#4での粘度が9秒〜50秒程度に相当する。なお、グラビアインキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えば顔料、バインダー樹脂(A)、有機溶剤などの量を適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の有機顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0064】
<印刷物>
基材上に、本発明のグラビアインキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって印刷層を形成し、印刷物を得ることができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式が挙げられ、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブンによる乾燥によって被膜を定着することで得ることができる
【0065】
<プラスチック基材>
本発明の印刷物に使用できるプラスチック基材は、フィルム基材であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハンなどのフィルム基材、およびこれらの複合材料からなるフィルム基材が挙げられる。プラスチック基材は、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの金属あるいは金属酸化物が蒸着されていても良く、更に蒸着面をポリビニルアルコールなどの塗料でコーティング処理を施されていても良い。一般的に印刷される基材表面はコロナ処理などの表面処理が施されていてもよい。さらにこれらプラスチック基材については、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込みなどプラスチックフィルムを加工して得られるフィルムも使用する事が可能である。
<紙基材>
更に、本発明の印刷物作製には紙基材を用いても良い。該紙基材としては通常の紙や段ボールなどであり膜厚としては特に指定は無いが、例えば、0.2mm〜1.0mm、20〜150g/m
2のものが使用でき、印刷表面がコロナ処理されていても良い。また紙基材は意匠性を付与させる目的で表面がアルミなどの金属で蒸着処理されていても良く、また、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂などで表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。例えばコート紙やアート紙などが挙げられる。
【0066】
更に、この印刷物の印刷面にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタン系等の各種アンカーコート剤を介して溶融樹脂を積層する、通常のエクストルージョンラミネート(押し出しラミネート)法、印刷面にウレタン系等の接着剤を塗工し、プラスチックフィルムを積層するドライラミネート法、印刷面に直接溶融ポリプロピレンを圧着して積層するダイレクトラミネート法等、公知のラミネート工程により、本発明の積層体が得られる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、部および%は、特に注釈の無い場合、それぞれ質量部および質量%を表わす。
【0068】
(水酸基価)
JIS K0070に従って求めた。
(酸価)
JIS K0070に従って求めた。
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5〜2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
【0069】
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC−8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製ガードカラムH
XL−H
東ソー株式会社製TSKgelG5000H
XL
東ソー株式会社製TSKgelG4000H
XL
東ソー株式会社製TSKgelG3000H
XL
東ソー株式会社製TSKgelG2000H
XL
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0070】
(合成例1)[ポリウレタン樹脂PU1]
URIC HF−2009(伊藤製油製 リシノレイン酸からなるポリエステル構造を60%以上有する、数平均分子量2500のリシノレイン酸ポリオール 官能基数2)80部、3‐メチル1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなる数平均分子量2000のポリエステルポリオール(以下「MPD/AA」)20部、ポリプロピレングリコール(以下「PPG」)18部、1,3‐プロパンジオール2.0部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)34.4部を窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)13.2部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(以下「AEA」)1.0部、酢酸エチル/2‐プロパノール(以下「IPA」)=60/40(質量比)の混合溶剤398部を混合したものに、得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価5.0mgKOH/g、水酸基価5.0mgKOH/g、重量平均分子量90000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
【0071】
(合成例2〜8)[ポリウレタン樹脂PU2〜PU8]
以下に示す材料を用いる以外は合成例1と同様の手法によりポリウレタン樹脂PU2〜PU8を得た。合成についての詳細を表1に示した。
URIC PH−100:伊藤製油製 数平均分子量2500の水添リシノレイン酸ポリオール 官能基数2
MPD/SA:クラレ社製 3‐メチル1,5−ペンタンジオールとセバシン酸からなる数平均分子量2000のポリエステルポリオール
【0072】
(比較合成例1)[ポリウレタン樹脂PU9]
URIC HF−2009 100部、PPG 18部、1,3‐プロパンジオール2.0部、IPDI 33.5部を窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。IPDA13.8部、酢酸エチル/IPA=60/40(質量比)の混合溶剤399.4部を混合したものに、得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価11.3mgKOH/g、水酸基価0.0mgKOH/g、重量平均分子量60000のポリウレタン樹脂溶液PU9を得た。
【0073】
本明細書において、実施例2〜4、8〜17、19およびそれを用いた印刷物以外の例は参考例である。
(実施例1)[グラビアインキS1の作製]
ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を40部、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂(ソルバインTAO:日信化学工業社製 塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=91/2/7(質量比)の共重合樹脂、固形分30%酢酸エチル溶液))を5部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(リオノールブルーFG7330 トーヨーカラー社製)10部、酢酸n−プロピル37.0部、IPA5部、メチルプロピレングリコール3.0部混合し、アイガーミルで30分間分散し、グラビアインキS1を得た。
【0074】
(実施例2〜20)[グラビアインキS2〜S20の作製]
表2に記載された原料および配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、グラビアインキS2〜S20をそれぞれ得た。表中の略称は以下を表す。また、表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。
ソルバインTA3:水酸基を有する塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシアルキルアクリレート=83/4/13(質量比)固形分30%酢酸エチル溶液)
酸化チタン:テイカ社製 チタニックスJR−805
【0075】
(比較例1〜6)[グラビアインキT1〜T6の作製]
表3に記載された原料および配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、グラビアインキT1〜T6をそれぞれ得た。表中の略称は以下を表す。また、表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。
ダイヤナールBR−107:三菱レイヨン社製 アクリル樹脂 30%酢酸エチル溶液、重量平均分子量60000、ガラス転移温度50℃、酸価3.5mgKOH/g。
【0076】
(参考例21)
<相溶性評価>
ポリウレタン樹脂(A)である、PU1を60部、塩化ビニル共重合樹脂であるソルバインTAOを40部それぞれ混合して5時間静置した。相溶性について下記基準で評価を行った。
A・・・・・均一に混合されており、粘度変化も少ない。
B・・・・・均一に混合されているが、明瞭な増粘が見られる。
C・・・・・静置後に層分離が見られる。
【0077】
(参考例21〜29および比較参考例7〜8)
<相溶性評価>
表4に記載の材料および配合比率を用いる以外は参考例21と同様の手順にて相溶性評価を行った。なお、略称は以下を表す。
KL−593:荒川化学社製 ポリエーテル・ポリエステル併用系ポリウレタン樹脂 酢酸エチル/IPA溶液 固形分33%
【0078】
(実施例30)<グラビアインキの印刷>
上記で得られたグラビアインキS1を、メチルエチルケトン(以下「MEK」):酢酸n−プロピル(以下「NPAC」):IPA=40:40:20(質量比)からなる混合溶剤により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト グラデーション100%〜3%)を備えたグラビア印刷機により、以下の基材のコロナ処理面に、印刷速度80m/分で行い、印刷物G1(OPP)、H1(PET)をそれぞれ得た。
<基材>
・OPP:片面コロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR 厚さ25μm)
・PET:片面コロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製 E5100 厚さ12μm)
【0079】
<ラミネート加工>
(エクストルジョンラミネート加工)
印刷物G1の印刷面に、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤(以下「AC剤」)(東洋モートン社製EL420)をメタノール:水=70:30(質量比)からなる溶剤で希釈した固形分1%(重量比、メタノール/水=70/30)の溶液を塗工し、塗工面に315℃にて溶融した低密度ポリエチレン(ノバテックLC600、日本ポリケム社製)重ねると同時に、更に上記低密度ポリエチレン上に未延伸ポリプロピレン(FCMN、膜厚40μm、東セロ社製)を貼り合わせることで、エクストルジョンラミネート加工を行い、積層体を得た。
(ドライラミネート加工)
印刷物H1の印刷面に、ポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM320/CAT13B)を固形分25重量%および10重量%の酢酸エチル溶液として1.8g/m
2となるように塗工・乾燥した後、接着剤層に厚さ80μmの未延伸ポリプロピレン(CPP)を貼り合わせてドライラミネート加工を行い、積層体を得た。
【0080】
(実施例31〜49)
表2に記載されたグラビアインキS2〜S20について、実施例30と同様に印刷を行い、印刷物G2〜G20(OPP)、H2〜H20(PET)およびをそれぞれ得た。また、印刷物G2〜G20(OPP)および印刷物H2〜H20(PET)について、実施例30と同様の方法でラミネート加工を行い、積層体をそれぞれ得た。
【0081】
(比較例9〜14)
表3に記載されたグラビアインキT1〜T6について、実施例30と同様に印刷を行い、印刷物GG1〜GG6(OPP)、HH1〜HH6(PET)をそれぞれ得た。また、印刷物GG1〜GG6(OPP)および印刷物HH1〜HH6(PET)について、実施例30と同様の方法でラミネート加工を行い、積層体をそれぞれ得た。
【0082】
<評価>
グラビアインキS1〜S20(実施例)、T1〜T6(比較例)および、印刷物G1〜G20(OPP)、H1〜H20(PET)、印刷物GG1〜GG6(OPP)、HH1〜HH6(PET)およびそれらの積層体を用いて、以下の評価を行った。
【0083】
<経時安定性>
グラビアインキS1〜S20(実施例)、T1〜T6(比較例)について経時安定性試験を行った。評価方法は、それぞれのグラビアインキの粘度をザーンカップ#4にて測定後、40℃、5日静置して、再度ザーンカップ#4にて粘度を測定し、粘度の差を求めた。
A・・・・粘度変化が3秒未満である(良好)
B・・・・粘度変化が3秒以上5秒未満である(実用可)
C・・・・粘度変化が5秒以上15秒未満である(やや不良)
D・・・・粘度変化が15秒以上20秒未満である(不良)
E・・・・粘度変化が20秒以上である(極めて不良)
なお、A、Bは実用上問題がない範囲である。
【0084】
<基材転移性>
得られた印刷物G1〜G20(実施例)および印刷物GG1〜GG6(比較例)について、グラデーション5%部分についてインキの転移した面積%で基材転移性評価を行った。
A・・・・インキ転移面積が100%である(良好)
B・・・・インキ転移面積が80%以上100%未満である(実用可)
C・・・・インキ転移面積が60%以上80%未満である(やや不良)
D・・・・インキ転移面積が30%以上60%未満である(不良)
E・・・・インキ転移面積が30%未満である。(極めて不良)
なお、A、Bは実用上問題がない範囲である。
【0085】
<版かぶり性>
グラビアインキS1〜S20(実施例)、T1〜T6(比較例)について版かぶり性評価を行った。なお、希釈溶剤はMEK:NPAC:IPA=40:40:20(質量比)とし、粘度をザーンカップ#3で16秒(25℃)とし、印刷機における版の空転60分後の、版かぶり部分の面積を目視判定し、評価を行った。
A・・・・版かぶり面積が5%未満である(良好)
B・・・・版かぶり面積が5%以上10%未満である(実用可)
C・・・・版かぶり面積が10%以上30%未満である(やや不良)
D・・・・版かぶり面積が30%以上〜50%未満である(不良)
E・・・・版かぶり面積が50%以上である(極めて不良)
なお、A、Bは実用上問題がない範囲である。
【0086】
<接着性>
得られた印刷物G1〜G20(実施例)および印刷物GG1〜GG6(比較例)について、それぞれ25℃で1日間放置後、印刷面に幅12mmの粘着テープ(ニチバン社製 セロハンテープ)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷面の外観の状態を目視判定した。尚、判定基準は以下の通りとした。
A・・・・・印刷面のインキ被膜が全く剥離しないもの(良好)
B・・・・・インキ被膜の剥離面積が1%以上5%未満であるもの(実用可)
C・・・・・インキ被膜の剥離面積が5%以上20%未満のもの(やや不良)
D・・・・・インキ被膜の剥離面積が20%以上50%未満のもの(不良)
E・・・・・インキ被膜が50%以上剥がれるもの(極めて不良)
なお、A、Bは実用上問題がない範囲である。
【0087】
印刷物G1〜G20(OPP)、H1〜H20(PET)、印刷物GG1〜GG6(OPP)、HH1〜HH6(PET)を用いたそれぞれの積層体について40℃で24時間静置後に、幅15mmに切出し、基材/インキ層界面で剥離させ、ラミネート強度を測定した。ラミネート強度の測定にはインテスコ社製201万能引張り試験機にて測定した。なお、実用レベルは0.4N/15mm以上である。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
本発明により、他の樹脂との相溶性に優れたひまし油系ポリウレタン樹脂を用い、更にそれを用いたグラビアインキ使用することで経時安定性、印刷適性とラミネート適性に優れることを確認できた。