(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402852
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】破砕回収装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20181001BHJP
C03B 5/027 20060101ALI20181001BHJP
G21F 9/16 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
G21F9/30 531J
C03B5/027
G21F9/16 541Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-144074(P2014-144074)
(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-20825(P2016-20825A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 智亮
(72)【発明者】
【氏名】三井 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彰
【審査官】
岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−126461(JP,A)
【文献】
特開2007−100502(JP,A)
【文献】
特開昭63−012386(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0002677(US,A1)
【文献】
特開昭49−034427(JP,A)
【文献】
特開2011−080873(JP,A)
【文献】
特開平10−048393(JP,A)
【文献】
実開昭61−020539(JP,U)
【文献】
特開平10−201647(JP,A)
【文献】
特開2002−361109(JP,A)
【文献】
特開平11−304996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
C03B 5/027
G21F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス溶融炉の外部から内部へ挿入配置され、該ガラス溶融炉の内面に付着したガラスを破砕して回収する破砕回収装置であって、
前記ガラス溶融炉の内面からガラスをはつり、該はつられたガラスを更に押圧して破砕するはつり工具ユニットと、
該はつり工具ユニットに隣接するよう配設され且つ前記はつり工具ユニットで破砕されたガラスを吸引する吸引ユニットと、
該吸引ユニットの内部に挿通されて遠隔操作され且つ前記ガラスによる吸引ユニットの内部での詰まりを解除するための閉塞解除ユニットと、
前記ガラス溶融炉の開口部に取り付けられるベースフランジと、
該ベースフランジに対し球面軸受を介して傾動自在に貫通配置されるガイドパイプと、
該ガイドパイプに対しその軸線方向へスライド自在に貫通配置されるメインパイプとを備え、
前記はつり工具ユニットは、前記メインパイプの先端に着脱自在に取り付けられ、
前記吸引ユニットは、前記メインパイプの内部を貫通して前記はつり工具ユニットと並設されることを特徴とする破砕回収装置。
【請求項2】
前記閉塞解除ユニットは、前記吸引ユニットの内部に挿通されるワイヤと、該ワイヤの上端に嵌着される把持部と、前記ワイヤにその長手方向へ間隔をあけて複数配設されるよう嵌着される管材とを備えている請求項1記載の破砕回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力施設において発生する被処理液としての高レベル放射性廃液は、高レベル放射性廃液ガラス固化施設のガラス溶融炉に送給され、ガラス固化体として処理された後、放射性廃棄物保管施設に保管される。
【0003】
前記ガラス固化施設においては、前記ガラス溶融炉の内部で原料ガラスを溶融する際に高レベル放射性廃液を混入し、該高レベル放射性廃液が混入された溶融ガラスをキャニスタ(ステンレス製容器)に注入し、溶融ガラスを固化させることにより、ガラス固化体を形成している。
【0004】
従来のガラス溶融炉は、例えば、内部に溶融空間が形成されるよう耐火レンガ等の耐火物で構築され且つ外周が金属のケーシングで覆われた溶融炉本体を備えている。該溶融炉本体の上部天井壁には、被処理液としての高レベル放射性廃液及びガラスビーズのような原料ガラスが投入される投入口が設けられ、前記溶融炉本体の内壁の上下方向中間部には、相互間での通電により溶融空間内の原料ガラスを加熱し溶融させる主電極が対向配置されると共に、前記溶融炉本体内の下方へ向け窄まる形状とした底部の下端には、前記主電極との間での通電により溶融空間内底部のガラスを加熱し溶融させる底部電極が配置されている。該底部電極に穿設された流下孔には、高レベル放射性廃液が混入された溶融ガラスを抜き出してキャニスタへ注入するための流下ノズルが接続されるように設けられ、該流下ノズルの外周部には、ノズル用高周波誘導加熱コイルが配置されている。更に、前記溶融炉本体の内壁の下方へ向け窄まる形状とした部分の外周には、補助電極が前記主電極と底部電極との間に位置するよう配置されている。
【0005】
前述の如き従来のガラス溶融炉においては、溶融炉本体の投入口から高レベル放射性廃液及び原料ガラスが投入され、先ず、主電極間並びに補助電極間に電流を流すことでその間の溶融ガラスのジュール熱により高レベル放射性廃液及び原料ガラスが充分に溶かし合わされる。続いて、主電極と底部電極との間に電流を流すことによって生じるジュール熱により底部電極上部のガラスが加熱される。この後、前記底部電極の流下孔から延びる流下ノズルを、ノズル用高周波誘導加熱コイルへ通電を行うことにより加熱すると、その内部に詰まっている固化ガラスが溶けて下方へ抜き出され、これにより、溶融炉本体内の溶融ガラスがその下部にセットされたキャニスタ内に流下し、ガラス固化体として密閉収容されるようになっている。
【0006】
尚、前述の如きガラス溶融炉と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−302531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記高レベル放射性廃液中にはルテニウム、パラジウム、ロジウム等の白金族元素が1%程度含まれているが、該白金族元素は、ガラス溶融炉の内部においてガラスに溶け込まずに分離しており、その粒子が小さければ、ガラスと同じような動きをするものの、粒子が大きくなると、ガラス溶融炉内部の溶融ガラスの動きに比べガラス溶融炉の底部へ沈降し堆積しやすくなる。
【0009】
しかも、前記白金族元素は導電性であるため、ガラス溶融炉の底部に沈降堆積して該底部におけるガラス中の白金族元素の濃度が高くなると、あたかもそこに金属が存在しているような形となる。この結果、ガラスの電気的抵抗が低くなってしまい、主電極と底部電極との間に通電を行ってガラスに電流を流しても充分なジュール熱が得られなくなり、ガラスの粘性が低くならず、前記白金族元素を含むガラスが固化してガラス溶融炉の底部内面に付着したまま残存してしまうことがあった。
【0010】
このため、前記ガラス溶融炉の底部内面に固化して残存したガラスは、先端部がタガネのような形状の破砕専用の工具をガラス溶融炉内部へ挿入して破砕した後、前記工具の代わりに回収専用の吸引装置等を付け替えて回収する必要があった。
【0011】
しかしながら、ガラスの破砕、回収の作業毎に専用の工具や吸引装置等をその都度付け替えるのでは、作業効率が悪く、手間と時間がかかるという欠点を有していた。
【0012】
又、破砕後のガラス片を吸引装置等で吸引するためには、ガラス片をより細かく破砕する工具が別途必要となり、作業効率を更に低下させる要因となっていた。
【0013】
更に又、吸引によるガラス片の回収時には、該ガラス片によって装置が閉塞することもあり、装置の閉塞解除についても何らかの対応策を講じる必要があった。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、工具や装置の付け替えを行うことなく、構造物の内面に付着した被回収物を破砕して回収し得、作業効率向上を図り得ると共に、被回収物による閉塞にも対応し得る破砕回収装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
ガラス溶融炉の外部から内部へ挿入配置され、該
ガラス溶融炉の内面に付着した
ガラスを破砕して回収する破砕回収装置であって、
前記
ガラス溶融炉の内面から
ガラスをはつり、該はつられた
ガラスを更に押圧して破砕するはつり工具ユニットと、
該はつり工具ユニットに隣接するよう配設され且つ前記はつり工具ユニットで破砕された
ガラスを吸引する吸引ユニットと、
該吸引ユニットの内部に挿通されて遠隔操作され且つ前記
ガラスによる吸引ユニットの内部での詰まりを解除するための閉塞解除ユニットと
、
前記ガラス溶融炉の開口部に取り付けられるベースフランジと、
該ベースフランジに対し球面軸受を介して傾動自在に貫通配置されるガイドパイプと、
該ガイドパイプに対しその軸線方向へスライド自在に貫通配置されるメインパイプとを備え、
前記はつり工具ユニットは、前記メインパイプの先端に着脱自在に取り付けられ、
前記吸引ユニットは、前記メインパイプの内部を貫通して前記はつり工具ユニットと並設されることを特徴とする破砕回収装置にかかるものである。
【0017】
前記破砕回収装置において、前記閉塞解除ユニットは、前記吸引ユニットの内部に挿通されるワイヤと、該ワイヤの上端に嵌着される把持部と、前記ワイヤにその長手方向へ間隔をあけて複数配設されるよう嵌着される管材とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の破砕回収装置によれば、工具や装置の付け替えを行うことなく、構造物
としてのガラス溶融炉の内面に付着した被回収物を破砕して回収し得、作業効率向上を図り得ると共に、被回収物による閉塞にも対応し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の破砕回収装置の実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の破砕回収装置の実施例をガラス溶融炉の内部へ挿入した状態を示す全体概要図である。
【
図6】本発明の破砕回収装置の実施例における閉塞解除ユニットの作動を示す図であって、
図4のVI−VI矢視図であり、(a)は閉塞解除ユニットを下降端に位置させた状態図、(b)は閉塞解除ユニットを上昇端に位置させた状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1〜
図6は本発明の破砕回収装置の実施例であって、該破砕回収装置は、構造物としてのガラス溶融炉1(
図2参照)の外部から内部へ挿入配置され、該ガラス溶融炉1の内面に付着した被回収物としてのガラスGを破砕して回収するものである。
【0022】
前記破砕回収装置は、前記ガラス溶融炉1の内面からガラスGをはつり、該はつられたガラスGを更に押圧して破砕するはつり工具ユニット2と、該はつり工具ユニット2に隣接するよう配設され且つ前記はつり工具ユニット2で破砕されたガラスGを吸引する吸引ユニット3と、該吸引ユニット3の内部に挿通されて遠隔操作され且つ前記ガラスGによる吸引ユニット3の内部での詰まりを解除するための閉塞解除ユニット4とを備えている。
【0023】
前記ガラス溶融炉1の開口部1aには、
図2及び
図5に示す如く、ベースフランジ5が取り付けられ、該ベースフランジ5に対しては球面軸受6を介してガイドパイプ7が傾動自在に貫通配置され、該ガイドパイプ7に対してはその軸線方向へスライド自在にメインパイプ8が貫通配置されている。
【0024】
前記はつり工具ユニット2は、
図3に示す如く、前記メインパイプ8の先端に着脱自在に取り付けられ、前記吸引ユニット3は、その吸引パイプ3aが前記メインパイプ8の内部を貫通して前記はつり工具ユニット2と並設され、前記吸引パイプ3aの先端には吸引ノズル3bが取り付けられている。
【0025】
前記メインパイプ8の上端には、
図1及び
図4に示す如く、把持ユニット9が設けられている。該把持ユニット9は、前記メインパイプ8の上端に取り付けられる枠体9Aと、該枠体9Aの上ベースプレート9a上に防振器9Bを介して載置されるサポートプレート9Cと、該サポートプレート9C上に立設される把持パイプ9Dとを備えている。又、前記枠体9Aの下ベースプレート9bの両幅端部には支柱9Eが立設され、該支柱9Eの上端部間には、図示していないロボットアームの先端に取り付けられたホイスト10のフック10aが引っ掛けられる吊下部材9Fを掛け渡すように枢着してある。尚、前記防振器9Bは、ワイヤロープの弾性変形を利用して三次元で衝撃と振動を吸収する器具である。
【0026】
前記はつり工具ユニット2は、
図3に示す如く、先端工具2bを空気圧によって振動させる工具本体2aを備え、該工具本体2aへ圧縮空気を送給するコネクタプラグ2c(
図4参照)が前記メインパイプ8の上端に接続されるよう前記把持ユニット9の枠体9A内部に配設されている。尚、図示していないコンプレッサからエアホースを介して前記コネクタプラグ2cに導入される圧縮空気は、前記メインパイプ8内部を流れて空気管2d(
図3参照)から前記工具本体2aへ送給されるようになっている。又、前記先端工具2bとしては、例えば、石材の表面仕上げ用の特殊硬質合金製のハンマー(「ビシャン」と称される)を用いることができる。因みに、前記先端工具2bとして用いられるビシャンの先端の打撃面は、先端が尖っているタガネ等とは異なり平面状で、複数の四角錐状の歯2eが突設されている。
【0027】
前記吸引パイプ3aの上端部は、
図4に示す如く、前記枠体9Aの下ベースプレート9bを貫通し、該下ベースプレート9bを貫通した吸引パイプ3aの上端にはエルボ3cを介して管継手3dが取り付けられ、該管継手3dに対して一端側が接続される吸引ホース3e(
図1参照)の他端側に、サイクロン式吸引回収装置11(
図2参照)が接続されている。
【0028】
前記閉塞解除ユニット4は、前記吸引ユニット3の吸引パイプ3a内部に挿通されるワイヤ4Aと、円筒体4aの上下端にフランジ部4bが形成され且つ前記ワイヤ4Aの上端に嵌着される把持部4Bと、前記ワイヤ4Aにその長手方向へ間隔をあけて複数配設されるよう嵌着される管材4Cとを備えている。前記閉塞解除ユニット4は、前記把持パイプ9Dの上端から挿入され、前記エルボ3cに取り付けられた受管3fから吸引パイプ3a内部に挿通されるようになっている。そして、図示していないマニピュレータにより前記把持部4Bを把持し、
図6(a)及び
図6(b)に示す如く、前記閉塞解除ユニット4を昇降させることにより、前記ガラスGによる吸引ユニット3の内部での詰まりを解除するようになっている。尚、前記ワイヤ4Aの把持部4Bと最上部に位置する管材4Cとの間には、前記受管3fに当接してワイヤ4Aの下降を規制する下降ストッパ4Dと、前記把持パイプ9Dの内部でのワイヤ4Aの昇降を案内するスライドガイド4Eとが設けられている。
【0030】
構造物としてのガラス溶融炉1の底部内面に固化して残存したガラスGを破砕する際には、先ず、図示していないロボットアームの先端に取り付けられたホイスト10のフック10aが吊下部材9Fに引っ掛けられて装置全体が吊り下げられ、そのはつり工具ユニット2及び吸引ユニット3が、
図2に示す如く、ガラス溶融炉1の開口部1a内部に挿入配置され、該開口部1aを覆うようにベースフランジ5がガラス溶融炉1に取り付けられる。
【0031】
この状態で、前記ロボットアームの駆動と前記ホイスト10によるフック10aの巻上げ下げ動作を組み合わせると、球面軸受6を基点としてガイドパイプ7及びメインパイプ8が傾動すると共に、該メインパイプ8がガイドパイプ7に対してその軸線方向へスライドし、はつり工具ユニット2の先端工具2bを、前記ガラス溶融炉1の底部内面に固化して残存したガラスGの位置に合わせて移動させることが可能となる。
【0032】
前記はつり工具ユニット2の工具本体2aには、図示していないコンプレッサからエアホースを介して前記コネクタプラグ2cに導入される圧縮空気が、前記メインパイプ8内部を流れて空気管2d(
図3参照)から送給され、前記先端工具2bが振動することにより、ガラスGが破砕される。尚、図示していないマニピュレータにより把持パイプ9Dを把持した状態で前記ガラスGの破砕を行う場合、その際に生じる振動は、防振器9Bによって吸収され、前記マニピュレータに伝わることが防止される。
【0033】
前記はつり工具ユニット2によって破砕されたガラスGは、吸引ユニット3の吸引ノズル3bから吸引パイプ3aに吸い込まれ、吸引ホース3eを経由してサイクロン式吸引回収装置11(
図2参照)に回収される。
【0034】
この結果、ガラスGの破砕、回収の作業毎に専用の工具や吸引装置等をその都度付け替えなくて済み、作業効率が良くなり、手間と時間がかからなくなる。
【0035】
ここで、破砕されたガラスGのうち大きな破片は前記吸引ノズル3bから吸い込まれない。しかし、前記先端工具2bは、先端が尖っているタガネのような形状の工具ではなく、打撃面が平面状で且つ複数の四角錐状の歯2eが突設されているため、ガラス溶融炉1の底部内面における平坦部で装置全体の重量を利用して前記ガラスGの大きな破片を押さえ込むことにより、該ガラスGの大きな破片を逃がさずにより細かく破砕して前記吸引ノズル3bから吸い込むことができる。これにより、ガラスGの破片をより細かく破砕する工具が別途必要とならず、作業効率を更に低下させる要因を排除できる。
【0036】
又、前記吸引ユニット3によるガラスGの破片の回収時には、該ガラスGの破片によって吸引パイプ3aが閉塞することもあるが、図示していないマニピュレータにより把持部4Bを把持し、
図6(a)及び
図6(b)に示す如く、前記閉塞解除ユニット4を昇降させると、ワイヤ4Aに嵌着された複数の管材4Cが吸引パイプ3a内で移動し、該吸引パイプ3aの内部に詰まっていたガラスGが吸引される空気と一緒に下流側へ流通して行くこととなる。
【0037】
こうして、工具や装置の付け替えを行うことなく、構造物
としてのガラス溶融炉1の内面に付着したガラスGを破砕して回収し得、作業効率向上を図り得ると共に、ガラスGによる閉塞にも対応し得る。
【0038】
そして、本実施例のように、前記構造物としてのガラス溶融炉1の開口部1aに取り付けられるベースフランジ5と、該ベースフランジ5に対し球面軸受6を介して傾動自在に貫通配置されるガイドパイプ7と、該ガイドパイプ7に対しその軸線方向へスライド自在に貫通配置されるメインパイプ8とを備え、前記はつり工具ユニット2が、前記メインパイプ8の先端に着脱自在に取り付けられ、前記吸引ユニット3が、前記メインパイプ8の内部を貫通して前記はつり工具ユニット2と並設されるようにすることは、以下の点で好ましい。即ち、前記球面軸受6を基点としてガイドパイプ7及びメインパイプ8を傾動させつつ、該メインパイプ8をガイドパイプ7に対してその軸線方向へスライドさせることにより、はつり工具ユニット2の先端工具2bの位置調整を、前記ガラス溶融炉1の底部内面に固化して残存したガラスGの位置に合わせて自在に行うことができる。又、前記はつり工具ユニット2は、前記メインパイプ8の先端に着脱自在に取り付けられるため、はつり工具ユニット2の交換を必要に応じて容易に行うことができる。更に又、前記吸引ユニット3は、前記メインパイプ8の内部を貫通して前記はつり工具ユニット2と並設されるため、該はつり工具ユニット2で破砕したガラスGを直ちに吸引することができる。
【0039】
又、本実施例のように、前記閉塞解除ユニット4が、前記吸引ユニット3の内部に挿通されるワイヤ4Aと、該ワイヤ4Aの上端に嵌着される把持部4Bと、前記ワイヤ4Aにその長手方向へ間隔をあけて複数配設されるよう嵌着される管材4Cとを備えていることは、以下の点で好ましい。即ち、マニピュレータ(図示せず)により把持部4Bを把持し、
図6(a)及び
図6(b)に示す如く、前記閉塞解除ユニット4を昇降させると、ワイヤ4Aに嵌着された複数の管材4Cが吸引パイプ3a内で移動し、前記ガラスGによる吸引ユニット3の内部での詰まりを解除することが可能となる。
【0040】
尚、本発明の破砕回収装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 ガラス溶融炉(構造物)
1a 開口部
2 はつり工具ユニット
3 吸引ユニット
4 閉塞解除ユニット
4A ワイヤ
4B 把持部
4C 管材
4a 円筒体
4b フランジ部
5 ベースフランジ
6 球面軸受
7 ガイドパイプ
8 メインパイプ
G ガラス(被回収物)