(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の半導体発光素子が行及び列をなして配列され、前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向が、隣り合う前記半導体発光素子の出射光における断面楕円形状の長軸方向と垂直になるように配置される励起光照射装置を有し、
前記励起光照射装置から出射された出射光が照射面内に照射される際に形成される照射スポットは、個々の前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の楕円境界が隣り合う楕円境界と所定の間隔を有して、又は両境界を接するように形成されることを特徴とする光源装置。
前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、前記半導体発光素子が配列される行方向に対してほぼ平行又は列方向に対してほぼ平行であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、前記半導体発光素子が配列される行方向及び列方向に対してほぼ45度傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光源装置。
前記蛍光板は、前記蛍光発光領域と前記拡散透過領域とが連続して環状に設けられるとともに、モータにより回転駆動されることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、投影装置10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0014】
投影装置10は、上面板11、正面板12、右側板15及び
図1に表れていない背面板、左側板、底面板によりなる筐体が略直方体形状に形成される。正面板12のやや左側に寄った位置には、上底側を後方に向けた平面視台形形状の凹部が形成されている。この凹部の後側の壁面には、投影レンズ230が設けられている。この投影レンズ230により、スクリーン方向に画像が投影される。
【0015】
正面板12及び右側板15には、筐体内部に配置された各種機器を冷却するための吸排気孔となる多数の長方形の孔により形成された吸排気孔2が設けられている。なお、図示しないが、背面板や左側板にもそれぞれ吸排気孔が設けられている。そして、上面板11には、スピーカ窓49やキー/インジケータ部37が設けられている。キー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切り替える投影スイッチキー、光源装置や表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする加熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0016】
背面板には、USB端子や画像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。さらに、図示しないが、投影装置10は、リモートコントローラからの制御信号を受信するIr受信部を備えている。
【0017】
次に、投影装置10の投影装置制御手段について
図2の機能ブロック図を用いて説明する。投影装置制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。
【0018】
この制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPU、各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0019】
そして、投影装置制御手段により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0020】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開して記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0021】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源装置60から出射された光線束を後述の光源側光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0022】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
【0023】
さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0024】
そして、筐体の上面板11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0025】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0026】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の第1の光源である赤色光源装置、第2の光源である青色光源装置及び緑色波長帯域光を生成するための励起光源である励起光照射装置の発光を個別に制御する。
【0027】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0028】
次に、この投影装置10の内部構造について述べる。
図3は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。投影装置10は、光源装置60と、この光源装置60からの光源光を表示素子51に導光する光源側光学系170と、表示素子51から出射された画像を図示しないスクリーンに投影する投影側光学系220と、を有する。
【0029】
投影装置10は、左側板14の近傍に電源回路ブロック241を有する。電源回路ブロック241は、電源基板242が配置される。電源基板242は、各種光源の点灯用電源、DMDや各種IC用の主電源、及び、モータ等の機構系を駆動させるための駆動電源等の各電源電圧を生成する電源回路を実装している。
【0030】
また、図示しないメイン基板は、上面板11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の各種信号が接続されており、電源回路ブロック241の近傍に配置されるCPU等の各種ICが実装されて投影装置10全体の制御を司る制御回路を実装している。
【0031】
投影装置10は、電源回路ブロック241の右側板側で投影装置10筐体の左右方向中央からやや左側に寄った位置に投影側光学系220が設けられている。そして、投影装置10は、投影側光学系220の右側板15方向に光源装置60を備えている。
【0032】
光源装置60は、緑色波長帯域光を出射する緑色光源装置80と、赤色波長帯域光を出射する第1の光源である赤色光源装置120と、青色波長帯域光を出射する第2の光源である青色光源装置300と、導光光学系140とにより形成されている。緑色光源装置80は、背面板13近傍に配置される励起光照射装置70と、この励起光照射装置70から出射される光線束の光軸上であって、正面板12の近傍に配置される蛍光板装置100とにより形成されている。
【0033】
第1の光源である赤色光源装置120は、蛍光板装置100から出射される光線束と平行となるように正面板12の近傍に配置される。また、第2の光源である青色光源装置300は、励起光照射装置70と蛍光板装置100との間に配置される。導光光学系140は、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光、青色波長帯域光の光軸がそれぞれ同一の光軸となるように変換して、導光部材であるライトトンネル175の入射口に集光させる。
【0034】
緑色光源装置80の励起光照射装置70は、背面板13と光軸が直交するよう配置される複数の青色レーザダイオード71と、各青色レーザダイオード71の前方に配置されるコリメータレンズ73と、半導体発光素子である青色レーザダイオード71からの出射光を集光する集光レンズ78,79と、青色レーザダイオード71と背面板13との間に配置されたヒートシンク81と、を備える。そして、ヒートシンク81の背面板13側には、冷却ファン85,86が配置されている。
【0035】
青色レーザダイオード71は、平板状のホルダ75により保持されている。コリメータレンズ73は、青色レーザダイオード71からの出射光について指向性を高めるように各々平行光に変換する。複数のコリメータレンズ73は、各レンズのレンズ中心をレーザダイオードの出射光軸から僅かにずらせて、各青色レーザダイオード71から出射される光線束の間隔を縮小して集光レンズ78に出射する。そして、集光レンズ78及び集光レンズ79、更に集光レンズ群111により、各レーザ光は集光されて蛍光板装置100の蛍光板101に照射される。
【0036】
緑色光源装置80における蛍光板装置100は、正面板12と平行となるように、つまり、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置された蛍光板101と、この蛍光板101を回転駆動するモータ110と、蛍光板101から背面板側に出射される光線束を集光する集光レンズ群111と、を備える。
【0037】
ここで、蛍光ホイールとされる蛍光板101は、
図4に示す通り、モータ110の回転軸112に、円盤状の金属製の基材102が設けられている。この基材102は、銀蒸着等によってミラー加工されることで光を反射する反射面が形成される。そして、基材102は、環状の凹部が形成され、透明樹脂バインダと混合されて設けられた緑色蛍光体の層よりなる蛍光発光領域103が環状に形成されている。
【0038】
そして、蛍光板101の蛍光発光領域103内に照射スポットSとして照射された励起光照射装置70からの出射光は、蛍光発光領域103の緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起する。緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接、励起光照射装置70側へ、あるいは、蛍光板101の反射面で反射した後に励起光照射装置70側へ出射される。
【0039】
また、蛍光体層の蛍光体に吸収されることなく、金属基材に照射された励起光は、反射面により反射されて再び蛍光体層に入射し、蛍光体を励起することとなる。よって、蛍光板101の凹部の表面を反射面とすることにより、青色レーザダイオード71から出射される励起光の利用効率を上げることができ、より明るく発光させることができる。
【0040】
なお、蛍光板101の反射面で緑色蛍光体層側に反射された励起光において蛍光体に吸収されることなく励起光照射装置70側に出射された励起光は、第一ダイクロイックミラー141を透過し、蛍光光は第一ダイクロイックミラー141により反射されるため、励起光が外部に出射されることはない。
【0041】
図3において、第2光源である青色光源装置300は、蛍光板装置100からの出射光の光軸と直交するように配置された青色光源301と、青色光源301からの出射光を集光する集光レンズ群305と、を備える。そして、この青色光源装置300は、赤色光源装置120からの出射光と光軸が交差するように配置されている。また、青色光源301は、青色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての青色発光ダイオードである。
【0042】
さらに、青色光源装置300は、青色光源301の右側板15側に配置されるヒートシンク311を備える。そして、ヒートシンク311と背面板13との間には、ヒートシンク311を冷却する冷却ファン315が配置されている。
【0043】
第1光源である赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。そして、この赤色光源装置120は、励起光照射装置70からの出射光及び蛍光板101から出射される緑色波長帯域光と光軸が平行となるように配置されている。
【0044】
また、赤色光源121は、赤色の波長帯域光を発する半導体発光素子としての赤色発光ダイオードである。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の正面板12側に配置されるヒートシンク131を備える。そして、ヒートシンク131の正面板12側には、ヒートシンク131を冷却する冷却ファン135が配置されている。
【0045】
そして、導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、第二ダイクロイックミラー148と、反射ミラー149からなる。第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光板101から出射される緑色波長帯域光の光軸と、青色光源装置300から出射される青色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に配置される。そして、第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色波長帯域光の光軸を90度変換する。
【0046】
また、第二ダイクロイックミラー148は、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光の光軸と、青色光源装置300から出射される青色波長帯域光の光軸と、が交差する位置に配置される。第二ダイクロイックミラー148は、青色及び緑色波長帯域光を透過し、赤色波長帯域光を反射させて赤色波長帯域光の光軸を90度変換する。そして、第二ダイクロイックミラー148を通過又は反射された各色波長帯域光は、反射ミラー149により、光軸を90度変換されて、集光レンズ173を介してライトトンネル175に入射される。
【0047】
光源側光学系170は、集光レンズ173,導光部材であるライトトンネル175,集光レンズ178,光軸変換ミラー181,集光レンズ183,照射ミラー185,コンデンサレンズ195が設けられている。なお、コンデンサレンズ195は、表示素子51から出射された光を集光して、可動レンズ群235や固定レンズ群225に入射させるので、投影側光学系220の構成要素の一つともされる。
【0048】
光源装置60から出射された光線束は、集光レンズ173により、ライトトンネル175の入射口に集光される。ライトトンネル175では、入射された光線束は均一な強度分布とされる。ライトトンネル175の出射口から出射した光線束は、集光レンズ178で集光された後、光軸変換ミラー181により、左側板14側に光軸を変換される。
【0049】
光軸変換ミラー181で反射した光線束は、集光レンズ183により集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、表示素子51は、背面板13側にヒートシンク59が設けられ、このヒートシンク59により表示素子51は冷却される。
【0050】
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影側光学系220を介してスクリーンに投影される。ここで、投影側光学系220は、コンデンサレンズ195と、可動レンズ群235と、固定レンズ群225と、投影レンズ230とにより構成されている。固定レンズ群225は固定鏡筒に内蔵される。可動レンズ群235は可動鏡筒に内蔵され、レンズモータにより移動可能に形成される。レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。従って、投影側光学系220の可動レンズ群235と固定レンズ群225からなるレンズ群は、可変焦点型レンズとされる。
【0051】
このように投影装置10を構成することで、蛍光板101を回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を出射すると、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光が導光光学系140を介して集光レンズ173及びライトトンネル175に順次入射され、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射されるため、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0052】
次に、
図5により、励起光照射装置70について説明する。励起光照射装置70には、コリメータレンズ73を保持するレンズ保持部材76が設けられている。レンズ保持部材76には、青色レーザダイオード71の出射方向側からレンズ押さえ板77が設けられ、コリメータレンズ73がレンズ押さえ板77により押さえられている。レンズ保持部材76の背面側には、青色レーザダイオード71を保持するホルダ75が接合されている。ホルダ75の背面側には、ヒートシンク81が接合されている。レンズ保持部材76、レンズ押さえ板77、ホルダ75、ヒートシンク81は、ボルトにより互いに固定されている。そして、ホルダ75から突出する平板状のベース部75aが投影装置10の底面板と固定される。
【0053】
そして、青色レーザダイオード71及びコリメータレンズ73は、行及び列をなして配列されている。本実施形態においては、5行8列の合計40個の青色レーザダイオード71及びコリメータレンズ73が設けられている。
【0054】
ここで、一般にレーザダイオードは、ダイオードの接合面に対する垂直方向と水平方向とで放射角が異なる。このため、
図6に示すように、レーザダイオード(青色レーザダイオード71)から出射される出射光の断面は楕円形状となることが知られている。そして、本実施形態においては、青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの長軸方向が、隣り合う青色レーザダイオード71の出射光における断面楕円形状Pの長軸方向と垂直となるように配置して、励起光照射装置70を形成した。
【0055】
具体的には、
図7(a)に示すように半導体発光素子である青色レーザダイオード71を配置した。ここで、
図7(a)は、励起光照射装置70を青色レーザダイオード71の出射方向側から見た模式図である。
図7(a)に示すように、例えば、上から2行目、左から7列目の青色レーザダイオード71であるLD
27の出射光における断面楕円形状P
27の長軸方向は、行方向及び列方向(換言すれば上下左右)に隣り合う青色レーザダイオード71であるLD
26,LD
28,LD
17,LD
37の断面楕円形状P
26,P
28,P
17,P
37の長軸方向に対して垂直とされている。
【0056】
そして、青色レーザダイオード71は、出射光における断面楕円形状Pの長軸方向が行又は列の方向に対して90度になるよう配置されている。例えば、LD
17においては、断面楕円形状P
17の長軸方向が行方向に対して90度になるよう配置され、LD
27においては、断面楕円形状P
27が列方向に対して90度になるよう配置される。即ち、青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの長軸方向は、青色レーザダイオード71が配列される行方向に対してほぼ平行又は列方向に対してほぼ平行である。
【0057】
そして、このように配置される励起光照射装置70から蛍光板101に励起光が照射されると、照射スポットSは、
図7(b)に示すように形成される。照射スポットSは、励起光照射装置70における青色レーザダイオード71の配列と同じ配列位置になるように、個々の青色レーザダイオード71からの出射光が蛍光発光領域103に照射され形成される。例えば、上から2行目、左から7列目の青色レーザダイオード71であるLD
27(
図7(a)参照)からの出射光は、照射スポットSのうち、上から2行目、左から7列目のS
27として同じ配列位置に照射される。
【0058】
すなわち、集光レンズ78により励起光照射装置70の全体像が縮小され、
図4(a)に示した照射スポットSに投影され、コリメータレンズ73により各青色レーザダイオード71からのレーザ光が平行な光線束とされることにより、各青色レーザダイオード71からの光が各々蛍光発光領域103に照射される。
【0059】
このようにして、各青色レーザダイオード71からの出射光は、互いに重ならないようにして照射される。換言すれば、青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの外周縁である楕円境界は、隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの楕円境界と所定の間隔を有している。具体的には、照射スポットSにおける隣り合う断面楕円形状Pの楕円境界同士の所定の間隔は、行方向についてはT
1とされ、列方向についてはT
2とされている。
【0060】
なお、コリメータレンズ73を調整することにより、各青色レーザダイオード71からの各出射光を完全な平行光の光束ではなく僅かに拡散する光束とする、又は、励起光照射装置70からの励起光を蛍光発光領域103に照射するに際して拡散板を励起光照射装置70と蛍光板101との間に配置して蛍光発光領域103に照射する励起光を均一化させるように各青色レーザダイオード71からの光を透過拡散させることにより、照射スポットSにおける隣り合う断面楕円形状Pの楕円境界同士の所定の間隔を0、すなわち、楕円境界同士が接するように形成することもできる。
【0061】
このようにして、隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pは、互いに重ならないようにして蛍光発光領域103に照射されるため、個々の青色レーザダイオード71からの出射光は互いに干渉することがなく、蛍光発光領域103に照射され、均一な光強度の緑色波長帯域光を蛍光発光領域103から発光させることができる。
【0062】
また、各青色レーザダイオード71からの出射光が平行に近い光線束であっても、僅かに光束が拡大する場合や、拡散板を介してレーザ光を照射した場合に干渉縞LIFが発生する場合がある。このような場合、
図8に示すように、例えば隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状P
37,P
38に対応する照射スポットSにおけるS
37,S
38の干渉縞LIFは、各干渉縞LIFの線分が重なる個所が少なく、各干渉縞LIFが交差する箇所が多くなる。
【0063】
一方、仮に青色レーザダイオード71からの出射光の断面楕円形状P
37,P
38の長軸方向が同じ向きである場合には、各干渉縞LIF同士の線分が重なる箇所が多く発生する。そして、隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光の断面楕円形状P
37,P
38の長軸方向がなす角度が垂直に近づくほど干渉縞LIFの線分が重なる箇所は減少し、各干渉縞LIFが交差する箇所が多くなる。
【0064】
互いの干渉縞LIFの線分が重なると、レーザ光に強弱が発生する。レーザ光に強弱が発生すると、レーザ光により励起される緑色波長帯域光の蛍光光にも強弱が発生してしまう。本実施形態においては、隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光の断面楕円形状P
37,P
38の長軸方向が互いに垂直とされているから、各干渉縞LIFの線分が重なる箇所を少なくすることができる。隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光の断面楕円形状P
37,P
38の長軸方向が平行であると、各干渉縞LIFの線分が重なると強調される。しかし、隣り合う青色レーザダイオード71からの出射光の断面楕円形状P
37,P
38の長軸方向が互いに垂直であると、各干渉縞LIFの線分が重なっても目立たなくなる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、
図9(a)、(b)及び
図10に本発明に係る第2の実施形態を示す。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と同じ部材等については同じ符号を用いて、その説明を省略する。本実施形態においては、第1の実施形態に換えて、
図9(a)に示すように、半導体発光素子である青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの長軸方向を、青色レーザダイオード71が励起光照射装置70に配列される行及び列の方向に対して45度となるように配置した。
【0066】
本実施形態においても、隣り合う青色レーザダイオード71の出射光における断面楕円形状Pの長軸方向は互いに垂直となるように配置されている。そして、
図9(b)に示すように、照射スポットSにおいては、青色レーザダイオード71からの出射光は重ならないように照射されているので、個々の青色レーザダイオード71からの出射光同士が干渉し合うことはない。このように、隣り合う青色レーザダイオード71の角度を変えて配置することで、蛍光発光領域103に当たるレーザ光同士が重なりにくくなり、蛍光体の発光飽和を防ぐことができる。
【0067】
また、
図10に示すように、前述と同様に、各青色レーザダイオード71からの出射光の蛍光発光領域103における照射面では、干渉縞LIFが夫々の青色レーザダイオード71の出射光に対して発生する場合がある。本実施形態においては、前述の実施形態よりも干渉縞LIFの線分が重なる部分が若干増える。しかしながら、前述の実施形態よりも、照射スポットSにおける各青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状Pの楕円境界を近づけることができるので、照射スポットSを小さく形成することができ、蛍光発光領域103の幅を細くすることができる。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について、
図11及び
図12に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材等については同じ符号を用いて、その説明は省略する。本実施形態においては、第1の実施形態の蛍光板101に換えて、
図12(a),(b)に示すように、拡散透過領域105を有する蛍光ホイールとしての蛍光板401とし、励起光照射装置70からの出射光が青色光源ともされる構成とした。なお、拡散透過領域105は、透明基材にサンドブラスト等により微細凹凸を形成した拡散板が基材102の円弧状の穴部に嵌め込まれて形成される。そして、蛍光発光領域103と拡散透過領域105は、環状に連続して設けられている。
【0069】
図11に示す通り、蛍光板装置100の蛍光板401の背面側には、拡散透過領域105を透過した青色波長帯域光を集光する集光レンズ115及びこの青色波長帯域光を左側板14側に反射する反射ミラー143を配置した。そして、この反射ミラー143により反射された青色波長帯域光は、集光レンズを介して、反射ミラー146により背面板13側に反射される。そして、反射ミラー146により反射された青色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー147により左側板14側に反射され、反射ミラー149により背面板13側に反射される。
【0070】
第1の光源である赤色光源装置120は、蛍光板401から出射される緑色波長帯域光と光軸が直交する位置であって、右側板15の近傍に配置される。赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光は、第一ダイクロイックミラー142及び第二ダイクロイックミラー147を透過して、反射ミラー149により背面板13側に反射される。
【0071】
励起光照射装置70からの出射光が励起光として蛍光板401の蛍光発光領域103に照射されることにより蛍光板401から出射される緑色波長帯域光は、集光レンズ群111を介して第一ダイクロイックミラー142により左側板14側に反射され、第二ダイクロイックミラー147を透過して、反射ミラー149により背面板13側に反射される。
【0072】
反射ミラー149により背面板13側に反射される赤色、緑色、青色の各波長帯域光は、同一の光軸とされて集光レンズ173を介してライトトンネル175に入射され、光源側光学系170により表示素子51に導光される。このようにして、蛍光板401の拡散透過領域105を有する蛍光板401においても、第1及び第2の実施形態と同様に、青色レーザダイオード71の出射光における断面楕円形状Pの長軸方向が、隣り合う断面楕円形状Pの長軸方向と垂直となるように配置することができる。従って、光源装置60は、励起光の干渉が無く均一な緑色波長帯域光とされ、また、拡散透過する青色波長帯域光も干渉を低減することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は以上の実施形態には限定されず、種々の態様で実施することができる。例えば、励起光照射装置70には、半導体発光素子として青色レーザダイオード71を用いたが、他の色を発する他の種類の半導体発光素子とすることもできる。
【0074】
以上、本発明の実施形態によれば、複数の半導体発光素子とされる青色レーザダイオード71が励起光照射装置70に行及び列をなして配列される。そして、青色レーザダイオード71は、その出射光における断面楕円形状Pの長軸方向が、隣り合う青色レーザダイオード71の出射光における断面楕円形状Pの長軸方向と垂直となるように配置される。これにより、励起光照射装置70は、青色レーザダイオード71からの出射光が重ならないので、レーザ光同士の干渉を低減させることができる。
【0075】
また、励起光照射装置70からの励起光は、蛍光板101の蛍光発光領域103に個々の青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状の楕円境界同士が所定の間隔を有して、又は、両境界を接するようにして照射され、照射スポットSが形成される。これにより、照射スポットSにおける個々のレーザ光の干渉縞LIF同士の重なりも低減されているので、均一な光強度のレーザ光により緑色蛍光体が励起されることとなる。従って、均一な光強度の緑色波長帯域の蛍光光が発せられるので、輝度ムラ、色ムラが低減された鮮明な画像光とされる光源光を得ることができる。
【0076】
また、青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、青色レーザダイオード71が配列される行方向又は列方向に対してほぼ平行となるように配置される。これにより、個々の青色レーザダイオード71が照射スポットSの照射面で発生する干渉縞LIF同士の重なりは最も低減されるとともに、励起光照射装置70に青色レーザダイオード71を配置しやすいものとすることができる。
【0077】
また、青色レーザダイオード71からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、青色レーザダイオード71が配列される行方向及び列方向に対してほぼ45度となるよう傾斜して配置される。これにより、個々の青色レーザダイオード71が照射スポットSの照射面で発生する干渉縞LIF同士の重なりが低減されるとともに、照射スポットSをより小さく形成することもできる。従って、蛍光板101の蛍光発光領域103を小さく形成することができるので、光源装置60を小型化することができる。
【0078】
また、励起光照射装置70は、半導体発光素子を青色レーザダイオード71として形成した。これにより、蛍光板101の蛍光発光領域103に照射する励起光について光強度の強いレーザダイオードを用いることができるので、明るい光源光を得ることができる。
【0079】
また、蛍光板401は、励起光照射装置70からの出射光を拡散透過させる拡散透過領域105を有する。これにより、励起光照射装置70の青色レーザダイオード71からの出射光を青色光源とすることもできる。
【0080】
また、蛍光板401は、蛍光発光領域103と、拡散透過領域105とが連続して環状に設けられるとともに、モータ110により回転駆動されるよう形成した。これにより、蛍光板401を蛍光ホイールとして形成し、蛍光発光領域103の緑色蛍光体層の焼き付きを防止できるとともに、温度消光を低減させることができる。
【0081】
また、蛍光板装置100から出射される蛍光光を緑色波長帯域光とし、第1の光源は赤色波長帯域光を発する赤色光源装置120とし、第2の光源は青色波長帯域光を発する青色光源装置300とした。これにより、三色光源を有する光源装置60について、均一な明るさの光源光を得ることができる。
【0082】
また、蛍光板装置100から出射される蛍光光を緑色波長帯域光とし、蛍光板装置100の拡散透過領域105を拡散透過される青色波長帯域光を青色光源とし、第1の光源は赤色波長帯域光を発する赤色光源装置120とした。これにより、別途青色光源装置を設ける必要がないので、三色光源を有する光源装置60を小型に形成することができる。
【0083】
また、投影装置10は、励起光照射装置70を備える光源装置60と、表示素子51と、投影側光学系220と、投影装置制御手段を備える。これにより、励起光照射装置70の青色レーザダイオード71によるレーザ光の干渉を低減してスクリーンに投影される投影光の輝度ムラ、色ムラを低減し、鮮明な画像を投影することができる投影装置10を提供することができる。
【0084】
また、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0085】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]複数の半導体発光素子が行及び列をなして配列され、前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向が、隣り合う前記半導体発光素子の出射光における断面楕円形状の長軸方向と垂直になるように配置される励起光照射装置を有することを特徴とする光源装置。
[2]前記励起光照射装置からの出射光が励起光とされ、該励起光が蛍光体を有する蛍光発光領域内に照射スポットを形成して照射されることにより、所定波長帯域の蛍光光が出射される蛍光板を有し、
前記照射スポットは、個々の前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の楕円境界が隣り合う楕円境界と所定の間隔を有して、又は、両境界を接するように形成されることを特徴とする前記[1]に記載の光源装置。
[3]前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、前記半導体発光素子が配列される行方向に対してほぼ平行又は列方向に対してほぼ平行であることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の光源装置。
[4]前記半導体発光素子からの出射光における断面楕円形状の長軸方向は、前記半導体発光素子が配列される行方向及び列方向に対してほぼ45度傾斜していることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の光源装置。
[5]前記半導体発光素子は、レーザダイオードであることを特徴とする前記[1]乃至前記[4]の何れか記載の光源装置。
[6]前記蛍光光及び前記励起光と異なる波長帯域光を発する第1の光源と、
前記蛍光光及び前記第1の光源の光と異なる波長帯域光を発する第2の光源と、
をさらに有することを特徴とする前記[2]乃至前記[5]の何れか記載の光源装置。
[7]前記蛍光板は、前記半導体発光素子からの出射光を拡散透過させる拡散透過領域を有することを特徴とする前記[2]乃至前記[5]の何れか記載の光源装置。
[8]前記蛍光板は、前記蛍光発光領域と前記拡散透過領域とが連続して環状に設けられるとともに、モータにより回転駆動されることを特徴とする前記[7]に記載の光源装置。
[9]前記蛍光光及び前記励起光と異なる波長帯域光を発する第1の光源をさらに有することを特徴とする前記[8]に記載の光源装置。
[10]前記[6]又は前記[9]に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子と、前記光源装置を制御する投影装置制御手段と、
を有することを特徴とする投影装置。