(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)空調機10の構成
図1は、本発明に係る加湿装置の一実施形態である加湿ユニット60を備える空調機10の構成図である。空調機10は、冷媒回路を循環する冷媒を用いる冷凍サイクルを備える冷凍装置である。空調機10は、主として、室内ユニット20と、室外ユニット30とを備える。室内ユニット20及び室外ユニット30は、冷媒連絡配管14,16及び給気ホース18によって互いに接続されている。
図1では、室内ユニット20及び室外ユニット30を通過する空気の流れが、白抜きの矢印で示されている。
【0023】
空調機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、加湿運転、及び給気運転等の複数の運転モードを有する。加湿運転、及び給気運転では、室内に空気を供給するために、給気ホース18を通して室外ユニット30から室内ユニット20へ空気が送られる。特に、加湿運転では、水分を多く含んだ湿度の高い空気を室外ユニット30から室内ユニット20に送るため、室外ユニット30において外気から水分が取り込まれる。室外ユニット30は、外気から水分を取り込む機能を有する加湿ユニット60を備える。
図1では、加湿ユニット60を通過する空気の流れが、点線の矢印で示されている。
【0024】
(2)室内ユニット20の構成
室内ユニット20は、主として、室内熱交換器21と、室内ファン22とを備える。
図1に示されるように、室内ファン22は、室内熱交換器21の下流側に配置され、室内ファンモータ22aによって駆動される。室内ファン22が駆動されると、室内ユニット20上部の室内吸込口23から吸い込まれた室内空気は、室内熱交換器21を通過して、室内ユニット20下部の室内吹出口24から吹き出される。室内ファン22は、例えば、クロスフローファンである。
【0025】
室内ユニット20では、室内給気口25が、室内熱交換器21の上流側空間に設けられている。給気ホース18の一端は、室内給気口25に接続され、給気ホース18の他端は、室外ユニット30の加湿ユニット60に接続される。加湿ユニット60から送られてきた湿度の高い空気は、室内給気口25を介して、室内熱交換器21の上流側空間に供給される。室内熱交換器21の上流側空間に湿度の高い空気が供給されている状態で室内ファン22が駆動されることにより、室内ユニット20の室内吹出口24から吹き出される調和空気の湿度を高くすることができる。
【0026】
(3)室外ユニット30の構成
室外ユニット30は、主として、ケーシング40、圧縮機31、室外熱交換器33、室外ファン39、加湿ユニット60、湿度センサ80、及び制御装置90を備える。室外ユニット30内部の冷媒回路には、四路切換弁32、電動膨張弁34、アキュムレータ36、液側閉鎖弁37、及びガス側閉鎖弁38が取り付けられている。
【0027】
図2は、ケーシング40の天板48が取り外された状態の室外ユニット30の平面図である。
図3は、
図2の室外ユニット30から防護用グリル56が取り外された状態の室外ユニット30の正面図である。
図2では、室外ユニット30を通過する空気の流れが、点線の矢印で示されている。
【0028】
(3−1)ケーシング40
ケーシング40は、主として、左側板45、前板46、右側板47、天板48(
図3参照)、底板49(
図3参照)、及び背面部44から構成される。ケーシング40の内部空間は、仕切部材43によって送風機室41と機械室42とに区画されている。送風機室41は、室外熱交換器33、室外ファン39、及び加湿ユニット60の一部が配置される空間である。機械室42は、圧縮機31、及び加湿ユニット60の一部が配置される空間である。
【0029】
仕切部材43は、天板48側から底板49側に向かって、右側板47と略並行に延びている板状部材である。仕切部材43は、前板46の内側から、室外熱交換器33の右側板47側の端部に向かって、円弧状に延びている。その結果、仕切部材43は、送風機室41から機械室42に向かって空気の流れが回り込まないように、空気の流れを遮蔽する機能を有する。
【0030】
図3に示されるように、送風機室41には、電装品ユニット50が設置されている。電装品ユニット50は、圧縮機31及び室外ファン39等を駆動するための電子部品が集約された制御基板を搭載している。
【0031】
図3に示されるように、前板46には、円形の室外吹出口46aが形成されている。室外吹出口46aには、その周縁に沿うようにリング状のベルマウス52が取り付けられている。
図2に示されるように、ケーシング40の前板46には、防護用グリル56が取り付けられている。防護用グリル56は、室外吹出口46aを覆っている。防護用グリル56には、ケーシング40の内部空間から外部空間に空気を吹き出すための複数の開口が形成されている。
【0032】
(3−2)圧縮機31
図1に示されるように、圧縮機31は、機械室42に配置されている。圧縮機31は、底板49に固定されている。圧縮機31は、運転時に高温になるので、機械室42は送風機室41と比べて温度が高くなる。
【0033】
(3−3)室外熱交換器33
図2に示されるように、室外熱交換器33は、ケーシング40の背面部44及び左側板45と対向するように、L字状に成形されている。室外熱交換器33の鉛直方向の寸法は、天板48と底板49との間の距離にほぼ等しい。
【0034】
(3−4)室外ファン39
室外ファン39は、室外熱交換器33の下流側に配置されている。室外ファン39は、室外ファンモータ39aと、プロペラ39bとを有する。プロペラ39bは、室外ファンモータ39aによって駆動される。プロペラ39bの一部は、ベルマウス52で囲まれた空間内に配置されている。
【0035】
室外ファンモータ39aによってプロペラ39bが駆動されると、室外熱交換器33の背面部44側から外気が吸い込まれる。吸い込まれた外気は、室外熱交換器33を通過し、室外吹出口46a(
図3参照)から吹き出される。室外吹出口46aの前面は防護用グリル56(
図2参照)で覆われているので、室外ユニット30の外側からはプロペラ39bに触れられないようになっている。
【0036】
(3−5)加湿ユニット60
図2に示されるように、加湿ユニット60は、前板46と背面部44との間において、送風機室41と機械室42とに跨るように配置されている。具体的には、加湿ユニット60の一部は、送風機室41に配置され、その他の部分は、機械室42に配置されている。加湿ユニット60は、送風機室41及び機械室42の上部に配置され、仕切部材43の一部分としての機能を有する。
【0037】
加湿ユニット60は、主として、加湿ロータ63、加湿用ヒータ71、吸着用ダクト68、加湿用ダクト73、加湿用ファン75(
図1参照)、及び第2加湿用ダクト180を有している。
【0038】
(3−5−1)加湿ロータ63
加湿ロータ63は、円盤形状の部材である。加湿ロータ63は、回転軸の周りを回転しながら、空気中に含まれる水分の吸着および放出を行う。加湿ロータ63の回転軸は、加湿ロータ63の円形の主表面の中心を通り、かつ、水平方向に沿って延びている。すなわち、加湿ロータ63は、その主表面が鉛直方向に沿うように配置されている。
【0039】
加湿ロータ63は、前板46と対向するように配置されている。
図3に示されるように、加湿ロータ63の一部は、前板46に形成される開口である室外吸込口46bと対向する。室外吸込口46bは、中心角が約240°の扇形を有する。室外吸込口46bの扇形の中心は、加湿ロータ63の回転軸上に位置している。
【0040】
図4は、加湿ロータ63を通過する空気の流れを示す図である。
図4では、加湿ロータ63を通過する空気の流れが、白抜きの矢印で示され、かつ、加湿ロータ63の回転方向が、点線の矢印で示されている。
図4に示されるように、加湿ロータ63は、水分吸着領域63aと水分放出領域63bとを有する。水分吸着領域63aは、加湿ロータ63の主表面の一部であって、室外吸込口46bと対向する領域である。水分放出領域63bは、加湿ロータ63の主表面の一部であって、室外吸込口46bと対向しない領域である。水分吸着領域63aは、室外吸込口46bと同様に、中心角が約240°の扇形を有する。水分放出領域63bは、水分吸着領域63aに隣接し、中心角が約120°の扇形を有する。水分吸着領域63aは、空気中に含まれる水分が吸着される領域である。水分放出領域63bは、吸着された水分が空気中に放出される領域である。水分吸着領域63aは、水分放出領域63bよりもベルマウス52側に配置されている。
【0041】
加湿ロータ63が回転軸周りに回転することで、水分吸着領域63aが水分放出領域63bとなり、水分放出領域63bが水分吸着領域63aとなる。これにより、加湿ロータ63は、その回転軸周りに回転することで、空気中に含まれる水分の吸着および放出を繰り返し行うことができる。
【0042】
水分吸着領域63a及び水分放出領域63bは、ゼオライト等の焼成によって形成されるハニカム構造を有する。ゼオライト等の吸着剤は、常温で空気中の水分を吸着し、かつ、高温の空気に曝されて加熱されることで吸着した水分を放出する。
【0043】
図4に示されるように、加湿ロータ63の外周面には、周方向に沿って複数の歯63tが形成されている。これにより、加湿ロータ63は、複数の歯63tを有する歯車として機能する。
図3に示されるように、加湿ロータ63の歯63tは、ピニオンギア64aと噛み合っている。ピニオンギア64aは、ロータ駆動用モータ64の動力によって回転する。ピニオンギア64aの回転運動によって、加湿ロータ63は、その回転軸周りに回転することができる。
【0044】
(3−5−2)加湿用ヒータ71
加湿用ヒータ71は、加湿ロータ63の水分放出領域63bと前板46との間において、水分放出領域63bと対向するように配置されている。
図4に示されるように、加湿用ヒータ71は、加湿ロータ63の水分放出領域63bから水分を放出させるために、水分放出領域63bに送られる空気を加熱する。加湿用ヒータ71によって加熱された空気は、水分放出領域63bを通過するときに加湿ロータ63から水分を放出させて、湿度が高い空気となる。
【0045】
図4に示されるように、加湿用ヒータ71で加熱される空気は、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過した空気である。この空気は、ケーシング40に形成された加湿用開口40a(
図1参照)から取り込まれた外気である。
【0046】
図4に示されるように、水分放出領域63bにおいて、加湿用開口40aから取り込まれた外気が通過する領域は、加湿用ヒータ71で加熱された空気が通過する領域よりも、加湿ロータ63の回転方向下流側に位置している。加湿用開口40aから取り込まれた外気が加湿用ヒータ71で加熱される前に水分放出領域63bを通過することで、水分放出領域63bから熱が回収される。
【0047】
(3−5−3)吸着用ダクト68
図5は、吸着用ダクト68、加湿用ダクト73、加湿用ファン75、及び第2加湿用ダクト180の斜視図である。
【0048】
吸着用ダクト68は、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに、水分を含む空気である外気を導くための部材である。吸着用ダクト68は、前板46の室外吸込口46bに向かって開口する空気流入口681を有する。空気流入口681の形状は、室外吸込口46bと同様に、中心角が約240°の扇形である。空気流入口681は、室外吸込口46bに接続されている。
【0049】
図4に示されるように、室外吸込口46bから吸い込まれた外気は、吸着用ダクト68内を流れて、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに到達し、水分吸着領域63aを通過する。このとき、外気中に含まれる水分は、水分吸着領域63aに吸着される。水分吸着領域63aを通過した空気は、吸着用ダクト68の空気流出口683(
図2参照)から排出される。空気流出口683は、室外ファン39が回転するときに負圧になる空間(ベルマウス52の上流側の空間)に接している。そのため、室外ファン39の回転によって、空気流出口683側の気圧は空気流入口681側の気圧より低くなるので、空気流入口681から外気が吸い込まれる。すなわち、室外ファン39は、加湿ロータ63の水分吸着領域63aが配置される通路に外気を導くための吸湿用ファンである。
【0050】
図3に示されるように、室外吸込口46bは、室外吹出口46aと同様に、前板46に開口している。
図4に示されるように、室外ファン39によって室外熱交換器33を通過した空気は、押し出されて、室外吹出口46aから勢いよくケーシング40の外部に吹き出される。そのため、室外吹出口46aから吹き出された空気が、室外吸込口46bに吸い込まれることはない。これにより、暖房運転時に室外熱交換器33を通過して室外吹出口46aから吹き出された低温の空気が、室外吸込口46bを経由して空気流入口681に吸い込まれることが回避される。低温の空気が空気流入口681に吸い込まれた場合、加湿ロータ63が吸着できる水分量が低下する。そのため、室外吹出口46aから吹き出された空気が室外吸込口46bに吸い込まれることを回避することで、加湿ロータ63が吸着できる水分量の低下が抑制される。
【0051】
(3−5−4)加湿用ダクト73
加湿用ダクト73は、加湿用ヒータ71によって加熱され水分放出領域63bを通過した空気を加湿用ファン75まで導く。加湿用ダクト73に導かれる空気の流れは、加湿用ファン75によって発生する。
【0052】
加湿用ダクト73に導かれる空気は、加湿用ヒータ71によって加熱されて高温の空気となり、さらに、水分放出領域63bを通過する際に水分放出領域63bから水分を放出させる。
図4に示されるように、水分放出領域63bを通過して高温高湿となった空気は、加湿用ダクト73内を流れて、加湿用ファン75まで導かれる。
【0053】
(3−5−5)加湿用ファン75
加湿用ファン75は、機械室42に配置されている。加湿用ファン75は、
図1に示されるように、加湿用ファンロータ75aと、加湿用ファンモータ75bとを有する。加湿用ファンロータ75aは、回転軸周りに回転することで、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過して加湿された空気を所定の方向へ送り出す。加湿用ファンモータ75bは、加湿用ファンロータ75aを駆動する。加湿用ファン75は、加湿用ファンロータ75aの回転軸が水平方向に沿うように配置される。加湿用ファンロータ75aの回転軸は、加湿用ファンモータ75bの回転軸に接続されている。加湿用ファンロータ75aは、樹脂製である。
【0054】
加湿用ファンロータ75aは、ファンケーシング81に囲まれている。ファンケーシング81の出口は、第2加湿用ダクト180の入口と繋がっている。加湿用ファンモータ75bは、モータカバー82によって覆われている。
図4,5に示されるように、ファンケーシング81は、加湿用ファン75によって吸い込まれる空気が通過する吸い込み口81aを有する。吸い込み口81aは、ファンケーシング81の入口に相当し、加湿用ダクト73の出口に接続されている。加湿用ファン75の吸い込み口81aは、加湿用ファンロータ75aの回転軸に沿って視た場合に、加湿用ファンロータ75aの中央に位置するように設けられている。加湿用ダクト73を流れて吸い込み口81aに吸い込まれた空気は、回転する加湿用ファンロータ75aによって第2加湿用ダクト180に送られる。
【0055】
(3−5−6)第2加湿用ダクト180
第2加湿用ダクト180は、加湿用ファン75によって送られてきた高温高湿の空気を、給気ホース18(
図1参照)の接続口まで導くダクトである。第2加湿用ダクト180のほぼ全体は、機械室42に配置されている。しかし、第2加湿用ダクト180の一部であって、給気ホース18の接続口に接続される部分は、右側板47を挟んで機械室42の反対側に位置している(
図2参照)。
【0056】
図5に示されるように、第2加湿用ダクト180は、水平ダクト部181と、鉛直ダクト部182とを有している。水平ダクト部181は、高温高湿の空気を水平方向に導く。鉛直ダクト部182は、水平ダクト部181に接続され、水平ダクト部181を通過した高温高湿の空気を下方に導く。水平ダクト部181は、機械室42内部から右側板47に向かって延びている。鉛直ダクト部182は、水平ダクト部181との接続部から下方に向かって延びている。鉛直ダクト部182の終端は、給気ホース18の接続口と接続されている。
【0057】
(3−6)湿度センサ80
湿度センサ80は、給気ホース18の内部に配置されている。具体的には、
図1に示されるように、湿度センサ80は、第2加湿用ダクト180との接続口である、給気ホース18の端部の近傍に配置されている。湿度センサ80は、第2加湿用ダクト180から給気ホース18に流入する空気の湿度を測定する。
【0058】
(3−7)制御装置90
制御装置90は、室外ユニット30の各機器の動作を制御するためのコンピュータである。制御装置90は、主として、CPU、ROM、及びRAM等のハードウェアから構成される。ROMは、制御装置90の動作を制御するプログラム等を格納している。
図6は、制御装置90のブロック図である。制御装置90は、タイマ91を内蔵している。タイマ91は、制御装置90によって制御される各機器の動作タイミングを制御するために用いられる。
【0059】
制御装置90は、室外ファン39、加湿ユニット60の加湿用ファン75、加湿ユニット60の加湿用ヒータ71、及び加湿ユニット60の加湿ロータ63の動作を制御する。制御装置90は、室外ファン39の室外ファンモータ39a、加湿用ファン75の加湿用ファンモータ75b、加湿用ヒータ71の端子、及び加湿ロータ63を駆動するロータ駆動用モータ64に接続されている。制御装置90は、室外ファンモータ39aを制御することで、室外ファン39のプロペラ39bの回転数等を調節する。制御装置90は、加湿用ファンモータ75bを制御することで、加湿用ファン75の加湿用ファンロータ75aの回転数等を調節する。制御装置90は、加湿用ヒータ71の出力等を調節する。制御装置90は、ロータ駆動用モータ64を制御することで、加湿ロータ63の回転数等を調節する。
【0060】
制御装置90は、湿度センサ80に接続されている。制御装置90は、湿度センサ80が測定した湿度の値を取得する。制御装置90は、湿度センサ80から取得した湿度の値に基づいて、第2加湿用ダクト180から給気ホース18に流入する空気の絶対湿度を算出する。
【0061】
(4)空調機10の動作
冷房運転モード、暖房運転モード、及び加湿運転モードのそれぞれにおける、空調機10の動作について説明する。
【0062】
(4−1)冷房運転
冷房運転時において、四路切換弁32は、圧縮機31の吐出側と室外熱交換器33のガス側とを接続し、かつ、圧縮機31の吸入側と室内熱交換器21のガス側とを接続する。
図1において、冷房運転時における四路切換弁32の状態は、実線で示されている。
【0063】
液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、開状態である。電動膨張弁34の開度は、室内熱交換器21の冷媒出口における冷媒の過熱度が所定の目標値で一定になるように調節される。
【0064】
このような状態の冷媒回路において、圧縮機31、室外ファン39及び室内ファン22の運転を開始すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機31に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、四路切換弁32を経由して室外熱交換器33に送られて、室外ファン39によって供給される室外空気との熱交換により凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、電動膨張弁34で減圧されて気液二相状態の冷媒となった後、液側閉鎖弁37及び液冷媒連絡配管14を経由して、室内ユニット20に送られる。
【0065】
室内ユニット20に送られた気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器15に入り、室内熱交換器15において室内空気との熱交換により液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管16及びガス側閉鎖弁38を経由して室外ユニット30に送られ、四路切換弁32を経由して、アキュムレータ36に流入する。アキュムレータ36に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
【0066】
このように、空調機10は、室外熱交換器33を冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室内熱交換器21を冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行う。
【0067】
(4−2)暖房運転
暖房運転時において、四路切換弁32は、圧縮機31の吐出側と室内熱交換器21のガス側とを接続し、かつ、圧縮機31の吸入側と室外熱交換器33のガス側とを接続する。
図1において、暖房運転時における四路切換弁32の状態は、点線で示されている。
【0068】
液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、開状態である。電動膨張弁34の開度は、室外熱交換器33に流入する冷媒の圧力が、室外熱交換器33において液冷媒が完全に蒸発できる圧力まで低下するように調節される。
【0069】
このような状態の冷媒回路において、圧縮機31、室外ファン39及び室内ファン22の運転を開始すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機31に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、四路切換弁32、ガス側閉鎖弁38及びガス冷媒連絡配管16を経由して、室内ユニット20に送られる。
【0070】
室内ユニット20に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器21において、室内空気との熱交換により凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、液冷媒連絡配管14及び液側閉鎖弁37を経由して室外ユニット30に送られる。
【0071】
室外ユニット30に送られた高圧の液冷媒は、電動膨張弁34で減圧されて気液二相状態の冷媒となった後に、室外熱交換器33に流入する。室外熱交換器33に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン39によって供給される室外空気との熱交換により液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、四路切換弁32を経由してアキュムレータ36に流入する。アキュムレータ36に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
【0072】
このように、空調機10は、室内熱交換器21を冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、室外熱交換器33を冷媒の蒸発器として機能させる暖房運転を行う。
【0073】
(4−3)加湿運転
空調機10の加湿運転は、暖房運転と組み合わされて行われる。
図2、
図3及び
図5に示されるように、加湿ユニット60の吸着用ダクト68の空気流入口681(
図5参照)は、前板46の室外吸込口46b(
図3参照)に向かって開口し、空気流出口683(
図2参照)は、室外ファン39が回転するときに負圧となるベルマウス52の上流側に開口している。室外ファン39が稼動すると、空気流出口683側の気圧が空気流入口681側より低くなり、室外熱交換器33を通過していない外気が、空気流入口681から吸い込まれる。空気流入口681から吸い込まれた外気に含まれる水分は、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに吸着される。
【0074】
加湿ロータ63は、空気流入口681と空気流出口683との間であって、かつ、空気流出口683の近傍に位置する。加湿運転時において、加湿ロータ63は、ロータ駆動用モータ64の動力によって、その回転軸63cを中心に所定の回転速度で回転する。加湿ロータ63の回転によって、水分吸着領域63aで吸着された水分は、水分放出領域63bまで運ばれる。
【0075】
同時に、加湿用ファン75の駆動によって、加湿用開口40aから取り込まれた外気が、加湿用ヒータ71の周囲まで導かれて加熱される。加湿用ヒータ71によって加熱された空気は、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過する。このとき、水分放出領域63bにおいて、加熱された空気に曝された部分から水分が放出される。その後、水分放出領域63bから放出された水分を含む高湿の空気は、加湿用ダクト73に導かれ、加湿用ファン75によって第2加湿用ダクト180内に供給される。第2加湿用ダクト180に供給された高湿の空気は、給気ホース18を経由して室内ユニット20へ導かれる。
【0076】
(5)室外ユニット30の制御
図7は、空調機10が加湿運転を行っている間における、室外ユニット30の各機器の動作を示すタイミングチャートである。
図7には、室外ファン39、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63の各機器の動作のタイミングが示されている。制御装置90は、タイマ91を用いて、各機器の動作のタイミング制御を行う。
図7において、最も下に描かれている横線は、時間軸を表す。
図7では、時間軸に付されているt0からt5に向かって、すなわち、時間軸の矢印の方向に向かって時間が経過する。空調機10は、期間t0〜t5において加湿運転を行う。
【0077】
室外ファン39、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63の各機器の動作は、制御装置90によって制御される。
図7において、「OFF」は、室外ファン39、加湿用ファン75、及び加湿ロータ63の回転数がゼロである状態を表し、加湿用ヒータ71の出力がゼロである状態を表す。
図7において、「MAX」は、室外ファン39、加湿用ファン75、及び加湿ロータ63の回転数が所定の最大値である状態を表し、加湿用ヒータ71の出力が所定の最大値である状態を表す。室外ファン39、加湿用ファン75、及び加湿ロータ63に関して、「OFF」と「MAX」との間の状態は、回転数がゼロより大きく最大値より小さい状態を表す。加湿用ヒータ71に関して、「OFF」と「MAX」との間の状態は、出力がゼロより大きく最大値より小さい状態を表す。以下、制御装置90によって制御される機器が「OFF」である状態をOFF状態と呼び、「MAX」である状態をMAX状態と呼び、「OFF」と「MAX」との間の状態を中間状態と呼ぶ。
【0078】
空調機10が加湿運転を行っている間、制御装置90は、各機器を制御することで、準備運転、乾燥運転、加湿オープン制御運転、加湿フィードバック制御運転、及び残留運転を行う。準備運転は、期間t0〜t1において行われる。乾燥運転は、期間t1〜t2において行われる。加湿オープン制御運転は、期間t2〜t3において行われる。加湿フィードバック制御運転は、期間t3〜t4において行われる。残留運転は、期間t4〜t5において行われる。加湿フィードバック制御運転は行われないことがある。
【0079】
空調機10が加湿運転を行っている間、高湿の空気を室内に供給するために、室外ユニット30のダンパ(図示せず)は、給気ホース18を通して室外ユニット30から室内ユニット20へ空気を送ることができる状態になっている。次に、制御装置90が行う各運転の動作について説明する。
【0080】
(5−1)準備運転
準備運転が行われる期間t0〜t1では、空調機10の加湿運転の準備が行われる。時刻t0は、空調機10の加湿運転が開始される時刻である。空調機10は、暖房運転を行っている時に、加湿運転を開始する。すなわち、加湿運転は暖房運転と同時に行われるので、時刻t0において、空調機10は、既に暖房運転を行っている状態にある。そのため、
図7に示されるように、室外ファン39は、時刻t0の時点でMAX状態となっている。室外ファン39は、空調機10が加湿運転を行っている間(期間t0〜t5)は、常にMAX状態となっている。また、空調機10が時刻t5において加湿運転を終了して暖房運転のみの実行を再開した後においても、室外ファン39は、MAX状態を維持している。空調機10の加湿運転が開始される時刻t0において、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63は、OFF状態である。
【0081】
準備運転が行われる期間t0〜t1において、加湿用ファン75は、OFF状態からMAX状態に移行し、加湿用ヒータ71は、OFF状態から中間状態に移行し、加湿ロータ63は、OFF状態を維持する。加湿用ファン75がMAX状態に移行した後に、加湿用ヒータ71は中間状態に移行する。
【0082】
期間t0〜t1では、加湿用ファン75がMAX状態に移行することで、加湿用開口40aから外気が取り込まれる。取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71の周囲まで導かれた後、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過する。水分放出領域63bを通過した空気は、加湿用ダクト73を流れ、加湿用ファン75によって第2加湿用ダクト180内に供給される。第2加湿用ダクト180内に供給された空気は、給気ホース18を経由して室内ユニット20へ導かれる。
【0083】
期間t0〜t1では、加湿用ヒータ71は中間状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71によって加熱される。そのため、時刻t0の時点で加湿ロータ63の水分放出領域63bに吸着されていた水分は、期間t0〜t1において、加湿用ヒータ71によって加熱された空気によって水分放出領域63bから放出される。期間t0〜t1では、加湿ロータ63はOFF状態であるので、水分放出領域63bには、水分吸着領域63aに吸着された水分が新たに供給されない。これにより、期間t0〜t1において、加湿ロータ63の水分放出領域63bに吸着されていた水分は、全て放出される。
【0084】
図7に示されるように、加湿用ヒータ71が中間状態に移行する時点は、加湿用ファン75がMAX状態に移行する時点の後である。これは、加湿用ファン75がOFF状態の時に加湿用ヒータ71が中間状態に移行すると、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過する空気の流れが生じないので、加湿用ヒータ71によって水分放出領域63bが過度に加熱されて、加湿ロータ63の水分吸着能力および水分放出能力が低下するおそれがあるからである。
【0085】
(5−2)乾燥運転
乾燥運転が行われる期間t1〜t2では、加湿通路を乾燥させる乾燥運転が行われる。乾燥運転は、加湿ロータ63の駆動を停止させた状態で、加湿用ヒータ71によって加熱された空気を、加湿用ファン75によって加湿通路に導いて、加湿通路を乾燥させる運転である。ここで、加湿通路とは、加湿ロータ63の水分放出領域63bが配置される通路に相当する。具体的には、加湿通路は、加湿用ヒータ71によって加熱されて水分放出領域63bを通過した空気が流れる通路であり、加湿用ダクト73、第2加湿用ダクト180、及び給気ホース18を含む。
【0086】
期間t1〜t2では、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63の状態は、準備運転が行われる期間t0〜t1と同じである。加湿用ファン75はMAX状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71の周囲まで導かれた後に、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過し、加湿用ダクト73、第2加湿用ダクト180、及び給気ホース18を順に経由して室内ユニット20へ導かれる。このとき、加湿用ヒータ71は中間状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71によって加熱される。また、加湿ロータ63はOFF状態であるので、水分放出領域63bを通過した空気は、水分放出領域63bから放出された水分を含まない。なぜなら、時刻t0の時点で水分放出領域63bに吸着されていた水分は、準備運転が行われる期間t0〜t1において全て放出されたからである。
【0087】
そのため、期間t1〜t2において、加湿通路には、水分を含まない高温の空気が供給される。これにより、加湿通路に存在する水は蒸発して、加湿通路を流れる空気と共に室内ユニット20へ導かれる。その結果、加湿通路は、乾燥した状態になる。
【0088】
乾燥運転が終了する時刻t2において、制御装置90は、湿度センサ80から取得した湿度の値に基づいて、加湿通路の絶対湿度を算出する。以下、乾燥運転の終了時において制御装置90によって算出された加湿通路の絶対湿度を、第1絶対湿度と呼ぶ。乾燥運転の終了時とは、乾燥運転が終了する時刻t2である。
【0089】
(5−3)加湿オープン制御運転
加湿オープン制御運転が行われる期間t2〜t3では、室内に高温高湿の空気を供給する加湿運転が行われる。加湿運転は、加湿ロータ63を駆動させた状態で、室外ファン39によって吸湿通路に導かれた空気に含まれる水を、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに吸着させながら、加湿用ヒータ71によって加熱された水分放出領域63bから放出された水を含む空気を、加湿用ファン75によって加湿通路に導く運転である。ここで、吸湿通路とは、加湿ロータ63の水分吸着領域63aが配置される通路に相当する。具体的には、吸湿通路は、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに吸着される前の水分を含む空気が流れる通路であり、吸着用ダクト68を含む。
【0090】
期間t2〜t3では、加湿用ファン75、及び加湿用ヒータ71の状態は、乾燥運転が行われる期間t1〜t2と同じである。加湿用ファン75はMAX状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71の周囲まで導かれた後に、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過し、加湿用ダクト73、第2加湿用ダクト180、及び給気ホース18を順に経由して室内ユニット20へ導かれる。このとき、加湿用ヒータ71は中間状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71によって加熱される。
【0091】
加湿ロータ63は、時刻t2において、OFF状態から中間状態に移行する。すなわち、期間t2〜t3において、加湿ロータ63は駆動しているので、加湿ロータ63の水分放出領域63bには、水分吸着領域63aで吸着された水分が常に供給される。そのため、期間t2〜t3において、加湿通路を流れる空気は、水分放出領域63bから放出された水分を含む高湿の空気である。水分放出領域63bを通過した高湿の空気は、加湿通路を経由して、室内ユニット20へ導かれる。以上の加湿オープン制御運転は、例えば、2分間行われる。
【0092】
加湿オープン制御運転が終了する時刻t3において、制御装置90は、湿度センサ80から取得した湿度の値に基づいて、加湿通路の絶対湿度を算出する。以下、加湿オープン制御運転が終了する時刻t3において制御装置90によって算出された加湿通路の絶対湿度を、第2絶対湿度と呼ぶ。
【0093】
(5−4)加湿フィードバック制御運転
加湿フィードバック制御運転が行われる期間t3〜t4では、室内に高温高湿の空気を供給する加湿運転が行われる。
【0094】
期間t3〜t4では、加湿用ファン75の状態は、乾燥運転が行われる期間t1〜t2と同じである。加湿用ファン75はMAX状態であるので、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71の周囲まで導かれた後に、加湿ロータ63の水分放出領域63bを通過し、加湿用ダクト73、第2加湿用ダクト180、及び給気ホース18を順に経由して室内ユニット20へ導かれる。加湿用ヒータ71は、時刻t3において、MAX状態に移行する。そのため、加湿用開口40aから取り込まれた外気は、加湿用ヒータ71によって加熱される。
【0095】
期間t3〜t4では、加湿ロータ63のフィードバック制御が行われる。具体的には、制御装置90は、湿度センサ80から取得した湿度の値、及び、室内ユニット20のセンサから取得した室内の温度および湿度の値等の種種のデータに基づいて、加湿ロータ63の回転数を制御する。期間t3〜t4において、制御装置90は、加湿ロータ63を停止させない。
【0096】
(5−5)残留運転
残留運転が行われる期間t4〜t5では、空調機10の加湿運転を停止させる制御が行われる。期間t4〜t5において、加湿用ファン75及び加湿用ヒータ71は、OFF状態に移行する。加湿ロータ63は、OFF状態になっていない場合には、OFF状態に移行する。
【0097】
残留運転が終了する時刻t5は、空調機10の加湿運転が終了する時刻である。時刻t5では、空調機10の加湿運転が開始される時刻t0と同様に、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63は、OFF状態である。
【0098】
(6)制御装置90の異常検知機能
制御装置90は、加湿ユニット60の加湿機能の異常を検知する機能を有する。具体的には、制御装置90は、上述の第1絶対湿度および第2絶対湿度に基づいて、加湿ユニット60の加湿機能の異常が発生しているか否かを判定することができる。ここで、加湿機能の異常とは、空調機10の加湿運転時に、室内ユニット20に高湿の空気が正常に送られていない状態の発生を意味する。加湿機能の異常を検知する機能により、制御装置90は、室内が正常に加湿されていない不具合を検知することができる。
【0099】
図8は、加湿ユニット60の加湿機能の異常検知の制御を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、空調機10が加湿運転を行っている期間t0〜t5における制御を表す。
【0100】
最初に、制御装置90は、準備運転、乾燥運転、及び加湿オープン制御運転を順に実行する(ステップS1〜S3)。次に、制御装置90は、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生を判定するか否かを決定する(ステップS4)。具体的には、制御装置90は、所定の条件が成立している場合に、加湿機能の異常の発生を判定する制御を行い、所定の条件が成立していない場合には、加湿機能の異常の発生を判定する制御を行わない。以下、この所定の条件を、異常判定開始条件と呼ぶ。ステップS4では、異常判定開始条件が成立している場合(Yes)には、ステップS5に移行し、異常判定開始条件が成立していない場合(No)には、ステップS7に移行する。
【0101】
制御装置90は、次に説明する3つの開始条件が全て成立している場合に、異常判定開始条件が成立していると判定する。すなわち、制御装置90は、3つの開始条件の少なくとも1つが成立していない場合には、異常判定開始条件が成立していないと判定する。
【0102】
第1の開始条件は、加湿ユニット60の吹き出し温度の制御が正常に行われていないことである。具体的には、加湿ユニット60の吹き出し温度が、所定の基準値を中心とする所定の範囲内にない場合に、加湿ユニット60の吹き出し温度の制御が正常に行われていないと判定される。ここで、加湿ユニット60の吹き出し温度とは、加湿ユニット60の第2加湿用ダクト180から吐出された直後の空気の温度である。加湿ユニット60の吹き出し温度は、例えば、第2加湿用ダクト180との接続口である、給気ホース18の端部の近傍に配置されている温度センサから取得される。加湿ユニット60の吹き出し温度の制御が正常に行われている場合、加湿ユニット60の加湿機能に異常はなく、加湿機能の異常の発生を判定する必要がない。
【0103】
第2の開始条件は、乾燥運転が終了する時刻t2において、湿度センサ80から取得した湿度の値に基づいて、第1絶対湿度が算出できることである。第1絶対湿度は、例えば、湿度センサ80から取得した湿度の値である、加湿ユニット60の吹き出し湿度を所定の関係式に代入することで求められる。制御装置90は、第1絶対湿度を算出できる場合には、第1絶対湿度を算出する。第1絶対湿度が正常に算出できない場合、制御装置90は、加湿機能の異常の発生を正常に判定できない。
【0104】
第3の開始条件は、乾燥運転の終了後に行われる加湿オープン制御運転が行われる期間t2〜t3において、加湿ロータ63の回転数が所定の値より大きいことである。空調機10の加湿運転時において、加湿ロータ63の回転数が高すぎる場合、加湿通路へ高湿の空気が正常に供給されていない可能性がある。
【0105】
ステップS4において異常判定開始条件が成立している判定された場合、制御装置90は、第2絶対湿度を算出する(ステップS5)。第2絶対湿度は、加湿オープン制御運転が終了する時刻t3において、制御装置90が算出した絶対湿度である。第2絶対湿度は、第1絶対湿度と同じ方法で求められる。
【0106】
次に、制御装置90は、ステップS4で算出された第1絶対湿度と、ステップS5で算出された第2絶対湿度とを比較する(ステップS6)。具体的には、制御装置90は、第2絶対湿度が第1絶対湿度より低い場合に、加湿機能の異常が発生したと判定する。反対に、制御装置90は、第2絶対湿度が第1絶対湿度と同じか、第1絶対湿度より高い場合には、加湿機能の異常が発生していないと判定する。ステップS6では、第2絶対湿度が第1絶対湿度より低いという条件が成立している場合(Yes)には、ステップS8に移行し、成立していない場合(No)には、ステップS7に移行する。
【0107】
加湿ユニット60の加湿機能に異常がない場合、加湿オープン制御運転の終了時における絶対湿度である第2絶対湿度は、乾燥運転の終了時における絶対湿度である第1絶対湿度より高いはずである。そのため、制御装置90は、第1絶対湿度と第2絶対湿度とを比較することで、加湿機能の異常の発生を判定することができる。
【0108】
ステップS6において加湿機能の異常が発生したと判定された場合、制御装置90は、残留運転を実行する(ステップS8)。次に、制御装置90は、空調機10の加湿運転を終了する(ステップS9)。具体的には、制御装置90は、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63をOFF状態に移行する。
【0109】
ステップS4において異常判定開始条件が成立していない場合、または、ステップS6において第2絶対湿度が第1絶対湿度より低いという条件が成立していない場合、制御装置90は、加湿フィードバック制御運転を実行する(ステップS7)。次に、制御装置90は、残留運転を実行して、空調機10の加湿運転を終了する(ステップS8〜S9)。
【0110】
(7)特徴
本実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、乾燥運転が終了する時刻t2における絶対湿度である第1絶対湿度、及び、乾燥運転後に行われる加湿運転である加湿オープン制御運転の終了時における絶対湿度である第2絶対湿度に基づいて、加湿ユニット60の加湿機能の異常の有無を判定する。
【0111】
このように、制御装置90は、湿度センサ80の測定値に基づいて算出された絶対湿度の変化に基づいて、空調機10の加湿運転が正常に行われているか否かを判定することができる。そのため、室外ユニット30の各機器の不具合の発生に基づいて加湿機能の異常を判定する場合に比べて、制御装置90は、加湿機能の異常の判定のための制御を簡便に行うことができる。ここで、室外ユニット30の各機器の不具合とは、例えば、加湿ロータ63の水分の吸着能力および放出能力の低下、加湿用ヒータ71の経年劣化、若しくは、室外ファンモータ39a、加湿用ファンモータ75b及びロータ駆動用モータ64の故障である。従って、加湿ユニット60を備える室外ユニット30は、加湿ユニット60の加湿機能の異常を簡便に判定することができる。
【0112】
また、室外ユニット30の制御装置90は、所定の異常判定開始条件が成立した場合のみに、加湿機能の異常の有無を判定する。すなわち、制御装置90は、第1絶対湿度及び第2絶対湿度に基づいて加湿機能の異常を判定できない可能性がある場合には、第1絶対湿度及び第2絶対湿度に基づいて加湿機能の異常を判定しない。従って、加湿ユニット60を備える室外ユニット30は、加湿ユニット60の加湿機能の異常の誤検知の発生を抑制することができる。
【0113】
また、室外ユニット30の制御装置90は、第2絶対湿度が第1絶対湿度より低い場合に、加湿機能の異常が発生したと判定する。このように、制御装置90は、2つの時点で取得した絶対湿度を比較する演算を実行するだけで、加湿機能の異常を判定することができる。従って、加湿ユニット60を備える室外ユニット30は、加湿ユニット60の加湿機能の異常を簡便に判定することができる。
【0114】
また、室外ユニット30の制御装置90は、乾燥運転を行っている間、加湿ロータ63の駆動を停止させる。乾燥運転時には、加湿ロータから放出される水分を含む空気が加湿通路に流入することを抑えることで加湿通路の乾燥に要する時間を短縮するために、加湿ロータは回転していないことが好ましい。従って、加湿ユニット60を備える室外ユニット30は、乾燥運転に要する時間を短縮することができる。
【0115】
(8)変形例
本発明の具体的構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更可能である。次に、本発明の実施形態の適用可能な変形例について説明する。
【0116】
(8−1)変形例A
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、
図8のステップS6において、第1絶対湿度および第2絶対湿度に基づいて加湿機能の異常が発生したと判定した場合に、空調機10の加湿運転を終了する。しかし、この場合、制御装置90は、空調機10の利用者および管理者等に、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生をさらに報知してもよい。例えば、制御装置90は、空調機10のリモコンの液晶ディスプレイに、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生に関する情報を表示させてもよい。これにより、加湿ユニット60を備える室外ユニット30は、空調機10の利用者等に、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生を通知することができる。
【0117】
(8−2)変形例B
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30では、
図7に示されるように、乾燥運転が行われている間、加湿ロータ63はOFF状態であり、かつ、室外ファン39はMAX状態である。しかし、乾燥運転が行われている間、加湿ロータ63及び室外ファン39は、少なくとも一方がOFF状態であればよい。
【0118】
例えば、制御装置90は、乾燥運転が行われている間、加湿ロータ63を中間状態またはMAX状態に移行し、かつ、室外ファン39をOFF状態に移行してもよい。また、制御装置90は、乾燥運転が行われている間、加湿ロータ63および室外ファン39の両方をOFF状態に移行してもよい。
【0119】
(8−3)変形例C
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30では、室外ファン39の回転によって、空気流出口683側の気圧は空気流入口681側の気圧より低くなるので、空気流入口681から外気が吸い込まれる。その結果、吸着用ダクト68に外気が流れて、加湿ロータ63の水分吸着領域63aには、外気に含まれる水分が吸着する。
【0120】
しかし、室外ユニット30は、室外ファン39とは別のファンであって、吸着用ダクト68に外気を流すための吸湿用ファンをさらに備えてもよい。吸湿用ファンは、例えば、吸着用ダクト68の空気流出口683の近傍に取り付けられる。この場合、室外ファン39の故障によって室外ファン39が停止している場合でも、吸湿用ファンを駆動させて吸着用ダクト68に外気を流すことで、加湿ロータ63の水分吸着領域63aに、外気に含まれる水分を吸着させることができる。
【0121】
(8−4)変形例D
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、第2絶対湿度が第1絶対湿度より低い場合に、加湿機能の異常が発生したと判定する。しかし、加湿ユニット60の加湿機能の異常が発生したか否かの判定条件は、第1絶対湿度と第2絶対湿度との間の大小関係に基づく条件に限られない。
【0122】
例えば、第1絶対湿度をT1とし、第2絶対湿度をT2とし、所定の係数をKとした場合において、制御装置90は、T1・K>T2の関係式が成立する場合に、加湿ユニット60の加湿機能の異常が発生したと判定してもよい。ここで、係数Kは、1以上の値である。この場合、係数Kが大きいほど、第2絶対湿度が第1絶対湿度に比べて十分に高くない場合に、加湿ユニット60の加湿機能の異常が発生したと判定されやすい。
【0123】
(8−5)変形例E
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、上述の3つの開始条件が全て成立している場合に、異常判定開始条件が成立していると判定する。これらの3つの開始条件のうち、第2の開始条件は、乾燥運転の終了時において、湿度センサ80から取得した湿度の値に基づいて、第1絶対湿度が算出できることである。
【0124】
ここで、制御装置90は、例えば、次に説明する2つの算出条件が全て成立している場合に、第1絶対湿度が算出できるという第2の開始条件が成立していると判定してもよい。第1の算出条件は、外気温度が所定の範囲内にあるという条件である。第2の算出条件は、乾燥運転の終了時に湿度センサ80から取得した湿度の値が所定の値未満であるという条件である。
【0125】
(8−6)変形例F
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、第1絶対湿度と第2絶対湿度とを比較することで、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生を判定する。
図8に示されるように、加湿機能の異常が発生したと判定された場合(ステップS6でYesの場合)、制御装置90は、加湿フィードバック制御運転を実行することなく、残留運転を実行して、空調機10の加湿運転を終了する。
【0126】
しかし、加湿機能の異常が発生したと判定された場合、制御装置90は、残留運転を実行せずに、再度、乾燥運転および加湿オープン制御運転を実行して、加湿機能の異常の発生を判定してもよい。この場合、制御装置90は、再度、加湿運転を実行した後に第1絶対湿度を取得し、その後の加湿オープン制御運転を実行した後に第2絶対湿度を取得し、第1絶対湿度と第2絶対湿度とを比較することで、加湿ユニット60の加湿機能の異常の発生を判定する。
【0127】
また、制御装置90は、
図8のステップS6において加湿機能の異常が発生しなかったと判定される(ステップS6でNoの場合となる)まで、乾燥運転および加湿オープン制御運転を繰り返す制御を行ってもよい。この場合、制御装置90は、乾燥運転および加湿オープン制御運転を繰り返す度に、第1絶対湿度および第2絶対湿度を取得し、第1絶対湿度と第2絶対湿度とを比較することで、加湿ユニット60の加湿機能の異常を判定する。また、制御装置90は、乾燥運転および加湿オープン制御運転を所定の回数実行した後で、加湿機能の異常が発生したと判定された場合に、これ以上乾燥運転および加湿オープン制御運転を繰り返すことなく、残留運転を実行して、空調機10の加湿運転を終了してもよい。
【0128】
また、本変形例では、制御装置90は、加湿フィードバック制御運転を実行した後に、再度、乾燥運転および加湿オープン制御運転を実行して第1絶対湿度および第2絶対湿度を取得し、第1絶対湿度と第2絶対湿度とを比較することで、加湿ユニット60の加湿機能の異常を判定してもよい。この場合、乾燥運転および加湿オープン制御運転を再実行するための条件が設定されてもよい。例えば、制御装置90は、現在行っている空調機10の加湿運転が、室外ユニット30のデフロスト運転終了後の最初の加湿運転である場合に、乾燥運転および加湿オープン制御運転を再実行してもよい。
【0129】
(8−7)変形例G
実施形態の加湿ユニット60を備える空調機10は、加湿運転を暖房運転と組み合わせて行う。しかし、空調機10は、暖房運転と組み合わせずに、加湿運転のみを行ってもよい。この場合、室外ユニット30の制御装置90は、加湿ロータ63の水分吸着領域63aが配置される通路に外気を導くために、加湿運転を行っている間、室外ファン39をMAX状態または中間状態にする。
【0130】
(8−8)変形例H
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、室外ファン39、加湿ユニット60の加湿用ファン75、加湿ユニット60の加湿用ヒータ71、及び加湿ユニット60の加湿ロータ63の動作を制御する。制御装置90は、加湿ユニット60の加湿機能の異常を検知する機能を有する。
【0131】
しかし、加湿ユニット60は、室外ユニット30の制御装置90とは異なる独自の制御装置をさらに備えてもよい。この場合、加湿ユニット60の制御装置は、室外ユニット30の制御装置90と同じ機能を有する。すなわち、加湿ユニット60の制御装置は、室外ファン39、加湿用ファン75、加湿用ヒータ71、及び加湿ロータ63の動作を制御する。加湿ユニット60の制御装置は、室外ファン39の代わりに、変形例Cの吸湿用ファンを制御してもよい。加湿ユニット60の制御装置は、加湿ユニット60の加湿機能の異常を検知する機能を有する。
【0132】
(8−9)変形例I
実施形態の加湿ユニット60を備える室外ユニット30の制御装置90は、
図7に示されるように、空調機10が加湿運転を行っている間(期間t0〜t5)、室外ファン39を常にMAX状態に維持している。また、制御装置90は、空調機10が時刻t5において加湿運転を終了して暖房運転のみの実行を再開した後においても、室外ファン39をMAX状態に維持している。
【0133】
しかし、制御装置90は、室外ファン39を常にMAX状態に維持していなくてもよい。具体的には、制御装置90は、空調機10の運転状態に応じて、室外ファン39の回転数を変更してもよい。例えば、制御装置90は、室内の温度および湿度、もしくは、湿度センサ80の測定値等に応じて、室外ファン39を常に中間状態で運転させたり、室外ファン39をMAX状態から一時的に中間状態に移行させたりしてもよい。