(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の形態で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
<第1の形態>
まず、第1の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図2(A)及び(B)は、第1の形態に係る電池システムにおいて液体の供給を行う際の動作及び液体の回収を行う際の動作を模式的に示す説明図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本形態の電池システム1は、カートリッジ型ユニットAと、電池制御部Bと、液体供給部Cと、除去部Dとを含む。
【0013】
そして、カートリッジ型ユニットAは、貯留容器10と複数のセルからなる組電池である電池20とを一体又は別体で含み、貯留容器10及び電池20のいずれか一方又は双方が、貯留容器10と電池20とを接続する液体流路30を備えている。なお、詳しくは後述する電池20は、正極と負極とフレーム部材とを備え、正極及び負極が、正極、負極及びフレーム部材で囲まれた電解液収容部を介して対向する構造を有し、電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を電解液収容部に供給することによって成立するものである。また、本形態においては、液体流路30が電池20の底部及び貯留容器10の底部に接続されている。更に、本形態においては、液体流路30が貯留容器10及び電池20に内包される、換言すれば液体流路30がカートリッジ型ユニットAの内部に形成されている。
【0014】
また、上記電池制御部Bは、カートリッジ型ユニットAを貯留容器10と電池20とを一体又は別体として装脱可能な装着部40を備えている。なお、本形態においては、電池制御部Bは、液体供給部Cの駆動部50としてのモータ51を備えている。
【0015】
更に、上記液体供給部Cは、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給を行うものである。なお、本形態においては、液体供給部Cは、モータ51と、モータ51により駆動されるロータ52A及びローラ52Bと、液体流路30と、貯留容器10とから構成されるチューブポンプ52とを備えている。そして、具体的には、ポンプヘッドとして機能する貯留容器10とモータ51の図示しない回転子に接続されたロータ52Aに取り付けられたローラ52Bとの間に液体流路30のチューブ部30Aを挟み込み、
図2(A)において矢印Xで示すように、ロータ52Aが左回りに回転することにより、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給が行われる。また、本形態においては、駆動部50としてのモータ51が逆に駆動することにより、
図2(B)において矢印Yで示すように、ロータ52Aが右回りに回転して、液体流路30を介して、電池20から貯留容器10への液体の回収が液体供給部Cにより行われる。更に、図示しないが、電解液収容部は、例えば、開閉可能な空気抜け部を有していてもよい。また、電池が空気電池である場合には、正極に設けられる液密通気層を空気抜け部として利用することもできる。
【0016】
また、上記除去部Dは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去するものであって、電池20の底部に接続される液体流路30を含む液体供給部Cを有している。
【0017】
上述のように、酸化析出物を除去する所定の除去部を備えた構成とすることにより、電池の起動性や容量、出力の向上を図ることができる。つまり、液体流路が電池の底部に接続されているため、液体供給部が駆動することにより、電解液収容部に生成する酸化析出物に下方から液体が供給され、酸化析出物を除去する除去部として機能することができる。酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、底部から液体を供給することにより、その除去が容易となる。また、液体供給の初期に発生する水素の除去にも有効である。その結果、電池の起動性を向上させることができる。また、小型化が可能であるため、容量及び出力の向上を図ることもできる。
【0018】
そして、本形態の電池システムのように、駆動部を電池制御部に設けることによって、電池を含む取り扱い容易なカートリッジ型ユニットにおいて、例えば、モータなどの部品を設ける必要がなく、部品点数を低減できるため、小型化や軽量化、低コスト化を図ることができ、更に、耐久性向上の障害となる部位が簡単に交換可能な構造となったため、電池システム自体の耐久性向上を図ることができる。また、電池の底部に接続された液体流路を介して、液体供給部により液体の自由な供給・回収が可能となり、起動・停止の制御が容易になるという利点もある。
【0019】
なお、本形態においては、電池として複数のセルからなる組電池を適用した場合を一例に挙げて説明したが、電池として1つのセルからなる単電池を適用した場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0020】
また、本形態においては、カートリッジ型ユニットに液体供給部の駆動部としてのモータを設けない場合を一例に挙げて説明したが、カートリッジ型ユニットにモータを設け、他の部品を設けない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体供給部に適用される部品のうち、駆動部としてのモータは、相対的に体積や重量が大きく、コストも高いため、カートリッジ型ユニットから除去することは好適である。
【0021】
更に、本形態においては、液体流路が貯留容器の底部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器の底部に接続されていることにより、貯留容器から電池へ液体を供給する際に、貯留容器内の空気が入り込まないようにすることが可能となる。
【0022】
また、本形態においては、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている構成とすることにより、シンプルな構造とすることができ、耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0023】
更に、本形態においては、電池を保管する際に、液体が貯留容器にのみ存在していることが好適である。このような構成とすることにより、電池の劣化を抑制しながら長期保存することができる。
【0024】
ここで、各構成について更に詳細に説明する。
【0025】
上記貯留容器10は、電解液及び電解液を調製するための溶媒のいずれか一方又は双方の液体を貯留するものであれば、特に限定されるものではない。
【0026】
そして、上記電解液としては、例えば、電解質支持塩とこれを溶解する溶媒とを含むものを挙げることができる。なお、電解質支持塩としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。また、溶媒としては、例えば、水、有機溶媒などを挙げることができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、例えば、空気電池に適用される従来公知の電解液を適用することが好ましい。空気電池は、体積当たりのエネルギー密度が高く、高容量であり、補助電池として車両への搭載が好適であるが、電池の種類はこれに限定されるものではなく、例えば、アルカリ電池であってもよい。空気電池の中では、取り扱いが容易であるなどの観点から、塩化ナトリウム水溶液を電解液とする塩水電池が好適である。更に、液体が溶媒である場合には、図示しないが、電解液を調製するための支持塩を詳しくは後述する電解液収容部の内部に予め保持させておく構成としてもよく、また、図示しないが、支持塩を貯蔵する貯蔵容器を別に有する構成としてもよい。
【0027】
また、上記電池20は、正極と負極とフレーム部材とを備え、正極及び負極が、正極、負極及びフレーム部材で囲まれた電解液収容部を介して対向する構造を有し、電解液及び電解液を調製するための溶媒の少なくとも一方の液体を電解液収容部に供給することによって成立するものであれば、特に限定されるものではない。なお、電池は、例えば、1つの正極と1つの負極とが対向した構造を有するいわゆるシングルセル構造を有するものであってもよく、2つの正極の間に1つの負極が配置され、正極と負極とが対向した構造を有するいわゆるバイセル構造を有するものであってもよい。
【0028】
ここで、電池について若干の例を図示して説明する。しかしながら、本発明が、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0029】
図3(A)〜(C)は、第1−1〜第1−3の例に係る電池を模式的に示す断面図である。具体的には、
図3(A)は、
図1に示した電池のZ−Z線に沿った模式的な断面図である。
図3(B)及び(C)は、
図1に示したZ−Z線と同様の位置の線に沿った模式的な断面図である。
図3(A)〜(C)に示すように、電池(20,20A,20B)は、フレーム部材21Cと、フレーム部材21Cの紙面奥側及び紙面手前側に配置される正極21A及び負極21Bとを備えている。なお、図中の破線Xで囲まれた部位は、正極21A及び負極21B(電極)が対向している電極対向部を示す。そして、正極21A及び負極21Bは、正極21A、負極21B及びフレーム部材21Cで囲まれた電解液収容部21aを介して対向する構造を有している。また、電解液収容部21aには、電解液流入部21b及び電解液排出部22cが接続されている。
【0030】
そして、
図3(A)に示すように、第1−1例の電池20においては、電解液収容部21aに特に何も備えていない。一方、
図3(B)及び(C)に示すように、第1−2例及び第1−3例の電池20A,20Bにおいては、電解液収容部21aにおいて、電解液流入部21bと電解液排出部21cとの間に、電解液収容部21a内での電解液の流れの偏りを抑制する偏り抑制構造部材22を備えている。
【0031】
上述のような構成を有するため、第1−2例及び第1−3例の電池20A,20Bにおいては、セル内圧損が増加して流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、反応により生成する酸化析出物などをより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。特に、高出力化するために電極間距離を削減する場合には、流れの偏りの抑制や酸化析出物の除去、後述する短絡防止などの観点から好ましい。一方、第1−1例の電池20においては、流れの偏りを無くすことができず、点線矢印Sで示すように電解液の流れを速くすることができない。
【0032】
また、第1−2例の電池20Aにおいては、偏り抑制構造部材22が、複数の柱状部材から構成されている。このような構成によっても、流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物を除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、複数の柱状部材には、電池の作製を容易とするという観点から、複数の柱状部材の全部が一部でつながっている場合を含む。
【0033】
一方、第1−3例の電池20Bにおいては、偏り抑制構造部材22が、複数の板状部材から構成されている。このような構成によっても、流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、図示しないが、偏り抑制構造部材が1つの板状部材から構成されている場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。また、板状部材から構成されている偏り抑制構造部材は形成し易いという利点もある。
【0034】
また、本例においては、偏り抑制構造部材22である複数の板状部材がフレーム部材21Cと一体となっている。このような構成とすることにより、偏り抑制構造部材を容易に作製することができると共に、流れの偏りが抑制され、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、図示しないが、偏り抑制構造部材である複数の板状部材がフレーム部材と別体となっている場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0035】
更に、本例においては、偏り抑制構造部材22が、電解液の流れが分岐する部分を電解液収容部21a内に形成していない。このような構成とすることにより、セル内圧損がより増加して流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れを更に速くすることができる。その結果、酸化析出物を更に除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。
【0036】
また、
図3(A)〜(C)に示すように、第1−1例〜第1−3例の電池においては、電解液収容部21aの外形が板状形状であることが好適である。このような構成とすることにより、板状形状の厚み方向での流れの偏りが抑制され、実線矢印Fで示すように電解液の流れを更に速くすることができる。なお、図示しないが、電解液収容部の外形が板状形状でない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0037】
更に、
図3(A)〜(C)に示すようなセルが複数積層されてなる組電池である電池20においては、複数の電解液流入部21b及び複数の電解液排出部21cの一方又は双方が、組電池の複数のフレーム部材21C内に亘るマニホールド構造をそれぞれ有していることが好適である。このような構成とすることにより、組電池の作製が容易となり、更に耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0038】
ここで、各構成について更に詳細に説明する。
【0039】
上記正極21Aは、例えば、電池が空気電池である場合には、酸素の酸化還元触媒を含み、必要に応じて添加される触媒を担持する導電性の担体を含んでいるものを適用することができる。なお、図示しないが、電池が空気電池である場合には、正極は、通気空間側に電解液収容部に充填される電解液の漏液を抑制ないし防止する導電性撥水層などの液密通気層を有する。導電性撥水層は、電解液に対する液密性(例えば、水密性)と、酸素に対する通気性を備え、電解液が外部に漏出するのを抑制ないし防止する一方、正極への酸素供給を可能にする機能を有するものであって、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂やポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などの撥水性多孔質樹脂と黒鉛などの導電性材料からなるものを好適に用いることができる。
【0040】
そして、触媒としては、例えば、二酸化マンガンや四酸化三コバルトなどの金属酸化物、炭素(C)、更には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)等の金属、これらの合金や酸化物などから選択することができる。
【0041】
また、触媒の形状や大きさは、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒と同様の形状及び大きさを採用することができる。ただし、触媒の形状は、粒状であることが好ましい。
【0042】
更に、担体は、上記触媒を担持するための担体として、また、触媒と他の部材との間での電子の授受に関与する電子伝導パスとして機能する。担体としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子伝導性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであることが好ましい。担体としては、具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。
【0043】
また、担体の大きさについても特に限定されるものではなく、従来公知の担体と同様の大きさを採用することができる。
【0044】
なお、上記した触媒や、これを担持する担体の種類については、上記したものだけに限定されるものではなく、例えば、空気電池に適用される従来公知の材料を適宜使用することができることは言うまでもない。
【0045】
また、上記負極21Bは、例えば、標準電極電位が水素より卑な金属単体や、これら金属を含む合金が好適に用いられる。このような金属単体としては、例えば亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)などを挙げることができる。また、合金としてはこれらの金属元素に1種以上の金属元素又は非金属元素を加えたものを挙げることができる。その中でも、マグネシウムやアルミニウムのような軽金属を適用したものが好ましく、マグネシウムを適用したものが特に好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、例えば、空気電池に適用される従来公知の材料を適用することができる。なお、比重が相対的に低い軽金属を適用した場合、詳しくは後述するが、電解液収容部の上部において酸化析出物を滞留させて、回収し易いため好ましい。また、マグネシウムを適用した場合、酸化析出物の生成量が多いので、上述のような除去部を設けることが特に有効である。
【0046】
更に、上記フレーム部材21Cは、例えば、樹脂のような電気絶縁性の材料からなるものを適用することが好ましい。また、正極21Aと負極21Bとが対向するように、これらを離間して接合し、正極21Aと負極21Bとの間に電解液収納部21aを形成するものであるため、液密性を有するものであることが好適である。
【0047】
更にまた、上記偏り抑制構造部材22は、フレーム部材と一体となって作製することが好ましいため、フレーム部材と同様の材料からなるものを適用することが好ましいが、特に限定されるものではない。また、正極と負極との間に配設されるため、短絡防止という観点から、電気絶縁性の材料からなるものを適用することが好ましい。
【0048】
次に、
図4(A)〜(C)は、第1−4〜第1−6の例に係る電池を模式的に示す断面図である。具体的には、
図4(A)〜(C)は、
図1に示したZ−Z線と同様の位置の線に沿った模式的な断面図である。なお、上記の例において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図4(A)〜(C)に示すように、電池(20C,20D,20E)は、フレーム部材21Cと、フレーム部材21Cの紙面奥側及び紙面手前側に配置される正極21A及び負極21Bとを備えている。なお、図中の破線Xで囲まれた部位は、正極21A及び負極21B(電極)が対向している電極対向部を示す。一方、図中の破線Yで囲まれた部位は、正極21A及び負極21B(電極)が対向していない電極非対向部を示す。そして、正極21A及び負極21Bは、正極21A、負極21B及びフレーム部材21Cで囲まれた電解液収容部21aを介して対向する構造を有している。また、電解液収容部21aには、電解液流入部21b及び電解液排出部22cが接続されている。
【0049】
そして、
図4(A)に示すように、第1−4例の電池20Cにおいては、電解液収容部21aに特に何も備えていない。一方、
図4(B)及び(C)に示すように、第1−5例及び第1−6例の電池20D,20Eにおいては、電解液収容部21aにおいて、電解液流入部21bと電解液排出部21cとの間に、電解液収容部21a内での電解液の流れの偏りを抑制する偏り抑制構造部材22を備えている。
【0050】
上述のような構成を有するため、第1−5例及び第1−6例の電池20D,20Eにおいては、流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。一方、第1−4例の電池20Cにおいては、流れの偏りを無くすことができず、点線矢印Sで示すように電解液の流れを速くすることができない。
【0051】
また、第1−5例の電池20Dにおいては、偏り抑制構造部材22が、複数の柱状部材から構成されている。このような構成によっても、流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、複数の柱状部材には、電池の作製を容易とするという観点から、複数の柱状部材の全部が一部でつながっている場合を含む。
【0052】
一方、第1−6例の電池20Eにおいては、偏り抑制構造部材22が、複数の板状部材から構成されている。このような構成によっても、流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、図示しないが、偏り抑制構造部材が1つの板状部材から構成されている場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0053】
また、本例においては、偏り抑制構造部材22である複数の板状部材がフレーム部材21Cと一体となっている。このような構成とすることにより、偏り抑制構造部材を容易に作製することができると共に、流れの偏りが抑制され、実線矢印Fで示すように電解液の流れをより速くすることができる。その結果、酸化析出物をより除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。なお、図示しないが、偏り抑制構造部材である複数の板状部材がフレーム部材と別体となっている場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0054】
更に、本例においては、偏り抑制構造部材22が、電解液の流れが分岐する部分を電解液収容部21a内に形成していない。このような構成とすることにより、セル内圧損がより増加して流れの偏りが抑制されると共に、実線矢印Fで示すように電解液の流れを更に速くすることができる。その結果、酸化析出物を更に除去し易く、起動性や出力、容量などの更なる向上を図ることができる。
【0055】
また、
図4(A)〜(C)に示すように、第1−4例〜第1−6例の電池においては、電解液収容部21aの外形が板状形状であることが好適である。このような構成とすることにより、板状形状の厚み方向での流れの偏りが抑制され、実線矢印Fで示すように電解液の流れを更に速くすることができる。なお、図示しないが、電解液収容部の外形が板状形状でない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0056】
更に、
図4(A)〜(C)に示すようなセルが複数積層されてなる組電池である電池20C等においては、複数の電解液流入部21b及び複数の電解液排出部21cの一方又は双方が、組電池の複数のフレーム部材21C内に亘るマニホールド構造をそれぞれ有していることが好適である。このような構成とすることにより、組電池の作製が容易となり、更に耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0057】
また、
図4(A)〜(C)に示すように、第1−4例〜第1−6例の電池においては、電解液収容部の上部に上述した電極非対向部Yを有する。このような電極非対向部Yは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去する除去部として機能させることができる。つまり、酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、上昇してきた酸化析出物は電解液収容部の上部に溜まることとなるが、その上部に電極非対向部を設けることにより、その影響を小さくし、電池の性能を安定させることができる。
【0058】
<第2の形態>
次に、第2の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、第2の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図6は、第2の形態に係る電池システムにおいて液体の供給又は回収を行う際の動作を模式的に示す説明図である。
【0059】
図5及び
図6に示すように、本形態の電池システム1Aは、カートリッジ型ユニットAと、電池制御部Bと、液体供給部Cと、除去部Dとを含む。
【0060】
そして、カートリッジ型ユニットAは、貯留容器10と複数のセルからなる組電池である電池20とを一体又は別体で含み、貯留容器10及び電池20のいずれか一方又は双方が、貯留容器10と電池20とを接続する液体流路30を備えている。なお、電池20としては、上記詳述した各例のものを適用することができる。また、本形態においては、液体流路30が電池20の底部及び貯留容器10の底部に接続されている。更に、本形態においては、液体流路30にポンプヘッド31が接続されている。また、本形態においては、液体流路30が貯留容器10及び電池20に内包される、換言すれば液体流路30がカートリッジ型ユニットAの内部に形成されている。
【0061】
また、上記電池制御部Bは、カートリッジ型ユニットAを貯留容器10と電池20とを一体又は別体として装脱可能な装着部40を備えている。なお、本形態においては、電池制御部Bは、液体供給部Cの駆動部50としてのモータ51を備えている。また、モータ51は、歯車53を有している。
【0062】
更に、上記液体供給部Cは、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給を行うものである。なお、本形態においては、液体供給部Cは、モータ51と、モータ51により駆動されるポンプヘッド31と、液体流路30とから構成される。そして、具体的には、
図6に示すように、カートリッジ型ユニットAが装着部40に装着された際に、ポンプヘッド31が歯車53を介してモータ51により駆動又は逆に駆動される状態となり、ポンプヘッド31が歯車53を介してモータ51により駆動又は逆に駆動されることにより、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給又は電池20から貯留容器10への液体の回収が液体供給部Cにより行われる。更に、図示しないが、電解液収容部は、例えば、開閉可能な空気抜け部を有していてもよい。また、電池が空気電池である場合には、正極に設けられる液密通気層を空気抜け部として利用することもできる。
【0063】
また、上記除去部Dは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去するものであって、電池20の底部に接続される液体流路30を含む液体供給部Cを有している。
【0064】
上述のように、酸化析出物を除去する所定の除去部を備えた構成とすることにより、電池の起動性や容量、出力の向上を図ることができる。つまり、液体流路が電池の底部に接続されているため、液体供給部が駆動することにより、電解液収容部に生成する酸化析出物に下方から液体が供給され、酸化析出物を除去する除去部として機能することができる。酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、底部から液体を供給することにより、その除去が容易となる。また、液体供給の初期に発生する水素の除去にも有効である。その結果、電池の起動性を向上させることができる。また、小型化が可能であるため、容量及び出力の向上を図ることもできる。
【0065】
そして、本形態の電池システムのように、駆動部を電池制御部に設けることによって、電池を含む取り扱い容易なカートリッジ型ユニットにおいて、例えば、モータなどの部品を設ける必要がなく、部品点数を低減できるため、小型化や軽量化、低コスト化を図ることができ、更に、耐久性向上の障害となる部位が簡単に交換可能な構造となったため、電池システム自体の耐久性向上を図ることができる。また、電池の底部に接続された液体流路を介して、液体供給部により液体の自由な供給・回収が可能となり、起動・停止の制御が容易になるという利点もある。
【0066】
なお、本形態においては、電池として複数のセルからなる組電池を適用した場合を一例に挙げて説明したが、電池として1つのセルからなる単電池を適用した場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0067】
また、本形態においては、カートリッジ型ユニットに液体供給部の駆動部としてのモータを設けない場合を一例に挙げて説明したが、カートリッジ型ユニットにモータを設け、他の部品を設けない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体供給部に適用される部品のうち、駆動部としてのモータは、相対的に体積や重量が大きく、コストも高いため、カートリッジ型ユニットから除去することは好適である。
【0068】
更に、本形態においては、液体流路が貯留容器の底部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器の底部に接続されていることにより、貯留容器から電池へ液体を供給する際に、貯留容器内の空気が入り込まないようにすることが可能となる。
【0069】
また、本形態においては、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている構成とすることにより、シンプルな構造とすることができ、耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0070】
更に、本形態においては、電池を保管する際に、液体が貯留容器にのみ存在していることが好適である。このような構成とすることにより、電池の劣化を抑制しながら長期保存することができる。
【0071】
<第3の形態>
次に、第3の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、第3の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図8(A)及び(B)は、第3の形態に係る電池システムにおいて液体の供給を行う際の動作及び液体の回収を行う際の動作を模式的に示す説明図である。
【0072】
図7及び
図8に示すように、本形態の電池システム1Bは、カートリッジ型ユニットAと、電池制御部Bと、液体供給部Cと、除去部Dとを含む。
【0073】
そして、カートリッジ型ユニットAは、貯留容器10と複数のセルからなる組電池である電池20とを一体又は別体で含み、貯留容器10及び電池20のいずれか一方又は双方が、貯留容器10と電池20とを接続する液体流路30を備えている。なお、電池20としては、上記詳述した各例のものを適用することができる。また、本形態においては、液体流路30が電池20の底部及び貯留容器10の底部に接続されている。更に、本形態においては、液体流路30が貯留容器10及び電池20に内包される、換言すれば液体流路30がカートリッジ型ユニットAの内部に形成されている。
【0074】
また、上記電池制御部Bは、カートリッジ型ユニットAを貯留容器10と電池20とを一体又は別体として装脱可能な装着部40を備えている。なお、本形態においては、電池制御部Bは、液体供給部Cの駆動部50としてのアクチュエータ54Aを備えている。また、アクチュエータ54Aは、板部材54Bを有している。
【0075】
更に、上記液体供給部Cは、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給を行うものである。なお、本形態においては、液体供給部Cは、アクチュエータ54Aと、板部材54Bと、液体流路30とから構成される。そして、具体的には、
図8(A)において矢印Xで示すように、アクチュエータ54Aが上方に伸長することにより、貯留容器10が圧縮変形し、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給が行われる。また、本形態においては、駆動部50としてのアクチュエータ54Aが逆に駆動することにより、換言すれば、
図8(B)において矢印Yで示すように下方に収縮することにより、貯留容器10が膨張変形し、液体流路30を介して、電池20から貯留容器10への液体の回収が液体供給部Cにより行われる。更に、図示しないが、電解液収容部は、例えば、開閉可能な空気抜け部を有していてもよい。また、電池が空気電池である場合には、正極に設けられる液密通気層を空気抜け部として利用することもできる。
【0076】
また、上記除去部Dは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去するものであって、電池20の底部に接続される液体流路30を含む液体供給部Cを有している。
【0077】
上述のように、酸化析出物を除去する所定の除去部を備えた構成とすることにより、電池の起動性や容量、出力の向上を図ることができる。つまり、液体流路が電池の底部に接続されているため、液体供給部が駆動することにより、電解液収容部に生成する酸化析出物に下方から液体が供給され、酸化析出物を除去する除去部として機能することができる。酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、底部から液体を供給することにより、その除去が容易となる。また、液体供給の初期に発生する水素の除去にも有効である。その結果、電池の起動性を向上させることができる。また、小型化が可能であるため、容量及び出力の向上を図ることもできる。
【0078】
そして、本形態の電池システムのように、駆動部を電池制御部に設けることによって、電池を含む取り扱い容易なカートリッジ型ユニットにおいて、例えば、アクチュエータなどの部品を設ける必要がなく、部品点数を低減できるため、小型化や軽量化、低コスト化を図ることができ、更に、耐久性向上の障害となる部位が簡単に交換可能な構造となったため、電池システム自体の耐久性向上を図ることができる。また、電池の底部に接続された液体流路を介して、液体供給部により液体の自由な供給・回収が可能となり、起動・停止の制御が容易になるという利点もある。
【0079】
なお、本形態においては、電池として複数のセルからなる組電池を適用した場合を一例に挙げて説明したが、電池として1つのセルからなる単電池を適用した場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0080】
また、本形態においては、カートリッジ型ユニットに液体供給部の駆動部としてのアクチュエータを設けない場合を一例に挙げて説明したが、カートリッジ型ユニットにアクチュエータを設け、他の部品を設けない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体供給部に適用される部品のうち、駆動部としてのアクチュエータは、相対的にコストが高いため、カートリッジ型ユニットから除去することは好適である。
【0081】
更に、本形態においては、液体流路が貯留容器の底部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器の底部に接続されていることにより、貯留容器から電池へ液体を供給する際に、貯留容器内の空気が入り込まないようにすることが可能となる。
【0082】
また、本形態においては、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている構成とすることにより、シンプルな構造とすることができ、耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0083】
更に、本形態においては、電池を保管する際に、液体が貯留容器にのみ存在していることが好適である。このような構成とすることにより、電池の劣化を抑制しながら長期保存することができる。
【0084】
<第4の形態>
次に、第4の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、上記の形態において説明したものと同等のものについては、それらと同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、第4の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図10は、第4の形態に係る電池システムにおいて液体の供給又は回収を行う際の動作を模式的に示す説明図である。
【0085】
図9及び
図10に示すように、本形態の電池システム1Cは、カートリッジ型ユニットAと、電池制御部Bと、液体供給部Cと、除去部Dとを含む。
【0086】
そして、カートリッジ型ユニットAは、貯留容器10と複数のセルからなる組電池である電池20とを一体又は別体で含み、貯留容器10及び電池20のいずれか一方又は双方が、貯留容器10と電池20とを接続する液体流路30を備えている。なお、電池20としては、上記詳述した各例のものを適用することができる。また、本形態においては、貯留容器10が空気ポンプ挿入部10aを有している。更に、本形態においては、液体流路30が電池20の底部及び貯留容器10の底部に接続されている。また、本形態においては、液体流路30が貯留容器10及び電池20に内包される、換言すれば液体流路30がカートリッジ型ユニットAの内部に形成されている。
【0087】
また、上記電池制御部Bは、カートリッジ型ユニットAを貯留容器10と電池20とを一体又は別体として装脱可能な装着部40を備えている。なお、本形態においては、電池制御部Bは、液体供給部Cの駆動部50としての空気ポンプ55Aを備えている。また、空気ポンプ55Aは、空気ポンプ挿入部10aに接続される接続部55Bを有している。
【0088】
更に、上記液体供給部Cは、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給を行うものである。なお、本形態においては、液体供給部Cは、空気ポンプ55Aと、接続部55Bと、液体流路30とから構成される。そして、具体的には、
図10に示すように、カートリッジ型ユニットAが装着部40に装着された際に、接続部55Bが空気ポンプ挿入部10aに挿入され、空気ポンプ55Aが駆動又は逆に駆動され、貯留容器10の内圧を空気ポンプにより高くする又は低くすることにより、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給又は電池20から貯留容器10への液体の回収が液体供給部Cにより行われる。更に、図示しないが、電解液収容部は、例えば、開閉可能な空気抜け部を有していてもよい。また、電池が空気電池である場合には、正極に設けられる液密通気層を空気抜け部として利用することもできる。
【0089】
また、上記除去部Dは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去するものであって、電池20の底部に接続される液体流路30を含む液体供給部Cを有している。
【0090】
上述のように、酸化析出物を除去する所定の除去部を備えた構成とすることにより、電池の起動性や容量、出力の向上を図ることができる。つまり、液体流路が電池の底部に接続されているため、液体供給部が駆動することにより、電解液収容部に生成する酸化析出物に下方から液体が供給され、酸化析出物を除去する除去部として機能することができる。酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、底部から液体を供給することにより、その除去が容易となる。また、液体供給の初期に発生する水素の除去にも有効である。その結果、電池の起動性を向上させることができる。また、小型化が可能であるため、容量及び出力の向上を図ることもできる。
【0091】
そして、本形態の電池システムのように、駆動部を電池制御部に設けることによって、電池を含む取り扱い容易なカートリッジ型ユニットにおいて、例えば、空気ポンプなどの部品を設ける必要がなく、部品点数を低減できるため、小型化や軽量化、低コスト化を図ることができ、更に、耐久性向上の障害となる部位が簡単に交換可能な構造となったため、電池システム自体の耐久性向上を図ることができる。また、電池の底部に接続された液体流路を介して、液体供給部により液体の自由な供給・回収が可能となり、起動・停止の制御が容易になるという利点もある。
【0092】
なお、本形態においては、電池として複数のセルからなる組電池を適用した場合を一例に挙げて説明したが、電池として1つのセルからなる単電池を適用した場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0093】
また、本形態においては、カートリッジ型ユニットに液体供給部の駆動部としての空気ポンプを設けない場合を一例に挙げて説明したが、カートリッジ型ユニットに空気ポンプを設け、他の部品を設けない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体供給部に適用される部品のうち、駆動部としての空気ポンプは、相対的に体積や重量が大きく、コストも高いため、カートリッジ型ユニットから除去することは好適である。
【0094】
更に、本形態においては、液体流路が貯留容器の底部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器の底部に接続されていることにより、貯留容器から電池へ液体を供給する際に、貯留容器内の空気が入り込まないようにすることが可能となる。
【0095】
また、本形態においては、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている構成とすることにより、シンプルな構造とすることができ、耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0096】
更に、本形態においては、電池を保管する際に、液体が貯留容器にのみ存在していることが好適である。このような構成とすることにより、電池の劣化を抑制しながら長期保存することができる。
【0097】
<第5の形態>
次に、第5の形態に係る電池システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図11は、第5の形態に係る電池システムを模式的に示す構成概略図である。また、
図12(A)及び(B)は、第5の形態に係る電池システムにおいて液体の供給、回収又は循環を行う際の動作を模式的に示す説明図である。
【0098】
図11及び
図12に示すように、本形態の電池システム1Dは、カートリッジ型ユニットAと、電池制御部Bと、液体供給部C、除去部Dとを含む。
【0099】
そして、カートリッジ型ユニットAは、貯留容器10と複数のセルからなる組電池である電池20とを一体又は別体で含み、貯留容器10及び電池20のいずれか一方又は双方が、貯留容器10と電池20とを接続する複数の液体流路30、32を備えている。なお、電池20としては、上記詳述した各例のものを適用することができる。また、本形態においては、液体流路30が電池20の底部及び貯留容器10の底部に接続されている。更に、本形態においては、液体流路32が電池20の上部及び貯留容器10の上部に接続されている。また、本形態においては、液体流路30,32が貯留容器10及び電池20に内包される、換言すれば液体流路30,32がカートリッジ型ユニットAの内部に形成されている。更に、本形態においては、液体流路32及び貯留容器10が、それらの内部にフィルタ61,62を有している。
【0100】
また、上記電池制御部Bは、カートリッジ型ユニットAを貯留容器10と電池20とを一体又は別体として装脱可能な装着部40を備えている。なお、本形態においては、電池制御部Bは、液体供給部Cの駆動部50としてのモータ51を備えている。
【0101】
更に、上記液体供給部Cは、液体流路30,32を介して、貯留容器10と電池20との間での液体の供給、回収又は循環を行うものである。なお、本形態においては、液体供給部Cは、モータ51と、モータ51により駆動されるロータ52A及びローラ52Bと、液体流路30と、貯留容器10とから構成されるチューブポンプ52と、液体流路32とを備えている。そして、具体的には、ポンプヘッドとして機能する貯留容器10とモータ51の図示しない回転子に接続されたロータ52Aに取り付けられたローラ52Bとの間に液体流路30のチューブ部30Aを挟み込み、
図12(A)において矢印Xで示すように、ロータ52Aが左回りに回転することにより、液体流路30を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給が行われる。また、電池20における電解液の液面が液体流路32の上端に到達した場合には、液体流路32を介して、電池20から貯留容器10への液体の回収が行われ、全体として電解液の循環が行われる。なお、本形態においては、駆動部50としてのモータ51が逆に駆動することにより、
図12(B)において矢印Yで示すように、ロータ52Aが右回りに回転して、液体流路30を介して、電池20から貯留容器10への液体の回収が行われ、液体流路32を介して、貯留容器10から電池20への液体の供給が行われ、全体として電解液の循環が行われる構成とすることもできる。
【0102】
また、上記除去部Dは、電解液収容部に生成する酸化析出物を除去するものであって、電池20の底部に接続される液体流路30を含む液体供給部Cを有している。
【0103】
上述のように、酸化析出物を除去する所定の除去部を備えた構成とすることにより、電池の起動性や容量、出力の向上を図ることができる。つまり、液体流路が電池の底部に接続されているため、液体供給部が駆動することにより、電解液収容部に生成する酸化析出物に下方から液体が供給され、酸化析出物を除去する除去部として機能することができる。酸化析出物は、放電時の発熱と水素の付着により上昇し易いので、底部から液体を供給することにより、その除去が容易となる。また、液体供給の初期に発生する水素の除去にも有効である。その結果、電池の起動性を向上させることができる。また、小型化が可能であるため、容量及び出力の向上を図ることもできる。更に、電解液を循環させることもできる。
【0104】
そして、本形態の電池システムのように、駆動部を電池制御部に設けることによって、電池を含む取り扱い容易なカートリッジ型ユニットにおいて、例えば、モータなどの部品を設ける必要がなく、部品点数を低減できるため、小型化や軽量化、低コスト化を図ることができ、更に、耐久性向上の障害となる部位が簡単に交換可能な構造となったため、電池システム自体の耐久性向上を図ることができる。また、電池の底部に接続された液体流路を介して、液体供給部により液体の自由な供給・回収が可能となり、起動・停止の制御が容易になるという利点もある。
【0105】
なお、本形態においては、電池として複数のセルからなる組電池を適用した場合を一例に挙げて説明したが、電池として1つのセルからなる単電池を適用した場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0106】
また、本形態においては、カートリッジ型ユニットに液体供給部の駆動部としてのモータを設けない場合を一例に挙げて説明したが、カートリッジ型ユニットにモータを設け、他の部品を設けない場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体供給部に適用される部品のうち、駆動部としてのモータは、相対的に体積や重量が大きく、コストも高いため、カートリッジ型ユニットから除去することは好適である。
【0107】
更に、本形態においては、液体流路が貯留容器の底部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器の底部に接続されていることにより、貯留容器から電池へ液体を供給する際に、貯留容器内の空気が入り込まないようにすることが可能となる。
【0108】
また、本形態においては、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている場合を一例に挙げて説明したが、電池の底部と貯留容器とが液体流路により接続されていれば、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路が貯留容器及び電池に内包される、換言すれば液体流路がカートリッジ型ユニットの内部に形成されている構成とすることにより、シンプルな構造とすることができ、耐漏液性を確保し易いという利点がある。
【0109】
更に、本形態においては、液体流路が電池の上部、換言すれば電解液収容部の上部及び貯留容器の上部に接続されている場合を一例に挙げて説明したが、電池と貯留容器とが複数の液体流路により接続されていれば、電解液を循環させることができる。なお、液体流路が電池の上部、換言すれば電解液収容部の上部の一例である電極非対向部に接続されていることにより、電解液収容部の上部に滞留することがある酸化析出物をオーバーフローにより回収することができる。また、電解液収容部における液面を特に制御することなく一定の高さ以下に維持することができる。一方、液体流路が貯留容器の上部に接続されていることにより、貯留容器の内圧が上がっても、空気を逃すことができるので、スムースな循環が可能となる。他方、液体流路32に相当する側の液体流路が電池の底部に接続されている場合、例えば液体流路32がフィルタ61と同程度の長さである場合、沈殿する酸化析出物を効率良く除去することができる。
【0110】
また、本形態においては、液体流路及び貯留容器が、それらの内部にフィルタを有している場合を一例に挙げて説明したが、液体流路及び貯留容器の内部にフィルタを有していない場合や液体流路及び貯留容器のいずれか一方の内部にフィルタを有している場合が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。なお、液体流路及び貯留容器のいずれか一方又は双方の内部にフィルタを有していることにより、全部又は一部の酸化析出物を液体流路や貯留容器で除去することができる。また、相対的に体積の大きい貯留容器にフィルタを設けることにより、除去能力を向上させることもできる。
【0111】
更に、本形態においては、電池を保管する際に、液体が貯留容器にのみ存在していることが好適である。このような構成とすることにより、電池の劣化を抑制しながら長期保存することができる。
【0112】
以上、本発明を若干の形態及び例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0113】
例えば、上述した各形態や例に記載した構成は、各形態や例に限定されるものではなく、各形態の構成を変更したり、各形態の構成を上述した各形態以外の組み合わせにしたりすることができる。
また、例えば、液体の供給、回収又は循環を行うものとして、液体供給部がチューブポンプを備えたものを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、液体供給部としてポンプヘッドを液体流路に接続したものやアクチュエータを備えたもの、空気ポンプを備えたものを適用することもできる。
なお、アクチュエータを備えた液体供給部を適用して電解液の循環を行うに当たっては、例えば、複数の液体流路が電解液の流通を制御する図示しない弁を備え、アクチュエータを伸縮させるタイミングに合わせて2つの弁を交互に開閉させればよい。
また、空気ポンプを備えたものを適用して電解液の循環を行うに当たっては、例えば、複数の液体流路が電解液の流通を制御する図示しない弁を備え、空気ポンプで内圧を高めるタイミングに合わせて2つの弁を交互に開閉させればよい。