(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、第1実施形態に係る電源システム10の全体構成の一例を示すシステム構成図を示す。電源システム10は、複数の電力変換装置100、複数の太陽電池アレイ200、系統電源300、および発電管理装置400を備える。
【0020】
電力変換装置100は、太陽電池アレイ200と系統電源300とを連系させる。電力変換装置100は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧して、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統電源300側に出力する。電力変換装置100は、パワーコンディショナでよい。
【0021】
太陽電池アレイ200は、複数の太陽電池モジュールが直列に接続された複数の太陽電池ストリングが並列に接続されている。太陽電池アレイ200は、分散型電源の一例である。分散型電源として、ガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービン、燃料電池、風力発電装置、電気自動車、または蓄電システムなどが用いられてよい。系統電源300は、電源の一例である。系統電源300は、例えば、電力供給事業者が運用する電源であり、火力、原子力、水力などの発電システムでよい。
【0022】
電力変換装置100は、ネットワーク350を介して発電管理装置400に接続されている。発電管理装置400は、ネットワーク350を介して電力変換装置100と通信する。電力変換装置100は、有線または無線でネットワーク350を介して電力変換装置100と通信してよい。
【0023】
発電管理装置400は、季節、気温、湿度、曜日などの電力需要に影響を与える少なくとも1つのパラメータに応じて、電力需要を予測し、予測した電力需要に対応した供給量が実現できるように発電計画を作成する。系統電源300は、発電計画に基づいて発電する。さらに、発電管理装置400は、発電計画に基づいて、電力需要が少ない場合に、電力変換装置100から出力される電力を抑制することを命令する命令信号をネットワーク350を介してそれぞれの電力変換装置100に送信する。
【0024】
電力変換装置100は、発電管理装置400からの命令信号に応じて、出力する電力を抑制する。電力変換装置100は、受信した命令信号に基づいて、電力を抑制するタイミングを特定する。電力変換装置100は、命令信号を受信したことに対応して、電力抑制制御を開始してよい。電力変換装置100は、受信した命令信号に示される時刻などのタイミングから、電力抑制制御を開始してよい。電力変換装置100は、受信した命令信号に示される電力抑制期間中、電力抑制制御を実行してよい。
【0025】
ここで、電力変換装置100は、命令信号に応じて、電力変換装置100に対して予め定められている最大定格出力(W)から予め定められた割合だけ低くした基準出力(W)以下となるように、電力抑制制御を実行することが考えられる。しかし、このような制御によれば、例えば、曇天などの影響で、電力抑制制御を実行する期間において、太陽電池アレイ200から出力される電力が、電力抑制制御を行わなくてもすでに基準出力より小さい場合がある。このような場合、電力抑制制御の要請を受けても、電力変換装置100は、電力抑制制御期間に、実質的に電力抑制制御を実行しない。このように、最大定格出力(W)などから予め定められた基準出力に基づいて電力変換装置100が電力抑制制御を実行する場合、電力抑制制御は、天候などの外的要因により、効果的に実行されない可能性がある。
【0026】
そこで、第1実施形態では、電力変換装置100は、発電管理装置400からの命令信号に応じて、電力抑制制御すべきタイミングに基づいて定められる基準期間、例えば、電力抑制制御すべきタイミングまでの基準期間に、電力変換装置100が出力した電力の大きさを示す電力値(W)および単位時間当たりの積算電力を示す電力量(Wh)の少なくとも一方に基づいて、電力抑制制御を実行する。
【0027】
電力変換装置100は、例えば、電力抑制制御すべきタイミングまでの過去30分間、1時間、2時間などにおける平均電力値(W)および平均電力量(Wh)の少なくとも一方を導出する。電力変換装置100は、例えば、平均電力値(W)または平均電力量(Wh)から予め定められた割合だけ削減した基準電力値(W)または基準電力量(Wh)を導出する。そして、電力変換装置100は、電力抑制制御すべきタイミングから、出力される電力(W)または電力量(Wh)が基準電力値(W)または基準電力量(Wh)を上回らないように、出力する電力を制御する。電力抑制制御を開始する直前に電力変換装置100が実際に出力している電力または電力量に基づいて、基準電力値(W)または基準電力量(Wh)が導出されるので、天候などの外的要因により、電力抑制制御が効果的に実行されないことを防止できる。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る電力変換装置100の回路構成の一例を示す図である。電力変換装置100は、電力変換部60および制御装置70を備える。電力変換部60は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧し、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、負荷310および系統電源300側に出力する。電力変換部60は、系統電源300と連系する。制御装置70は、電力変換部60を制御する。電力変換部60は、コンデンサC1、昇圧回路20、コンデンサC2、インバータ40、コイルL2、コンデンサC3、およびリレー50を有する。
【0029】
コンデンサC1の一端および他端は、太陽電池アレイ200の正極端子および負極端子に電気的に接続され、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を平滑化する。昇圧回路20は、いわゆるチョッパ方式スイッチングレギュレータでよい。昇圧回路20は、太陽電池アレイ200からの電圧を昇圧する。昇圧回路20は、例えば、ハーフブリッジ型昇圧回路、フルブリッジ型昇圧回路などのトランス巻線を有する絶縁型昇圧回路により構成してもよい。
【0030】
コンデンサC2は、昇圧回路20から出力される直流電圧を平滑化する。インバータ40は、スイッチを含み、スイッチがオンオフすることで昇圧回路20から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、系統電源300側に出力する。インバータ40は、例えば、ブリッジ接続された4つの半導体スイッチを含む単相フルブリッジPWMインバータにより構成してもよい。4つの半導体スイッチのうち、一方の一対の半導体スイッチは直列に接続される。4つの半導体スイッチのうち、他方の一対の半導体スイッチは、直列に接続され、かつ一方の一対の半導体スイッチと並列に接続される。
【0031】
インバータ40と系統電源300との間には、コイルL2およびコンデンサC3が設けられる。コイルL2およびコンデンサC3は、インバータ40から出力された交流電圧からノイズを除去する。また、コンデンサC3と系統電源300との間には、リレー50が設けられる。リレー50は、インバータ40と系統電源300との間を電気的に遮断するか否かを切り替える。リレー50がオンすることで、電力変換装置100と系統電源300とが電気的に接続され、オフすることで電力変換装置100と系統電源300とが電気的に遮断される。
【0032】
電力変換装置100は、電圧センサ12、16、および22、並びに電流センサ14、18、および19をさらに備える。電圧センサ12は、太陽電池アレイ200の両端の電位差に対応する電圧V1を検知する。電圧センサ16は、昇圧回路20の出力側の両端の電位差に対応する電圧V2を検知する。電圧センサ22は、インバータ40の出力側の両端の電位差に対応する電圧V3を検知する。
【0033】
電流センサ14は、太陽電池アレイ200から出力され、昇圧回路20の入力側に流れる電流I1を検知する。電流センサ18は、昇圧回路20から出力される電流I2を検知する。電流センサ19は、インバータ40から出力される電流I3を検知する。
【0034】
制御装置70は、太陽電池アレイ200から最大電力が得られるように、電圧センサ12、16および22、並びに電流センサ14、18および19により検知される電圧および電流に基づいて昇圧回路20、およびインバータ40のスイッチング動作を制御して、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧し、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統電源300側に出力する。
【0035】
図3は、制御装置70の機能ブロックの一例を示す。制御装置70は、電流値取得部72、電圧値取得部74、電力値取得部76、電力値格納部78、受信部80、基準電力値導出部82、および電力制御部84を備える。
【0036】
電流値取得部72は、電流センサ19を介してインバータ40から出力される電流I3の大きさを示す電流値を逐次取得する。電圧値取得部74は、電圧センサ22を介してインバータ40の出力側の両端の電位差に対応する電圧V3の大きさを示す電圧値を逐次取得する。
【0037】
電力値取得部76は、電流値取得部72により取得された電流値と電圧値取得部74により取得された電圧値とを乗算することで、電力変換部60から出力される電力の大きさを示す電力値(W)を逐次取得する。電力値取得部76は、順次取得される電力値(W)を、順次取得された電力値(W)のそれぞれに対応するそれぞれの時刻と関連付けて、電力値格納部78に登録する。電力値格納部78は、電力値(W)と時刻とを関連付けて格納する。
【0038】
受信部80は、電力変換部60から出力される電力を抑制することを命令する命令信号をネットワーク350を介して発電管理装置400から受信する。命令信号には、例えば、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングが示されてよい。命令信号には、電力変換部60が電力抑制制御を開始すべきタイミングが示されてよい。命令信号には、電力変換部60が電力抑制制御を開始すべきタイミング、および電力変換部60が電力抑制制御を終了すべきタイミングが示されてよい。命令信号は、受信部80が命令信号を受信した時点で電力変換部60が電力抑制制御を実行することを示すコマンドが示されてよい。
【0039】
ここで、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングは、例えば、電力抑制制御を開始する時刻、または電力抑制制御を実行する期間でよい。電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングは、電力抑制制御が実行される期間内の任意に時刻でよい。
【0040】
電力制御部84は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングに基づいて定められる基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御する。電力制御部84は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングより前の基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御する。
【0041】
電力制御部84は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングまでの予め定められた基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御してよい。
【0042】
基準電力値導出部82は、電力値取得部76により取得される複数の電力値のうち、基準期間内の少なくとも1つの電力値に基づいて、基準電力値(W)を導出する。基準電力値導出部82は、電力値取得部76により取得される複数の電力値のうち、基準期間内の複数の電力値に基づいて、基準電力値(W)を導出してよい。基準電力値導出部82は、電力値取得部76により取得される複数の電力値のうち、基準期間内のそれぞれの電力値から平均電力値を導出し、平均電力値(W)に基づいて基準電力値(W)を導出してよい。基準電力値導出部82は、平均電力値(W)に対して予め定められた割合F(F<1、例えば、0.8、0.7など)を乗算することで得られる値を基準電力値(W)として導出してよい。
【0043】
電力制御部84は、基準電力値(W)に基づいて電力変換部60から出力される電力を制御してよい。電力制御部84は、基準電力値(W)に基づいて電力変換部60から出力される電力を抑制する電力抑制制御を実行してよい。電力制御部84は、受信部80が受信した命令信号に基づいて電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングを特定してよい。そして、電力制御部84は、特定されたタイミングから、基準電力値(W)に基づいて電力変換部60から出力される電力を抑制する電力抑制制御を実行してよい。電力制御部84は、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングから、電力変換部60から出力される電力を基準電力値(W)に基づいて制御する電力抑制制御を開始してよい。電力制御部84は、電力変換部60から出力される電力の大きさを示す電力値(W)が基準電力値(W)を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を抑制する電力抑制制御を実行してよい。
【0044】
電力抑制制御が開始される時点で、電力値(W)が基準電力値(W)を上回っている場合、電力制御部84は、その時点で即座に電力値(W)が基準電力値(W)以下になるように電力変換部60を制御してよい。あるいは、電力抑制制御が開始される時点で、電力値(W)が基準電力値(W)を上回っている場合、電力制御部84は、その時点から徐々に電力値(W)が基準電力値(W)以下になるように電力変換部60を制御してもよい。
【0045】
図4は、第1実施形態に係る制御装置70が実行する電力抑制制御の一例を示すフローチャートである。まず、受信部80が、ネットワーク350を介して発電管理装置400から命令信号を受信する(S100)。受信部80は、予め定められた周期(例えば、30分間隔)で、発電管理装置400から電力抑制制御を実行すべきか否かを示す命令信号を受信してよい。
【0046】
電力制御部84は、命令信号に基づいて電力抑制のタイミングを特定する(S102)。電力制御部84は、命令信号に示される電力抑制制御を開始すべき時刻を特定することで、電力抑制のタイミングを特定してよい。電力制御部84は、受信部80が命令信号を受信した時点を、電力抑制を開始すべきタイミングとして特定してよい。電力制御部84は、受信部80が命令信号を受信したことを電力制御部84が確認した時点を、電力抑制を開始すべきタイミングとして特定してよい。
【0047】
次いで、基準電力値導出部82が、特定されたタイミングに基づいて基準期間を特定する(S104)。基準電力値導出部82は、特定されたタイミングまでの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。基準電力値導出部82は、電力抑制制御を開始する時点までの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。
【0048】
基準電力値導出部82は、特定された基準期間に対応する複数の電力値を電力値格納部78から取得し、取得した基準期間内の複数の電力値に基づいて平均電力値を導出する。基準電力値導出部82は、平均電力値に予め定められた割合Fを乗算することで、基準電力値を導出する(S108)。基準電力値導出部82は、電力抑制制御を実行する期間全体に亘って、一定の割合Fにより基準電力値を導出してよい。基準電力値導出部82は、電力抑制制御を実行する抑制期間に含まれる第1期間について、平均電力値に第1割合F1(例えば、0.8)を乗算することで、第1期間の基準電力値を導出し、電力抑制制御を実行する抑制期間に含まれる第1期間とは異なる第2期間について、平均電力値に第1割合F1とは異なる第2割合F2(例えば、0.7)を乗算することで、第2期間の基準電力値を導出してよい。つまり、基準電力値導出部82は、電力抑制制御を実行する抑制期間中に、基準電力値を動的に変更してよい。
【0049】
電力制御部84は、特定されたタイミングから、導出された基準電力値に基づいて電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する(S110)。電力制御部84は、特定されたタイミングから、電力変換部60から出力される電力の電力値が導出された基準電力値を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を制御してよい。
【0050】
図5は、基準電力値に基づいて電力抑制制御が実行された場合に電力変換装置100から出力される電力の電力値の時間的変化を模式的に示す。
【0051】
曲線L10は、晴天時に電力抑制制御が実行されない場合に、電力変換装置100から出力される電力の電力値の変化の様子を示す。曲線L12は、晴天時に電力抑制制御を実行した場合に、電力変換装置100から出力される電力の電力値の変化の様子を示す。
【0052】
曲線L20は、曇天時に電力抑制制御が実行されない場合に、電力変換装置100から出力される電力の電力値の変化の様子を示す。曲線L22は、曇天時に電力抑制制御を実行した場合に、電力変換装置100から出力される電力の電力値の変化の様子を示す。
【0053】
斜線領域R10は、晴天時に電力抑制制御が実行された場合に、電力変換装置100により抑制された電力量を示す。斜線領域R20は、曇天時に電力抑制制御が実行された場合に、電力変換装置100により抑制された電力量を示す。このように、晴天時および曇天時のいずれの場合でも、電力変換装置100から出力される電力量を効果的に抑制できる。
【0054】
第1実施形態によれば、電力抑制開始のタイミングまでの予め定められた基準期間における平均電力値に基づいて導出された基準電力値に基づいて、電力抑制制御が実行される。よって、天候などの外的要因によって、電力抑制制御が効果的に実行されないことを防止できる。
【0055】
図6は、第2実施形態に係る制御装置70の機能ブロックを示す。第2実施形態に係る制御装置70は、予め定められた電力抑制スケジュールに応じて、電力変換部60が出力する電力を制御する点で、発電管理装置400から受信する命令信号に基づいて、電力変換部60が電力を抑制すべきタイミングを特定する第1実施形態に係る制御装置70と異なる。
【0056】
制御装置70は、受信部80の代わりに、電力抑制スケジュール格納部86を備える。なお、制御装置70は、受信部80および電力抑制スケジュール格納部86の両方を備えてもよい。電力抑制スケジュール格納部86は、電力変換部60が電力を抑制すべき期間を示す電力抑制スケジュールを格納する。制御装置70は、ネットワーク350を介して電力抑制スケジュールを発電管理装置400から受信して、電力抑制スケジュール格納部86に登録してもよい。電力抑制スケジュールは、電力変換部60が電力抑制制御を開始すべきタイミングおよび電力変換部60が電力抑制制御を終了すべきタイミングを示してよい。電力抑制スケジュールは、電力変換部60が電力抑制制御を開始すべき条件、例えば、季節、気温、湿度、曜日などをパラメータとして定められる条件を示してよい。例えば、季節が夏で、気温が基準温度以下、湿度が基準湿度以下の場合に、電力抑制制御を開始するという条件が、電力抑制スケジュールに示されてよい。電力制御部84は、電力抑制スケジュール格納部86に格納された電力抑制スケジュールを参照して、電力変換部60が電力を抑制すべきタイミングを特定する。
【0057】
電力制御部84は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、電力抑制スケジュールにより特定されたタイミングに基づいて定められる基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する。電力制御部84は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングまでの予め定められた基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行してよい。基準電力値導出部82は、電力値取得部76により取得される複数の電力値のうち、基準期間内のそれぞれの電力値から平均電力値を導出し、平均電力値(W)に基づいて基準電力値(W)を導出してよい。基準電力値導出部82は、平均電力値(W)に対して予め定められた割合F(F<1、例えば、0.8、0.7など)を乗算することで得られる値を基準電力値(W)として導出してよい。
【0058】
図7は、第3実施形態に係る制御装置70の機能ブロックを示す。第3実施形態に係る制御装置70は、基準期間内の電力値に基づいて定められた基準電力量に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御する点で、第1実施形態および第2実施形態に係る制御装置70とは異なる。
【0059】
第3実施形態に係る制御装置70は、基準電力値導出部82の代わりに、基準電力量導出部90を備える。基準電力量導出部90は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、基準期間内の少なくとも1つの電力値(W)に基づいて、基準電力量(Wh)を導出する。基準電力量導出部90は、電力値取得部76により取得される複数の電力値(W)のうち、基準期間内の複数の電力値(W)に基づいて、基準電力量(Wh)を導出してよい。基準電力量導出部90は、基準期間内の複数の電力値(W)を積算した積算値により、基準期間内の平均電力量(Wh)を導出し、平均電力量(Wh)に基づいて基準電力量(Wh)を導出してよい。基準電力量導出部90は、基準電力量(Wh)に対して、予め定められた割合F(F<1、例えば、0.8、0.7など)を乗算することで得られる値を基準電力量(Wh)として導出してよい。
【0060】
電力制御部84は、基準電力量(Wh)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行してよい。電力制御部84は、受信部80が受信した命令信号に基づいて電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングを特定してよい。そして、電力制御部84は、特定されたタイミングから、基準電力量(Wh)に基づいて電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行してよい。電力制御部84は、電力変換部60から出力される電力を抑制すべきタイミングから、電力変換部60から出力される電力を基準電力量(Wh)に基づいて制御する電力抑制制御を開始してよい。電力制御部84は、電力値取得部76により取得される電力値(W)に基づいて逐次、単位時間当たりの電力の積算値を示す電力量(Wh)を導出し、導出された電力量(Wh)が基準電力値(W)を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を制御してよい。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る制御装置70が実行する電力抑制制御の一例を示すフローチャートである。まず、受信部80が、ネットワーク350を介して発電管理装置400から命令信号を受信する(S200)。受信部80は、予め定められた周期(例えば、30分間隔)で、発電管理装置400から電力抑制制御を実行すべきか否かを示す命令信号を受信してよい。
【0062】
電力制御部84は、命令信号に基づいて電力抑制のタイミングを特定する(S202)。電力制御部84は、命令信号に示される電力変換部60が電力抑制制御を開始すべき時刻を特定することで、電力抑制のタイミングを特定してよい。電力制御部84は、受信部80が命令信号を受信した時点を、電力抑制を開始すべきタイミングとして特定してよい。電力制御部84は、受信部80が命令信号を受信したことを電力制御部84が確認した時点を、電力抑制を開始すべきタイミングとして特定してよい。
【0063】
次いで、基準電力量導出部90が、特定されたタイミングに基づいて基準期間を特定する(S204)。基準電力値導出部82は、特定されたタイミングまでの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。基準電力値導出部82は、電力抑制制御を開始する時点までの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。
【0064】
基準電力量導出部90は、特定された基準期間に対応する複数の電力値を電力値格納部78から取得し、取得した基準期間内の複数の電力値に基づいて平均電力量を導出する。基準電力量導出部90は、平均電力量に予め定められた割合Fを乗算することで、基準電力量を導出する(S208)。基準電力量導出部90は、電力抑制制御を実行する期間全体に亘って、一定の割合Fにより基準電力量を導出してよい。基準電力量導出部90は、電力抑制制御を実行する抑制期間に含まれる第1期間について、平均電力量に第1割合F1(例えば、0.8)を乗算することで、第1期間の基準電力量を導出し、電力抑制制御を実行する抑制期間に含まれる第1期間とは異なる第2期間について、平均電力量に第1割合F1とは異なる第2割合F2(例えば、0.7)を乗算することで、第2期間の基準電力量を導出してよい。つまり、基準電力量導出部90は、電力抑制制御を実行する抑制期間中に、基準電力量を動的に変更してよい。
【0065】
電力制御部84は、特定されたタイミングから、導出された基準電力量に基づいて電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する(S210)。電力制御部84は、特定されたタイミングから、電力変換部60から出力される電力の電力量が導出された基準電力量を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を制御してよい。
【0066】
図9は、基準電力量に基づいて電力抑制制御が実行された場合に電力変換装置100から出力される電力の電力値の時間的変化を模式的に示す。
【0067】
曲線L30は、電力抑制制御が実行されない場合に、電力変換装置100から出力される電力値の変化の様子を示す。曲線L32は、電力抑制制御を実行した場合に、電力変換装置100から出力される電力値の変化の様子を示す。
【0068】
第3実施形態によれば、制御装置70は、基準電力量(Wh)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する。第1実施形態および第2実施形態のように制御装置70が、基準電力値(W)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御する場合、電力変換部60が出力できる最大電力が基準電力値を下回っている期間があったとしても、制御装置70は、その後の期間において、電力変換部60が出力できる最大電力値が基準電力値を上回ることができるとしても、電力値が基準電力値を上回らないように電力変換部60を制御する。
【0069】
しかし、制御装置70が、基準電力量(Wh)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御する場合、電力抑制制御の期間の全体において電力量が基準電力量を上回らなければよい。したがって、電力変換部60が出力できる最大電力が基準電力値を下回っている期間があった場合、電力量(W)が基準電力量(Wh)を上回らなければ、制御装置70は、その後の期間において、電力変換部60に基準電力値(W)以上の電力を出力させることもできる。
【0070】
例えば、斜線領域R12で示す期間については、電力変換部60が出力できる最大電力値が基準電力値を下回っている。つまり、斜線領域R12で示す期間については、抑制される電力量が要求される抑制量より大きい。制御装置70が基準電力量(Wh)に基づいて電力変換部60が出力する電力を制御する場合、斜線領域R14で示す期間については、電力量(W)が基準電力量(Wh)を上回らなければ、電力変換部60に基準電力値(W)以上の電力を出力させることができる。よって、制御装置70が基準電力量(Wh)に基づいて電力抑制制御を実行することで、必要以上に電力変換部60から出力される電力が抑制されることを防止できる。例えば、制御装置70が基準電力量(Wh)に基づいて電力抑制制御を実行することで、斜線領域R14で示す電力量が無駄に抑制されずに済む。
【0071】
図10は、第4実施形態に係る制御装置70の機能ブロックを示す。第4実施形態に係る制御装置70は、基準電力値導出部82および基準電力量導出部90をそれぞれ備える点で、上記の各実施形態に係る制御装置70とは異なる。
【0072】
第4実施形態に係る電力制御部84は、基準電力値導出部82により導出される基準電力値(W)および基準電力量導出部90により導出される基準電力量(Wh)に基づいて、電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する。
【0073】
図11は、第4実施形態に係る制御装置70が実行する電力抑制制御の一例を示すフローチャートである。まず、受信部80が、ネットワーク350を介して発電管理装置400から命令信号を受信する(S300)。受信部80は、予め定められた周期(例えば、30分間隔)で、発電管理装置400から電力抑制制御を実行すべきか否かを示す命令信号を受信してよい。
【0074】
電力制御部84は、命令信号に基づいて電力抑制のタイミングを特定する(S302)。電力制御部84は、命令信号に示される電力変換部60が電力抑制制御を開始すべき時刻を特定することで、電力抑制のタイミングを特定してよい。電力制御部84は、受信部80が命令信号を受信した時点を、電力抑制を開始すべきタイミングとして特定してよい。
【0075】
次いで、基準電力値導出部82および基準電力量導出部90が、特定されたタイミングに基づいて基準期間を特定する(S304)。基準電力値導出部82および基準電力値導出部82は、特定されたタイミングまでの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。基準電力値導出部82は、電力抑制制御を開始する時点までの予め定められた期間を、基準期間として特定してよい。
【0076】
基準電力値導出部82は、特定された基準期間に対応する複数の電力値を電力値格納部78から取得し、取得した基準期間内の複数の電力値に基づいて平均電力値を導出する。基準電力値導出部82は、平均電力値に予め定められた割合Fを乗算することで、基準電力値を導出する。また、基準電力量導出部90は、特定された基準期間に対応する複数の電力値を電力値格納部78から取得し、取得した基準期間内の複数の電力値に基づいて平均電力量を導出する。基準電力量導出部90は、平均電力量に予め定められた割合Fを乗算することで、基準電力量を導出する(S308)。
【0077】
電力制御部84は、特定されたタイミングから、導出された基準電力値(W)および基準電力量(Wh)に基づいて電力変換部60から出力される電力を制御して、電力抑制制御を実行する(S310)。電力制御部84は、特定されたタイミングから、電力変換部60から出力される電力値(W)が基準電力値(W)を上回らず、かつ電力変換部60から出力される電力量(Wh)が導出された基準電力量(Wh)を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を制御してよい。
【0078】
電力制御部84は、電力変換部60から出力される電力量が導出された基準電力量を上回らないように、電力変換部60から出力される電力を制御する。ここで、電力抑制期間内の前半の期間で、曇天などの影響で電力変換部60から出力できる最大電力値が低く、電力抑制期間で抑制すべき電力量を過剰に抑制している場合には、電力制御部84は、抑制された過剰分の電力量を電力抑制期間の後半期間で相殺すべく、電力変換部60から出力される電力を増加させてよい。しかし、後半期間において電力変換部60から出力される電力が極端に大きいと、例えば、予定されている発電計画に悪影響を与える可能性がある。そこで、電力抑制期間で抑制すべき電力量を過剰に抑制している場合、電力制御部84は、基準電力値を上回らない範囲で、電力変換部60から出力される電力を増加させてよい。
【0079】
なお、第2実施形態、第3実施形態、および第4実施形態に係る電源システムは、
図1に示す第1実施形態に係る電源システムと同様なシステム構成でよい。また、第2実施形態、第3実施形態、および第4実施形態に係る電力変換装置100の回路構成は、
図2に示す第1実施形態に係る電力変換装置100と同様な回路構成でよい。
【0080】
また、制御装置70は、命令信号を受信する受信部80と電力抑制スケジュール格納部86とを備え、電力抑制スケジュールに従って特定されるタイミング、および命令信号に従って特定されるタイミングのそれぞれにおいて、電力抑制制御を実行してよい。
【0081】
以上、各実施形態によれば、電力抑制制御を実行するタイミングに基づいて定められる基準期間内の少なくとも1つの電力値に基づいて基準電力値(W)および基準電力量(Wh)の少なくとも一方が導出され、基準電力値(W)および基準電力量(Wh)の少なくとも一方に基づいて、電力変換装置100が出力する電力が制御されるので、天候などの外的要因により、電力抑制制御が効果的に実行されないことを防止できる。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0083】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。