(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402445
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置。
(51)【国際特許分類】
B65H 45/09 20060101AFI20181001BHJP
B42D 15/02 20060101ALI20181001BHJP
B42D 15/04 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
B65H45/09
B42D15/02 501B
B42D15/04 K
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-270241(P2013-270241)
(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-113237(P2015-113237A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】
佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−126361(JP,A)
【文献】
再公表特許第2004/085300(JP,A1)
【文献】
実開昭58−075249(JP,U)
【文献】
特開2010−012761(JP,A)
【文献】
特開2004−026361(JP,A)
【文献】
特開平09−202520(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/141962(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
B42D 1/00−15/00
B42D 15/02−15/10
B42D 17/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムシートの連続被覆により間隔を開けながら連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置であり、折りくせ付け部の下流側に前記折り込まれた枚葉用紙の折りの背部分のみを摘み流れを強制するガイドが設けられていることを特徴とした連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置。
【請求項2】
請求項1に記載されるガイドが一対の球体からなることを特徴とした連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置。
【請求項3】
請求項1に記載されるガイドが一対のプレートからなることを特徴とした連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置。
【請求項4】
請求項1に記載されるガイドが一対のローラからなることを特徴とした連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枚葉用紙の折り畳み装置に関するものである。
詳しくは、枚葉用紙ではあるが、フィルムシートにより連続的に被覆されて連続用紙の態様となった枚葉用紙を、連続用紙に対応した折り機により折り畳む際に使用する折り畳み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の葉片が剥離可能に折り畳まれた葉書等の情報通信体の製造方法として、例えば特開2010−12761号に開示される情報通信体の製造方法がある。
また、例えば前記情報通信体等の連続用紙を折り畳む手段として、例えば特開2012−214290号に開示される連続用紙の折り畳み装置における用紙折り込み手段を用いた折り畳み装置がある。
【0003】
【特許文献1】特開2010−12761号公報
【特許文献2】特開2012−214290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1により葉書等の情報通信体を製造するに当たり、折り畳み部分に前記特許文献2の折り畳み装置或いは業界でアングルやくせ折り機と称する公知の折り畳み装置を使用
することに問題はない。【0005】
然るに、連続用紙であれば何ら問題なく前記折り畳み装置を通過できるのであるが、特許文献1の葉書等の情報通信体の場合、枚葉用紙がフィルムシートの被覆により連続状態になっているのであるが、前後する枚葉用紙に間隔があり、その部分はフィルムシートのみが露出した状態で繋がっている。
【0006】
即ち、連続用紙であれば、連続的に既述の折り畳み装置において、前記折り畳み装置内の同一通過ラインをトレースすることができるのであるが、前記特許文献1の場合には、剛性のないフィルムによる繋ぎ目部分が露出しているため、その部分が原因で、通過中に枚葉用紙がよれたり通過ラインから逸脱して、折り畳み装置を構成する
ガイド部品等と干渉して破れや皺が発生したり
ガイド部品の破損等を起こすのである。
【0007】
本発明は、フィルムシートの連続被覆により間隔を開けながら連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置において、前記折り畳み装置の通過に際して、枚葉用紙がよれたり通過ラインから逸
脱することがなく、従って折り畳み装置を構成する
ガイド部品等と干渉せず、通過する枚葉用紙に破れや皺が発生することがなく、また
ガイド部品の破損も起こすことがない連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置は、フィルムシートの連続被覆により間隔を開けながら連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置であり、折りくせ付け部の下流側に前記折り込まれた枚葉用紙の折りの背部分
のみを摘み流れを強制するガイドが設けられていることを特徴としている。
【0009】
前記ガイドは、例えば折りくせ付け部の下流に単数或いは複数の一対の球体を設け、連続用紙の態様となった枚葉用紙の折りの背部分が前記一対の球体の間を通過するようにしても構わない。
【0010】
また前記ガイドは、例えば一対の板状で、連続用紙の態様となった枚葉用紙の折りの背部分が前記一対の板の間を通過するようにしても構わない。
【0011】
なお前記ガイドの形状については、既述の球体や板状に限らず、要は通過する連続用紙の態様となった枚葉用紙の折りの背部分を指で摘むようにできれば、どのような形状でも構わないのである。
【0012】
前記ガイドの材質には格別な制限はない。例えば金属、樹脂、セラミック等できるだけ摩耗が少なく静電気等の発生が少ない物の中から選択すればよい。
【0013】
前記ガイドの、通過する連続用紙の態様となった枚葉用紙との接触部分に、例えばフッ素処理等の表面処理が施されていても構わない。前記離型処理、滑り性の改善処理以外に静電気除去処理等が施されていても構わない。
【発明の効果】
【0014】
本発明連続用紙の態様となった枚葉用紙の折り畳み装置によれば、枚葉用紙ではあるが、フィルムシートにより連続的に被覆されて連続用紙の態様となった枚葉用紙を、連続用紙に対応した折り畳み装置により折り畳む際に、剛性のないフィルムによる繋ぎ目部分でよれたり通過ラインから逸脱して、折り畳み装置を構成する
ガイド部品等と干渉して通過する枚葉用紙に破れや皺が発生したり、
ガイド部品の破損等を起こすことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)は本実施例で使用する枚葉用紙Sの表面図、(B)は裏面図である。
【
図2】
図1の枚葉用紙Sの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGが被覆されて連続状態になった枚葉用紙Sの平面図である。
【
図3】
図2の連続状態になった枚葉用紙Sで流れ方向の両側余白部分Yを切除すると共に中央折り予定線に折りミシン2が形成された枚葉用紙Sの平面図である。
【
図4】折り畳み装置を通過して連続的に二つ折りに折り畳まれた状態の枚葉用紙Sの平面図である。
【
図5】公知の折り畳み装置により枚葉用紙S(図中二点鎖線で示す)が二つ折りに折り畳まれる状態を示す平面図である。
【
図6】公知の折り畳み装置により枚葉用紙S(図中二点鎖線で示す)が二つ折りに折り畳まれる状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の折り畳み装置の折りくせ付け部の下流に配置されるガイドの一例を示す要部概略図である。
【
図8】
図7を側面から見た場合の要部概略図である。
【
図9】本発明の折り畳み装置の異なる態様のガイドの一例を示す要部概略図である。
【
図10】
図9を側面から見た場合の要部概略図である。
【
図11】本発明の折り畳み装置のさらに異なる態様のガイドの一例を示す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を図面と共にわかりやすく説明する。
図1に示すように、本実施例で使用する枚葉用紙Sは、例えば二つ折り葉書用紙1が2丁縦方向に並んで印刷されている。このものは
図1(B)に示す、裏面側(図示されていないが実際は個人的な情報や広告宣伝等の一般情報が記載されている)が折り合わされ隠蔽される面で疑似接着予定面となる。そして例えば、前記枚葉用紙Sを一枚ずつ等間隔で繰り出しながら、その裏面側に疑似接着フィルムシートGを連続的に被覆することにより、
図2に斜線で示すように枚葉用紙Sは疑似接着フィルムシートGを介して連続状態になる。
【0017】
そして
図3に示すように、流れ方向の両外側の余白部分Y(
図2参照)をスリッター等で切除すると共に、
図1及び2において二点鎖線で示されている折り予定線に、折りミシン2が連続的に形成される。
【0018】
既述の通り連続状態となった枚葉用紙Sは、次に折り畳み装置により連続的に疑似接着フィルムシートGが被覆されている裏面側が対向するように折り畳まれ、
図4に示す状態で下流の次なる加工工程へと送り出されるのである。
【0019】
ところで従来の折り畳み装置は、例えば
図5に示すように、基本的にサポートローラ11及び12、ガイドバー13、バー14、ブロック15、球体16及びガイド部材17
等により構成されている。そして
図5及び6において二点鎖線で示される連続用紙の態様となった枚葉用紙Sは、前記サポートローラ11、12を通過して、次にガイドバー13を折りミシン2部分に押し当てるようにしてバー14と球体16からなる折りくせ付け部の間で折り畳まれながら通過する。
【0020】
前記折りくせ付け部の間で折り畳まれた枚葉用紙Sは、一旦上方に引き上げられて下流の工程へ供されるのであるが、枚葉用紙Sと、前後する枚葉用紙S同士をつないでいる露出した状態の疑似接着フィルムシートGとは剛性の程度が著しく異なる。前記疑似接着フィルムシートは2枚貼り合わされた状態でせいぜい60μm程度の厚みしかない柔らかなフィルムシートである。そのため折り合わせの際に強い力が加わる前記バー14と球体16の前後で、枚葉用紙Sの端部は激しく左右に振られ、特に露出した疑似接着フィルムシートGの部分で大きく振られるためガイドバー13、バー14や球体16等に枚葉用紙Sの端部が引っ掛かり、ジャミングや破れ、皺入り等の原因となるのである。
【0021】
本発明では、例えば
図7及び8に示すように、バー14と球体16からなる折りくせ付け部の間を通過した枚葉用紙Sが上方へ引き上げられるパスライン上に一対の球体21、21からなるガイドを配置する。そして前記ガイドの球体21間を、枚葉用紙Sの折り畳まれた背部分が通過することにより、前記バー14と球体16の下流側で発生する枚葉用紙Sと疑似接着フィルムシートGの剛性の相違により発生する、ぶれを抑制することができるのである。なお、前記バー14と球体16の下流側でのぶれが抑制されると、バー14と球体16の上流側でも同時に抑制されることが確認されている。
また
図8に記載される二点差線部分は、折り畳まれた枚葉用紙Sの背部分が通過するパスラインを示している。
【0022】
本発明は、上記の一対の球体21、21からなるガイド以外に、例えば
図9及び10に示すように、アール加工が施された一対のプレート31、31からなるガイドでも同様の効果を発揮することが確認されている。
更に前記一対の球体16、16や一対のプレート31、31以外にも、例えば
図11に示すように、一対のローラ41、41等の回転体からなるガイドにより抵抗を少なくしてぶれを抑制することも可能である。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、実施例のように、バー14と球体16からなる折りくせ付け部の下流に設けられるガイドは、必ずしも球体、プレート、回転体等が一対の形態で配置される必要はなく、一方が球体で一方が回転体等からなるガイドであっても構わない。
またバー14と球体16の下流側の枚葉用紙S通過ライン上の複数個所に既述のガイドを設けても構わない。
さらにガイドの形態は、本実施例に記載される、球体、プレート、回転体等に限られるものではなく、その他の形態の組み合わせ、或いは単体により構成されるものでも構わない。
本実施例では二つ折りに関して記載されているが、三つ折り或いはそれ以上の折り形態にも適用可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0024】
S 枚葉用紙
G 疑似接着フィルムシート
Y 余白部分
1 二つ折り葉書用紙
2 折りミシン
11、12 サポートローラ
13 ガイドバー
14 バー
15、22 ブロック
16、21 球体
17 ガイド部材
31 プレート
41 ローラ