(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カセット内の前記複数のワークに対して同一の順序で前記液体を塗布するように前記ロボットシステム、前記第一エレベータ及び前記第二エレベータの少なくとも一部を制御するコントローラを更に備える、請求項4〜7のいずれか一項に記載の塗布システム。
前記ロボットシステムは、前記搬送経路の復路の上方又は下方に配置され、前記一又は複数のロボットによる塗布対象の前記ワークを保持する保持部を有する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の塗布システム。
前記搬入口及び前記搬出口に配置され、前記搬入口及び前記搬出口を遮る面に沿うように気体を噴出する噴気機構を更に備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗布システム。
前記一又は複数のロボットは、一軸線まわりに旋回可能な先端部と、前記先端部から前記一軸線に交差する方向にそれぞれ突出し、複数種類の前記液体をそれぞれ吐出する複数のディスペンサとを有し、
前記複数のディスペンサ同士は、一の前記ディスペンサを用いた塗布作業の実行中に他の前記ディスペンサが塗布対象の前記ワークと干渉しない角度をなす、請求項1〜15のいずれか一項に記載の塗布システム。
前記ディスペンサの端部を一定周期で前記固着防止部の前記溶剤に浸すように前記一又は複数のロボットを制御することを実行するコントローラを備える、請求項17又は18に記載の塗布システム。
前記ロボットシステムにより液体が塗布された後の前記ワークを収容するカセットが通過する経路において、前記カセット内の前記ワークの乾燥を促進するドライヤを更に備える、請求項1〜20のいずれか一項に記載の塗布システム。
搬送室と、前記搬送室の上方又は下方に配置され平面視で前記搬送室に少なくとも一部が重なる塗布室と、前記搬送室の同一方向に開口した搬入口及び搬出口と、前記塗布室に配置されたロボットと、を備える塗布システムを用い、
複数のワークが収容されたカセットを、前記搬送室内を往復する搬送経路にて前記搬入口から前記搬送室内に搬送すること、
前記搬送経路上の前記カセットを前記搬送室から前記塗布室内に上昇又は下降させること、
前記塗布室内で前記ロボットを用いて前記複数のワークの各々に液体を塗布すること、
前記液体が塗布された前記ワークが収容された前記カセットを前記塗布室から前記搬送室内に下降又は上昇させること、及び
前記搬送室内に下降又は上昇させられた前記カセットを前記搬送経路にて前記搬送室内から前記搬出口に搬送すること、
を含む塗布方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、説明の便宜のために、図中にX軸、Y軸及びZ軸を付す。Z軸は、鉛直方向に延びる軸である。X軸及びY軸は、水平面内において互いに垂直に交差する。
【0010】
1.塗布システム
塗布システム1は、カセットC内に収容されたワークWに液体を塗布するためのシステムである。
【0011】
ワークWは、例えば、第一面及び第二面を有する板状体である。一例として、ワークWは、回路基板である。ただし、ワークWは、例えば接着剤等の有機溶剤に溶かされた溶液状の液体が塗布され、当該液体の塗布後に乾燥工程を必要とする作業対象物であれば、どのようなものであってもよい。液体の一例はワニスであるが、作業対象物に塗布される液体であれば、どのような液体であってもよい。
【0012】
カセットCは、複数のワークWをそれぞれ収容するための多段のスロットを有する。多段のスロットは、例えば等間隔に並んでいる。ワークWが板状体である場合、多段のスロットは、複数のワークWを厚さ方向に等間隔に配置するように設けられていてもよい。
【0013】
図1〜
図4に示すように、塗布システム1は、搬送室2と、塗布室3と、搬入口4及び搬出口5と、搬送装置10と、一又は複数のエレベータ14,15と、ロボットシステム20とを備える。
【0014】
塗布室3は、搬送室2の上方又は下方に配置され、平面視で搬送室2に少なくとも一部が重なっている。搬送室2及び塗布室3は、例えば一つの筐体6内に設けられている。即ち、塗布システム1は、筐体6を更に備えてもよい。筐体6は、例えば略直方体形状であり、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各々に延びる辺を有する。筐体6の内部は上下に区画されて、搬送室2及び塗布室3に分かれている。本実施形態では、塗布室3が搬送室2の上方に設けられているが、塗布室3が搬送室2の下方に設けられていてもよい。なお、搬送室2と塗布室3とが、平面視において(即ちZ軸方向から見て)全ての領域において重なっている必要はなく、少なくとも一部において重なっていればよい。
【0015】
搬入口4及び搬出口5は、搬送室2の同一方向(例えばX軸負方向)に開口している。搬入口4及び搬出口5は、
図1に示されるように互いに繋がって一つの開口7となっていてもよいし、互いに分離していてもよい。
【0016】
〔搬送装置〕
搬送装置10は、複数のワークWが収容されたカセットCを、搬送室2内を往復する搬送経路にて搬入口4から搬出口5に搬送する。一例として、搬送装置10は、搬送経路の往路R1にてカセットCを搬送するための第一搬送装置11と、搬送経路の復路R2にてカセットCを搬送するための第二搬送装置12と、第一搬送装置11上から第二搬送装置12上にカセットCを搬送する第三搬送装置13と、を有していてもよい。
【0017】
第一搬送装置11は、搬入口4から搬送室2内にカセットCを搬送する搬送装置である。
図1〜
図3の例においては、第一搬送装置11は、カセットCをX軸正方向に搬送する。第一搬送装置11は、例えば、複数のローラがX軸方向に並列して構成されるローラコンベアであってもよい。
【0018】
第二搬送装置12は、搬送室2内から搬出口5にカセットCを搬送する装置である。第二搬送装置12は、例えば、複数のローラがX軸方向に並列して構成されるローラコンベアであってもよい。
【0019】
第三搬送装置13は、搬送室2内の奥側(搬入口4及び搬出口5の反対側)に設けられ、第一搬送装置11上のカセットCを第二搬送装置12上に移動させる。例えば第三搬送装置13は、空気圧シリンダ131と、ロッド132と、パッド133とを備える。パッド133は、ロッド132を介して空気圧シリンダ131に接続されている。空気圧シリンダ131は、空気圧により、パッド133をY軸方向に沿って往復させる。これにより、パッド133は、第一搬送装置11上及び第二搬送装置12上を往復し、第一搬送装置11上から第二搬送装置12上に移動する際にカセットCを位置P6から位置P7に移動させる。
【0020】
〔エレベータ〕
一又は複数のエレベータ14,15は、搬送装置10による搬送経路に位置するカセットCを搬送室2と塗布室3との間で昇降させる。塗布システム1は、一又は複数のエレベータの一例として第一エレベータ14と第二エレベータ15とを備える。第一エレベータ14及び第二エレベータ15は、搬送装置10による搬送経路の往路R1(
図3参照)においてカセットCを昇降させてもよい。第一エレベータ14及び第二エレベータ15は、搬送装置の往路R1に沿って並んでいてもよい。
【0021】
図2及び
図3に示すように、第一エレベータ14は、ストッパ141と、昇降体142と、アクチュエータ143とを有する。ストッパ141は、搬送装置10による搬送経路上に出没可能であり、搬送経路上に突出した状態でカセットCの移動を妨げる。昇降体142は、ストッパ141により移動を規制されたカセットCを支持する。アクチュエータ143は、カセットCを支持した昇降体142を昇降させることで、カセットCを搬送室2と塗布室3との間で昇降させる。アクチュエータ143としては、例えば電動式のリニアアクチュエータが挙げられる。
【0022】
第二エレベータ15は、第一エレベータ14と同様に、ストッパ151と、昇降体152と、アクチュエータ153とを有し、第一エレベータ14に対してX軸正方向側に位置している。
【0023】
〔ロボットシステム〕
ロボットシステム20は、複数のワークWの各々に液体を塗布するための一又は複数のロボット21,22を有する。ロボットシステム20は、塗布室3に配置されている。
【0024】
一例として、ロボットシステム20が有するロボットは、ワークWの第一面に液体を塗布するための第一ロボット21と、第一ロボット21による液体の塗布の後にワークWの第二面に液体を塗布するための第二ロボット22とを含んでいてもよい。第一ロボット21及び第二ロボット22は、搬送経路の復路R2の上方において復路R2に沿って並んでいてもよい。第一ロボット21は、上記第一エレベータ14に対応するように配置され、第二ロボット22は、上記第二エレベータ15に対応するように配置されていてもよい。すなわち、塗布システム1が有する一又は複数のエレベータは、第一ロボット21に対応する第一エレベータ14と、第二ロボット22に対応する第二エレベータ15とを含んでいてもよい。
【0025】
(第一ロボット)
第一ロボット21は、例えば基部211、旋回部212、第一アーム213、第二アーム214、手首部215及び先端部216を備える。第二アーム214は、第一リンク214aと、第一リンク214aの先端側に連結された第二リンク214bとを有する。基部211は、筐体6における塗布室3の床面の上に設置されている。旋回部212は、基部211に対して、Z軸に平行な軸線AX1のまわりに旋回可能である。第一アーム213は、旋回部212に対して、軸線AX1に垂直な軸線AX2のまわりに揺動可能である。第一リンク214aは、第一アーム213に対して、軸線AX2に平行な軸線AX3のまわりに揺動可能である。第二リンク214bは、第一リンク214aに対して、第一リンク214aに沿う軸線AX4のまわりに旋回可能である。手首部215は、第二リンク214bに対して、軸線AX4に垂直な軸線AX5のまわりに揺動可能である。先端部216は、第二アーム214に対して、軸線AX5に垂直な軸線AX6のまわりに旋回可能である。即ち、第一ロボット21は、一軸線AX6まわりに旋回可能な先端部216を有している。
【0026】
第一ロボット21は、
図5に示すように、ディスペンサ217を更に有していてもよい。ディスペンサ217は、軸線AX6に交差する方向に突出し、液体供給源(不図示)から供給された液体を吐出する。ディスペンサ217は、液体を吐出する端部217aを有する。端部217aには、例えば液体をドット状に吐出するノズルが設けられる。
【0027】
第一ロボット21は、複数種類の液体をそれぞれ吐出する複数のディスペンサ217を有してもよい。この場合、複数のディスペンサ217同士は、一のディスペンサ217を用いた塗布作業の実行中に他のディスペンサ217が塗布対象のワークWと干渉しない角度αをなしていてもよい。複数のディスペンサ217の全てが液体を吐出する方向は、軸線AX6を中心とする180度未満の角度範囲内に含まれていてもよい。
【0028】
第一ロボット21は、指部218を更に有していてもよい。指部218は、軸線AX6に交差する方向に突出し、ワークWを移送するのに用いられる。ディスペンサ217及び指部218は、ディスペンサ217を用いた塗布作業の実行中に指部218が塗布対象のワークWと干渉しない角度をなしていてもよい。
【0029】
なお、第一ロボット21の構成は、上述したものに限定されない。第一ロボット21は、ワークWに対してワニス等の液体を塗布することができる如何なる構成を有していてもよい。
【0030】
(第二ロボット)
第二ロボット22は、第一ロボット21と同様の構成を備えている。第二ロボット22は、例えば基部221、旋回部222、第一アーム223、第二アーム224、手首部225及び先端部226を備える。第二アーム224は、第一リンク224aと、第一リンク224aの先端側に連結された第二リンク224bとを有する。
【0031】
第二ロボット22は、第一ロボット21と同様に一又は複数のディスペンサ227を更に有していてもよく、指部228を更に有していてもよい。
【0032】
(保持部)
ロボットシステム20は、一又は複数の保持部23,24を更に有してもよい。保持部23,24は、一又は複数のロボット21,22による塗布対象のワークWを保持する。保持部23,24は、搬送装置10の搬送経路の復路の上方又は下方に配置されていてもよい。ロボットシステム20は、第一ロボット21に対応する第一保持部23と、第二ロボット22に対応する第二保持部24とを有していてもよい。
【0033】
例えば
図4に示されるように、第一保持部23は、保持部材235と、第一アクチュエータ231と、第二アクチュエータ232と、を有する。保持部材235は、カセットC内から取り出された基板を保持する。第一アクチュエータ231は、保持部材235をY軸方向に移動させる。第二アクチュエータ232は、保持部材235をX軸方向に移動させる。これにより、カセットCと第一ロボット21の作業領域WS1との間でのワークWの受渡しに際し、カセットCにおけるワークWの収容位置に保持部材235を接近させることが可能である。第一アクチュエータ231及び第二アクチュエータ232としては、例えば電動式のリニアアクチュエータが挙げられる。
【0034】
第二保持部24も、第一保持部23と同様に、保持部材245と、第一アクチュエータ241と、第二アクチュエータ242と、を有する。これにより、カセットCと第二ロボット22の作業領域WS2との間でのワークWの受渡しに際し、カセットCにおけるワークWの収容位置に保持部材245を接近させることが可能である。
【0035】
(反転機構)
塗布システム1は、ワークWの第一面と第二面の向きを反転させる反転機構27を備えていてもよい。反転機構27は、第二ロボット22の作業領域WS2に設けられていてもよい。反転機構27は、第二保持部24に組み込まれていてもよい。具体的には、反転機構27は、保持部材245の基部に設けられ、Y軸に平行な軸線まわりに保持部材245を回転させるように構成されていてもよい。反転機構27の動力源としては、例えば電動アクチュエータが挙げられる。
【0036】
(配置装置)
ロボットシステム20は、カセットCと第一保持部23との間、及びカセットCと第二保持部24との間で塗布対象のワークWを移動させる配置装置25,26を更に有していてもよい。
【0037】
配置装置25は、カセットC内のワークWを第一保持部23側に押し出す押出機構251を有していてもよい。
【0038】
図4に示されるように、押出機構251は、例えば、空気圧シリンダ252と、ロッド253と、パッド254とを備える。パッド254は、第一保持部23の逆側からカセットC内に進入可能となるように配置され、ロッド253を介して空気圧シリンダ252に接続されている。空気圧シリンダ252は、空気圧により、パッド254をY軸方向に沿って往復させる。これによりパッド254は、カセットC内に進退し、カセットC内に進入したときにワークWを第一保持部23側へ押し出す。
【0039】
配置装置26は、配置装置25と同様に押出機構261を有してもよい。押出機構261は、押出機構251と同様に、空気圧シリンダ262と、ロッド263と、パッド264とを備える。パッド264は、第二保持部24の逆側からカセットC内に進入可能となるように配置され、ロッド263を介して空気圧シリンダ262に接続されている。空気圧シリンダ262は、空気圧により、パッド264をY軸方向に沿って往復させる。これによりパッド264は、カセットC内に進退し、カセットC内に進入したときにワークWを第二保持部24側へ押し出す。
【0040】
(固着防止部)
図4に示すように、ロボットシステム20は、溶剤Sを収容し、ディスペンサ217,227の端部217a,227aを受け入れ可能な固着防止部71を更に有していてもよい。固着防止部71は、例えば、第一ロボット21の周囲において、ディスペンサ217が到達可能な位置に配置されていればよい。
【0041】
図14に、ディスペンサ217及びその端部217aと、固着防止部71とを示す。固着防止部71は、上方に開口した凹部711を有する。第一ロボット21及び第二ロボット22が複数のディスペンサ217,227を有する場合に、固着防止部71は、複数のディスペンサ217,227にそれぞれ対応する複数の凹部711を有してもよい。凹部711には、溶剤Sが収容される。
【0042】
〔センサ〕
塗布システム1は、第一エレベータ14がカセットCを塗布室3へ上昇又は下降させる時にカセットC内のワークの通過を検出するセンサ31(
図4参照)を更に備えていてもよい。
【0043】
図4に示すように、センサ31は、塗布室3の床面上において、第一エレベータ14に対向するように配置されている。センサ31は、例えばフォトディテクタ等の光学式センサである。センサ31は、
図11に示すように、カセットC及びこのカセットCに収容されたワークWに対して光を照射し、反射光に基づいてワークWの有無を検出する。
図11の矢印に示すようにカセットCが上昇すると、それに伴いワークWからの反射光が変化するため、この光量の変化に応じてセンサ31はワークWの有無を検知することができる。
【0044】
〔噴気機構〕
塗布システム1は、噴気機構41を更に備えてもよい。噴気機構41は、搬入口4及び搬出口5に配置され、搬入口4及び搬出口5を遮る面に沿うように気体を噴出する。例えば噴気機構41は、開口7の上縁に沿うように設けられ、Y軸方向に並ぶ複数の吐出口(不図示)を有する。各吐出口は下方に開口し、気体を下方に吐出する。噴気機構41により噴出される気体は、例えば空気である。噴気機構41は、開口7を遮る面(YZ平面にほぼ平行な面)にエアカーテンを形成し、ワニス等の液体を含んだ気体が搬送室2内から塗布システム1の外部に漏れ出ることを抑制する。
【0045】
塗布システム1は、塗布室3内に開口した排気口42を更に備えていてもよい。排気口42は、例えば、不図示の配管により、浄化装置等に接続され得る。
【0046】
〔ブラックライト、カメラ〕
図2に示されるように、塗布システム1は、ロボットシステム20の作業領域WS1,WS2の各々(
図4参照)に配置され、ワークWに紫外光を照射するブラックライト51と、ブラックライト51により照射されたワークWの画像を取得するカメラ52と、を更に備えていてもよい。ワークWに例えばワニス等の液体が正常に塗布されている場合、液体に含まれる蛍光塗料が、ブラックライト51からの紫外光に応じて蛍光を発し、この蛍光による画像がカメラ52により取得される。カメラ52により取得された画像は、例えばコントローラ100、又は塗布システム1を制御するための不図示の制御システムにより制御される。
【0047】
〔ドライヤ〕
塗布システム1は、ドライヤを更に備えてもよい。ドライヤは、ロボットシステム20により液体が塗布された後のワークWを収容するカセットCが通過する経路において、カセットC内のワークWの乾燥を促進する。一例として、塗布システム1は、第一エレベータ14及び第二エレベータ15の間の経路において、カセットC内のワークWの乾燥を促進する第一ドライヤ81を有してもよく、搬送装置10による搬送経路の復路R2において、カセットC内のワークWの乾燥を促進する第二ドライヤ82を有してもよく、第一ドライヤ81及び第二ドライヤ82の両方を有してもよい。ドライヤは、カセットCに対して送風するように配置されたファンであってもよい。また、ドライヤは、更にヒータを有し、ヒータで熱せられた空気をカセットCに送るものであってもよい。
【0048】
(コントローラ)
塗布システム1は、コントローラ100を更に備えてもよい。コントローラ100は、ロボットシステム20、第一エレベータ14及び第二エレベータ15の少なくともいずれかを制御する。
【0049】
以下、
図6〜
図7を参照し、コントローラ100の具体例を説明する。
図6に示すように、コントローラ100は、機能上のモジュールとして、搬送制御部101、マッピング部102、表面塗布制御部103及び裏面塗布制御部104を備える。
【0050】
搬送制御部101は、第一搬送装置11、第二搬送装置12、第三搬送装置13、第一エレベータ14、及び第二エレベータ15を制御し、カセットCを適切なタイミングで移動させる。
【0051】
マッピング部102は、後述のように第一エレベータ14及びセンサ31を制御し、第一エレベータ14により上昇させられるカセットCに収容されたワークWの位置を示すマッピングデータを取得する。
【0052】
表面塗布制御部103は、第一エレベータ14及び第一ロボット21を制御し、ワークWの第一面(表面)に液体を塗布させる。
【0053】
裏面塗布制御部104は、第二エレベータ15及び第二ロボット22を制御し、ワークWの第二面(裏面)に液体を塗布させる。
【0054】
また、表面塗布制御部103及び裏面塗布制御部104は、ディスペンサ217の端部217aを一定周期で固着防止部71の溶剤Sに浸すように第一ロボット21及び第二ロボット22を制御することを実行してもよい。
【0055】
また、表面塗布制御部103及び裏面塗布制御部104は、カセットC内の複数のワークWに対して同一の順序で液体を塗布するようにロボットシステム20、第一エレベータ14及び第二エレベータ15の少なくとも一部を制御してもよい。例えば、表面塗布制御部103及び裏面塗布制御部104は、第一ロボット21がカセットC内の複数のワークWに液体を塗布する順番と、第二ロボット22がカセットC内の当該複数のワークWに液体を塗布する順番とを一致させるように、ロボットシステム20、第一エレベータ14及び第二エレベータ15を制御してもよい。一例として、表面塗布制御部103及び裏面塗布制御部104は、第一ロボット21の作業領域WS1及び第二ロボット22の作業領域WS2のいずれにおいても、カセットC内の上側のワークWから順に塗布対象となるように、ロボットシステム20、第一エレベータ14及び第二エレベータ15を制御してもよい。
【0056】
コントローラ100のハードウェアは、例えば一又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ100は、ハードウェア上の構成として、例えば
図7に示す回路110を有する。回路110は、プロセッサ111と、メモリ112と、ストレージ113と、入出力ポート114と、ドライバ115とを有する。ドライバ115は、塗布システム1の各種アクチュエータを駆動するための回路である。入出力ポート114は、外部信号の入出力を行うのに加え、ドライバ115に対する信号の入出力も行う。プロセッサ111は、メモリ112及びストレージ113の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート114を介した信号の入出力を実行することで、上述した機能モジュールを構成する。
【0057】
なお、コントローラ100のハードウェア上の構成は、必ずしもプログラムの実行により機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ100は、専用の論理回路により、又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)によりこれらの機能モジュールを構成するものであってもよい。
【0058】
2.塗布方法
図8、
図9及び
図10を参照して、塗布システム1を用いた塗布方法の一例として、塗布システム1の動作手順について説明する。この動作手順は、コントローラ100が塗布システム1の各要素を制御することにより実行される。
【0059】
まず、
図8に示すように、コントローラ100はステップS1を実行する。ステップS1では、搬送制御部101が、ストッパ141を搬送経路上に突出させるようにエレベータ14を制御し、カセットCがストッパ141に到達するのを待機する。搬入口4の近傍の位置P1にカセットCが配置されると、このカセットCは第一搬送装置11により搬送室2内に搬送され、ストッパ141に突き当たる。これにより、カセットCが、第一エレベータ14の昇降体142直上の位置P2に配置される。
【0060】
次に、コントローラ100は、ステップS2を実行する。ステップS2では、表面塗布制御部103が、カセットC内のワークWの第一面(表面)に対して液体を塗布する表面塗布処理を実行するようにロボットシステム20及び第一エレベータ14を制御する。
【0061】
表面塗布処理について、
図9を参照して説明する。まず、コントローラ100は、ステップS11を実行する。ステップS11では、表面塗布制御部103が、位置P2にあるカセットCを塗布室3内の位置P3に上昇させるように第一エレベータ14を制御する。このとき、マッピング部102は、カセットC内におけるワークWの位置を示すマッピングデータを取得する。例えばマッピング部102は、上昇中のカセットC内のワークWをセンサ31により検出し、ワークWが検出されたときのカセットCの高さに基づいてマッピングデータを取得する。
【0062】
次に、コントローラ100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、ステップS11において取得されたマッピングデータに基づいて、表面塗布制御部103が塗布対象のワークWを設定する。
【0063】
次に、コントローラ100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、表面塗布制御部103が、位置P3のカセットCから塗布対象のワークWを取り出すように、第一エレベータ14、配置装置25、第一保持部23及び第一ロボット21を制御する。具体的に、表面塗布制御部103は、塗布対象のワークWの高さを第一保持部23及び配置装置25に合わせるように第一エレベータ14を制御し、保持部材235を当該ワークWに近付けるように第一保持部23を制御し、当該ワークWを第一保持部23側に押し出すように配置装置25を制御することで、保持部材235にワークWを保持させる。表面塗布制御部103は、当該ワークWを指部218により保持部材235内に更に押し込むように第一ロボット21を制御してもよい(
図12参照)。
【0064】
次に、コントローラ100は、ステップS14を実行する。ステップS14では、表面塗布制御部103が、ワークWを第一ロボット21の作業領域WS1に配置するように第一保持部23を制御し、当該ワークWの第一面(表面)に液体を塗布するように第一ロボット21を制御する。
図13に、ディスペンサ217によるワークWへの液体の塗布の様子を模式的に示す。ステップS14において、表面塗布制御部103は、異なる複数のディスペンサ217を用いて、複数種類の液体をワークWに塗布するように第一ロボット21を制御してもよい。
【0065】
次に、コントローラ100は、ステップS15を実行する。ステップS15では、表面塗布制御部103が、ワークWをカセットC内に戻すように第一保持部23及び第一ロボット21を制御する。具体的に、表面塗布制御部103は、保持部材235をカセットCに近付けるように第一保持部23を制御し、保持部材235に保持されたワークWを指部218によりカセットC内に押し戻すように、第一ロボット21を制御する。
【0066】
次に、コントローラ100は、ステップS16を実行する。ステップS16では、表面塗布制御部103が、液体がまだ塗布されていないワークWがカセットCにあるか否かを判定する。液体がまだ塗布されていないワークWがあれば、再びステップS12に戻る。液体がまだ塗布されていないワークWがなければ(即ち、カセットC内の全てのワークWに液体が塗布されていれば)、コントローラ100はステップS17を実行する。ステップS17では、搬送制御部101が、カセットCを位置P2に下降させるように第一エレベータ14を制御する。
【0067】
以上で表面塗布処理が完了する。なお、表面塗布処理の実行中において、表面塗布制御部103は、ディスペンサ217の端部217aを固着防止部71内の溶剤Sに浸すように第一ロボット21を制御してもよい。例えば表面塗布制御部103は、第一ロボット21による塗布作業の合間において、端部217aを溶剤Sに浸すように第一ロボット21を制御してもよい。表面塗布制御部103は、端部217aを一定周期で溶剤Sに浸すように第一ロボット21を制御してもよい。例えば表面塗布制御部103は、一枚又は複数枚のワークWに対する塗布作業を実行する度に、端部217aを溶剤Sに浸すように第一ロボット21を制御してもよい。
【0068】
図8に戻り、コントローラ100は、次にステップS3を実行する。ステップS3では、搬送制御部101が、ストッパ141を下降させるように第一エレベータ14を制御する。なお、コントローラ100は、上記ステップS17においてカセットCが下降しているときにステップS3を実行してもよい。ストッパ141が下降することにより、カセットCの移動規制が解除される。このため、カセットCは、第二エレベータ15の昇降体152直上の位置P4に移動してストッパ151に突き当たる。なお、塗布システム1が第一ドライヤ81を備える場合、位置P2から位置P4にカセットCが移動する最中に、当該カセットC内のワークWの乾燥が促進される。
【0069】
次に、コントローラ100は、ステップS4を実行する。ステップS4では、裏面塗布制御部104が、カセットC内のワークWの第二面(裏面)に対して液体を塗布するようにロボットシステム20及び第二エレベータ15を制御する。
【0070】
裏面塗布処理について、
図10を参照して説明する。まず、コントローラ100は、ステップS21を実行する。ステップS21では、裏面塗布制御部104が、位置P4にあるカセットCを塗布室3内の位置P5に上昇させるように第二エレベータ15を制御する。
【0071】
次に、コントローラ100は、ステップS22を実行する。ステップS22では、裏面塗布制御部104が塗布対象のワークWを設定する。一例として、ステップS22では、裏面塗布制御部104は、ステップS12で塗布対象に設定されたワークWの順番と同じ順番で、ワークWを塗布対象に設定する。塗布対象のワークWの設定にあたっては、ステップS11において取得されたマッピングデータを用いてもよいし、ステップS21におけるカセットCの上昇中にステップS11と同様の手順により再度マッピングデータを取得してもよい。
【0072】
次に、コントローラ100は、ステップS23を実行する。ステップS23では、裏面塗布制御部104が、位置P5のカセットCから塗布対象のWを取り出すように、第二エレベータ15、配置装置26、第二保持部24及び第二ロボット22を制御する。具体的に、裏面塗布制御部104は、塗布対象のワークWの高さを第二保持部24及び配置装置26に合わせるように第二エレベータ15を制御し、保持部材245を当該ワークWに近付けるように第二保持部24を制御し、当該ワークWを第二保持部24側に押し出すように配置装置26を制御することで、保持部材245にワークWを保持させる。裏面塗布制御部104は、当該ワークWを指部228により保持部材245内に更に押し込むように第二ロボット22を制御してもよい。
【0073】
次に、コントローラ100は、ステップS24を実行する。ステップS24では、裏面塗布制御部104が、ワークWの第一面と第二面との向きを反転させるように反転機構27を制御する。そして、裏面塗布制御部104が、ワークWを第二ロボット22の作業領域WS2に配置するように第二保持部24を制御し、当該ワークWの第二面(裏面)に液体を塗布するように第二ロボット22を制御する。ステップS24において、裏面塗布制御部104は、異なる複数のディスペンサ227を用いて、複数種類の液体をワークWに塗布するように第二ロボット22を制御してもよい。
【0074】
次に、コントローラ100は、ステップS25を実行する。ステップS25では、裏面塗布制御部104が、ワークWをカセットC内に戻すように第二保持部24及び第二ロボット22を制御する。具体的に、裏面塗布制御部104は、保持部材245をカセットCに近付けるように第二保持部24を制御し、保持部材245に保持されたワークWを指部228によりカセットC内に押し戻すように、第二ロボット22を制御する。
【0075】
次に、コントローラ100は、ステップS26を実行する。ステップS26では、裏面塗布制御部104が、液体がまだ塗布されていないワークWがカセットCにあるか否かを判定する。液体がまだ塗布されていないワークWがあれば、再びステップS22に戻る。液体がまだ塗布されていないワークWがなければ(即ち、カセットC内の全てのワークWに液体が塗布されていれば)、コントローラ100は、ステップS27を実行する。ステップS27では、搬送制御部101が、カセットCを位置P4に下降させるように第二エレベータ15を制御する。
【0076】
以上で裏面塗布処理が完了する。なお、裏面塗布処理の実行中においても、表面塗布処理の時と同様に、裏面塗布制御部104は、ディスペンサ227の端部217aを固着防止部71内の溶剤Sに浸すように第二ロボット22を制御してもよい。
【0077】
図8に戻り、コントローラ100は、次にステップS5を実行する。ステップS5では、搬送制御部101が、ストッパ151を下降させるように第二エレベータ15を制御する。なお、コントローラ100は、上記ステップS27においてカセットCが下降しているときにステップS5を実行してもよい。ストッパ151が下降することにより、カセットCの移動規制が解除される。このため、カセットCは、第一搬送装置11の終点の位置P6に移動する。
【0078】
次に、コントローラ100は、ステップS6を実行する。ステップS6では、搬送制御部101が第三搬送装置13を制御し、位置P6のカセットCを、第二搬送装置12の始点の位置P7へ移動させる。位置P7に移動したカセットCは、第二搬送装置12によって搬出口5に搬送される。なお、塗布システム1が第二ドライヤ82を備える場合、位置P7から搬出口5にカセットCが移動する最中に、当該カセットC内のワークWの乾燥が促進される。
【0079】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、塗布システム1では、搬送室2と塗布室3とが、少なくとも一部が重なるように配置されているため、塗布システム1の小型化を図ることができる。塗布室3では、搬送経路に重なるスペースの多くをロボットシステム20の作業領域として有効利用できる。搬送室2では、搬入口4と搬出口5とが同一方向に開口し、搬送室2内を往復する搬送経路が構成されている。これにより、限られたスペースでカセットCの搬送距離を長くし、液体塗布後のワークWの乾燥時間を確保することができる。これらのことから、塗布システム1を小型化しつつ、塗布及び乾燥を塗布システム1内でしっかりと遂行できるので、塗布室3外における工程を削減できる。加えて、搬入口4と搬出口5とが同一方向に開口していることにより、カセットCの搬入・搬出も容易である。以上より、この塗布システムを用いることで生産設備の構築が容易となる。
【0080】
また、第一エレベータ14及び第二エレベータ15は、搬送装置10の搬送経路の往路R1においてカセットCを昇降させてもよい。この場合、搬送経路の復路R2を液体塗布後のワークWの乾燥のために利用でき、より確実にワークWを乾燥させることができる。
【0081】
搬送装置10は、搬送経路の往路R1にてカセットCを搬送するための第一搬送装置11と、搬送経路の復路R2にてカセットCを搬送するための第二搬送装置12と、第一搬送装置11上から第二搬送装置12上にカセットCを搬送する第三搬送装置13と、を有してもよい。この場合、搬送装置が第一搬送装置11、第二搬送装置12及び第三搬送装置13を含んで構成されていることにより、例えば直動型の搬送装置を使用して簡便に往復型の搬送装置を構成できるため、塗布システム1をより容易に構築できる。
【0082】
ワークWは、第一面及び第二面を有する板状体であり、一又は複数のロボットは、ワークWの第一面に液体を塗布するための第一ロボット21と、第一ロボット21による液体の塗布の後にワークWの第二面に液体を塗布するための第二ロボット22とを含み、一又は複数のエレベータは、第一ロボット21に対応する第一エレベータ14と、第二ロボット22に対応する第二エレベータ15とを含んでもよい。この場合、第一面への液体の塗布が第一ロボット21により行われ、ワークの第二面への液体の塗布が第二ロボット22により行われるため、効率良く液体の塗布を行うことができる。例えば、第一ロボット21と第二ロボット22とを同時並行的に動作させることもできる。
【0083】
第一ロボット21及び第二ロボット22は、搬送経路の復路R2の上方又は下方において復路R2に沿って並んでおり、第一エレベータ14及び第二エレベータ15は、搬送経路の往路R1に沿って並んでいてもよい。この場合、塗布室3内の搬送装置10に沿った空間を有効に利用でき、塗布システム1をより確実に小型化することができる。
【0084】
塗布システム1は、ワークWの第一面と第二面の向きを反転させる反転機構27を備えていてもよい。この場合、ワークWの第一面及び第二面の両方に液体を塗布する場合であっても、片面のみに液体を塗布する場合に比べて第一ロボット21及び第二ロボット22の動作範囲を同程度に留めることができるため、塗布システム1をより確実に小型化することができる。
【0085】
反転機構27は、第二ロボット22の作業領域WS2に設けられていてもよい。この場合、第二ロボット22に対応する位置に反転機構27が設けられていることにより、ワークWの第二面への液体の塗布を開始する直前にワークWの向きを反転させることができる。このため、第一面への液体の塗布からワークWの向きの反転までの時間を十分に確保し、反転に伴う液体の垂れを抑制することができる。
【0086】
塗布システム1は、カセットC内の複数のワークWに対して同一の順序で液体を塗布するようにロボットシステム20、第一エレベータ14及び第二エレベータ15の少なくとも一部を制御するコントローラを更に備えていてもよい。この場合、第一ロボット21による液体の塗布の後、第二ロボット22による液体の塗布までの間の時間を全てのワークWについて一定以上確保することができるため、第二ロボット22による液体の塗布の前の液体の垂れを防止することができる。
【0087】
塗布システム1は、第一エレベータ14がカセットCを塗布室3へ上昇又は下降させる時にカセットC内のワークWの通過を検出するセンサ31を更に備えていてもよい。コントローラ100は、センサ31の出力に基づいて、カセットC内におけるワークWのマッピングデータを取得し、第一ロボット21によりワークWの第一面に液体を塗布させる制御と、第二ロボット22によりワークWの第二面に液体を塗布させる制御とで、マッピングデータを共用してもよい。この場合、マッピングデータの取得回数を削減し、効率的に液体の塗布を行うことができる。
【0088】
ロボットシステム20は、搬送経路の復路R2の上方又は下方に配置され、第一ロボット21及び第二ロボット22による塗布対象のワークWを保持する第一保持部23及び第二保持部24を有していてもよい。この場合、搬送経路の復路R2の上方又は下方の領域にワークWを保持し、この領域を作業領域として有効利用でき、塗布システム1をより確実に小型化することができる。
【0089】
ロボットシステム20は、カセットCと第一ロボット21及び第二ロボット22との間で塗布対象のワークWを移動させる配置装置25及び配置装置26を更に有していてもよい。この場合、カセットCと第一ロボット21との間カセットCと第二ロボット22との間でのワークWの移動作業の少なくとも一部を配置装置25及び配置装置26に分担させることにより、第一ロボット21及び第二ロボット22の負担を軽減し、塗布作業の効率を高めることができる。
【0090】
配置装置25は、カセットC内のワークWを第一保持部23側に押し出す押出機構251を有していてもよい。配置装置26は、カセットC内のワークWを第二保持部24側に押し出す押出機構261を有していてもよい。この場合、カセットC内のワークWを第一保持部23及び第二保持部24に移動させる時に、押出機構251及び押出機構261によりカセットC内のワークWが第一保持部23側及び第二保持部24側に押し出されるため、第一保持部23側及び第二保持部24側においてワークWをカセットCから引き出すための動作のストロークを小さくすることができる。したがって、塗布室3における各装置を小型化することができるため、塗布システム1をより確実に小型化することができる。
【0091】
塗布システム1は、搬入口4及び搬出口5に配置され、搬入口4及び搬出口5を遮る面に沿うように気体を噴出する噴気機構41を更に備えていてもよい。この場合、液体の揮発成分が搬入口4及び搬出口5を介して塗布システム1の外部に漏れることを抑制することができる。特に、本開示の塗布システム1では、搬入口4及び搬出口5が同一方向に開口しているため、揮発成分の漏れの抑制が容易である。
【0092】
塗布システム1は、塗布室3内に開口した排気口42を更に備えていてもよい。この場合、排気口42から適切な排気を行うことにより、液体の揮発成分が搬入口4及び搬出口5から漏出することを抑制できる。
【0093】
塗布システム1は、ロボットシステム20の作業領域WS1,WS2に配置され、ワークWに紫外光を照射するブラックライト51と、ブラックライト51により照射されたワークWの画像を取得するカメラ52と、を更に備えていてもよい。この場合、ロボットシステム20の作業領域WS1,WS2においてブラックライト51でワークWを照射し、カメラ52でワークWの画像を取得することにより、ワークWに塗布される液体中に含まれる蛍光塗料の発光の有無を確認することができる。したがって、液体の塗布の異常状態を即時に検出することができ、必要に応じて再塗布等を行うことができるため、後工程における作業が円滑化される。また、塗布システム1からカセットCが搬出された後に液体の塗布状態を別途確認する場合と比較して、塗布状態の確認のためにカセットCからワークWを取り出す工程を省略できる。従って、生産設備の構築をより確実に容易化することができる。
【0094】
第一ロボット21は、一軸線まわりに旋回可能な先端部216と、先端部216から一軸線に交差する方向にそれぞれ突出し、複数種類の液体をそれぞれ吐出する複数のディスペンサ217とを有し、複数のディスペンサ217同士は、一のディスペンサ217を用いた塗布作業の実行中に他のディスペンサ217が塗布対象のワークWと干渉しない角度をなしていてもよい。この場合、第一ロボット21が複数のディスペンサ217を有することにより、複数の種類の液体をワークに塗布することができる。
【0095】
ロボットシステム20は、溶剤Sを収容し、ディスペンサ217の端部217aを受け入れ可能な固着防止部71を更に有していてもよい。この場合、塗布が行われていない期間にディスペンサ217の端部217aを固着防止部71に挿入することにより、ディスペンサ217の端部217aの固着を防止することができる。
【0096】
複数のディスペンサ217の全てが吐出する方向は、軸線を中心とする180°未満の角度範囲内に含まれていてもよい。この場合、塗装が行われていない期間に全てのディスペンサ217の端部217aを下向きにして固着防止部71に挿入することができる。
【0097】
塗布システム1は、ディスペンサ217の端部217aを一定周期で固着防止部71の溶剤に浸すように第一ロボット21を制御することを実行するコントローラ100を備えていてもよい。この場合、全てのディスペンサ217の端部217aが一定周期で固着防止部71の溶剤Sに浸されるため、より確実にディスペンサ217の端部217aの固着を防止することができる。
【0098】
第一ロボット21は、一軸線まわりに旋回可能な先端部216と、一軸線に交差する方向に突出し、塗布作業に応じて液体を吐出する一又は複数のディスペンサ217と、一軸線に交差する方向に突出し、ワークWを移送するのに用いられる指部218とを有し、ディスペンサ217及び指部218は、ディスペンサ217を用いた塗布作業の実行中に指部218が塗布対象のワークWと干渉しない角度をなしてもよい。この場合、指部218によりカセットC内のワークWが移送されるため、別途、ストロークの大きな移動機構を設ける必要がなくなり、塗布システム1をより小型化することができる。
【0099】
塗布システム1は、ロボットシステム20により液体が塗布された後のワークWを収容するカセットCが通過する経路において、カセットC内のワークWの乾燥を促進する第二ドライヤ82を更に備えていてもよい。この場合、液体が塗布された後のワークWを収容するカセットCが通過する経路においてワークWの乾燥が促進されるため、ワークWの乾燥に必要な経路長を短縮でき、塗布システム1を小型化できる。
【0100】
第二ドライヤ82は、搬送経路の復路R2において、カセットC内のワークWの乾燥を促進してもよい。この場合、第二搬送装置12の搬送経路においてワークの乾燥が促進されるため、ワークの乾燥に必要な経路長を短縮でき、塗布システム1を小型化することができる。
【0101】
塗布システム1は、第一エレベータ14及び第二エレベータ15の間の経路において、カセットC内のワークWの乾燥を促進する第一ドライヤ81と、第二ロボット22により液体が塗布された後のワークWを収容するカセットCが通過する経路において、ワークWの乾燥を促進する第二ドライヤ82とを更に備えていてもよい。この場合、第一ロボット21による液体の塗布の後、ワークWに塗布された液体が乾燥されるため、第二ロボット22による液体の塗布までの間にワークWから液体が垂れることを抑制することができる。
【0102】
液体はワニスであってもよい。この場合、ワニスを塗布するためのシステムに本開示に係る塗布システム1を適用することにより、生産設備の構築の容易化という本開示の作用効果が好適に発揮される。
【0103】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、塗布システム1は、第一ドライヤ81及び第二ドライヤ82の一方又は両方を備えていなくてもよい。塗布システム1において、搬送室2が上方に配置され、塗布室3が搬送室2の下方に配置されていてもよい。