特許第6403015号(P6403015)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403015
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】研磨装置および半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/304 622H
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-144298(P2015-144298)
(22)【出願日】2015年7月21日
(65)【公開番号】特開2017-28068(P2017-28068A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】317006041
【氏名又は名称】東芝メモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓行
(72)【発明者】
【氏名】足立 将芳
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−333714(JP,A)
【文献】 特開2001−358102(JP,A)
【文献】 特開2015−123532(JP,A)
【文献】 特開2008−302464(JP,A)
【文献】 特開2011−083836(JP,A)
【文献】 特開平09−181154(JP,A)
【文献】 特開2007−234940(JP,A)
【文献】 特開2010−010432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1研磨部と、
半導体基板の装着面を有し、前記装着面に装着された前記半導体基板を前記第1研磨部に押し付けて擦る第2研磨部と、
前記第2研磨部に設けられた支持部と、前記支持部から前記第1研磨部側に突出し、前記装着面の周辺において周方向に並んで前記支持部に支持され、前記半導体基板の径方向に可動である複数の凸部とを有する環状部と、を備え
前記環状部は、前記径方向に前記複数の凸部を移動させる第1移動部を備え、
前記第1移動部は、前記第1研磨部に各凸部が接触した状態において、前記第2研磨部の回転に応じて各凸部を移動させる研磨装置。
【請求項2】
前記第1移動部は、前記半導体基板を擦るときと同方向に前記第2研磨部が回転した場合に、径方向内方に前記複数の凸部を移動させ、前記半導体基板を擦るときと逆方向に前記第2研磨部が回転した場合に、径方向外方に各凸部を移動させる請求項に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記第2研磨部に対する前記半導体基板の着脱をガイドするガイド部を有し、前記ガイド部に前記複数の凸部を接触させた状態で、前記第2研磨部に対して前記半導体基板を着脱する着脱部を備え、
前記ガイド部は、前記周方向に回転可能であり、
前記第1移動部は、前記ガイド部に各凸部が接触した状態において、前記ガイド部の回転に応じて各凸部を移動させる請求項に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記第1移動部は、前記半導体基板を擦るときの前記第2研磨部の回転方向と逆方向に前記ガイド部が回転した場合に、径方向内方に各凸部を移動させ、前記半導体基板を擦るときの前記第2研磨部の回転方向と同方向に前記ガイド部が回転した場合に、径方向外方に各凸部を移動させる請求項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記第1移動部は、
前記複数の凸部に面するように前記支持部に設けられ、径方向外方に向かうにしたがって前記半導体基板を擦るときの前記第2研磨部の回転方向と同方向に傾いた複数のスリットと、
各スリットを通して前記支持部の内部に挿入され、各スリットに沿って摺動自在に前記支持部に支持された複数のピンと、を備える請求項のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記ピンは、前記支持部の内部において前記凸部の落下を防止する第1ストッパを備え、
前記支持部は、前記支持部の内部において前記ピンの上端部に面し、前記ピンの上端部を当接させることで前記凸部の上昇を規制する第2ストッパを備え、
前記ピンの上端部および前記第2ストッパは、弾性を有する請求項に記載の研磨装置。
【請求項7】
第1研磨部と、
半導体基板の装着面を有し、前記装着面に装着された前記半導体基板を前記第1研磨部に押し付けて擦る第2研磨部と、
前記第2研磨部に設けられた支持部と、前記支持部から前記第1研磨部側に突出し、前記装着面の周辺において周方向に並んで前記支持部に支持され、前記半導体基板の径方向に可動である複数の凸部とを有する環状部と、を備え、
前記環状部は、前記径方向に前記複数の凸部を移動させる第2移動部を備え、
前記第2移動部は、前記第1研磨部に前記第2研磨部が押し付けられるときに径方向内方に各凸部を移動させ、前記第1研磨部から前記第2研磨部が離れるときに径方向外方に各凸部を移動させる研磨装置。
【請求項8】
前記第2移動部は、
前記複数の凸部を前記径方向外方に押圧する押圧部材と、
前記周方向において各凸部を貫通し、前記第1研磨部に前記第2研磨部が押し付けられるときに引っ張られて各凸部を締め付けるワイヤと、を備える請求項に記載の研磨装置。
【請求項9】
半導体基板を第1研磨部に押し付けて擦る第2研磨部の装着面に前記半導体基板を装着し、
前記第2研磨部に設けられた支持部から前記第1研磨部側に突出し、前記装着面の周辺において周方向に並んで前記支持部に支持された環状部の複数の凸部を、前記半導体基板の径方向内方に移動させ、
前記第2研磨部で、前記第1研磨部に前記環状部を押し付けながら前記半導体基板を研磨し、
前記環状部は、前記径方向に前記複数の凸部を移動させる第1移動部を備え、
前記第1移動部は、前記第1研磨部に各凸部が接触した状態において、前記第2研磨部の回転に応じて各凸部を移動させる半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明による実施形態は、研磨装置および半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、ウェハの表面を平坦化するために、研磨装置を用いたCMP(Chemical Mechanical Polishing)を実施する。CMPにおいて、研磨装置は、研磨ヘッドで研磨パッドにウェハを押し付けて研磨する。研磨ヘッドに対するウェハのずれの抑止とウェハの飛び出し防止のために、研磨装置は、ウェハを囲むリテーナリングを備える。
【0003】
しかしながら、従来の研磨装置では、リテーナリングとウェハとの間に径方向の隙間があることで、この隙間において、研磨パッドのリバウンド(盛り上がり)が発生していた。リバウンドが発生することで、ウェハの外周縁部に過研磨が生じてしまっていた。
【0004】
また、CMPの際には、研磨パッドと研磨ヘッドとを同じ方向に回転させるところ、従来は、研磨パッドの回転方向の下流側にウェハが寄った状態で研磨が進行していた。これにより、ウェハの周方向における研磨量のばらつきが大きくなってしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−302464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体基板の研磨量の均一性を向上させることができる研磨装置および半導体製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態による研磨装置は、第1研磨部と、第2研磨部と、環状部とを備える。第2研磨部は、半導体基板の装着面を有し、装着面に装着された半導体基板を第1研磨部に押し付けて擦る。環状部は、第2研磨部に設けられた支持部と、支持部から第1研磨部側に突出し、装着面の周辺において周方向に並んで支持部に支持され、半導体基板の径方向に可動である複数の凸部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態を示す研磨装置の断面図である。
図2】第1の実施形態の研磨装置を示す図1のII−II断面図である。
図3】第1の実施形態を示す半導体製造方法のフローチャートである。
図4図4Aは、第1の実施形態の半導体製造方法を示す断面図であり、図4Bは、図4Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。
図5図5Aは、第1の実施形態の半導体製造方法を示す断面図であり、図5Bは、図5Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。
図6】第1の実施形態の半導体製造方法を示す図5のVI−VI断面図である。
図7図7Aは、第1の実施形態の半導体製造方法による研磨量のグラフであり、図7Bは、比較例の半導体製造方法による研磨量のグラフである。
図8】第1の実施形態の第1の変形例を示す研磨装置の断面図である。
図9】第1の実施形態の第1の変形例を示す半導体製造方法のフローチャートである。
図10図10Aは、第1の実施形態の第1の変形例の半導体製造方法を示す断面図であり、図10Bは、図10Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。
図11図11Aは、第1の実施形態の第2の変形例において、研磨パッドから研磨ヘッドが離間した状態の研磨装置の断面図であり、図11Bは、研磨パッドに研磨ヘッドが押し付けられた状態の研磨装置の断面図である。
図12】第2の実施形態を示す研磨装置の斜視図である。
図13】第2の実施形態の研磨装置を示す図12のXIII−XIII断面図である。
図14】第2の実施形態を示す研磨装置の断面図である。
図15】第2の実施形態を示す半導体製造方法の斜視図である。
図16】第2の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。
図17】第3の実施形態を示す研磨装置の断面図である。
図18】第3の実施形態の研磨装置を示す図17のXVIII−XVIII断面図である。
図19】第3の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。
図20】第3の実施形態の半導体製造方法を示す図17のXX−XX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態として、研磨ヘッドの回転に応じてリテーナリングの内径を変化させる研磨装置の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態を示す研磨装置1の断面図である。図1に示すように、研磨装置1は、第1研磨部の一例としての研磨パッド2と、第2研磨部の一例としての研磨ヘッド3と、環状部の一例としてのリテーナリング4とを備える。また、研磨装置1は、研磨ヘッド3の駆動装置30と、研磨テーブル5と、研磨テーブル5の駆動装置50と、制御部100とを備える。また、研磨装置1は、レギュレータ6と、エアライン7と、研磨液供給ノズル8とを備える。研磨ヘッド3の駆動装置30は、モータやタイミングベルトなどの研磨ヘッド3の回転装置と、モータなどの研磨ヘッド3の昇降装置とを備える。研磨テーブル5の駆動装置50は、モータやタイミングベルトなどの研磨テーブル5の回転装置を備える。制御部100は、駆動装置30、50を含む研磨装置1の各構成部の動作を制御する。
【0011】
(研磨パッド2)
研磨パッド2は、例えば、サブパッド上に研磨層を備える二層パッドである。研磨パッド2は、単層パッドであってもよい。
【0012】
(研磨ヘッド3)
研磨ヘッド3は、ホルダ31と、ヘッド軸32と、チャッキングプレート33と、第1圧力室34と、第2圧力室35とを備える。
【0013】
ホルダ31は、水平な中空円板状に形成されている。ホルダ31は、金属やセラミックスなどの強度および剛性に優れた材料で形成されている。
【0014】
ヘッド軸32は、ホルダ31の中央部から上方D11に延びる円筒形状に形成されている。ヘッド軸32の内部には、エアライン7が内蔵されており、このエアライン7は、レギュレータ6に接続されている。ヘッド軸32は、研磨ヘッド3の駆動装置30に接続されている。ヘッド軸32は、駆動装置30から回転力を付与されることで、ヘッド軸32を中心に研磨ヘッド3を回転させる。また、ヘッド軸32は、駆動装置30から軸方向D1への並進力を付与されることで、研磨ヘッド3を昇降させる。なお、研磨パッド2の直上の位置に対して研磨ヘッド3が水平方向から進入および退避できるように、駆動装置30は、ヘッド軸32に水平方向への並進力を付与してもよい。
【0015】
チャッキングプレート33は、ホルダ31の中央部底面に配置されている。チャッキングプレート33は、水平な中空円板状に形成されている。チャッキングプレート33は、その上壁部に形成された貫通孔33aを通してエアライン7に連通されている。チャッキングプレート33は、その底壁部に形成された貫通孔33bを通して第1圧力室34または外部に連通されている。金属汚染を抑制する観点や、研磨の終点検出感度を確保する観点から、チャッキングプレート33は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素系樹脂またはセラミックスなどの導電性や磁性を有しない材料で形成することが好ましい。なお、チャッキングプレート33を金属材料で形成してもよい。チャッキングプレート33は、レギュレータ6の吸気動作にともなって半導体基板10(ウェハ)を吸引する。チャッキングプレート33は、レギュレータ6の排気動作にともなって第1圧力室34の内部にエアを供給する。
【0016】
第1圧力室34は、チャッキングプレート33の底面に配置されている。第1圧力室34は、径方向D2において複数(図1において4つ)の分室34aに分割されており、分室34a毎にチャッキングプレート33に連通されている。各分室34aは、チャッキングプレート33を経由してレギュレータ6からエアが供給されることで半導体基板10に研磨圧力(研磨荷重)を付与する。半導体基板10に均一な研磨圧力を付与するために、第1圧力室34は、弾性膜で形成されている。例えば、第1圧力室34は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴムまたはシリコンゴムなどの強度および耐久性に優れたゴム材によって形成することが好ましい。第1圧力室34は、デュロ硬度が20〜60のゴム材で形成することがより好ましい。第1圧力室34は、分室34a毎に独立した研磨圧力の制御が可能であってもよい。分室34a毎に独立して研磨圧力を制御することで、径方向D2の研磨量の調整が可能となる。
【0017】
なお、第1圧力室34の底面には、チャッキングプレート33によって吸引された半導体基板10が吸着される。すなわち、第1圧力室34の底面(以下、装着面34bともいう)には、半導体基板10が装着される。
【0018】
第2圧力室35は、ホルダ31の周辺部底面に配置されている。第2圧力室35は、ホルダ31を介してエアライン7に連通されている。第2圧力室35は、第1圧力室34と同じ材料で形成してもよい。第2圧力室35は、レギュレータ6からエアが供給されることでリテーナリング4に圧力を付与する。
【0019】
以上の構成を有する研磨ヘッド3によれば、装着面34bに装着された半導体基板10を、研磨パッド2に押し付けて擦ることができる。
【0020】
(リテーナリング4)
リテーナリング4は、支持部40と、凸部の一例としての複数のブロック41と、第1移動部42とを備える。
【0021】
図1に示すように、支持部40は、研磨ヘッド3に設けられている。具体的には、支持部40は、第2圧力室35の底面に固定されている。支持部40は、研磨ヘッド3の回転軸方向D1のうち上方D11において各ブロック41に面するように円環状に形成されている。
【0022】
図2は、第1の実施形態の研磨装置を示す図1のII−II断面図である。図1に示すように、各ブロック41は、支持部40から研磨パッド2側に突出している。また、図2に示すように、各ブロック41は、装着面34bの周辺において周方向D3に並んでいる。複数のブロック41は、平面視において円弧状を呈する。各ブロック41は、半導体基板10の外周面に沿った側面41aすなわち内周面を有する。各ブロック41は、第1移動部42によって径方向D2に移動可能である。各ブロック41は、例えば、樹脂材料によって形成してもよい。
【0023】
第1移動部42は、複数のスリット422と複数のピン421とを備える。
【0024】
複数のスリット422は、上方D11において各ブロック41にそれぞれ面するように支持部40の底壁に設けられている。図2に示すように、各スリット422は、径方向外方D22に向かうにしたがって半導体基板10を研磨するときの研磨ヘッド3の回転方向(以下、研磨方向ともいう)D31と同方向D31(図2の右回り)に傾いている。
【0025】
支持部40の内部は、スリット422に連通するように中空に形成されている。各ピン421は、各ブロック41から上方D11に突出し、各ブロック41に面するスリット422を通して支持部40の内部に挿入されている。各ピン421は、支持部40の内部においてブロック41の落下を防止する第1ストッパ424を備える。第1ストッパ424は、例えば、スリット422より幅が大きい円板状に形成されていてもよい。以上のようにして、各ピン421は、各スリット422に沿って摺動自在に支持部40に支持されている。
【0026】
第1移動部42は、研磨パッド2に各ブロック41が接触した状態において、研磨ヘッド3の回転に応じて各ブロック41を移動させる。具体的には、第1移動部42は、研磨方向D31と同方向に研磨ヘッド3が回転した場合に、径方向内方D21に各ブロック41を移動させる。径方向内方D21への各ブロック41の移動は、周方向D3への各ブロック41の移動をともなってよい。また、第1移動部42は、研磨方向と逆方向に研磨ヘッド3が回転した場合に、径方向外方D22に各ブロック41を移動させる。径方向外方D22への各ブロック41の移動は、周方向D3への各ブロック41の移動をともなってよい。研磨装置1のより具体的な動作例については、後述の半導体製造方法の実施形態に説明を譲る。
【0027】
第1の実施形態の研磨装置1によれば、第1移動部42によって各ブロック41を径方向内方D21に移動させることで、リテーナリング4の内径を縮小させることができる。リテーナリング4の内径を縮小させることで、半導体基板10とリテーナリング4との間隙を殆ど無くすことができる。これにより、研磨パッド2のリバウンドを抑制でき、研磨量の均一性を向上させることができる。
【0028】
(半導体製造方法)
次に、図1の研磨装置1を適用した半導体製造方法について説明する。図3は、第1の実施形態を示す半導体製造方法のフローチャートである。具体的には、図3は、CMP工程のフローチャートである。なお、図3の初期状態において、研磨ヘッド3は、図1に示すように装着面34bに半導体基板10を装着しているものとする。また、図3の初期状態において、研磨ヘッド3は、図1に示すように研磨パッド2から上方D11に離間しているものとする。また、図3の初期状態において、各ブロック41は、図2に示すように径方向外方D22に移動され、リテーナリング4の内径は拡大されているものとする。なお、図2において、ピン421は、スリット422の径方向外端に位置している。
【0029】
図4Aは、第1の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。図4Bは、図4Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。第1の実施形態では、一例として、図4Aの半導体基板10をCMP工程で処理する。図4Aの半導体基板10は、順に、基板81と、溝82と、第1絶縁膜83と、第2絶縁膜84とを備える。溝82の深さは、例えば、200nmである。第1絶縁膜83は、例えば、SiNによって厚さ15nmに形成されている。第2絶縁膜84は、例えば、NSG(Non-doped Silicate Glass)によって厚さ350nmに形成されている。なお、溝82の深さや絶縁膜83、84の厚さは以上に限定されない。また、絶縁膜83、84の材料も以上に限定されず、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)、SiN、SiCH、SiCN、SiOC、SiOCHおよびp−Siからなる群から選択される少なくとも1種類の絶縁材料を用いてもよい。第1の実施形態では、図4Aの半導体基板10の不要な第2絶縁膜84をCMPで除去することで、図4Bの半導体基板10を得る。
【0030】
以上の前提の下で、先ず、研磨ヘッド3は、研磨方向D31と同方向に回転する(ステップS1)。このとき、研磨ヘッド3は、駆動装置30がヘッド軸32に回転力を付与することで、ヘッド軸32とともに回転する。研磨ヘッド3の回転にともなって、装着面34bに装着されている半導体基板10および研磨ヘッド3に固定されているリテーナリング4も、研磨ヘッド3と同方向D31に回転する。また、このとき、研磨テーブル5は、駆動装置50によって研磨ヘッド3と同方向D31に回転する。
【0031】
図5Aは、第1の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。次いで、図5Aに示すように、研磨ヘッド3は、研磨方向D31と同方向に回転しながら、リテーナリング4の各ブロック41を研磨パッド2に押し付ける(ステップS2)。このとき、研磨ヘッド3は、駆動装置30がヘッド軸32に下方D12への並進力を付与することで、ヘッド軸32とともに下降する。
【0032】
研磨方向D31と同方向に回転しながら摩擦抵抗を有する研磨パッド2に接触することで、各ブロック41には、研磨パッド2によって研磨方向D31と逆方向D32の摩擦力が作用する。このとき、ブロック41に設けられたピン421の位置を基準として、摩擦力が作用する方向D32と径方向内方D21との合成方向に向かってスリット422が延びている。このため、各ブロック41は、スリット422に沿ってピン421を摺動させることで、研磨ヘッド3に対する逆方向D32への相対移動をともないながら、径方向内方D21に移動する(ステップS3)。
【0033】
図5Bは、図5Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。図6は、第1の実施形態の半導体製造方法を示す図5のVI−VI断面図である。図5および図6に示すように、径方向内方D21に移動した各ブロック41は、例えば、スリット422の径方向内端にピン421が当接することで移動を停止する。このようにして、リテーナリング4の内径が縮小する。
【0034】
次いで、図3に示すように、研磨ヘッド3で研磨パッド2にリテーナリング4を押し付けながら、研磨ヘッド3を研磨方向D31に回転して半導体基板10を研磨する(ステップS4)。このとき、研磨液供給ノズル8は、研磨パッド2上にスラリを供給する。スラリは、砥粒としてセリアを含有する。例えば、スラリは、粒子径100nmでpH9に調整されたセリアを、1wt%含有する。研磨液供給ノズル8は、例えば、200ml/minの流量で、研磨パッド2上にスラリを供給する。また、レギュレータ6は、第1圧力室34および第2圧力室35にエアを供給することで、半導体基板10およびリテーナリング4に圧力を付与する。
【0035】
その他の研磨条件の一例は、次のとおりである。
研磨荷重:400gf/cm
リテーナリング荷重:400gf/cm
研磨ヘッド回転速度:100rpm
研磨テーブル回転速度:105rpm
研磨パッド:市販の二層パッド
研磨時間:TCM(研磨テーブル電流値)で第2絶縁膜の除去を検出
【0036】
例えば、以上の研磨条件の下での半導体基板10の研磨が終了した後、研磨ヘッド3は、駆動装置30の動力によって研磨方向D31と逆方向D32に回転する(ステップS5)。
【0037】
研磨ヘッド3が逆方向D32に回転するとき、各ブロック41は、研磨パッド2に接触している。このため、各ブロック41には、研磨パッド2によって研磨方向D31の摩擦力が作用する。このとき、ブロック41に設けられたピン421の位置を基準として、摩擦力が作用する方向D31と径方向外方D22との合成方向に向かってスリット422が延びている。このため、各ブロック41は、スリット422に沿ってピン421を摺動させることで、研磨ヘッド3に対する研磨方向D31と同方向への相対移動をともないながら、径方向外方D22に移動する(ステップS6)。このようにして、リテーナリング4の内径が拡大する。
【0038】
次いで、研磨ヘッド3は、各ブロック41を研磨パッド2から上方D11に離間させる(ステップS7)。このとき、研磨ヘッド3は、駆動装置30がヘッド軸32に上方D11への並進力を付与することで、ヘッド軸32とともに上昇する。
【0039】
図7Aは、第1の実施形態の半導体製造方法による研磨量のグラフである。図7Bは、比較例の半導体製造方法による研磨量のグラフである。図7Bは、内径が一定のリテーナリングを備えた研磨装置で半導体基板10を研磨した場合のグラフである。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、横軸は、位置すなわち半導体基板10の中心からの距離であり、縦軸は、除去量すなわち研磨量である。図7Aおよび図7Bは、半径150mmの半導体基板10についての外縁20mmのエリアの研磨量のプロファイルを示している。
【0040】
もし、リテーナリングの内径を変更できない場合、リテーナリングと半導体基板10との間隙部によって、研磨パッドの回転方向の下流側に半導体基板10が寄った状態で研磨が進行して、研磨量のばらつきが大きくなってしまう。例えば、図7Bに示すように、中心から140mmの位置に対して、外端(150mm)近傍の研磨量がほぼ1.5倍になってしまう。
【0041】
これに対して、第1の実施形態の半導体製造方法によれば、リテーナリング4の内径を縮小することで、リテーナリング4と半導体基板10との間隙を殆ど無くすことができるので、研磨パッドの回転方向の下流側に半導体基板10が寄った状態で研磨が進行することを防止できる。これにより、研磨量を均一化できる。例えば、図7Aに示すように、中心から140mmの位置に対して、外端(150mm)近傍の研磨量を1.14倍程度に抑えることができる。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、研磨量の均一性を向上させることができる。例えば、製品に用いられない欠けショット部を含む半導体基板10の外縁まで均一に研磨できるので、外縁の過研磨による半導体基板10の絶縁膜の剥離を抑制できる。絶縁膜の剥離を抑制できるので、例えば、CMPの後のウェット工程において、絶縁膜が剥離した箇所から薬液が内部に染み込んで半導体基板10のメタルが溶解することを回避できる。この結果、半導体基板10から得られる半導体装置の歩留まりを向上できる。また、第1の実施形態によれば、既存の動力源30、50を活用してリテーナリング4の内径を縮小および拡大することができる。
【0043】
(第1の変形例)
次に、第1の実施形態の第1の変形例として、着脱部のガイド部の回転に応じてリテーナリングの内径を変化させる研磨装置の例について説明する。なお、本変形例において、図1に対応する構成については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図8は、第1の実施形態の第1の変形例を示す研磨装置1の断面図である。
【0044】
図8に示すように、第1の変形例の研磨装置1は、図1の構成に加えて、更に、着脱部9を備える。図8に示すように、着脱部9は、着脱器91と、ガイド部92と、モータ93と、圧力センサ94とを備える。なお、図8では、研磨パッド2および研磨テーブル5の図示を省略している。
【0045】
図8に示すように、着脱器91には、半導体基板10がその外縁を介して搭載される。着脱器91は、研磨ヘッド3への半導体基板10の装着前または取り外し後に、半導体基板10を水平に支持する。
【0046】
ガイド部92は、着脱器91の外周に配置された水平なガイド面921を有する。ガイド面921は、所定の摩擦抵抗を有する。研磨ヘッド3に対する半導体基板10の着脱の際に、ガイド面921には、上方から各ブロック41が接触する。各ブロック41を接触させることで、ガイド部92は、研磨ヘッド3に対する半導体基板10の着脱をガイドする。また、ガイド部92は、中央の回転軸922回りに回転可能である。
【0047】
モータ92は、研磨方向D31と同方向または逆方向にガイド部91を回転する。
【0048】
第1移動部42は、研磨方向D31と逆方向D32にガイド部92が回転した場合に、径方向内方D21に各ブロック41を移動させる。また、第1移動部42は、研磨方向D31と同方向にガイド部92が回転した場合に、径方向外方D22に各ブロック41を移動させる。
【0049】
圧力センサ94は、モータ93にかかる負荷を検出する。制御部100は、圧力センサ94による負荷の検出値に基づいて、半導体基板10の外周面への各ブロック41の接触を検知する。制御部100は、半導体基板10の外周面への各ブロック41の接触を検知した場合に、モータ93を停止する制御を行う。
【0050】
次に、図8の研磨装置1を適用した半導体製造方法について説明する。図9は、第1の実施形態の第1の変形例を示す半導体製造方法のフローチャートである。なお、図9の初期状態において、半導体基板10は、図8に示すように着脱器91に搭載されているものとする。また、図9の初期状態において、研磨ヘッド3は、図8に示すように着脱部9から上方D11に離間しているものとする。また、図9の初期状態において、各ブロック41は、径方向外方D22に移動されており、リテーナリング4の内径は拡大されているものとする。
【0051】
図10Aは、第1の実施形態の第1の変形例の半導体製造方法を示す断面図である。図10Aに示すように、先ず、研磨ヘッド3は、駆動装置30の動力によって下降して、第1圧力室34を半導体基板10に接触させ、また、各ブロック41をガイド面921に接触させる(図9のステップS11)。このとき、レギュレータ6は、吸気動作を行うことで半導体基板10を第1圧力室34の装着面34bに吸着させる。
【0052】
次いで、ガイド部92は、モータ93によって研磨方向D31と逆方向D32に回転する(ステップS12)。ガイド部92の回転にともなって、ガイド面921に接触している各ブロック41には、ガイド面921からガイド部92の回転方向D32への摩擦力が作用する。
【0053】
このとき、ブロック41に設けられたピン421の位置を基準として、摩擦力が作用する方向D32と径方向内方D21との合成方向に向かってスリット422が延びている。このため、各ブロック41は、スリット422に沿ってピン421を摺動させることで、ガイド部92の回転方向D32への移動をともないながら、径方向内方D21に移動する(ステップS13)。
【0054】
図10Bは、図10Aに続く半導体製造方法を示す断面図である。図10Bに示すように、径方向内方D21に移動した各ブロック41は、半導体基板10の外周面に接触する。制御部100は、圧力センサ94の検出値が閾値以上であることに基づいて、半導体基板10の外周面への各ブロック41の接触を検知する(ステップS14)。
【0055】
制御部100は、半導体基板10の外周面への各ブロック41の接触を検知すると、ガイド部92の回転を停止する(ステップS15)。このようにして、リテーナリング4の内径が縮小される。
【0056】
次いで、研磨ヘッド3は、駆動装置30の動力によって着脱部9から研磨パッド2上に半導体基板10を移送して、半導体基板10を研磨パッド2で研磨する(ステップS16)。研磨条件は、図3の場合と同様であってもよい。
【0057】
次いで、半導体基板10の研磨が終了した後、研磨ヘッド3は、駆動装置30の動力によって研磨パッド2上から着脱部9に半導体基板10を移送して、図10Bと同様に、ガイド面921上に各ブロック41を接触させる(ステップS17)。このとき、レギュレータ6は、排気動作を行うことで、半導体基板10の吸着を解除して、着脱器91上に半導体基板10を搭載する。
【0058】
次いで、ガイド部92は、モータ93によって研磨方向D31に回転する(ステップS18)。ガイド部92の回転にともなって、ガイド面921に接触している各ブロック41には、ガイド面921からガイド部92の回転方向D31への摩擦力が作用する。
【0059】
このとき、ブロック41に設けられたピン421の位置を基準として、摩擦力が作用する方向D31と径方向外方D22との合成方向に向かってスリット422が延びている。このため、各ブロック41は、スリット422に沿ってピン421を摺動させることで、ガイド部92の回転方向D31への移動をともないながら、径方向外方D22に移動する(ステップS19)。このようにして、リテーナリング4の内径が拡大する。
【0060】
以上述べたように、第1の変形例によれば、図1の構成および図3の方法と同様に、研磨量の均一性を向上させることができる。また、研磨ヘッド3に対する半導体基板10の着脱の際に、リテーナリング4の内径を縮小または拡大させることができるので、CMPの作業効率を高めることができる。
【0061】
(第2の変形例)
次に、第1の実施形態の第2の変形例として、研磨パッドへのリテーナリングの押し付けを安定化する研磨装置の例について説明する。なお、本変形例において、図1に対応する構成については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図11Aは、第1の実施形態の第2の変形例において、研磨パッド2から研磨ヘッド3が離間した状態の研磨装置1の断面図である。図11Bは、研磨パッド2に研磨ヘッド3が押し付けられた状態の研磨装置1の断面図である。
【0062】
図1の構成において、ブロック41と第1ストッパ424との間隔は、ブロック41と第1ストッパ424とに挟まれる支持部40の底壁の厚みにほぼ等しい。このため、図1の構成では、各ブロック41と支持部40との軸方向D1の位置関係は一定である。すなわち、各ブロック41は、支持部40に対して相対的に上下動しない。
【0063】
これに対して、図11Aおよび図11Bに示すように、第2の変形例において、ブロック41と第1ストッパ424との間隔は、ブロック41と第1ストッパ424とに挟まれる支持部40の底壁の厚みより大きい。このため、第2の変形例において、各ブロック41は支持部40に対して相対的に上下動する。
【0064】
また、図11Aおよび図11Bに示すように、第2の変形例において、支持部40は、第2ストッパ425を備える。第2ストッパ425は、支持部40の内部においてピン421の上端部421aに面する。より具体的には、第2ストッパ425は、水平な板状に形成されており、支持部40の上壁部の内底面に設けられている。第2ストッパ425は、ピン421の上端部421aを当接させることで、ブロック41の上昇を規制する。
【0065】
また、第2の変形例において、ピン421の上端部421aおよび第2ストッパ425は、弾性を有する。上端部421aおよび第2ストッパ425は、例えば、ゴム材によって形成してもよい。
【0066】
次に、第2の変形例の半導体製造方法について説明する。
【0067】
図10Bと同様に、着脱部9において半導体基板10を吸着してリテーナリング4の内径を縮小した後、研磨ヘッド3は、図11Aに示すように、研磨のために研磨ヘッド3の直上に半導体基板10を移送する。図11Aに示すように、研磨ヘッド3が研磨パッド2から離間している場合、各ブロック41は、その重力によって支持部40から下方D12に離間している。このとき、各ブロック41の重力によってピン421が下方D12に引き出されているが、支持部40の内部において第1ストッパ424がスリット422の縁部に当接することで、ピン421およびブロック41の落下を防止できる。
【0068】
次いで、図11Bに示すように、研磨ヘッド3は、研磨パッド2を押圧する。図11Bに示すように、研磨ヘッド3が研磨パッド2に押し付けられた場合、各ブロック41は、研磨パッド2からの垂直抗力によってピン421を支持部40の内部に押し込みながら支持部40に対して相対的に上昇する。このとき、ピン421の上端部421aが第2ストッパ425に当接することで、ブロック41の上昇が規制される。上端部421aと第2ストッパ425とは、弾性力によって安定的に接触している。このため、研磨ヘッド3は、ブロック41の位置を固定してリテーナリング4を安定的に押し付けながら半導体基板10を研磨できる。
【0069】
以上述べたように、第2の変形例によれば、リテーナリング4を安定的に押し付けることができるので、研磨量の均一性を更に向上させることができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、研磨パッドへの研磨ヘッドの押し付けに応じてリテーナリングの内径が縮小する研磨装置の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態に対応する構成については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図12は、第2の実施形態を示す研磨装置1の斜視図である。図13は、第2の実施形態の研磨装置1を示す図12のXIII−XIII断面図である。図14は、第2の実施形態を示す研磨装置の断面図である。
【0071】
図12図14に示すように、第2の実施形態の研磨装置1は、第1移動部42の代わりに第2移動部43を備える。第2移動部43は、押圧部材の一例としての圧縮ばね431と、ワイヤ432とを備える。圧縮ばね431は、ブロック41と同数設けられている。
【0072】
図14に示すように、各ブロック41の上端部41aは、下方から支持部40の内部に挿入されている。各圧縮ばね431の径方向外方D22側の端部は、支持部40に固定されていない自由端である。この自由端には、各ブロック41の上端部41aが接続されている。一方、各圧縮ばね431の径方向内方D21側の端部は、支持部40の内壁に固定された固定端である。このような構成により、各圧縮ばね431は、各ブロック41を径方向外方D22に押圧している。
【0073】
図13に示すように、ワイヤ432は、周方向D3において各ブロック41を環状に貫通している。ワイヤ432の両端は、1つのブロック41において外部に引き出されている。ブロック41から引き出されたワイヤ432の両端は、図12に示すように、ヘッド軸32から径方向外方D22に延びる固定部433に固定されている。
【0074】
次に、第2の実施形態の半導体製造方法について説明する。図15は、第2の実施形態を示す半導体製造方法の斜視図である。図16は、第2の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。
【0075】
着脱部9(図8参照)において半導体基板10を吸着した後、研磨ヘッド3は、図12に示すように、研磨のために研磨ヘッド3の直上に半導体基板10を移送する。図12に示すように、研磨ヘッド3が研磨パッド2から離間している場合、ワイヤ432は弛んでいる。ワイヤ432が弛んでいるため、各ブロック41には、ワイヤの締め付け力が働かない。一方、各圧縮ばね431は、各ブロック41を径方向外方D22に押圧している。このため、各ブロック41は、半導体基板10の外周面に対して径方向外方D22に離間している。すなわち、リテーナリング4の内径は拡大されている。
【0076】
次いで、図15に示すように、研磨ヘッド3は、研磨パッド2を押圧する。このとき、ヘッド軸32が伸びることで、ワイヤ432が引っ張られる。ワイヤ432が引っ張られることで、各ブロック41がワイヤ432で締め付けられる。ワイヤ432で締め付けられることで、各ブロック41は、圧縮ばね431の押圧力に抗して径方向内方D21に移動する。このようにして、図16に示すように、リテーナリング4の内径が縮小される。
【0077】
以上のように、第2移動部43は、研磨パッド2に研磨ヘッド3が押し付けられるときに径方向内方D21に各ブロック41を移動させる。また、第2移動部43は、研磨パッド2から研磨ヘッド3が離れるときに径方向外方D22に各ブロック41を移動させる。
【0078】
第2の実施形態によれば、第2移動部43でリテーナリング4の内径を縮小できるので、第1の実施形態と同様に研磨量の均一性を向上させることができる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、エアの供給に応じてリテーナリングの内径を変化させる研磨装置の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態に対応する構成については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。図17は、第3の実施形態を示す研磨装置の断面図である。図18は、第3の実施形態の研磨装置を示す図17のXVIII−XVIII断面図である。
【0080】
図17および図18に示すように、第3の実施形態の研磨装置1は、第1移動部42の代わりに第3移動部45を備える。第3移動部45は、第1エアバッグ451と、第2エアバッグ452とを備える。
【0081】
第1エアバッグ451は、支持部40と同心の円環状に形成されている。第1エアバッグ451は、支持部40の内部においてブロック41の上端部41aに内接している。第1エアバッグ451の内部は、エアライン7に連通されている。第1エアバッグ451は、ブロック41の上端部41aに接合されていてもよい。
【0082】
第2エアバッグ452は、支持部40と同心の円環状に形成されている。第2エアバッグ452は、第1エアバッグ451より径が大きい。第2エアバッグ452は、支持部40の内部においてブロック41の上端部41aに外接している。また、第2エアバッグ452の内部は、エアライン7に連通されている。第2エアバッグ452は、ブロック41の上端部41aに接合されていてもよい。
【0083】
次に、第3の実施形態の半導体製造方法について説明する。図19は、第3の実施形態の半導体製造方法を示す断面図である。図20は、第3の実施形態の半導体製造方法を示す図17のXX−XX断面図である。
【0084】
レギュレータ6で第1エアバッグ451にエアを封入し、第2エアバッグ452にエアを封入しない場合、図17および図18に示すように、第1エアバッグ451が膨張し、第2エアバッグ452が収縮する。第1エアバッグ451が膨張することで、各ブロック41には、第1エアバッグ451によって径方向外方D22への押圧力が作用する。径方向外方D22への押圧力が作用することで、各ブロック41は、径方向外方D22に移動される。このようにして、リテーナリング4の径が拡大される。
【0085】
一方、第2エアバッグ452にエアを封入し、第1エアバッグ451にエアを封入しない場合、図19および図20に示すように、第2エアバッグ452が膨張し、第1エアバッグ451が収縮する。第2エアバッグ452が膨張することで、各ブロック41には、第2エアバッグ452によって径方向内方D21への押圧力が作用する。径方向内方D21への押圧力が作用することで、各ブロック41は、径方向内方D21に移動される。このようにして、リテーナリング4の内径が縮小される。
【0086】
以上のように、第3移動部45は、エアの供給に応じて径方向に各ブロック41を移動させる。
【0087】
第3の実施形態によれば、第3移動部45でリテーナリング4の内径を縮小できるので、第1の実施形態と同様に研磨量の均一性を向上させることができる。
【0088】
なお、第1〜第3の実施形態は、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 研磨装置
2 研磨パッド
3 研磨ヘッド
4 リテーナリング
40 支持部
41 ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20