(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402911
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】2次元表示装置を備えた無線通信装置及び無線通信装置の運用周波数調節方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20181001BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20181001BHJP
【FI】
H04B1/16 C
G06F3/0488
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-202322(P2014-202322)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72900(P2016-72900A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(72)【発明者】
【氏名】難波 正憲
【審査官】
岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−345056(JP,A)
【文献】
特開2014−036374(JP,A)
【文献】
特開2012−065136(JP,A)
【文献】
特開平02−236611(JP,A)
【文献】
特開2012−224467(JP,A)
【文献】
特開平11−327433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/00−1/58
G06F 3/00−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元表示装置を備えた無線通信装置であって、
2次元表示装置の画面上の所定の操作領域に所望する周波数帯域の受信状況表示画像を表示し、
前記操作領域に対する所定操作が行われたときに、前記所定操作の位置に対応する周波数を運用周波数として決定し、
前記所定操作の継続時間が所定時間を超えるごとに、前記操作領域に表示されている前記受信状況表示画像を第1方向(横方向)に、所定のパターンに従って拡大し、
前記所定操作の位置が前記第1方向に移動したときは、前記受信状況表示画像の拡大を停止し、前記運用周波数を、所定操作の前記第1方向における移動量又は前記第1方向における移動後の位置に応じて変更する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記運用周波数が、前記第1方向における前記受信状況表示画像の中央に位置するように、前記受信状況表示画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記受信状況表示画像を前記第1方向に拡大する際、前記操作領域の前記第1方向の中央を基準として前記第1方向の両側に同じ割合で拡大された受信状況表示画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記受信状況表示画像を前記第1方向に拡大する際、前記第1方向における前記所定操作がおこなわれている位置を基準として前記第1方向の両側に、前記所定操作がおこなわれている位置から前記操作領域の両端までの距離に応じた割合で拡大された受信状況表示画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記所定操作が終了されたときに、前記操作領域に表示される受信状況表示画像の大きさを、前記所定操作が行われる前の状態に戻すことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記所定操作の位置が、前記第1方向に直交する第2方向(縦方向)に所定距離以上移動したときは、前記操作領域に表示される受信状況表示画像の大きさ及び運用周波数を、前記所定操作が行われる前の状態に戻すことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記2次元表示装置は、表面に透明なタッチパネルを備えた液晶表示装置であって、前記所定操作は、ユーザの指による前記タッチパネルへの接触操作であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記所定操作は、前記無線通信装置の外部制御端子に接続された入力装置の所定の部位を操作することであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
2次元表示装置を用いた無線通信装置の運用周波数調節方法であって、
2次元表示装置の画面上の所定の操作領域に所望する周波数帯域の受信状況表示画像を表示し、
前記操作領域に対する所定操作が行われたときに、前記所定操作の位置に対応する周波数を運用周波数として決定し、
前記所定操作の継続時間が所定時間を超えるごとに、前記操作領域に表示されている前記受信状況表示画像を第1方向(横方向)に、所定のパターンに従って拡大し、
前記所定操作の位置が前記第1方向に移動したときは、前記受信状況表示画像の拡大を停止し、前記運用周波数を、所定操作の前記第1方向における移動量又は前記第1方向における移動後の位置に応じて変更する、
ことを特徴とする無線通信装置の運用周波数調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置として液晶表示装置などの2次元表示装置を備えた電子機器、より具体的には、操作装置及び表示装置としてタッチパネル液晶表示装置を備えた無線通信装置、及び
無線通信装置の運用周波数調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アマチュア無線の分野において使用される無線通信装置においても、表示装置及び操作装置として、表面に透明なタッチパネルが設けられた液晶表示装置(以下、「タッチパネル液晶表示装置」とする)が用いられている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された無線通信装置では、運用周波数を含む所定の周波数帯域を液晶表示装置の画面上にスペクトラムスコープ画像として表示すると共に、タッチパネルの表面に指を接触させることによって運用周波数付近の周波数帯域を指定することが開示されている。しかしながら、運用周波数の微調整は、従来通り、別途設けられた調節つまみを操作することによって行われている。また、液晶表示装置の画面上に表示されたスペクトラムスコープ画像又はそのスケールの拡大又は縮小に関する言及はない。
【0003】
特許文献2は、コンピュータのグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)により様々な数値を入力する数値入力装置に関するものであり、表示装置の画面上に表示されたレバーをマウスで操作することによってスケールを拡大又は縮小することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−36374号公報
【特許文献2】特開平10−21034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された無線通信装置によれば、タッチパネル液晶表示装置の表面に指を接触させることによって運用周波数付近の周波数帯域を指定できるものの、運用周波数の微調整は操作つまみを回転させなければならず、運用周波数を決定するための操作がいわゆるツーアクションとなり、操作が煩雑である。また、この特許文献1に記載された無線通信装置の液晶表示装置の画面上に表示されたスペクトラムスコープ画像又はそのスケールを拡大又は縮小するために特許文献2に記載された技術を応用したとしても、マウスなどの操作装置を必要とし、さらに、運用周波数を決定するための操作がいわゆるスリーアクションとなり、操作がさらに煩雑になる。
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、表示装置として、タッチパネル液晶表示装置などの2次元表示装置を備えた無線通信装置において、その2次元表示装置の画面上でスペクトラムスコープ画像が表示された所定領域に対して、指の接触やカーソルの移動などの所定操作を行うだけで、簡単に運用周波数の粗・微調整を可能にすることを目的とする。また、本発明は、タッチパネルなどの2次元表示装置を用いた
無線通信装置の運用周波数調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る2次元表示装置を備えた無線通信装置は、
2次元表示装置の画面上の所定の操作領域に所望する周波数帯域の受信状況表示画像を表示し、
前記操作領域に対する所定操作が行われたときに、前記所定操作の位置に対応する周波数を運用周波数として決定し、
前記所定操作の継続時間が所定時間を超えるごとに、前記操作領域に表示されている前記受信状況表示画像を第1方向(横方向)に、所定のパターンに従って拡大し、
前記所定操作の位置が前記第1方向に移動したときは、前記受信状況表示画像の拡大を停止し、前記運用周波数を、所定操作の前記第1方向における移動量又は前記第1方向における移動後の位置に応じて変更する、
ことを特徴とする。
【0008】
前記運用周波数が、前記第1方向における前記受信状況表示画像の中央に位置するように、前記受信状況表示画像を表示するようにしてもよい。
【0009】
また、前記受信状況表示画像を前記第1方向に拡大する際、前記操作領域の前記第1方向の中央を基準として前記第1方向の両側に同じ割合で拡大された受信状況表示画像を表示するようにしてもよい。
【0010】
また、前記受信状況表示画像を前記第1方向に拡大する際、前記第1方向における前記所定操作がおこなわれている位置を基準として前記第1方向の両側に、前記所定操作がおこなわれている位置から前記操作領域の両端までの距離に応じた割合で拡大された受信状況表示画像を表示するようにしてもよい。
【0011】
前記所定操作が終了されたときに、前記操作領域に表示される受信状況表示画像の大きさを、前記所定操作が行われる前の状態に戻すようにしてもよい。
【0012】
また、前記所定操作の位置が、前記第1方向に直交する第2方向(縦方向)に所定距離以上移動したときは、前記操作領域に表示される受信状況表示画像の大きさ及び運用周波数を、前記所定操作が行われる前の状態に戻すようにしてもよい。
【0013】
前記2次元表示装置は、表面に透明なタッチパネルを備えた液晶表示装置であって、前記所定操作は、ユーザの指による前記タッチパネルへの接触操作であるようにしてもよい。
【0014】
または、前記所定操作は、前記無線通信装置の外部制御端子に接続された入力装置の所定の部位を操作することであるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る
無線通信装置の運用周波数調節方法は、
2次元表示装置の画面上の所定の操作領域に所望する
周波数帯域の受信状況表示画像を表示し、
前記操作領域に対する所定操作が行われたときに、前記所定操作の位置に対応する
周波数を運用周波数として決定し、
前記所定操作の継続時間が所定時間を超えるごとに、前記操作領域に表示されている前記
受信状況表示画像を第1方向(横方向)に、所定のパターンに従って拡大し、
前記所定操作の位置が前記第1方向に移動したときは、前記
受信状況表示画像の拡大を停止し、前記
運用周波数を、所定操作の前記第1方向における移動量又は前記第1方向における移動後の位置に応じて変更する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えばタッチパネル液晶表示装置などの2次元表示装置の画面の操作領域に対する指の接触や、操作領域にカーソルが表示されている状態でのマウスの左ボタンのクリック操作など、所定操作を所定時間以上継続するだけで、運用周波数の大まかな変更と、2次元表示装置の画面上の操作領域に表示されているスペクトラムスコープ画像を第1方向(横方向)に拡大することができる。さらに、その状態で指やカーソルを移動させるなど、所定操作の移動によって、運用周波数の微調整を行うことができる。また、運用周波数以外の物理量の調整についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る2次元表示装置を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図。
【
図2】上記無線通信装置のタッチパネル液晶表示装置の画面の一例を示す図。
【
図3】タッチパネル液晶表示装置の画面上に表示されたスペクトラムスコープ画像(固定モード)を示す図。
【
図4】(a)〜(e)は、タッチパネル液晶表示装置の画面に指を接触させて、運用周波数を変更するときのスペクトラムスコープ画像の変化を示す図。
【
図5】運用周波数の変更をキャンセルするときの操作を示す図。
【
図6】上記無線通信装置における運用周波数の粗・微調整動作を示すフローチャート。
【
図8】スペクトラムスコープ画像の表記モードを固定モードのまま、スペクトラムスコープ画像を拡大する変形例を示す図。
【
図9】タッチパネルを指で操作する代わりに、2次元表示装置の画面上に表示されたカーソルを操作する変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る2次元表示装置を備えた無線通信装置について説明する。
図1は、この実施形態に係る無線通信装置1の基本的な構成を示すブロック図である。
図1に示すように、無線通信装置1は、他の無線通信装置2との間で交信を行う通信部11と、所定の制御プログラムなどが記録された記憶部12と、通信部11における運用周波数の変更指示などを行う制御部13と、他の無線通信装置2との間で交信を行うためのマイクロホン14及びスピーカ15と、運用周波数などを表示する表示部16と、ユーザによって操作され、運用周波数の変更などを入力するための操作部17と、電源18などを備えている。また、必要に応じて、この無線通信装置1の外部制御端子にマウスなどの外部入力装置19が接続されていてもよい。
【0019】
この実施形態では、表示部16及び操作部17として、表面に透明なタッチパネルを備えた液晶表示装置(以下、「タッチパネル液晶表示装置」とする)を用いている。タッチパネルとしては、抵抗膜方式や静電容量方式など、様々な構造を採ることができ、特に限定されるものではなく、タッチパネル液晶表示装置の画面上に接触されたユーザの指の第1方向(横方向)における位置及び第2方向(縦方向)における位置、移動方向及び移動距離、接触時間などが特定できればよい。
【0020】
アマチュア無線の分野で使用される無線通信装置は、運用周波数を所定の周波数帯域で自由に設定することができる。そのため、この無線通信装置1は、表示部16の画面上に、所定の周波数帯域における受信状況を表すために、所定の周波数帯域における受信信号強度を示す、いわゆるスペクトラムスコープ表示や、受信信号強度を時系列に沿って表す、いわゆるウォーターフォール表示を行うことができる。スペクトラムスコープ表示などの受信状況表示画像は一定の面積を必要とするため、上記のようにタッチパネル液晶表示装置(2次元表示装置)が用いられる。
【0021】
図2は、タッチパネル液晶表示装置の画面の一例を示す。タッチパネル液晶表示装置の画面20の左辺21及び下辺22に沿って、複数の操作ボタンを模したアイコン(以下、「操作ボタン」とする)23が配列されている。ユーザが、これらの操作ボタン23の領域を指で触れることにより、その操作ボタン23に割り当てられた機能が選択される。タッチパネル液晶表示装置の画面20のうち、これらの操作ボタン23を除いた残りの矩形の表示領域24には、受信信号の強度などを表すアナログメータを模したアイコン(以下、「アナログメータ」とする)25、現在選択されている運用周波数の数値表示26、スペクトラムスコープ画像27などが表示されている。また、現在選択されている運用周波数は、スペクトラムスコープ画像27の中央に位置している。
【0022】
この無線通信装置1では、運用周波数の変更及び粗・微調整の切り換えを、タッチパネル液晶表示装置の画面20上で行うように構成されている。上記表示領域24にはアイコンは配置されていないので、この表示領域24に対向するタッチパネルのうち、スペクトラムスコープ画像27が表示されている所定領域を操作領域30として用いて、運用周波数の変更及び粗・微調整の切り換えを行う。タッチパネルでは、第1方向(横方向)及び第2方向(縦方向)におけるユーザの指が接触している位置の座標を検出することができる。
【0023】
スペクトラムスコープ画像27の表示方法としては、現在設定されている運用周波数にかかわらず、所定の周波数帯域(例えば11MHz〜15MHz)の信号強度をスキャンし、表示する固定モードと、現在設定されている運用周波数を画面の中央に表示し、その運用周波数を中心にして一定範囲の周波数帯域の信号強度をスキャンし、表示するセンターモードのいずれかを選択することができる。
図3は、固定モードにおける、運用周波数の変更を行う前、すなわち、ユーザがタッチパネルの表面に指を接触させる前の状態における、スペクトラムスコープ画像27を示す。スペクトラムスコープ画像27の目盛間隔(スパン)は任意に設定可能であり、
図3では、例えば11MHzから15MHzの周波数帯域が表示されている。また、現在設定されている運用周波数の位置にマーカー31が表示されている。なお、目盛間隔の変更に関しては、表示部16として機能する液晶表示装置の画面上で、スペクトラムスコープ画像27の目盛位置は固定されており、目盛の下に表示される数値が変更されると共に、スペクトラムスコープ画像27が、第1方向(横方向)に拡大又は縮小される。
【0024】
図6及び7は、この実施形態における運用周波数の粗・微調整動作を示すフローチャートである。スペクトラムスコープ画像27の表示モードが固定モードに設定されていると仮定して、
図4(a)は、
図3に示す状態から、ユーザが、運用周波数を変更したい周波数の付近に指を接触させた状態を示す。制御部13は、操作部17として機能するタッチパネルから、操作領域30に指が接触されたこと及びこの指の最初の接触位置を知ることができる。操作領域30に指が接触されると(#1)、制御部13は、運用周波数の変更を開始すると共に、後に運用周波数の変更がキャンセルされる場合もありうるので、現在設定されている運用周波数、スペクトラムスコープ画像27の表示モード、目盛間隔、表示周波数帯域など、現在の設定を保存する(#2)。次に、制御部13は、操作領域30上の指の位置に対応する周波数を特定し、通信部11に対して、運用周波数を、特定した周波数に変更するように指示する(#3)。それと並行して、スペクトラムスコープ画像27の表示モードが固定モードに設定されているときは、マーカー31を変更された運用周波数の位置に移動させる(#4)。このようにして、運用周波数が粗調整される。
【0025】
次に、制御部13は、タッチパネルの表面に最初に指が接触されてから所定時間(例えば1秒)以上接触され続けているか否かを判断する(#5)。所定時間以上連続してタッチパネルの表面に指が接触され続けているときは(#5でYES)、制御部13は、
図4(b)に示すように、スペクトラムスコープ画像27の表示モードをセンターモードに変更し(#6)、スペクトラムスコープ画像27を拡大して、その目盛間隔を所定のパターンに従って縮小する(#7)。一方、タッチパネルの表面への指の接触時間が所定時間未満であるときは(#5でNO)、ユーザが運用周波数の粗調整のみを行ったものとして、このフローを終了する。固定モードからセンターモードに変更する場合、変更された運用周波数がスペクトラムスコープ画像27の中央に位置するように、スペクトラムスコープ画像27を第1方向(横方向)に移動させる。なお、スペクトラムスコープ画像27の目盛間隔の縮小は、スペクトラムスコープ画像27を第1方向(横方向)に拡大することと、等価である。
図4(b)では、例えば14.1MHzを中心として±250kHzの周波数帯域が表示されている。センターモードでは、拡大されたスペクトラムスコープ画像27は、画面中央を基準として右側:左側=1:1となるように表示される。
【0026】
次に、制御部13は、タッチパネルから出力される信号に基づいて、タッチパネルの表面上で指の位置が移動したか否かを判断する(#8)。タッチパネルの表面上で指の位置が移動していないときは(#8でNO)、
図4(c)に示すように、上記所定時間経過するごとに、スペクトラムスコープ画像27を拡大して、その目盛間隔を上記所定のパターンに従って縮小する(#7、#9)。ここで、所定のパターンの一例として、所定時間経過することに、目盛間隔を±500kHz、±250kHz、±100kHz、±50kHz、±25kHz、±10kHzに縮小する。一方、タッチパネルの表面上で指の位置が移動しているときは(#8でYES)、ペクトラムスコープ画像27の拡大による目盛間隔の縮小を停止し(#10)、指の移動方向が第1方向(横方向)か否かを判断する(#11)。ここで、
図5に示すように、指の移動方向が第1方向でない場合、すなわち、第1方向に直交する第2方向(縦方向)の移動である場合(#11でNO)、制御部13は、さらにユーザがタッチパネル表面から指を離したか否かを判断し(#12)、指がタッチパネル表面から離されたときは(#12でYES)、ユーザが運用周波数の変更をキャンセルしたものと判断して、運用周波数、スペクトラムスコープ画像27の表示モード、目盛間隔、表示周波数帯域などを#2で保存した設定に戻して(#13)、終了する。スペクトラムスコープ画像27は、
図3に示す状態に戻る。
【0027】
一方、
図4(d)に示すように、指の移動方向が第1方向(横方向)の場合(#11でYES)、制御部13は、操作領域30上の指の移動量に応じた変更量で、通信部11に対して、運用周波数を変更するように指示する(#14)。そして、さらにユーザがタッチパネル表面から指を離したか否かを判断し(#15)、指がタッチパネル表面から離されたときは(#15でYES)、ユーザが所望する運用周波数に設定されたものと判断して、スペクトラムスコープ画像27の表示モード、目盛間隔、表示周波数帯域など、運用周波数以外の設定を、#2で保存した設定に戻して(#16)、終了する。スペクトラムスコープ画像27は、
図4(e)に示す状態になり、マーカー31が設定された運用周波数の位置に移動している。
【0028】
なお、スペクトラムスコープ画像27の表示モードが最初からセンターモードに設定されている場合は、ステップ#3で特定された周波数がスペクトラムスコープ画像27の中央に位置するように、スペクトラムスコープ画像27を第1方向に移動させる。また、ステップ#6はスキップされる。
【0029】
また、
図8に示すように、スペクトラムスコープ画像27の表示モードを固定モードに設定したまま、スペクトラムスコープ画像27の目盛間隔を縮小するようにしてもよい。その場合、制御部13は、操作領域30上の移動後の指の位置に対応する周波数を特定し、通信部11に対して、運用周波数を、特定した周波数に変更するように指示する。そして、ユーザがタッチパネルの表面に指を接触させている位置を基準として、その位置から第1方向の両側にスペクトラムスコープ画像27の表示領域の両端までの距離に応じた割合で画像を表示する。
図8では、例えばユーザの指は周波数14MHz付近を指しているので、拡大されたスペクトラムスコープ画像27は、指の位置を基準として右側:左側≒1:3となるように表示される。
【0030】
このように、この実施形態に係る無線通信装置1によれば、タッチパネル液晶表示装置の画面上の所定領域に表示されたスペクトラムスコープ画像27の、所望する周波数付近に指を接触させることによって、運用周波数を所望する周波数付近に粗調整することができ、さらに所定時間以上指の接触を継続させることにより、スペクトラムスコープ画像27が拡大表示される。そして、拡大されたスペクトラムスコープ画像27上で指を移動させることにより、運用周波数を所望する周波数に微調整することができる。
【0031】
なお、表示部(2次元表示装置)16としては、上記タッチパネル液晶表示装置に限定されるものではなく、表面に透明なタッチパネルを備えていない液晶表示装置や、プラズマディスプレイ装置、有機ELパネルなど、薄型の2次元表示装置であってもよい。その場合、操作部17としては、この無線通信装置1の外部制御端子に接続された、マウス、キーボード、ジョイスティックなどの外部入力装置19を使用する。
図9は、操作領域30に対応する位置にカーソルを表示した例を示す。例えば、ユーザによるマウスの左ボタンクリックなどの外部入力装置19の所定の部位を操作しつつ、表示部(2次元表示装置)16の画面上に表示されたカーソルを第1方向及び第2方向に移動させることにより、指による上記タッチパネル操作と同様に、カーソルの第1方向における位置及び第2方向における位置、移動方向及び移動距離を特定することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 無線通信装置
2 他の無線通信装置
11 通信部
13 制御部
16 表示部
17 操作部
19 外部入力装置
20 画面
24 表示領域
27 スペクトラムスコープ画像
30 操作領域
31 マーカー
32 カーソル