特許第6403012号(P6403012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6403012-天井埋込型空気調和機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403012
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20181001BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   F24F1/00 401C
   F24F13/08 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-59707(P2015-59707)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-180513(P2016-180513A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直人
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−086504(JP,A)
【文献】 実開平06−069642(JP,U)
【文献】 実開平01−094855(JP,U)
【文献】 特開2000−081225(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01619452(EP,A1)
【文献】 実開昭63−066734(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/00−13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口が設けられ筐体の下面中央に配置された吸込グリルと、空気吹出口が設けられ前記吸込グリルの周囲に位置するように配置された化粧パネルとを有し、前記化粧パネルは、前記空気吹出口を囲む内枠部と外枠部を備えた天井埋込型空気調和機において、
前記外枠部の内壁に、前記空気吹出口の方向に先端が突出する形状のリブが、前記空気吹出口の空気流通方向に直交する方向に沿って設けられ
前記リブは、前記化粧パネルの前記外枠部の内壁の上端に前記外枠部と一体形成されていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記リブの前記先端と前記内枠部の内壁の上端との間の間隔が、前記内枠部の内壁の下端と前記外枠部の内壁の下端との間の間隔よりも短く設定されていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の天井に埋め込んで設置される天井埋込型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
天井埋込型空気調和機200は、一般的に、図2図5に示すように構成されている(例えば、特許文献1)。10は板金製の直方体形状の筐体であり、上面部が上板11で閉じられ左右前後が側板12で閉じられ下面部が開放されている。この筐体10は、内側に断熱材20が取り付けられ、側板12の外側に取り付けられたフック30が吊り金具によって天井梁等に吊り下げられる。この筐体10の上板11の内側にはモータ40が取り付けられ、このモータ40の出力軸41にターボファン50が結合している。60は上面部からみた形状が四角い筒形状の熱交換器、70はその熱交換器60で生じる結露水を受け止めるドレンパンである。80は化粧パネルであり、空気吹出口90が図2図3に示すように各辺に独立して合計で4個設けられている。100は吸込空気をターボファン50にガイドするベルマウス、110はフィルタ、120は空気吸込口130が設けられた吸込グリル、140は吹出空気の吹出方向を調整する風向調整板である。150は天井埋込型空気調和機200が取り付けられる天井板である。
【0003】
化粧パネル80の空気吹出口90は下面からみて長方形の形状であり、内側の長辺は吸込グリル120が取り付けられる側の内枠部81となり、外側の長辺は筐体10の側壁12に取り付けられる側の外枠部82となっている。
【0004】
そして、図5に示すように、内枠部81の空気吹出口90に面する内壁81aには下部が外側に張り出した湾曲面部81a1が形成されている。また、外枠部82の空気吹出口90に面する内壁82aの上部には垂直面部82a1が形成され、下部にはその垂直面部81a1に連続するように外側に曲がった突曲面部82a2が形成されている。
【0005】
この天井埋込型空気調和機200では、吸込グリル120の空気吸込口130からターボファン50によって吸い込まれた室内の空気が、熱交換器60の内側から外側に通過して冷媒と熱交換され、筐体10の側板12の内側の断熱材20の部分で90度下方向に進路を曲げられ、化粧パネル80の空気吹出口90から室内に吹き出される。このとき、風向調整板140の向きを調整することにより、空気の吹出方向を調整することができる。
【0006】
空気吹出口90では、化粧パネル80の内枠部81の湾曲面部81aによって吹出空気が外側方向に進路を曲げて吹き出される。また、この吹き出し時に外枠部82の突曲面部82bによってその吹出空気が外側方向にガイドされる。よって、空気吹出口90から吹き出される空気は、空気吸込口130と反対方向に吹き出され、吹き出された空気が空気吸込口100に還流するいわゆるショートサーキットの防止が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−194000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、化粧パネル80の内枠部81の湾曲面部81a1と外枠部82の垂直面部82a1や突曲面部82a2との間の間隔を大きくして空気吹出口90の断面積を大きくすると、通風抵抗が低下するので風量が増大する利点があるものの、風速が低下するので、内枠部81と外枠パネル82によって外側に風をガイドする効果が低下し、ショートサーキットの防止効果が不十分となっていた。
【0009】
本発明の目的は、空気吹出口における風量増大を実現でき且つ風速を向上させてショートサーキットの防止効果を大きくした天井埋込型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、空気吸込口が設けられ筐体の下面中央に配置された吸込グリルと、空気吹出口が設けられ前記吸込グリルの周囲に位置するように配置された化粧パネルとを有し、前記化粧パネルは、前記空気吹出口を囲む内枠部と外枠部を備えた天井埋込型空気調和機において、前記外枠部の内壁に、前記空気吹出口の方向に先端が突出する形状のリブが、前記空気吹出口の空気流通方向に直交する方向に沿って設けられ、前記リブは、前記化粧パネルの前記外枠部の内壁の上端に前記外枠部と一体形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、前記リブの前記先端と前記内枠部の内壁の上端との間の間隔が、前記内枠部の内壁の下端と前記外枠部の内壁の下端との間の間隔よりも短く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気吹出口の断面積を大きくして風量増大を図ったときでも、化粧パネルの外枠部の内壁に設けられたリブが、空気吹出口の絞りとして機能するので、当該絞りの部分の風速を高速化できる。特に本発明ではリブが、化粧パネルの空気吹出口の一部を形成する外枠部の内壁に設けられるでの、吹出空気の風速増大の効果が大きくなる。これにより、空気吹出口から吹き出される空気が吸込グリルから離れる方向に吹き出され、ショートサーキットの発生が効果的に防止される。また、このリブを化粧パネルに一体的に形成することにより、リブの位置ずれが生じることはなく、その形成が容易であり、化粧パネルの剛性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の天井埋込型空気調和機の空気吹出口付近の部分拡大図である。
図2】従来の天井埋込型空気調和機の斜視図である。
図3】従来の天井埋込型空気調和機の下面図である。
図4】従来の天井埋込型空気調和機の断面部図である。
図5】従来の天井埋込型空気調和機の空気吹出口付近の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に本発明の実施例の天井埋込型空気調和機の空気吹出口付近の部分拡大図を示す。本実施例が図2図5で説明した従来例と異なるところは、空気吹出口90の周囲の一部を構成する化粧パネル80の外枠部82の内壁82aの上部の垂直面部82a1の上端に、空気吹出口90の方向に先端が突出する形状のリブ82a3が、空気吹出口90を通過する吹出空気の流通方向に直交する方向に沿って、一方の端から他方の端に亘って、一体的に形成されている点である。
【0016】
そして、そのリブ82a3の先端と内枠部81の内壁81aの上端81a3との間の距離Aが、外枠パネル82の内壁82aの突曲面部82a2と内枠部81の内壁81aの下端81a2との間の距離Bに対して、A<Bとなるように、そのリブ82a3の垂直面部82a1からの突出長さが、例えば5mmに設定されている。
【0017】
このようにリブ82a3を設けてA<Bとなるように設定すれば、そのリブ82a3が空気吹出口90の絞りの役目を果たして、筐体10の側板12の内側の断熱材20を伝わって空気吹出口90の方向に流れる空気が、リブ82a3の部分で内側に寄せられる。
【0018】
これにより、空気吹出口90の断面積を大きくして風量増大を図ったときでも、外枠部82の垂直面部82a1や突曲面部82a2に沿って流れる空気の流速が、内枠部81の湾曲面部81a1に沿って流れる空気流の流速よりも高くなり、内枠部81の側の空気の流れがこの外枠部82の側の流れによるコアンダー効果によって引かれるので、空気吹出口90から吹き出される空気が空気吸込口130から遠ざかる方向に流れる。
【0019】
よって、その空気吸込口130に還流する空気が無くなり、ショートサーキットの発生を効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0020】
10:筐体、11:上板、12:側板
20:断熱材
30:フック
40:モータ、41:出力軸
50:ターボファン
60:熱交換器
70:ドレンパン
80:化粧パネル、81:内枠部、81a:内壁、81a1:湾曲面部、81a2:下端、81a3:上端、82:外枠部、82a:内壁、82a1:垂直面部、82a2:突曲面部、82a3:リブ
90:空気吹出口
100:ベルマウス
110:フィルタ
120:吸込グリル
130:空気吸込口
140:風向調整板
150:天井板
図1
図2
図3
図4
図5