特許第6403018号(P6403018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403018
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20181001BHJP
   A47L 11/38 20060101ALI20181001BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20181001BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20181001BHJP
【FI】
   B08B1/04
   A47L11/38
   B08B3/02 F
   H02S40/10
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-523908(P2015-523908)
(86)(22)【出願日】2014年4月28日
(86)【国際出願番号】JP2014061887
(87)【国際公開番号】WO2014208192
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-135353(P2013-135353)
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】武藤 昌三
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】西小野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】程野 義崇
(72)【発明者】
【氏名】池田 宏史
(72)【発明者】
【氏名】篠原 健嗣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 進吾
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−186819(JP,A)
【文献】 特開2010−259472(JP,A)
【文献】 特開2004−310385(JP,A)
【文献】 特開2010−035773(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3008556(JP,U)
【文献】 特開平09−193752(JP,A)
【文献】 特許第4363995(JP,B2)
【文献】 特許第3985870(JP,B2)
【文献】 特開平09−325814(JP,A)
【文献】 特表2012−513577(JP,A)
【文献】 米国特許第9276523(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第104759422(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00− 1/04
B08B 5/00−13/00
A47L 11/38
H02S 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象物としてのソーラーパネル表面における所定領域である清掃対象領域としての受光面を走行する走行部と、
前記走行部に対して走行方向前方または後方に位置し、前記走行部の走行に伴い前記清掃対象領域を移動しつつ当該清掃対象領域の清掃を行う清掃部と、
下方に前記清掃対象物の前記清掃対象領域が位置していることを検知する検知部と、を備え、
前記走行方向に対して直交する方向であり且つ前記清掃対象領域に平行な方向である幅方向寸法につき、前記清掃部の幅方向寸法は前記走行部の幅方向寸法よりも大きく、
前記検知部のうち側方に位置するものは、幅方向で前記走行部の外側、かつ、前記清掃部の内側の位置に備えられる清掃装置。
【請求項2】
前記清掃部は前記走行部に対し走行方向前方に位置する請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記清掃部は、前記清掃対象領域の清掃を行う際、前記清掃対象領域に一部が当接するワイパ部を備え、
前記ワイパ部は、走行方向に対して交わる方向に延びる複数のワイパブレードを有して該複数のワイパブレードが走行方向の前後に並べられて構成され、
前記複数のワイパブレードのうち少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレードにおける、前記清掃部の幅方向両端に位置する部分が、前記清掃対象領域が有する凹凸に追随して当接可能な請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレードにおける、前記清掃部の幅方向両端に位置する部分には、当該ワイパブレードの延長方向に対して交わる方向に延びる切目であって、当該ワイパブレードの延長方向に並ぶ複数の切目が形成されている請求項3に記載の清掃装置。
【請求項5】
洗浄剤を前記清掃対象領域に供給するための洗浄剤供給部を更に備え、
前記洗浄剤供給部は、前記洗浄剤を前記清掃部よりも走行方向前方の位置に供給する請求項2〜4のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項6】
前記清掃部は、
前記清掃対象領域のうち前記洗浄剤が供給された領域を擦る擦り部と、
前記擦り部に対して走行方向後方に位置し、前記清掃対象領域のうち前記擦り部が擦った領域から、少なくとも前記供給された洗浄剤を除去する除去部と、
を更に備える請求項5に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記除去部として、前記清掃対象領域の清掃を行う際、前記清掃対象領域に一部が当接するワイパ部が用いられる、請求項6に記載の清掃装置。
【請求項8】
前記走行部はクローラを備え、当該クローラは前記清掃対象領域に接する部分に、走行方向に対して傾斜して延びる滑り止め部を有している請求項1〜7のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項9】
少なくとも前記走行部を制御する制御部を更に備え
前記制御部は、前記検知部が前記清掃対象領域上に位置していることを検知しなくなった場合に、前記走行部を停止させる請求項1〜8のいずれかに記載の清掃装置。
【請求項10】
前記清掃部は、当該清掃部が前記清掃対象領域に接した状態である清掃可能状態と、前記清掃対象領域から離れた状態である退避状態とに姿勢を転換できる転換部を備える請求項1〜9のいずれかに記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、日本国特願2013−135353号に基づく優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、清掃対象物表面における所定領域である清掃対象領域を清掃するために用いられる清掃装置に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、いわゆる「メガソーラー」と呼ばれる、多数のソーラーパネルを集合させて構成した太陽光発電設備が各地に建設されている。
【0004】
ソーラーパネルは一般的には地面や建物屋上等の野外に設置される。このため、ソーラーパネルのうち、太陽光を受ける面である受光面に埃等の汚れが付着する。この受光面の汚れは、ソーラーパネルが備える発電素子に届く太陽光を遮ることから発電効率の低下を招く。よって、発電効率を維持するためには、受光面を清掃して汚れを除去することが望ましい。しかし、前記「メガソーラー」の場合等では、多数のソーラーパネルを人力のみで清掃することは作業効率の点で問題がある。
【0005】
前記問題に対し、例えば特許文献1に示すような清掃装置が提案されている。この清掃装置100は図7に示すようなものであり、フレーム101の四隅に設けられた4足歩行手段102と、フレーム101の下方に設けられた回転ブラシ103と、を備えている。この清掃装置100は、ソーラーパネル上(図示しない)で前記4足歩行手段102によって自走し、これに伴い前記回転ブラシ103が清掃対象領域としてのソーラーパネルの受光面を擦ることで、この受光面を清掃できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特開2010−186819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、この特許文献1に示す清掃装置100では、図示のように回転ブラシ103が4脚の4足歩行手段102に囲まれて位置している。このため、4足歩行手段102をソーラーパネルの受光面における端縁近傍に位置させたとしても、4足歩行手段102と回転ブラシ103との間に存在する距離分、回転ブラシ103が前記受光面の端縁から離れて位置することになる。このため、この清掃装置100では前記受光面を隅々まで清掃できずに清掃残しが発生していた。このため、前記受光面にて前記清掃残しが発生した部分については、清掃装置100による清掃後に人力で清掃する必要があって、手間がかかっていた。
【0008】
そこで本発明は、清掃対象領域を隅々まで清掃できる清掃装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の清掃装置は、清掃対象物としてのソーラーパネル表面における所定領域である清掃対象領域としての受光面を走行する走行部と、前記走行部に対して走行方向前方または後方に位置し、前記走行部の走行に伴い前記清掃対象領域を移動しつつ当該清掃対象領域の清掃を行う清掃部と、下方に前記清掃対象物の前記清掃対象領域が位置していることを検知する検知部と、を備え、前記走行方向に対して直交する方向であり且つ前記清掃対象領域に平行な方向である幅方向寸法につき、前記清掃部の幅方向寸法は前記走行部の幅方向寸法よりも大きく、前記検知部のうち側方に位置するものは、幅方向で前記走行部の外側、かつ、前記清掃部の内側に備えられる
【0010】
なお、方向の基準としての前記「走行方向」とは、清掃対象領域に対する清掃実施時における清掃装置の走行方向を指し、清掃装置の方向転換を行う際の走行方向を含まない。また、前記「清掃対象領域に平行な方向」とは、清掃対象領域が平面である場合は当該平面に平行な方向を指し、清掃対象領域が曲面である場合は当該曲面に沿う方向を指す。
【0011】
また、前記清掃部は前記走行部に対し走行方向前方に位置するものとできる。
【0012】
また、前記清掃部は、前記清掃対象領域の清掃を行う際、前記清掃対象領域に一部が当接するワイパ部を備え、前記ワイパ部は、走行方向に対して交わる方向に延びる複数のワイパブレードを有して該複数のワイパブレードが走行方向の前後に並べられて構成され、前記複数のワイパブレードのうち少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレードにおける、前記清掃部の幅方向両端に位置する部分が、前記清掃対象領域が有する凹凸に追随して当接可能とできる。
【0013】
また、前記少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレードにおける、前記清掃部の幅方向両端に位置する部分には、当該ワイパブレードの延長方向に対して交わる方向に延びる切目であって、当該ワイパブレードの延長方向に並ぶ複数の切目が形成されることもできる。
【0014】
また本発明の清掃装置は、洗浄剤を前記清掃対象領域に供給するための洗浄剤供給部を更に備え、前記洗浄剤供給部は、前記洗浄剤を前記清掃部よりも走行方向前方の位置に供給することもできる。
【0015】
また本発明の清掃装置は、前記清掃部は、前記清掃対象領域のうち前記洗浄剤が供給された領域を擦る擦り部と、前記擦り部に対して走行方向後方に位置し、前記清掃対象領域のうち前記擦り部が擦った領域から、少なくとも前記供給された洗浄剤を除去する除去部と、を更に備えることもできる。
【0016】
また、前記除去部として、前記清掃対象領域の清掃を行う際、前記清掃対象領域に一部が当接するワイパ部が用いられることとできる。
【0017】
また、前記走行部はクローラを備え、当該クローラは前記清掃対象領域に接する部分に、走行方向に対して傾斜して延びる滑り止め部を有するものとできる。
【0018】
また本発明の清掃装置は、少なくとも前記走行部を制御する制御部を更に備え、前記制御部は、前記検知部が前記清掃対象領域上に位置していることを検知しなくなった場合に、前記走行部を停止させることもできる。
【0019】
また、前記清掃部は、当該清掃部が前記清掃対象領域に接した状態である清掃可能状態と、前記清掃対象領域から離れた状態である退避状態とに姿勢を転換できる転換部を備えるものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態に係る清掃装置を示す平面図である。
図1B】本発明の一実施形態に係る清掃装置を示す底面図である。
図2A】同清掃装置の左側面図であり、清掃部が清掃可能状態にある場合を示す。
図2B】同清掃装置の左側面図であり、清掃部が退避状態にある場合を示す。
図3A】同清掃装置を示す正面図である。
図3B】同清掃装置を示す背面図である。
図4A】同清掃装置の移動の一例を示す概略図である。
図4B】同清掃装置の移動の一例を示す概略図である。
図4C】同清掃装置の移動の一例を示す概略図である。
図4D】同清掃装置の移動の一例を示す概略図である。
図4E】同清掃装置の移動の一例を示す概略図である。
図5A】本発明の他の実施形態に係る清掃装置を示す左側面図である。
図5B】本発明の他の実施形態に係る清掃装置を示す底面図である。
図5C】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの端部を示す要部拡大図である。
図5D】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの端部が変形した状態を示す、ワイパブレードの平面視における要部拡大図である。
図5E】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの端部が変形した状態を示す、ワイパブレードの端面視における要部拡大図である。
図6A】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの一例を示す。
図6B】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの一例を示す。
図6C】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの一例を示す。
図6D】本発明の他の実施形態に係る清掃装置における、ワイパブレードの一例を示す。
図7】従来の清掃装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明につき一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。本実施形態の清掃装置の清掃対象物はソーラーパネル(図2に符号「P」で示す)であり、清掃対象領域はソーラーパネルPの表面のうち、発電素子が位置する側の面(太陽光を受ける面)である受光面(図2に符号「P1」で示す)の全面に相当する領域である。なお、本実施形態における受光面P1は平面であるが、湾曲面であってもよい。また一般的に、このソーラーパネルPは水平面に対して傾斜して設置されている。
【0022】
本実施形態の清掃装置1は、図1図3に示す外観の自走式の清掃装置である。この清掃装置1は、走行部2、清掃部3、洗浄剤供給部4、制御部9を備え、上方から樹脂製等のカバーに覆われている。図示していないが、この清掃装置1は駆動用のバッテリーを搭載しており、少なくとも清掃実施時には外部からの電源供給を受けることなく走行可能とされている。このため、作業者等が清掃装置1をソーラーパネルP上に設置し、その上で作業員等がスイッチを入れるだけで受光面P1の清掃を開始できる。
【0023】
走行部2は受光面P1を走行する部分である。この走行部2はゴム製のクローラ(無限軌道)21を備える。また、このクローラ21は、その外周部つまり受光面P1に接する部分に、走行方向に対して傾斜して延びる突起である滑り止め部211を有している。この滑り止め部211は、例えば、清掃装置1の走行方向をソーラーパネルPにおける受光面P1の傾斜方向に直交する方向とする場合、クローラ21に前記傾斜方向に平行な突起が設けられた場合に比べ、清掃装置1を滑り落ちにくくできる。
【0024】
この滑り止め部211は、例えば一方向に延びる直線状の突起または溝、クローラ21の幅方向中央で対称となる底面視「V」字状または「U」字状の突起または溝、底面視三角波またはサイン波状の突起または溝が例示できるが、これに限定されず、種々の形状とできる。本実施形態の滑り止め部211は、底面視「V」字状の突起である。
【0025】
清掃部3は、前記走行部2に対して走行方向前方(図1A図1Bにおける右方、以下同じ)に位置し、前記走行部2の走行に伴い受光面P1上を移動しつつ清掃を行う部分である。この清掃部3は走行方向前方に位置する、擦り部としての回転ブラシ部31と、同後方に位置する除去部としてのワイパ部32とを備える。また、回転ブラシ部31よりも走行方向前方側に、清掃部3を支持するための支持車輪33を備える。
【0026】
この清掃部3は、図2Aに示すように回転ブラシ部31が受光面P1に接した状態である清掃可能状態と、図2Bに示すように回転ブラシ部31が受光面P1から離れた状態である退避状態とに姿勢を転換できる。このために清掃部3は転換部10を備える。本実施形態における転換部10は、清掃部3が走行方向に対して直交する方向であり、かつ、受光面P1に平行な方向に延びる回動軸を中心に移動可能に、走行部2に対してヒンジ支持される支持部と、清掃部3を前記清掃可能状態と前記退避状態とに姿勢を転換させるためのモータ、ベルト等の駆動手段(図示しない)と、を備える。この転換部10により、清掃時以外は回転ブラシ部31を受光面P1から離しておくことができるため、回転ブラシ部31が常時受光面P1に当接する構成に比べ、回転ブラシ部31の寿命を延ばすことができる。また、回転ブラシ部31が受光面P1を擦らないため、走行部2による清掃装置1の方向転換をスムーズに行うことができる。また、受光面P1にパネル固定用金具等の突出部、または凹凸、段差等が存在していても、これらから回転ブラシ部31を退避させつつ清掃装置1を移動できる。
【0027】
回転ブラシ部31は、走行方向に対して直交する方向であり、かつ、受光面P1に平行な方向に延びる略円筒状体であって、ブラシ繊維が径方向に延びるよう形成されている。前記走行部2の走行に伴い、この回転ブラシ部31が受光面P1上を回転する。この回転により、回転ブラシ部31のブラシ繊維が受光面P1を擦る。これにより、受光面P1上に付着した汚れを浮き上がらせることができる。
【0028】
またワイパ部32は、受光面P1の清掃を行う際、受光面P1に一部が当接する部分である。このワイパ部32は、前記浮き上がらせた汚れ、及び、後述のように洗浄ノズル41から噴射された洗浄剤(この状態では汚れが混合して泥状となっている)を、回転ブラシ部31の通過した領域から除去するために設けられている。このワイパ部32はゴム製の細長い板状体を有し、この板状体が前記回転ブラシ部31と平行であり、かつ、当該板状体の基端部から先端部に向かうにつれ、斜め後方に延びるように配置されている。このワイパ部32の先端部321は、清掃部3が図2Aに示すように清掃可能状態にある場合は受光面P1に接している。前記走行部2の走行に伴い、清掃部3が走行方向前方に移動すると、前記浮き上がった汚れ等が、受光面P1のうちワイパ部32が通過した領域から押しのけられる。この押しのけられた汚れ等は、ソーラーパネルPが傾斜していることにより、受光面P1から自然に流れ落ちる。なお、本実施形態のワイパ部32は清掃部3において固定的に位置しているが、これに限定されず、清掃部3において回転や往復動をするよう位置していてもよい。また、回転ブラシ部31に対してワイパ部32をどの程度離して設けるかは、除去する汚れの種類やどの程度の清掃をなすかに応じ、適宜設定できる。
【0029】
図1Bに示すように、清掃部3(具体的には回転ブラシ部31)の幅方向寸法W3は走行部2(具体的には1組のクローラ21,21)の幅方向寸法W2よりも大きい。このため、走行部2の幅方向における軌跡に比べ、清掃部3は広い範囲を清掃できる。このため、清掃部3を受光面P1の端縁まで至らせることにより、受光面P1を隅々まで清掃できる。
【0030】
また、清掃部3が走行部2に対し走行方向前方に位置する場合にあっては、清掃部3によって汚れが除去された後の清浄な受光面P1を走行部2が走行する。ここで、特許文献1に記載の清掃装置100では、回転ブラシ103により清掃される前の受光面(図7には図示せず)に4足歩行手段102が接するため、受光面と4足歩行手段102との間に汚れの粒子が介在することにより、4足歩行手段102がスリップする場合がある。また、回転ブラシにより清掃された後の受光面P1が汚れた4足歩行手段102によって再度汚されてしまう可能性もあった。これに対し、本実施形態の清掃装置1では、清浄な受光面P1を走行部2が走行する。このため、受光面P1と走行部2のクローラ21との間に汚れの粒子または洗浄剤が介在することによりクローラ21のグリップ力が低下してしまい、走行部2をスリップさせるようなことが発生せず、走行部2が受光面P1上を確実に走行する。また、清掃部3によって清掃した後の受光面P1が、汚れた走行部2によって再度汚されてしまうこともない。
【0031】
ここで、受光面P1上で清掃装置1がどのように移動するか、一例を図4に示す。図4Aは、清掃装置1が図示右方向へ直線状に前進してきた様子を示す。なお、図示では明らかでないが、図上の上側が高く、下側が低くなるように受光面P1が配置されており、図示左右方向は受光面P1の傾斜に直交する方向としている。図4Aの状態が受光面P1の端部(右端)に清掃部3が達した状態であるとすると、まず、図4Bに示すように、清掃装置1は図示左方向に所定距離分後退する。この場合の後退距離は、図示下方向に清掃装置1をずらせることのできる距離で足りる。その後、図4Cに示すように、清掃装置1は図示右下方向へと斜め前進する。そして図4Dに示すように、清掃装置1は180°方向転換する。なお、図4Dには示していないが、この際、清掃部3は図2Bに示す退避状態とされる。そして、図4Eに示すように、清掃装置1が図示左方向へ直線状に前進していく。このように、前進と方向転換とを繰り返すことにより、受光面P1の全面に対して清掃部3がカバーできる。これにより、例えば受光面P1が長方形状であるソーラーパネルPであっても、図4Aに示すように受光面P1の隅部まで清掃部3(回転ブラシ部31及びワイパ部32)を到達させることができるため、従来のような清掃残しが発生することなく、受光面P1を隅々まで清掃できる。
【0032】
なお、図4A図4Eに示した例のほか、例えば、図4Aの状態の後に時計回りに90°方向転換し、次に図示下方向に所定距離(例えば清掃部3の幅方向寸法W3分に略一致する距離)前進し、次に時計回りに90°方向転換し、次に図示左方向へ直線状に前進していくように清掃装置1を移動させることもできる。このように、清掃装置1の移動態様は適宜決定できる。
【0033】
回転ブラシ部31は、本実施形態の、ブラシ繊維が径方向に延びるよう形成されたものに限定されず、スポンジ状、モップ状、布状であってもよい。また、本実施形態では、回転ブラシ部31が走行方向に対して直交する方向であり、かつ、受光面P1に平行な方向に延びる略円筒状体であるが、形状はこれに限定されない。例えば、走行方向に対して斜め方向に延びるものであってもよい。また、受光面P1に対して直交する方向に延びる軸を中心に回転するディスク状のものであってもよい。
【0034】
洗浄剤供給部4は、図3Aに示すように、清掃装置1における前面2箇所に形成された洗浄ノズル41を備える。この洗浄剤供給部4は、清掃装置1の内部に位置する洗浄剤タンク(図示しない)から供給された液体状の洗浄剤をこの洗浄ノズル41から走行方向前方に噴射して受光面P1に供給する。洗浄ノズル41からの洗浄剤の噴射範囲は、洗浄剤が受光面P1に付着するところで、幅方向寸法にて清掃部3(具体的には回転ブラシ部31)の幅方向寸法W3に略一致するよう設定しておくことが、回転ブラシ部31による受光面P1上に付着した汚れの浮き上がりを確実にできるため望ましい。
【0035】
洗浄剤供給部4により受光面P1に供給する洗浄剤としては、例えば、水、界面活性剤が混合された水、アルコール等の有機溶剤が例示できる。環境に配慮し、生分解性の良好な洗浄剤(例えば市販の中性洗剤で生分解性の良好なもの)を用いることも好ましい。また、洗浄剤は本実施形態のような液体状のものに限定されず、例えば固体であってもよい。固体の洗浄剤としては、汚れを表面に吸着できる樹脂の粉末(ただし、清掃後に粉末の回収工程が必要である)、またはドライアイスの細粒(蒸発するため清掃後の回収不要)が挙げられる。
【0036】
また、受光面P1への洗浄剤の供給は、前記噴射に限らず、例えば滴下や塗布等によってもよい。また、例えば洗浄剤供給部4が回転ブラシ部31と組み合わせられており、洗浄剤が回転ブラシ部31に対して供給されるよう構成されていてもよい。
【0037】
制御部9は、清掃装置1の各部、特に走行部2及び清掃部3を制御する部分である。具体的には、清掃装置1が備える検知部としての落下防止センサ5、及び、前方誘導部6の検知結果を基に制御部9が走行部2及び清掃部3を制御する。
【0038】
落下防止センサ5は、図1Bに示すように、走行部2の端部、具体的にはクローラ21の幅方向における更に外側に4箇所備えられ、更に、清掃装置1の走行方向における前方に1箇所備えられている。この落下防止センサ5は、当該センサの下方にソーラーパネルPの受光面P1が位置していること、つまり、落下防止センサ5が受光面P1上に位置していることを検知する赤外線センサである。なお、落下防止センサ5は赤外線センサに限定されず、機械的な接触スイッチであってもよい。
【0039】
前記制御部9は、落下防止センサ5が受光面P1上に位置していることを検知しなくなった場合、つまり、落下防止センサ5が受光面P1上から外れた場合に、前記走行部2(具体的には走行部2におけるモータ等の駆動部)を停止させる。本実施形態では、前記5箇所のうち少なくとも1箇所の落下防止センサ5が前記のようになった場合、制御部9は走行部2を停止させる。これにより、清掃装置1はソーラーパネルPにおける受光面P1の端部で必ず停止するので、清掃装置1がソーラーパネルPから落下して破損すること、または、清掃装置1が受光面P1を踏み外して引っ掛かりが生じることで走行不能となることを防止できる。そして、落下防止センサ5が受光面P1上に位置していることを検知しなくなった場合には、その箇所から走行部2を後退させたり、走行方向を転換したりする等の適切な制御を行うことができる。
【0040】
また、前方誘導部6は、図3Aに示すように、清掃装置1における前面の、幅方向中央に位置している。前記前面には窓部61が形成されており、この窓部61の内部にカメラ(赤外線対応)と赤外線LEDとが設けられている。カメラは、例えばソーラーパネルPの外縁に位置する支持枠、受光面P1の端縁、受光面P1上に形成された線等を可視光画像または赤外線画像としてとらえることができる。そして、赤外線LEDは夜間において受光面P1に対して赤外線を照射する。この前方誘導部6により得られた画像を基に、制御部9は走行部2を制御することができる。カメラの撮像範囲に関しては、当該カメラが少なくともソーラーパネルPの支持枠をとらえることができればよく、走行部2の制御のために必要な範囲で広狭を任意に設定できる。また、広角レンズを備えたカメラを用いることもできる。
【0041】
前記の他、図1Bに示すように、清掃装置1の走行方向における前方3箇所には衝突センサ7が設けられている。この衝突センサ7はバンパー8に覆われている。バンパー8が異物等に衝突して衝突センサ7が検知状態になった場合、制御部9は前記走行部2を停止させる。これにより、清掃装置1の破損、または、ソーラーパネルPの破損を防止できる。
【0042】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、図5A及び図5Bに示すように、ワイパ部32は、走行方向に対して交わる方向に延びる複数(2枚以上)のワイパブレード32a,32bを有して該複数のワイパブレード32a,32bが走行方向の前後に並べられて構成されたものとできる。図示の例では、ワイパ部32が走行方向に対して直交する方向に延びている。そしてワイパ部32は、所定の間隔をもって平行に配置された2枚のワイパブレード32a,32bにより構成されている。各ワイパブレード32a,32bは前記実施形態における単体のワイパ部32と略同一形状を呈する、ゴム製の細長い板状体である。
【0044】
このように、ワイパ部32が複数のワイパブレード32a,32bから構成されたことにより、回転ブラシ部31により受光面P1上に浮き上がった汚れや、洗浄ノズル41から噴射された洗浄剤のうち、前方側ワイパブレード32aが除去しきれなかった分を、後方側ワイパブレード32bが除去できる。よって、ワイパ部32が前記汚れや洗浄剤を除去する効率を向上できる。
【0045】
更に、複数のワイパブレード32a,32bのうち少なくとも前方側ワイパブレード32aにおける、清掃部3の幅方向両端に位置する部分である延長方向両端部322,322が、ソーラーパネルPが有する凹凸P3に追随して当接可能に構成されている。具体的に、図5Cに示すように、前方側ワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322には、当該ワイパブレード32aの延長方向に対して交わる方向に延びる切目323…323であって、当該ワイパブレード32aの延長方向に並ぶ複数の切目323…323が形成されている。凹凸P3は、例えば、受光面P1の端縁部とソーラーパネルPの外縁に位置する支持枠との間の段差である。なお、後方側ワイパブレード32bについては、前記実施形態のように切目323が形成されなくても、前方側ワイパブレード32aと同様に切目323…323が形成されていてもよい。
【0046】
この構成によれば、前方側ワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322が切目323…323により延長方向に分断されているので、延長方向中央部324に比べて剛性が小さいことにより変形しやすい。このため、延長方向両端部322,322のうち凹凸P3に一致する部分が図5D及び図5Eに示すように湾曲し、凹凸P3に追随して当接可能であるから、延長方向両端部322,322を凹凸P3に確実に追随させることができる。
【0047】
特に、前方側ワイパブレード32aは、延長方向両端部322,322に切目323…323が形成されて変形しやすいため、後方側ワイパブレード32bよりも先に受光面P1に当接する前方側ワイパブレード32aによる、前記汚れや洗浄剤を除去する効率を向上できる。
【0048】
図5A〜Eに示した例では、前方側ワイパブレード32aは、切目323…323が形成されて変形しやすくされているがこれに限定されない。例えば、図6Aに示すように、前方側ワイパブレード32aにおいて延長方向中央部324を省略し、延長方向両端部322,322のみを2枚の板状体として別々に形成することもできる。また、図6Bに示すように、ワイパ部32が1枚のワイパブレード32aのみを有し(つまり、ワイパ部32が前方側ワイパブレード32aのみから構成されている)、このワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322が、前記前方側ワイパブレード32aと同じく、複数の切目323…323により形成することもできる。また、図6Cに示すように、前方側ワイパブレード32aの、延長方向中央部324をソーラーパネルPに当接しないよう幅寸法を延長方向両端部322,322よりも小さく形成することもできる。また、図6Dに示すように、前方側ワイパブレード32a及び後方側ワイパブレード32bの両方に切目323…323を形成することもできる。この場合、前方側ワイパブレード32aの切目323…323と後方側ワイパブレード32bの切目323…323とを各ワイパブレード32a,32bの平面視で一致させず、例えば交互に形成することもできる。なお、図示はしないが、前記図6Dの例を変形し、後方側ワイパブレード32bの更に後方に切目323が形成されないワイパブレード、または、切目323…323が形成されたワイパブレードを配置することもできる。
【0049】
また、延長方向両端部322,322の板厚を延長方向中央部324よりも小さくしたり、延長方向両端部322,322に複数の貫通穴を形成したりすることにより、延長方向中央部324に比べて剛性を小さくすることもできる。また、前方側ワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322を、ゴム製である延長方向中央部324とは独立させて、ブラシやスポンジから形成することもできる。また、前方側ワイパブレード32aと後方側ワイパブレード32bの両方が、凹凸P3に追随して当接可能に構成されていてもよいし、後方側ワイパブレード32bだけが、凹凸P3に追随して当接可能に構成されていてもよい。
【0050】
前記実施形態の清掃装置1は自走式であり、作業者等が清掃装置1をソーラーパネルP上に置くだけで清掃可能に構成されているが、これに限定されない。例えば、走行部2と清掃部3とを備えたユニットには制御部9が備えられておらず、当該ユニットがアーム等により支持されており、このアーム等が操作されて前記ユニットの移動方向が決められるよう構成されていてもよい。また、外部の電源から有線または無線給電により清掃装置1に電力を供給するものであってもよい。また、走行部2の駆動源についても電気駆動のモータに限定されず、内燃機関、油圧駆動装置、空気圧駆動装置等を用いることができる。
【0051】
また走行部2は、クローラ(無限軌道)21を備えた走行手段に限定されず、車輪(数量も限定されない)を備えた走行手段、または、特許文献1に記載されたような歩行手段とすることもできる。
【0052】
また清掃部3は、走行部2に対して走行方向後方(図1A図1B上の左方)に位置させることもできる。また、走行部2に対して走行方向前方及び後方の両方に位置させることもできる。
【0053】
更に清掃部3は、前記実施形態の回転ブラシ部31のように受光面P1を擦る手段と、ワイパ部32のように回転ブラシ部31により受光面P1から浮き上げられた汚れ及び洗浄剤を押しのける手段とは別の構成とすることもできる。例えば、真空吸引手段、高圧洗浄手段が挙げられる。また、受光面P1上を前記擦る手段または押しのける手段と共に前記真空吸引手段または高圧洗浄手段を備えてもよい。また、回転ブラシ部31のブラシ繊維に付着した汚れを除去するためのクリーニング装置を備えることもできる。
【0054】
また、本発明の清掃装置1は、前記実施形態のようなソーラーパネルPの清掃に限定されず、種々の清掃対象物に適用が可能である。また、清掃対象物がソーラーパネルPの場合でも、「メガソーラー」等の太陽光発電設備における多数のソーラーパネルPに限定されず、例えば一般家庭の屋根に設置された、比較的少数のソーラーパネルPとすることもできる。
【0055】
以上の説明をまとめて記載する。本実施形態の清掃装置1は、清掃対象物(ソーラーパネルP)表面における所定領域である清掃対象領域(受光面P1)を走行する走行部2と、前記走行部2に対して走行方向前方または後方に位置し、前記走行部2の走行に伴い前記清掃対象領域(受光面P1)を移動しつつ当該清掃対象領域(受光面P1)の清掃を行う清掃部3と、を備え、前記走行方向に対して直交する方向であり且つ前記清掃対象領域(受光面P1)に平行な方向である幅方向寸法につき、前記清掃部3の幅方向寸法W3は前記走行部2の幅方向寸法W2よりも大きい。
【0056】
この構成によれば、前記清掃部3の幅方向寸法W3は前記走行部2の幅方向寸法W2よりも大きい。つまり、前記走行部2の軌跡よりも幅方向外側に、前記清掃部3の軌跡を位置させることができる。このため、前記清掃部3を前記清掃対象領域(受光面P1)の端縁に位置させることが可能である。
【0057】
また、前記清掃部3は前記走行部2に対し走行方向前方に位置するものとできる。この構成によれば、前記清掃部3によって汚れが除去された後の前記清掃対象領域(受光面P1)を走行部2が走行する。このため、前記走行部2がスリップしにくくなり、前記走行部2が前記清掃対象領域(受光面P1)を確実に走行できる。
【0058】
また、前記清掃部3は、前記清掃対象領域(受光面P1)の清掃を行う際、前記清掃対象領域(受光面P1)に一部が当接するワイパ部32を備え、前記ワイパ部32は、走行方向に対して交わる方向に延びる複数のワイパブレード32a,32bを有して該複数のワイパブレード32a,32bが走行方向の前後に並べられて構成され、前記複数のワイパブレード32a,32bのうち、少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレード32aにおける、前記清掃部3の幅方向両端に位置する部分(延長方向両端部322,322)が、前記清掃対象物(ソーラーパネルP)が有する凹凸P3に追随して当接可能とできる。
【0059】
この構成によれば、少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322が、前記清掃対象物(ソーラーパネルP)が有する凹凸P3に追随して当接可能であるから、延長方向両端部322,322が前記清掃対象物(ソーラーパネルP)の有する凹凸P3に確実に追随する。
【0060】
また、前記少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレード32aにおける、前記清掃部の幅方向両端に位置する部分(延長方向両端部322,322)には、当該ワイパブレード32aの延長方向に対して交わる方向に延びる切目323…323であって、当該ワイパブレード32aの延長方向に並ぶ複数の切目323…323が形成されることもできる。この構成によれば、前記少なくとも走行方向前方に位置するワイパブレード32aにおける延長方向両端部322,322が切目323…323により延長方向に分断されているので、延長方向両端部322,322が変形しやすい。このため、延長方向両端部322,322が前記清掃対象物(ソーラーパネルP)の有する凹凸P3に確実に追随する。
【0061】
また本実施形態の清掃装置1は、洗浄剤を前記清掃対象領域(受光面P1)に供給するための洗浄剤供給部4を更に備え、前記洗浄剤供給部4は、前記洗浄剤を前記清掃部3よりも走行方向前方の位置に供給することもできる。この構成によれば、前記洗浄剤供給部4から前記清掃対象領域(受光面P1)に供給された洗浄剤により、前記清掃対象領域(受光面P1)を確実に清掃できる。
【0062】
また本実施形態の清掃装置1は、前記清掃部3は、前記清掃対象領域(受光面P1)のうち前記洗浄剤が供給された領域を擦る擦り部(回転ブラシ部31)と、前記擦り部(回転ブラシ部31)に対して走行方向後方に位置し、前記清掃対象領域(受光面P1)のうち前記擦り部(回転ブラシ部31)が擦った領域から、少なくとも前記供給された洗浄剤を除去する除去部(ワイパ部32)と、を更に備えることもできる。
【0063】
この構成によれば、前記洗浄剤供給部4から前記清掃対象領域(受光面P1)に供給された洗浄剤が前記除去部(ワイパ部32)により前記清掃対象領域(受光面P1)のうち前記擦り部(回転ブラシ部31)が擦った領域から除去される。よって、前記清掃部3によって清掃された後の洗浄剤が走行部2に付着して、前記走行部2がスリップすることを抑制できる。
【0064】
また、前記走行部2はクローラ21を備え、当該クローラ21は前記清掃対象領域(受光面P1)に接する部分に、走行方向に対して傾斜して延びる滑り止め部211を有するものとできる。この構成によれば、前記清掃対象領域(受光面P1)が傾斜していても、前記清掃装置1が前記清掃対象領域(受光面P1)において下方にずれたり、前記清掃対象物(ソーラーパネルP)から落下したりすることを抑制できる。
【0065】
また本実施形態の清掃装置1は、検知部(落下防止センサ5)と、少なくとも前記走行部2を制御する制御部9と、を更に備え、前記検知部(落下防止センサ5)は少なくとも前記走行部2の幅方向端部に位置し、当該検知部(落下防止センサ5)が前記清掃対象領域(受光面P1)上に位置していることを検知するものであり、前記制御部9は、前記検知部(落下防止センサ5)が前記清掃対象領域(受光面P1)上に位置していることを検知しなくなった場合に、前記走行部2を停止させることもできる。
【0066】
この構成によれば、前記制御部9は、前記検知部(落下防止センサ5)が前記清掃対象領域(受光面P1)上に位置していることを検知しなくなった場合に、前記走行部2を停止させる。このため、前記走行部2が前記清掃対象領域(受光面P1)から外れてしまうことを抑制できる。よって、前記清掃装置1が前記清掃対象物(ソーラーパネルP)から落下することや、前記走行部2の一部が前記清掃対象物(ソーラーパネルP)から落下して引っ掛かりが生じることで走行部2が走行不能となることを抑制できる。
【0067】
また、前記清掃部3は、当該清掃部3が前記清掃対象領域(受光面P1)に接した状態である清掃可能状態と、前記清掃対象領域(受光面P1)から離れた状態である退避状態とに姿勢を転換できる転換部10を備えるものとできる。この構成によれば、清掃時以外は清掃部3を清掃対象領域(受光面P1)から離しておくことができるため、清掃部3の寿命を延ばすことができる。また、清掃装置1の方向転換をスムーズに行うことができる。また、清掃対象領域(受光面P1)に突出部、凹凸、段差等が存在していても、これらから清掃部3を退避させつつ清掃装置1を移動できる。
【0068】
以上、本実施形態の清掃装置1は、前記清掃部3を清掃対象領域(受光面P1)の端縁に位置させることが可能である。このため、本実施形態の清掃装置1は清掃対象領域(受光面P1)を隅々まで清掃できる。
【符号の説明】
【0069】
1 清掃装置
2 走行部
21 クローラ(無限軌道)
211 滑り止め部
3 清掃部
31 擦り部、回転ブラシ部
32 除去部、ワイパ部
32a 前方側ワイパブレード
32b 後方側ワイパブレード
322 清掃部の幅方向両端に位置する部分、延長方向両端部
323 切目
4 洗浄剤供給部
5 検知部、落下防止センサ
9 制御部
W2 走行部の幅方向寸法
W3 清掃部の幅方向寸法
P 清掃対象物、ソーラーパネル
P1 清掃対象領域、受光面
P3 凹凸
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7