特許第6402981号(P6402981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402981
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】留め具
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/16 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   B65D63/16 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-160410(P2014-160410)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-37294(P2016-37294A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【審査官】 西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−244971(JP,A)
【文献】 特開平05−305961(JP,A)
【文献】 米国特許第04400855(US,A)
【文献】 実開昭60−096264(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D61/00−63/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束バンドが挿通される一対の枠部材と、
一対の前記枠部材の側面同士を連結し、前記枠部材を重ね合わせ可能とするとともに、前記結束バンドが挿通される一対のヒンジ部と、
前記枠部材の前記ヒンジ部が設けられている一辺に隣接する2つの辺に両端部分がそれぞれ固定され、前記両端部分に括れが形成されたバーと、
を備える留め具。
【請求項2】
前記枠部材の表面には、リブが形成されている、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
一対の前記枠部材は、同一寸法とされている、請求項1又は2に記載の留め具。
【請求項4】
前記バーには、前記ヒンジ部が設けられている一辺に向かって突出する突起が設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束バンドを固定する留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を結束バンド等で結束する場合に、結束バンドの両端を固定する留め具が用いられる。例えば、特許文献1には、枠部にヒンジを介して連結されたバーに結束バンドを係止した状態でバーを枠部側へ倒し、バーと枠部で結束バンドを挟んで固定する止め具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−26327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の止め具では、枠部に連結されたバーに結束バンドを係止するため、結束バンドを強く引っ張ると、ヒンジに回動方向と交差する方向、すなわちヒンジを捻る方向に力が作用し、ヒンジの強度が劣化する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、結束時にヒンジ部に捻る方向の力が作用しない留め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の留め具は、結束バンドが挿通される一対の枠部材と、一対の前記枠部材の側面同士を連結し、前記枠部材を重ね合わせ可能とするとともに、前記結束バンドが挿通される一対のヒンジ部と、前記枠部材の前記ヒンジ部が設けられている一辺に隣接する2つの辺に両端部分がそれぞれ固定され、前記両端部分に括れが形成されたバーと、を備える。
【0007】
上記構成によれば、一対の枠部材内及び一対のヒンジ部の間に結束バンドを挿通し、枠部材を重ね合わせることにより結束バンドを固定することができる。ヒンジ部の間に結束バンドを挿通するため、結束時に結束バンドを引っ張った場合であっても、ヒンジ部に捻る方向の力が作用することがない。
また、枠部材内にバーが設けられているため、枠部材に結束バンドを挿通した際に、バーに結束バンドを巻きつけることにより、より強固に結束バンドを固定することができる。
【0008】
請求項2に記載の留め具は、請求項1に記載の留め具において、前記枠部材の表面には、リブが形成されている。
【0009】
上記構成によれば、枠部材の表面にリブが形成されているため、枠部材内に結束バンドを挿通して枠部材を重ね合わせた際に、結束バンドがリブによって挟持される。したがって、リブにより結束バンドのずれを抑制することができ、結束バンドをより強固に固定することができる。
【0010】
請求項3に記載の留め具は、請求項1又は2に記載の留め具において、一対の前記枠部材は、同一寸法とされている。
【0012】
請求項4に記載の留め具は、請求項1〜のいずれか1項に記載の留め具において、前記バーには、前記ヒンジ部が設けられている一辺に向かって突出する突起が設けられている。
【0013】
上記構成によれば、バーにはさらに突起が設けられているため、バーに結束バンドを巻きつけて固定した際に、結束バンドが枠部材の一辺と突起との間に挟持される。したがって、突起により結束バンドのずれを抑制することができ、結束バンドをより強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、結束時にヒンジ部に捻る方向の力が作用しない留め具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は第1実施形態の留め具を示す平面図であり、(B)はそのA−A断面図である。
図2】(A)は図1の留め具に結束バンドの一端を取り付けた状態を示す断面図であり、(B)はその留め具を折り畳んで結束バンドの他端を取り付けた状態を示す断面図である。
図3】(A)は第2実施形態の留め具を示す平面図であり、(B)はそのB−B断面図である。
図4】(A)は図3の留め具に結束バンドの一端を取り付けた状態を示す断面図であり、(B)はその留め具を折り畳んで結束バンドの他端を取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る留め具について、図1図2を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態の留め具10は、一対の枠部材12、16と、一対の枠部材12、16を連結する一対のヒンジ部14とから構成されている。
【0018】
一対の枠部材12、16は、それぞれ後述する結束バンド50が挿通される挿通孔12A、16Aが形成された略矩形状の同一寸法の部材であり、ポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成る。また、枠部材16のヒンジ部14が設けられている一辺に隣接する2つの辺の側面には、それぞれ把手17が突出形成されている。
【0019】
ヒンジ部14は、一対の枠部材12、16の側面同士を連結しており、一対のヒンジ部14の間には、後述する結束バンド50が挿通される挿通孔18が設けられている。また、ヒンジ部14の中央部分には、窪み14Aが形成されている。
【0020】
ヒンジ部14は、窪み14A部分で曲げ剛性が低くなっており、窪み14Aを内側にしてヒンジ部14を折り曲げることにより、枠部材12、16が重ね合わせ可能とされている。なお、ヒンジ部14はポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成り、枠部材12、16と一体形成されている。
【0021】
次に、留め具10による結束バンド50の固定方法について説明する。結束バンド50は、ポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成る紐であり、段ボール箱等の荷物を結束する際に用いられる。
【0022】
結束バンド50の両端を固定する場合、図2(A)に示すように、まず、結束バンド50の一端部50Aを、図2(A)における上方から一方の枠部材12の挿通孔12Aに挿通する。
【0023】
その後、一端部50Aを図2(A)における下方から他方の枠部材16の挿通孔16Aに挿通し、上方からヒンジ部14の挿通孔18へ挿入する。そして、再び下方から枠部材12の挿通孔12Aに挿通する。
【0024】
留め具10の挿通孔12A、16A、18に結束バンド50の一端部50Aを挿通した後、ヒンジ部14を折り曲げて矢印E方向に留め具10を折り畳み、図2(B)に示すように、枠部材12、16同士を重ね合わせる。
【0025】
次に、結束バンド50の他端部50Bを、図2(B)における下方から枠部材12、16の挿通孔12A、16Aにそれぞれ挿通し、その後、枠部材12、16の間を通して上方から枠部材12の挿通孔12Aに挿通する。
【0026】
上述したように留め具10の挿通孔12A、16A、18に結束バンド50の一端部50A及び他端部50Bをそれぞれ挿通すると、図2(B)に示すように、一端部50A及び他端部50Bがそれぞれ枠部材16に巻き付けられ、枠部材12、16の間に挟持される。
【0027】
その状態で、一端部50A及び他端部50Bを引っ張ると、結束バンド50が図示しない荷物に巻き付くとともに、枠部材16が枠部材12に向かって引っ張られ、結束バンド50の両端が枠部材12、16で押圧されて固定される。
【0028】
なお、結束バンド50を解く際は、図1(A)に示す2個の把手17に指を引っ掛けて枠部材16を枠部材12から離間する方向(図2(B)における上方向)に引っ張ることにより、簡単に留め具10から結束バンド50を外すことができる。
【0029】
第1実施形態に係る留め具10によれば、結束バンド50を枠部材12、16の挿通孔12A、16A、及びヒンジ部14の挿通孔18に挿通し、枠部材12、16を重ね合わせることにより、結束バンド50の両端を固定することができる。
【0030】
したがって、容易に結束バンド50を固定することができるとともに、結束バンド50が枠部材12、16で挟持されて押圧されているため、結束バンド50の緩みを防止することができる。
【0031】
また、結束バンド50の一端部50Aは、枠部材16のヒンジ部14が設けられている一辺に巻き付けられてヒンジ部14の挿通孔18に挿通されており、他端部50Bは、枠部材16のヒンジ部14が設けられている一辺に対向する一辺に巻き付けられている。
【0032】
したがって、図2(B)における左右方向に結束バンド50の両端を引っ張った場合に、ヒンジ部14が折り曲がる方向に交差する方向、すなわちヒンジ部14を捻る方向(図2(B)における手前方向及び奥方向)の力がヒンジ部14に作用しない。そのため、ヒンジ部14を捻ることによるヒンジ部14の強度の劣化を抑制することができる。
【0033】
また、挿通孔12A、16A、18に挿通することのできる太さ、形状の結束バンド50であれば、様々な種類、材質の結束バンド50を留め具10によって固定することができる。
【0034】
なお、ヒンジ部14の中央部分に窪み14Aが設けられているため、ヒンジ部14を中央で折り曲げることができ、枠部材12、16をずれることなく重ね合わせることができる。
【0035】
また、枠部材16の把手17を引っ張ることにより、簡単に留め具10から結束バンド50を外すことができるため、結束バンド50を何度でも再利用することができる。なお、枠部材を図2(B)における上方向に引っ張ることができるのであれば、把手17はどのような形状であってもよく、どの位置に形成されていてもよい。
【0036】
また、留め具10が結束バンド50と同じポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成るため、廃棄する際に結束バンド50と留め具10とを分別する必要がなく、取り扱いが容易である。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る留め具について、図3図4を参照して説明する。
【0038】
図3に示すように、第2実施形態の留め具20は、第1実施形態の留め具10と同様に一対の枠部材22、26と、一対の枠部材22、26を連結する一対のヒンジ部24とから構成されている。
【0039】
一対の枠部材22、26は略矩形状の同一寸法の部材であり、ポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成る。また、一方の枠部材22には、結束バンド50が挿通される挿通孔22Aが形成されている。
【0040】
一方、他方の枠部材26には、ヒンジ部24が設けられている一辺に隣接する2つの辺を繋ぐようにバー30が設けられており、バー30によって区切られた2つの挿通孔26A、26Bが形成されている。
【0041】
また、バー30の中央部分には、枠部材26のヒンジ部24が設けられている一辺に向かって突出する突起30Aが設けられている。なお、枠部材26の2つの辺に接しているバー30の両端部分には、括れ30Bが形成されており、括れ30B部分でバー30の剛性が低くなっている。
【0042】
また、バー30と並列している枠部材22、26の4辺には、それぞれ表面及び裏面にリブ32が突出形成されている。
【0043】
ヒンジ部24は、第1実施形態のヒンジ部14と同様に、一対の枠部材22、26の側面同士を連結しており、一対のヒンジ部24の間には、結束バンド50が挿通される挿通孔28が設けられている。
【0044】
また、ヒンジ部24の中央部分には窪み24Aが形成されており、窪み24Aを内側にしてヒンジ部24を折り曲げることによって、枠部材22、26が重ね合わせ可能とされている。なお、ヒンジ部24はポリプロピレン(PP)等のプラスチックから成り、枠部材22、26と一体形成されている。
【0045】
次に、留め具20による結束バンド50の固定方法について説明する。
【0046】
結束バンド50の両端を固定する場合、図4(A)に示すように、まず、結束バンド50の一端部50Aを、図4(A)における上方から一方の枠部材22の挿通孔22Aに挿通する。
【0047】
その後、一端部50Aを図4(A)における下方から他方の枠部材26の挿通孔26Bに挿通し、上方から枠部材26の挿通孔26Aに挿通する。そして、下方からヒンジ部24の挿通孔28へ挿入する。
【0048】
留め具20の挿通孔22A、26A、26B、28に結束バンド50の一端部50Aを挿通した後、ヒンジ部24を折り曲げて矢印F方向に留め具20を折り畳み、図4(B)に示すように、枠部材22、26同士を重ね合わせる。
【0049】
次に、結束バンド50の他端部50Bを、図4(B)における下方から枠部材22、26の挿通孔22A、26Bにそれぞれ挿通し、その後、枠部材22、26の間を通して上方から枠部材22の挿通孔22Aに挿通する。
【0050】
上述したように留め具20の挿通孔22A、26A、26B、28に結束バンド50の一端部50A及び他端部50Bをそれぞれ挿通すると、図4(B)に示すように、一端部50Aがバー30に、他端部50Bが枠部材26の一辺にそれぞれ巻き付けられる。また、一端部50A及び他端部50Bは、枠部材22、26の間に挟持される。
【0051】
その状態で、一端部50A及び他端部50Bを引っ張ると、結束バンド50が図示しない荷物に巻き付くとともに、枠部材26が枠部材22に向かって引っ張られ、結束バンド50の両端が枠部材22、26で押圧されて固定される。
【0052】
また、バー30が図4(B)における左方向に、すなわち枠部材26のヒンジ部24が設けられている一辺に向かって引っ張られる。このとき、バー30は括れ30B部分で剛性が低くなっているため、ヒンジ部24が設けられている一辺に向かって撓み、バー30の突起30Aと枠部材26の一辺との間に結束バンド50の一端部50Aが挟持される。
【0053】
第2実施形態に係る留め具20によれば、枠部材22、26の表面及び裏面にリブ32が突出形成されている。したがって、枠部材22、26のリブ32同士の間に結束バンド50を挟持して固定することができるため、第1実施形態の留め具10と比べて、結束バンド50をより確実に固定することができる。
【0054】
また、バー30の突起30Aと枠部材26の一辺との間に結束バンド50の一端部50Aを挟持して固定することができるため、第1実施形態の留め具10と比べて、結束バンド50をより確実に固定することができる。
【0055】
また、結束バンド50の一端部50Aは、バー30に巻き付けられてヒンジ部24の挿通孔28に挿通されており、他端部50Bは、枠部材26のヒンジ部24が設けられている一辺に対向する一辺に巻き付けられている。
【0056】
したがって、図4(B)における左右方向に結束バンド50の両端を引っ張った場合に、ヒンジ部24が折り曲がる方向に交差する方向、すなわちヒンジ部24を捻る方向(図4(B)における手前方向及び奥方向)の力がヒンジ部24に作用しない。そのため、ヒンジ部24を捻ることによるヒンジ部24の強度の劣化を抑制することができる。
【0057】
なお、図4(A)に示すように、結束バンド50の一端部50Aのみが留め具20の挿通孔22A、26A、26B、28に挿通された状態であっても、結束バンド50を4箇所の挿通孔22A、26A、26B、28にそれぞれ挿通しているため、結束バンド50から留め具20が抜け落ちる虞がない。
【0058】
(他の実施形態)
なお、本発明について実施形態の数例を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0059】
例えば、第1実施形態、第2実施形態では、留め具10、20の枠部材12、16、22、26は略矩形状であったが、一方の枠部材12,22と他方の枠部材16、26が略同一寸法であれば、円形や楕円形であっても構わない。
【0060】
また、上述した結束バンド50の固定方法において、結束バンド50の他端部50Bを枠部材22、26の間を通して上方から枠部材22の挿通孔22Aに挿通して引っ張った後、再び下方から挿通孔22Aに挿通して他端部50Bの先端のみを枠部材22、26の間から出した状態にしておいてもよい。そうしておくことで、荷物の結束を解く際に他端部50Bの先端を引っ張るだけで、簡単に留め具20から結束バンド50を外すことができる。
【0061】
また、第2実施形態において、バー30は一端がヒンジによって枠部材26の一辺に連結され、他端が枠部材26の他辺に着脱可能に係合されていてもよい。そうすることで、バー30に結束バンド50を巻き付けることが容易となる。
【0062】
また、ヒンジ部14、24を中央部分で折り曲げることができるのであれば、ヒンジ部14、24に窪み14A、24Aが設けられていなくてもよい。なお、第1実施形態、第2実施形態は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0063】
10、20 留め具
12、16、22、26 枠部材
14、24 ヒンジ部
30 バー
30A 突起
32 リブ
50 結束バンド
図1
図2
図3
図4