特許第6403206号(P6403206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403206
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】自動分析装置及び自動分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20181001BHJP
【FI】
   G01N35/00 F
   G01N35/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-14502(P2015-14502)
(22)【出願日】2015年1月28日
(65)【公開番号】特開2016-138836(P2016-138836A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 康次
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−036512(JP,A)
【文献】 特開2012−225879(JP,A)
【文献】 特開2004−271265(JP,A)
【文献】 特開2013−024880(JP,A)
【文献】 特開2007−248088(JP,A)
【文献】 特開2010−096572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロール検体を収容するコントロール検体収容部と、
前記コントロール検体収容部から前記コントロール検体が収容された移送容器、又は患者検体が収容された移送容器を搬送する移送容器搬送部と、
試薬が収容される試薬ボトルを保管し、前記試薬ボトルの試薬残量を測定し、前記試薬ボトルから取り出した前記試薬と、前記移送容器から反応容器に分注された前記コントロール検体又は前記患者検体との反応物を測定した結果に基づいて、前記コントロール検体又は前記患者検体を分析する分析モジュールと、
切り替え前の前記試薬ボトルに収容された前記試薬を用いて前記分析モジュールに前記コントロール検体の測定を行わせた後、切り替え前の前記試薬ボトルに収容された前記試薬を用いて前記患者検体の測定を行い、前記試薬ボトルの試薬残量が前記コントロール検体を少なくとも1回分析できるだけの試薬残量になったときに、前記試薬ボトルに対して、前記コントロール検体の分析を要求するための要求フラグを立てて、前記コントロール検体の少なくとも1回の分析が可能な前記試薬が残った状態で前記分析モジュールに前記試薬ボトルを新たな前記試薬ボトルに切り替えさせ、新たな前記試薬ボトルを用いて前記分析モジュールに前記患者検体の測定を行わせている間に、前記移送容器搬送部によって前記コントロール検体が収容された前記移送容器が搬送されると、前記要求フラグが付された切り替え前の前記試薬ボトルを用いて前記分析モジュールに前記コントロール検体の測定を行わせる制御部と、を備える
自動分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記分析モジュールが前記試薬ボトルを切り替えた直後に、前記移送容器搬送部に前記コントロール検体が収容された移送容器を搬送させる
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記分析モジュールが前記試薬ボトルを切り替える前に、前記移送容器搬送部に前記コントロール検体が収容された移送容器を搬送させ、前記分析モジュールが前記試薬ボトルを切り替えた直後に、新たな前記試薬ボトルを用いて前記分析モジュールに前記コントロール検体の測定を行わせる
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記自動分析装置は、複数の前記分析モジュールが連結されたマルチタイプであり、
前記移送容器搬送部は、前記コントロール検体収容部と、前記分析モジュールとに併設される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記自動分析装置は、1つの前記分析モジュールで構成されるシングルタイプであり、
前記移送容器搬送部は、希釈液によって希釈された前記患者検体又は前記コントロール検体を保持する希釈テーブルである
請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項6】
コントロール検体を収容するコントロール検体収容部と、
前記コントロール検体収容部から前記コントロール検体が収容された移送容器、又は患者検体が収容された移送容器を搬送する移送容器搬送部と、
試薬が収容される試薬ボトルを保管し、前記試薬ボトルの試薬残量を測定し、前記試薬ボトルから取り出した前記試薬と、前記移送容器から反応容器に分注された前記コントロール検体又は前記患者検体との反応物を測定した結果に基づいて、前記コントロール検体又は前記患者検体を分析する分析モジュールと、
前記コントロール検体収容部、前記移送容器搬送部、及び前記分析モジュールの動作を制御する制御部と、を備える自動分析装置によって用いられる自動分析方法であって、
切り替え前の前記試薬ボトルに収容された前記試薬を用いて前記分析モジュールに前記コントロール検体の測定を行わせた後、切り替え前の前記試薬ボトルに収容された前記試薬を用いて前記患者検体の測定を行い、前記試薬ボトルの試薬残量が前記コントロール検体を少なくとも1回分析できるだけの試薬残量になったときに、前記試薬ボトルに対して、前記コントロール検体の分析を要求するための要求フラグを立てるステップと、
前記コントロール検体の少なくとも1回の分析が可能な前記試薬が残った状態で前記分析モジュールに前記試薬ボトルを新たな前記試薬ボトルに切り替えさせるステップと、
新たな前記試薬ボトルを用いて前記分析モジュールに前記患者検体の測定を行わせている間に、前記移送容器搬送部によって前記コントロール検体が収容された前記移送容器が搬送されると、前記要求フラグが付された切り替え前の前記試薬ボトルを用いて前記分析モジュールに前記コントロール検体の測定を行わせるステップと、を含む
自動分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を分析する自動分析装置及び自動分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を自動的に分析することが可能な自動分析装置が知られている。このような自動分析装置は、多数の患者検体を各種の検査項目により検査することが可能である。
【0003】
自動分析装置には、シングルタイプ、マルチタイプがある。シングルタイプの自動分析装置では、分析モジュールを1台しか備えておらず、分析項目数に制限がある一方で、マルチタイプの自動分析装置では、複数の分析モジュールを備えているため、多くの分析項目により患者検体を分析することが可能である。また、マルチタイプの自動分析装置では、複数の分析モジュールが同じ分析項目による分析を担当することにより、多数の患者検体を同時に分析することも可能である。
【0004】
分析モジュールは、試薬庫に格納された試薬ボトルからピペットによって反応ターンテーブルに分注された試薬と患者検体とを反応させて反応物を生成した後、この反応物に光を当てて吸光度を測定する。そして、分析モジュールは、予め作成してある検量線と吸光度との関係に基づいて患者検体に含まれる所定成分の濃度を算出することで、患者検体を分析する。予め試薬の精度が管理されていれば、試薬に反応する患者検体の吸光度の測定値も正当であると判断できる。しかし、測定値が規定値を超えていれば、試薬や自動分析装置に異常が生じており、この試薬を用いて測定される患者検体の測定データにも異常が生じていると判断することができる。
【0005】
このため、分析モジュールは、患者検体を測定する前に、コントロール検体を用いて、試薬の精度管理を行っている。このコントロール検体は、予め測定値(規定値)が判明している検体であり、測定される患者検体の所定数毎、又は所定時間毎に自動的に分析モジュールに移送される。このようなコントロール検体を「自動コントロール検体」と呼ぶ。分析モジュールがコントロール検体を用いて行う処理は、患者検体に対する処理と同様である。
【0006】
また、自動分析装置では、同一の検査項目を測定するために用いる複数組の試薬ボトルを試薬庫に保管することが要求される。これは、一日当たりの患者検体数によっては、一つの試薬ボトルだけで全ての患者検体に用いられる試薬を用意することが難しいためである。このため、ある試薬ボトル内の試薬残量が少なくなれば、新たな試薬ボトルに切り替えて測定を継続する。しかし、従来の自動分析装置が運転状態にあるときに、試薬庫にある試薬ボトルを別の試薬庫から持ち込んだ試薬ボトルに切り替えることはできない。このため、自動分析装置の運転開始前から複数の試薬ボトルを予め試薬庫に保管しておく。
【0007】
従来、試薬ボトルペアを切り替えるために様々な技術が提案されてきた。例えば、特許文献1には、使用ボトルの試薬切れが生じた場合に事前にコントロール検体が測定されている待機試薬ボトルに移り分析を継続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−271265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されているように試薬ボトルペアの切り替えが起こったときに、コントロール検体の測定を開始する機能を有する自動分析装置はこれまでにも存在していた。しかし、従来行われてきたコントロール検体の分析機能は不完全なものであり、試薬ボトルペアの切り替え機能を充分に活用できるものではなかった。
【0010】
ここで、コントロール検体を分析するタイミングについて説明する。
図7は、切り替え前後の試薬ボトルに収容される試薬を用いて分析される検体の例を示す。図7Aは、切り替え前の試薬ボトルを用いて分析される検体の例を示し、図7Bは、切り替え後の試薬ボトルを用いて分析される検体の例を示す。
【0011】
分析モジュールは、切り替え前の試薬ボトル(以下、「旧試薬ボトル」とも呼ぶ。)に収容される試薬を用いて複数の患者検体を分析する(図7Aの(1))。そして、分析モジュールは、定期的にコントロール検体の分析を行い、旧試薬ボトルに収容されている試薬の精度を管理する(図7Aの(2))。再び分析モジュールは、旧試薬ボトルを用いて、患者検体を分析する(図7Aの(3)、(4))。ここで旧試薬ボトルの試薬残量が分析に必要な規定量に満たなくなると、旧試薬ボトルは試薬切れとなる(図7Aの(5))。このとき、分析モジュールは、旧試薬ボトルを新たな試薬ボトル(以下、「新試薬ボトル」とも呼ぶ。)に切り替える(図7Aの(6))。
【0012】
その後、分析モジュールは、新試薬ボトルに収容される試薬を用いて複数の患者検体を分析し(図7Bの(7))、定期的に新試薬ボトルを用いてコントロール検体の分析を行う(図7Bの(8))。このように分析モジュールは、新試薬ボトルを用いて複数の患者検体の分析と、コントロール検体の分析とを繰り返す(図7Bの(9)〜(11))。
【0013】
ここで、図7Aの(6)に示す旧試薬ボトルから新試薬ボトルへの切り替えに際して、旧試薬ボトルに残る試薬を用いてコントロール検体を分析したいという要望があった。これは、旧試薬ボトルを用いて最後にコントロール検体を分析することで、それまでに旧試薬ボトルを用いて分析した患者検体の分析結果が正当であることを判断できるためである。しかし、旧試薬ボトルの試薬残量が1回の分析に必要な量に満たなければ、旧試薬ボトルに収容された試薬を用いてコントロール検体を分析することはできない。
【0014】
このため、分析モジュールは、図7Bに示すように新試薬ボトルに切り替えた後では、新試薬ボトルに収容される試薬を用いて患者検体を分析し、定期的にコントロール検体を分析していた。そして、旧試薬ボトルを用いて分析された患者検体(図7Aの(3)、(4))の分析結果が正当であるか判断できなかった。
【0015】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、切り替え前の試薬ボトルを用いて分析された患者検体の分析結果の正当性を証明することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、コントロール検体収容部と、移送容器搬送部と、分析モジュールと、制御部と、を備える。
コントロール検体収容部は、コントロール検体を収容する。
移送容器搬送部は、コントロール検体収容部からコントロール検体が収容された移送容器、又は患者検体が収容された移送容器を搬送する。
分析モジュールは、試薬が収容される試薬ボトルを保管し、試薬ボトルの試薬残量を測定し、試薬ボトルから取り出した試薬と、移送容器から反応容器に分注されたコントロール検体又は患者検体との反応物を測定した結果に基づいて、コントロール検体又は患者検体を分析する。
制御部は、切り替え前の試薬ボトルに収容された試薬を用いて分析モジュールにコントロール検体の測定を行わせた後、切り替え前の試薬ボトルに収容された試薬を用いて患者検体の測定を行い、試薬ボトルの試薬残量がコントロール検体を少なくとも1回分析できるだけの試薬残量になったときに、試薬ボトルに要求フラグを立てて、コントロール検体の少なくとも1回の分析が可能な試薬が残った状態で分析モジュールに試薬ボトルを新たな試薬ボトルに切り替えさせ、新たな試薬ボトルを用いて分析モジュールに患者検体の測定を行わせている間に、移送容器搬送部によってコントロール検体が収容された移送容器が搬送されると、要求フラグが付された切り替え前の試薬ボトルを用いて分析モジュールにコントロール検体の測定を行わせる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、切り替え前の試薬ボトルに収容される試薬を用いた最後の分析をコントロール検体で終わらせることができる。このため、切り替え前の試薬ボトルを用いて分析された患者検体の分析結果の正当性を証明することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態例に係るマルチタイプの自動分析装置の概略構成を示す上面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態例に係る制御部と分析モジュールの概略構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態例に係る自動分析装置の内部構成例を示すブロック図である。
図4】自動分析装置が行う従来の動作例を示す説明図である。
図5】本発明の第1の実施の形態例に係る自動分析装置の制御部が行う処理例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施の形態例に係るシングルタイプの自動分析装置の概略構成を示す斜視図である。
図7】切り替え前後の試薬ボトルに収容される試薬を用いて分析される検体の例を示す。図7Aは、切り替え前の試薬ボトルを用いて分析される検体の例を示し、図7Bは、切り替え後の試薬ボトルを用いて分析される検体の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施の形態例]
以下、本発明の第1の実施の形態例に係るマルチタイプの自動分析装置について、図1図5を参照して説明する。
本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
図1は、マルチタイプの自動分析装置1の概略構成を示す上面図である。
【0020】
自動分析装置1は、生化学、尿等の様々な分析を行うための臨床検査用の自動分析装置の一例として示したものである。この自動分析装置1は、検体搬送部2と、希釈検体搬送部3(移送容器搬送部の一例)と、検体架設部4と、連結された4台の分析モジュール7(1)〜7(4)とを備えるマルチタイプとしてある。以下の説明で分析モジュール7(1)〜7(4)を区別しない場合には、分析モジュール7と呼ぶ場合がある。
【0021】
検体架設部4の隣りに分析モジュール7(1)が結合され、分析モジュール7(1)に分析モジュール7(2)〜(4)が順に結合される。検体架設部4と希釈検体搬送部3には、患者検体を搬送する検体搬送部2が結合される。また、希釈検体搬送部3は、検体架設部4と、分析モジュール7(1)〜7(4)とに併設されている。自動分析装置1が備える各部の動作は、自動分析装置1に接続された制御部20によって制御される(後述する図3を参照)。
【0022】
検体架設部4は、コントロール検体が収容されるサンプルターンテーブル5(コントロール検体収容部の一例)と、サンプル希釈ピペット6とを備える。サンプル希釈ピペット6は、希釈検体搬送部3に設けられた希釈容器16(移送容器の一例)にサンプルターンテーブル5からコントロール検体を分注する。また、サンプル希釈ピペット6は、検体搬送部2によって搬送される搬送容器に収容された患者検体を希釈容器16に分注する。サンプル希釈ピペット6が希釈容器16にコントロール検体又は患者検体を分注する際には、所定濃度の希釈液を用いてコントロール検体又は患者検体を希釈している。患者検体又はコントロール検体が分注された希釈容器16は、希釈検体搬送部3によって分析モジュール7(1)〜7(4)のいずれかに向けて搬送される。希釈容器16の搬送先が分析モジュール7(1)〜7(4)のいずれであるかは制御部20が管理している。
【0023】
以下の説明では、希釈容器16に収容される希釈された患者検体又はコントロール検体を、そのまま「患者検体」又は「コントロール検体」と呼ぶ場合があり、「患者検体」又は「コントロール検体」を区別しない場合には、「希釈検体」と呼ぶ場合がある。また、患者検体から取り出された一部の検体を「子検体」と呼び、子検体が取り出された患者検体を「親検体」と呼び、希釈液によって希釈された患者検体を「希釈検体」と呼ぶ。この自動分析装置1では、希釈検体が希釈検体搬送部3によって搬送されるが、親検体又は子検体が希釈容器16に分注され、希釈検体搬送部3によって搬送されるようにしてもよい。
【0024】
患者検体が希釈容器16に分注されると、希釈検体搬送部3は、分析モジュール7(1)〜7(4)のいずれかに向けて希釈容器16を搬送する。
【0025】
分析モジュール7(1)〜7(4)は、それぞれ試薬庫8、第1試薬ピペット10a、第2試薬ピペット10b、反応ターンテーブル11、サンプリングピペット13、反応容器洗浄機構14を備える。試薬庫8には、第1試薬ターンテーブル9aと第2試薬ターンテーブル9bが設けられている。第1試薬ターンテーブル9aには、第1試薬が封入された第1ボトルが保管される。第2試薬ターンテーブル9bには、第2試薬が封入された第2ボトルとが保管される。以下の説明では、1つの希釈検体に用いられる第1試薬が封入された第1ボトルと、第2試薬が封入された第2ボトルの組を「試薬ボトルペア」と呼ぶ。
【0026】
そして、試薬庫8には、同一の検査項目に対して複数の試薬ボトルペアを設置可能である。すなわち、第1試薬ターンテーブル9aには、複数の第1ボトルが保管され、第2試薬ターンテーブル9bには、複数の第2ボトルが保管されている。分析モジュール7(1)〜7(4)は、それぞれ第1試薬ピペット10aを用いて第1試薬ターンテーブル9aに保管される試薬ボトルペアの第1試薬の試薬残量を測定し、第2試薬ピペット10bを用いて第2試薬ターンテーブル9bに保管される試薬ボトルペアの第2試薬の試薬残量を測定する。そして、分析モジュール7(1)〜7(4)は、試薬ボトルから取り出した試薬と、希釈容器16から反応ターンテーブル11に設けられる反応容器(不図示)に分注されたコントロール検体又は患者検体との反応物の測定結果(吸光度等の測定データ)を分析する。なお、分析モジュール7(1)〜7(4)は、試薬ボトルペアの試薬残量が規定量未満となったときには、新試薬ボトルペアに切り替えて希釈検体の測定を継続することが可能である。このため、分析モジュール7(1)〜7(4)は、同一の検査項目に対して複数の試薬ボトルペアを設定可能である。
【0027】
反応ターンテーブル11には、患者検体又は試薬が分注される複数本の反応容器が反応ターンテーブル11の周上に配置されている。反応ターンテーブル11の傍には、測定部12が設けられている。反応ターンテーブル11は、回転して反応容器を移動させることにより、フルランダムアクセスが可能である。すなわち、反応ターンテーブル11が回転することにより、反応容器を任意の位置に移動させることが可能である。
【0028】
分析モジュール7が患者検体を測定する際には、希釈検体搬送部3によって搬送される希釈容器16から、サンプリングピペット13が所定量の患者検体を吸引し、反応ターンテーブル11の円周上に設置された反応容器に患者検体を吐出する。そして、第1試薬ピペット10aは、第1試薬ターンテーブル9aに設置された第1ボトルから第1試薬を吸引しつつ、第1ボトルの試薬残量を測定した後、患者検体が吐出された反応容器に所定量の第1試薬を吐出する。第2試薬ピペット10bは、第2試薬ターンテーブル9bに設置された第2ボトルから第2試薬を吸引しつつ、第2ボトルの試薬残量を測定した後、第1試薬が吐出された反応容器に所定量の第2試薬を吐出する。その後、反応容器内の患者検体が攪拌される。そして、測定部12が、反応容器に光を当てて得た測定データを取得する。測定部12による測定が終了した反応容器は反応容器洗浄機構14によって洗浄される。なお、分析モジュール7がコントロール検体を測定する際の動作は、分析モジュール7が患者検体を測定する際の動作と同様である。
【0029】
搬送先である分析モジュール7を通過した患者検体は、希釈検体搬送部3によって検体搬送部2の近くまで戻される。そして、希釈検体搬送部3に併設される希釈容器洗浄機構15によって希釈容器16が洗浄され、再び希釈容器16に希釈検体を収容可能とする。このようにマルチタイプの自動分析装置1は、大量の患者検体を搬送可能な検体搬送部2に接続されているため、大量の患者検体を分析することができる。
【0030】
制御部20は、同一の検査項目において、複数の試薬ボトルペア毎に検量線を作成し、この検量線を保持する機能を有している。そして、制御部20は、分析モジュール7に対して使用している試薬ボトルペアの試薬残量を測定させる。制御部20は、分析モジュール7が使用している試薬ボトルペアの試薬残量が患者検体を分析するために必要な規定量に満たなくなる前に、分析モジュール7に対して旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えさせる制御を行う。
【0031】
図2は、制御部20と分析モジュール7の概略構成例を示すブロック図である。
【0032】
分析モジュール7は、上述した試薬庫8内に試薬ボトル8a,8bを有する。図1に示す第1試薬ターンテーブル9aには、試薬ボトル8aが格納され、第2試薬ターンテーブル9bには、試薬ボトル8bが格納される。そして、試薬ボトル8aには第1試薬が収容され、試薬ボトル8bには第2試薬が収容される。
【0033】
制御部20には、入力部21が接続される。入力部21には、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等が用いられる。入力部21は、ユーザからの入力操作を受け付け、制御部20に指示を行う。入力部21から制御部20に対して、希釈検体搬送部3にコントロール検体を自動的に搬送させるタイミング(所定回数、所定時間等)が設定される。
【0034】
また、入力部21から制御部20に対して、患者検体又はコントロール検体を1回測定する際には、分析モジュール7に複数の試薬ボトル8a,8b(試薬ボトルペア)を使うことを指示する設定も可能である。この設定として、例えば、患者検体に含まれる中性脂肪の量を分析するために、試薬ボトル8a,8bに付された試薬バーコードを選択するための設定や、第1試薬ターンテーブル9a、第2試薬ターンテーブル9bにおいて試薬ボトルペアが収容されている位置を示す情報の設定がある。
【0035】
制御部20は、記憶部17を備える。この記憶部17には、自動分析装置1が動作するための各種の設定情報が記憶されている。例えば、記憶部17には、試薬ボトルペアを切り替えるタイミングが試薬ボトル切り替え設定として記憶されている。制御部20は、記憶部17から試薬ボトル切り替え設定を読み出すことで、試薬ボトル8a,8bの試薬残量が規定量(切り替え高さ)に満たないか否かを判断している。試薬ボトル8a,8bの試薬残量が規定量に満たなければ、制御部20は、分析モジュール7による所定回数の分析が可能な試薬が旧試薬ボトルペアに残った状態で、分析モジュール7に旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えさせる。このとき、旧試薬ボトルペアには、例えば、分析モジュール7がコントロール検体を少なくとも1回分析できるだけの試薬残量の試薬が残った状態としておく。併せて、制御部20は、コントロール検体の分注をサンプルターンテーブル5に指示する。
【0036】
また、記憶部17には、試薬ボトルペアの切り替えに際して制御部20によって設定されるコントロール検体分析要求フラグ(要求フラグの一例)も記憶される。コントロール検体分析要求フラグは、制御部20により旧試薬ボトルペアに対して立てられるフラグである。制御部20は、記憶部17を参照し、希釈検体搬送部3によってコントロール検体が収容された希釈容器16が分析モジュール7に搬送されると、分析モジュール7に格納される旧試薬ボトルペアにコントロール検体分析要求フラグが立っているかどうかを判断する。そして、制御部20は、コントロール検体分析要求フラグが付された切り替え前の旧試薬ボトルペアを用いて分析モジュール7にコントロール検体を分析させる制御を行う。
【0037】
図3は、自動分析装置1の内部構成例を示すブロック図である。
【0038】
自動分析装置1は、図2に示したように、ユーザが動作を指示するために用いる入力部21と、入力部21によって指示された動作を制御する制御部20とを備える。この制御部20は、図2に示した記憶部17を備える。
【0039】
制御部20は、入力部21からの指示に従い、自動分析装置1内の各部(サンプルターンテーブル5、希釈検体搬送部3、第1試薬ターンテーブル9a、第2試薬ターンテーブル9b、反応ターンテーブル11、サンプル希釈ピペット6、サンプリングピペット13、希釈容器洗浄機構15、反応容器洗浄機構14、第1試薬ピペット10a、第2試薬ピペット10b)の動作を制御する。
【0040】
<自動分析装置1の従来の動作>
図4は、自動分析装置1が行う従来の動作例を示す。図4では、自動分析装置1内の構成について、符号の記載を一部省略する。また、希釈検体搬送部3によって搬送される希釈容器16a〜16hには、分析モジュール7(4)によって分析される検体が収容されているものとする。
【0041】
自動分析装置1が行う従来の動作例では、希釈容器16aに収容された患者検体の希釈検体を分析モジュール7(4)が分析している途中で、試薬ボトルペアの試薬残量が規定量に満たなくなると、分析モジュール7(4)は新試薬ボトルペアに切り替える。このため、分析モジュール7(4)は、試薬ボトルペアの切り替え前に、旧試薬ボトルペアに収容された試薬を用いた最後の分析をコントロール検体で終えることができない。
【0042】
分析モジュール7(4)によって試薬ボトルが切り替えられたときには、既に患者検体が希釈された希釈容器16b〜16gが希釈検体搬送部3によって搬送中である。このため、希釈容器16b〜16gに収容された患者検体は、新試薬ボトルペアに収容された試薬を用いて分析が行われる。
【0043】
また、分析モジュール7(4)が試薬ボトルペアを切り替えたタイミングで検体架設部4からコントロール検体が希釈容器16hに分注される。しかし、上述したように希釈容器16b〜16gに収容された患者検体は、新試薬ボトルペアを用いて分析が行われるため、希釈容器16hに収容されたコントロール検体を、旧試薬ボトルペアを用いて分析することはできなかった。
【0044】
そこで、制御部20は、旧試薬ボトルペアの試薬残量が規定量に満たなくなると、分析モジュール7(4)に対して、コントロール検体を分析できるだけの残量の試薬を残した旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えるよう制御する。その後、分析モジュール7(4)は、希釈容器16b〜16gに収容された患者検体を新試薬ボトルペアに収容された試薬を用いて分析する。
【0045】
コントロール検体が希釈された希釈容器16hが分析モジュール7(4)に搬送されると、制御部20は、新試薬ボトルペアを旧試薬ボトルペアに切り替え、旧試薬ボトルペアを用いて希釈容器16hに収容されたコントロール検体を分析する。分析モジュール7(4)は、旧試薬ボトルペアの最後の分析を、コントロール検体を分析して終わることができる。このように制御部20が分析モジュール7(4)に行わせる処理の具体的な内容について、さらに図5を参照して説明する。
【0046】
<自動分析装置1の本実施の形態例に係る動作>
図5は、自動分析装置1の制御部20が行う本実施の形態例に係る動作例を示す。この例においても、分析モジュール7(4)が検体の分析を行う様子について説明する。
【0047】
初めに、制御部20は、分析モジュール7(4)に到達した希釈容器16がコントロール検体の分析を行うためのもの、すなわち希釈容器16にコントロール検体が収容されているか否かを判断する(S1)。希釈容器16にコントロール検体が含まれない場合には(S1のNO)、希釈容器16には患者検体が収容されているため、制御部20は分析モジュール7(4)に患者検体の分析を行わせる(S2)。
【0048】
制御部20は、希釈容器16がコントロール検体の分析を行うためのものであると判断した場合(S1のYES)、記憶部17を参照して、コントロール検体分析要求フラグが立っているかどうかを判断する(S3)。
【0049】
制御部20は、コントロール検体分析要求フラグが立っていないと判断すると(S3のNO)、分析モジュール7(4)に対して現在の試薬ボトルペアを使用してコントロール検体の分析を行わせる(S4)。現在の試薬ボトルペアとは、分析モジュール7(4)に到着した希釈容器16に収容された患者検体又はコントロール検体を分析するために用いられる試薬ボトルペアである。ステップS4における現在の試薬ボトルペアは新試薬ボトルペアとする。
【0050】
制御部20は、コントロール検体分析要求フラグが立っていると判断すると(S3のYES)、分析モジュール7(4)に対して新試薬ボトルペアを旧試薬ボトルペアに切り替えさせる。そして、制御部20は、分析モジュール7(4)に対して、旧試薬ボトルペアを使用してコントロール検体の分析を行わせる(S5)。これにより、旧試薬ボトルペアに残った試薬を用いる最後の分析をコントロール検体の分析とすることができる。そして、制御部20は、コントロール検体分析要求フラグを下ろす(S6)。
【0051】
ステップS2,S4,S6のいずれかの処理を経た後、制御部20は、現在の試薬ボトルペアの試薬残量の高さが切り替え高さになったか否かを判断する(S7)。ステップS7における現在の試薬ボトルペアは旧試薬ボトルペアとする。制御部20が、現在の試薬ボトルペアの試薬残量の高さが切り替え高さになっていないと判断すると(S7のNO)、現在の試薬ボトルペアには十分な量の試薬が残っているので、分析モジュール7(4)が現在の試薬ボトルペアを用いて分析を継続する。
【0052】
ステップS7にて、制御部20が試薬残量の高さが切り替え高さになったと判断すると(S7のYES)、現在の試薬ボトルペアの試薬残量が規定量に満たないので、制御部20は、現在の試薬ボトルペアに対して、コントロール検体分析要求フラグを立てる(S8)。
【0053】
そして、制御部20は、分析モジュール7(4)に対して、現在の試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えさせる(S9)。その後、制御部20は、検体架設部4に対して、コントロール検体を自動的に分注させる(S10)。
【0054】
ステップS7,S10のいずれかの処理を経た後、制御部20は、全体の分析、すなわち全ての患者検体又はコントロール検体の分析を終了したか否かを判断する(S11)。分析すべき患者検体又はコントロール検体が残っていれば、制御部20はステップS1に戻り、患者検体又はコントロール検体を分析する処理を継続する。一方、分析すべき患者検体又はコントロール検体がなければ、制御部20は処理を終了する。
【0055】
このように試薬ボトルペアが切り替えられた後であっても、分析モジュール7(4)は、旧試薬ボトルペアに残る試薬を用いて、コントロール検体の分析を行うことが可能となる。
【0056】
以上説明した第1の実施の形態例に係る自動分析装置1によれば、患者検体を分析している間に試薬ボトルペアの試薬残量が規定量に満たなくなると、旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替え、旧試薬ボトルペアに対してコントロール検体分析要求フラグを立てる。その後、制御部20は、分析モジュール7にコントロール検体が近づくと、コントロール検体分析要求フラグが立っているかどうかを判断する。そして、コントロール検体分析要求フラグが立っていれば、制御部20は、旧試薬ボトルペアを用いてコントロール検体の測定を行い、このコントロール検体を分析することが可能となる。これにより、旧試薬ボトルペアを用いた最後の分析を、コントロール検体の分析で締めくくることができる。そして、旧試薬ボトルペアを用いて分析された患者検体の分析結果の正当性を、自動分析装置1の状態や安定性の面から証明し易くなる。
【0057】
なお、分析モジュール7が試薬ボトルペアの試薬残量を正確に測定できるのであれば、制御部20は、試薬残量から見積もった分析回数に基づいて、予めコントロール検体を分析モジュール7に搬送する制御を行ってもよい。これにより、分析モジュール7は、旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えた直後に、旧試薬ボトルペアを用いてコントロール検体を分析することが可能となる。このように旧試薬ボトルペアが新試薬ボトルペアに切り替えられたとしても、速やかに旧試薬ボトルペアの最後の分析を行うことができるので、旧試薬ボトルペアに収容された試薬の劣化を抑えることができる。
【0058】
また、制御部20は、分析モジュール7が試薬ボトルペアを切り替える前に、希釈検体搬送部3にコントロール検体が収容された希釈容器16を搬送させ、分析モジュール7が旧試薬ボトルペアを新試薬ボトルペアに切り替えた直後に、新試薬ボトルペアを用いて分析モジュール7にコントロール検体の分析を行わせてもよい。すなわち、新試薬ボトルペアを用いて行う第1回目の分析をコントロール検体の分析とすることもできる。この結果、ある試薬ボトルペアを最初に用いる際には、始めにコントロール検体を分析し、複数の患者検体を分析し、最後にコントロール検体を分析することで、患者検体の分析結果をコントロール検体の分析結果で挟み打ちすることも可能である。これにより、新試薬ボトルペアを用いて分析された患者検体の正当性を証明しやすくなる。
【0059】
[第2の実施の形態例]
次に、本発明の第2の実施の形態例に係るシングルタイプの自動分析装置について説明する。
図6は、シングルタイプの自動分析装置30の斜視図である。
【0060】
この自動分析装置30は、サンプルターンテーブル31と、希釈ターンテーブル32と、第1試薬ターンテーブル33と、第2試薬ターンテーブル34と、反応ターンテーブル35と、を備えている。この自動分析装置30では、反応ターンテーブル35に付随する各部が1つの分析モジュールとして用いられる。また、自動分析装置30は、サンプル希釈ピペット36と、サンプリングピペット37と、希釈撹拌装置38と、希釈洗浄装置39と、第1試薬ピペット40と、第2試薬ピペット41と、第1反応撹拌装置42と、第2反応撹拌装置43と、多波長光度計44と、恒温槽45と、反応容器洗浄装置46と、計算機50とを備えている。
【0061】
サンプルターンテーブル31(コントロール検体収容部の一例)には、複数の検体容器51と、複数の希釈液容器52が収容されている。検体容器51には、上述したコントロール検体と患者検体が収容されている。希釈液容器52には、通常の希釈液である生理食塩水以外の特別な希釈液が収容される。
希釈ターンテーブル32(希釈テーブルの一例)には、複数の希釈容器53(移送容器の一例)が希釈ターンテーブル32の周方向に並べて収容されている。希釈液によって希釈された患者検体又はコントロール検体を収容する希釈容器53を保持する希釈ターンテーブル32が、移送容器搬送部として用いられる。
【0062】
第1試薬ターンテーブル33には、複数の第1試薬容器54が第1試薬ターンテーブル33の周方向に並べて収容されている。また、第2試薬ターンテーブル34には、複数の第2試薬容器55が第2試薬ターンテーブル34の周方向に並べて収容されている。
反応ターンテーブル35は、希釈ターンテーブル32と、第1試薬ターンテーブル33及び第2試薬ターンテーブル34の間に配置され、複数の反応容器56が反応ターンテーブル35の周方向に並べて収容されている。
【0063】
サンプル希釈ピペット36は、サンプルターンテーブル31と希釈ターンテーブル32の周囲に配置され、不図示の希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル31及び希釈ターンテーブル32の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。サンプル希釈ピペット36は、検体容器51内に収容された検体を所定量吸引し、吸引した検体と、サンプル希釈ピペット36自体から供給される所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を希釈容器53内に吐出する。これにより、希釈容器53内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。
【0064】
サンプリングピペット37は、希釈ターンテーブル32と反応ターンテーブル35の間に配置され、不図示のサンプリングピペット駆動機構により、希釈ターンテーブル32の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。サンプリングピペット37は、希釈ターンテーブル32の希釈容器53から所定量の希釈検体を吸引し、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル35の反応容器56内に吐出する。
【0065】
希釈撹拌装置38及び希釈洗浄装置39は、希釈ターンテーブル32の周囲に配置されている。希釈撹拌装置38は、不図示の撹拌子を希釈容器53内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。希釈洗浄装置39は、洗剤ポンプから希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、希釈容器洗浄ノズルから希釈容器53内に洗剤を吐出する。
【0066】
第1試薬ピペット40は、反応ターンテーブル35と第1試薬ターンテーブル33の間に配置され、不図示の第1試薬ピペット駆動機構により、反応ターンテーブル35の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第1試薬ピペット40は、第1試薬ターンテーブル33の第1試薬容器54内にピペットを挿入して、所定量の第1試薬を吸引し、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル35の反応容器56内に吐出する。
【0067】
第2試薬ピペット41は、反応ターンテーブル35と第2試薬ターンテーブル34の間に配置され、不図示の第2試薬ピペット駆動機構により、反応ターンテーブル35の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第2試薬ピペット41は、第2試薬ターンテーブル34の第2試薬容器55内にピペットを挿入して、所定量の第2試薬を吸引し、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル35の反応容器56内に吐出する。
【0068】
第1反応撹拌装置42、第2反応撹拌装置43及び反応容器洗浄装置46は、反応ターンテーブル35の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置42は、不図示の撹拌子を反応容器56内に挿入し、希釈検体と第1試薬を撹拌する。第2反応撹拌装置43は、不図示の撹拌子を反応容器56内に挿入し、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬とを撹拌する。反応容器洗浄装置46は、検査が終了した反応容器56内を洗浄する。
【0069】
多波長光度計44は、反応ターンテーブル35の周囲における反応ターンテーブル35の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計44は、反応容器56内に注入され、第1薬液及び第2薬液と反応した希釈検体に対して光学的測定を行って、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、希釈検体の反応状態を検出するものである。多波長光度計44には、自動分析装置30の各部の動作を制御するための計算機50(制御部の一例)が接続されている。
【0070】
反応ターンテーブル35の周囲には、恒温槽45が配置されている。この恒温槽45は、反応ターンテーブル35に設けられた反応容器56の温度を常時一定に保持するように構成されている。
【0071】
この自動分析装置30において、希釈ターンテーブル32に収容される希釈容器53にコントロール検体又は患者検体が希釈されて収容される。そして、希釈容器53から希釈されたコントロール検体又は患者検体が反応ターンテーブル35の反応容器56に分注される。さらに、第1試薬容器54から吸引された第1試薬と、第2試薬容器55から吸引された第2試薬がそれぞれ反応容器56に分注される。ここで、第1試薬容器54に収容される第1試薬が規定量に満たなくなるか、第2試薬容器55に収容される第2試薬が規定量に満たなくなると、試薬ボトルペアが切り替えられる。そして、旧試薬ボトルペアには、コントロール検体分析要求フラグが立てられる。
【0072】
その後、所定のタイミングでコントロール検体が希釈容器53に希釈されて収容された後、反応ターンテーブル35の反応容器56に分注されると、旧試薬ボトルペアから最後の試薬が反応容器56に分注される。このため、計算機50は、上述した第1の実施の形態例と同様に、試薬ボトルペアの切り替えた後であっても、旧試薬ボトルペアに残る試薬を用いて自動分析装置30にコントロール検体の測定を行わせることができる。
【0073】
この自動分析装置30においても、分析モジュールが試薬ボトルペアを切り替えた直後にコントロール検体を希釈容器53に分注してもよい。これにより、旧試薬ボトルペアに残る試薬を用いて、自動分析装置30にコントロール検体の測定を速やかに行わせることができる。
【0074】
[3.変形例]
なお、上述した実施の形態例では、第1及び第2試薬が収容される試薬ボトルペアを切り替える例について説明したが、1種類の試薬が収容される試薬ボトルだけを切り替える場合に適用してもよい。また、3種類以上の試薬が収容される3本以上の試薬ボトルを切り替える場合に適用してもよい。
【0075】
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…自動分析装置、2…検体搬送部、3…希釈検体搬送部、4…検体架設部、5…サンプルターンテーブル、6…サンプル希釈ピペット、7…分析モジュール、8…試薬庫、11…反応ターンテーブル、12…測定部、13…サンプリングピペット、16…希釈容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7