特許第6402672号(P6402672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402672
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   H05K7/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-74181(P2015-74181)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-195173(P2016-195173A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】武居 栄一
【審査官】 石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−281180(JP,A)
【文献】 特開平05−136578(JP,A)
【文献】 特開2003−142174(JP,A)
【文献】 米国特許第06538197(US,B1)
【文献】 実開平04−059196(JP,U)
【文献】 特開平11−017383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58−4/72
12/00−12/91
24/00−24/86
H05K 5/00−5/06
7/14
9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドに電気的に接続されるベース部材と、
前記ベース部材に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板と、
前記ベース部材に固定される弾性部材であって、前記ベース部材と前記回路基板とを電気的に接続する弾性接続部材と、を備え、
前記弾性接続部材は、前記ベース部材に固定される固定部と、前記ベース部材から離れた位置に配置される第1当接部と、前記第1当接部を挟んで前記固定部とは反対側に設けられた第2当接部と、を備え、
前記第1当接部は、前記回路基板が前記固定位置に固定された状態で前記回路基板の接続対象箇所に当接するように設けられ、
前記第2当接部は、前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接している状態及び前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接していない状態の双方で、前記弾性接続部材の弾性力により前記ベース部材に向けて付勢された状態で前記ベース部材に当接している電子機器。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記第2当接部が当接する第1面と、前記第1面に対して交差する方向に沿って延びる第2面と、を有し、
前記固定部は、前記第2面に固定され、
前記弾性接続部材は、前記固定部と前記第1当接部との間に設けられた第3当接部を更に備え、
前記第2当接部及び前記第3当接部は、前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接している状態及び前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接していない状態との双方で、前記弾性接続部材の弾性力により前記第1面に向けて付勢された状態で前記第1面に当接している請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性接続部材の少なくとも一部が、弾性を有する板材で構成され、
前記第1当接部は、前記板材により形成され、前記接続対象箇所に対して板厚方向に当接し、
前記第2当接部は、前記板材により形成され、前記ベース部材に対して板厚方向に当接している請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記弾性接続部材は、1つの前記固定部と当該固定部から延びる複数の弾性部とを備え、
前記弾性部の夫々が、前記固定部に接続される接続部と、前記第1当接部と、前記第2当接部と、を備え、
前記弾性接続部材は、前記接続対象箇所に当接していない状態で、第1の前記弾性部における前記接続部と前記第1当接部との相対位置関係と、第2の前記弾性部における前記接続部と前記第1当接部との相対位置関係と、が異なっている請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドに電気的に接続されるベース部材と、前記ベース部材に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板と、前記ベース部材に固定される弾性部材であって、前記ベース部材と前記回路基板とを電気的に接続する弾性接続部材と、を備えている電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電子機器として、特開2010−86932号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、この背景技術の欄の説明では、〔〕内に特許文献1における部材名や符号を引用して説明する。
特許文献1には、ベース部材〔シャーシ10〕と、回路基板〔プリント基板20〕と、弾性接続部材〔板バネ10x〕とを備えた電子機器において、ベース部材と回路基板とを弾性接続部材にて電気的に接続するための技術が記載されている。
具体的には、特許文献の図4(B)に示される構成では、弾性接続部材に、ベース部材に固定される固定部〔固定部61〕と、ベース部材から離れた位置に配置される当接部〔端子部63の一部〕とを備え、回路基板が固定位置に固定された状態で回路基板の接続対象箇所に弾性接続部材の当接部を当接させることで、ベース部材と回路基板とを電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86932号公報(段落0010、0020、0021、図3及び図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当接部が回路基板の接続対象個所に当接している状態では、当接部は、弾性接続部材の弾性力により回路基板の接続対象個所に向けて付勢された状態で回路基板の接続対象個所に当接している。しかし、例えば、車両や工作機械等に用いられる場合のように、回路基板や弾性接続部材に振動が伝達される場合には、その振動により当接部が回路基板に対して当接と離間を繰り返すことにより、異音が発生する可能性があった。また、弾性接続部材が振動を繰り返すことにより強度が低下する恐れもあった。当接部が回路基板の接続対象箇所に当接していない場合は、更に弾性接続部材に振動が生じ易い。
【0005】
そこで、弾性接続部材が振動し難い電子機器の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた電子機器の特徴構成は、グランドに電気的に接続されるベース部材と、前記ベース部材に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板と、前記ベース部材に固定される弾性部材であって、前記ベース部材と前記回路基板とを電気的に接続する弾性接続部材と、を備え、前記弾性接続部材は、前記ベース部材に固定される固定部と、前記ベース部材から離れた位置に配置される第1当接部と、前記第1当接部を挟んで前記固定部とは反対側に設けられた第2当接部と、を備え、前記第1当接部は、前記回路基板が前記固定位置に固定された状態で前記回路基板の接続対象箇所に当接するように設けられ、前記第2当接部は、前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接している状態及び前記第1当接部が前記接続対象箇所に当接していない状態の双方で、前記弾性接続部材の弾性力により前記ベース部材に向けて付勢された状態で前記ベース部材に当接している点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、回路基板を固定位置に固定することで回路基板の接続対象箇所に弾性接続部材が当接し、回路基板をグランドに電気的に接続することができる。
そして、弾性接続部材は、固定部がベース部材に固定され、第1当接部を挟んで固定部とは反対側に設けられた第2当接部が弾性接続部材の弾性力によりベース部材に向けて付勢された状態でベース部材に当接している。このような第2当接部を備えることにより、第1当接部が回路基板の接続対象個所から離れる方向に移動することが抑えられて、弾性接続部材が振動し難くなる。従って、第1当接部が接続対象箇所に当接しているか否かに関わらず、弾性接続部材が振動し難い構成が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ベース部材と第1回路基板との分解斜視図
図2】第1回路基板をベース部材に固定した状態の斜視図
図3】第1回路基板をベース部材に固定した状態の正面図
図4】ベース部材と第2回路基板との分解斜視図
図5】第2回路基板をベース部材に固定した状態の斜視図
図6】第2回路基板をベース部材に固定した状態の正面図
図7】弾性接続部材の斜視図
図8】弾性接続部材の平面図
図9】弾性接続部材の正面図
図10】第1当接部がコネクタに当接している状態を示す側面図
図11】第1当接部がコネクタに当接していない状態を示す側面図
図12】別実施形態(1)の弾性接続部材の斜視図
図13】別実施形態(1)の第1当接部がコネクタに当接している状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づいて説明する。図1及び図4は、本実施形態に係る電子機器に係るベース部材2及び回路基板3を簡略化して示した分解斜視図である。図2及び図5は、回路基板3を固定位置に固定した状態を示した斜視図である。図3及び図6は、ベース部材2及び回路基板3の正面図である。また、図1図3は、回路基板3として第1回路基板3Aを採用した場合の図であり、図4図6は、回路基板3として第2回路基板3Bを採用した場合の図である。
尚、以下の説明における各部材についての方向や位置等に関する用語は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態を含む概念である。
【0010】
電子機器は、例えば、ユーザに対して地点や経路に関する案内情報を提供する機能(ナビゲーション機能)を有するナビゲーション装置、ユーザに対して音声や映像を提供する機能(オーディオ機能)を有するオーディオ装置、或いはこれらの双方の機能を有する複合装置等とされる。そのため、電子機器には、例えば、回路基板3として、ナビゲーション機能を実現するための制御基板や、オーディオ機能を実現するための制御基板等が配置される。なお、回路基板3には、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算処置装置や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置が実装される。また、ベース部材2には、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置や、光ディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体内のデータを読み取ることが可能なドライブ装置等が配置される。
また、電子機器は、車両に搭載される車載用の電子機器であっても良い。この場合、例えば、ベース部材2が車室内の収容空間(例えば、インストルメントパネル、ダッシュボード、コンソール等の内部)に挿入された状態で、車体に固定される。
【0011】
次に、電子機器に備えられている、グランドに電気的に接続されるベース部材2、ベース部材2に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板3、及び、ベース部材2と回路基板3とを電気的に接続する弾性接続部材4について説明する。尚、図2及び図5に示すように、回路基板3が固定位置に固定されている状態において、回路基板3に備えられている複数のコネクタ7が並ぶ方向を幅方向Yと称し、その幅方向Yに対して平面視で直交する方向を前後方向Xと称して説明する。また、前後方向Xにおけるコネクタ7に対して外部接続端子が挿入される向きを第1方向X1とし、前後方向Xにおけるコネクタ7に対して外部接続端子が抜出される向きを第2方向X2として説明する。
【0012】
図1図6に示すように、回路基板3には、外部接続端子が接続されるコネクタ7が複数備えられている。この外部接続端子は、例えば、電子機器が、車両に搭載される車載用のナビゲーション装置である場合であれば、車両に装備されたハーネスの端部に備えられている車両側コネクタが相当する。
【0013】
図1図6に示すように、回路基板3は、平板状の基板本体6と、その基板本体6に固定された複数のコネクタ7(本実施形態では7つ又は5つのコネクタ7)と、を備えている。本実施形態では、基板本体6は、平面視で矩形状に形成されている。複数のコネクタ7は、基板本体6における前後方向Xにおける第2方向X2側の端部に位置して幅方向Yに延びるコネクタ設置用縁部6aに、幅方向Yに沿って並設されている。
このように、回路基板3は、コネクタ設置用縁部6aに複数のコネクタ7が装着されている。具体的には、図1図3に示す第1回路基板3Aには、7つのコネクタ7が装着され、図4図6に示す第2回路基板3Bには、5つのコネクタ7が装着されている。
そして、本実施形態では、回路基板3として第1回路基板3Aと第2回路基板3Bとの2種類の回路基板3があり、第1回路基板3Aと第2回路基板3Bとの何れか一方の回路基板3が、2種類の回路基板3に共通のベース部材2に固定される。ここで、回路基板3とベース部材2との固定は、ビス等の固定部材を用いて行われる。このように、回路基板3がベース部材2に固定されることで、回路基板3は、図2図3図5及び図6に示すように、ベース部材2に対して予め設定された位置である固定位置に固定される。
【0014】
コネクタ7の表面には、導電性を有する材料を用いて形成された導電部材が設けられている。具体的には、コネクタ7は、非導電性を有する材料により形成されたハウジングの周囲を、導電性を有する材料(例えば、銅、アルミニウム、鉄等の金属等)により形成されたシート体(例えば、繊維状や薄膜状のシート)とされた導電部材で覆って構成されている。また、基板本体6におけるコネクタ7が接触する部分には、グランドに電気的に接続されたランドが形成されている。コネクタ7及び基板本体6をこのように構成することで、コネクタ7における弾性接続部材4が当接する面(コネクタ7の接続面)がグランドに電気的に接続されている。ここでは、コネクタ7の接続面は、コネクタ7におけるベース部材2(後述する第1面15a)と対向する面(図1〜6における下側を向く面)とされている。
尚、コネクタ7は、ハウジングの一部に導電性を有する材料を設けた構成としてもよい。例えば、コネクタ7は、ハウジングにおける接続面(弾性接続部材4が当接する面)の少なくとも一部を覆うように板状の導電性部材を配置した構成としてもよい。この場合、コネクタ7の当該導電性部材と、基板本体6に形成された前記ランドとを電気的に接続する接続部材が設けられるとよい。
【0015】
回路基板3に装着されるコネクタ7には、複数の種類があり、回路基板3が固定位置に固定された状態でコネクタ7の接続面の高さが異なるものやその接続面の大きさが幅方向Yに異なるもの等がある。本実施形態では、第1回路基板3A及び第2回路基板3Bの双方について、4種類の異なる形状のコネクタ7が装着されている。
ちなみに、本例では、第2回路基板3Bに装着されている5つのコネクタ7は、第1回路基板3Aに装着されている一部のコネクタ7と、同じ形状に形成され且つ基板本体6に対して同じ位置に装着されている。
【0016】
ベース部材2は、ベース本体部10と弾性接続部材4が固定される固定用部材11とを備えている。ベース本体部10及び固定用部材11は、導電性を有する材料(例えば、銅、アルミニウム、鉄等の金属等。以下同様)にて構成されている。ベース部材2は、グランドに電気的に接続された状態で設置される。例えば、電子機器が、車両に搭載される車載用の電子機器である場合では、車両のグランド電位部に接続される。
【0017】
ベース本体部10には、ベース底部分12と、このベース底部分12における幅方向Yの両縁部及び前後方向Xの第2方向X2側の縁部においてベース底部分12から離れる側に向けて延びるベース壁部分13と、を備えている。ベース壁部分13における前後方向の第2方向X2側の縁部においてベース底部分12から離れる側に向けて延びる部分には、ベース壁部分13がコネクタ7と前後方向Xに見て重ならないように切欠き14が形成されている。
【0018】
固定用部材11は、ベース底部分12に固定される底部15と、その底部15における幅方向Yの両縁部及び前後方向Xの第1方向X1側の縁部において底部15から離れる側に向けて延びる壁部16と、を備えている。図10及び図11に示すように、固定用部材11は、底部15と当該底部15における前後方向の第1方向X1の縁部において底部15から離れる側に向けて延びる壁部16(固定用壁部17と称する場合がある)とにより幅方向Yに見てL字状に形成されている。
【0019】
図1及び図4に示すように、固定用部材11の底部15がベース底部分12に連結されることで、固定用部材11がベース本体部10に直接固定され、固定用部材11とベース本体部10とが電気的に接続される。そして、固定用部材11の壁部16は、固定用部材11をベース本体部10に固定した状態でベース壁部分13より低い高さに形成されている。図2及び図5に示すように、基板本体6は、ベース壁部分13に囲まれる空間に収容されると共に壁部16に載置される状態で、ベース部材2に固定される。
【0020】
底部15の回路基板3に対向する面が、弾性接続部材4の第2当接部21が当接する第1面15aに相当し、固定用壁部17の第2方向X2を向く面が第2面17aに相当する。このように、ベース部材2には、第2当接部21が当接する第1面15aと、第1面15aに対して交差する方向に延びる第2面17aと、を有しており、これら第1面15a及び第2面17aは、グランドに電気的に接続されている。
【0021】
弾性接続部材4は、ベース部材2に固定される弾性変形可能な弾性部材である。図7図9に示すように、弾性接続部材4は、ベース部材2に固定される固定部19と、ベース部材2から離れた位置に配置される第1当接部20と、第1当接部20を挟んで固定部19とは反対側に設けられた第2当接部21と、第1当接部20と第2当接部21との間に設けられた第3当接部22と、を備えている。弾性接続部材4は、少なくとも一部が弾性を有する板材で構成され、第1当接部20、第2当接部21、及び第3当接部22が板材にて構成されていると好適である。本実施形態では、弾性接続部材4の全体が弾性を有する板材で構成され、固定部19、第1当接部20、第2当接部21及び第3当接部22のいずれもが板材にて構成されている。弾性を有する板材は、具体的には、導電性を有する材料で形成された板バネとされている。
【0022】
本実施形態では、弾性接続部材4は、1つの固定部19と当該固定部19から延びる複数の弾性部23とを備えている。そして、弾性部23の夫々が、固定部19に接続される接続部24と、第1当接部20と、第2当接部21と、第3当接部22と、を備えている。
【0023】
固定部19は、当該固定部19の面方向が固定用壁部17の面方向に沿う姿勢で、固定用壁部17の第2面17aに固定されている。そして、固定部19における第1面15a側の端部に、複数の弾性部23が接続されている。複数の弾性部23は幅方向Yに並ぶ状態で固定部19に接続されている。
【0024】
弾性部23の夫々は、接続部24から弾性部23の先端に向けて、第3当接部22、第1当接部20、第2当接部21の順に備えている。そして、第1当接部20は第3当接部22と第2当接部21との間に位置し、第2当接部21は、弾性部23の先端に位置している。
【0025】
弾性部23における接続部24と第3当接部22との間に位置する部分が、接続部24から、第1面15a側に向かうと共に前後方向Xの第2方向X2に向かうように斜めに延びており、第3当接部22が第1面15aに当接している。更に、弾性部23における第3当接部22と第1当接部20との間に位置する部分が、第3当接部22から、第1面15aから離れる側に向かうと共に前後方向Xの第2方向X2に向かうように斜めに延びており、第1当接部20がコネクタ7の接続面に当接している。そして、弾性部23における第1当接部20と第2当接部21との間に位置する部分が、第1当接部20から、第1面15a側に向かうと共に前後方向Xの第2方向X2に向かうように斜めに延びており、第2当接部21が第1面15aに当接している。このように、弾性接続部材4の第3当接部22、第1当接部20、及び第2当接部21により構成される部分は、幅方向Yに見て山形となるように屈曲された板状に形成されている。
【0026】
そして、第1当接部20は、回路基板3が固定位置に固定された状態で回路基板3のコネクタ7の接続面に対して第1当接部20の板厚方向に当接するように設けられている。第1当接部20がコネクタ7の接続面に当接している状態では、コネクタ7の接続面が第1当接部20に押し付けられており、第1当接部20は、弾性接続部材4の弾性力によりコネクタ7の接続面に向けて付勢された状態でコネクタ7の接続面に当接している。尚、本実施形態では、コネクタ7が、第1当接部20が当接する回路基板3の接続対象箇所に相当する。
【0027】
また、第2当接部21及び第3当接部22は、第1当接部20がコネクタ7に当接している状態及び第1当接部20がコネクタ7に当接していない状態の双方で、弾性接続部材4の弾性力によりベース部材2の第1面15aに向けて付勢された状態で、ベース部材2の第1面15aに対して第2当接部21の板厚方向に当接している。また、第3当接部22は、第1面15aに対して第3当接部22の板厚方向に当接している。
ちなみに、回路基板3が固定位置に固定された状態では、回路基板3におけるコネクタ7の接続面と第1面15aとは互いに対向する平行な面となっている。
【0028】
複数の弾性部23の中には、いずれもがコネクタ7に当接していない状態で、接続部24と第1当接部20との相対位置関係が互いに異なるものが含まれている。すなわち、弾性部23によって、接続部24と第2当接部21との間に位置する部分の固定部19に対する曲げ角度や当該部分の長さが異なるものがある。具体的には、第1の弾性部23(例えば、図7における右上から1つ目又は2つ目の弾性部23)と、第2の弾性部23(例えば、図7における右上から3つ目又は4つ目の弾性部23)とでは、図7図9に示すように、弾性部23における接続部24と第2当接部21との間に位置する部分の固定部19に対する曲げ角度や当該部分の長さが異なっており、第1の弾性部23における接続部24に対する第1当接部20の高さが、第2の弾性部23における接続部24に対する第1当接部20の高さより高くなっている。ちなみに、本例では、第1の弾性部23における接続部24に対する第1当接部20の前後方向Xでの離間距離は、第2の弾性部23における接続部24に対する第1当接部20の前後方向Xでの離間距離と同じになっているが、これらが異なる場合もあり得る。
このように、弾性接続部材4は、コネクタ7に当接していない状態で、第1の弾性部23における接続部24と第1当接部20との相対位置関係と、第2の弾性部23における接続部24と第1当接部20との相対位置関係と、が異なっている。なお、本実施形態では、第1の弾性部23と第2の弾性部23との幅(幅方向Yの長さ)も互いに異なっている。
【0029】
また、本実施形態では、図3に示すように、複数のコネクタ7の中には、1つの弾性部23(第1当接部20)が当接しているコネクタ7(図3に示す右から4つ目のコネクタ7)や、複数(2つ)の弾性部23が当接しているコネクタ7(図3に示す右から1〜3つ目のコネクタ7)や、弾性部23が当接していないコネクタ7(図3に示す右から5〜7つ目のコネクタ7)が存在している。
【0030】
上記のとおり、本実施形態では、第1回路基板3Aと第2回路基板3Bとの構成が異なっており、具体的にはコネクタ7の数が異なっている。そのため、第1回路基板3Aをベース部材2に固定した場合は、複数の弾性部23における第1当接部20の全てが複数のコネクタ7のいずれかに当接しているが、第2回路基板3Bをベース部材2に固定した場合は、複数の弾性部23の中の一部に、第1当接部20がいずれのコネクタ7にも当接していないものが存在している。このように、第1当接部20がコネクタ7に当接していない場合でも、図11に示すように、第2当接部21及び第3当接部22は、ベース部材2に当接している。従って、接続対象箇所(本例ではコネクタ7)の位置や数が異なる複数種類の回路基板3に対して、共通の弾性接続部材4を用いた場合にも、弾性接続部材4が振動し難い構造が得られる。そのため、このような場合にも、異音の発生や弾性接続部材4の強度の低下等の問題が生じ難い。
【0031】
3.その他の実施形態
最後に、その他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0032】
(1)上記の実施形態においては、弾性接続部材4が、第1当接部20と第2当接部21とに加えて、第3当接部22を備える構成を例として説明したが、第3当接部22を備えない構成としても好適である。この場合、弾性接続部材4は、固定部19との接続部24から第1当接部20までの間は、ベース部材2(第1面15a)に当接せず、ベース部材2(第1面15a)から離間した構成となる。
【0033】
(2)上記の実施形態において、固定部19を、第2当接部21が当接する第1面15aに対して交差する方向に沿って延びる第2面17aに固定したが、図12及び図13に示すように、固定部19を、第2当接部21が当接する第1面15aに固定してもよい。この場合、弾性接続部材4は、第3当接部22を備えない構成となる。
【0034】
(3)上記の実施形態において、1つの固定部19に対して複数の弾性部23を備えたが、1つの固定部19に対して1つの弾性部23のみを備えてもよい。
【0035】
(4)上記の実施形態において、弾性接続部材4は、コネクタ7に当接していない状態で、第1の弾性部23における接続部24と第1当接部20との相対位置関係と、第2の弾性部23における接続部24と第1当接部20との相対位置関係とを異ならせたが、弾性接続部材4は、コネクタ7に当接していない状態で、全ての弾性部23における接続部24と第1当接部20との相対位置関係が同じであってもよい。
【0036】
(5)上記の実施形態において、弾性接続部材4の全体を弾性を有する板材で構成したが、例えば、固定部19を剛性の高い部材とし、接続部24から第2当接部21までを、弾性を有する板材で構成しても好適である。このように固定部19が剛性の高い部材とされる場合として、例えば、固定部19に雌ねじが形成され、そのために固定部19が他の部分に比べて厚みを有する場合等がある。また、例えば、固定部19を板材で構成し、接続部24から第2当接部21までを弾性を有する線材等、板材以外の部材で構成してもよい。
【0037】
(6)上記の実施形態においては、回路基板3に備えられているコネクタ7を、弾性接続部材4の第1当接部20が当接する接続対象箇所としたが、回路基板3の接続対象箇所は適宜変更することができる。例えば、基板本体6におけるベース部材2(詳しくは第1面15a)と対向する面を、接続対象箇所としてもよい。この場合、基板本体6の当該接続対象箇所には、弾性接続部材4と当接して電気的に接続するためのランド等が形成される。
【0038】
〔上記実施形態の概要〕
以上で説明した実施形態は、少なくとも以下の構成を備えている。
グランドに電気的に接続されるベース部材(2)と、前記ベース部材(2)に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板(3)と、前記ベース部材(2)に固定される弾性部材であって、前記ベース部材(2)と前記回路基板(3)とを電気的に接続する弾性接続部材(4)と、を備え、前記弾性接続部材(4)は、前記ベース部材(2)に固定される固定部(19)と、前記ベース部材(19)から離れた位置に配置される第1当接部(20)と、前記第1当接部(20)を挟んで前記固定部(19)とは反対側に設けられた第2当接部(21)と、を備え、前記第1当接部(20)は、前記回路基板(3)が前記固定位置に固定された状態で前記回路基板(3)の接続対象箇所(7)に当接し、前記第2当接部(21)は、前記第1当接部(20)が前記接続対象箇所(7)に当接している状態及び前記第1当接部(20)が前記接続対象箇所(7)に当接していない状態の双方で、前記弾性接続部材(4)の弾性力により前記ベース部材(2)に向けて付勢された状態で前記ベース部材(2)に当接している。
【0039】
このような構成により、回路基板(3)を固定位置に固定することで回路基板(3)の接続対象箇所(7)に弾性接続部材(4)が当接し、回路基板(3)をグランドに電気的に接続することができる。
そして、弾性接続部材(4)は、固定部(19)がベース部材(2)に固定され、第1当接部(20)を挟んで固定部(19)とは反対側に設けられた第2当接部(21)が弾性接続部材(4)の弾性力によりベース部材(2)に向けて付勢された状態でベース部材(2)に当接している。このような第2当接部(21)を備えることにより、第1当接部(20)が回路基板(3)の接続対象個所(7)から離れる方向に移動することが抑えられて、弾性接続部材(4)が振動し難くなる。従って、第1当接部(20)が接続対象箇所(7)に当接しているか否かに関わらず、弾性接続部材(4)が振動し難い構成が得られる。
【0040】
また、前記ベース部材(2)は、前記第2当接部(21)が当接する第1面(15a)と、前記第1面(15a)に対して交差する方向に沿って延びる第2面(17a)と、を有し、前記固定部(19)は、前記第2面(17a)に固定され、前記弾性接続部材(4)は、前記固定部(19)と前記第1当接部(20)との間に設けられた第3当接部(22)を更に備え、前記第2当接部(21)及び前記第3当接部(22)は、前記第1当接部(20)が前記接続対象箇所(7)に当接している状態及び前記第1当接部(20)が前記接続対象箇所(7)に当接していない状態との双方で、前記弾性接続部材(4)の弾性力により前記第1面(15a)に向けて付勢された状態で前記第1面(15a)に当接していると好適である。
【0041】
この構成によれば、第2当接部(21)に加えて第3当接部(22)を第2面(17a)に当接させることで、弾性接続部材(4)がベース部材(2)に接触する面積を広げることができる。従って、ベース部材(2)と回路基板(3)との間の電気抵抗の低減を図ることができる。
また、第2当接部(21)及び第3当接部(22)が当接する第1面(15a)とは別の第2面(17a)に固定部(19)を固定することで、第1面(15a)における弾性接続部材(4)の配置スペースが十分でない場合でも、上述の如く、弾性接続部材(4)がベース部材(2)に接触する面積を確保しつつ、弾性接続部材(4)をベース部材(2)に固定できる。
【0042】
また、前記弾性接続部材(4)の少なくとも一部が、弾性を有する板材で構成され、前記第1当接部(20)は、前記板材により形成され、前記接続対象箇所(7)に対して板厚方向に当接し、前記第2当接部(21)は、前記板材により形成され、前記ベース部材(2)に対して板厚方向に当接していると好適である。
【0043】
この構成によれば、弾性接続部材(4)における回路基板(3)の接続対象箇所(7)に当接する部分である第1当接部(20)及びそれを支える第2当接部(21)が適切な弾性を有する構造を、簡易かつ安価に実現することができる。また、板材で構成した第1当接部(20)及び第2当接部(21)を、板厚方向に当接させているので、第1当接部(20)及び第2当接部(21)を当接対象に対して広い面積で当接させることができる。従って、ベース部材(2)と回路基板(3)との間の電気抵抗の低減を図ることができる。
【0044】
また、前記弾性接続部材(4)は、1つの前記固定部(19)と当該固定部(19)から延びる複数の弾性部(23)とを備え、前記弾性部(23)の夫々が、前記固定部(19)に接続される接続部(24)と、前記第1当接部(20)と、前記第2当接部(21)と、を備え、前記弾性接続部材(4)は、前記接続対象箇所(7)に当接していない状態で、第1の前記弾性部(23)における前記接続部(24)と前記第1当接部(20)との相対位置関係と、第2の前記弾性部(23)における前記接続部(24)と前記第1当接部(20)との相対位置関係と、が異なっていると好適である。
【0045】
この構成によれば、回路基板(3)の複数の接続対象箇所(7)に接続する弾性接続部材(4)を備える場合に、一つの固定部(19)をベース部材(2)に固定するだけでよいため、回路基板(3)の複数の接続対象箇所(7)のそれぞれに対して別々の弾性接続部材(4)を設ける場合に比べて、製造工程の簡略化を図ることができる。また、第1の弾性部(23)における接続部(24)と第1当接部(20)との相対位置関係と、第2の弾性部(23)における接続部(24)と第1当接部(20)との相対位置関係と、が異なっているので、回路基板(3)の複数の接続対象箇所(7)の位置が様々に異なる場合であっても、それぞれの接続対象箇所(7)の位置に合わせて複数の弾性部(23)のそれぞれの第1当接部(20)を適切に配置し、適正に当接させることができる。
更に、上記のとおり、第1当接部(20)が接続対象箇所(7)に当接しているか否かに関わらず、弾性接続部材(7)が振動し難い構成であるので、複数の弾性部(23)の内の一部の第1当接部(20)が接続対象箇所(7)に当接していない場合でも、当該一部の弾性部(23)が振動し難い構成となっている。これにより、回路基板(3)の種類に応じて異なる弾性部(23)を用いることが可能となる。よって、複数種類の回路基板(3)に対して共通の弾性接続部材(4)を用いることができ、部品種別数の低減や製造工程の簡略化を図ることが容易となっている。
【産業上の利用可能性】
【0046】
グランドに電気的に接続されるベース部材と、前記ベース部材に対して予め定められた位置である固定位置に固定される回路基板と、前記ベース部材に固定される弾性部材であって、前記ベース部材と前記回路基板とを電気的に接続する弾性接続部材と、を備えている電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
2:ベース部材
3:回路基板
4:弾性接続部材
7:コネクタ(接続対象箇所)
15a:第1面
17a:第2面
19:固定部
20:第1当接部
21:第2当接部
22:第3当接部
23:弾性部
24:接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13