(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送装置は、コイル状に巻回された前記板状部材を巻き戻すペイオフリールと、前記液体が除去された前記板状部材をコイル状に巻き取るテンションリールとを含む巻取巻戻装置である、請求項7に記載の液体除去装置。
前記板状部材の板厚が変化する度に、前記測定ステップ及び前記ギャップ調整ステップを実行することにより前記ギャップが再調整される、請求項12に記載の液体除去方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
<1.概要>
まず、
図1及び
図2に基づいて、本発明の一実施形態に係る液体除去装置の概略構成について説明する。
図1は、一般的なスリットノズル3を用いた液体除去装置による液切り状況を示す説明図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るスリットノズル10を用いた液体除去装置による液切り状況を示す説明図である。
【0026】
本実施形態に係る液体除去装置では、スリットノズルにより板状部材である鋼板の表面に空気を噴射し、鋼板表面上の液体を除去する。一般的なスリットノズルを用いた液体除去装置としては、
図1に示すように、当該液体除去装置に対して相対的に移動する鋼板の移動方向下流側から鋼板表面に対してスリットノズル3の噴射口3aから空気を噴射するエアブロー装置が用いられている。
図1に示すように、スリットノズル3から噴射される高速のガス噴流f1は、鋼板Sの表面に衝突して、移動方向上流側へ向かう流れf2によって鋼板S上の液体5aを押し返すことで、鋼板S上の液体5aを除去する。
【0027】
一方で、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突した際に、移動方向下流側へ向かう反転流f3も発生する。この反転流f3と、エアブロー装置が外気を吸い込む際に生じさせる、スリットノズル3の背面に沿って鋼板Sの表面に流れる外気吸い込み流f4とが干渉し、ガス噴流f1が一時的に乱れる。その結果、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突するときの衝突圧が低下し、移動方向上流側へ向かう流れf2の圧力も低下するため、鋼板S上の液体5aを十分に除去できず、スリットノズル3よりも移動方向下流側においても鋼板S上に液体5bが残存してしまう。
【0028】
そこで、本願発明者は、外気吸い込み流f4と鋼板Sの表面衝突後の反転流f3との干渉によるガス噴流f1の衝突圧低下を抑制できる液体除去装置の構成を検討した。その結果、
図2に示すように、鋼板Sの移動方向下流側の面であるノズル背面104を、
図1に示したスリットノズル3よりも移動方向下流側へ鋼板Sの表面に沿って延設することにより、コアンダ効果による外気吸い込み流f4の影響を抑制し、ガス噴流f1の乱れを抑制できるという知見を得た。以下、本実施形態に係る液体除去装置について詳細に説明していく。
【0029】
<2.液体除去装置の構成>
(2−1.全体構成)
まず、
図3及び
図4に基づいて、本実施形態に係る液体除去装置1の全体構成を説明する。
図3は、本実施形態に係る液体除去装置1の一構成例を示す側面図である。
図4は、
図3に示した液体除去装置1の背面図である。本実施形態では、液体除去装置1は固定して使用される場合について説明する。すなわち、スリットノズル10は固定であり、搬送装置によって搬送される鋼板Sがスリットノズル10に対して相対移動しているものとする。
【0030】
本実施形態に係る液体除去装置1は、例えば板状部材の一例である鋼板Sの表面に付着した液体を除去する装置である。液体除去装置1は固定されており、鋼板Sが搬送装置によって搬送されることにより、鋼板Sは液体除去装置1に対して相対的に移動する。以下では、液体除去装置1に対して相対的に移動する鋼板Sの移動方向を搬送方向ともいう。液体除去装置1は、
図3に示すように、搬送装置によって搬送されている鋼板Sを挟んで対称となるように上下にそれぞれ配置されている。上下の液体除去装置1は同一構成としてもよい。鋼板Sを搬送する搬送装置は、例えば載置された鋼板Sを回転により移動させるテーブルロールであってもよい。あるいは、搬送装置は、鋼板Sの搬送方向に液体除去装置1を挟んで両端に設けられた両端ロールからなる巻取巻戻装置であってもよい。巻取巻戻装置は、両端ロールとして、コイル状に巻回された鋼板Sを巻き戻すペイオフリールと、液体除去装置1により表面の液体が除去された鋼板Sをコイル状に巻き取るテンションリールとを備えている。
【0031】
本実施形態に係る液体除去装置1は、
図3に示すように、スリットノズル10と、ギャップ測定装置30と、ギャップ調整機構40とを備える。
【0032】
スリットノズル10は、エア供給管20を介して外部から送り込まれたガス(例えば、空気)を、ノズル先端の噴射口112から鋼板Sの表面に対して噴射する。スリットノズル10は、スリット状に開口する噴射口112のスリット長さ方向が鋼板Sの幅方向に対応するように配置される。これにより、鋼板Sの幅全体にわたって鋼板S上の液体を除去することができる。噴射口112は、鋼板Sの搬送方向下流側から上流側へ向かって(すなわち、X軸負方向側から正方向側に向かって)ガスを噴射するように鋼板Sの表面に向けられる。また、スリットノズル10は、
図4に示すように、スリット状に開口する噴射口112のスリット長さ方向(Y方向)の両側において、スリットノズル10を鋼板Sに対して近接/離隔させるギャップ調整機構40により支持されている。ギャップ調整機構40によってスリットノズル10を上下に移動させることで、噴射口112と鋼板Sの表面とのギャップが調整可能となっている。
【0033】
本実施形態に係るスリットノズル10は、
図2に示したように、外気吸い込み流f4の影響を抑制し、ガス噴流f1の乱れを抑制するため、スリットノズル10の内部のガス圧であるノズル圧と、スリットノズル10の噴射角度、背面傾斜角度、背面長さ、スリット幅及びギャップとが所定の関係を満たすように構成されている。スリットノズル10の詳細構成及びノズル圧との関係については、後述する。
【0034】
ギャップ測定装置30は、スリットノズル10の先端にある噴射口112と鋼板Sの表面との距離(以下、「ギャップ」ともいう。)を測定する。ギャップ測定装置30は、
図3及び
図4に示すように、スリットノズル10の噴射口112のスリット長さ方向(Y方向)両側にそれぞれ設けられている。ギャップ測定装置30をかかる位置に設けることで、スリット長さ方向におけるスリットノズル10の噴射口112の鋼板Sの表面に対する傾きを検出することが可能となり、スリット長さ方向においてギャップが一定となるように調整することができる。ギャップ測定装置30は、例えばスリット長さ方向においてスリットノズル10を上下に移動させるギャップ調整機構40と略同一位置に設けられていてもよい。
【0035】
ギャップ測定装置30は、レーザ距離計等の距離センサ31を備えている。ギャップ測定装置30は、例えば、距離センサ31を鋼板Sの表面と対向させ、鋼板Sに対して出射したレーザ光とそのレーザ光の鋼板Sの表面での反射光との位相差に基づき、ギャップを測定する。距離センサ31は、例えば
図4に示すように、ギャップ測定装置30にそれぞれ1つ設けてもよく、スリット長さ方向にそれぞれ複数配設してもよい。距離センサ31は、噴射口112の両端112e付近に配置される。本実施形態において噴射口112の両端112e付近とは、スリット長さ方向におけるスリットノズル10の噴射口112の長さをスリット長wとしたとき、噴射口112の両端部112eから±1/4wの範囲をいう。また、距離センサ31は、鋼板Sと対向される必要があるため、例えば、液体除去装置10が設置されるラインにて通板可能な鋼板Sの最小板幅及び最大板幅に応じてその設置位置が決定される。このように距離センサ31は、噴射口112の両端112e付近であって、かつ、鋼板Sと対向するように設置される。例えば、距離センサ31は、鋼板Sの端部から板幅の1/6程度内側の位置に設置されてもよい。ギャップ測定装置30は、距離センサ31の検出結果に基づき得られたギャップを、ギャップ測定値として、ギャップ調整機構40へ出力する。
【0036】
ギャップ調整機構40は、ギャップ測定装置30の測定結果に基づいてギャップが所定の大きさとなるように調整する。本実施形態に係るギャップ調整機構40は、スリットノズル10を上下(Z方向)に移動させる駆動部41と、駆動部41の駆動を制御する制御部(図示せず。)とを備える。
【0037】
駆動部41は、
図3及び
図4に示すように、スリットノズル10の噴射口112のスリット長さ方向(Y方向)両側にそれぞれ設けられており、支持部材51、53、55を介してスリットノズル10を支持している。このように駆動部41を設置することで、噴射口112のスリット長さ方向における噴射口112と鋼板Sとの距離を均一にすることができる。駆動部41は、例えばシリンダにより構成され、支持部材55が固定されたピストンを移動させることで、スリットノズル10の高さ位置を調整することができる。なお、本発明はかかる例に限定されず、駆動部41は、例えば鋼板Sが載置されたテーブルロールの高さ位置を変更するアクチュエータであってもよい。このようにスリットノズル10の噴射口112に対してテーブルロールを近接/離隔させることによってもギャップを調整することができる。
【0038】
制御部は、ギャップ測定装置30の測定結果に基づいて、噴射口112が鋼板Sに接触しない範囲でなるべく鋼板Sに近づけるように各駆動部41を駆動させ、スリットノズル10の高さ位置を調整する。ギャップ測定装置30によるギャップ測定値は、距離センサから鋼板Sの表面までの距離であるため、制御部は、ギャップ測定値から距離センサとスリットノズル10の噴射口112との距離を差し引いた値を現在のギャップとして、スリットノズル10の高さ位置が所定の範囲内となるように調整する。制御部によるギャップ調整により、スリットノズル10から噴射されたガスが当該スリットノズル10のノズル背面と鋼板Sとの間に流れ込み、
図2に示すように外気吸い込み流(f4)がガス噴流(f1)に影響を及ぼすのを抑制できるようにすることができる。かかる作用を奏するため、ギャップ調整機構40により、ギャップを20mm以下とするのがよい。
【0039】
(2−2.スリットノズルの構成とノズル圧との関係)
本実施形態に係るスリットノズル10は、上述したように、外気吸い込み流f4の影響を抑制してガス噴流f1の乱れを抑制するため、スリットノズル10のノズル圧と、スリットノズル10の噴射角度、背面傾斜角度、背面長さ、スリット幅及びギャップとが所定の関係を満たすように構成されている。
【0040】
図5は、本実施形態に係るスリットノズル10の詳細な構成を示す説明図である。
図5に示すように、スリットノズル10は、噴射口112から鋼板Sの搬送方向上流側へ向かうノズル前面102と、噴射口112から鋼板Sの搬送方向下流側へ向かうノズル背面104とを備える。ノズル前面102は、搬送方向上流側への傾斜が抑制され、ノズル背面104は、搬送方向下流側へ鋼板Sの表面に沿って延設されている。
【0041】
ここで、鋼板Sの表面に垂直な方向を基準方向C1として、基準方向C1とスリットノズル10の噴射口112からのガスの噴射方向C3とのなす角を噴射角度θ[°]、基準方向C1とノズル前面102とのなす角を前面傾斜角度α[°]、ガスの噴射方向C3とノズル背面104とのなす角を背面傾斜角度β[°]とする。また、鋼板Sの搬送方向C2におけるノズル背面104の長さを背面長さL[mm]とする。そして、噴射口112と鋼板Sの表面との距離をギャップh[mm]、スリットノズル10のスリットの開口幅をスリット幅d[mm]、スリットノズル10の内部のガス圧をノズル圧P
n[KPa]としたとき、液体除去装置1は、下記式(1)〜(3)の関係を満たすように構成される。
【0043】
なお、噴射角度θ及び背面傾斜角度βは、大きさを表すものであり、0以上の値で表されるものとする。前面傾斜角度αについては、基準方向C1を0°として、鋼板Sの搬送方向上流側への傾きを正の値、下流側への傾きを負の値で表すとする。また、例えば
図3に示すように、ノズル背面104が鋼板Sと平行でない場合の背面長さLは、実際の背面長さをL’[mm]としたとき、L’cos(90°−θ−β)により算出することができる。このように、背面長さLは、ノズル背面104を水平投影面に投影したときの水平投影面上におけるノズル背面104の搬送方向(X方向)の長さに相当する。
【0044】
(a.ノズル圧P
nとの関係)
まず、上記式(1)は、
図1及び
図2にて示した、外気吸い込み流f4の影響を抑制してガス噴流f1の乱れを抑制するための条件を表している。ここで、
図5に示したスリットノズル10に対して、以下のように物理量を定義する。xは鋼板Sの搬送方向における位置を表す。鋼板Sの搬送方向(X方向)におけるノズル背面104の最下流側の位置を基準位置(x=0)とする。
u
+(x):コアンダ効果にて噴射口側へ引き込まれる流速
u
−(x):鋼板に衝突したガス噴流の搬送方向(X方向)成分流速
y(x):鋼板とノズル背面との距離
λ :管摩擦係数
【0045】
u
+のX方向分布は、経験的に知見がある高速噴流の10%の大きさを初速u
+(0)としたとき、X方向に進むにつれて圧力損失により流速は初速u
+(0)から減少していく。定量的には、X方向における位置に対する圧力損失は、下記式(1−1)で与えられる。
【0047】
上記式(1−1)により表される圧力損失の変動を下記式(1−2)に代入すると、速度の減少量Δu
+(x)が求められる。
【0049】
そして、下記式(1−3)より、求めた速度の減少量Δu
+(x)を前の位置での速度u
+(x)から引くことで、x+dx位置における速度u
+(x+dx)が求められる。
【0051】
一方、鋼板に衝突したガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)は、スリットノズル10から噴射されるガスの噴流の流速uを用いて下記式(1−4)で求められる。
【0053】
ここで、
図5に示すように、基準位置(x=0)から搬送方向上流側へノズル背面104の背面長さLだけ離れた位置での、コアンダ効果によって噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(L)と、鋼板Sに衝突したガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)との大きさを考える。
【0054】
まず、流速u
+(L)が流速u
−(L)以下であるとき(u
+(L)≦u
−(L))は、すなわち、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)がコアンダ効果によって引き込まれる流速u
+(L)以上となるときである。このため、ガス噴流f1は、コアンダ効果で引き込まれる流速u
+(L)から影響を受けることはなく、振動しない。したがって、ガス噴流f1は乱れることなく鋼板Sに衝突し、
図2に示すように、液体除去装置1による液切り能力が発揮される。
【0055】
一方、流速u
+(L)が流速u
−(L)より大きいとき(u
+(L)>u
−(L))は、すなわち、コアンダ効果によって引き込まれる流速u
+(L)がガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)より大きくなるときである。このとき、ガス噴流f1はコアンダ効果で引き込まれる流速u
+(L)から影響を受ける。その結果、ガス噴流f1が水平方向に振動し、ガス噴流f1の鋼板Sへの衝突圧が低下するので、
図1に示すような液体除去装置1の液切り能力低下につながる。
【0056】
以上より、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)がコアンダ効果で引き込まれる流速u
+(L)以上となるようにすることで、液体除去装置1による液切り能力を発揮させることができる。すなわち、x=Lの位置でのガス噴流吐出位置での流速u
+と流速u
−のバランスを考慮することで、液体除去装置1による液切り能力が発揮された状態することができる。
【0057】
例えば、
図6に、背面長さLを20mm、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和を90°としたときのコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)と、鋼板Sに衝突したガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)との一関係例を示す。
図6に示すように、基準位置(x=0)から搬送方向上流側に10mmより大きく離れると、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)がコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)よりも大きくなる。したがって、背面長さLが20mmの場合、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)がコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)よりも大きいため、ノズル背面104の流れは整流化される。
【0058】
一方、例えば、
図7に、背面長さLを15mm、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和を50°としたときのコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)と、鋼板Sに衝突したガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)との一関係例を示す。
図7に示すように、基準位置(x=0)から搬送方向上流側に15mm離れても、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)はコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)よりも小さい。このため、背面長さLが15mmの場合、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(x)がコアンダ効果にて噴射口112側へ引き込まれる流速u
+(x)よりも小さいため、ノズル背面104の流れは乱流化し、ガス噴流f1が乱れることになる。
【0059】
そこで、本願発明者は、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)がコアンダ効果によって引き込まれる流速u
+(L)以上となる液体除去装置1の構成及び設定を検討した結果、上記式(1)の関係式を想到した。すなわち、スリットノズル10のノズル圧P
n[KPa]が、ギャップh[mm]、背面長さL[mm]、背面傾斜角度β[°]、スリット幅d[mm]及び噴射角度θ[°]で表される関係式F(h,L,β,θ,d)の値以上となるようにスリットノズル10を構成し配置することで、外気吸い込み流f4の影響を抑制し、ガス噴流f1の乱れを抑制することができる。
【0060】
関係式F(h,L,β,θ,d)は、例えばタフト法によりスリットノズル10のノズル背面104における流れを可視化し、ノズル背面104の流れが整流化するノズル圧P
nを特定することで求めることができる。上記式(1)は、スリット幅dを0.4mmとして、ギャップhを1mm〜25mm、背面長さLを10〜50mm、背面傾斜角度βを5〜45°、噴射角度θを0〜75°の範囲で設定し、ノズル圧P
nを5〜1000KPaまで徐々に変化させたときのノズル背面104の流れが整流化するノズル圧P
nの閾値を、タフト法を用いて測定し、設定したものである。
【0061】
具体的には、直径0.025mm、長さ3mmのポリエチレン製の糸を5mmピッチでノズル背面104に鋼板Sの搬送方向に沿って配置して、ノズル圧P
nに応じて変化するノズル背面104の流れによって糸が動くようにすることで、ノズル背面104の流れを可視化した。ノズル背面104に設けたすべての糸が鋼板Sの搬送方向を向いたとき、ノズル背面104の流れが整流化したと判定し、このときのノズル圧P
nを閾値とした。そして、ギャップh、背面長さL、背面傾斜角度β及び噴射角度θを変化させて設定して得られたノズル圧P
nの各閾値について、ギャップh、背面長さL、背面傾斜角度β及び噴射角度θに対して多変数重回帰分析を行うことで、上記式(1)が得られる。
【0062】
このようにして得られた式(1)の関係式F(h,L,β,θ,d)の値がスリットノズル10のノズル圧P
n以下の場合には、ガス噴流の搬送方向成分流速u
−(L)がコアンダ効果によって引き込まれる流速u
+(L)以上となる。このとき、ガス噴流f1は乱れることなく鋼板Sに衝突し、液体除去装置1は液切り能力を発揮する。したがって、上記式(1)を満たすように液体除去装置1を構成し設定することで、鋼板S上の液体を除去することが可能となる。
【0063】
また、ギャップh、背面長さL、背面傾斜角度β及び噴射角度θについては、以下のように設定される。
【0064】
(b.噴射角度θ、背面傾斜角度β)
噴射角度θと背面傾斜角度βとは、上記式(2)で表されるように、これらの和は60°以上となるように設定される。噴射角度θと背面傾斜角度βとの和は、基準方向C1に対するノズル背面104の傾斜状態を表している。噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が90°のとき、ノズル背面104と鋼板Sの表面とは平行となる。噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が60°より小さいと、外気吸い込み流f4と鋼板Sの表面衝突後の反転流f3との干渉が生じ、ガス噴流f1の衝突圧が低下して、鋼板Sの表面上の液体5aを除去することができなくなる。このため、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和は60°以上に設定される。なお、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和の上限は、ノズル背面104が鋼板Sの表面に接触しない範囲での最大値となる。
【0065】
ノズル背面104は、鋼板Sの表面と平行となるように配置されるのが望ましい。すなわち、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和は、90°とするのがよい。これにより、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突した後、鋼板Sの搬送方向下流側に向かう反転流f3が、ノズル背面104と鋼板Sの表面との間をスムーズに流れるようにすることができる。
【0066】
また、ガスの噴射角度θは、45°であるのが望ましい。これにより、スリットノズル10の噴射口112から噴射されたガスは、鋼板Sの表面に対しての搬送方向下流側から45°の角度で衝突し、鋼板Sの表面上の液体5aを搬送方向上流側へ向かって効果的に押し返し、除去することができる。噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が90°であるのが望ましいことを考慮すると、噴射角度θ及び背面傾斜角度βは、それぞれ45°とするのがよい。
【0067】
(c.背面長さL)
ノズル背面104の背面長さLは、式(3)に示すように、20mm以上に設定される。背面長さLが20mmより小さいと、外気吸い込み流f4と反転流f3とが、ガス噴流f1近辺で衝突してしまい、ガス噴流f1を乱してしまう。そこで、背面長さLを20mm以上とすることにより、外気吸い込み流f4と反転流f3との衝突が、ガス噴流f1近辺で発生しないようにし、外気吸い込み流f4によるガス噴流f1の乱れを抑制する。また、背面長さLを20mm以上とすることで、外気吸い込み流f4が衝突するまでに反転流f3の圧力も低下するため、外気吸い込み流f4と反転流f3とが衝突したときの空気の乱れも小さくなる。背面長さLを大きくすることで、外気吸い込み流f4がノズル背面104と鋼板Sの表面との間の区間にも入り込み難くなる。したがって、背面長さLは、20mm以上に設定するのがよい。
【0068】
なお、ノズル背面104の背面長さLの上限は、特に制限されないが、設備上、他の部材との接触がなければよい。例えば、背面長さLは、100mm程度までとしてもよい。
【0069】
(d.ギャップh)
噴射口112と鋼板Sの表面との距離であるギャップhは、上述したように、噴射口112が鋼板Sに接触しない範囲でなるべく鋼板Sに近づけるように設定されるのが望ましい。これにより、スリットノズル10から噴射されたガスが当該スリットノズル10のノズル背面と鋼板Sとの間に流れ込み、
図2に示すように外気吸い込み流f4がガス噴流f1に影響を及ぼすのを抑制できるようにすることができる。かかる作用を奏するため、ギャップhは例えば20mm以下とするのが望ましい。
【0070】
なお、前面傾斜角度αは、特に限定されないが、30°以下に設定してもよい。前面傾斜角度αが30°より大きくなると、ノズル前面102が搬送方向上流側へ傾斜しすぎて、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突した後、搬送方向上流側へ向かう流れf2がそのまま上流側に向かわず、ノズル前面102に沿って再びスリットノズル10の噴射口112に向かう流れとなりやすい。このような流れが形成されると、流れf2による鋼板Sの表面上の液体5aの除去性能が低下する。したがって、液体除去性能の低下を抑制するため、前面傾斜角度αは30°以下に設定してもよい。望ましくは、前面傾斜角度αは0°以下であるのがよい。これにより、搬送方向上流側へ向かう流れf2がノズル前面102に沿って再びスリットノズル10の噴射口112に向かう流れとなることをより確実に防止することができる。
【0071】
以上より、上記式(1)〜(3)を満たすように、スリットノズル10が構成され、配置される。これにより、外気吸い込み流f4と反転流f3との衝突によってガス噴流f1が乱れるのを低減することができ、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突するときの衝突圧が低下せず、搬送方向上流側へ向かう流れf2の圧力も維持できる。したがって、鋼板S上の液体5aを十分に除去することが可能となる。本実施形態に係る液体除去装置1によれば、リンガーロールやドライヤーを用いることなく鋼板上の液体を十分に除去できるため、設備を維持するためのコストも低減することができる。
【0072】
ここで、
図8に、噴射角度θを45°として、背面傾斜角度β及び背面長さLを変化させたときのギャップhと上記式(1)により算出されたノズル圧P
nとの関係を示す。
図8に示すノズル圧P
nは、上述のタフト法によりノズル背面104の流れが整流化したと判定されたときの閾値を示しており、式(1)の両辺が同一値を示したとき(P
n=F(h,L,β,θ,d))の値である。すなわち、
図8に示すケースa〜fのプロット線は、ノズル背面104の流れが整流となる領域と乱流となる領域との境界を示している。
図9に示すように、プロット線上またはプロット線より上側であれば、ノズル圧P
nが関係式F(h,L,β,θ,d)の値以上となり、上記式(1)の関係を満たすため、ノズル背面104の流れは整流化された状態となる。一方、プロット線より下側であれば、ノズル圧P
nは関係式F(h,L,β,θ,d)の値より小さくなるため、上記式(1)の関係を満たさない。その結果、ノズル背面104の流れは乱流となり、ガス噴流f1が乱れる状態となる。
【0073】
図8において、背面傾斜角度βと噴射角度θとの和は、ケースa〜cでは90°、ケースd〜fでは60°であり、いずれも上記式(2)を満たしている。背面長さLについては、ケースa、b、d、eは25mmまたは20mmであり上記式(3)を満たしているが、ケースc、fは15mmであり上記式(3)を満たしていない。
図8に示すように、上記式(3)を満たしていないケースc、fのプロット線は、上記式(3)を満たしているケースa、b、d、eのプロット線と比較して傾きが大きく、ギャップhが3mmと接近した場合においてもノズル圧P
nが200KPa以上必要となる。200KPa以上のノズル圧P
nが必要となると、工場の配管設置状況によっては当該圧力が確保できず液体除去装置1を設置できない、あるいは、液体除去装置1を設置できたとしても必要なエア流量が莫大となりコスト増となる等が想定される。このため、背面長さLは20mm以上に設定するのがよい。
【0074】
一方、ケースa、b、d、eのプロット線は、同程度の傾きを有しており、ギャップhが大きくなってもスリットノズル10のノズル圧P
nを200KPaより小さく設定しても、上記式(1)を満たすことが可能である。なお、背面長さLが同一である場合には、背面傾斜角度βと噴射角度θとの和が大きいほど必要となるノズル圧P
nを小さくすることができる
【0075】
以上のように、スリットノズル10を、上記式(1)〜(3)を満たす構成及び配置とすることで、ノズル背面104の流れを整流化し、ガス噴流f1の流れに影響を与えないようにすることができる。その結果、エア圧力の汎用性を確保することができ、エア流量も経済的である液体除去装置を実現することが可能となる。
【0076】
(2−3.変形例)
図5に示した液体除去装置1のスリットノズル10は、ノズル自体の外形が上記式(1)〜(3)を満たすように形成されている場合を示したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば
図10に示すように、液体除去装置1のスリットノズル10を、一般的に使用されている軸対称の外形を有するスリットノズル(以下、「ノズル本体部」と称する。)210と、背面部材220とから構成してもよい。ノズル本体部210は、ガスを噴射するスリットである噴射口216を有する。ノズル本体部前面212とノズル本体部背面214とは、ガスの噴射方向C3に対して対称である。背面部材220は、例えば鋼板等の板材である。背面部材220は、ノズル本体部背面214に接続されており、ノズル本体部210の噴射口216から鋼板Sの搬送方向下流側に向かって延びるノズル背面を構成する。すなわち、鋼板Sの表面に対向する背面部材220の対向面がノズル背面となる。
【0077】
このようなスリットノズル10においても、上記式(1)〜(3)を満たすようにして、ノズル背面として機能する背面部材220の底面222については搬送方向下流側へ鋼板Sの表面に沿って延設されるようにする。これにより、
図5に示したスリットノズル10と同様、外気吸い込み流f4と反転流f3との衝突によってガス噴流f1が乱れるのを低減することができ、ガス噴流f1が鋼板Sの表面に衝突するときの衝突圧が低下せず、搬送方向上流側へ向かう流れf2の圧力も維持できるため、鋼板S上の液体5aを十分に除去することが可能となる。
【0078】
図10に示すような構成は、既存のスリットノズルであるノズル本体部210に対して背面部材220を設けることで実現可能であり、既存設備に対して変更が少なくてすむ。このような構成の液体除去装置によっても、鋼板Sの表面の液体を除去する効果を十分に得ることができる。
【0079】
<3.液体除去方法>
鋼板Sの表面に付着した液体の除去は、上述の液体除去装置1のスリットノズル10を鋼板Sの表面に対向させ、スリットノズル10から鋼板Sの表面に対してガスを噴射して行われる。この際、まず、スリットノズル10の噴射口112と鋼板Sとのギャップをギャップ測定装置30により測定する。そして、測定されたギャップに基づいて、スリットノズル10または鋼板Sのうち少なくともいずれか一方の位置をギャップ調整機構40の駆動部により駆動して変更することにより、ギャップを20mm以下に調整する。その後、スリットノズル10と鋼板Sとを相対的に移動させながらスリットノズル10から鋼板Sの表面に対してガスを噴射することで、鋼板Sの表面に付着した液体を除去することができる。
【0080】
なお、ギャップ測定装置30によるギャップの測定とギャップ調整機構40によるギャップ調整は、処理対象の鋼板Sが異なる毎に実施してもよい。あるいは、鋼板Sの通板中に板厚が変更する場合には、板エッジの耳波も変わり、許容されるギャップの大きさも変わる。したがって、鋼板Sの通板中にリアルタイムでギャップ測定装置30によりギャップを測定し、取得されたギャップ測定値に基づいてギャップ調整機構40によりギャップを20mm以下に調整するようにしてもよい。
【実施例】
【0081】
本発明の液体除去装置に用いるスリットノズルに関し、鋼板表面上の液体を除去する液切り効果を検証した。本検証では、連続鋼板処理ラインの洗浄設備後に本発明に係る液体除去装置を設置し、液体除去装置によって鋼板表面上の液体を除去した後の、鋼板表面に残存する液体の膜厚を測定した。リンガーロール及びドライヤーは不使用とした。このとき、鋼板のライン速度は100mpm、ギャップは3mm、噴射角度θは45°、スリット幅dは0.4mmとした。
【0082】
そして、前面傾斜角度αを30°として、それぞれ背面傾斜角度βを10°、15°、45°(すなわち、θ+β=55°、60°、90°)とさせた場合、また、ノズル圧P
nを90KPa、150KPaとした場合の、ノズル背面の背面長さLと鋼板表面に残存する液体の膜厚との関係を調べた。この結果を
図11及び表1に示す。本検証では、ケースA〜Fの6つの背面傾斜角度βとノズル圧P
nとの組合せについて、背面長さLを変化させたときの液切り効果を評価した。下記表1においてケースA〜Fの枝番「−1」、「−2」、「−3」は、それぞれ背面長さLが15mm、20mm、25mmの場合であることを示している。
【0083】
本検証では、液体除去装置によって鋼板表面上の液体を除去した後に残存する液体の膜厚により、液切り効果を評価した。操業において、液切りの評価は目視にて行われる。通常
図13に示すように、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μm以上となると目視にて液残りが確認されることから、鋼板表面の品質不良と判定される。これより、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μmより小さければ液切り効果があると評価した。表1では、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μmより小さい場合を「液切り効果あり(○)」、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μm以上の場合を「液切り効果なし(×)」としている。
【0084】
【表1】
【0085】
図11及び表1に示す検証結果をみると、ケースA(ケースA−1、A−2、A−3)及びケースB(ケースB−1、B−2、B−3)については、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が55°であり、上記式(2)の関係を満たしていない。このため、ノズル圧P
nまたはノズル背面の背面長さLを変化させても、鋼板表面上の液体の膜厚は0.5μm以上となり、十分な液切り効果を得られなかった。
【0086】
一方、ケースC〜Fについては、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和は60°以上であり、上記式(2)を満たすようにスリットノズルが構成されている。これらについては、ノズル背面の背面長さLが20mm未満であるケースC−1、D−1、E−1、F−1の場合には、鋼板表面上の液体の膜厚は0.5μm以上となり、十分な液切り効果を得られなかった。一方、上記式(3)を満たすようにノズル背面の背面長さLを20mm以上としたケースC−2、C−3、D−2、D−3、E−2、E−3、F−2、F−3の場合に、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μmより小さくなり、十分な液切り効果が確認された。特に、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が90°となるケースE−2、E−3、F−2、F−3では、噴射角度θと背面傾斜角度βとの和が60°となるケースC−2、C−3、D−2、D−3と比較して、鋼板表面上の液体の膜厚がより小さくなり、水切り効果が高いことがわかる。
【0087】
また、ケースA〜Fを通して、噴射角度θ、前面傾斜角度α、背面傾斜角度β、スリット幅d、及びノズル背面の背面長さLが同一条件である場合には、ノズル圧P
nを高く設定するほど、水切り効果が高くなることがわかる。
【0088】
水切り効果が確認された場合については、
図2に示したように、スリットノズルのノズル背面においてガス流れが整流化された状態となっているものと考えられる。一方、水切り効果が確認されなかった場合については、
図1に示したように、スリットノズルのノズル背面においてガス流れが乱流化され、ガス噴流へ影響を及ぼした状態となっているものと考えられる。
【0089】
また、ノズル圧P
nを90KPaとして、背面傾斜角度βを10°(θ+β=55°)、スリットノズルの背面長さLを15mmとした場合(表1のケースA−1(比較例1))、背面傾斜角度βを15°(θ+β=60°)、スリットノズルの背面長さLを20mmとした場合(表1のケースC−2(実施例1))、背面傾斜角度βを45°(θ+β=90°)、スリットノズルの背面長さLを25mmとした場合(表1のケースE−3(実施例6))の、ギャップhと鋼板表面に残存する液体の膜厚との関係を調べた。この結果を
図12に示す。
【0090】
図12に示すように、表1のケースA−1(比較例1)の場合には、ギャップhを3〜20mmの間で変化させても上記式(1)〜(3)を満たさない。このため、ノズル背面が乱流化し、鋼板表面上の液体の膜厚が0.5μm以上となった。一方、表1のケースC−2(実施例1)及びケースE−3(実施例6)の場合には、ギャップhを3〜20mmの間で変化させても上記式(1)〜(3)を常に満たしており、鋼板表面上の液体の膜厚を0.5μmより小さくすることができた。
【0091】
以上より、本発明の液体除去装置のスリットノズル構成とすることで、鋼板表面の品質不良を生じさせることがなく、十分な液切り効果が得られることが示された。
【0092】
なお、前面傾斜角度αに関して、
図11の検証と同様の条件で、ケースA〜Fの前面傾斜角度αのみを35°に変更して検証を行った。
図14のケースG〜Iは、それぞれ
図11のケースA〜Fに対応する。
図14に示すように、
図11の結果より、噴射角度θ、背面傾斜角度β、ノズル背面の背面長さL、スリット幅d及びギャップhとノズル圧P
nとが上記式(1)〜(3)の関係を満たした場合であっても、鋼板表面上の液体の膜厚は0.5μm以上となり、十分な液切り効果を得られなかった。したがって、前面傾斜角度αは30°以下に設定するのが望ましい。
【0093】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0094】
例えば、上記本実施形態では、スリットノズル10を備える液体除去装置1が固定され、鋼板Sが搬送装置によって搬送されてスリットノズル10に対して相対移動している場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、板状部材が静止しており、スリットノズルを備える液体除去装置がノズル移動機構により板状部材に対して平行に相対移動される場合にも、本発明の液体除去装置は適用可能である。