(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標充電量算出部は、前記設定部により複数の時間帯にそれぞれ設定された複数の電力制御モードにおいて目標となるモード充電量をそれぞれの電力制御モードが占める時間帯の割合に応じて加重平均することにより、前記目標充電量を算出する
請求項1に記載の電力制御装置。
ユーザの操作によって、前記時間帯毎に選択された前記電力制御モードを前記設定部に通知することにより、前記電力制御モードを時間帯毎に設定させる操作端末を更に備え、
前記設定部は、前記電力制御装置が設置されたエリア内に位置する前記操作端末から前記通知を受けた場合、又は前記エリア内が無人で前記エリア外に位置する前記操作端末から前記通知を受けた場合に、前記設定を許可し、前記エリア内が有人で前記エリア外に位置する前記操作端末から前記通知を受けた場合に、前記設定を不許可とする請求項6に記載の電力制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
〈実施形態1〉
図1は、本技術を適用した電力制御システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、電力制御システム11には、電力系統12、太陽光発電モジュール13、および負荷14が接続されており、ネットワーク15を介して、上位EMS(Energy Management System)16およびEMSデータベース17と通信可能とされている。
【0023】
即ち、電力制御システム11は、商用電力を供給する電力系統12、および、太陽光を受光して発電を行う太陽光発電モジュール13から電力の供給を受けることができる。そして、電力制御システム11では、電力需要に応じて、交流電力または直流電力を消費する機器からなる負荷14に電力を供給したり、太陽光発電モジュール13で発電された電力を電力系統12に逆潮流させたりする電力制御が行われる。また、電力制御システム11では、複数の電力制御システム11に対して上位的な電力制御を行うことができる上位EMS16からの指示に従った電力制御や、過去の発電電力量や需要電力量などの実績が蓄積された蓄積データを格納しているEMSデータベース17から取得した蓄積データに基づいた電力制御が行われる。
【0024】
また、電力制御システム11は、電力計測部21−1乃至21−4、パワーコンデショナ22、蓄電池システム23、操作端末24、およびEMSコントローラ25を備えて構成される。
【0025】
電力計測部21−1乃至21−4は、それぞれ配置される電力線を介して供給される電力を計測する。例えば、電力計測部21−1は、電力系統12との間で送電および受電される電力である送受電電力を計測し、電力計測部21−2は、太陽光発電モジュール13で発電されて出力される電力である発電電力を計測する。また、電力計測部21−3は、負荷14に供給される電力である需要電力を計測し、電力計測部21−4は、蓄電池システム23に充電され、または蓄電池システム23から放電される電力である充放電電力を計測する。
【0026】
パワーコンデショナ22は、太陽光発電モジュール13で発電した電力の昇圧やDC−AC変換等を行うことにより、太陽光発電モジュール13から出力される電力を調整する。
【0027】
蓄電池システム23は、電力を蓄積する蓄電池(不図示)と、蓄電池の充放電を制御す
る制御部(不図示)とを有して構成され、蓄電池の充電量をEMSコントローラ25に通知することや、EMSコントローラ25による指示に基づいて蓄電池の充放電を行うことができる。この蓄電池システム23は、本実施形態において蓄電手段に相当する。
【0028】
操作端末24は、ユーザの操作入力を受け付けるユーザインタフェースを表示するタッチパネルディスプレイを備えており、その操作入力に応じたユーザの指定をEMSコントローラ25に通知する。もちろん、操作端末24は必ずしもタッチパネルディスプレイを備える必要はなく、キーボード入力、ボタンによる入力、音声による入力など、他のユーザインタフェースを利用していてもよい。
【0029】
操作端末24は、位置情報取得部としてGPS受信機等の位置情報を取得する手段を備え、前記操作入力に応じたユーザの指定と共に位置情報をEMSコントローラ25に通知する構成であっても良い。なお、位置情報取得部は、GPS受信機に限らず、通信を行う際の基地局やビーコンなどから位置情報を取得するものでも良い。また、操作端末24が位置情報を発信する構成に限らず、前記操作入力に応じたユーザの指定を送信する際、中継装置等によってヘッダ等に付加される経路情報を位置情報として用いる構成であっても良い。
操作端末24は、電力制御システム11にユーザの指示を入力する専用の装置であっても良いし、スマートフォンや、携帯電話、タブレットPC、ウェアラブルコンピュータ等の情報処理装置であっても良い。
【0030】
EMSコントローラ25は、操作端末24を介して入力されるユーザの指定や、EMSデータベース17に格納されている蓄積データなどに基づいて、電力制御システム11の電力制御を行う。このEMSコントローラ25は本実施形態において電力制御装置に相当する。
【0031】
まず、EMSコントローラ25は、所定の時間単位(例えば、30分単位)で、太陽光発電モジュール13により翌日に発電されると予測される予測発電電力量、および、負荷14により翌日に需要が発生すると予測される予測需要電力量を求める。そして、EMSコントローラ25は、予測発電電力量および予測需要電力量に基づいて、電力系統12との間で翌日に送受電されると予測される予測送受電電力量を所定の時間単位で求める。
【0032】
図2Aには、予測発電電力量が示されており、
図2Bには、予測需要電力量が示されており、
図2Cには、予測送受電電力量が示されている。
図2において、横軸は、翌日の時刻を示し、縦軸は、それぞれの電力量を示している。
【0033】
例えば、EMSコントローラ25は、タイマー(不図示)から翌日の日時を取得し、ネットワーク15を介して翌日の天気予報および日照予報を取得すると共に、メモリー(不図示)或はEMSデータベース17から太陽光発電モジュール13による過去の発電電力量の蓄積データを取得して、翌日の天気予報および日照予報に類似する複数の類似日における発電電力量を抽出し、それらの発電電力量を平均化する。これにより、EMSコントローラ25は、
図2Aに示すように、時間に伴って変化する予測発電電力量を算出する。
【0034】
また、EMSコントローラ25は、負荷14による過去の需要電力量の蓄積データから、期間(例えば、直近の3か月間や同一季節など)や、曜日、気温、天候等を条件として、翌日と類似する日の需要電力量を抽出する。なお、複数日の需要電力量が抽出された場合には、それらの需要電力量を平均化する。これにより、EMSコントローラ25は、
図2Bに示すように、翌日の予測需要電力量を算出する。
【0035】
なお、EMSコントローラ25は、予測発電電力量を算出する際に、上述したように抽
出した発電電力量から、最大および最小の発電電力量を排除し、さらに、複数のゼロデータがある場合には、それらのゼロデータを排除する。これにより、発電電力量を予測するのに適切でないデータや特異データなどの影響を排除して予測発電電力量を求めることができる。同様に、EMSコントローラ25は、需要電力量を予測するのに適切でないデータや特異データなどの影響を排除して予測需要電力量を求めることができる。
【0036】
そして、EMSコントローラ25は、例えば、予測発電電力量および予測需要電力量を加算することで、
図2Cに示すように、時間に伴って変化する予測送受電電力量を求める。例えば、ユーザが、ある程度決まったライフスタイルで生活すれば、予測送受電電力量と略一致した送受電電力量で生活することができる。
【0037】
例えば、電力制御システム11の電力制御モードとして、いずれの電力制御モードが選択されたとしても、太陽光発電モジュール13による発電電力量の実績に影響を与えることはなく、また、ユーザのライフスタイルが変化しなければ、負荷14による需要電力量が変化することはないと想定される。従って、EMSデータベース17には、電力制御システム11の電力制御モードに関係なく、発電電力量および需要電力量の蓄積データを格納することができる。また、ユーザのライフスタイルが変化した場合には、その変化に応じた需要電力量が蓄積データに格納され、その後の予測にライフスタイルの変化が反映される。
【0038】
さらに、EMSコントローラ25は、このようにして求めた予測送受電電力量を、ユーザにより指定された電力制御モードに応じて調整して、翌日に電力制御を実行するための目標とするモード送受電電力量(運転計画)を算出する。
【0039】
例えば、電力制御システム11には、複数の電力制御モードが用意されており、ユーザは、
図1の操作端末24を操作して、それらの電力制御モードを時間帯毎に指定することができる。そして、EMSコントローラ25は、ユーザにより指定された時間帯で、それぞれの電力制御モードに基づいて電力制御を実行する際の目標とするモード送受電電力量を求め、この時間帯毎のモード送受電電力量で構成される一連の目標値を目標送受電電力量とする。
【0040】
ここで、予測発電電力量は、翌日の天気予報や日照予報などによって異なるものであり、予測需要電力量は、翌日の曜日や気温などの条件によって異なるものであるため、予測発電電力量および予測需要電力量は日によって異なったものとなる。更に各日の予測発電電力量および予測需要電力量は、時間に伴って変化するものであるため、翌日に電力制御を実行する際に目標とする目標送受電電力量は、時間に応じて求められる。
【0041】
また、例えば、電力制御モードとして、
図3に示すような送受電電力量を目標としたモード1、モード2、およびモード3が用意されているとき、ユーザは時間帯毎にモード1、モード2、又はモード3を指定することができる。そして、EMSコントローラ25は、予測発電電力量および予測需要電力量から予測送受電電力量を算出して、その予測送受電電力量に従って、各時間帯のモード1、モード2、又はモード3における目標の送受電電力であるモード送受電電力量を算出することにより、翌日の電力制御を実行する際の目標送受電電力量を求める。
【0042】
電力制御システム11には、電力制御モードとして、例えば、エコロジーモード、エコノミーモード、および、ピークアシストモードが用意されるようにしてもよい。準備される電力制御モードは、この3種類である必要はなく、例えば、これに備災モード等を加え4種類以上としてもよい。
【0043】
図4には、エコロジーモード、エコノミーモード、およびピークアシストモードにおけるモード送受電電力量が示されている。
図4において、横軸は、翌日の時刻を示し、縦軸は、それぞれのモードにおけるモード送受電電力量を示している。
【0044】
図4Aには、エコロジーモードにおけるモード送受電電力量が示されている。エコロジーモードは、疑似的に電力系統12から切り離されたように電力制御を行う電力制御モードである。即ち、昼間の電力をできるだけ蓄電池システム23に蓄積し、夜間は、蓄電池システム23に蓄積された電力を放電して負荷14で使用するような電力制御が行われる。つまり、蓄電池システム23は、可能な限り充電および放電を行う。従って、電力会社からの買電を抑制することができるので、CO
2排出量は最小限となる。
【0045】
図4Bには、エコノミーモードにおけるモード送受電電力量が示されている。エコノミーモードは、昼間に太陽光発電モジュール13で発電された余剰の電力を最大限に売電することで、売電収入を増やすように電力制御を行う電力制御モードである。つまり、蓄電池システム23は、充電および放電をできるだけ抑制する。
【0046】
図4Cには、ピークアシストモードにおけるモード送受電電力量が示されている。ピークアシストモードは、社会的な電力消費に基づいて、電力消費がピークとなる時間帯において売電や消費抑制が要求されると、その要請に応じた電力制御を行う電力制御モードである。即ち、電力消費がピークとなる時間帯に売電や消費抑制の要求があれば、太陽光発電モジュール13で発電された余剰の電力だけでなく、太陽光発電モジュール13により発電された全ての電力を売電することができるように、蓄電池システム23から負荷14に供給される。例えば、蓄電池システム23に充電可能なタイミングで、蓄電池システム23から放電を行う。
【0047】
ユーザは、エコロジーモード、エコノミーモード、およびピークアシストモードのいずれかの電力制御モードを時間帯毎に設定することができる。そして、EMSコントローラ25は、ユーザにより設定された時間帯毎に、エコロジーモード、エコノミーモード、およびピークアシストモードそれぞれにおけるモード送受電電力量を求め、目標送受電電力量を算出する。
【0048】
なお、上記においては、EMSコントローラ25によって、目標送受電電力量をどのように算出するかを中心に説明した。しかしながら、実際には、太陽光発電モジュール13の発電電力と蓄電池システム23による充放電電力とを組合せて制御することによって、電力系統12との間で送受電される電力を制御することになる。すなわち、電力制御システム11においては、蓄電池システム23の充電状態(以下、SOC:State Of Charge
と呼ぶ)が目標値に制御された上で、送受電電力量が目標送受電電力量に追従するように電力制御が行われる。この蓄電池システム23のSOCの制御が適切に行われないと、目標送受電電力量に沿うように送受電電力量を制御する際に、蓄電池システム23からの放電が困難になったり、太陽光発電モジュール13からの蓄電池システム23への充電が困難になるなどの不都合が生じる可能性がある。
【0049】
また、現在のところ、一日の電力制御においては、一日の時間帯を二つの時間帯に分割し、電力系統12からの買電価格に差を設ける運用がなされている。これは、例えば、深夜など電力需要が少ない時間帯の電気料金を日中の電気料金と比較して低廉にした時間帯別電力価格(ダイナミックプライシング)を設定することで、全体としての電力の利用効率を上昇させるための運用である。従って、本実施形態における各々の電力制御モードの実施においても、上記二つの時間帯における送受電電力量の制御をどのように使い分けるかは重要な問題となる。
【0050】
例えば、本実施形態における電力制御システム11の制御においては、一日の時間帯を23:00〜翌7:00までの電気料金の低廉なSOC制御時間帯と、7:00〜23:00までの計画制御時間帯に分割し、SOC制御時間帯については、低額の深夜料金の電気を用いて蓄電池システム23のSOCを目標SOCにまで充電し、計画制御時間帯においては、蓄電池システム23による充放電電力量と、太陽光発電モジュール13による発電電力量を適宜組み合わせることにより、送受電電力量を目標送受電電力量に沿うように制御している。
【0051】
次に、上述したようなSOC制御時間帯と計画制御時間帯における、各電力制御モードのSOC(State Of Charge)の制御及び変化について説明する。なお、以下のSOCの
制御の説明においては、電力制御モードとして、上記したエコノミーモード、エコロジーモード、DRモード(先述のピークアシストモードを含み、社会的要請に答えるモードである。)に対し、災害に備える備災モードを加えた4つの電力制御モードを準備した場合について説明する。
【0052】
図6には、エコノミーモードにおけるSOC制御時間帯のSOC制御と、計画制御時間帯の送受電電力量制御について示す。このモードは、前述のように高経済性を追求するモードであるので、太陽光発電モジュール13によって発電されたより高い価格で売電可能な電気は、できる限り電力系統12側に売電するようにする。従って、計画制御時間帯における家庭内の負荷14については、可能な限り、SOC制御時間帯に蓄電池システム23に充電した電気を放電することで賄う。
【0053】
このエコノミーモードでは、夜23:00以降のSOC制御時間帯になると、低価格の深夜電力を用いて蓄電池システム23を容量一杯まで充電する。このモードのSOC制御時間帯における目標SOCは例えば90%以上である。もちろん100%としてもよい。蓄電池システム23への充電が完了した後は、本モードでは蓄電池システム23の作動を一旦停止し、深夜電力によって負荷14に対応する。そして、太陽光発電モジュール13が発電を開始するか(余剰電力が発生するタイミングではない)、若しくは、電気の価格が高くなる計画制御時間帯に移行すると蓄電池システム23からの放電を開始する。それ以降、計画制御時間帯においては負荷14に追従して蓄電池システム23より放電を行い、太陽光発電モジュール13により発電された電力は可能な限り電力系統12側に売電する。そして、再度SOC制御時間帯に移行した際には蓄電池システム23への充電を再開する。
【0054】
次に、
図7には、エコロジーモードにおけるSOC制御時間帯のSOC制御と、計画制御時間帯の送受電電力量制御について示す。このモードは、CO
2の削減を追求するモードであるので、太陽光発電モジュール13によって発電された電気は可能な限り蓄電池システム23に充電する。そして、負荷14は、太陽光発電モジュール13によって発電された電力と蓄電池システム23から放電される電力によって賄う。そして、可能な限り電力系統12との間の買電も売電も実施しない。
【0055】
本モードでは、夜23:00のSOC制御時間帯になると、蓄電池システム23に低価格の深夜電力を利用して充電を行う。但し、蓄電池システム23の蓄電量には翌日の太陽光発電モジュール13からの余剰充電の余裕を残しておく。すなわち、本モードのSOC制御における目標SOCは例えば50〜80%程度としてもよい。太陽光発電モジュール13への充電が完了すると、蓄電池システム23の作動を一旦停止し、深夜電力によって負荷14に対応する。
【0056】
そして、太陽光発電モジュール13が発電を開始するか、若しくは、電気の価格が高くなる計画制御時間帯に移行すると、可能な限り負荷14は太陽光発電モジュール13によ
り発電される電力で賄う。そして、太陽光発電モジュール13の発電電力に余剰電力があれば、その余剰電力の全てを蓄電池システム23に充電する。そして、再度SOC制御時間帯に移行すると再び目標SOCになるまで低価格の深夜電力を利用して蓄電池システム23への充電を行う。なお、
図7に破線で示すように、このエコロジーモードでは、冬季は夏季と比較して、計画制御時間帯における太陽光発電モジュール13による蓄電池システム23への充電量が少なくなるため、冬季においては、夏季と比較してSOC制御時間帯における目標SOCをより高めに設定するようにしてもよい。
【0057】
次に、
図8には、備災モードにおけるSOC制御時間帯のSOC制御と、計画制御時間帯の送受電電力量制御について示す。このモードは、災害が発生した場合に緊急使用可能な電力の確保を追求するモードであるので、SOC制御時間帯においては、蓄電池システム23に、低価格の深夜電力を用いてSOCが100%になるまで充電する。蓄電池システム23への充電が完了した後は、本モードでは蓄電池システム23の作動を一旦停止し、深夜電力によって負荷14に対応する。
【0058】
このモードでは、太陽光発電モジュール13が発電を開始するか、計画制御時間帯に移行しても、基本的には、有事に備えて蓄電池システム23の停止状態を維持する。また、太陽光発電モジュール13において余剰発電がある場合には、電力系統12に売電するとともに、負荷14の要求電力に対して太陽光発電モジュール13による発電電力が不足した場合には、電力系統12から買電した電力によりこれを賄う。そして、有事の際には、蓄電池システム23に充電された電気を放電して使用可能する。
【0059】
次に、
図9には、DRモードにおけるSOC制御時間帯のSOC制御と、計画制御時間帯の送受電電力量制御について示す。このモードは、社会的要請への対応を追求するモードであるので、可能な限り要請された送受電電力量に沿った送受電を実施する。従って、SOC制御時間帯においては、蓄電池システム23に、低価格の深夜電力を用いて充電を行うが、その際の目標SOCは、例えば10%〜90%とし、翌日の太陽光発電モジュール13による充電量分の余裕を残すようにする。蓄電池システム23への充電が完了した後は、蓄電池システム23の作動を一旦停止し、SOC制御時間帯においては深夜電力によって負荷14に対応する。
【0060】
そして、このモードでは、太陽光発電モジュール13が発電を開始すると、その発電分は全て蓄電池システム23に充電する。そして、DR開始のタイミングに合わせて蓄電池システム23からの放電を開始し、それ以降は負荷14に合わせて放電する。すなわち、計画制御時間帯においては、負荷14の要求電力の実績値が目標値を下回った場合には、その差分については太陽光発電モジュール13の発電電力を蓄電池システム23に充電する。また、負荷14の要求電力の実績値が目標値を上回った場合には、その分だけ、蓄電池システム23に負荷追従放電させる。また、DRが中止された場合には蓄電池システム23からの放電は行わない。
【0061】
本実施形態においては、上述したSOC制御時間帯においても、ユーザは、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モード、及びDRモードのいずれかの電力制御モードを選択できる。そして、EMSコントローラ25は、ユーザにより時間帯毎に指定された電力制御モードに基づいて、目標SOC量を算出する。例えば、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよびDRモードそれぞれが占める時間帯の割合で、それぞれのモードにおける目標SOCを加重平均することで、SOC制御を実行する際の目標SOC量を算出する。
【0062】
図10Aは、備災モードの次にエコロジーモードが設定された例を示す図である。備災モードの場合、
図8に示すように、目標SOCを100%とするが、エコロジーモードに
切り替わった際にSOCが100%であると、太陽光発電分を充電することが出来ず、エコロジーモードが実施できなくなってしまうので、備災モードとエコロジーモードにおけるモード充電量としての目標SOCを加重平均することで、各モードによる目標充電量としての目標SOC量を算出し、
図10Aに示すように、SOC制御を実行する際の目標SOC量を設定する。
図10Aでは、簡単のため備災モードとエコロジーモードの2つのモードを設定した例を示したが、これに限らず、3つ以上の電力制御モードが設定されても良く、EMSコントローラ25は、翌日の一日分として設定された複数の電力制御モードのモード充電量を加重平均することで、各モードによる目標充電量を算出しても良い。なお、加重平均に限らず、エコロジーモードが設定された時間帯に充電される充電量を備災モードの目標SOC(100%)から差し引くことで、SOC制御を実行する際の目標SOC量を算出しても良い。
【0063】
図10Bは、エコノミーモードの次にDRモードが設定された例を示す図である。エコノミーモードの場合、
図6に示すように、目標SOCを100%とするが、DRモードに切り替わった際にSOCが100%に近いと、太陽光発電分を十分に充電することが出来ず、DRモードが十分に実施できなくなってしまうので、エコノミーモードとDRモードにおけるモード充電量としての目標SOCを加重平均することで、各モードによる目標充電量としての目標SOC量を算出し、
図10Bに示すように、SOC制御を実行する際の目標SOC量を設定する。なお、加重平均に限らず、DRモードが設定された時間帯に充電される充電量をエコノミーモードの目標SOC(100%)から差し引くことで、SOC制御を実行する際の目標SOC量を算出しても良い。
【0064】
次に、
図11を用いて、EMSコントローラ25の構成の例について説明する。
図11に示すように、EMSコントローラ25は、通信部31、電力予測部32、電力制御モード設定部33、目標算出部34、電力データ取得部35、電力制御処理部36、目標SOC算出部37および、SOC制御部38を備えて構成される。
【0065】
通信部31は、
図1のネットワーク15を介してEMSデータベース17と通信を行って
、EMSデータベース17に格納されている過去の発電電力量の蓄積データ、および、負荷
14による過去の需要電力量の蓄積データを取得する。また、通信部31は、図示しないサーバと通信を行って、翌日の天気予報および日照予報を取得する。
【0066】
電力予測部32は、通信部31が取得した発電電力量および需要電力量の蓄積データ、並びに、翌日の天気予報および日照予報に基づいて、
図2を参照して上述したように、予測発電電力量および予測需要電力量を算出する。そして、電力予測部32は、予測発電電力量および予測需要電力量を加算することで予測送受電電力量を算出する。そして、電力予測部32は、算出した予測送受電電力量に従って、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードごとに、モード送受電電力量を算出する。
【0067】
電力制御モード設定部33は、
図1の操作端末24のタッチパネルディスプレイに、ユーザの操作入力を受け付けるユーザインタフェース(例えば、後述する
図14)を表示させる。そして、例えば、ユーザが、時間帯毎に、エコロジーモードや、エコノミーモード、備災モード、DRモード等の電力制御モードを選択すると、この選択された時間帯及び電力制御モードを操作端末24がEMSコントローラ25の電力制御モード設定部33に通知し、これに応じて電力制御モード設定部33は、受信した通知をメモリ等の記憶手段に記憶することで、時間帯毎の電力制御モードを設定する。また、電力制御モード設定部33は、設定した時間帯毎の電力制御モードを目標算出部34に通知する。電力制御モード設定部33は本実施形態において設定部に相当する。
【0068】
電力制御モード設定部33は、カレンダーの情報、即ち暦の情報を有し、ユーザによっ
て選択された電力制御モードをカレンダーと連動して設定しても良い。例えば、月曜日〜金曜日はDRモードとエコノミーモード、土曜日及び日曜日はエコロジーモードのように曜日に応じてモードの設定を変更しても良い。また、7月〜9月の夏季期間は、11月〜2月の冬季期間に比べて各電力制御モードに設定時間を早くする、或いは、日の出、日の入りの時間の変化に合わせるように、月日に応じて各電力制御モードの設定時間を変更しても良い。
【0069】
電力制御モード設定部33は、ユーザによって指定された時間帯毎の電力制御モードの設定の可否を操作端末24の位置情報に基づいて判断しても良い。例えば、EMSコントローラ25が設置されたエリア内、例えば本電力制御システム11が設けられた住宅内に位置する操作端末24から前記通知を受けた場合、又は前記住宅内が無人で前記住宅外に位置する操作端末24から前記通知を受けた場合に、ユーザによって指定された時間帯毎の電力制御モードの設定を許可する。そして、電力制御モード設定部33は、前記住宅内が有人で前記住宅外に位置する操作端末24から前記通知を受けた場合には、ユーザによって指定された時間帯毎の電力制御モードの設定を不許可とする。
【0070】
このようにユーザが携帯するスマートフォン等の操作端末24による設定を可能とするが、在宅のユーザの知らないところで、住宅外のユーザによって設定が変更されてしまうことを防止している。
【0071】
なお、住宅における有人又は無人の判定は、例えば、全ユーザがそれぞれ操作端末24を有し、操作端末24の何れかが住宅内のネットワークに接続されている場合には有人、何れも住宅内のネットワークに接続されていない場合には無人と判定する。これに限らず、電力制御モード設定部33は、人感センサや入退室管理等によって、住宅における有人又は無人の判定を行っても良い。
【0072】
また、電力制御モード設定部33は、操作端末24から位置情報として緯度・経度を取得して、住宅内か否かを判定しても良いし、操作端末24から通知を受信した際の送信元アドレス、即ち操作端末24のアドレスが、住宅内のネットワークのアドレスか、住宅外のネットワークのアドレスかによって判定しても良い。
【0073】
目標算出部34は、ユーザにより時間帯毎に指定された、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードそれぞれのモード送受電電力量に基づいて、実際に電力制御を実行する際の目標送受電電力量を算出する。
【0074】
電力データ取得部35は、
図1の電力計測部21−1により計測される電力を取得して、時間単位で積算することにより送受電電力量を求め、電力計測部21−2により計測される電力を取得して、時間単位で積算することにより発電電力量を求め、電力計測部21−3により計測される電力を取得して、時間単位で積算することにより需要電力量を求める。そして、電力データ取得部35は、送受電電力量、発電電力量、および需要電力量を電力制御処理部36に供給する。そして、電力データ取得部35は、例えば、1日分の電力データ(送受電電力量、発電電力量、および需要電力量)が記録されると、通信部31を介してEMSデータベース17に送信し、蓄積データを更新させる。この電力データ取得部35は本実施形態において電力計測部に相当する。
【0075】
電力制御処理部36は、目標算出部34により算出された目標送受電電力量に沿った送受電電力となるように、電力データ取得部35により取得される送受電電力量、発電電力量、および需要電力量を参照し、目標送受電電力量を目標にして時間単位で電力調整を行って、電力制御システム11の電力制御を行う。例えば、電力制御処理部36は、蓄電池システム23に対する充放電を制御することにより、太陽光発電モジュール13の発電電
力に余剰が発生すると蓄電池システム23を充電させたり、負荷14による需要電力が増加すると蓄電池システム23から放電させたりする電力制御を行う。
【0076】
目標SOC算出部37は、ユーザにより時間毎に指定された、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードそれぞれに基づいて目標SOCを算出する。この目標SOC算出部は、本実施形態において目標充電量算出部に相当する。SOC制御部38は、SOC制御時間帯における蓄電池システム23のSOCが目標SOC算出部37により算出された目標SOCになるように、深夜電力を利用して蓄電池システム23への充電を行う。このSOC制御部38は、本実施形態において充電制御部に相当する。
【0077】
次に、
図12及び
図13に示すフローチャートを用いて、EMSコントローラ25が実行する処理について説明する。
図12に示すフローチャートは、本実施形態における電力制御ルーチン1であり、
図13に示すフローチャートは、電力制御ルーチン1の実行中に所定の条件が満たされた場合に実行される電力制御ルーチン2である。
【0078】
電力制御ルーチン1が実行されると、まずステップS1において、電力制御モードが設定される。より具体的には、ユーザが操作端末24に対する操作を行って、エコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、或いはDRモードを選択すると共に、選択したモードの時間帯を指定することによって、電力制御モード設定部33が、時間帯毎に電力制御モードを設定する。ステップS1の処理が終了すると処理はステップS2に進む。
【0079】
ステップS2においては、電力制御モード設定部33によって、現時点がSOC制御時間帯か否かが判定される。先述のように、本実施形態においては、夜の23:00から朝7:00までの時間帯はSOC制御時間帯、朝7:00から夜の23:00までを計画制御時間帯としているので、現時刻が何れの時間帯に属するかにより判定される。ここで現時点がSOC制御時間帯であると判定された場合には、処理はステップS3に進む。一方、SOC制御時間帯でない(すなわち、計画制御時間帯である)と判定された場合には、処理は電力制御ルーチン2に進む。この電力制御ルーチン2の制御内容については後述する。
【0080】
ステップS3においては、電力制御モード設定部33によって、SOC制御時間帯で最初の処理の実行か否かが判定される。ここで、SOC制御時間帯における最初の処理の実行であると判定された場合には、目標SOCが未だ設定されていないと判断されるので処理はステップS4に進む。SOC制御時間帯における最初の処理の実行でないと判定された場合には、既に目標SOCが設定されていると判断されるので、ステップS4の処理をスキップして処理はステップS5に進む。
【0081】
ステップS4においては、目標SOC算出部37によって、ステップS1で設定されたエコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードに基づいて、目標SOCを算出する。ステップS4の処理が終了すると処理はステップS5に進む。
【0082】
ステップS5においては、SOC制御部38は、所定の時間単位(例えば、30分)が経過したか否かを判定し、所定の時間単位が経過したと判定されるまで処理を待機する。ステップS5において所定の時間単位が経過したと判定された場合には、処理はステップS6に進む。
【0083】
ステップS6においては、SOC制御部38によってSOCの制御が実行される。より具体的には、所定の時刻に蓄電池システム23のSOCが目標SOCに到達するために、現時点での実際の蓄電池システム23のSOCがこの時点に到達しているべき値となるように、蓄電池システム23への充電量が制御される。ステップS6の処理が終了すると処
理はステップS2の前に戻る。
【0084】
次に、ステップS2においてSOC制御時間帯でないと判定された場合に実行される電力制御ルーチン2の処理について説明する。本ルーチン2が実行されると、まず、ステップS11において、通信部31は、
図1のネットワーク15を介してEMSデータベース17と通信を行って、発電電力量および需要電力量の蓄積データを取得し、電力予測部32に供給する。
【0085】
ステップS12において、電力予測部32は、ステップS11で通信部31から取得した発電電力量および需要電力量の蓄積データから予測発電電力量および予測需要電力量を算出し、さらに予測送受電電力量を算出する。そして、電力予測部32は、算出した予測発電電力量および予測需要電力量から、エコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードそれぞれのモード送受電電力量を設定する。
【0086】
ステップS13において、目標算出部34は、電力制御ルーチン1のステップS1で電力制御モード設定部33によって設定した、エコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードそれぞれのモード予測送受電電力量に基づいて、目標送受電電力量を求める。
【0087】
ステップS14において、電力データ取得部35は、所定の時間単位(例えば、30分)が経過したか否かを判定し、所定の時間単位が経過したと判定されるまで処理を待機する。
【0088】
ステップS14において、所定の時間単位が経過したと判定されると、処理はステップS15に進み、電力データ取得部35は、その所定の時間単位で計測された電力を積算して、送受電電力量、発電電力量、および需要電力量を取得する。
【0089】
ステップS16において、電力制御処理部36は、ステップS14で算出された目標送受電電力量に沿った送受電電力となるように、電力データ取得部35が取得した送受電電力量、発電電力量、および需要電力量を参照し、電力制御システム11の電力制御を実行する。
【0090】
ステップS17において、電力データ取得部35は1日分の処理が行われたか否かを判定し、1日分の処理が行われていないと判定された場合、処理はステップS14の前に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0091】
一方、ステップS17において、1日分の処理が行われたと判定された場合、処理はステップS18に進む。電力データ取得部35は、1日分の電力データ(送受電電力量、発電電力量、および需要電力量)を、通信部31を介してEMSデータベース17に送信し、蓄積データを更新させる。そして、ステップS18の処理後、処理は電力制御ルーチン1のステップS1に戻り、以下同様に、翌日の処理が繰り返して行われる。
【0092】
以上のように、電力制御システム11では、ユーザが、エコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードを時間帯毎に指定し、計画制御時間帯においては指定のモードに従った目標送受電電力量を目標とした電力制御を実行することができる。また、SOC制御時間帯においては、指定のモードによる電力制御を実現するための目標SOCを設定し、SOCの制御を行うことができる。これにより、ユーザの要望に、より柔軟に対応した電力制御を実行することができる。例えば、ユーザのスケジュールや来客の予定等に合わせて時間帯毎にエコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードを切り替えて、それぞれの効果(高経済性、省CO
2、災害対策、社会貢献
)を得ることができる。
【0093】
また、例えば、ユーザは、翌日に電力不足が予測される場合には、DRモードの時間帯を長くとるなど、翌日以降の動作を予約して、電力制御モードの設定を変更することができる。
【0094】
なお、例えば、
図22に示すように、電力制御システム11では、ユーザに指定された時間帯毎の電力制御モードによって求めた目標送受電電力量及び目標SOCに沿って電力制御を行った場合における、CO
2排出量および売電金額などの見込みや結果を自動的に計算して、操作端末24に表示することができる。これにより、ユーザは、CO
2排出量および売電金額などを確認しながら、容易に、時間帯毎の電力制御モードを変更することができる。
【0095】
次に、
図14を用いて、電力制御モード設定部33が、
図1の操作端末24のタッチパネルディスプレイに表示させるユーザインタフェースの例について説明する。
【0096】
例えば、電力制御システム11の電力制御モードとして、モード1、モード2、モード3、及びモード4が用意されているとき、操作端末24のタッチパネルディスプレイには、
図14に示すようなマトリクス状のユーザインタフェースが表示される。
【0097】
ここで、モード1、モード2、モード3、及びモード4としては、上述したようなエコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、および、DRモードを用いることができる。また、各時間帯としては、30分、1時間、4時間、6時間など、任意の時間間隔で設定できる。この時間帯は、一定間隔に限らず、昼間は1時間単位、夜間は4時間単位などのように時間帯によって異ならせても良い。更に、各時間帯は、ユーザが、7:00〜9:30、9:30〜12:00、12:00〜14:00・・・等のように、任意に指定したものであっても良い。
【0098】
例えば、
図14において、時間帯Dの列からモード2の行をタップすると、時間帯Dにモード2が設定される。なお、電力制御モードが設定済みの時間帯で別の電力制御モードがタップされた場合には、当該電力制御モードに設定が変更される。例えば、デフォルトをモード1としておき、ユーザが、モード1以外を設定したい時間帯について、所望の電力制御モードを選択することで変更できる。
【0099】
また、各時間帯をピンチインすることで、当該時間帯を短く変更し、ピンチアウトすることで、当該時間帯を長く変更するように、時間帯の長さを変更可能としても良い。なお、時間帯が短く変更された場合には、その分、隣接する時間帯を長くすることで隣接する時間帯との間に隙間が生じないようにする。また、時間帯が長く変更された場合には、その分、隣接する時間帯を短くする或は削除することで、全体(例えば1日分)の時間数を変えずに変更対象の時間帯を長く設定できるようにしている。
【0100】
なお、電力制御モードを24時間全てに設定することに限らず、一部の時間帯にのみ設定しても良い。例えば、計画制御時間帯を複数の時間帯に分割して、それぞれに電力制御モードを設定し、SOC制御時間帯には電力制御モードを設定せずに、SOCの制御を優先して行うようにしても良い。
【0101】
このように、ユーザは
図14のようなユーザインタフェースを介して、電力制御モードを任意の時間帯に設定することができる。EMSコントローラ25が、ネットワーク15を介して上位EMS16から社会的要請を受信した場合には、操作端末24のタッチパネルディスプレイに社会的要請を受けたことを表示させ、ユーザに電力制御モードの設定を
修正するように促す構成としても良い。ここで、社会的要請とは、例えば、夏季の昼間に電力供給がひっ迫した場合や、災害の影響によって電力が不足した場合に、需要を抑制することや、太陽光発電モジュール13等により自家発電した電力を電力系統12側へ逆潮流すること、即ち売電することを要請するものである。
【0102】
また、社会的要請を受けた場合に、ユーザが手動でDRモードを設定する構成に限らず、社会的要請を受けた場合に、電力制御モード設定部33が自動的にDRモードを設定する構成としても良い。この場合、電力制御モード設定部33は、電力制御モードの優先度に応じて自動的に設定変更を行うか否かを判定する構成としても良い。例えば、各時間帯の電力制御モードと共に優先順位を設定しておき、電力制御モード設定部33は、既に設定されている電力制御モードよりも優先度の高い指示を受けた場合に、設定を自動的に変更する。
【0103】
例えば下記パターン1〜3に優先度を付し、パターン1>パターン2>パターン3の順とする。
パターン1:DRモード又はDRモードを含むミックスモード
パターン2:社会的要請によるDRモード
パターン3:パターン1以外の電力制御モード
【0104】
従って、パターン3の電力制御モードが設定されているときに、社会的要請を受信した場合、電力制御モード設定部33は、この社会的要請によるDRモード(パターン2)を設定する。
【0105】
一方、パターン1のDRモード又はDRモードを含むミックスモードが既に設定されているときに、社会的要請を受信した場合、電力制御モード設定部33は、この社会的要請によるDRモード(パターン2)を設定しない。
【0106】
また、パターン2の社会的要請によるDRモードが設定されているときに、ユーザがパターン3の電力制御モードを設定する操作を行った場合、電力制御モード設定部33は、このユーザによる設定を許可せず、既に優先度の高い設定がなされていことを示すエラーメッセージを操作端末24のタッチパネルディスプレイに表示させる。
【0107】
このように、優先度に応じて設定変更の可否を判断することで、社会的要請による電力制御モードを適切に設定することができる。
【0108】
〈実施形態2〉
前述の実施形態1では、時間帯毎にエコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、およびDRモードの何れかを設定したが、これに限らずエコノミーモードや、エコロジーモード、備災モード、DRモード等の電力制御モードを組み合わせて設定することもできる。本実施形態2は、前述の実施形態1と比べて、電力制御モードを組み合わせて設定することができるようにした構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0109】
例えば、電力制御モードとして、
図15に示すような送受電電力量を目標としたモード1、モード2、およびモード3が用意されているとき、ユーザはモード1、モード2、およびモード3を指定の割合で組み合わせたミックスモードを選択することができる。そして、ミックスモードが選択された場合、EMSコントローラ25は、予測発電電力量および予測需要電力量から予測送受電電力量を算出して、その予測送受電電力量に従ってモード1、モード2、およびモード3それぞれにおける目標の送受電電力であるモード送受電電力量を求め、それらのモード送受電電力量をユーザに指定された割合で加重平均するこ
とにより、実際に電力制御を実行する際の目標送受電電力量を算出する。
図5には、ミックスモードにおいて、ユーザにより指定された割合に従って加重平均により求められた目標送受電電力量(運転計画)が示されている。
【0110】
例えば、
図5Aには、エコロジーモードが80%と指定され、エコノミーモードが10%と指定され、ピークアシストモードが10%と指定された場合に、加重平均により求められた目標送受電電力量が示されている。また、
図5Bには、エコロジーモードが10%と指定され、エコノミーモードが10%と指定され、ピークアシストモードが80%と指定された場合に、加重平均により求められた目標送受電電力量が示されている。
【0111】
同様に、
図5Cには、エコロジーモードが10%と指定され、エコノミーモードが80%と指定され、ピークアシストモードが10%と指定された場合に、加重平均により求められた目標送受電電力量が示されている。また、
図5Dには、エコロジーモードが50%と指定され、エコノミーモードが0%と指定され、ピークアシストモードが50%と指定された場合に、加重平均により求められた目標送受電電力量が示されている。
【0112】
そして、EMSコントローラ25は、このようにして求められた目標送受電電力量に追従して、電力系統12との間で送電または受電が行われるように電力制御システム11の電力制御を行う。
【0113】
本実施形態2のEMSコントローラ25は、前述の
図6〜
図9に示したSOCの制御における目標SOCの設定について、
図16に示すように、ユーザにより指定された割合で、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよびDRモードそれぞれにおける目標SOCを加重平均することで、SOC制御を実行する際の目標SOC量を算出する。
【0114】
図16に記載された例では、ユーザにより、エコノミーモードが10%、エコロジーモードが40%、備災モードが40%、DRモードが0%と指定され、各々のモードの目標SOCの加重平均により求められた目標SOCが、ミックスモードにおける目標SOCとされている。なお、上記の説明において、各電力制御モードのSOC制御時間帯で設定される目標SOCは、モード充電量に相当する。また、各々のモードの目標SOCの加重平均により求められた、ミックスモードにおける目標SOCは、目標充電量に相当する。
【0115】
本実施形態2の電力制御モード設定部33は、操作端末24のタッチパネルディスプレイに、ユーザの操作入力を受け付けるユーザインタフェース(例えば、後述する
図18または
図19)を表示させる。そして、例えば、ユーザが、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードそれぞれの割合を指定すると、電力制御モード設定部33は、ユーザにより指定された割合を取得して目標算出部34に通知する。この電力制御モード設定部33は本実施形態において設定部に相当する。
【0116】
目標算出部34は、
図5を参照して上述したように、ユーザにより指定された割合に従って、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードそれぞれのモード送受電電力量を加重平均して、実際に電力制御を実行する際の目標送受電電力量を算出する。
【0117】
目標SOC算出部37は、
図15を参照して上述したように、ユーザにより指定された割合に従って、エコロジーモード、エコノミーモード、備災モードおよび、DRモードそれぞれの目標SOCの値を加重平均して、ミックスモードとしての目標SOCを算出する。SOC制御部38は、SOC制御時間帯における蓄電池システム23のSOCが目標SOC算出部37により算出されたミックスモードとしての目標SOCになるように、深夜電力を利用して蓄電池システム23への充電を行う。
【0118】
図17は、電力制御モード設定部33が、
図1の操作端末24のタッチパネルディスプレイに表示させるユーザインタフェースの一例である。
【0119】
例えば、電力制御システム11の電力制御モードとして、モード1、モード2、モード3モード4及び、ミックスモードが用意されているとき、操作端末24のタッチパネルディスプレイには、
図17に示すようなマトリクス状のユーザインタフェースが表示される。このユーザインタフェースを操作して、ユーザは、時間帯毎に何れかの電力制御モードを選択する。
【0120】
図18または
図19は、ミックスモードが選択された場合に、ユーザが各モードの割合を指定するため、電力制御モード設定部33が、
図1の操作端末24のタッチパネルディスプレイに表示させるユーザインタフェースの例を示す。
【0121】
例えば、電力制御システム11の電力制御モードとして、モード1、モード2、モード3、及びモード4が用意されているとき、操作端末24のタッチパネルディスプレイには、
図18または
図19に示すようなユーザインタフェースが表示される。
図18には、レーダーチャートに類似したユーザインタフェースが示されており、
図19には、棒グラフに類似したユーザインタフェースが示されている。
【0122】
ここで、モード1、モード2、モード3、及びモード4としては、上述したようなエコノミーモード、エコロジーモード、備災モード、および、DRモードを用いることができる。この場合、それぞれ背反するモードであるため、例えば、電力制御モード設定部33は、時間帯ごとに相対状態を計算して、ユーザインタフェースに反映させる。
【0123】
即ち、
図18または
図19の上側に示すように、ユーザが、モード1の割合を増加させた場合、電力制御モード設定部33は、相対状態を計算し、
図18または
図19の下側に示すように、モード2〜モード4の割合を減少させる。同様に、ユーザがモード2の割合を変更した場合、電力制御モード設定部33は、モード1、モード3及びモード4の割合を計算し、ユーザがモード3の割合を変更した場合、電力制御モード設定部33は、モード1、モード2およびモード3の割合を計算して、それぞれの割合を変化させる。
【0124】
このように、電力制御システム11では、
図18または
図19に示すようなユーザインタフェースを採用することで、ユーザは、電力制御モードの割合を視覚的に確認することができ、より直観的に、電力制御システム11の電力制御モードを設定することができる。
【0125】
なお、ユーザが電力制御モードの割合を指定する方式としては、他にも例えば、ユーザの音声を認識することにより入力する音声入力方式や、別の端末で作成されたデータを操作端末24に転送するデータ転送方式など、様々な方式を採用することができる。
【0126】
次に、
図20には、電力制御システム11の電力制御モードの設定に利用される質問内容の例が示されている。
【0127】
例えば、電力制御モード設定部33は、ユーザインタフェースを利用する他、
図1の操作端末24のタッチパネルディスプレイに所定数の質問を表示させ、それらの質問に対する回答(YES/NO)に基づいて、電力制御システム11の電力制御モードの割合を設定することができる。
【0128】
図20には、10個の質問内容が例示されており、それぞれの質問内容に対して経済性
、省CO
2、ピークカットにかかる係数が設定されている。例えば、質問内容「明日は不在ですか?」に対して、経済性の係数10、省CO
2の係数2、ピークカットの係数10が設定されており、質問内容「明日は休みですか?」に対して、経済性の係数5、省CO
2の係数10、ピークカットの係数2が設定されている。
【0129】
ユーザが、これらの質問内容にYESまたはNOで回答すると、電力制御モード設定部33は、YESと回答された質問内容の係数を加算し、加算した合計値の比率を、エコロジーモード、エコノミーモード、および、ピークアシストモードを加重平均する際の割合として決定する。
【0130】
このように、電力制御システム11では、
図20に示すような質問内容によって電力制御モードの割合を決定することで、よりユーザの気分に合わせて、電力制御システム11の電力制御モードを設定することができる。なお、質問内容は、タッチパネルディスプレイに表示する他、例えば、合成音声によってユーザに提示してもよく、ユーザの声による回答を音声認識により取得してもよい。
【0131】
なお、上述の実施形態1,2において、フローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0132】
また、上述した一連の処理(情報処理方法)は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラムが記録されたプログラム記録媒体からインストールされる。
【0133】
図21は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0134】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互
に接続されている。
【0135】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部106、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部107、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部108、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部109、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111を駆動するドライブ110が接続されている。
【0136】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0137】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなど
よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア111に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0138】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0139】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、各電力制御モードのモード送受電電力量から目標送受電電力量を算出する場合あるいは、各電力制御モードのモード充電量から目標充電量を算出する場合の演算方法は、加重平均には限られない。ユーザが選んだ各モードの割合に応じた重み付けが可能なのであれば、他の演算式に基づいても構わない。また、上記の実施形態においては本発明を、太陽光発電モジュール13と蓄電池システム23を備えた電力制御システム11に適用した例について説明したが、太陽光発電モジュール13の代わりに風力発電モジュールや、潮力発電モジュールなどの他の再生可能エネルギーを用いるシステムに適用しても構わない。