(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の油圧駆動装置では、油温センサが必要となり、さらに、検出温度に応じてブリード弁の開口面積を制御する機能をコントローラに組み込むことが必要となるため、コスト面で不利となる。
【0010】
本発明の目的は、コストを抑えつつ自動的に暖機運転を実行することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、建設機械であって、少なくとも1つの油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータに作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプに接続されたリリーフラインと、前記リリーフラインに設けられたリリーフ弁と、前記リリーフ弁を迂回した状態で前記油圧ポンプに接続された迂回ラインを含む非リリーフ回路と、前記リリーフライン及び前記迂回ラインに接続され、前記リリーフラインからの作動油と前記迂回ラインからの作動油とをまとめてタンクに導く合流ラインと、を備え、前記非リリーフ回路は、前記迂回ラインを通じた作動油の流れを許容する許容状態と、前記迂回ラインを通じた作動油の流れを規制する規制状態との間で切換可能な切換手段を有し、前記切換手段は、前記合流ライン内の作動油の圧力が予め設定された基準圧未満であるときに前記許容状態に付勢され、前記合流ライン内の作動油の圧力が前記基準圧以上であるときに前記合流ライン内の作動油の圧力をパイロット圧として用いて前記規制状態に切り換えられる、建設機械を提供する。
【0012】
本発明は、建設機械が低温状態になると作動油の粘性低下に伴い合流ライン内の圧力が上昇することに着目し、この合流ライン内の作動油の圧力を切換手段を切り換えるためのパイロット圧として用いるものである。
【0013】
本発明によれば、合流ライン内の作動油の圧力が前記基準圧以上になると切換手段が規制状態に切換わるため、油圧ポンプからの作動油は、リリーフラインに導かれてリリーフ弁を開放し、合流ラインを通じてタンクに導かれる。このとき、作動油は、リリーフ弁の開放時に発生する熱によって温められる。
【0014】
また、リリーフライン及び迂回ラインの双方を通る作動油が合流する合流ライン内の圧力をパイロット圧として用いているため、切換手段が許容状態から規制状態に切り換わる際に合流ラインを流れる作動油の流量及び圧力(切換手段に対するパイロット圧)の変動を防止することができる。これにより、切換手段の切換状態が不安定になるのを抑制することができる。
【0015】
したがって、従来技術における圧力センサ及びその検出結果に基づく処理の実行を省略してコストを抑えつつ自動的に暖機運転を実行することができる。
【0016】
ここで、前記切換手段として迂回ラインを通じた作動油の流れを許容する許容位置と、迂回ラインを通じた作動油の流れを規制する規制状態との間で切換可能なパイロット式の方向制御弁を設けることも可能である。
【0017】
一方、前記建設機械において、前記建設機械は、前記油圧アクチュエータを複数有し、前記切換手段は、前記各油圧アクチュエータに対する作動油の給排を制御する複数のコントロールバルブと、前記迂回ラインを通じた作動油の流れを許容する許容位置と、前記油圧ポンプからの作動油を前記各コントロールバルブに分配する分配位置との間で切り換え可能な分配弁とを有し、前記コントロールバルブは、前記分配弁を通じて供給された作動油をブロックする中立位置と、前記分配弁を通じて供給された作動油の前記アクチュエータに対する給排を許容する作動位置とを有し、前記規制状態は、前記分配弁が前記分配位置に切り換えられかつ前記コントロールバルブの全てが前記中立位置に切り換えられた状態であることが好ましい。
【0018】
この態様によれば、油圧ポンプからの作動油を複数のコントロールバルブに分配するための分配弁を切換手段の一部として利用することができる。
【0019】
具体的に、分配弁が許容位置に切り換えられると、迂回ラインを通じた作動油の流れが許容される。つまり、この状態は、切換手段が許容状態に切り換えられた状態である。
【0020】
一方、分配弁が分配位置に切り換えられると、油圧ポンプからの作動油が複数のコントロールバルブに導かれ、ここで、コントロールバルブが作動位置に切り換えられると当該コントロールバルブを通じた作動油によって油圧アクチュエータが作動する。油圧アクチュエータから導出された作動油は、再びコントロールバルブを通じてタンク(合流ライン)に導かれる、つまり、この状態も、切換手段が許容状態に切り換えられた状態である。
【0021】
そして、分配弁が分配位置に切り換えられかつコントロールバルブの全てが中立位置に切り換えられると、油圧ポンプからの作動油は各コントロールバルブによってブロックされ、リリーフラインに導かれる。つまり、この状態は、切換手段が規制状態に切り換えられた状態である。
【0022】
このように、分配弁及びコントロールバルブを切換手段として利用することにより、さらなるコストの低減を図ることができる。
【0023】
前記建設機械において、前記分配弁は、当該分配弁を前記分配位置に切り換えるためのパイロットポートを有し、前記建設機械は、前記パイロットポートに接続されたパイロットポンプを有し、前記切換手段は、前記パイロットポンプによるパイロット圧を前記パイロットポートに伝えるための伝達位置と、前記パイロットポンプによるパイロット圧が前記パイロットポートに伝わるのを阻止する阻止位置との間で切換可能なパイロット切換弁をさらに備え、前記パイロット切換弁は、前記合流ライン内の作動油の圧力が予め設定された基準圧未満であるときに前記阻止位置に付勢されており、さらに、前記合流ライン内の作動油の圧力が前記基準圧以上であるときに前記合流ライン内の作動油の圧力をパイロット圧として用いて前記伝達位置に切り換えられるように前記合流ラインに接続された伝達側パイロットポートを有することが好ましい。
【0024】
この態様によれば、合流ライン内の作動油の圧力が基準圧以上であるときにパイロット切換弁が自動的に伝達位置に切り換えられるため、全てのコントロールバルブが中立位置にあることを条件として自動的に暖機運転を実行することができる。
【0025】
ここで、前記建設機械が、前記パイロットポンプからの作動油を用いて前記各コントロールバルブに対するパイロット圧を出力可能な複数の操作手段と、前記パイロットポンプから前記各操作手段に対する作動油の供給を許容するアンロック位置と、前記パイロットポンプから前記各操作手段に対する作動油の供給を停止するロック位置との間で切換可能なロック弁と、をさらに備えている場合がある。
【0026】
例えば、オペレータが運転席を離れる(作業を暫く行わない)ときにロック弁がロック位置に切り換えられることにより操作手段の操作にかかわらず油圧アクチュエータの作動を禁止することができる。一方、オペレータが運転席に着座して作業を開始する際にロック弁がアンロック位置に切り換えられることにより操作手段の操作に応じて油圧アクチュエータを作動を許容することができる。
【0027】
この場合、ロック弁がアンロック位置に切り換えられた状態で暖機運転が実行されると油圧ポンプからの作動油がリリーフラインに導かれるため、操作手段の操作内容に見合った油圧アクチュエータの作動を実現することが困難となる。
【0028】
そこで、前記建設機械において、前記パイロット切換弁は、前記合流ライン内の作動油の圧力が前記基準圧以上であるときであっても、前記ロック弁がアンロック位置に切り換えらえたときに前記ロック弁を通じて供給される前記パイロットポンプの作動油によって強制的に阻止位置に切り換えられるように前記パイロットポンプに前記ロック弁の二次側で接続された阻止側パイロットポートを有することが好ましい。
【0029】
この態様によれば、ロック弁がアンロック位置に切り換えられたとき(例えば、オペレータが運転席に着座して作業を開始するとき)に暖機運転を禁止することができ、これにより、操作手段の操作内容に見合った油圧アクチュエータの作動を実現することができる。
【0030】
前記油圧ポンプとして可変容量式のポンプを採用するとともに、油圧アクチュエータの負荷に応じて油圧ポンプの流量を変化させることも可能であるが、この場合、油圧アクチュエータの負荷に応じて合流ライン内の作動油の流量(切換手段に対するパイロット圧)が変化し、切換手段の切換状態が不安定になるおそれがある。
【0031】
そこで、前記建設機械において、前記油圧ポンプは、固定容量式のポンプであることが好ましい。
【0032】
この態様によれば、油圧アクチュエータの負荷にかかわらず油圧ポンプの吐出流量を一定に保つことができるため、切換手段の切換状態を安定化することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コストを抑えつつ自動的に暖機運転を実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0036】
<第1実施形態(
図1〜
図4)>
図1を参照して、第1実施形態に係る建設機械の一例としての油圧ショベルは、左右のクローラを有する下部走行体1と、下部走行体1に対して上下方向の軸Xを中心として旋回可能となるよう下部走行体1上に設けられた上部旋回体2と、上部旋回体2に対して装着された作業(掘削)アタッチメント9とを備えている。
【0037】
作業アタッチメント9は、上部旋回体2に対して上げ下げ可能に取り付けられたブーム3と、ブーム3の先端部に回転可能に取り付けられたアーム4と、アーム4の先端部に回転可能に取り付けられたバケット5とを有する。
【0038】
また、作業アタッチメント9は、上部旋回体2に対してブーム3を上げ下げ駆動するブームシリンダ6と、ブーム3に対してアーム4を回転駆動するアームシリンダ7と、アーム4に対してバケット5を回転駆動するバケットシリンダ8とを備えている。
【0039】
また、油圧ショベルは、シリンダ6〜8とは別の油圧アクチュエータとして、下部走行体1の左右のクローラを走行駆動する左右の走行モータ10、11(
図2参照)と、下部走行体1に対して上部旋回体2を旋回駆動する旋回モータ12(
図2参照)とを備えている。
【0040】
以下、
図2〜
図4を参照して油圧ショベルに設けられた油圧回路を説明する。なお、
図3は、
図2の一部を拡大して示すものであり、
図4は、
図2の油圧回路にパイロット圧を供給するためのパイロット回路を主に示す回路図である。
【0041】
油圧ショベルは、左走行モータ10、ブームシリンダ6及びバケットシリンダ8が属する第1回路Aと、右走行モータ11及びアームシリンダ7が属する第2回路Bと、旋回モータ12のみが属する第3回路Cとを備えている。第1回路Aは、油圧源として第1ポンプ13を有し、第2回路Bは、油圧源として第2ポンプ14を有し、第3回路Cは、油圧源として固定容量式の第3ポンプ15を有する。
【0042】
第1〜第3回路A〜Cには、油圧アクチュエータごとに、
図4に示すパイロット回路から供給されるパイロット圧によりストローク作動してアクチュエータの作動を制御する油圧パイロット式のスプール弁として構成されたコントロールバルブ(方向制御弁)が設けられている。
【0043】
すなわち、第1回路Aには、ブームシリンダ6用のコントロールバルブ16と、バケットシリンダ8用のコントロールバルブ17と、左走行モータ10用のコントロールバルブ18とが設けられている。第2回路Bには、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19と、右走行モータ11用のコントロールバルブ20とが設けられている。第3回路Cには、旋回モータ12用のコントロールバルブ21が設けられている。
【0044】
各コントロールバルブ16〜21は、
図4に示すパイロット回路からのパイロット圧が供給されるパイロットポートをそれぞれ備えている。パイロット回路は、パイロットポンプ52と、パイロットポンプ52からの作動油を用いて各コントロールバルブ16〜21に対するパイロット圧を出力可能な操作手段46〜51と、パイロットポンプ52と操作手段46〜51との間に設けられたロック弁53とを備えている。
【0045】
操作手段46〜51は、操作レバーと、操作レバーの操作量に応じたパイロット圧を出力可能なリモコン弁とを有する。操作手段46〜51が操作されることにより、コントロールバルブ16〜21を用いて、右旋回、左旋回、アーム押し、アーム引き、右前進、右後退、左前進、左後退、ブーム上げ、ブーム下げ、バケット押し、及びバケット引きの動作が実現される。
【0046】
ロック弁53は、パイロットポンプ52から各操作手段46〜51に対する作動油の供給を許容するアンロック位置P1と、パイロットポンプ52から各操作手段46〜51に対する作動油の供給を停止するロック位置P2との間で切換可能な電磁弁である。ロック弁53は、通常ロック位置P2に付勢され、運転室内に設けられた乗降遮断レバー54の操作に応じてアンロック位置P1に切り換えられるようにばね室と反対側にソレノイドを備えている。
【0047】
具体的に、油圧ショベルは、運転席の側方に設けられた乗降遮断レバー54と、乗降遮断レバー54が下げられたか否かを検出可能なレバーセンサ55と、レバーセンサ55により乗降遮断レバー54が下げられたことが検出された場合にロック弁53のソレノイドに指令を出力するコントローラ56とを備えている。これにより、乗降遮断レバー54が下げられると、パイロットポンプ52からの作動油が各操作手段46〜51に導かれ、油圧アクチュエータが操作可能な状態となる。
【0048】
図2及び
図3を参照して、第3ポンプ15のポンプライン30には、当該ポンプライン30から分岐してタンクライン28に接続されたリリーフライン42が接続され、リリーフライン42には、リリーフ弁43が設けられている。したがって、ポンプライン30におけるリリーフライン42の分岐点よりも下流側における作動油の流れがブロックされると、当該作動油は、リリーフ弁43を開放してタンクライン28に流れる。なお、
図2〜
図4に示される油圧回路のうち、リリーフライン42及びリリーフ弁43以外の部分が非リリーフ回路に相当する。
【0049】
第1回路Aにおいて、走行用コントロールバルブ18が第1ポンプ13からの作動油の流れの最上流側に位置するため、走行操作時に第1ポンプ13から吐出された作動油は、左走行モータ10に優先的に供給される。同様に、第2回路Bにおいて、走行用コントロールバルブ20が第2ポンプ14からの作動油の流れの最上流側に位置するため、走行操作時に第2ポンプ14から吐出された作動油は、右走行モータ11に優先的に供給される。
【0050】
したがって、両走行モータ10、11が同時に駆動され、かつ、両ポンプ13、14からの作動油の全流量が走行モータ10、11に供給されるような操作が行われると、第1回路A及び第2回路Bにおける走行モータ10、11以外の油圧アクチュエータには両ポンプ13、14からの作動油が供給されない。
【0051】
そこで、油圧ショベルは、両走行モータ10、11の駆動時に他のアクチュエータの動作を確保することを目的の一つとして、第3回路Cの最上流側(第3ポンプ15と旋回用コントロールバルブ21との間)に設けられた合流弁(分配弁)22を備えている。これにより、両走行モータ10、11の駆動時に、第3ポンプ15から第3回路C(旋回モータ12)に向けて吐出される作動油を第1回路A及び第2回路Bに供給(分配)することができる。
【0052】
合流弁22及びそれに関連する構成を
図2及び
図3を参照して説明する。
【0053】
合流弁22は、ばね室と反対側に第1パイロットポート22a及び第2パイロットポート22bを備えている。
【0054】
両パイロットポート22a、22bにパイロット圧が供給されていない状態において、合流弁22は、第1位置(許容位置)Iに付勢される。
【0055】
第1パイロットポート22aは、シャトル弁23を介してブーム下げパイロット圧が導入されるブーム下げパイロットライン24、及びアーム引きパイロット圧が導入されるアーム引きパイロットライン25に接続されている。これにより、合流弁22は、ブーム下げ操作時及びアーム引き操作時に第2位置IIに切り換わる。
【0056】
一方、第2パイロットポート22bは、パイロットポンプ52(
図4参照)に通じるパイロット一次圧ライン26(パイロットポンプ52とロック弁53との間に接続されたライン)に接続されている。これにより、合流弁22は、第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給されると第3位置(分配位置)IIIに切り換わる。
【0057】
ここで、パイロット一次圧ライン26には、第1分岐パイロットライン27が接続され、第1分岐パイロットライン27は、両走行モータ10、11用のコントロールバルブ18、20の中立位置のみで開通するパイロット圧通路を介してドレンライン66に接続されている。
【0058】
また、第1分岐パイロットライン27には、第2分岐パイロットライン29が接続されている。第2分岐パイロットライン29は、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19、ブームシリンダ6用のコントロールバルブ16、バケットシリンダ8用のコントロールバルブ17の中立位置でのみ開通するパイロット圧通路を介してドレンライン66に接続されている。
【0059】
これにより、ブームシリンダ6、アームシリンダ7、及びバケットシリンダ8のうちの少なくとも1つ、及び、右走行モータ11及び左走行モータ10の少なくとも一方の操作があったときに、第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給されて合流弁22が第3位置IIIに切り換わる。
【0060】
また、合流弁22は、第1入力ポートと、第2入力ポートと、第1出力ポートと、第2出力ポートと、第3出力ポートとを備えている(それぞれ符号省略)。第1入力ポートは、第3ポンプ15のポンプライン30に接続されている。第2入力ポートは、ポンプライン30のリリーフライン42よりも下流側の位置から分岐された第1分岐ライン31及び第2分岐ライン32のうちの第1分岐ライン31に接続されている。
【0061】
第1出力ポートは、アンロードライン33に接続され、第2出力ポートは、アームライン34に接続され、第3出力ポートは、ブームライン35に接続されている。ブームライン35には、絞り36が設けられている。
【0062】
アンロードライン33は、旋回用コントロールバルブ21のブリードオフ通路、合流切換弁37、及びタンク接続ライン38を介してタンクライン28に接続されている。アームライン34は、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19に接続されている。ブームライン35は、ブームシリンダ6用のコントロールバルブ16及びバケットシリンダ8用のコントロールバルブ17に接続されている。
【0063】
合流切換弁37は、第3ポンプ15から作動油のうち旋回モータ12用のコントロールバルブ21のブリードオフ通路を通った作動油をタンクTに戻すか、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19に供給するかを切り換えるために油圧ショベルに設けられている。
【0064】
具体的に、合流切換弁37は、第3回路Cと第2回路Bとの接続部分に設けられている。また、合流切換弁37は、ばね室と反対側に第1パイロットポート37a及び第2パイロットポート37bを備えている。
【0065】
両パイロットポート37a、37bにパイロット圧が供給されていない状態において、合流切換弁37は、第1位置aに付勢されている。この状態で、旋回操作がなければ、アンロードライン33及び旋回モータ12用のコントロールバルブ21を通って供給される第3ポンプ15からの作動油がタンク接続ライン38及びタンクライン28を通じてタンクTに戻る。
【0066】
一方、第1パイロットポート37aに接続された第1パイロットライン39には、ブームシリンダ6用のコントロールバルブ16に供給されるブーム上げパイロット圧が平行して供給される。したがって、合流切換弁37は、ブーム上げ操作時にブーム上げパイロット圧によって第2位置bに切り換えられる。合流切換弁37が第2位置bに切り換えられると、旋回モータ12用のコントロールバルブ21を経由して導かれた作動油は、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19に導かれる。
【0067】
第2パイロットポート37bに接続された第2パイロットライン40には、パイロット一次圧(
図4に示すパイロットポンプ52とロック弁53との間の圧力)が供給される。合流切換弁37は、パイロット一次圧が供給されることにより第3位置cに切り換えられる。合流切換弁37が第3位置cに切り換えられると、第2位置bと同様に、旋回モータ12用のコントロールバルブ21を経由して導かれた作動油は、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19に導かれる。
【0068】
ここで、第2パイロットライン40には、分岐パイロットライン41が接続されている。
【0069】
分岐パイロットライン41は、アームシリンダ7用のコントロールバルブ19の中立位置のみで開通するパイロット圧通路を介してドレンライン66に接続されている。
【0070】
したがって、アームシリンダ7の非駆動時には、第2パイロットライン40がタンクTに連通するため、合流切換弁37の第2パイロットポート37bにパイロット一次圧は供給されない。
【0071】
なお、合流弁22のパイロット一次圧ライン26及び合流切換弁37の第2パイロットライン40の各最上流部分には、それぞれ絞り26a、40aが設けられている。これらの絞り26a,40aにより、分岐パイロットライン27、41の通過油量を絞り、同ライン27,41に圧損による高い圧力が立たないようにしている。
【0072】
図2に示すように、タンクライン28には、合流ライン57が接続され、上述したリリーフライン42、コントロールバルブ16〜21及び合流切換弁37と通じてタンクライン28に導出された作動油は、合流ライン57においてまとめてタンクTに導かれる。
【0073】
また、ドレンライン66における第1分岐パイロットライン27、第2分岐パイロットライン29、及び分岐パイロットライン41の接続点よりも下流側(最下流の位置)には、パイロット切換弁45が設けられている。
【0074】
パイロット切換弁45は、パイロット一次圧を合流弁22の第2パイロットポート22bに伝えるための伝達位置P3と、パイロット一次圧が第2パイロットポート22bに伝わるのを阻止する阻止位置P4との間で切換可能である。
【0075】
パイロット切換弁45が伝達位置P3に切り換えられると、ドレンライン66を通じた作動油の流れがブロックされ、これにより、第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給される。一方、パイロット切換弁45が阻止位置P4に切り換えられると、ドレンライン66を通じた作動油の流れが許容されるため、パイロット一次圧は、第2パイロットポート22bに供給されない。
【0076】
具体的に、パイロット切換弁45は、ばね室と反対側に設けられた伝達側パイロットポート45aと、ばね室と同じ側に設けられた阻止側パイロットポート45bとを有する。
【0077】
伝達側パイロットポート45aは、接続ライン44を介して合流ライン57に接続されている。パイロット切換弁45に設けられたばねは、合流ライン57内の圧力が予め設定された基準圧未満であるときに、パイロット切換弁45が阻止位置P4に切り換えられるように設定された付勢力を有している。そのため、伝達側パイロットポート45aに基準圧以上の圧力が供給されると、パイロット切換弁45は、伝達位置P3に切り換えられる。
【0078】
ここで、作動油の温度が下がるほど、作動油の粘性が高くなり、合流ライン57内における圧力が上昇する。前記基準圧は、暖機運転が必要な作動油の温度として予め設定された基準温度の作動油が合流ライン57を通過する際に当該合流ライン57内に生じる圧力に設定されている。
【0079】
したがって、パイロット切換弁45は、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧未満であるときに阻止位置P4に付勢され、前記合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上(作動油の温度が暖機運転の必要な温度以下)であるときに合流ライン57内の作動油の圧力をパイロット圧として用いて伝達位置P3に自動的に切り換えられる。
【0080】
一方、パイロット切換弁45の阻止側パイロットポート45bは、パイロットライン70が接続されている。パイロットライン70には、
図4に示すようにロック弁53の二次側の圧力(以下、強制切換パイロット圧という)が供給される。ロック弁53がアンロック位置に切り換えられて強制切換パイロット圧がパイロットポンプ52の吐出圧まで上昇すると、伝達位置P3に切り換えられたパイロット切換弁45は、強制的に阻止位置P4に切り換えられる。つまり、パイロット切換弁45は、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上であっても、ロック弁53がアンロック位置P1に切り換えられたときにロック弁53を通じて供給されるパイロットポンプ52の作動油によって強制的に阻止位置P4に切り換えられる。
【0081】
具体的に、パイロットポンプ52の吐出圧によりパイロット切換弁45を切り換えようとする力とパイロット切換弁45のばねの付勢力との合力は、合流ライン57内の圧力として想定される最大圧力によりパイロット切換弁45を切り換えようとする力よりも大きく設定されている。
【0082】
以下、
図2及び
図4を参照して、自動暖機運転の動作について説明する。
【0083】
自動暖機運転は、乗降遮断レバー54が上げられている、つまり、作業が即座には実行されない状態であることを条件として実行される。
【0084】
この状態では、ロック弁53がロック位置P2に切り換えられているため、パイロットポンプ52から吐出された作動油は、当該ロック弁53によってブロックされている。そのため、パイロット切換弁45の阻止側パイロットポート45bにはパイロット圧が供給されておらず、全てのコントロールバルブ16〜21は中立位置に保持され、合流弁22は、第1位置Iに保持され、合流切換弁37は、切換位置aに保持されている。
【0085】
ここで、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧未満であるときは、パイロット切換弁45は、阻止位置P4に保持されている。この状態では、合流弁22の第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給されないため、合流弁22は、第1位置(許容位置)Iに保持される。
【0086】
これにより、第3ポンプ15からの作動油は、合流弁22、旋回モータ12用のコントロールバルブ21、合流切換弁37、及びタンク接続ライン38を通じてタンクライン28に導かれる。つまり、リリーフ弁43を迂回した迂回ラインを通じた作動油の流れが許容され(非リリーフ回路が許容状態に保持され)、自動暖機運転は実行されない。
【0087】
一方、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上であるときは、パイロット切換弁45は、合流ライン57内の作動油の圧力をパイロット圧として用いて伝達位置P3に切り換えられる。これにより、合流弁22の第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給され、当該合流弁22は、第3位置(分配位置)IIIに切り換わる。
【0088】
これにより、第3ポンプ15からの作動油は、アームライン34及びブームライン35を介してコントロールバルブ16、17、19に分配される。コントロールバルブ16、17、19は、合流弁22を通じて供給された作動油をブロックする中立位置と、合流弁22を通じて供給された作動油のアクチュエータ(ブームシリンダ6、アームシリンダ7、及びバケットシリンダ8)に対する給排を許容する作動位置とを有する。ここで、全てのコントロールバルブ16、17、19は、中立位置に保持されているため、合流弁22から供給された作動油はブロックされる。したがって、第3ポンプ15からの作動油は、リリーフ弁43をリリーフするとともにリリーフライン42を介してタンクライン28に導かれる(非リリーフ回路が迂回ラインを通じた作動油の流れを規制する規制状態に切り換えられる)。つまり、自動暖機運転が実行される。
【0089】
このように、第1実施形態では、コントロールバルブ16、17、19、合流弁22、及びパイロット切換弁45が、迂回ラインを通じた作動油の流れを許容する許容状態と、迂回ラインを通じた作動油の流れを規制する規制状態との間で切換可能な切換手段を構成する。
【0090】
一方、乗降遮断レバー54が下される、つまり、ロック弁53がアンロック位置P1に切り換えられると、パイロットポンプ52による強制切換パイロット圧がパイロット切換弁45の阻止側パイロットポート45bに供給される。これにより、パイロット切換弁45が阻止位置P4に切り換えられ、合流弁22の第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給されなくなり、当該合流弁22は、第1位置Iに復帰する。その結果、上述のように、第3ポンプ15からの作動油は、合流弁22、旋回モータ12用のコントロールバルブ21、合流切換弁37、及びタンク接続ライン38を通じてタンクライン28に導かれる。したがって、自動暖機運転は、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上であっても実行されない(中止される)。
【0091】
次に、乗降遮断レバー54が下された状態における油圧回路の動作について説明する。
【0092】
全ての操作手段46〜51の操作が無い状態では、
図2、3に示すように合流弁22及び合流切換弁37が第1位置I、aにある。この状態では、第3ポンプ15からの作動油は、ブームライン35を介して第1回路Aのコントロールバルブ16、17に供給可能である。但し、このとき旋回操作がなければ、ポンプライン30がアンロードライン33、旋回モータ12用のコントロールバルブ21、合流切換弁37、及びタンク接続ライン38を介してタンクライン28に接続される。そのため、第3ポンプ15のポンプ圧が上昇せず、操作手段50又は操作手段51の操作があっても第3ポンプ15からの作動油は、ブームシリンダ6及びバケットシリンダ8には供給されない。
【0093】
図2の状態においてブーム上げ操作のみが行われたときは、合流弁22は、第1位置Iに保持されたまま、合流切換弁37がブーム上げパイロット圧によって第2位置bに切り換えられる。この状態では、アンロードライン33とタンク接続ライン38との接続が合流切換弁37で遮断されてポンプライン30内に圧が立ち、第3ポンプ15からの作動油は、合流弁22、ブームライン35を介してブームシリンダ6に供給される。これにより、ブーム上げ動作が高速で行われる。
【0094】
一方、ブーム下げ単独操作時には、合流弁22がブーム下げパイロット圧の導入よって第2位置IIに切り換わる一方、合流切換弁37は第1位置aに保持される。この状態では、ポンプライン30内の圧が立たず、第3ポンプ15からの作動油は、アンロードライン33、コントロールバルブ21、合流切換弁37、タンク接続ライン38、タンクライン28の経路でタンクTに導かれる。つまり、第3ポンプ15からの作動油は、ブームシリンダ6に供給されない。
【0095】
図2の状態でブーム上げ操作と旋回操作とが同時に行われると、合流弁22は、第1位置Iに保持されたまま、合流切換弁37がブーム上げパイロット圧によって第2位置bに切り換わる。この状態では、アンロードライン33が旋回用コントロールバルブ21によって遮断され、ポンプライン30内に圧が立つ。そのため、第3ポンプ15からの作動油は、旋回用コントロールバルブ21に送られると同時に、ブームライン35を通じてブームシリンダ6用のコントロールバルブ16にパラレルに供給される。これにより、ブーム上げ及び旋回操作時には、第3ポンプ15からの作動油が第1ポンプ13からの作動油と合流してブームシリンダ6に供給される。
【0096】
なお、ブーム下げ/旋回操作時には、合流弁22が第2位置IIに切り換えられる一方、合流切換弁37が第1位置aに保持される。この状態では、第1分岐ライン31とブームライン35との接続が遮断されるため、第3ポンプ15からの作動油は、ブームシリンダ6には供給されない。
【0097】
図2の状態で旋回の単独操作が行われると、アンロードライン33が旋回用コントロールバルブ21で遮断されてポンプライン30に圧が立つ。これにより、第3ポンプ15からの作動油が第2分岐ライン32を経由して旋回モータ12用のコントロールバルブ21に供給されて旋回動作が行われる。
【0098】
図2の状態でアーム引きの操作が行われると、合流弁22の第1パイロットポート22aにアーム引きパイロット圧が導入されて合流弁22が第2位置IIに切り換わる。一方、合流切換弁37は、アーム用コントロールバルブ19において分岐パイロットライン41が遮断されることにより、第2パイロットポート37bにパイロット一次圧が供給されて第3位置cに切り換わる。
【0099】
この状態では、ブームライン35が合流弁22により遮断される一方、アンロードライン33が合流切換弁37を介してコントロールバルブ19に接続される。そのため、第3ポンプ15からの作動油は、第2ポンプ14からの作動油と合流してアームシリンダ7に供給される。これにより、ブーム上げ操作とアーム引き操作とを同時に行うブーム上げ/アーム引き操作時、すなわち所謂水平引き込み時に、アーム4の動作を優先して良好な水平引き込み動作が行われる。
【0100】
図2の状態において、左右の走行モータ10、11用のコントロールバルブ18,20の少なくとも一方が操作されても、他のコントロールバルブ16、17、19が非操作である場合には、合流弁22の両パイロットポート22a、22bにパイロット圧は供給されない。従って、合流弁22は、第1位置Iに保持される。
【0101】
この状態において、走行操作に加えて他のアクチュエータ(ブームシリンダ6、アームシリンダ7、又はバケットシリンダ8)の複合操作が行われると、合流弁22の第2パイロットポート22bにパイロット一次圧が供給され、合流弁22は、第3位置IIIに切り換わる。
【0102】
ここで、走行操作に加えてブーム上げ操作が行われた場合、合流切換弁37は、第2位置bに切り換えられ、走行操作に加えてアーム4の操作が行われた場合、合流切換弁37は、第3位置cに切り換えられる。この状態では、第3ポンプ15からの作動油は、第1回路A及び第2回路Bに供給可能である。これにより、両走行時に走行以外のアクチュエータ動作が確保される。
【0103】
以上説明したように、コントロールバルブ16、17、19、合流弁22、及びパイロット切換弁45により構成される切換手段が、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上になると規制状態に切換わる。そのため、油圧ポンプからの作動油は、リリーフライン42に導かれてリリーフ弁43を開放し、合流ライン57を通じてタンクTに導かれる。このとき、作動油は、リリーフ弁43の開放時に発生する熱によって温められる。
【0104】
また、リリーフライン42及び迂回ライン(第3ポンプ15からタンクTに至る通路のうちリリーフライン42を除く通路)の双方を通る作動油が合流する合流ライン57内の圧力をパイロット圧として用いている。そのため、切換手段が許容状態から規制状態に切り換わる際に合流ライン57を流れる作動油の流量及び圧力(切換手段に対するパイロット圧)の変動を防止することができる。これにより、切換手段の切換状態が不安定になるのを防止することができる。
【0105】
したがって、従来技術における圧力センサ及びその検出結果に基づく処理の実行を省略してコストを抑えつつ自動的に暖機運転を実行することができる。
【0106】
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0107】
第3ポンプ15からの作動油を複数のコントロールバルブ16、17、19に分配するための合流弁22を切換手段の一部として利用することができる。
【0108】
具体的に、合流弁22が第1位置I(許容位置)に切り換えられると、コントロールバルブ21、合流切換弁37及びタンク接続ライン38(迂回ライン)を通じた作動油の流れが許容される。つまり、この状態は、切換手段が許容状態に切り換えられた状態である。
【0109】
一方、合流弁22が第3位置III(分配位置)に切り換えられると、第3ポンプ15からの作動油が複数のコントロールバルブ16、17、19に導かれる。ここで、ロック弁53がアンロック位置P1にありコントロールバルブ16、17、19が作動位置に切り換えられた場合を想定すると、当該コントロールバルブ16、17、19を通じた作動油によって油圧アクチュエータ(ブーム3、アーム4、バケット5)が作動する。油圧アクチュエータから導出された作動油は、再びコントロールバルブ16、17、19を通じてタンクT(合流ライン57)に導かれる、つまり、この状態も、切換手段が許容状態に切り換えられた状態である。
【0110】
一方、ロック弁53がロック位置P2に切り換えられた状態において、合流弁22が第3位置IIIに切り換えられかつコントロールバルブ16、17、19の全てが中立位置に切り換えられると、第3ポンプ15からの作動油は各コントロールバルブ16、17、19によってブロックされ、リリーフライン42に導かれる。つまり、この状態は、切換手段が規制状態に切り換えられた状態である。
【0111】
このように、合流弁22及びコントロールバルブ16、17、19を切換手段として利用することにより、さらなるコストの低減を図ることができる。
【0112】
合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上になるとパイロット切換弁45が自動的に伝達位置に切り換えられるため、全てのコントロールバルブ16、17、19が中立位置にあることを条件として自動的に暖機運転を実行することができる。
【0113】
オペレータが運転席を離れるときにロック弁53がロック位置P2に切り換えられることにより(乗降遮断レバー54を上げることにより)操作手段46〜51の操作にかかわらず油圧アクチュエータの作動を禁止することができる。一方、オペレータが運転席に着座して作業を開始する際に(乗降遮断レバー54を下げた際に)ロック弁53がアンロック位置P1に切り換えられることにより操作手段46〜51の操作に応じた油圧アクチュエータの作動を許容することができる。
【0114】
ここで、パイロット切換弁45が阻止側パイロットポート45bを有するため、ロック弁53がアンロック位置P1に切り換えられたとき(例えば、オペレータが運転席に着座して作業を開始するとき)に暖機運転を禁止することができ、これにより、操作手段46〜51の操作内容に見合った油圧アクチュエータの作動を実現することができる。
【0115】
第3ポンプ15として固定容量式のポンプを採用しているため、油圧アクチュエータの負荷にかかわらず第3ポンプ15の吐出流量を一定に保つことができるため、切換手段の切換状態を安定化することができる。
【0116】
なお、第1実施形態において、パイロット切換弁45の阻止側パイロットポート45bを省略することもできる。この場合、暖機運転の実行及び停止は、次のように切り換えられる。
【0117】
合流弁22が第1位置I又は第2位置IIにある状態においては、第3ポンプ15からの作動油は、タンク接続ライン38又は操作されたコントロールバルブを通じて(迂回ラインを通じて)タンクライン28に導かれ、暖機運転は、実行されない。
【0118】
合流弁22が第3位置IIIに切り換えられる状況としては、(1)走行と作業アタッチメント9との複合動作が行われている状況と、(2)パイロット切換弁45が伝達位置P3に切り換えられた状況とが想定される。
【0119】
(1)の状況では、第3ポンプ15からの作動油は、作業アタッチメント9を駆動するコントロールバルブ16、17、19の少なくとも1つを通じて(迂回ラインを通じて)タンクライン28に導かれ、暖機運転は、実行されない。
【0120】
一方、(2)の状況において全てのコントロールバルブ16、17、19が中立位置に保持されていると、第3ポンプ15からの作動油は、リリーフ弁43を開放させるとともにリリーフライン42を通じてタンクTに導かれ、暖機運転が実行される。
【0121】
なお、(2)の状況においては、パイロット切換弁45によって合流弁22の第2パイロットポート22bに対するパイロット一次圧の供給状態が維持されているため、例えば、合流弁22を第3位置IIIに保持したまま、アーム押し操作を行うことができてしまう。このような状態を回避するために上述した第1実施形態のようにパイロット切換弁45の阻止側パイロットポート45b、及びロック弁53を設けることが好ましい。
【0122】
<第2実施形態(
図5)>
第1実施形態では、コントロールバルブ16、17、19、合流弁22、及びパイロット切換弁45によって切換手段が構成されているが、切換手段は1つの方向制御弁によって構成することもできる。
【0123】
具体的に、
図5に示す第2実施形態に係る油圧ショベルは、前記パイロット切換弁45に代えて、ポンプライン30におけるリリーフライン42の分岐点と第2分岐ライン32の分岐点との間に設けられた方向制御弁67を備えている。
【0124】
方向制御弁67は、迂回ライン(ポンプライン30におけるリリーフライン42の分岐点よりも下流側の通路)を通じた作動油の流れを許容する許容位置P5と、迂回ラインを通じた作動油の流れを規制する規制位置P6との間で切り換え可能である。
【0125】
また、方向制御弁67は、ばね室と反対側に設けられた規制側パイロットポート67aと、ばね室と同じ側に設けられた許容側パイロットポート67bとを備えている。規制側パイロットポート67aには、合流ライン57(
図2参照)内の圧力が供給される一方、許容側パイロットポート67bには、パイロットポンプ52(
図4参照)による強制切換パイロット圧が供給される。
【0126】
合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧未満であるときに、方向制御弁67は、許容位置P5に付勢され、この状態においては、リリーフ弁43を迂回した迂回ラインを通じた作動油の流れが許容される。つまり、自動暖機運転が行われない。
【0127】
一方、合流ライン57内の作動油の圧力が基準圧以上になると方向制御弁67は、規制位置P6に切り換えられる。この状態においては、迂回ラインを通じた作動油の流れが規制されるため、第3ポンプ15からの作動油は、リリーフ弁43をリリーフしつつリリーフライン42を流れる。つまり、自動暖機運転が実行される。
【0128】
ここで、乗降遮断レバー54(
図4参照)が下されると、ロック弁53がアンロック位置P1に切り換えられる結果、パイロットポンプ52からの強制パイロット圧によってパイロット切換弁67は、強制的に許容位置P5に切り換えられる。つまり、自動暖機運転が停止(中止)する。
【0129】
<第3実施形態(
図6)>
前記実施形態では、合流弁22によって第3ポンプ15からの作動油を複数のコントロールバルブ16、17、19に分配(第1ポンプ13及び第2ポンプ14からの作動油に合流)すること前提としているが、合流弁22を有しない構成においても自動暖機運転を実行することが可能である。
【0130】
具体的に、
図6に示す第3実施形態に係る油圧ショベルは、ブームシリンダ6と、ブームシリンダ6に作動油を供給するための固定容量式の油圧ポンプ58と、ブームシリンダ6に対する作動油の給排を制御するコントロールバルブ62と、油圧ポンプ58とコントロールバルブ62とを接続するポンプライン61に設けられた方向制御弁64と、方向制御弁64の上流側でポンプライン61から分岐するリリーフライン59に設けられたリリーフ弁60と、方向制御弁64に電気指令を出力するコントローラ56とを備えている。
【0131】
ポンプライン61は、コントロールバルブ62の中立位置でのみ開口するセンターバイパス通路を介してタンク接続ライン68に接続されている。また、コントロールバルブ62の入力ポートには、方向制御弁64の下流側でポンプライン61から分岐する供給側ライン65が接続されている。一方、コントロールバルブ62の出力ポートに接続されたタンク側ライン69は、タンク接続ライン68に接続されている。タンク接続ライン68の下流端及びリリーフライン59の下流端は、合流ライン63に接続され、これにより、タンク接続ライン68及びリリーフライン59からの作動油は、合流ライン63においてまとめてタンクTに導かれる。
【0132】
方向制御弁64は、ポンプライン61(迂回ライン)を通じた作動油の流れを許容する許容位置P7と、ポンプライン61を通じた作動油の流れを規制する規制位置P8との間で切換可能である。
【0133】
また、方向制御弁64は、ばね室と反対側に設けられたパイロットポート64aと、ばね室と同じ側に設けられたソレノイド64bとを備えている。パイロットポート64aは、合流ライン63に接続され、ソレノイド64bは、コントローラ56に接続されている。
【0134】
そして、方向制御弁64のばねは、合流ライン63内の圧力が予め設定された基準圧未満であるときに方向制御弁64が許容位置P7に保持され、合流ライン63内の圧力が基準圧以上であるときに方向制御弁64が規制位置P8に切り換わるように設定された付勢力を有する。したがって、油圧ショベルが低温状態となる(合流ライン63内の圧力が基準圧以上となる)ことにより方向制御弁64が規制位置P8に切り換えられ、これにより、リリーフ弁60がリリーフして作動油がリリーフライン59を通じて流れる結果、自動的に暖機運転が実行される。
【0135】
一方、コントローラ56は、第1実施形態と同様に、乗降遮断レバー54(
図4参照)が下されたときに電気指令を出力する。これにより、合流ライン63内の圧力が基準圧以上であっても、乗降遮断レバー54が下されることにより暖機運転を禁止することができる。
【0136】
なお、建設機械は、油圧ショベルに限定されず、クレーン及び解体機でもよく、油圧式に限定されずハイブリッド式のものでもよい。