特許第6403105号(P6403105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403105
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】リモコン装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20181001BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   E03D9/08 A
   H04Q9/00 301A
   H04Q9/00 371B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-86209(P2018-86209)
(22)【出願日】2018年4月27日
(62)【分割の表示】特願2014-43730(P2014-43730)の分割
【原出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-145788(P2018-145788A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年5月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 進吾
(72)【発明者】
【氏名】前野 孝司
(72)【発明者】
【氏名】林田 大輔
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−245115(JP,A)
【文献】 特開平11−71799(JP,A)
【文献】 特開2013−225831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00−9/16
H03J 9/00−9/06
H04Q 9/00−9/16
H02N 2/00−2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ装置を遠隔操作するために、壁面に取り付けて使用されるリモコン装置であって、
前記リモコン装置の外郭を形成するケースと、
前記ケースに収納され押圧されることで発電可能な発電装置と、
前記ケースの表面に設けられ前記トイレ装置の機能を作動させるために、前記壁面に対して垂直な方向に押圧操作される複数のボタンと、
前記壁面に対して平行に延び、前記複数のボタンのうちの何れか一つが押圧されると前記発電装置を押圧するように、前記壁面に対して平行に平行移動するスライド部材と、を有し、
前記複数のボタンは、前記ケースによって支持され、
前記複数のボタンのうちの何れか一つが押圧され前記スライド部材平行移動されたとき、押圧されていないボタンは前記スライド部材の動きに影響を受けないことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記複数のボタンにそれぞれ設けられ、前記壁面に対して垂直に前記ボタンを押圧操作することにより、前記スライド部材を前記壁面に対して平行に平行移動させる押動部と、
前記スライド部材に設けられ、前記押動部と係合する受け部と、をさらに有し、
押圧されたボタンの前記押動部が前記受け部を押圧し、前記スライド部材前記壁面と平行に平行移動させることを特徴とする請求項1記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記複数のボタンの前記押動部は突起形状であり、
前記受け部は、前記押動部のそれぞれに対応するように設けられ
複数の前記押動部のうちの何れか一つが前記スライド部材の前記受け部を押圧するとき、押動部によって押圧されていない受け部は対応する押動部から離れるように移動されることを特徴とする請求項2記載のリモコン装置。
【請求項4】
前記複数のボタンそれぞれ前記スライド部材に向けて延びる突起部を有し、
前記突起部はそれぞれ前記スライド部材に対向するように配置され
前記突起部は、前記壁面に対して傾斜して延びる傾斜面を有しこの傾斜面が前記スライド部材に向けて移動されることにより、前記スライド部材が前記壁面と平行に平行移動されることを特徴とする請求項2記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記発電装置は、前記スライド部材に押圧されることで自己発電可能な入力部と、前記スライド部材の位置を物理的に規制するストッパ部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のリモコン装置。
【請求項6】
前記スライド部材は水平方向に延びるように配置された細長い部材であり、前記複数のボタンのうちの少なくとも2つは前記スライド部材に沿って水平方向に配列され、前記スライド部材はボタンの押圧操作に基づいて水平方向に平行移動されることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のリモコン装置。
【請求項7】
前記複数のボタンのうちの何れか1つの押圧操作により、前記スライド部材が平行移動された後、前記スライド部材を元の位置に復帰させるバネをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のリモコン装置。
【請求項8】
前記スライド部材と、前記発電装置は、前記壁面と平行な同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載のリモコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置を遠隔操作するための複数のボタンを備えたリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便座に着座している使用者の局部を洗浄するため、局部に向けて吐水する便座装置が広く普及している。使用者は、用便後にノズルから吐水させたり、洗浄後にその吐水を停止させたりといった便座装置の動作を、当該便座装置が設けられた空間に設置されるリモコン装置のボタン等を押すことで選択する。また、使用者が押し易い位置にボタンを配置するため、それらのボタンを配したリモコン装置をトイレブースの壁面などに設置し、無線で便座装置を遠隔操作することも一般的に行われている。
【0003】
便座装置の動作の選択をリモコン装置によって行う場合、その選択内容に応じた信号を生成し、便座装置に送信するための電力は、リモコン装置に内蔵される電池や、有線により商用電源から供給されるのが一般的である。しかしながら、電池や有線によって電力供給する場合には、電池交換作業や配線工事が必要になるという煩わしさがある。
【0004】
このような電池交換作業や配線工事を不要とする便座装置用のリモコン装置として、下記特許文献1に記載されたものが提案されている。下記特許文献1に記載されたリモコン装置では、使用者がリモコン装置のボタンを押動作すると、その押動作によって電力を発生させ、当該電力によって信号の生成及び送信を行う。詳細には、使用者の押動作に基づいて、リモコン装置内部に設けられるボタン体や係止片部等の機構が駆動し、圧電セラミックス体に衝撃が与えられ、それによって発生した電力を信号の生成等に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−9280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のリモコン装置は、パネル部に複数のボタンを有しており、どのボタンを押してもボタン体や係止片部等の機構が駆動できるように、パネル部全体がリモコン装置の背面側へ押圧される構造になっている。その押圧力により自己発電が行われるのだが、所定のボタンを押し自己発電を行うためには、パネル部全体を動かす必要がある。パネル部全体を動かす必要があるので、ボタンを押すための力が大きくなり使用者にとって使い勝手が悪いといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の1つは、トイレ装置を遠隔操作するために、壁面に取り付けて使用されるリモコン装置であって、前記リモコン装置の外郭を形成するケースと、前記ケースに収納され押圧されることで発電可能な発電装置と、前記ケースの表面に設けられ前記トイレ装置の機能を作動させるために、前記壁面に対して垂直な方向に押圧操作される複数のボタンと、前記壁面に対して平行に延び、前記複数のボタンのうちの何れか一つが押圧されると前記発電装置を押圧するように、前記壁面に対して平行に平行移動するスライド部材と、を有し、前記複数のボタンは、前記ケースによって支持され、前記複数のボタンのうちの何れか一つが押圧され前記スライド部材平行移動されたとき、押圧されていないボタンは前記スライド部材の動きに影響を受けないことを特徴とするリモコン装置である。
【0008】
このように構成された発明においては、複数のボタンがスライド部材の動きに対して影響を受けないように支持されることで、複数のボタンの何れか一つを押してスライド部材を動かしても、それに連動してそれ以外のボタンが動くことがないので、ボタンを押す際に余計な押圧力が発生せず、使用者にとって使い勝手の良いリモコン装置となる。
【0009】
本発明の選択的な態様においては、前記複数のボタンにそれぞれ設けられ、前記壁面に対して垂直に前記ボタンを押圧操作することにより、前記スライド部材を前記壁面に対して平行に平行移動させる押動部と、前記スライド部材に設けられ、前記押動部と係合する受け部と、をさらに有し、押圧された前記複数のボタンの前記押動部が前記受け部を押圧し、前記スライド部材前記壁面と平行に平行移動させることを特徴とするリモコン装置である。
【0010】
このように構成された発明においては、係合する押動部と受け部としたことで、複数のボタンの何れか一つを押してスライド部材を動かしても、それに連動してそれ以外のボタンが確実に動くことがなく、使用者にとって使い勝手の良いリモコン装置となる。
【0011】
本発明の選択的な態様においては、前記複数のボタンの前記押動部は突起形状であり、前記受け部は、前記押動部のそれぞれに対応するように設けられ、複数の前記押動部のうちの何れか一つが前記スライド部材の前記受け部を押圧するとき、押動部によって押圧されていない受け部は対応する押動部から離れるように移動されることを特徴とする請求項2記載のリモコン装置である。
【0012】
このように構成された発明においては、使用者がボタンを押すことで押動部が押下され、押動部が受け部を押すことで所定の方向にスライド部材が移動するので、簡単な構造でスライド部材を動かすことができる。
【0013】
本発明の選択的な態様においては、前記複数のボタンそれぞれ前記スライド部材に向けて延びる突起部を有し、前記突起部はそれぞれ前記スライド部材に対向するように配置され、前記突起部は、前記壁面に対して傾斜して延びる傾斜面を有しこの傾斜面が前記スライド部材に向けて移動されることにより、前記スライド部材が前記壁面と平行に平行移動されることを特徴とするリモコン装置である。
【0014】
このように構成された発明においては、使用者がボタンを押すことで押動部が押され、突起部の傾斜面スライド部材に向けて移動されることにより、スライド部材が壁面と平行に平行移動し、簡単な構造でスライド部材を動かすことができる。
【0015】
本発明の選択的な態様においては、前記発電装置は、前記スライド部材に押圧されることで自己発電可能な入力部と、前記スライド部材の位置を物理的に規制するストッパ部と、を備えることを特徴とするリモコン装置である。
【0016】
このように構成された発明においては、発電装置にストッパ部が設けられていることで、スライド部材の動きが他の所で止まることがなく、ストッパ部にて動きを止めるので確実に発電装置を発電させることができる。
また、本発明の選択的な態様においては、前記スライド部材は水平方向に延びるように配置された細長い部材であり、前記複数のボタンのうちの少なくとも2つは前記スライド部材に沿って水平方向に配列され、前記スライド部材はボタンの押圧操作に基づいて水平方向に平行移動されることを特徴とするリモコン装置である。
さらに、本発明の選択的な態様においては、前記複数のボタンのうちの何れか1つの押圧操作により、前記スライド部材が平行移動された後、前記スライド部材を元の位置に復帰させるバネをさらに備えたことを特徴とするリモコン装置である。
また、本発明の選択的な態様においては、前記スライド部材と、前記発電装置は、前記壁面と平行な同一平面上に配置されていることを特徴とするリモコン装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリモコン装置によれば、使い勝手のよい電池交換作業や配線工事を不要とするリモコン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るリモコン装置と便座装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るリモコン装置を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係るリモコン装置の内部構造を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るリモコン装置を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係るリモコン装置の一部分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るリモコン装置の非回転部材の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るリモコン装置のスイッチの動きを示す正面図である。
図8】本発明の変形例に係るリモコン装置のスイッチ下面視における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
まず、図1を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置の使用状態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るリモコン装置と便座装置を示す斜視図である。本明細書では使用者がリモコン装置RCのボタンSB、MBを押すパネルを正面側、反対側を背面側とする。なお、本発明におけるトイレ装置とは、例えば大便器CBの上面に設置される便座装置WA、大便器CBの洗浄水を給水する給水装置、トイレルーム内に設置される空調装置等である。
【0021】
便座装置WAは、大便器CBのリムCBaに載置され、本体部WAaと、便座WAbと、カバーWAcを備えている。本体部WAaは、電装部品や給水機構等を内蔵しており、大便器CBのボウル部CBbに対し進退可能なノズルN2を有している。円柱形状のノズルN2は、その上面にノズル孔N2aが形成されおり、ボウル部CBb内に進出した状態で給水機構から水の供給を受けることで、ノズル孔N2aから使用者の局部に向けて噴流JWとして吐水する。使用者が用便時に着座する便座WAbは、本体部WAaに対し回動自在に枢支されている。便座WAbの不使用時は、同じく本体部WAaに対し回動自在に枢支されるカバーWAcによって上方から覆われる。
【0022】
機器である便座装置WAを遠隔操作するための複数のボタンSB、MBを備えたリモコン装置RCは、大便器CB及び便座装置WAが設置されるトイレブースの壁面などに固定される。このリモコン装置RCは、そのパネルRCPを便座装置WA側に向けて設けられ、使用者はそのパネルRCPにおいて便座装置WAに行わせる動作を選択し、便座装置WAを遠隔操作する。具体的には、リモコン装置RCは、使用者がパネルRCPで選択した内容に基づいた高周波信号を生成し、便座装置WAに向けて無線で送信する。便座装置WAは、本体部WAaに内蔵する受信部においてこの高周波信号を受信し、その信号の内容に基づいて、ノズルN2からの吐水や止水、吐水の水勢の調整、ノズルN2の位置の変更等を行う。
【0023】
次に、図2を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置のパネルについて説明する。図2は、本発明の実施形態に係るリモコン装置を示す正面図である。
【0024】
図2に示すように、リモコン装置RCのパネルRCPは、後述する第2ケース60と、上方に配列されるメインボタン群MBと、メインボタン群MBの下方に配列されるサブボタン群SBから構成される。
【0025】
メインボタン群MBは、停止ボタンMB1と、吐水ボタンWBと、乾燥ボタンMB4からなる。さらに、吐水ボタンWBは、おしり洗浄ボタンMB2と、ビデ洗浄ボタンMB3からなる。これら4つのボタンは、いずれも正面視で略正方形を呈しており、リモコン装置RCの幅方向に略一直線上に配列されている。吐水ボタンWBは、ノズルN2からの吐水動作を行わせる際に押すボタンであり、おしり洗浄ボタンMB2が押された場合には使用者の肛門に向けて吐水させ、ビデ洗浄ボタンMB3が押された場合には女性の局部に向けて吐水させる。また、乾燥ボタンMB4は、局部洗浄後に、本体部WAaに内蔵されているファンから局部に向けて温風を吹き出す乾燥動作を行わせる際に押すボタンである。
停止ボタンMB1は、上記吐水動作及び乾燥動作を停止させる際に押すボタンである。
【0026】
サブボタン群SBは、マイナスボタンSB1と、プラスボタンSB2と、前ボタンSB3と、後ボタンSB4からなる。これら4つのボタンは、いずれも正面視でメインボタン群MBの各ボタンより小さい長方形を呈しており、リモコン装置RCの幅方向に略一直線上に配列されている。マイナスボタンSB1とプラスボタンSB2は、ノズルN2からの吐水の水勢を使用者が好みに応じて変更する際に押すボタンである。また、前ボタンSB3と後ボタンSB4は、ノズルN2の位置を、使用者が自己の局部の位置に応じて変更する際に押すボタンである。上述したようにボタンの構成は、上段にメインボタン群MB、下段にサブボタン群SBの二段構成となっている。
【0027】
図2において破線で示すように、メインボタン群MBとサブボタン群SBの背面側には、第一リンク機構であるリモコン装置RCの幅方向に延びる第1スライド部材10、第二リンク機構である第2スライド部材20、第1スライド部材10の動きを第2スライド部材20に、第2スライド部材20の動きを第1スライド部材10にそれぞれ伝えるギア15が内蔵されている。ギア15は、第1スライド部材10又は第2スライド部材20のどちらか一方の部材を動かすことで、他方の部材も連動して動くための伝達手段である。また、第1スライド部材10の下方であって、第2スライド部材の側方には、押圧されることで自己発電可能な発電装置である発電ユニットGUが内蔵されている。なお、発電ユニットGU、第1スライド部材10、第2スライド部材20は、後述する第1ケース50と第2ケース60の内部に収納されている。
【0028】
図3に示すように、ギア15は、歯車であり第1スライド部材10と第2スライド部材20との間に配置されている。第1スライド部材10は、ギア15の歯と嵌め合うための第1ラック11が形成されている。また、第2スライド部材20は、ギア15の歯と嵌め合うための第2ラック21が形成されている。
【0029】
第1スライド部材10は、メインボタン群MBのいずれかのボタンが押されることによって、矢印A1の方向にスライドするよう構成されている。したがって、例えば使用者の手指Hによって停止ボタンMB1が力F1で押され、第1スライド部材10が矢印A1の方向にスライドすると、ギア15が時計周りに回転(矢印A2の方向)し、力F2を第2スライド部材20に伝達する。この力F2を受けた第2スライド部材20は、矢印A1と平行な逆方向である矢印A3の方向にスライドする。
【0030】
一方、サブボタン群SBのいずれかのボタンが押された場合は、第2スライド部材20が矢印A2の方向にスライドするよう構成されている。この際、第2スライド部材20は、ギア15を時計周りに回転させるので、第1スライド部材10は、矢印A1の方向にスライドする。そのため、メインボタン群MB、サブボタン群SBに関係なく、どのボタンSB、MBを押圧しても、第1スライド部材10も第2スライド部材20がスライドするので、ボタンSB、MBの押圧力はほぼ等しくなる。そのため、どのボタンSB、MBでも押圧力が同じ使い勝手の良いリモコン装置となる。
【0031】
このように、メインボタン群MBと、サブボタン群SBのいずれかのボタンSB、MBが押されることによって、第2スライド部材20が矢印A2の方向にスライドする。すると、第2スライド部材20の端部22によって、発電ユニットGUの入力部GU2が力F3で押し込まれる。発電ユニットGUの発電に必要な電装部品は、略矩形のケースによって収納されている。入力部GU2は、発電ユニットGUのケースの一辺の端部に軸支され、ケースの外側に配置されており、押圧されることで、発電ユニットGUのケースの内部に押し込まれる。発電ユニットGUはこの入力部GU2から入力される機械的エネルギーにより、電力を発生させる。
【0032】
次に、図4を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置の機械的構成及び電気的構成について説明する。図4は、本発明の実施形態に係るリモコン装置を示すブロック図である。
【0033】
上述のとおり、使用者によってメインボタン群MBまたはサブボタン群SBのいずれかのボタンSB、MBが押された場合に、その力は第1スライド部材10を介してギア15に伝達され、ギア15を介して第2スライド部材20に伝達されるよう構成されている。
第2スライド部材20は、伝達されたその力によってスライドし、さらに発電ユニットGUに力を伝達する。
【0034】
発電ユニットGUは、バネ機構GSと発電機構GGとを有する。発電機構GGは、第2スライド部材20から入力される機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することで電力を発生させている。バネ機構GSは、入力部GU2が第2スライド部材20によって発電ユニットGUの内部に押し込まれた際に、入力部GU2を元の位置に戻すためのものである。具体的には、使用者がボタンSB、MBを押すと入力部GU2が押し込まれ、その際、入力部GU2に設けられたバネ機構GSのバネが収縮する。その後、使用者がボタンSB、MBの押圧を止めると、バネが開放され入力部GU2が元の位置に戻り、入力部GU2を介して、第2スライド部材20が元の位置に戻り、それに伴い、ギア15が回転することで、第1スライド部材も元の位置に戻る。
【0035】
発電ユニットGUが発生させた電力は、コンデンサ30へと供給される。コンデンサ30は、供給された電力を充電する。
【0036】
コンデンサ30の出力端子には、制御ユニット40が接続される。制御ユニット40は、マイコン42と、高周波生成回路44と、送信機46を備えている。マイコン42は、コンデンサ30からの電力供給を受けて起動し、高周波生成回路44や送信機46を制御する。ただし、コンデンサ30に接続されている充電量検知回路32が、コンデンサ30に充電されている電力が基準の量以上となっていることを検知するまでは、マイコン42は起動しないよう構成されている。具体的には、充電量検知回路32はコンデンサ30の電圧に基づいて、充電されている電力を検知する。
【0037】
メインボタン群MBとサブボタン群SBの各ボタンSB、MBには、それぞれに対応する検知スイッチMS1〜MS4、SS1〜SS4が接続されている。これらの検知スイッチは、対応する各ボタンSB、MBが使用者によって押されたことを検知するためのスイッチである。
【0038】
メインボタン群MBとサブボタン群SBのいずれかのボタンSB、MBが押された結果、コンデンサ30に充電された電力が基準の量以上となった場合、コンデンサ30からの電力供給を受けてマイコン42が起動し、検知スイッチから情報(いずれのボタンSB、MBが押されたのか)を取得する。そしてマイコン42は、取得したその情報に対応する高周波信号を高周波生成回路44で生成させ、その後、送信機46から便座装置WAに向けて送信させる。
【0039】
次に、図5図7を参照してリモコン装置RCの内部構造と、各ボタンSB、MBにおける押動作について説明する。
【0040】
リモコン装置RCは、正面が空いている箱状の第1ケース50に第2ケース60を被せて外郭が形成されている。更に、第2ケース60にリモコン装置RCの背面方向に押動可能なボタンSB、MBが取り付けられている。
【0041】
第1ケース50の内部には、第1ケース50の背面側と正面側とを分ける仕切り板70が設けられている。言い換えると、第1ケース50の背面側の板材を覆うように仕切り板70が、その板材から所定距離を空けて設けられている。仕切り板70と第2ケース60との間に、回転部材80、非回転部材90、バネ100が配置される。
【0042】
仕切り板70には、リモコン装置RCの正面側に向かって立設され、第1スライド部材10及び第2スライド部材20を支える立壁71が配置されている。立壁71によって、第1スライド部材10及び第2スライド部材20の鉛直方向の動きが規制され、水平方向にスライド移動できるようにしている。
また、仕切り板70には、後述する非回転部材90が嵌合される嵌合部73が設けられている。嵌合部材73は、仕切り板70から突設された四角柱形状の部材である。
また、仕切り板70には、後述する回転部材80の位置決めのために、円形の溝部75が形成されている。複数の回転部材80は、複数のボタンSB、MBの背面側にそれぞれ位置している。
【0043】
回転部材80は、円筒形状をしており、外周面には第1スライド部材10又は第2スライド部材20にそれぞれ設けられる受け部である凹部23を押動するための突起状の押動部81が形成されている。回転部材80の内周面には、内周面から突設した回転部材80の回転方向に傾斜面を有する傾斜部83が4つ設けられている。傾斜部83は、内周面に等間隔に配置されている。また、図6に示すように、回転部材80の背面側の面には、溝部75に嵌合するようにガイド部85が設けられている。
【0044】
使用者が押圧したボタンSB、MBの直線運動を回転部材80に伝えるために非回転部材90は、回転部材80の正面側に距離を置いて配置されている。非回転部材90は、仕切り板70に対して取り付けられた弾性部材であるバネ100によって支持されている。
非回転部材90は、円形形状をしており、外周面の途中から、外形よりも一回り大きくなっており、一回り大きい外周面から突起部91が、等間隔に4つ形成されている。また、図6に示すように、非回転部材90の背面側には、嵌合部73に嵌め合うための四角孔93が設けられ、その四角孔93の中心からバネ100に挿入されるバネ軸95が形成されている。仕切り板70に突設された嵌合部73に四角孔93を挿入することで、ボタンSB、MBが押圧される方向を軸とした回転方向の動きが規制されている。また傾斜部81と対向する突起部91の面には、非回転部材90が回転部材80にスムーズに押し込まれるように、傾斜面である傾斜ガイド部97が形成されている。
【0045】
次に、リモコン装置RCの組み立て方法について説明する。まず、第1ケース50に電子部品を載せた基板(図示なし)を取り付ける。次に、第1ケース50を覆うように仕切り板70を取り付ける。仕切り板70を取り付けたら、第1スライド部材10と第2スライド部材20を仕切り板70の立壁71の隙間にそれぞれ挿入する。その後ギア15を、スライド部材の間に取り付ける。次に、複数のボタンSB、MBが配置されるそれぞれに対して、回転部材80のガイド部85を仕切り板75の溝部75に挿入する。そして、予めバネ軸95にバネ100を挿入されている非回転部材90を、回転部材80に押し込む。次に、仕切り板70を覆う第2ケース60を第1ケース50に取り付ける。第2ケース60には、非回転部材90の正面側の外形より大きく、正面側の外形より一回り大きい外形である背面側の突起部91の外形より小さい孔61が設けられ、非回転部材90のバネ100による飛び出しを防いでいる。最後に、第2ケース60に形成されている軸93に、ボタンSB、MBを回動自在に取り付ける。このようにボタンSB、MBを回動自在に取り付けることで、ボタンSB、MBを押圧し、非回転部材90を背面側に押し込むことができるようになっている。
【0046】
以上のような構成としたことで、第1ケース50に対して複数のボタンSB、MBがバネ100によって支持されることで、複数のボタンSB、MBの何れか一つを押してリンク機構を動かしても、それに連動して押されたボタンSB、MB以外のボタンが動くことがないので、ボタンSB、MBを際に余計な押圧力が発生せず、使用者にとって使い勝手の良いリモコン装置となる。また、使用者によってボタンSB、MBが押圧されることで、押動部81が押下され、押動部81が凹部23に接触し、凹部23を押すことで所定の方向にリンク機構が移動するので、簡単な構造でリンク機構を動かすことができる。このとき、凹部23に接触している押動部81以外の押動部81は対応する凹部23と接触しない。
【0047】
次に、図7を用いて使用者が何れかのボタンSB、MBを押圧したときの、発電方法について説明する。複数のボタンSB、MBが押されていない状態は、図7(a)のように、回転部材80の傾斜部83にほぼ重なる位置に非回転部材90が配置されている。例えば使用者が、ノズルN2の位置を後ろへ下げたい時、使用者に後ボタンSB4が押され、後ボタンSB4は第2ケース60に設けられた軸93を中心に回動し、非回転部材90をリモコン装置RCの背面側へ動かす。そのままボタンSB4を押し込み、非回転部材90が背面側へ押し込まれると非回転部材90は回転部材80の背面側の底面に当接する。非回転部材90が背面側へ押し出されることで、非回転部材90の突起部91が、回転部材80の傾斜部83と接触し、傾斜部83が押され、回転部材80を正面視で半時計周りに回転させる。つまり、回転部材80は、ボタンSB、MBが押圧されると押圧方向と垂直な面において回転運動を行う。この時、図7(b)のように、非回転部材90の突起部91と回転部材80の傾斜部83の位置関係は、回転部材80が回転することで、ほとんど重ならない位置となる。非回転部材90はリモコン装置RCの背面側に移動し、回転部材80が回転することで、押動部81が回転し、押動部81と係合している凹部23を介して第2スライド部材が水平方向に移動し、第2スライド部材20の端部22によって発電ユニットGUの入力部GU2が押し込まれる。つまり、リモコン装置RCは第2スライド部材の直線運動によって発電ユニットGUが押圧されることで電力を発生させる。
【0048】
第2スライド部材20は、発電ユニットGU側に最も押し込まれたときに発電ユニットGUのケースの外郭に当接するように配置されている。つまり、発電ユニットGUのケースの外郭がストッパ部となり、入力部GU2は、第2スライド部材20が発電ユニットGUのケースの外郭に当接するまで、発電ユニットGUの内部に押し込まれる。換言すると、ストッパ部は第2スライド部材20のスライド位置を物理的に規制している。
【0049】
リモコン装置RCを説明してきた構成としたことで、発電ユニットGUにストッパ部が設けられているので、第一スライド部材10又は第2スライド部材20の動きが他の所で止まることがなく、発電ユニットGUのストッパ部にて動きを止めるので確実に発電ユニットGUを発電させることができる。
【0050】
次に本発明の別の実施形態について説明する。別の実施形態は、回転部材80と非回転部材90の代わりに、ボタンSB、MBの背面に突起を設け、その突起を直接、第一スライド部材10又は第2スライド部材20に接触させ所定の方向にスライドさせるものである。
【0051】
具体的には、図8に示すように、停止ボタンMB1は、その背面の中央部に、第1スライド部材10側に向けて延びる第一突起部である中央突起MB1aを有している。一方、第1スライド部材10には、中央突起MB1aに対向するよう延びる第二突起部である突起131を有しており、それぞれの対向する面には、傾斜面MB1b、傾斜面151が形成されている。また、停止ボタンMB1は、その背面の側部に、第1スライド部材10側に向けて延びる側部突起MB1cを有している。この側部突起MB1cの背面側の端部にも、傾斜面MB1dが形成されている。さらに、この傾斜面MB1dから距離L1だけ背面側に離間した位置に、検知スイッチMS1が配置されている。停止ボタンMB1は、第2ケース60に取り付けられるバネ100によって支持されている。
【0052】
使用者の手指Hによって停止ボタンMB1に力F1が加えられると、停止ボタンMB1は矢印A5の方向に押し込まれる。そして、停止ボタンMB1の傾斜面MB1bが第1スライド部材10の傾斜面151と当接するまで押し込まれると、その後第1スライド部材10は、傾斜面MB1dで受ける力によって矢印A1の方向にスライドを開始する。
【0053】
この停止ボタンMB1が矢印A5の方向にL1だけ押し込まれると、その側部突起MB1cの傾斜面MB1dによって検知スイッチMS1が押され、停止ボタンMB1を押されたことが検知可能となる。
【0054】
その後使用者は、停止ボタンMB1が第2ケース60に当接するまで押し込むことができる(図8(b))。つまり、検知スイッチMS1は、停止ボタンMB1が最も押し込まれた位置に到達する前に、停止ボタンMB1が押されたことを検知可能に構成されている。使用者の手指Hによって停止ボタンMB1に加えていた力F1を除くと、バネ100が縮小していたバネ100が開放され、停止ボタンMB1は元の位置に戻る(図8(a))。
【0055】
このような構成とすることで、中央突起MB1aが突起131に接触し、斜面に沿って第1スライド部材10が移動するので、所定の方向に第1スライド部材10も移動し、簡単な構造で第1スライド部材10を動かすことができる。
【0056】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
WA:便座装置
RC:リモコン装置
RCP:パネル
10:第1スライド部材
11:第1ラック
15:ギア
20:第2スライド部材
21:第2ラック
22:端部
23:凹部
30:コンデンサ
32:充電量検知回路
40:充電量検知回路
42:マイコン
44:高周波生成回路
46:送信機
50:第1ケース
60:第2ケース
61:孔
63:軸
70:仕切り板
71:立壁
73:嵌合部
75:溝部
80:回転部材
81:押動部
83:傾斜部
85:ガイド部
90:非回転部材
91:突起部
93:四角孔
95:バネ軸
97:傾斜ガイド部
100:バネ
GG:発電機構
GS:バネ機構
GU:発電ユニット
GU2:入力部
MB:メインボタン群
MB1:停止ボタン
MB2:洗浄ボタン
MB3:ビデ洗浄ボタン
MB4:乾燥ボタン
WB:吐水ボタン
MS1〜MS4:検知スイッチ
N2:ノズル
SB:サブボタン群
SB1:強ボタン
SB2:弱ボタン
SB3:前ボタン
SB4:後ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8