特許第6403017号(P6403017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6403017インプリント用テンプレート基板の製造方法、インプリント用テンプレート基板、インプリント用テンプレート、および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403017
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】インプリント用テンプレート基板の製造方法、インプリント用テンプレート基板、インプリント用テンプレート、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20181001BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-154413(P2015-154413)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-34165(P2017-34165A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】317006041
【氏名又は名称】東芝メモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸良
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0303187(US,A1)
【文献】 特開2012−204428(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0177532(US,A1)
【文献】 特開2010−251601(JP,A)
【文献】 特開2008−100378(JP,A)
【文献】 特開2003−077807(JP,A)
【文献】 特開2007−266384(JP,A)
【文献】 特開2009−184117(JP,A)
【文献】 特開2013−070004(JP,A)
【文献】 特開2010−262957(JP,A)
【文献】 特開2004−311713(JP,A)
【文献】 特開2006−168297(JP,A)
【文献】 特開2012−019019(JP,A)
【文献】 特開2014−216328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラス基板上にマスク材を形成する工程と、
前記マスク材を用いて前記石英ガラス基板の一部を除去して、凸形状のメサ部を形成する工程と、
前記メサ部の側面に、シリコン、炭素およびフッ素を含有するSiCFn(n=1、2または3)膜を形成する工程と、
を備え、
前記SiCFn膜を形成する工程は、
前記石英ガラス基板に還元剤として水素を供給し、前記ガラス基板中の酸素を水素に還元して、前記ガラス基板の表面にシリコンを露出させる工程と、
露出させたシリコンに、炭素およびフッ素を含有するCF系ガスまたはCF系溶剤を供給して、前記SiCFn膜を形成する工程と、を有する
インプリント用テンプレート基板の製造方法。
【請求項2】
前記石英ガラス基板には、
前記メサ部の側面に接合され、前記メサ部の上面に略平行な方向に配置される第1面と、
前記第1面に接合され、前記メサ部の上面に交差する方向に配置され前記メサ部の側面とともにテンプレートの側面を構成する第2面と、が設けられ、
前記メサ部の側面および前記第2面に前記SiCFn膜が形成され、前記第1面では前記石英ガラス基板が露出される請求項1記載の基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたインプリント用テンプレートを用いて、前記テンプレートに形成されたパターンを半導体基板上に塗布されたレジストに転写してレジストパターンを形成し、前記レジストパターンに基づき前記半導体基板を加工することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント用テンプレート基板の製造方法、インプリント用テンプレート基板、インプリント用テンプレート、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細パターンを形成する手法として、インプリント法が注目されている。インプリント法では、凹凸パターンが形成されたインプリント用テンプレートを下地基板上に塗布したレジストに接触させる。レジストを硬化した後、テンプレートをレジストから離型することにより、下地基板上に凹凸パターンを転写したレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとして下地基板を加工することで、下地基板に微細パターンが形成される。
【0003】
インプリント法では、テンプレートをウエハ上で移動させながら、ウエハ上にレジストパターンを形成する処理を繰り返すことを想定している。
【0004】
テンプレートは、例えば石英ガラスを加工して形成される。より具体的には、石英ガラスに凸形状のメサ部を形成し、メサ部の上面に微細な凹凸パターンを形成する。この凹凸パターンがレジストに押しつけられることになる。ところが、テンプレートのメサ部の上面をレジストに押しつけた時点では、レジストは柔軟性を持っているため、レジストがメサ部からはみ出してメサ部の側面に這い上がるおそれがある。テンプレートは、レジストが硬化した段階でレジストから引き離されるが、メサ部の側面に這い上がったレジストは、側面に付着したままになる。このため、テンプレートをレジストに押しつける処理を繰り返すと、メサ部の側面に付着するレジストの量が次第に増えて、やがて、このレジストは意図せぬタイミングでウエハ上に落下し、ウエハ上に大きな欠陥を引き起こしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−177072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、インプリント用テンプレートの側面へのレジストの付着を抑えたインプリント用テンプレート基板の製造方法、インプリント用テンプレート基板、インプリント用テンプレート、および半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態では、基板上にマスク材を形成する工程と、
前記マスク材を用いて前記基板の一部を除去して、凸形状のメサ部を形成する工程と、
前記メサ部の側面に、シリコン、炭素およびフッ素を含有するSiCFn(n=1、2または3)膜を形成する工程と、を備えるインプリント用テンプレート基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】第1の実施形態によるインプリント用テンプレートの製造工程断面図。
図1B図1Aに続く製造工程断面図。
図1C図1Bに続く製造工程断面図。
図1D図1Cに続く製造工程断面図。
図1E図1Dに続く製造工程断面図。
図1F図1Eに続く製造工程断面図。
図1G図1Fに続く製造工程断面図。
図2A】一変形例によるインプリント用テンプレートの製造工程断面図。
図2B図2Aに続く製造工程断面図。
図2C図2Bに続く製造工程断面図。
図2D図2Cに続く製造工程断面図。
図2E図2Dに続く製造工程断面図。
図2F図2Eに続く製造工程断面図。
図3】材料が異なる複数の膜のレジストに対する接触角を示すグラフ。
図4A】第2の実施形態によるインプリント用テンプレートの製造工程断面図。
図4B図4Aに続く製造工程断面図。
図4C図4Bに続く製造工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下では、インプリント工程で用いられるインプリント用テンプレート基板の製造方法、インプリント用テンプレート基板、インプリント用テンプレート、および半導体装置の製造方法について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1A図1Fは第1の実施形態によるインプリント用テンプレートの製造工程を示す工程断面図である。まず、石英ガラス基板1の一主面上に保護膜2を形成する。保護膜2は、SiO、SiON、SiN、TiNなどであり、その膜厚は例えば50〜100nm程度である。次に、図1Aに示すように、保護膜2上に、メサ部を形成するためのマスク材3を付着する。マスク材3は、レジスト膜でもよいし、ハードマスク膜でもよい。
【0011】
次に、図1Bに示すように、マスク材3の輪郭に沿って、保護膜2がSiO、SiON、SiNなどの絶縁膜の場合は、CFやCHFガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)を行って保護膜2の一部を除去し、また、フッ酸を用いて石英ガラス基板1の一部を除去して、凸形状のメサ部4を形成する。これにより、メサ部4の側面の高さを約30μmにする。保護膜2がTiNなどの金属窒化膜の場合は、APM (Ammonia-peroxide mixture)を用いて保護膜2の一部を除去し、続けて、フッ酸を用いて石英ガラス基板1の一部を除去して、凸形状のメサ部4を形成する。
【0012】
次に、図1Cに示すように、SPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)処理とOアッシングにより、メサ部4の上面に付着したマスク材3を除去する。
【0013】
次に、図1Dに示すように、石英ガラス基板1の表面全体にポリシリコンまたはアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成する。シリコン膜5は、石英ガラス基板1の表面にほぼ均一な膜厚で形成され、その膜厚は例えば300nm程度である。ここでは、チャンバ内を所定の真空度および所定の温度に設定した状態で、SIHガスやSiガスなどをチャンバ内に導入して、石英ガラス基板1の表面にポリシリコンまたはアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成する。あるいは、チャンバ内にマイクロ波を印加して、還元反応にて石英ガラス表面の酸素を脱離させて、石英ガラス基板1の表面にシリコンを露出させてもよい。
【0014】
次に、図1Eに示すように、炭素およびフッ素を含有するCF系ガス(例えば、CF、C、CHFなど)を用いたRIEを行う。RIEは異方性エッチングであるため、石英ガラス基板1の基板面に平行な面上のシリコン膜5は除去されて、下地の保護膜2が露出される。一方、石英ガラス基板1の側面のシリコン膜5は、すべては除去されず、一部のシリコン膜5が残存する。図1Eの左側には、石英ガラス基板1のメサ部4の側面部分の構造を拡大図示している。図示のように、側面の上側ほどエッチングが進行して、シリコン膜5の膜厚が薄くなる側壁が形成される。しかも、この側壁部分の表面には、シリコンと、炭素と、フッ素とが結合したSiCFn(n=1、2または3)膜6が形成される。このSiCFn膜6は、優れた撥水撥油特性を持っている。SiCFn膜6は、メサ部4の側面だけでなく、その下方の石英ガラス基板1の側面にも形成される。下地の保護膜2がTiNの場合はCF系ガス用いたRIEでのエッチングレートは絶縁膜と比較して2割ほどと小さくなり、膜厚は、ほぼ初期の膜厚を維持して残される。
【0015】
次に、図1Fに示すように、フッ酸のガスを用いて、メサ部4の上面に残存している保護膜2を除去する。保護膜2がTiNの場合はAPMを使用して除去するがテンプレートの側面のSiCFn膜6は維持される。
【0016】
以上の工程により、テンプレートの側面をSiCFn膜6で覆うことができる。その後、図1Gに示すように、メサ部4の上面に、プラズマエッチング等により微細な凹凸パターン7を形成することにより、テンプレートが完成する。このテンプレートをウエハ上に塗布されたレジストに押しつけると、テンプレートの側面に形成されたSiCFn膜6が撥水撥油特性を有するために、テンプレートの外側にはみ出したレジストは、SiCFn膜6には付着しなくなる。
【0017】
図1Aでは、石英ガラス基板1の一主面上に保護膜2を介してマスク材3を配置しているが、石英ガラス基板1上に直接マスク材3を配置してもよい。この場合の製造工程は、例えば図2A図2Fのようになる。
【0018】
まず、図2Aに示すように、ガラス基板上に、レジスト膜またはハードマスク膜のマスク材3を付着する。次に、図2Bに示すように、マスク材3の輪郭に沿って、フッ酸を用いて石英ガラス基板1の一部を除去して、凸形状のメサ部4を形成する。次に図2Cに示すように、SPM処理とOアッシングにより、メサ部4の上面に付着したマスク材3を除去し、その後、メサ部4の上面にハードマスク膜9を付着する。その後の工程(図2D図2F)は図1D図1Fと同様であるため、説明を省略する。
【0019】
図1A図1F図2A図2Fのいずれの製造工程でも、テンプレート8の側面にSiCFn膜6を形成することができる。ここで、テンプレート8の側面とは、メサ部4の側面と、メサ部4の側面から第1面を介して接合される第2面とである。メサ部4の上面(凹凸パターン7の形成面)と第1面は、RIEでシリコン膜5が除去されるため、SiCFn膜6は形成されない。
【0020】
図1A図1F図2A図2Fでは、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンのシリコン膜5を用いてSiCFn膜6を形成しているが、SiCFn膜6の下地がポリシリコンか、アモルファスシリコンかによって、SiCFn膜6のレジストに対する接触角が変化する。
【0021】
図3は材料が異なる複数の膜のレジストに対する接触角(WCA:Water Contact Angle)を示すグラフである。図3からわかるように、下地がアモルファスシリコンやベアシリコンの場合と比べて、下地がポリシリコンの場合には、レジストに対する接触角が10〜15%ほど高くなる。よって、撥水撥油特性をできるだけ向上させたい場合は、下地をポリシリコンにするのが望ましい。ただし、図3からわかるように、下地がアモルファスシリコンであっても、下地が酸化膜の場合よりもはるかに撥水撥油特性を向上できる。よって、アモルファスシリコンを採用しても、撥水撥油特性を向上させることができる。
【0022】
このように、第1の実施形態では、インプリント用テンプレート8の母材である石英ガラス基板1の側面に、撥水撥油特性に優れたSiCFn膜6を形成するため、テンプレート8をレジストに押しつけても、レジストがテンプレート8の側面に付着しにくくなる。よって、テンプレート8の側面に付着したレジストがウエハ上に落下して不良箇所を増やすような不具合も生じなくなる。
【0023】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、石英ガラスの表面に、ポリシリコンやアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成することなく、炭素およびフッ素を含有するCFポリマ層を形成するものである。
【0024】
図4A図4Cは第2の実施形態によるインプリント用テンプレート8の製造工程を示す断面図である。まず、図4Aに示すように、石英ガラス基板1上に、レジスト膜またはハードマスク膜からなるマスク材3を付着する。次に、図4Bに示すように、マスク材3の輪郭に沿って、石英ガラス基板1の一部を除去して、凸形状のメサ部4を形成する。
【0025】
次に、図4Cに示すように、石英ガラス基板1を、200℃に加熱したチャンバに収納して、チャンバ内でCF系溶媒を気化させる。これにより、石英ガラス基板1の表面には、炭素およびフッ素を含有するCF系ポリマ層10が形成される。次に、マスク材3を除去する。その後、メサ部4の上面に微細パターンを形成して、テンプレート8が完成する。
【0026】
第2の実施形態におけるテンプレート8は、石英ガラスの表面に直接CFポリマ層が形成されるため、石英ガラス中の酸素と、CFポリマ層中の炭素およびフッ素とが結合する。この結合の強さは、第1の実施形態におけるSiCFn膜6を構成するシリコン、炭素およびフッ素の結合の強さよりも弱いと考えられる。よって、第2の実施形態におけるテンプレート8の側面に付着したCFポリマ層は、第1の実施形態におけるSiCFn層よりも剥がれやすくなるおそれがあるが、CFポリマ層自体は、撥水撥油特性を有するため、テンプレート8の側面にCFポリマ層が付着している限りは、テンプレート8の側面にレジストが付着しにくくなる。
【0027】
このように、第2の実施形態では、インプリント用テンプレート8の母材である石英ガラスの表面にCFポリマ層を形成するため、第1の実施形態よりも簡易な製法で、テンプレート8の側面に撥水撥油特性を持たせることができる。
【0028】
上述した第1および第2の実施形態におけるインプリント用テンプレート8は、例えば、ガラスメーカにて、石英ガラスを加工して凸形状のメサ部4を形成する工程の中で、テンプレート8の側面に上述した撥水撥油特性を持たせる処理を行うことができる。これにより、ガラスメーカから納品されたテンプレート8の原盤には、すでにその側面に撥水撥油処理が施されていることになり、その後の工程に何ら変更を加えることなく、側面にレジストが付着しにくいテンプレート8を作製することができる。また、第1および第2の実施形態におけるインプリント用テンプレート8を用いて、テンプレート8に形成されたパターンを半導体基板上に塗布されたレジストに転写し、転写されたレジストパターンに基づき半導体基板を加工することにより、欠陥発生を抑えた半導体装置の製造を実現することができる。
【実施例】
【0029】
(第1実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度30パスカルで、基板温度150℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、チャンバ内にSiHガスをガス流量100sccm導入した。次に、2.45GHzのマイクロ波を石英ガラスに照射し、石英ガラスの表面にポリシリコンのシリコン膜5を形成した。次に、チャンバ内のガスをSiHガスからCFガスに切り替えて、ガス流量50sccmでシリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した。このSiCFn(n=1、2または3)膜6のレジストに対する接触角は、65degであった。
【0030】
一方、ポリシリコンの代わりにアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成し、シリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した場合の接触角は、35degであった。
【0031】
(第2実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度30パスカルで、基板温度400℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、チャンバ内にSiHガスをガス流量100sccm導入した。次に、2.45GHzのマイクロ波を石英ガラスに照射し、石英ガラスの表面にポリシリコンのシリコン膜5を形成した。次に、チャンバ内のガスをSiHガスからCFガスに切り替えて、ガス流量50sccmでシリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した。このSiCFn膜6のレジストに対する接触角は、70degであった。
【0032】
一方、ポリシリコンの代わりにアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成し、シリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した場合の接触角は、40degであった。
【0033】
(第3実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度300パスカルで、基板温度500℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、チャンバ内にSiガスをガス流量300sccm導入した。次に、熱励起にて、石英ガラスの表面にポリシリコンのシリコン膜5を形成した。次に、チャンバ内のガスをSiガスからCFガスに切り替えて、ガス流量50sccmでシリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した。このSiCFn膜6のレジストに対する接触角は、73degであった。
【0034】
一方、ポリシリコンの代わりにアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成し、シリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した場合の接触角は、43degであった。
【0035】
(第4実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度300パスカルで、基板温度500℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、チャンバ内にSiガスをガス流量300sccm導入した。次に、熱励起にて、石英ガラスの表面にポリシリコンのシリコン膜5を形成した。次に、チャンバ内のガスをSiガスからCガスに切り替えて、ガス流量50sccmでシリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した。このSiCFn膜6のレジストに対する接触角は、77degであった。
【0036】
一方、ポリシリコンの代わりにアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成し、シリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した場合の接触角は、47degであった。
【0037】
(第5実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度30パスカルで、基板温度500℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、チャンバ内にHガスをガス流量200sccm導入した。次に、2.45GHzのマイクロ波を石英ガラスに照射し、還元反応にてガラス表面の酸素を脱離し、高密度のシリコン層を形成した。次に、チャンバ内のガスをHガスからCFガスに切り替えて、ガス流量50sccmでシリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した。このSiCFn膜6のレジストに対する接触角は、65degであった。
【0038】
一方、ポリシリコンの代わりにアモルファスシリコンのシリコン膜5を形成し、シリコン膜5の表面にSiCFn膜6を形成した場合の接触角は、45degであった。
【0039】
(第6実施例)
上述した第1〜第4実施例において、SiCFn膜6を形成する際にチャンバ内に供給するCFガスやCガスを用いて、石英ガラス表面のシリコン膜5のエッチバックを行い、石英ガラスの側面のみにSiCFn膜6が残存するようにした。そして、石英ガラスの側面に付着されるレジストの量が低減することを確認した。
【0040】
(第7実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度30パスカルで、基板温度150℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、2.45GHzのマイクロ波を石英ガラスに照射し、チャンバ内にCFガスを導入した。これにより、石英ガラスの表面にCF系ポリマ層10を形成した。このCF系ポリマ層10のレジストに対する接触角は、25degであった。
【0041】
(第8実施例)
15cm角の石英ガラスを、真空度30パスカルで、基板温度500℃に保持したチャンバ内に収納した。この状態で、2.45GHzのマイクロ波を石英ガラスに照射し、チャンバ内にCガスを導入した。これにより、石英ガラスの表面にCF系ポリマ層10を形成した。このCF系ポリマ層10のレジストに対する接触角は、20degであった。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 石英ガラス基板、2 保護膜、3 マスク材、4 メサ部、5 シリコン膜、6 SiCFn膜、7 凹凸パターン、8 テンプレート、9 ハードマスク膜、10 CFポリマ層
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C