(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持体は、前記基部に支持される第1固定具と、スペーサを介して前記第1固定具に支持され弾性変形できる板状の板バネ部と、スペーサを介して前記板バネ部に支持される第2固定具と、を有し、
前記板バネ部は、板状のベース部と、前記ベース部と同一平面上で前記ベース部から突出しかつ前記スペーサが表面に接触する複数の突出部と、を有し、
前記第1可動部に外力が加わった場合に、前記突出部は、前記第1可動部の変位に応じて、前記スペーサが接触する位置よりも前記ベース部側の部分が変形する請求項1〜4のいずれか1項に記載の力覚センサ。
前記第1検出部は前記基部の上面に設けられた3つ以上のセンサを含み、前記センサは光を発することができ、かつ当該光の反射光を検出することで検出対象までの距離を取得することができるものであり、前記センサの位置と検出対象までの距離を用いて前記第1可動部の傾斜角度を検出する請求項1〜6のいずれか1項に記載の力覚センサ。
前記第1検出部は4つ以上のセンサを含み、そのうちの3つのセンサを第1のセットとし、前記3つのセンサの位置と検出対象までの距離を用いて前記第1可動部の傾斜角度を検出し、前記第1のセットとは少なくとも1つのセンサが異なる3つのセンサを第2のセットとして前記第1可動部の傾斜角度を検出し、複数の検出結果を平均して前記第1可動部の傾斜角度を求める請求項7に記載の力覚センサ。
前記第1可動部および前記第2可動部の揺動角度を制限する第1ストッパーと、前記第1可動部および前記第2可動部が前記支持体を引き延ばそうとする方向へ変位する際の変位量を制限する第2ストッパーと、前記第2可動部の中心軸廻りの回転角度を制限する第3ストッパーと、を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の力覚センサ。
前記第1ストッパーは、前記基部から前記第1可動部に向かって突出した部分であって、前記支持体の中心軸廻りに周方向において等間隔に3箇所以上に設けられ、前記基部からの高さが、前記支持体が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサに加えられた場合に、先端が前記第1可動部に接触する高さとなっている請求項10に記載の力覚センサ。
前記第2ストッパーは、力覚センサの周囲を覆うように配置された筐体の上端部に設けられて、中心に向かう方向に突き出したフランジ状部分であって、前記支持体が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサに加えられた場合に、下側端面が前記第2可動部に接触する高さとなっている請求項10または11に記載の力覚センサ。
前記第3ストッパーは、前記第1可動部と前記第2可動部の、お互いに対向する表面に設けられた永久磁石であって、前記第1可動部に設けた前記永久磁石は前記第1可動部の表面から前記第2可動部に向かって突出しており、前記第2可動部に設けた前記永久磁石は、前記第2可動部の表面から前記第1可動部に向かって突出し、かつ前記第1可動部に設けた前記永久磁石を周方向に挟む位置に設けられている請求項10〜12のいずれか1項に記載の力覚センサ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0024】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。力覚センサ1は、加えられた外力を検出することができる装置である。力覚センサ1は、例えば、ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される。力覚センサ1は、加えられた外力の大きさおよび方向を検出し、加えられた外力の大きさおよび方向に応じた当該モータ等を制御する制御部に送る制御信号を送出することができる。
【0025】
力覚センサ1は、基部10と、第1可動部21と、第2可動部22と、を有する。例えば、基部10は、円筒状の筐体100の底面に固定された円盤状の部材であり、支持体30を備える。なお、基部10は、筐体100の底面と一体になっていてもよい。以下の説明において、基部10の中心軸Zrに平行なZ軸と、Z軸に対して直交するX軸、Z軸およびX軸に対して直交するY軸と、からなる直交座標系が用いられる。支持体30は、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30は、例えば、ディスク型カップリングであり、基部10の表面の中央部分に固定される。
【0026】
図2は、本実施形態に係る基部、支持体および第2可動部を示す模式図である。
図3は、本実施形態に係る支持体および第1可動部を示す平面図である。
図4は、本実施形態に係るシャフトおよび第2可動部を示す平面図である。
図2に示すように、支持体30は、下部固定具31と、上部固定具32と、ディスク33と、を有する。下部固定具31は、例えば、アルミニウム等の金属で形成された円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるように基部10に固定されている。上部固定具32は、例えば、アルミニウム等の金属で形成された円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるようにディスク33を介して下部固定具31に固定されている。ディスク33は、例えば、板ばねである。ディスク33は、外力が加わっていない場合、中心軸Zrを中心とした周方向でZ軸方向の高さが一定である。これに対して、外力が加わった場合、ディスク33は、変形することで中心軸Zrに対して一方側のZ軸方向の高さが高くなり、他方側のZ軸方向の高さが低くなる。このため、外力が加わった場合、上部固定具32は、ディスク33の変形に応じて傾くことができる。
【0027】
また、
図3に示すように、上部固定具32は、Z軸方向に貫通する貫通孔32hと、Z軸に対して直交方向の開口部であるスリット32sと、を有する。このため、上部固定具32は、Z軸方向から見てC字形状となっている。また、上部固定具32は、スリット32sを挟んで対向する端面321および端面322を接続するボルト32cを有する。ボルト32cが締め付けられると、端面321から端面322までの距離が小さくなる。その結果、貫通孔32hの直径が小さくなる。これにより、ボルト32cは、貫通孔32hの直径を調節することができる。
【0028】
第2可動部22は、ジョイント2によってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されている。ジョイント2は、例えば、深溝玉軸受35と、シャフト11と、スラストころ軸受12と、を有する。
図2に示すように、上部固定具32の貫通孔32hには、深溝玉軸受35が嵌め込まれている。深溝玉軸受35は、ボルト32cを緩めた状態で貫通孔32hに挿入された後、ボルト32cを締め付けて貫通孔32hの直径を小さくすることで固定されている。例えば、深溝玉軸受35の内輪の内側には、円柱状のシャフト11が圧入によって固定されている。シャフト11の一方側の端部は、貫通孔32hの内側に位置しており、他方側の端部は、上部固定具32の端面よりもZ軸方向に突出している。上部固定具32およびシャフト11に外力が加わると、上部固定具32およびシャフト11は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動く。以下の説明において、揺動するとの記載は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動くことを示す。なお、基部10が円盤状でない場合、揺動するとの記載は、下部固定具31を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の表面に対して垂直な直線に対して角度をなすように揺れ動くことを意味する。
【0029】
第2可動部22は、シャフト11の上部固定具32から突出している部分に固定されている。第2可動部22は、例えば、Z軸方向に貫通する貫通孔22hを有する円盤状の剛体である。第2可動部22は、貫通孔22hにシャフト11が圧入されることによって、基部10と平行になるように固定されている。また、例えば、スラストころ軸受12が、上部固定具32と第2可動部22との間に配置されている。第2可動部22は、深溝玉軸受35およびシャフト11によってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されており、スラストころ軸受12によってより滑らかに回転可能に支持されている。一方、第2可動部22がZ軸廻りに回転しているとき、第1可動部21および基部10は、Z軸廻りに回転しない。なお、ジョイント2は、スラストころ軸受12を有していなくてもよい。
【0030】
図3に示すように、第1可動部21は、全体が円筒状の部材であり、上部固定具32の外周を囲むように固定されている。また、第1可動部21は、第2可動部22と平行になるように固定されている。例えば、第1可動部21は、半円筒状の剛体である第1可動部片21pを2つ含み、上部固定具32を挟むように配置された2つの第1可動部片21pをボルト21cで連結することにより上部固定具32に固定されている。なお、第1可動部21を固定する方法は、上述した方法に限らない。
【0031】
以上により、
図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向するように配置されており、第2可動部22は、第1可動部21に対向するように配置されている。力覚センサ1に外力が加わっていない状態においては、基部10、第1可動部21および第2可動部22は、互いに平行な状態を保っている。また、第1可動部21および第2可動部22は、ディスク33を有する支持体30によって揺動可能に支持されている。また、第2可動部22は、ジョイント2によってZ軸廻りに回転可能に支持されている。また、本実施形態において、第1可動部21および第2可動部22は、基部10に対して鉛直方向で上側に配置されている。
【0032】
図1に示すように、基部10は、第1センサ15を有する。第1センサ15は、例えば、フォトリフレクタであり、基部10の表面にセンサ台15bを介して固定されている。第1センサ15は、例えば、支持体30の外側に、中心軸Zrを中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。また、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15は、X軸に平行な直線上に配置されており、残りの2つの第1センサ15は、Y軸に平行な直線上に配置されている。
【0033】
図1に示すように、基部10は、ストッパー19を有する。ストッパー19は、第1センサ15よりもZ軸方向に突出する突出部である。例えば、ストッパー19は、第1センサ15の外側に、Z軸を中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。なお、ストッパー19は、第1センサ15の内側に配置されていてもよい。例えば、ストッパー19のZ軸方向の高さは、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1に加えられた場合に、先端が第1可動部21に接触するように調節されている。このため、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる過大な外力が力覚センサ1に加えられた場合、ストッパー19は、支持体30に永久変形が生ずる事態を抑制することができる。
【0034】
また、
図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面に永久磁石24を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面に2つの永久磁石25を有する。永久磁石24は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出しており、永久磁石25は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、永久磁石24および2つの永久磁石25が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。2つの永久磁石25は、永久磁石24に対して周方向の両側に等間隔で配置されている。
【0035】
図5は、
図4におけるA矢視図を示す。永久磁石24は、例えば、接着剤によってベース24bを介して第1可動部21に固定されている。永久磁石24は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。永久磁石25は、例えば、接着剤によってベース25bを介して第2可動部22に固定されている。永久磁石25は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。また、永久磁石24および永久磁石25は、互いのS極同士およびN極同士が周方向に対向するように配置されている。これにより、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、永久磁石24および永久磁石25の反発力の釣り合いによって、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度が固定される。また、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24および永久磁石25は、互いの距離が近づくことで反発力を増大させ、外力に対する反力を生じさせる。これにより、力覚センサ1は、ジョイント2等の破損を抑制できる。そして、外力が取り除かれると、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度は、外力が加わっていないときの角度に戻る。なお、永久磁石24および永久磁石25によって生じる反発力は、永久磁石24および永久磁石25の磁力の調節、ベース24bおよびベース25bのZ軸方向の高さの調節、等によって調節することができる。
【0036】
また、
図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面にストッパー26を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面にストッパー27を有する。ストッパー26は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出している。ストッパー27は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、ストッパー26およびストッパー27が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。ストッパー26とストッパー27との周方向の距離Dlは、永久磁石24と永久磁石25との周方向の距離Dmよりも小さくなっている。これにより、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24と永久磁石25とが接触する前にストッパー26とストッパー27とが接触する。このため、ストッパー26およびストッパー27は、永久磁石24と永久磁石25とが衝突して破損する事態を抑制することができる。
【0037】
図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向する表面に反射板16を有する。反射板16は、4つの第1センサ15のそれぞれに対向する位置に配置されている。例えば、反射板16の表面の光に対する反射率は、一様であり、4つの反射板16の反射率は、互いに等しい。フォトリフレクタである第1センサ15は、受光部と発光部を有し、光を発することができ且つ当該光の反射光強度を検出することができる。第1センサ15は、受光部と発光部が第1可動部21の方向を向くように固定されている。第1センサ15の発光部が発した光は、反射板16で反射して第1センサ15の受光部に入射する。第1センサ15は、検出した反射光強度の大きさに応じて、センサ出力を変化させる。
【0038】
第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離および反射板16の反射率に応じて変化する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、基部10、第1可動部21および第2可動部22が互いに平行であるため、4つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離は、互いに等しい距離Dzとなっている。4つの反射板16の反射率が互いに等しいため、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、4つの第1センサ15が検出する反射光強度は、互いに等しくなっている。
【0039】
図6は、本実施形態に係る力覚センサにY軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。なお、図面上で変形をわかりやすくするため、
図6では、ストッパー19の記載が省略されている。Y軸廻りのモーメントMyは、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である。力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合、支持体30のディスク33が変形することで、第1可動部21および第2可動部22は、揺動しYZ平面に対して所定の角度θだけ傾斜する。このため、第1可動部21は、XY平面に対して角度θだけ傾斜する。第1可動部21および第2可動部22が一緒に揺動するので、第1可動部21および第2可動部22は、平行な状態を保っている。また、第1可動部21は、基部10に対して傾斜している。その結果、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち一方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz1は、距離Dzよりも大きくなる。X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち他方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz2は、距離Dzよりも小さくなる。具体的には、中心軸Zrから各第1センサ15までの距離Dsを用いて、距離Dz1は、距離DzよりもDs×tanθだけ大きくなり、距離Dz2は、距離DzよりもDs×tanθだけ小さくなる。これにより、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度に差が生じる。力覚センサ1は、当該反射光強度の差によって、加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出する。
【0040】
力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合、力覚センサ1は、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度の差によって、加えられたX軸廻りのモーメントの大きさおよび方向を検出する。第1センサ15と反射板16との距離の説明は、力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合と同様であるため省略する。
【0041】
図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22に対向する表面に第2センサ28を有し、第2可動部22は、第1可動部21に対向する表面に反射板29を有する。第2センサ28は、例えば、フォトリフレクタであり、発光部および受光部が第2可動部22の方向を向くように固定されている。反射板29は、第2センサ28に対向する位置に配置されている。
【0042】
図7は、本実施形態に係る第2センサおよび反射板を示す模式図である。反射板29は、例えば、紙製の板状部材であって、高反射率領域29wと、高反射率領域29wよりも光の反射率が小さい低反射率領域29bと、を有する。高反射率領域29wは、例えば、白色に塗装された扇形の領域である。低反射率領域29bは、例えば、黒色に塗装された扇形の領域である。高反射率領域29wおよび低反射率領域29bは、径方向に平行な境界線29lで区切られている。例えば、第2センサ28は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bの両方に対向するように配置されている。また、例えば、第2センサ28の発光部は、Z軸方向から見て、境界線29lに重なるように配置されている。
【0043】
図8は、
図7におけるB矢視図を示す。
図8中の二点鎖線で示すように、第2センサ28の発光部は、反射板29に向かって放射状に光を発する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、第2センサ28の発光部は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bを等しい面積ずつ光を照射する。すなわち、
図8に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw1は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab1に等しい。
【0044】
図9は、本実施形態に係る力覚センサにZ軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。
図10は、
図9におけるC矢視図を示す。Z軸廻りのモーメントMzは、第2可動部22を回転させる第2の分力である。力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22は、Z軸廻りに回転する。第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって、第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。このため、
図10に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw2は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab2よりも大きくなる。高反射率領域29wは低反射率領域29bに比べて光の反射率が大きいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が大きくなる。力覚センサ1は、当該反射光強度の変化によって、加えられたZ軸廻りのモーメントMzの大きさおよび方向を検出する。
【0045】
なお、上述した説明とは逆方向にZ軸廻りのモーメントが力覚センサ1に加えられた場合、高反射率領域29wのうち光が照射される領域は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域よりも小さくなる。低反射率領域29bは高反射率領域29wに比べて光の反射率が小さいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が小さくなる。
【0046】
図11は、本実施形態に係る第1検出部および第2検出部の構成を示す模式図である。力覚センサ1は、第1検出部91と、第2検出部92と、を有している。第1検出部91および第2検出部92は、モータ等の回転機械の制御部41と接続されている。第1検出部91および第2検出部92は、力覚センサ1に加えられた外力の情報である外力データP1、P2を制御部41へ出力する。第1検出部91は、第1センサ15と、AD変換部51と、距離演算部61と、力演算部71と、を有する。第2検出部92は、第2センサ28と、AD変換部52と、角度演算部62と、力演算部72と、を有する。4つの第1センサ15は、それぞれが検出した反射光強度に応じてセンサ出力S11、S12、S13、S14をAD変換部51に送る。第2センサ28は、検出した反射光強度に応じてセンサ出力S2をAD変換部52に送る。AD変換部51、52、距離演算部61、角度演算部62および力演算部71、72は、例えば、1つの演算処理部42に備えられる。なお、AD変換部51、距離演算部61および力演算部71が1つの演算処理部に備えられ、AD変換部52、角度演算部62および力演算部72が異なる演算処理部に備えられてもよい。
【0047】
図12は、本実施形態に係る演算処理部の構成図である。演算処理部42は、マイクロコンピュータ(マイコン)等のコンピュータであり、入力インターフェース42aと、出力インターフェース42bと、CPU(Central Processing Unit)42cと、ROM(Read Only Memory)42dと、RAM(Random Access Memory)42eと、内部記憶装置42fと、を含んでいる。入力インターフェース42a、出力インターフェース42b、CPU42c、ROM42d、RAM42eおよび内部記憶装置42fは、内部バスに接続されている。
【0048】
入力インターフェース42aは、第1センサ15からのセンサ出力S11、S12、S13、S14および第2センサ28からのセンサ出力S2を受け取り、CPU42cに出力する。出力インターフェース42bは、CPU42cから外力データP1、P2を受け取り、制御部41に出力する。
【0049】
ROM42dには、BIOS(Basic Input/Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置42fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU42cは、RAM42eをワークエリアとして使用しながらROM42dや内部記憶装置42fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0050】
内部記憶装置42fは、4つのセンサ出力S11、S12、S13、S14と4つの第1センサ15から反射板16までの距離とを対応付けた距離データベースと、センサ出力S2と第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とを対応付けた角度データベースとを記憶している。また、内部記憶装置42fは、4つの第1センサ15から反射板16までの距離と第1の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースと、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度と第2の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースと、が記憶されている。
【0051】
AD変換部51、52は、入力インターフェース42aを用いてアナログデータであるセンサ出力S11、S12、S13、S14、S2をデジタルデータに変換する。距離演算部61は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された距離データベースにセンサ出力S11、S12、S13、S14を与えて、4つの第1センサ15から反射板16までの距離を導出する演算処理を行う。角度演算部62は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された角度データベースにセンサ出力S2を与えて、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度を導出する演算処理を行う。力演算部71は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第1の分力データベースに距離演算部61の出力を与えて、第1の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。力演算部72は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第2の分力データベースに角度演算部62の出力を与えて、第2の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。また、力演算部71、72は、出力インターフェース42bを介して制御部41へ外力データP1、P2を出力する。外力データP1は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力の大きさおよび方向のデータである。外力データP2は、第2可動部22を回転させる外力の大きさおよび方向のデータである。
【0052】
力覚センサ1は、第1検出部91を用いて、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である
図6に示したモーメントMyを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMyが加えられたとき、
図6で示した距離Dz1が距離Dzよりも大きくなるため、反射板16と距離Dz1だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比較して、小さくなる。このため、当該第1センサ15のセンサ出力S11が小さくなる。一方、
図6で示した距離Dz2が距離Dzよりも小さくなるため、反射板16と距離Dz2だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比較して、大きくなる。このため、当該第1センサ15が出力するセンサ出力S12が大きくなる。そして、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15から、2つのセンサ出力S11、S12がAD変換部51へ送られる。
【0053】
アナログデータである2つのセンサ出力S11、S12は、AD変換部51によりデジタルデータに変換され、距離演算部61へ送られる。距離演算部61は、デジタル変換された2つのセンサ出力S11、S12を、距離データベースに与え、距離Dz1、Dz2のデータを得たのち、距離Dz1、Dz2のデータを力演算部71に送る。力演算部71は、距離Dz1および距離Dz2の差とモーメントMyの大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースに距離Dz1、Dz2のデータを与え、モーメントMyのデータを得たのち、モーメントMyの大きさおよび方向のデータを外力データP1として制御部41へ送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第1検出部91により、モーメントMyを検出することができる。なお、力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合も、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S13、S14に基づいて、同様の方法で検出できる。
【0054】
力覚センサ1は、第2検出部92を用いて、第2可動部22を回転させる第2の分力である
図9に示したモーメントMzを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。これにより、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が変化する。このため、第2センサ28のセンサ出力S2が変化する。当該センサ出力S2は、AD変換部52へ送られる。
【0055】
アナログデータであるセンサ出力S2は、AD変換部52によりデジタルデータに変換され、角度演算部62へ送られる。角度演算部62は、デジタル変換されたセンサ出力S2を、角度データベースに与え、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度のデータを得たのち、当該相対回転角度のデータを力演算部72に送る。力演算部72は、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とモーメントMzの大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースに当該相対回転角度のデータを与え、モーメントMzのデータを得たのち、モーメントMzのデータを外力データP2として制御部41へ送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第2検出部92により、モーメントMzを検出することができる。
【0056】
よって、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第1可動部21および第2可動部22の基部10に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第1検出部91により、第1の分力を検出することができる。また、第2可動部22を回転させる第2の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第2可動部22の第1可動部21に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第2検出部92により、第2の分力を検出することができる。すなわち、力覚センサ1は、第1検出部91により、X軸廻りのモーメントおよびY軸廻りのモーメントを検出することができ、第2検出部92により、Z軸廻りのモーメントを検出することができる。
【0057】
力覚センサ1に外力が加えられたとき、センサ出力S11、S12、S13、S14は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力に関する情報を有している。一方、センサ出力S2は、第2可動部22を回転させる第2の分力に関する情報を有している。このように、センサ出力S11、S12、S13、S14とセンサ出力S2とは、同じ外力に含まれる多方向の分力のうち互いに異なる方向の分力に関する情報を有している。このため、センサ出力S11、S12、S13、S14およびセンサ出力S2のそれぞれが有する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。力覚センサ1は、互いに異なる方向の分力に関する情報を有するセンサ出力S11、S12、S13、S14およびセンサ出力S2をそれぞれ個別に演算することで、互いに異なる方向の分力である第1の分力と第2の分力とを検出する。このため、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
【0058】
上述したように、本実施形態に係る力覚センサ1は、基部10と、基部10に対向するように配置される第1可動部21と、基部10に設けられ、第1可動部21を揺動可能に支持する支持体30と、第1可動部21に外力が加わった場合に、第1可動部21を揺動させる2方向の分力を別々に検出できる第1検出部91と、を含む。
【0059】
これにより、力覚センサ1に外力が加えられたとき、第1検出部91は、外力に含まれる多方向の分力のうち2方向の分力に関する情報を別々に処理する。このため、第1検出部91が処理する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。したがって、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る力覚センサ1は、基部10と、基部10に対向するように配置される第1可動部21と、第1可動部21に対向するように配置される第2可動部22と、基部10に設けられ、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する支持体30と、支持体30に設けられ、第2可動部22を回転可能に支持するジョイント2と、を有する。また、力覚センサ1は、第1可動部21および第2可動部22の少なくとも一方に外力が加わった場合に、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力を検出できる第1検出部91と、第2可動部22を回転させる外力を検出できる第2検出部92と、を含む。
【0061】
これにより、力覚センサ1に外力が加えられたとき、第1検出部91は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力に関する情報を処理している。第2検出部92は、第2可動部22を回転させる方向の第2の分力に関する情報を処理している。このように、第1検出部91と第2検出部92とは、同じ外力に含まれる多方向の分力のうち互いに異なる方向の分力に関する情報を処理している。このため、第1検出部91および第2検出部92のそれぞれが処理する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。このように、力覚センサ1は、互いに異なる方向の分力に関する情報を処理する第1検出部91および第2検出部92を有することで、互いに異なる方向の分力である第1の分力と第2の分力とを検出する。このため、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、第1可動部21および第2可動部22は、基部10に対して鉛直方向で上側に配置される。これにより、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重は、主に第2可動部22の重量および外力となる。このため、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重は、第1可動部21および第2可動部22が基部10に対して鉛直方向で下側に配置される場合に比較して、小さくなる。よって、本実施形態に係る力覚センサ1は、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重を小さくすることで、ジョイント2が破損する可能性を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、第1検出部91は、3つ以上の第1センサ15を含み、第1センサ15は、光を発することができ且つ当該光の反射光を検出することができる。これにより、第1センサ15は、第1可動部21に光を照射して、当該光の反射光強度を検出することができる。このため、力覚センサ1は、発光部と受光部が対向配置される場合に必要となるような、精度の高い位置決めを必要としない。よって、力覚センサ1は、第1センサ15の配置に起因する検出精度の低下を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、第1検出部91は、4つの第1センサ15を含み、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15がX軸に平行な同一直線上に配置され、残りの2つの第1センサ15がY軸に平行な同一直線上に配置されている。これにより、力覚センサ1は、X軸に平行な同一直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S11、S12に基づいてY軸廻りのモーメントを検出し、Y軸に平行な同一直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S13、S14に基づいてX軸廻りのモーメントを検出することができる。このため力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理をより容易にすることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る力覚センサ1において、第1検出部91は基部10の上面に設けられた3つ以上の第1センサ15を含み、第1センサ15は光を発することができ、かつ光の反射光を検出することで検出対象までの距離を取得することができるものであり、第1センサ15の位置と検出対象までの距離を用いて第1可動部21の傾斜角度を検出する。これにより、第1センサ15は、第1可動部21に貼り付けられた反射板16に光を照射して、光の反射光強度を検出することができる。第1検出部91は比較的大きな面積を有する平坦部を有する反射板16に向けて光を照射する。このため、発光部と受光部とが別体になっていて、それらが対向配置される場合に必要となるような精度の高い位置決めを、本実施形態に係る力覚センサ1は必要としない。よって、本実施形態に係る力覚センサ1は、第1センサ15の配置に起因する検出精度の低下を抑制することができる。
【0066】
なお、力覚センサ1は、永久磁石24、25に代えて、コイルばね等の弾性体を有していてもよい。例えば、力覚センサ1がコイルばねを有する場合、コイルばねの一方の端部が第1可動部21に固定され、他方の端部が第2可動部22に固定されていればよい。これにより、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度が変化すると、コイルばねが伸縮して弾性力を生じるため、当該相対回転角度が規制される。
【0067】
また、反射板16は、光に対する反射率が一様であればよく、材質、表面性状、色等の制限はない。また、第1可動部21の基部10側の表面の反射率が一様である場合、反射板16は、なくてもよい。
【0068】
また、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、光を多方向に拡散させる拡散領域および光を入射方向に反射する再帰性反射領域を有していてもよい。再帰性反射領域の光の反射率は、拡散領域の光の反射率よりも大きいため、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられた場合、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。また、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、Z軸に対する周方向で段階的に反射率が異なるグラデーション領域を有していてもよい。
【0069】
また、第2可動部22は、反射板29に代えて、第1可動部21側の表面の一部を段階的に突出させるまたは段階的に窪ませることによって傾斜面を有していてもよい。このようにした場合、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられたとき、第2センサ28と当該傾斜面との距離が変化するため、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。
【0070】
また、第1センサ15は、第1センサ15から反射板16までの距離を検出できるものであればよく、必ずしもフォトリフレクタでなくてもよい。例えば、第1センサ15は、超音波センサや静電容量センサでもよい。また、第1センサ15は、基部10および第1可動部21に固定される加速度センサであってもよい。このようにする場合、第1検出部91は、基部10に固定された加速度センサと第1可動部21に固定された加速度センサの出力の差から基部10に対する第1可動部21の傾斜角度を演算し、当該傾斜角度に基づいて第1センサ15から反射板16までの距離を検出すればよい。また、力覚センサ1は、例えば、フォトリフレクタと加速度センサを組み合わせた第1センサ15を有していてもよい。
【0071】
また、本実施形態において、第1検出部91は、必ずしも4つの第1センサ15を有する必要はない。第1検出部91は、少なくとも3つ以上の第1センサ15を有していればよい。
【0072】
本実施形態は、外力を検出することができる力覚センサ1におけるセンサの配置に関する。
【0073】
特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、発光素子と受光素子とが対向配置されていることから、これら2つの素子の正確な位置決めが必要である。また、上記の先行技術は構造体が高剛性であるが故に、外力によって発生する変位は非常に小さい(最大で100μm程度)。この微小な変位を正確に検出するためにはセンサ出力のS/N比を向上させる必要があり、複雑なフィルタ処理やアンプ回路設計における十分な検討が必要である。
【0074】
これに対して、本実施形態に係る力覚センサ1によれば、比較的大きな平面部を有する反射板16に変位測定のための光を直接照射し、その反射光を検出して可動部の変位量を測定するため、発光素子と受光素子の位置決めが容易になる。また、本構造体では可動部に最大で数mm程度の変位が生じるため、これを検出する場合、通常より大きなセンサ出力を得ることができ、フィルタ回路やアンプ回路を通常より小規模に構成しつつ、良好なS/N比を実現できる。
【0075】
本実施形態は、外力を検出することができる力覚センサ1のストロークを規制するストッパーに関する。
【0076】
特許文献1、特許文献2および特許文献3には、過大な外力が加えられた場合に力覚センサを保護する方法や構造は記載されていない。そのため仮に過大な外力が力覚センサに作用した場合、センサが破損する可能性がある。
【0077】
これに対して、本実施形態は、力覚センサ1に過大な外力が作用した場合でもセンサの破損を防止するストッパーを備える。
【0078】
本実施形態に係る力覚センサ1は第1可動部21および第2可動部22の可動範囲を規制するストッパーを有する。第1可動部21の可動範囲を規制するストッパー19は基部10からZ軸方向に突出するよう、Z軸を中心とした周方向で等間隔に3つまたは4つが配置されている。ストッパー19は第1可動部21が過度に傾斜した際に接触する長さとなっており、力覚センサ1に過大なモーメントが作用した場合でもセンサの破損を防止することができる。
【0079】
さらに、第2可動部22の可動範囲を規制するストッパー26、27は第1可動部21と第2可動部22の、相対する面にそれぞれ設けられており、第2可動部22が過度に動いた際にストッパー26、27同士が衝突するよう取り付けられている。
【0080】
本実施形態によれば、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる力覚センサ1を提供することができる。また、大きな外力が作用した場合でも第1可動部21および第2可動部22の過度な動きを防止し、力覚センサ1の破壊を防ぐことができる。
【0081】
(変形例1)
図13は、変形例1に係る力覚センサを示す模式図である。変形例1に係る力覚センサ1は、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力を検出することができる。第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力は、
図13に示すZ軸に平行な軸方向力Fzである。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
力覚センサ1にZ軸に平行な軸方向力Fzが加えられた場合、支持体30に備えられた板ばねであるディスク33は、全体が一様にZ軸方向に縮むように変形する。このため、支持体30の上部固定具32に固定された第1可動部21は、基部10に平行な状態を保ったままZ軸方向に移動する、すなわち全体が一様にZ軸方向に移動する。その結果、4つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離は、
図1に示した距離Dzよりも小さくなる。すなわち、
図13に示すように、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離Dz5、Dz6は、ともに距離Dzよりも小さくなる。また、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離をそれぞれ距離Dz7、Dz8とすると、距離Dz7、Dz8は、ともに距離Dzよりも小さくなる。
【0083】
上述したように、第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離および反射板16の反射率に応じて変化する。また、反射板16の反射率は、一定である。このため、力覚センサ1にZ軸に平行な軸方向力Fzが加えられた場合、4つの第1センサ15が検出する反射光強度は、一様に大きくなる。変形例1に係る力覚センサ1の第1検出部91は、4つの第1センサ15が検出する反射光強度の一様に大きくなる変化から、Z軸に平行な軸方向力Fzが加えられていることを判断し、例えば、距離Dz5、Dz6、Dz7、Dz8の平均値から軸方向力Fzの大きさを検出することができる。
【0084】
変形例1に係る距離演算部61は、4つの第1センサ15のセンサ出力S11、S12、S13、S14に基づいて4つの出力を演算する。また、変形例1に係る内部記憶装置42fは、距離Dz5、Dz6、Dz7、Dz8の平均値と軸方向力Fzの大きさとを対応付けた軸方向力データベースを記憶している。距離演算部61が距離として出力する4つの出力がいずれも距離Dzよりも小さい場合、変形例1に係る力演算部71は、内部記憶装置42fに記憶された軸方向力データベースに距離演算部61の出力の平均値を与えて、軸方向力Fzの大きさを導出する演算処理を行う。そして、力演算部71は、Z軸に平行な軸方向力として外力データP1を制御部41へ出力する。これにより、変形例1に係る力覚センサ1は、力覚センサ1に加えられる軸方向力Fzを検出することができる。
【0085】
(変形例2)
図14は、変形例2に係る支持体の構成を示す斜視図である。
図15は、変形例2に係る力覚センサにY軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。変形例2に係る支持体30Aは、下部固定具31と、上部固定具32と、板バネ部33Aと、を有する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0086】
図14に示すように、板バネ部33Aは、例えば、Z軸方向から見た形状が十字形であって、下部固定具31および上部固定具32に平行な板状の部材である。板バネ部33Aは、ベース部33xと、ベース部33xから突出する突出部33a、33b、33c、33dと、を有する。突出部33a、33bは、ベース部33xからX軸方向に向かって突出しており、突出部33c、33dは、ベース部33xからY軸方向に向かって突出している。突出部33a、33bの上部固定具32側の表面には、スペーサ37がそれぞれ接触している。スペーサ37は、上部固定具32と板バネ部33Aとの間に隙間を生じさせるために設けられる部材であって、上部固定具32に変位が生じた場合に上部固定具32とともに移動することができる部材である。突出部33c、33dの下部固定具31側の表面には、スペーサ36がそれぞれ接触している。スペーサ36は、下部固定具31と板バネ部33Aとの間に隙間を生じさせるために設けられる部材である。これにより、板バネ部33Aは、2つのスペーサ36を介して下部固定具31に支持されており、上部固定具32は、2つのスペーサ37を介して板バネ部33Aに支持されている。なお、ベース部33xと突出部33a、33b、33c、33dとは一体であってもよいし、別部材であってもよい。また、板バネ部33Aは、複数あってもよいし、突出部33a、33b、33c、33dの表面にそれぞれ配置されるスペーサ36、37は、複数であってもよい。
【0087】
上部固定具32に外力が加わっていない場合、板バネ部33Aが下部固定具31および上部固定具32に平行であるため、下部固定具31から突出部33aまでの距離331は、下部固定具31から突出部33bまでの距離332と等しく、突出部33cから上部固定具32までの距離333は、突出部33dから上部固定具32までの距離334と等しくなっている。これに対して、上部固定具32に外力が加わった場合、突出部33a、33b、33c、33dは、上部固定具32の変位に応じて、スペーサ36またはスペーサ37が接触する位置よりもベース部33x側の部分が弾性変形する。具体的には、Y軸廻りのモーメントMyが上部固定具32に加わった場合、突出部33aの根元における仮想断面CS1よりスペーサ37側の部分がZ軸方向に下がるように変形し、突出部33bの根元における仮想断面CS2よりスペーサ37側の部分がZ軸方向に上がるように変形する。これにより、突出部33a、33bが下部固定具31に対して傾斜するため、距離331が距離332よりも小さくなる。その結果、上部固定具32が傾斜する。また、X軸廻りのモーメントMxが板バネ部33Aに加わった場合、突出部33cの根元における仮想断面CS3がZ軸方向に下がるように突出部33cが変形し、且つ突出部33dの根元における仮想断面CS4がZ軸方向に上がるように突出部33dが変形する。これにより、突出部33a、33bが下部固定具31に対して傾斜する。その結果、上部固定具32が傾斜することで、距離333が距離334よりも小さくなる。以上より、力覚センサ1Aに外力が加わった場合、上部固定具32は、板バネ部33Aの変形に応じて傾くことができる。
【0088】
なお、力覚センサ1Aに対して、変形例1で示したように第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が加えられた場合、突出部33a、33bが一様にZ軸方向に下がるように変形する。このため、支持体30Aの上部固定具32に固定された第1可動部21は、基部10に平行な状態を保ったままZ軸方向に移動する。
【0089】
上述したように、変形例2に係る力覚センサ1Aにおいて、支持体30Aは、基部10に支持される下部固定具31と、スペーサ36を介して下部固定具31に支持され弾性変形できる板状の板バネ部33Aと、スペーサ37を介して板バネ部33Aに支持される上部固定具32と、を有する。板バネ部33Aは、板状のベース部33xと、ベース部33xと同一平面上でベース部33xから突出し且つスペーサ36、37が表面に接触する複数の突出部33a、33b、33c、33dと、を有する。第1可動部21に外力が加わった場合に、突出部33a、33b、33c、33dは、第1可動部21の変位に応じて、スペーサ36、37が接触する位置よりもベース部33x側の部分が変形する。これにより、第1可動部21に加わった外力は、スペーサ37を介して板バネ部33Aに伝わり、突出部33a、33b、33c、33dを弾性変形させる。このようにすることで、力覚センサ1Aは、第1可動部21に外力が加わった場合に第1可動部21を揺動させ、当該外力が取り除かれた場合に第1可動部21を元の位置に戻すという動作における、がたつきの発生を抑制することができる。よって、力覚センサ1Aは、がたつきの発生による外力の検出精度の低下を抑制することができる。
【0090】
また、変形例2に係る力覚センサ1Aにおいて、支持体30Aは、互いに隙間を空けて対向するように連結された複数の板バネ部33Aを有している。例えば、複数の板バネ部33Aは、各板バネ部33Aにおける突出部33aおよび突出部33bまたは突出部33cおよび突出部33dに配置されたスペーサを介してZ軸方向に重ねられることで、互いに隙間を空けて対向するように連結される。これにより、変形例1で示したように力覚センサ1Aに第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が加えられた場合、それぞれの板バネ部33Aが変形することができる。このため、板バネ部33Aの数が多くなるほど、第1可動部21が基部10に向かって平行移動できる量が多くなる。よって、力覚センサ1Aは、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が加えられた場合の第1可動部21の移動量を調節することができる。また、力覚センサ1Aは、人間である操作者によって直接外力を与えられることで操作される可能性がある。よって、力覚センサ1Aは、第1可動部21を基部10に向かって平行移動させる外力が操作者によって加えられる場合に、操作者に第1可動部21の移動を知覚させやすくすることで、操作性を向上させることができる。
【0091】
(変形例3)
図16は、変形例3に係る力覚センサを示す模式図である。
図17は、
図16におけるD−D断面を示す模式図である。
図18は、
図16におけるE−E断面を示す模式図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
変形例3に係る力覚センサ1Bにおいては、第1検出部91は、少なくとも3つ以上の第1センサ15を備えていればよい。
図16〜
図18は、3つの第1センサ15を円周方向に略等間隔に配置した変形例3に係る力覚センサ1Bを示している。第1センサ15が3つ以上設けられていれば、力覚センサ1Bは第1可動部21の傾斜角度を特定することができる。
【0093】
図18に示すように、3つの第1センサ15をそれぞれ第1センサ151、152、153とし、X−Y平面上における座標をそれぞれ(x151、y151)、(x152、y152)、(x153、y153)とする。力覚センサ1Bに外力が加えられていない状態において、3つの第1センサ151、152、153の出力が0に合わされると、
図17に示すように第1可動部21の第1センサ15が測定している点PA、PB、PCのX−Y−Z座標系における座標はそれぞれ(x151、y151、0)(x152、y152、0)(x153、y153、0)となる。
【0094】
力覚センサ1Bに外力が加えられると第1可動部21が傾斜し、3つの第1センサ151、152、153の出力が変化する。その結果、点PA、点PBおよび点PCの座標はそれぞれ(x151、y151、z151)、(x152、y152、z152)、(x153、y153、z153)に変わる。ここで、下記(1)式に示す点PAから点PBへのベクトルは、下記(2)式となる。また、下記(3)式に示す点PAから点PCへのベクトルは、下記(4)式となる。したがって第1可動部21における点PA、点PBおよび点PCを含む平面の法線ベクトルHは2つのベクトルの外積である下記(5)式のように表せる。法線ベクトルHの(x、y、z)成分をそれぞれ(hx、hy、hz)と記述すると、第1可動部21のX軸廻りの傾きθx、Y軸廻りの傾きθyはそれぞれ下記(6)式および下記(7)式のように表すことができる。
【0102】
3つの第1センサ151、152、153は必ずしも周方向に等間隔である必要はなく、位置が固定されていればよい。ただし、傾きθx、θyの検出精度を向上させるためには3つの第1センサ151、152、153の各々の間隔を可能な限り長く設定する方が好ましい。したがって、3つの第1センサ151、152、153は、周方向に120°ずつずらして配置されるのが最も好ましい。
【0103】
上述したように、変形例3に係る力覚センサ1Bにおいて、第1検出部91は3つの第1センサ151、152、153を含み、基部10の上面に周方向に120°の等間隔で配置されている。これにより、第1センサ151、152、153同士の間隔が長くなる。このため、力覚センサ1Bは、第1可動部21の傾斜角度の検出精度を向上させることができる。
【0104】
(変形例4)
図19は、変形例4に係る力覚センサを示す模式図である。
図19は第1センサを6つ設けた例を示している。6つの第1センサ151〜156は正六角形の頂点に対応する位置に設置されている。第1センサ151、152、153を第1のセットとして(変形例3)に記載した方法を用いて第1可動部21の傾斜角度を求め、同様に第1センサ154、155、156を第2のセットとして第1可動部21の傾斜角度を求める。2つの結果を平均することでより正確な角度を求めることができる。また一方のセットが故障した場合でも力覚センサ1Bの使用を継続することができる。なお、この方法を用いる上では第1センサは必ずしも6つ必要ではなく、4つ以上あれば良い。4つ以上の第1センサから特定の3つのセンサを選択して第1および第2のセットを作り、上述の方法により第1可動部21の傾斜角度を求める。同一の第1センサが複数のセットに含まれても良い。
【0105】
上述したように、第1検出部91は6つの第1センサ151〜156を含み、そのうちの3つの第1センサ151、152、153を第1のセットとし、3つの第1センサ151、152、153の位置と検出対象までの距離を用いて第1可動部21の傾斜角度を検出し、第1のセットとは異なる3つの第1センサ154、155、156を第2のセットとして第1可動部21の傾斜角度を検出し、複数の検出結果を平均して第1可動部21の傾斜角度を求める。これにより、力覚センサ1Bは、2つの結果を平均することでより正確な角度を求めることができる。また、力覚センサ1Bは、一方のセットが故障した場合でも継続して使用することができる。
【0106】
(変形例5)
図20は、変形例5に係る力覚センサを示す模式図である。
図21は、変形例5に係る力覚センサに過大なモーメントが加えられた状態を示す模式図である。
図22は、変形例5に係る力覚センサにZ軸方向の過大な外力が加えられた状態を示す模式図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0107】
図21に示すように、ストッパー19のZ軸方向の高さは、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1Cに加えられた場合に、先端が第1可動部21に接触するように調節されている。このため、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる過大な外力が力覚センサ1Cに加えられた場合、ストッパー19は、支持体30に永久変形が生ずる事態を抑制することができる。
【0108】
力覚センサ1Cに対して、Z軸に平行な軸方向力Fzがマイナスの大きさ、すなわち第1可動部21及び第2可動部22を上方(Z軸の正方向)に引っ張る外力が作用した場合でも支持体30に過大な伸び変形を生じないようにするため、変形例5に係る力覚センサ1Cはストッパー20を備えている。ストッパー20は筐体100の上端に設けられており、中心に向かってフランジ状に突出した部分である。ストッパー20は筐体100の全周にわたって設けられても良く、または周方向に幅の狭い突出部が複数箇所に設けられても良い。ストッパー20の下側端面20aと第2可動部22との間隔は、支持体30を引き延ばす方向に変形させた時の弾性変形の限度内となる距離よりも小さく設定されている。
【0109】
力覚センサ1Cに対してZ軸正方向の外力が加えられた場合、第1可動部21及び第2可動部22が上方に向かって変位するとともに、支持体30が引き伸ばされる。外力が過大であった場合、支持体30が大きく引き伸ばされて永久変形を生じる可能性がある。しかしながら、
図22に示すように、変形例5に係る力覚センサ1Cにおいては、第2可動部22がZ軸の正方向に一定量変位するとストッパー20の下側端面20aに接触し、それ以上は変位しないので支持体30に永久変形が生じることがない。
【0110】
上述したように、変形例5に係る力覚センサ1Cは、第1可動部21および第2可動部22の揺動角度を制限するストッパー19(第1ストッパー)と、第1可動部21および第2可動部22が支持体30を引き延ばそうとする方向へ変位する際の変位量を制限するストッパー20(第2ストッパー)と、第2可動部22の中心軸Zr廻りの回転角度を制限する永久磁石24、25(第3ストッパー)と、を有する。これにより、力覚センサ1Cは、力覚センサ1Cに過大な外力が作用した場合でも支持体30等の破損を防止することができる。
【0111】
また、変形例5に係る力覚センサ1Cにおいて、ストッパー19(第1ストッパー)は、基部10から第1可動部21に向かって突出した部分であって、支持体30の中心軸Zr廻りに周方向において等間隔に3箇所以上に設けられ、基部10からの高さが、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1Cに加えられた場合に、先端が第1可動部21に接触する高さとなっている。これにより、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる過大な外力が力覚センサ1Cに加えられた場合であっても、力覚センサ1Cは、支持体30に永久変形が生ずることを抑制できる。
【0112】
また、変形例5に係る力覚センサ1Cにおいて、ストッパー20(第2ストッパー)は、力覚センサ1Cの周囲を覆うように配置された筐体100の上端部に設けられて、中心に向かう方向に突き出したフランジ状部分であって、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1Cに加えられた場合に、下側端面20aが第2可動部22に接触する高さとなっている。これにより、第2可動部22が一定量変位するとストッパー20の下側端面20aに接触し、それ以上は変位しない。このため、力覚センサ1Cは、支持体30に永久変形が生じることを抑制できる。
【0113】
また、変形例5に係る力覚センサ1Cにおいて、永久磁石24、25(第3ストッパー)は、第1可動部21と第2可動部22の、お互いに対向する表面に設けられた永久磁石であって、第1可動部21に設けた永久磁石24は第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出しており、第2可動部22に設けた永久磁石25は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出し、かつ第1可動部21に設けた永久磁石24を周方向に挟む位置に設けられている。これにより、外力によって第2可動部22が回転した場合、複数の永久磁石24、25(第3ストッパー)は、互いの距離が近づくことで反発力を増大させ、外力に対する反力を生じさせる。このため、力覚センサ1Cは、ジョイント22等の破損を抑制できる。
【0114】
(変形例6)
図23は、変形例6に係る力覚センサを示す模式図である。
図24は、変形例6に係る力覚センサを、中心軸を含む平面で切った断面図である。
図25は、変形例6に係るディスクの一例を示す平面図である。
図26は、変形例6に係るディスクの一例を示す平面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0115】
図23に示すように、変形例6に係る力覚センサ1Dは、基部10Dと、支持体30Dと、シャフト11Dと、を備える。例えば、基部10Dは、円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10hを備える。また、基部10Dは、第1可動部21に対向する表面の中央部でZ軸方向に突出する突出部101を備える。第1内部通路10hは、突出部101を貫通している。このため、突出部101は筒状になっている。
【0116】
支持体30Dは、下部固定具31Dと、上部固定具32Dと、ディスク33Dと、を有する。下部固定具31Dは、例えば、アルミニウム等の金属で形成されている。下部固定具31Dは、Z軸方向に貫通する貫通孔31hを中央部に備えた円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるように基部10Dに固定されている。例えば、基部10Dの突出部101が貫通孔31hに圧入されることにより、支持体30Dが基部10Dに固定されている。上部固定具32Dは、例えば、アルミニウム等の金属で形成されている。上部固定具32Dは、Z軸方向に貫通する貫通孔32hを中央部に備えた円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるようにディスク33Dを介して下部固定具31Dに固定されている。ディスク33Dは、例えば、板ばねである。ディスク33Dは、Z軸方向に貫通する貫通孔33hを備える。
図25に示すように、貫通孔33hは、円盤状のディスク33Dの中央部を貫通している。貫通孔31h、貫通孔33hおよび貫通孔32hは、Z軸方向で見て重なるように配置されている。これにより、貫通孔31h、貫通孔33hおよび貫通孔32hは、Z軸方向に貫通する第2内部通路30hを形成している。第2内部通路30hは、Z軸方向で見て第1内部通路10hと重なっている。すなわち、第1内部通路10hおよび第2内部通路30hは、同一直線上に並んで配置されている。
【0117】
第2可動部22は、ジョイント2DによってZ軸廻りに回転可能に支持体30Dに支持されている。変形例6に係るジョイント2Dは、深溝玉軸受35と、シャフト11Dと、スラストころ軸受12と、を有する。
図24に示すように、シャフト11Dは、深溝玉軸受35の内輪の内側に圧入によって固定されている。シャフト11Dの一端は、貫通孔32hの内側に位置している。より具体的には、シャフト11Dの一端のZ軸方向の位置が、上部固定具32Dのディスク33D側の端面と揃っている。シャフト11Dの他端は、第2可動部22よりもZ軸方向に突出している。シャフト11Dは、Z軸方向に貫通する貫通孔である第3内部通路11hを備える。第3内部通路11hは、Z軸方向で見て第1内部通路10hおよび第2内部通路30hと重なっている。すなわち、第1内部通路10h、第2内部通路30hおよび第3内部通路11hは、同一直線上に並んで配置されている。
【0118】
なお、上述した変形例2で示した板バネ部33Aに貫通孔33hが設けられる場合、
図26に示すように、貫通孔33hは、例えばベース部33xの中央部を貫通するように設けられる。貫通孔33hの面積は、ベース部33xの面積よりも小さい。
【0119】
上述したように、変形例6に係る力覚センサ1Dにおいて、ジョイント2Dは、第2可動部22を貫通するシャフト11Dを備える。基部10Dを貫通する第1内部通路10h、支持体30Dを貫通する第2内部通路30hおよびシャフト11Dを貫通する第3内部通路11hが、同一直線上に並んで配置されている。
【0120】
力覚センサ1Dにおいては、基部10Dから第2可動部22に至る配線または配管が設けられる。変形例6に係る力覚センサ1Dにおいては、配線または配管は、第1内部通路10h、第2内部通路30hおよび第3内部通路11hを通って、基部10Dから第2可動部22まで到達することができる。このため、配線または配管が各部材の外側を通される場合に比べて、力覚センサ1Dは、装置全体を小型化することができる。