(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヘッドランプの前記取付け座に対する位置決めは、前記ヘッドランプ及び前記取付け座の一方に設けられた位置決め突部が、他方に設けられた位置決め凹部に嵌合されることによりなされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用外装品の取付け構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のように、グリルとヘッドランプとを別々に車体に取付ける従来の自動車用外装品の取付け構造では、上記各自動車用外装品の形状、大きさ等のばらつきや、組付けのばらつきにより、グリルとヘッドランプとの隙間が小さくなるように取付けることが難しい。隙間自体が大きくなったり、隙間が部位に応じてばらついたりし、このことが、グリルとヘッドランプとの境界部分の見栄えの低下を招く。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、グリルとヘッドランプとの境界部分の見栄えの向上を図ることのできる自動車用外装品の取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する自動車用外装品の取付け構造は、自動車の前部における車体の前方であって、車幅方向の中央部を含む中間部分に配置されるグリルと、前記車体の前方であって、車幅方向の側部において前記グリルに隣接した状態で配置されるヘッドランプとをそれぞれ自動車用外装品として前記車体に取付けるようにした自動車用外装品の取付け構造であって、前記グリルの車幅方向の側部には取付け座が形成されており、前記ヘッドランプが位置決めされた状態で係止された前記取付け座を、そのヘッドランプとともに前記車体に対し車幅方向へ変位可能に取付けるための取付け部がさらに設けられている。
【0007】
上記の構成によれば、ヘッドランプは、グリルの車幅方向の側部における取付け座に位置決めされた状態で係止される。そのため、この段階で、グリルとヘッドランプとの隙間自体を小さくするとともに、隙間の大きさの部位によるばらつきを小さくすることが容易である。そして、上記のように、ヘッドランプが位置決めされた状態で係止された取付け座は、取付け部により、ヘッドランプとともに車体に対し車幅方向へ変位可能に取付けられる。そのため、取付け座をヘッドランプとともに車幅方向へ変位させることで、上記グリルとは異なる自動車用外装品とヘッドランプとの隙間の大きさや、その隙間の大きさの部位によるばらつきを小さくすることが可能である。しかも、このときには、グリルとヘッドランプは一体となって車幅方向へ変位するため、取付け座とヘッドランプとの位置関係は変化しにくい。その結果、グリルとヘッドランプとの境界部分の見栄えが良好なものとなる。
【0008】
また、グリルは、樹脂によって形成されている場合、周囲の温度の変化に伴い、車幅方向に対し、車体よりも多く熱膨張及び熱収縮する。しかし、上述したように、ヘッドランプ及び取付け座は、車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。従って、グリルの車幅方向への熱膨張及び熱収縮は、同グリルが車体に対し車幅方向へ変位することで吸収される。そのため、グリルが、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むことが抑制され、グリルの外観が良好に維持される。また、このときには、取付け座とヘッドランプとの位置関係は変化しにくいため、グリルとヘッドランプとの間の隙間が大きくなったり、その隙間の大きさの部位によるばらつきが大きくなったりすることが起こりにくい。
【0009】
上記自動車用外装品の取付け構造において、前記取付け部は、前記ヘッドランプ、前記取付け座及び前記車体のそれぞれに貫通された貫通孔と、軸部及び頭部を備え、かつ前記軸部において、前記ヘッドランプ、前記取付け座及び前記車体のそれぞれの貫通孔に挿通されるボルトと、全ての前記貫通孔に挿通された前記軸部に螺合されるナットと、前記ボルトの頭部と前記ナットとの間に介在されて、それらの頭部及びナットの間隔を規制する間隔規制部とを備え、前記車体の貫通孔のみが車幅方向に延びる長孔により構成されていることが好ましい。
【0010】
上記の構成によれば、取付け部による取付け座の車体への取付けに際しては、ボルトの軸部が、ヘッドランプ、取付け座及び車体のそれぞれの貫通孔に挿通され、その軸部にナットが螺合される。ボルトの頭部とナットとの間隔が狭まり、それらの間で、ヘッドランプ、取付け座及び車体が挟み込まれる。しかし、上記ボルトの頭部とナットとの間に介在された間隔規制部が、それらの頭部及びナットの間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、ヘッドランプ、取付け座及び車体は過度に締付けられない。
【0011】
ヘッドランプ及び取付け座のそれぞれの貫通孔は、それらのヘッドランプ及び取付け座がボルトの軸部の径方向へ変位するのを規制する。一方、車体における長孔からなる貫通孔は、ボルトが同貫通孔の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。従って、ヘッドランプ及び取付け座は、ボルトを伴って、車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。
【0012】
上記自動車用外装品の取付け構造において、前記取付け部は、前記ヘッドランプ、前記取付け座及び前記車体のそれぞれに貫通された貫通孔と、軸部及び頭部を備え、かつ前記軸部において、前記ヘッドランプ、前記取付け座及び前記車体のそれぞれの貫通孔に挿通されるボルトと、全ての前記貫通孔に挿通された前記軸部に螺合されるナットと、前記ボルトの頭部と前記車体との間に介在されて、それらの頭部及び車体の間隔を規制する間隔規制部とを備え、前記ボルトは、前記間隔規制部と前記ナットとにより前記車体を挟み込むことにより、同車体に固定され、前記ヘッドランプの貫通孔及び前記取付け座の貫通孔のみが車幅方向に延びる長孔により構成されていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、取付け部による取付け座の車体への取付けに際しては、ボルトの軸部が、ヘッドランプ、取付け座及び車体のそれぞれの貫通孔に挿通される。車体の貫通孔は、ボルトの軸部がその径方向へ変位するのを規制する。上記軸部にナットが螺合されることにより、ボルトの頭部と車体との間隔が狭まり、それらの間で、ヘッドランプ及び取付け座が挟み込まれる。しかし、頭部と車体との間に介在された間隔規制部が、それらの頭部及び車体の間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、ヘッドランプ及び取付け座は過度に締付けられない。
【0014】
そして、間隔規制部とナットとによって車体が挟み込まれた状態となり、ボルトが車体に固定される。
一方、ヘッドランプ及び取付け座のそれぞれの貫通孔は、それらのヘッドランプ及び取付け座が、貫通孔の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。従って、ヘッドランプ及び取付け座は、ボルトを伴わずに車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。
【0015】
上記自動車用外装品の取付け構造において、前記ヘッドランプの前記取付け座に対する位置決めは、前記ヘッドランプ及び前記取付け座の一方に設けられた位置決め突部が、他方に設けられた位置決め凹部に嵌合されることによりなされていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、位置決め突部が位置決め凹部に嵌合されることにより、ヘッドランプが取付け座に対し位置決めされた状態で係止される。
上記自動車用外装品の取付け構造において、前記自動車用外装品は、前記車体の前部の車幅方向における側方に配置される前フェンダ部の前端に対し、前記ヘッドランプの下側に配置されるバンパカバー部が一体に形成されてなる樹脂製のバンパ一体フェンダをさらに備え、前記グリルを前記車体に対し車幅方向へ変位可能に取付けるための取付け部を第1の取付け部とした場合において、前記バンパ一体フェンダを前記バンパカバー部において前記車体に対し車幅方向へ変位可能に取付けるための第2の取付け部がさらに設けられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、前フェンダ部は樹脂によって形成されることにより、鋼板によって形成された場合よりも軽量となる。また、バンパカバー部と前フェンダ部とが一体に形成されることにより、これらが別々に形成される場合とは異なり、両者の境界部分に線状の隙間(見切り線)が生じにくい。見切り線により自動車の前端部の外観が損なわれることが起こりにくい。
【0018】
また、樹脂製のバンパ一体フェンダは、周囲の温度の変化に伴い、車体よりも多く車幅方向に熱膨張及び熱収縮する。しかし、上述したように、バンパカバー部は、車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。従って、バンパ一体フェンダの車幅方向への熱膨張及び熱収縮は、同バンパ一体フェンダが車体に対し車幅方向へ変位することで吸収される。そのため、バンパ一体フェンダが、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むことが抑制され、バンパ一体フェンダの外観が良好に維持される。
【0019】
上記自動車用外装品の取付け構造において、前記第2の取付け部は、前記バンパカバー部及び前記車体のそれぞれに貫通された貫通孔と、軸部及び頭部を備え、かつ前記軸部において、前記バンパカバー部及び前記車体のそれぞれの貫通孔に挿通されるボルトと、全ての前記貫通孔に挿通された前記軸部に螺合されるナットと、前記ボルトの頭部と前記ナットとの間隔を規制する間隔規制部とを備え、前記バンパカバー部の貫通孔及び前記車体の貫通孔の一方のみが車幅方向に延びる長孔により構成されていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、第2の取付け部によるバンパ一体フェンダの車体への取付けに際しては、ボルトの軸部が、バンパカバー部及び車体のそれぞれの貫通孔に挿通され、その軸部にナットが螺合される。ボルトの頭部とナットとの間隔が狭まり、それらの間でバンパカバー部及び車体が挟み込まれる。しかし、上記頭部とナットとの間に介在された間隔規制部が、それらの頭部及びナットの間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、バンパカバー部及び車体は過度に締付けられない。
【0021】
長孔でない貫通孔は、バンパカバー部及び車体のうち、その貫通孔を有するものがボルトの軸部の径方向へ変位するのを規制する。一方、長孔からなる貫通孔は、バンパカバー部及び車体のうち、その貫通孔を有するものが、その貫通孔(長孔)の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。
【0022】
従って、バンパカバー部の貫通孔が長孔からなる場合には、そのバンパカバー部はボルトを伴わずに車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。また、車体の貫通孔が長孔からなる場合には、バンパカバー部はボルトを伴って、車体に対し車幅方向へ変位することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
上記自動車用外装品の取付け構造によれば、グリルとヘッドランプとの境界部分の見栄えの向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、自動車用外装品の取付け構造を具体化した第1実施形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0026】
なお、以下の記載においては、自動車の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は自動車の上下方向を意味し、左右方向は自動車の幅方向(車幅方向)であって自動車の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0027】
図7は、自動車の前部における車体と、その車体に取付けられる各種自動車用外装品とを示している。
図7では、車体についても、各種自動車用外装品についても、左側部分のみが図示されている。車体及び各種自動車用外装品の右側部分は、左側部分に対し対象となる形状を有している。
【0028】
<車体について>
図7に示すように、自動車の前部における車体の一部は、略前後方向に延びる金属製のアッパフレーム11と、ラジエータ(図示略)を支持するための金属製のラジエータサポート13とを備えている。アッパフレーム11は、その前端部においてラジエータサポート13の側部の上端部に連結されている。
【0029】
アッパフレーム11の前部において、互いに離間した複数箇所には、貫通孔12がそれぞれ上下方向に貫通されている。
ラジエータサポート13の側部であって、上記アッパフレーム11との連結部分よりも下側において、互いに上下方向へ離間した複数箇所には、車幅方向の側方へ突出する取付け片14がそれぞれ形成されている。各取付け片14には、貫通孔15が前後方向に貫通されている。
【0030】
また、上記各種自動車用外装品は、グリル21(左側部分のみ図示)と、一対のヘッドランプ31(一方のみ図示)と、樹脂製の一対のバンパ一体フェンダ41(一方のみ図示)とを備えている。
【0031】
<グリル21>
グリル21は、車体の前方であって、車幅方向の中央部を含む中間部分に配置されている。グリル21は、ラジエータへの空気取入れ口の機能も有しており、フロントグリル、ラジエータグリル、フロントマスク等とも呼ばれる。グリル21は、グリル本体22及びモール29を備えている。グリル本体22は、グリル21の骨格部分を構成する部品であり、樹脂によって形成されている。
【0032】
図2に示すように、グリル本体22の上端部であって車幅方向の側部には、板状をなす取付け座23が一体に形成されている。取付け座23の前部であって、車幅方向に互いに離間した複数箇所には、位置決め凹部24がそれぞれ形成されている。また、取付け座23の周囲の複数箇所には取付け片25が形成されている。各取付け片25には、上下方向に貫通する貫通孔26が形成されている。
【0033】
図1及び
図7に示すように、モール29は、グリル本体22を加飾(装飾)するためのものであり、その大部分が樹脂によって形成されている。モール29の表面にはめっきの層が形成されており、この層により同モール29の表面が金属光沢を有している。モール29は、グリル本体22に対し前方から脱着可能に取付けられている。
【0034】
<ヘッドランプ31>
図1及び
図2に示すように、ヘッドランプ31は、LED等を光源とする前照灯であり、車体の前方であって、車幅方向の側部において上記グリル21に隣接した状態で配置されている。ヘッドランプ31の外殻部分は樹脂によって形成されている。ヘッドランプ31の下面であって、取付け座23の上記位置決め凹部24に対応する箇所には、下方へ突出する位置決め突部32が形成されている。また、ヘッドランプ31の周囲であって取付け座23の上記取付け片25に対応する複数箇所には取付け片33が形成されている。各取付け片33には、上下方向に貫通する貫通孔34が形成されている。
【0035】
<バンパ一体フェンダ41>
図1及び
図7に示すように、バンパ一体フェンダ41は、前フェンダ部42及びバンパカバー部43を備えて構成されている。前フェンダ部42は、車体の前部であって、車幅方向の側部に配置されて前輪(図示略)を覆う。バンパカバー部43は、上記ヘッドランプ31の下側に配置される部分であり、前フェンダ部42の前端に一体に形成されている。
【0036】
こうした構成を有する各バンパ一体フェンダ41は、樹脂成形により成し得るものであり、鋼板をプレス加工することでは得ることが難しい。プレス加工では深く絞り加工することが難しいからである。バンパ一体フェンダ41においては、前フェンダ部42とバンパカバー部43とが滑らかに繋がっている。
【0037】
バンパカバー部43においてグリル本体22に近い側の側部には、板状の取付け片44が形成されている。取付け片44において上下方向へ互いに離間した複数箇所には、貫通孔45が前後方向に貫通している。
【0038】
なお、左右の両バンパ一体フェンダ41間には、バンパカバーは設けられていない。しかし、バンパクラッシュリインホースは設けられており、両バンパ一体フェンダ41間は、衝撃を吸収する機構を有している。
【0039】
上記バンパ一体フェンダ41では、バンパカバー部43に加え前フェンダ部42が樹脂によって形成されている。そのため、バンパ一体フェンダ41は、前フェンダ部42が鋼板によって形成された場合よりも軽量となる。
【0040】
さらに、
図7に示すように、上記グリル本体22及びヘッドランプ31を車体に取付けるために第1の取付け部51が設けられ、バンパ一体フェンダ41を車体に取付けるために第2の取付け部61が設けられている。
【0041】
<第1の取付け部51>
図3に示すように、第1の取付け部51は、ヘッドランプ31が位置決めされた状態で係止された取付け座23を、そのヘッドランプ31とともに車体に対し車幅方向へ変位可能に取付けるためのものである。第1の取付け部51の一部は、ヘッドランプ31の取付け片33、取付け座23の取付け片25及び車体(アッパフレーム11)のそれぞれに貫通された上記貫通孔34,26,12によって構成されている。第1の取付け部51は、そのほかにも、ボルト52、ナット55及び間隔規制部53bを備えている。
【0042】
ボルト52は、上下方向へ延びる軸部53と頭部54とを備えている。頭部54は、軸部53の上端に形成されている。軸部53の下部にはねじ部53aが形成されている。軸部53のうち、頭部54に近い領域は、上記ねじ部53aよりも大径の円柱状に形成されており、この部分によって間隔規制部53bが構成されている。間隔規制部53bの上下長は、各貫通孔34,26,12の長さを合計したものと略同一に設定されている。ナット55は、全ての貫通孔34,26,12に挿通された軸部53のねじ部53aに螺合されている。間隔規制部53bは、ボルト52の頭部54とナット55との間に介在されて、それらの間隔を規制している。
【0043】
ヘッドランプ31の貫通孔34と、取付け座23の貫通孔26とは、間隔規制部53bの直径と同程度の内径を有する丸孔によって構成されている。従って、ヘッドランプ31及び取付け座23は、それらの貫通孔34,26の内壁面が間隔規制部53bに接触することで、ボルト52の径方向へ変位することを規制される。アッパフレーム11の貫通孔12は、前後方向の寸法が間隔規制部53bの直径と同程度であり、かつ、車幅方向の寸法が同間隔規制部53bの直径よりも長い長孔によって構成されている。従って、ボルト52は、アッパフレーム11に対し貫通孔12の延びる方向である車幅方向に沿って変位することが可能である。
【0044】
<第2の取付け部61>
図5に示すように、第2の取付け部61は、バンパ一体フェンダ41をそのバンパカバー部43において車体(ラジエータサポート13)に対し車幅方向へ変位可能に取付けるためのものである。第2の取付け部61の一部は、ラジエータサポート13の取付け片14とバンパカバー部43の取付け片44とのそれぞれに貫通された上記貫通孔15,45によって構成されている。第2の取付け部61は、そのほかにも、ボルト62、ナット65及び間隔規制部63bを備えている。
【0045】
ボルト62は、前後方向へ延びる軸部63と頭部64とを備えている。頭部64は、軸部63の前端(
図5では下端)に形成されている。軸部63の後部(
図5の上部)にはねじ部63aが形成されている。軸部63のうち、頭部64に近い領域は、ねじ部63aよりも大径の円柱状に形成されており、この部分によって間隔規制部63bが構成されている。ナット65は、全ての貫通孔15,45に挿通された軸部63のねじ部63aに螺合されている。間隔規制部63bは、ボルト62の頭部64とナット65との間に介在されて、それらの間隔を規制している。
【0046】
ラジエータサポート13の貫通孔15は、間隔規制部63bの直径と同程度の内径を有する丸孔によって構成されている。バンパカバー部43の貫通孔45は、上下方向の寸法が間隔規制部63bの直径と同程度であり、かつ車幅方向の寸法が同間隔規制部63bの直径よりも長い長孔によって構成されている。従って、バンパカバー部43は、ラジエータサポート13に対し、貫通孔45の延びる方向である車幅方向に沿って変位することが可能である。
【0047】
図1及び
図7に示すように、バンパ一体フェンダ41(前フェンダ部42)の後端部は、前ドア(図示略)の前端部に近い箇所で車体に取付けられている。この取付けは、例えば、上記第2の取付け部61と同様の構造により、バンパ一体フェンダ41の後端部がアッパフレーム11に対し前後方向へ変位し得る態様で行なわれることが望ましい。これは、各バンパ一体フェンダ41における前後方向の熱膨張の一部を吸収するとともに、熱収縮の一部を吸収するためである。
【0048】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。
各種自動車用外装品は次のようにして車体に取付けられる。
図5に示すように、最初に、バンパ一体フェンダ41のバンパカバー部43が、第2の取付け部61によって、ラジエータサポート13に取付けられる。
【0049】
より詳しくは、ボルト62の軸部63が、バンパカバー部43及びラジエータサポート13のそれぞれの貫通孔45,15に挿通され、その軸部63のねじ部63aにナット65が螺合される。ボルト62の頭部64とナット65との間隔が狭まり、それらの間でバンパカバー部43の取付け片44とラジエータサポート13の取付け片14とが挟み込まれる。しかし、上記頭部64とナット65との間に介在された間隔規制部63bが、それらの頭部64及びナット65の間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、両取付け片44,14は過度に締付けられない。
【0050】
長孔でない貫通孔15は、その貫通孔15を有するラジエータサポート13がボルト62の軸部63の径方向へ変位するのを規制する。一方、長孔からなる貫通孔45は、その貫通孔45を有するバンパカバー部43が、その貫通孔45(長孔)の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。
【0051】
また、バンパ一体フェンダ41における前フェンダ部42の後端部は、前ドア(図示略)の前端部に近い箇所で、上記第2の取付け部61と同様の構造により、車体(アッパフレーム11)に対し前後方向へ変位可能に取付けられる。
【0052】
次に、
図7に示すように、グリル21及びヘッドランプ31が車体(アッパフレーム11)に取付けられる。
図2に示すように、この取付けに際しては、まず、ヘッドランプ31がグリル本体22の取付け座23に係止される。ヘッドランプ31の位置決め突部32が取付け座23の位置決め凹部24に嵌合される。この嵌合により、ヘッドランプ31が取付け座23に対し位置決めされた状態で係止される。
【0053】
従って、この段階で、グリル本体22とヘッドランプ31との隙間自体を小さくするとともに、隙間の大きさの部位によるばらつきを小さくすることが容易である。
また、取付け座23が形成されることで、グリル本体22の剛性が高められている。そのため、取付け座23やグリル本体22の変形を伴うことなく、ヘッドランプ31の荷重が受け止められる。
【0054】
続いて、上記グリル本体22に対しモール29が組付けられる。そして、上記のように、ヘッドランプ31が位置決めされた状態で係止された取付け座23は、第1の取付け部51により、ヘッドランプ31とともに車体(アッパフレーム11)に対し車幅方向へ変位可能に取付けられる。
【0055】
より詳しくは、
図3に示すように、ボルト52の軸部53が、ヘッドランプ31の取付け片33、取付け座23の取付け片25及び車体(アッパフレーム11)のそれぞれの貫通孔34,26,12に対し上方から挿通される。
【0056】
ここで、ヘッドランプ31の貫通孔34と、取付け座23の貫通孔26とは、間隔規制部53bの直径と同程度の内径を有する丸孔によって構成されている。各貫通孔34,26の内壁面が間隔規制部53bに接触することにより、ヘッドランプ31及び取付け座23が間隔規制部53bの径方向へ変位することが規制される。そのため、ボルト52(間隔規制部53b)を、両貫通孔34,26へ挿通させることによっても、ヘッドランプ31が取付け座23に対し位置決めされた状態で係止される。
【0057】
全ての貫通孔34,26,12に挿通されたボルト52の軸部53におけるねじ部53aにナット55が螺合される。ボルト52の頭部54とナット55との間隔が狭まり、それらの間で、ヘッドランプ31の取付け片33、取付け座23の取付け片25及び車体(アッパフレーム11)が挟み込まれる。しかし、上記ボルト52の頭部54とナット55との間に介在された間隔規制部53bが、それらの頭部54及びナット55の間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、ヘッドランプ31、取付け座23及び車体(アッパフレーム11)は過度に締付けられない。
【0058】
ヘッドランプ31及び取付け座23のそれぞれの貫通孔34,26は、それらのヘッドランプ31及び取付け座23がボルト52の軸部53に対し、その径方向へ変位するのを規制する。一方、車体(アッパフレーム11)における、長孔からなる貫通孔12は、ボルト52がアッパフレーム11に対し同貫通孔12の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。そのため、ヘッドランプ31及び取付け座23は、
図4に示すように、ボルト52を伴って車幅方向へ変位することが可能である。
【0059】
従って、取付け座23をヘッドランプ31とともに車幅方向へ変位させることで、先に車体に取付けられたバンパ一体フェンダ41とヘッドランプ31との隙間の大きさや、その隙間の大きさの部位によるばらつきを小さくすることが可能である。しかも、このときには、グリル21とヘッドランプ31は一体となって車幅方向へ変位するため、取付け座23とヘッドランプ31との位置関係は変化しにくい。グリル21とヘッドランプ31との間の隙間が大きくなったり、その隙間の大きさの部位によるばらつきが大きくなったりすることが起こりにくい。ヘッドランプ31の取付け座23に対する位置決めがなされたときのグリル21とヘッドランプ31との境界部分の見栄えが維持される。
【0060】
上記のようにして車体(アッパフレーム11)に取付けられたグリル21においては、グリル本体22が骨格部材として機能する。ヘッドランプ31は、このグリル本体22の取付け座23を介して車体(アッパフレーム11)に取付けられる。また、モール29は、グリル本体22を加飾(装飾)する機能を発揮する。モール29はめっきが施されていて金属光沢を有する。そのため、自動車の前方からは、モール29の金属のような光沢が見え、外観が良好なものとなる。
【0061】
また、第1実施形態では、
図1及び
図7に示すように、バンパカバー部43と前フェンダ部42とが樹脂によって一体に形成されることによりバンパ一体フェンダ41が構成されている。しかも、バンパカバー部43と前フェンダ部42とが滑らかに繋がっている。そのため、バンパカバー部43と前フェンダ部42とが別々に形成されている場合とは異なり、両者の境界部分に線状の隙間(見切り線)が生じにくい。
【0062】
なお、上記見切り線は、特別な機能を有しているわけではなく、バンパカバー部43と前フェンダ部42を別々に形成したことにより生ずるものである。そのため、見切り線がなくなることによって新たな問題が生ずることはない。
【0063】
さらに、樹脂製のグリル本体22は、周囲の温度の変化に伴い、車体(アッパフレーム11)よりも多く車幅方向に熱膨張及び熱収縮する。しかし、上述したように、ヘッドランプ31及び取付け座23は、ボルト52を伴って車幅方向へ変位することが可能である。従って、グリル21の車幅方向への熱膨張及び熱収縮は、例えば
図4に示すように、同グリル21が貫通孔12の延びる方向へ変位することで吸収される。そのため、グリル21が、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むことが抑制される。また、このときにも、取付け座23とヘッドランプ31との位置関係は変化しにくいため、グリル21とヘッドランプ31との間の隙間が大きくなったり、その隙間の大きさの部位によるばらつきが大きくなったりすることが起こりにくい。
【0064】
また、樹脂製のバンパ一体フェンダ41は、周囲の温度の変化に伴い、車幅方向に対し、車体(ラジエータサポート13)よりも多く熱膨張及び熱収縮する。しかし、
図6に示すように、バンパカバー部43は、ボルト62を伴わずに車体(ラジエータサポート13)に対し車幅方向へ変位することが可能である。従って、バンパ一体フェンダ41の車幅方向への熱膨張及び熱収縮は、同バンパ一体フェンダ41が貫通孔45の延びる方向へ変位することで吸収される。そのため、バンパ一体フェンダ41が、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むことが抑制される。
【0065】
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)グリル21(グリル本体22)及びヘッドランプ31を自動車用外装品とする(
図1)。グリル21(グリル本体22)の車幅方向の側部に取付け座23を形成する(
図2)。ヘッドランプ31が位置決めされた状態で係止された取付け座23を、そのヘッドランプ31とともに車体(アッパフレーム11)に対し車幅方向へ変位可能に取付けるための第1の取付け部51を設けている(
図3)。
【0066】
そのため、グリル21とヘッドランプ31との境界部分の見栄えの向上を図ることができる(
図1)。
また、樹脂製のグリル本体22が、周囲の温度の変化に伴い、車幅方向へ、車体(アッパフレーム11)よりも多く熱膨張及び熱収縮したとしても、貫通孔12の延びる方向である車幅方向へ同グリル本体22を変位させることで吸収することができる。グリル21(グリル本体22)が、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むのを抑制し、外観を良好にすることができる。
【0067】
(2)第1の取付け部51を、ヘッドランプ31、取付け座23及び車体(アッパフレーム11)の貫通孔34,26,12と、それらに挿通されるボルト52と、ボルト52の軸部53(ねじ部53a)に螺合されるナット55と、ボルト52の頭部54とナット55との間に介在される間隔規制部53bとによって構成する。そして、車体(アッパフレーム11)の貫通孔12のみを、車幅方向に延びる長孔により構成している(
図3)。
【0068】
そのため、ヘッドランプ31及び取付け座23を、ボルト52を伴って、アッパフレーム11に対し車幅方向へ変位させる(
図4)ことができ、上記(1)の効果を得ることができる。
【0069】
(3)ヘッドランプ31の底部に位置決め突部32を設け、取付け座23に位置決め凹部24を設けている(
図2)。
そのため、位置決め突部32を位置決め凹部24に嵌合させることで、ヘッドランプ31を取付け座23に位置決めした状態で係止させることができる。
【0070】
(4)前フェンダ部42を樹脂によって形成している(
図1、
図7)。
そのため、鋼板によって形成された場合よりも前フェンダ部42を軽量にすることができる。車体の前部に取付けられる自動車用外装品の全体の重量、ひいては自動車の重量を軽くすることができる。また、自動車の重心を低くし、操縦安定性を向上させることができる。また、自動車を走行させるために必要なエネルギーを少なくして、燃費を向上させることもできる。
【0071】
さらに、複雑な形状を有するものや、深絞り形状を有するものでも形成することが可能となり、前フェンダ部42のデザインの自由度が増す。
そして、鋼板によって形成された場合よりも形状の復元性が良好であるため、前フェンダ部42が衝突等により変形しても、その変形量が少なければ、元の形状に復元させることが可能である。
【0072】
(5)バンパカバー部43と前フェンダ部42とを一体に形成することにより、バンパ一体フェンダ41を構成し、これを自動車用外装品としている(
図1、
図7)。
そのため、バンパカバー部43と前フェンダ部42とが別々に形成されている場合とは異なり、両者の境界部分に線状の隙間(見切り線)が生ずるのを抑制し、その見切り線により自動車の前端部の外観が損なわれるのを抑制することができる。
【0073】
(6)バンパ一体フェンダ41をバンパカバー部43において車体(ラジエータサポート13)に対し車幅方向へ変位可能に取付けるための第2の取付け部61を設けている(
図7)。
【0074】
そのため、樹脂製のバンパ一体フェンダ41が、周囲の温度の変化に伴い、車幅方向に対し、車体(ラジエータサポート13)よりも多く熱膨張及び熱収縮したとしても、貫通孔45の延びる方向へ変位させることで吸収することができる。バンパ一体フェンダ41が、熱膨張及び熱収縮により厚み方向に撓むのを抑制し、外観を良好にすることができる。
【0075】
(7)第2の取付け部61を、バンパカバー部43及びラジエータサポート13に貫通された貫通孔45,15と、それらに挿通されるボルト62と、ボルト62の軸部63(ねじ部63a)に螺合されるナット65と、ボルト62の頭部64及びナット65の間に介在されて、それらの間隔を規制する間隔規制部63bとによって構成する。そして、バンパカバー部43の貫通孔45のみを、車幅方向に延びる長孔により構成している(
図5)。
【0076】
そのため、バンパカバー部43を車体(ラジエータサポート13)に対し車幅方向へ変位させる(
図6)ことができ、上記(6)の効果を得ることができる。
(8)グリル21として、車体(アッパフレーム11)に取付けられるグリル本体22と、グリル本体22に対し脱着可能に取付けられる加飾用のモール29とを備えるものを採用している(
図1、
図7)。
【0077】
そのため、それまでグリル本体22に取付けられていたモール29を取り外し、異なる種類(意匠)のモール29をグリル本体22に取付けることで、すなわちモール29を着せ替えることで、グリル21の外観を変更することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、自動車用外装品の取付け構造を具体化した第2実施形態について、
図8を参照して説明する。
【0079】
第2実施形態は、第1の取付け部51の構成の点で第1実施形態と異なっている。より詳しくは、第2実施形態では、間隔規制部53bの上下長が第1実施形態よりも車体(アッパフレーム11)における貫通孔12の長さの分、短くされている。この間隔規制部53bは、ボルト52の頭部54と車体(アッパフレーム11)との間に介在されて、それらの間隔を規制する。
【0080】
ボルト52は、間隔規制部53bとナット55とにより車体(アッパフレーム11)を挟み込むことにより、同車体(アッパフレーム11)に固定されている。
車体(アッパフレーム11)の貫通孔12は、軸部53におけるねじ部53aの直径と同程度の内径を有する丸孔によって構成されている。従って、ボルト52は、ねじ部53aが、車体(アッパフレーム11)の貫通孔12の内壁面に接触することで、アッパフレーム11に対し貫通孔12の径方向へ変位することを規制される。これに対し、ヘッドランプ31の貫通孔34と、取付け座23の貫通孔26とは、前後方向の寸法が間隔規制部53bの直径と同程度であり、かつ、車幅方向の寸法が同間隔規制部53bの直径よりも長い長孔によって構成されている。従って、ヘッドランプ31及び取付け座23は、アッパフレーム11に対し、貫通孔34,26の延びる方向である車幅方向に沿って変位することが可能である。
【0081】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
従って、ヘッドランプ31が位置決めされた状態で係止された取付け座23は、第1の取付け部51により、ヘッドランプ31とともに車体(アッパフレーム11)に対し、次のようにして車幅方向へ変位可能に取付けられる。
【0082】
ボルト52の軸部53が、ヘッドランプ31の取付け片33、取付け座23の取付け片25及び車体(アッパフレーム11)のそれぞれの貫通孔34,26,12に対し、上方から挿通される。車体(アッパフレーム11)の貫通孔12は、ボルト52のねじ部53aがその径方向へ変位するのを規制する。上記軸部53のねじ部53aにナット55が螺合されることにより、ボルト52の頭部54と車体(アッパフレーム11)との間隔が狭まり、それらの間で、ヘッドランプ31の取付け片33と取付け座23の取付け片25とが挟み込まれる。しかし、頭部54と車体(アッパフレーム11)との間に介在された間隔規制部53bが、それらの頭部54及び車体(アッパフレーム11)の間隔が適正値よりも狭まるのを規制するため、両取付け片33,25は過度に締付けられない。
【0083】
そして、間隔規制部53bとナット55とによって車体(アッパフレーム11)が挟み込まれた状態となり、ボルト52が車体(アッパフレーム11)に固定される。
一方、ヘッドランプ31及び取付け座23のそれぞれの貫通孔34,26は、それらのヘッドランプ31及び取付け座23が、貫通孔34,26の延びる方向である車幅方向へ変位するのを許容する。そのため、ヘッドランプ31及び取付け座23は、ボルト52を伴わずにアッパフレーム11に対し車幅方向へ変位することが可能である。
【0084】
そこで、取付け座23をヘッドランプ31とともに車幅方向へ変位させることで、バンパ一体フェンダ41とヘッドランプ31との隙間の大きさや、その隙間の大きさの部位によるばらつきを小さくすることが可能である。しかも、このときには、グリル21とヘッドランプ31は一体となって車幅方向へ変位するため、取付け座23とヘッドランプ31との位置関係は変化しにくい。グリル21とヘッドランプ31との間の隙間が大きくなったり、その隙間の大きさの部位によるばらつきが大きくなったりすることが起こりにくい。その結果、ヘッドランプ31の取付け座23に対する位置決めがなされたときのグリル21とヘッドランプ31との境界部分の見栄えが維持される。
【0085】
従って、第2実施形態によれば、上記(1),(3)〜(8)と同様の効果が得られる。そのほかにも、上記(2)と同様の効果を、上記のように第1実施形態とは異なる構成の第1の取付け部51によって得ることができる。
【0086】
なお、上記各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・上記各実施形態では、ボルト52,62における軸部53,63の一部によって間隔規制部53b,63bを構成したが、
図9に示すように、軸部53,63とは別の部材からなり、かつ同軸部53,63に被せられる管状の部材によって間隔規制部71が構成されてもよい。この場合にも、間隔規制部71は、上記各実施形態の間隔規制部53b,63bと同様の機能を発揮する。
【0087】
・モール29がグリル本体22に一体に形成されることにより、グリル21が構成されてもよい。
・グリル本体22、モール29及びバンパ一体フェンダ41の少なくとも1つの形状が、上記各実施形態とは異なるものに変更されてもよい。
【0088】
・上記各実施形態とは逆に、取付け座23に上方へ突出する位置決め突部が設けられ、ヘッドランプ31の底部に、上方へ凹む位置決め凹部が設けられ、この位置決め凹部に位置決め突部が嵌合されることで、ヘッドランプ31の取付け座23に対する位置決めが行なわれてもよい。
【0089】
・第1実施形態では、上述したように、ボルト52(間隔規制部53b)の両貫通孔34,26への挿通によっても、ヘッドランプ31が取付け座23に対し位置決めされた状態で係止される。これは、両貫通孔34,26が丸孔からなり、それらの内径と間隔規制部53bの外径とが略同一であることによる。そのため、位置決め突部32及び位置決め凹部24が省略されてもよい。
【0090】
なお、第2実施形態では、ボルト52(間隔規制部53b)が、長孔からなる貫通孔34,26へ挿通されただけでは、ヘッドランプ31が取付け座23に対し位置決めされた状態で係止されない。そのため、位置決め突部32及び位置決め凹部24等といった、ヘッドランプ31を取付け座23に位置決めした状態で係止するための手段が必要となる。
【0091】
・第2の取付け部61では、バンパカバー部43の貫通孔45に代えて、車体(ラジエータサポート13)の貫通孔15のみが車幅方向に延びる長孔により構成されてもよい。この場合には、バンパカバー部43はボルト62を伴って、車体(ラジエータサポート13)に対し車幅方向へ変位することが可能である。
【0092】
そのため、樹脂製のバンパ一体フェンダ41が、周囲の温度の変化に伴い、車幅方向に対し、車体(ラジエータサポート13)よりも多く熱膨張及び熱収縮したとしても、同バンパ一体フェンダ41を貫通孔15の延びる方向へ変位させることで吸収することができる。
【0093】
・上記各実施形態では、ナット55として座付きナットが用いられたが、これに代えて、
図10及び
図11に示すように、ナット55と金属製のワッシャ56との組合わせが用いられてもよい。図示はしないが、ナット65についても同様である。
【0094】
・
図10は、第1実施形態における第1の取付け部51の変形例を示している。ただし、上述したように、金属製のワッシャ56が用いられている。この
図10に示すように、金属製のワッシャ56と車体(アッパフレーム11)との間に、フッ素樹脂等の樹脂材料によって形成されたワッシャ57が介在されてもよい。
【0095】
このようにすると、樹脂製のワッシャ57のクリープによって、ボルト52及びナット55の軸力(締付け力)を略一定にすることが可能である。
また、上述したように、グリル本体22が熱膨張及び熱収縮すると、ヘッドランプ31及び取付け座23は、ボルト52を伴って車幅方向へ変位しようとする。これに伴い、ワッシャ57が車体(アッパフレーム11)に接触した状態で、同方向へ変位しようとする。ここでは、ワッシャ57が摩擦係数の小さな樹脂によって形成されている。そのため、スティックスリップトルクが発生しにくく、同トルクが原因で、ワッシャ57と車体(アッパフレーム11)の間で異音が発生することが起こりにくい。
【0096】
さらに、ワッシャ57がボルト52等と一緒に車体(アッパフレーム11)に対しスムーズに変位する。そのため、ボルト52が車体(アッパフレーム11)に対し傾斜しにくく、ナット55がボルト52に対し緩みにくい。
【0097】
・
図11及び
図12は、第1実施形態における第1の取付け部51の変形例を示している。ただし、金属製のワッシャ56と樹脂製のワッシャ57とが用いられている。この変形例では、第1実施形態とは異なる構成のボルト52が用いられている。
【0098】
このボルト52では、軸部53における間隔規制部53bが、大径部53cと小径部53dとによって構成されている。
大径部53cの下端部を除く大部分は、ヘッドランプ31の貫通孔34及び取付け座23の貫通孔26の内径と同程度の直径を有していて、それらの貫通孔34,26内に配置されている。
【0099】
小径部53dは、大径部53cよりも小径、かつねじ部53aよりも大径に形成されている。小径部53dは、ねじ部53aとともに、大径部53cに対し、車幅方向へ偏心させられている。表現を変えると、小径部53d及びねじ部53aの軸線L2は、大径部53cの軸線L1に対し、車幅方向へオフセットされた箇所に位置している。この小径部53dは、車体(アッパフレーム11)の貫通孔12内に配置されている。貫通孔12は、上記貫通孔34,26よりも大きな径の円形の孔によって構成されている。
【0100】
この変形例では、貫通孔12の内径が小径部53dの直径よりも大きいことから、同貫通孔12が車幅方向の延びる長孔によって構成される場合とは異なり、小径部53dは貫通孔12の径方向へ変位することが可能である。
【0101】
従って、グリル本体22が熱膨張及び熱収縮した場合、ヘッドランプ31及び取付け座23はボルト52を伴って変位するが、車幅方向に限らず、前後方向等、車幅方向に対し交差(傾斜)する方向へも変位して、熱膨張及び熱収縮を吸収することが可能である。