特許第6402880号(P6402880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイ・エム・エスの特許一覧

<>
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000002
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000003
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000004
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000005
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000006
  • 特許6402880-ダブルメスコネクタ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402880
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】ダブルメスコネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   A61M39/10 120
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-184741(P2013-184741)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-51094(P2015-51094A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】国重 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】上原 康賢
(72)【発明者】
【氏名】上田 麻美
(72)【発明者】
【氏名】上田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】上田 豊
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 恵
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−512885(JP,A)
【文献】 特開2001−299906(JP,A)
【文献】 特開2012−183298(JP,A)
【文献】 特開2013−135729(JP,A)
【文献】 特開2011−172615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00− 9/00
A61M 25/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
A61J 1/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に第1オスルアーが挿入される第1挿入部を備え、他端に第2オスルアーが挿入される第2挿入部を備え、前記第1挿入部と前記第2挿入部とが連通したダブルメスコネクタであって、
前記第1オスルアーは硬質材料からなり、その外周面は、前記第1オスルアーの先端に近づくにしたがって外径が小さくなるオステーパ面であり、
前記第1挿入部の内周面は先端に近づくにしたがって内径が大きくなる第1テーパ面であり、
前記第2挿入部の内周面は、先端に近づくにしたがって内径が大きくなる第2テーパ面であり、
前記第2挿入部の外周面には、雄ネジが形成されており、
前記第1挿入部は、ゴム弾性を有する軟質材料からなり、
前記第1挿入部は、前記第1オスルアーが挿入されると、周方向に伸ばされて前記第1オスルアーの前記オステーパ面に密着することを特徴とするダブルメスコネクタ。
【請求項2】
前記第2挿入部及び前記雄ネジは、硬質材料からなる請求項1に記載のダブルメスコネクタ。
【請求項3】
その全体がゴム弾性を有する軟質材料からなる請求項1に記載のダブルメスコネクタ。
【請求項4】
前記第2挿入部の前記第2テーパ面と前記雄ネジとは、ISO80369−3に準拠している請求項1〜3のいずれかに記載のダブルメスコネクタ。
【請求項5】
全体が一部品として一体的に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のダブルメスコネクタ。
【請求項6】
前記第1挿入部と前記第2挿入部との間に、外方向に突出したフランジが形成されている請求項1〜5のいずれかに記載のダブルメスコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オスルアーが挿入される挿入部を両端に備えたダブルメスコネクタに関する。特に、経腸栄養療法などにおいて使用される2つのチューブの末端のオスコネクタ同士を接続するために使用されるダブルメスコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
経口によらずに患者に栄養や薬剤を投与する方法として経腸栄養療法が知られている。経腸栄養療法では、患者の鼻腔から胃又は十二指腸にまで挿入された経鼻カテーテル又は患者の腹に形成された胃ろうに挿入されたPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)カテーテルを介して栄養剤、流動食、又は薬剤などの液状物(一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる)が患者に投与される。患者に投与される液状物は、容器に貯留される。容器の流出ポートには、柔軟性を有するチューブからなる栄養セットが接続される。栄養セットの下流側端は、患者に挿入された経鼻カテーテル又はPEGカテーテル(以下、これらを総称して「カテーテル」という)の上流側端に接続される。一般に、栄養セットの下流側端には、オスコネクタが設けられている。一方、カテーテルの上流側端には、当該オスコネクタと接続可能なメスコネクタが設けられている。オスコネクタ及びメスコネクタとしては、様々な形状のものが実際に使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、経腸栄養療法において投与された液状物が低粘度の液体であると、液状物が胃から食道に逆流して肺炎を併発したり、液状物の水分が体内で十分に吸収されないために下痢したりする等の問題がある。そこで、経腸栄養療法では、液状物を、トロミ剤や増粘剤を加える等して高粘度化(即ち、半固形化)させることが多い。このような高粘度化した液状物は、流動性が低いので、チューブを通過する際の抵抗が大きい。従って、液状物を患者に投与する際には、液状物は圧力を加えて圧送される。
【0004】
そのため、栄養セットとカテーテルとを接続するコネクタは、液状物に印加される圧力に耐えることができるように、互いに係合し合うロック機構を備えることが望まれる。そこで、このような用途に使用されるオスコネクタ及びメスコネクタが栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369−3として国際標準化することが検討されている。図5A及び図5Bに示すように、ISO80369−3として検討されているオスコネクタ901は、筒状のオスルアー910を取り囲む雌ネジ916を有する。一方、図6A及び図6Bに示すように、ISO80369−3として検討されているメスコネクタ902は、オスルアー910が挿入される円筒状の挿入部(メスルアー)920の外周面に雄ネジ926を有する。オスコネクタ901とメスコネクタ902とは、オスルアー910を挿入部920に挿入し、且つ、雌ネジ916と雄ネジ926とを螺合させることにより接続される。オスコネクタ901とメスコネクタ902とは、液密性(液状物に圧力を加えてもオスコネクタとメスコネクタとの接続部分から液状物が漏れ出さない性質)と接続強度(接続されたオスコネクタとメスコネクタとが引張り力を加えても分離しない性質)に優れた接続を提供する。
【0005】
このようなオスコネクタ901及びメスコネクタ902が国際規格として採用されれば、メスコネクタ902を下流側端に設けた栄養セット、及び、オスコネクタ901を上流側端に設けたカテーテルが、実用化される可能性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/152871号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ISO80369−3が国際規格化された後も、実際の医療の現場では、ISO80369−3に準拠しない、従来のオスコネクタを備えた栄養セットが依然として使用され続ける場合があると予想される。従って、従来のオスコネクタを下流側端に備えた栄養セットと、ISO80369−3に準拠したオスコネクタを上流側端に備えたカテーテルとを接続することが要望される。
【0008】
本発明は、従来のオスコネクタとISO80369−3に準拠したオスコネクタとを接続することができるダブルメスコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のダブルメスコネクタは、一端に第1オスルアーが挿入される第1挿入部を備え、他端に第2オスルアーが挿入される第2挿入部を備える。前記第1挿入部と前記第2挿入部とが連通している。前記第1オスルアーは硬質材料からなり、その外周面は、前記第1オスルアーの先端に近づくにしたがって外径が小さくなるオステーパ面である。前記第1挿入部の内周面は先端に近づくにしたがって内径が大きくなる第1テーパ面(円錐面)である。前記第2挿入部の内周面は、先端に近づくにしたがって内径が大きくなる第2テーパ面(円錐面)である。前記第2挿入部の外周面には、雄ネジが形成されている。前記第1挿入部は、ゴム弾性を有する軟質材料からなる。前記第1挿入部は、前記第1オスルアーが挿入されると、周方向に伸ばされて前記第1オスルアーの前記オステーパ面に密着する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1挿入部に従来のオスルアーを備えるオスコネクタを接続し、且つ、第2挿入部及び雄ネジにISO80369−3に準拠したオスコネクタを接続することができる。従って、例えば、従来のオスコネクタを下流側端に備えた栄養セットと、ISO80369−3に準拠したオスコネクタを上流側端に備えたカテーテルとを、本発明のダブルメスコネクタを介して接続することができる。
【0011】
第1挿入部がゴム弾性を有する軟質材料からなるので、第1挿入部に第1オスルアーを挿入すると、第1挿入部は適宜伸び変形する。これは、液密性及び接続強度の向上に有利である。また、第1オスルアーの寸法許容誤差の拡大や第1挿入部に接続可能な第1オスルアーの種類数の豊富化に有利である。更に、意図しない外力を第1挿入部が変形して吸収するので、外力によって、2挿入部の雄ネジの螺合が緩んだり、ダブルメスコネクタや第1及び第2オスコネクタが破損したりする可能性が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aは、本発明の一実施形態にかかるダブルメスコネクタの第1挿入部側から見た斜視図である。図1Bは、当該ダブルメスコネクタの第2挿入部側から見た斜視図である。図1Cは、当該ダブルメスコネクタの断面図である。
図2図2Aは、本発明の一実施形態にかかるダブルメスコネクタの第1挿入部に接続される第1オスコネクタの斜視図である。図2Bは、当該第1オスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。
図3図3Aは、本発明の一実施形態にかかるダブルメスコネクタの第2挿入部に接続される第2オスコネクタの斜視図である。図3Bは、当該第2オスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。
図4図4A図4Cは、本発明の一実施形態にかかるダブルメスコネクタを介して第1オスコネクタと第2オスコネクタとを接続する過程を順に示した斜視図である。
図5図5Aは、ISO80369−3として検討されているオスコネクタの斜視図である。図5Bは、当該オスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。
図6図6Aは、ISO80369−3として検討されているメスコネクタの斜視図である。図6Bは、当該メスコネクタの中心軸を含む面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の本発明のダブルメスコネクタにおいて、前記第2挿入部及び前記雄ネジは、硬質材料からなることが好ましい。これにより、第2挿入部と第2オスルアーとを、ISO80369−3のオスコネクタ901とメスコネクタ902との接続と同等の液密性及び接続強度で接続することができる。
【0014】
あるいは、本発明のダブルメスコネクタの全体がゴム弾性を有する軟質材料で構成されていてもよい。これにより、ダブルメスコネクタ全体を一体的に作成することが容易になる。
【0015】
前記第2挿入部の前記第2テーパ面と前記雄ネジとは、ISO80369−3に準拠していることが好ましい。これにより、本発明のダブルメスコネクタとISO80369−3に準拠したオスコネクタとを、ISO80369−3にしたがって接続することができる。
【0016】
前記ダブルメスコネクタは、全体が一部品として一体的に形成されていることが好ましい。これにより、ダブルメスコネクタの作成が容易になる。また、ダブルメスコネクタの強度や耐久性が向上する。
【0017】
前記第1挿入部と前記第2挿入部との間に、外方向に突出したフランジが形成されていてもよい。これにより、本発明のダブルメスコネクタと第1オスルアーを備えた第1オスコネクタ及び第2オスルアーを備えた第2オスコネクタとの接続作業及び分離作業が容易になる。
【0018】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。以下の各図では、実際の部材の寸法および各部材の寸法比率等が忠実に表されていない。
【0019】
<ダブルメスコネクタの構成>
図1A及び図1Bは、本発明の一実施形態のかかるダブルメスコネクタ1の斜視図である。図1Cは、ダブルメスコネクタ1の断面図である。図1Cにおいて、一点鎖線1aはダブルメスコネクタ1の中心軸である。
【0020】
ダブルメスコネクタ1は、一端に第1オスルアー60(後述する図2A参照)が挿入される円筒状の第1挿入部10を備え、他端に第2オスルアー70(後述する図3A参照)が挿入される円筒状の第2挿入部20を備える。ダブルメスコネクタ1は、両端がメスコネクタであるメス−メスコネクタである。
【0021】
第1挿入部10の内周面は、その先端に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面(第1テーパ面)12である。第1テーパ面12の形状(内径、テーパ角度など)は、制限はないが、例えば後述するオスルアー60(図2A参照)に適合する従来のメスコネクタと互換性を有することが好ましい。
【0022】
本実施形態では、第1挿入部10の外周面も、第1テーパ面12と略同一のテーパ角度を有するテーパ面である。但し、本発明では、第1挿入部10の外周面の形状は任意である。例えば、第1テーパ面12とテーパ角度が異なるテーパ面であってもよく、あるいは、外径が中心軸1a方向において一定であってもよい。また、中心軸1aに垂直な面に沿った外周面の断面形状は円形である必要はなく、例えば正多角形などの任意の形状であってもよい。更に、外周面に滑り防止のための凸部(点状突起、リブ状突起など)や凹部(点状凹部、溝など)などの凹凸形状が形成されていてもよい。
【0023】
第2挿入部20の内周面も、その先端に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面(第2テーパ面)22である。挿入部20の外周面には雄ネジ26が形成されている。テーパ面22の形状(内径、テーパ角度など)及び雄ネジ26の形状(径、ピッチなど)は、制限はないが、ISO80369−3のメスコネクタ(図6A図6B参照)に準拠していることが好ましい。本実施形態では、雄ネジ26は、挿入部20の外周面の周方向の全領域に形成されているが、図6Aの雄ネジ926と同様に挿入部20の外周面の周方向の一部のみに形成されていてもよい。このように、雄ネジ26が周方向に分断されていると、雄ネジ26の不連続部分を利用して雄ネジ26の清掃を容易に行うことができる。
【0024】
第1挿入部10と第2挿入部20との間に、半径方向に沿って外向きに突出したフランジ30が形成されている。フランジ30の外径は、第1挿入部10のフランジ30に隣り合う部分の外径より大きく、且つ、第2挿入部20の雄ネジ26の外径よりも大きい。フランジ30を把持することにより、後述するダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6及び第2オスコネクタ7との接続作業が容易になる。本実施形態では、フランジ30の外周面は円筒面である。但し、フランジ30を把持した時の滑りを防止するために、フランジ30の外周面が正多角柱面(例えば、正三角柱面、正四角柱面、正六角柱面など)であってもよく、あるいは、フランジ30の外周面に凸部(点状突起、リブ状突起など)や凹部(点状凹部、溝など)などの凹凸形状が形成されていてもよい。なお、フランジ30が省略され、第1挿入部10と第2挿入部20とが直接接続されていてもよい。
【0025】
流路9が、中心軸1aに沿ってダブルメスコネクタ1を貫通している。この結果、第1挿入部10と第2挿入部20とは、流路9を介して互いに連通している。
【0026】
第1挿入部10は、ゴム弾性を有する軟質材料(一般にエラストマーとも呼ばれる)からなる。本発明において「ゴム弾性有する軟質材料」とは、第1挿入部10に第1オスルアー60(後述する図2A参照)を挿入したときに、第1オスルアー60の形状に応じて第1挿入部10が周方向に弾性的に延伸し拡径することができる柔軟性を有する材料を意味する。このようなゴム弾性を有する軟質材料としては、制限はないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0027】
一方、第2挿入部20(雄ネジ26を含む)は、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなる。硬質材料としては、制限はないが、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の樹脂材料を用いることができる。
【0028】
ダブルメスコネクタ1の製造方法に制限はない。但し、二色成形法によりダブルメスコネクタ1全体を一部品として一体的に形成することが好ましい。この方法は、ダブルメスコネクタ1の製造容易性、強度、耐久性を向上させるのに有利である。もちろん、第1挿入部10とそれ以外の部分(即ち、第2挿入部20及びフランジ30)とを異なる材料を用いて別部品として作成した後、それらを接合してダブルメスコネクタ1を作成することもできる。別々に作成した部品を接合する方法としては、制限はないが、接着剤を用いる方法、融着する方法などを用いうる。
【0029】
<ダブルメスコネクタに接続される第1オスコネクタ>
ダブルメスコネクタ1に接続される第1オスコネクタの一例を説明する。
【0030】
図2Aは、ダブルメスコネクタ1の第1挿入部10に接続される第1オスコネクタ6の斜視図である。図2Bは、第1オスコネクタ6の中心軸を含む面に沿った断面図である。
【0031】
第1オスコネクタ6は、一端に、第1挿入部10に挿入される筒状の第1オスルアー60を備える。第1オスルアー60の外周面は、その先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面62である。
【0032】
第1オスコネクタ6の他端は、柔軟なチューブ69が接続される基端部68である。基端部68とチューブ69との接続方法は、制限はないが、接着剤を使用する方法、熱融着による方法など、任意の方法を使用しうる。
【0033】
第1オスコネクタ6の材料は、制限はないが、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなることが好ましい。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の樹脂材料を用いることができる。
【0034】
第1オスコネクタ6及びチューブ69は、経腸栄養療法に使用される栄養セットの一部を構成する。第1オスコネクタ6は、栄養セットの下流側端に設けられたオスコネクタである。チューブ69の第1オスコネクタ6とは反対側端(上流側端)には、例えば栄養剤等の液状物を貯留した容器又はシリンジなどが接続される。
【0035】
<ダブルメスコネクタに接続される第2オスコネクタ>
ダブルメスコネクタ1に接続される第2オスコネクタの一例を説明する。
【0036】
図3Aは、ダブルメスコネクタ1の第2挿入部20に接続される第2オスコネクタ7の斜視図である。図3Bは、第2オスコネクタ7の中心軸を含む面に沿った断面図である。
【0037】
第2オスコネクタ7は、一端に、第2挿入部20に挿入される筒状の第2オスルアー70を備える。第2オスルアー70の外周面は、その先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面72である。第2オスルアー70を取り囲むように、筒状部75が設けられている。筒状部75の内周面(第2オスルアー70に対向する面)には雌ネジ76が形成されている。テーパ面72の形状(外径、テーパ角度など)及び雌ネジ76の形状(径、ピッチなど)は、ISO80369−3のオスコネクタ(図5A図5B参照)に準拠している。
【0038】
第2オスコネクタ7の他端は、柔軟なチューブ79が接続される基端部78である。基端部78とチューブ79との接続方法は、制限はないが、接着剤を使用する方法、熱融着による方法など、任意の方法を使用しうる。
【0039】
第2オスコネクタ7の材料は、制限はないが、実質的に変形しないとみなしうる程度の高い剛性を有する硬質材料からなることが好ましい。例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の樹脂材料を用いることができる。
【0040】
第2オスコネクタ7及びチューブ79は、経腸栄養療法に従来から使用されているPEGカテーテルや経鼻カテーテルなどのカテーテルの一部を構成する。第2オスコネクタ7は、カテーテルの上流側端に設けられるオスコネクタである。チューブ79の第2オスコネクタ7とは反対側端(下流側端)は、患者に挿入される。
【0041】
<ダブルメスコネクタの使用方法>
図4Aに示すように、ダブルメスコネクタ1は、栄養セットの下流側端に設けられた第1オスコネクタ6とカテーテルの上流側端に設けられた第2オスコネクタ7とをダブルメスコネクタ1を介して接続するために使用される。以下に、ダブルメスコネクタ1の使用方法を説明する。
【0042】
最初に、ダブルメスコネクタ1と第2オスコネクタ7とを接続する。即ち、ダブルメスコネクタ1の第2挿入部20に第2オスコネクタ7の第2オスルアー70を挿入する。そして、第2オスコネクタ7に対してダブルメスコネクタ1を回転させて、ダブルメスコネクタ1の雄ネジ26と第2オスコネクタ7の雌ネジ76とを螺合させる。このとき、フランジ30にてダブルメスコネクタ1を把持すると、螺合操作を容易に行うことができる。第2挿入部20の第2テーパ面22(図1C参照)の形状は、第2オスルアー70のテーパ面72(図3B参照)の形状と一致するので、第2テーパ面22とテーパ面72とは密着する。従って、雄ネジ26と雌ネジ76とをしっかりと螺合させることにより、図4Bに示すように、ダブルメスコネクタ1と第2オスコネクタ7とは液密に接続される。
【0043】
次いで、ダブルメスコネクタ1の第1挿入部10に第1オスコネクタ6の第1オスルアー60を挿入する。第1挿入部10はゴム弾性を有しているので、第1オスルアー60が第1挿入部10に挿入されるにしたがって、第1挿入部10は第1オスルアー60のテーパ面62によって拡径され周方向に伸ばされる。図4Cに示すように、第1オスルアー60を第1挿入部10に十分に深く挿入すると、周方向に伸ばされた第1挿入部10の弾性力により、第1挿入部10は第1オスルアー60のテーパ面62に密着する。かくして、ダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6とは液密に接続される。
【0044】
上記とは逆に、最初にダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6とを接続し、次いで、ダブルメスコネクタ1と第2オスコネクタ7とを接続してもよい。但し、この接続方法は、雄ネジ26と雌ネジ76とを螺合させることにより、図4Cに示すようにダブルメスコネクタ1を介して第1オスコネクタ6と第2オスコネクタ7とを接続した状態においてチューブ69,79に捩れを生じさせる可能性がある。
【0045】
ダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6及び第2オスコネクタ7との分離は、上記とは逆の操作を行うことにより可能である。
【0046】
以上のように、本実施形態のダブルメスコネクタ1は、一端に、第1オスコネクタ6に対応した第1挿入部10を備え、他端に、ISO80369−3に準拠した第2オスコネクタ7に対応した第2挿入部20及び雄ネジ26を備えている。従って、ISO80369−3に準拠していない従来のオスコネクタ6を下流側端に備えた栄養セットと、ISO80369−3に準拠したオスコネクタ7を上流側端に備えたカテーテルとを、ダブルメスコネクタ1を介して接続することができる。
【0047】
ダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6とは、第1オスコネクタ6とそれに適合した従来のメスコネクタとの接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。
【0048】
ダブルメスコネクタ1と第2オスコネクタ7とは、ISO80369−3に準拠して接続されるから、ISO80369−3のオスコネクタ901(図5A図5B参照)とメスコネクタ902(図6A図6B参照)との接続と同等の液密性及び接続強度で接続される。
【0049】
第1挿入部10がゴム弾性を有する軟質材料からなるので、第1挿入部10に第1オスルアー60を挿入したときに、第1挿入部10は第1オスルアー60(特にテーパ面62)の形状に応じて適宜伸び変形する。これにより、第1挿入部10の第1オスルアー10に対する密着性が向上するので、第1挿入部10と第1オスルアーとの接続の液密性及び接続強度が向上する。また、第1オスルアー60に寸法誤差がある場合や、形状が異なる複数種類の第1オスルアー60を接続する場合であっても、第1挿入部10と第1オスルアー60とを所望する液密性及び接続強度で接続することができる。また、図4Cの状態において、第1オスコネクタ6と第2オスコネクタ7との間に意図しない捩り力が加わった場合には、ゴム弾性を有する第1挿入部10が捩れ変形してその捩り力を吸収する。従って、当該捩り力によって、雄ネジ26と雌ネジ76との螺合が緩む可能性が低減する。また、捩り力以外の外力(引っ張り力、曲げ力など)が加わった場合にもゴム弾性を有する第1挿入部10が適宜変形して当該外力を吸収する。従って、ダブルメスコネクタ1、第1オスコネクタ6、及び、第2オスコネクタ7が破損する可能性が低減する。
【0050】
一方、第2挿入部20は、実質的に変形しない硬質材料からなるので、ダブルメスコネクタ1とISO80369−3に準拠した第2オスコネクタ7とを所望する液密性及び接続強度で接続することができる。
【0051】
第1挿入部10と第2挿入部20との間にフランジ30が形成されているので、ダブルメスコネクタ1をフランジ30にて把持することができる。フランジ30は、ダブルメスコネクタ1と第1オスコネクタ6との接続とその解除、及び、ダブルメスコネクタ1と第2オスコネクタ7との接続とその解除を行う際に有用である。フランジ30は、第2挿入部20と同じ硬質材料からなることが、フランジ30を把持する観点から好ましい。
【0052】
上記の実施形態では、第1挿入部10はゴム弾性を有する軟質材料で構成され、第2挿入部20(雄ネジ26を含む)は硬質材料で構成されていたが、ダブルメスコネクタの全体をゴム弾性を有する軟質材料で作成することもできる。これにより、同一の材料を用いてダブルメスコネクタを一体的に作成することができるので、ダブルメスコネクタの製造が容易になる。
【0053】
上記の実施形態では、第1挿入部10と第2挿入部20とが一体的に形成されていたが、例えば、第1挿入部10と第2挿入部20とが別部品として形成され、これらが柔軟なチューブを介して接続されていてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、第1オスコネクタ6が、栄養セットの下流側端に設けられたオスコネクタである場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1オスコネクタ6がシリンジの外筒の口部であってもよい。この場合、第1オスルアー60はシリンジの口部に設けられたオスルアーである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の利用分野は、制限はないが、従来から使用されているオスコネクタと、ISO80369−3に準拠したオスコネクタとを接続するためのコネクタとして利用することができる。上記の実施形態では、本発明を経腸栄養療法の分野で利用する場合を説明したが、経腸栄養療法以外の医療分野はもちろん、医療以外の分野(例えば食品、化学等の分野)においても利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ダブルメスコネクタ
9 流路
10 第1挿入部
12 第1テーパ面
20 第2挿入部
22 第2テーパ面
26 雄ネジ
60 第1オスルアー
70 第2オスルアー
図1
図2
図3
図4
図5
図6