特許第6403208号(P6403208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403208
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】タッチパッド装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20181001BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20181001BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20181001BHJP
   H01H 89/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   G06F3/0354 450
   H01H9/18 A
   H01H36/00 Y
   H01H36/00 J
   H01H89/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-18973(P2015-18973)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-143252(P2016-143252A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中澤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】池田 純成
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0090605(US,A1)
【文献】 特開2014−162253(JP,A)
【文献】 特開2010−67551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02−3/047
H03M 11/00−11/26
H01H 36/00−36/02
H01H 13/00−13/88
H01H 9/00−9/28
H01H 89/00−89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側に操作体が近接操作を行う操作面と、前記操作面に配置された照光部と、を有する操作部と、
互いに表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記操作部の他方側に前記操作面と前記第1面とが沿うように配置され、前記第1面に前記近接操作を検出する検出部が設けられた基板と、
前記操作部と前記基板とを一体に支持する支持部材と、を備えたタッチパッド装置であって、
前記基板は、前記操作面側からの平面視で前記照光部には重ならないように設けられ、
前記基板の前記第2面側で、前記照光部の近傍に配置され、前記支持部材側に光を出力する光源を備え、
前記支持部材の前記光源と対向する位置には、前記光源から出力される光を前記照光部の向きに反射する反射部が設けられていることを特徴とするタッチパッド装置。
【請求項2】
前記操作部を前記操作面が露出した状態で、前記支持部材を前記操作面と交差する方向に往復自在に支持する筺体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のタッチパッド装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパッド装置に関し、特に、照光機能を備えたタッチパッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、操作者の指やタッチペンなどの操作体による近接操作を検知することで入力操作を行うタッチパネルあるいはタッチパッドと称される入力装置が携帯電話やタブレット型端末等の携帯機器や、ナビゲーション装置等の車載機器等に用いられている。また、デザイン性や視認性を向上させるため、入力装置への照光が行われる場合があるが、機器の構造等の制約から照光したい部分を光源で直接照光することが難しい場合がある。
【0003】
特許文献1(従来例1)に記載のタッチパネルを備えた携帯機器900では、図5に示すように、LCD(Liquid Crystal Display)905の表示エリア905a外で且つタッチパネルの操作可能範囲内に照光キー908を設けている。LCD905の裏側に配置されたメイン基板上に、正面から見て照光キー908よりも外側にLED(Light Emitting Diode)910を搭載し、LED910の正面側に、このLED910からの光を照光キー908へ導く導光体911を設けている。導光体911を用いて光源であるLED910が出力する光の向きと異なる位置を照光する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013‐239900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例では、照光のために導光体を使用する必要があるため、部品点数が増え、組立ての工数や導光体分のコスト等が増加する虞があるという課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するもので、導光体を用いることなく照光することができる照光機能を備えたタッチパッド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明のタッチパッド装置は、一方側に操作体が近接操作を行う操作面と、前記操作面に配置された照光部と、を有する操作部と、互いに表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記操作部の他方側に前記操作面と前記第1面とが沿うように配置され、前記第1面に前記近接操作を検出する検出部が設けられた基板と、前記操作部と前記基板とを一体に支持する支持部材と、を備え、前記基板は、前記操作面側からの平面視で前記照光部には重ならないように設けられ、前記基板の前記第2面側で、前記照光部の近傍に配置され、前記支持部材側に光を出力する光源を備え、前記支持部材の前記光源と対向する位置には、前記光源から出力される光を前記照光部の向きに反射する反射部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、支持部材の一方側には、光源と対向する位置に、光源から出力される光を照光部の向きに反射する反射部が設けられており、基板は、操作面側からの平面視で照光部に重ならないように設けられているので、導光体を用いることなく照光部の照光を行うことができる。従って、導光体を用いることなく照光することができる照光機能を備えたタッチパッド装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明のタッチパッド装置は、前記操作部を前記操作面が露出した状態で、前記支持部材を前記操作面と交差する方向に往復自在に支持する筺体を備えたことを特徴とする。
【0010】
これによれば、筺体に、操作部が露出した状態で、支持部材が操作面と交差する方向に往復自在に支持されているので、操作面を押圧操作した場合に、操作部と支持部が一体的に移動する。このため押圧操作によって操作部が移動しても支持部材との位置が一定に保たれるので照光の状態が変化することがない。従って操作によって操作部が移動しても安定した照光を行うことができる照光機能を備えたタッチパッド装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導光体を用いることなく照光を行うことができるタッチパッド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タッチパッド装置の外観を示す図である。
図2】タッチパッド装置の構成部品を示す分解斜視図である。
図3】第1の基板を示す部品図である。
図4】タッチパッド装置の構造および動作を説明する図である。
図5】従来技術のタッチパネルを備えた携帯機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるタッチパッド装置100について説明する。
【0014】
まず始めに本実施形態におけるタッチパッド装置100の構成について図1ないし図4を用いて説明する。図1は、タッチパッド装置100の外観を示す図で、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示すタッチパッド装置100を上(Z1)側から見た平面図である。図2は、タッチパッド装置100の構成部品を示す分解斜視図である。図3は第1の基板20を示す部品図で、図3(a)は第1面(Z1)側から見た斜視図であり、図3(b)は第2面(Z2)側から見た斜視図である。図4はタッチパッド装置100の構造および動作を説明する図である。図4(a)は図1(b)に示すタッチパッド装置100の初期状態におけるA‐A断面を示す断面図であり、図4(b)は照光状態を説明する図で、図4(a)に示すP部の拡大模式図であり、図4(c)は、図4(a)の状態から押圧操作された場合の断面図である。
【0015】
タッチパッド装置100は図1(a)に示すように、略直方体状の筺体40に円筒状の操作部10が組み合わされて外観が形成されている。
【0016】
また、タッチパッド装置100は、図2に示すように、操作部10と、第1の基板20と、支持部材30と、筺体40を構成する基体41と底板42とを備え、筺体40の内部に収容される第2の基板50を有している。
【0017】
操作部10は、乳白色等の透光性を有する合成樹脂材料からなる導光部10dを、遮光性を有する合成樹脂材料からなる遮光部10eが覆うように、2色成型されている(図4(a)参照)。操作部10は、図1および図2に示すように一方(Z1)側に円形状で操作体500が近接操作を行う操作面10aを有し、操作面10aには、遮光部10eから導光部10dを一部分露出させて三角形状の照光部10bが4箇所に配置されている。また、操作面10aの外周から下(Z2)側の延設された円筒状の外周壁10cを有し、その内側には第1の基板20を収容可能な空間が形成されている。
【0018】
第1の基板20は、図2に示すように略円形状の外形で、互いに表裏関係にある第1面20aおよび第2面20bを有しており、操作面10a側からの平面視で照光部10bには重ならないように切り欠き部20cが4箇所に設けられている(図1(b)参照)。第1の基板20は、ガラスエポキシ等の基材に銅箔等で不図示の配線パターン等が形成されており、第1面20aには図3(a)に示すように操作部10への近接操作を検出するための検出電極20dが複数配置された検出部20eが設けられている。また、第2面20b側には図3(b)に示すように切り欠き部20cの近傍に、それぞれ光を出力する光源25としてLEDが配置されている。
【0019】
支持部材30は合成樹脂材からなり、図2に示すように中空の円筒形状を有する円筒部30aと、円筒部30aの内部に上(Z1)側からの平面視で十字状の内壁30eが、フラットケーブル等の電気的な接続手段が挿通可能に形成されている。円筒部30aの一方(Z1)側の端部に外周に沿って環状に上面部30bが形成されており、支持部30cが上面部30bの外周から他方(Z2)側に延設されている。上面部30bには、支持部材30を、操作部10および第1の基板20と組み合わせた際に照光部10bおよび光源25と向かい合う位置に、傾斜面が照光部10b側に向いた反射部30dが設けられている。反射部30dの表面は鏡面状に加工されており、他の部位と比較して光を反射しやすくなっている。また、内壁30eの下(Z2)側の端部には図4(a)に示すように押圧部30fが形成されている。
【0020】
筺体40を構成する基体41は合成樹脂材からなり、図2に示すように矩形状の天板部41aと、天板部41aの外周から下(Z2)側の延設された側壁部41bと、が形成されており、その内側には第2の基板50を収容可能な空間が形成されている。天板部41aの中央部には支持部材30の円筒部30aが挿入可能な円形状の貫通孔40cが設けられている。
【0021】
筺体40を構成する底板42は合成樹脂材からなり、図2に示すように矩形状の蓋部42aと、蓋部42aの上(Z1)側には第2の基板50を保持するための円柱状の基板保持部42bが4箇所に設けられている。蓋部42aは、基体41と組み合わせた際に基体41の側壁部41bの下(Z2)側で、側壁部41bで囲まれた空間を覆うように形成されている。
【0022】
第2の基板50は、ガラスエポキシ等の基材に銅箔等で不図示の配線パターン等が形成されており、図2に示すように矩形状の外形を有している。第2の基板50には、その上面(Z1)側に押圧操作部55aを有するプッシュスイッチ55が配置されている。
【0023】
次にタッチパッド装置100の構造について図1および図4を用いて説明する。
【0024】
操作部10には図4(a)に示すように、操作面10aの他方(Z2)側に、第1の基板20の第1面20aが操作面10aに沿うように配置されて不図示の接着剤等で固定されている。
【0025】
支持部材30の支持部30cには、操作部10が外周壁10cの内側で接続され、操作部10と第1の基板20とが一体に支持されている。このように組み合わされた際に、図1(b)に示すように、第1の基板20の切り欠き部20cが操作部10の照光部10bと対応する位置に配置され、図4(a)に示すように、第2面20bに備えられた光源25であるLEDが支持部材30の反射部30dと対向する位置に配置される。
【0026】
筺体40の基体41に設けられた貫通孔40cには支持部材30の円筒部30aが挿入されている。底板42に設けられた基板保持部42bに第2の基板50が保持された状態で、第2の基板50に配置されたプッシュスイッチ55の押圧操作部55aが支持部材30に設けられた押圧部30fと接した状態で支持部材30を上(Z1)側に支持している。このように組立てた状態で支持部材30は、操作部10を操作面10aと交差する方向(Z1‐Z2方向)の一方(Z1)側に露出した状態で、操作面10aと交差する方向(Z1‐Z2方向)に往復自在に支持されている。また、初期状態(非操作時)で支持部材30は、プッシュスイッチ55の押圧操作部55aの操作力によって下(Z2)側に押圧可能な状態で支持されている。第1の基板20と第2の基板50は不図示のフラットケーブル等で接続され第2の基板50から第1の基板20へ電源を供給することや、第1の基板20から出力された信号を第2の基板50へ伝達することができる。
【0027】
次に、タッチパッド装置100の動作について、図1および図4を用いて説明する。
【0028】
図1(a)に示すように操作体500が操作部10の操作面10aを近接操作すると、第1の基板20の第1面20aに設けられた検出部20eの検出電極20dの静電容量が変化し、この静電容量の変化を検出することでタッチパッドとして動作を行うことができる。
【0029】
図4(b)に破線の矢印で示すように、第1の基板20の第2面20bに備えられた光源25であるLEDから支持部材30が配置されている下(Z2)側に光が出力されると、出力された光は反射部30dで操作部10の照光部10bの向きに反射される。反射された光は、導光部10dを通過しで照光部10bへ到達することで照光を行うことができる。
【0030】
操作部10が押圧されると図4(c)に示すように操作部10は支持部材30と一体的に下(Z2)側に移動する。このため支持部材30に設けられた押圧部30fがプッシュスイッチ55の押圧操作部55aを押圧することでプッシュスイッチ55を操作することができる。
【0031】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0032】
本実施形態のタッチパッド装置100では、一方(Z1)側に操作体500が近接操作を行う操作面10aと、操作面10aに配置された照光部10bと、を有する操作部10と、互いに表裏関係にある第1面20aおよび第2面20bを有し、操作部10の他方(Z2)側に操作面10aと第1面20aとが沿うように配置され、第1面20aに近接操作を検出する検出部20eが設けられた第1の基板20と、操作部10と第1の基板20とを一体に支持する支持部材30と、を備え、第1の基板20は、操作面10a側からの平面視で照光部10bには重ならないように設けられ、第1の基板20の第2面20b側で、照光部10bの近傍に配置され、支持部材30側に光を出力する光源25を備え、支持部材30の光源25と対向する位置には、光源25から出力される光を照光部10bの向きに反射する反射部30dが設けられるよう構成した。
【0033】
これにより、支持部材30の一方(Z1)側には、光源25と対向する位置に、光源25から出力される光を照光部10bの向きに反射する反射部30dが設けられており、第1の基板20は、操作面10a側からの平面視で照光部10bに重ならないように設けられているので、導光体を用いることなく照光部10bの照光を行うことができる。従って、導光体を用いることなく照光することができる照光機能を備えたタッチパッド装置を提供することができる。
【0034】
また、本実施形態のタッチパッド装置100では、操作部10を操作面10aが露出した状態で、支持部材30を操作面10aと交差する方向に往復自在に支持する筺体40を備える構成とした。
【0035】
これにより、筺体40に、操作部10が露出した状態で、支持部材30が操作面10aと交差する方向に往復自在に支持されているので、操作面10aを押圧操作した場合に、操作部10と支持部材30が一体的に移動する。このため押圧操作によって操作部10が移動しても支持部材30との位置が一定に保たれるので照光の状態が変化することがない。従って操作によって操作部10が移動しても安定した照光を行うことができる照光機能を備えたタッチパッド装置を提供することができる。
【0036】
また、支持部材30の他方(Z2)側に押圧部30fが一体的に設けられているので、操作部10を押圧操作した場合に、押圧部30fを支持部材30と一体的に、第1の方向(Z1‐Z2方向)の他方(Z2)側へ移動させることができる。このため、押圧部30fに当接する位置にプッシュスイッチ55配置することによってプッシュスイッチ55を駆動することができ、押圧操作の検出が可能なタッチパッド装置を構成することができる。
【0037】
以上のように、本発明の実施形態に係るタッチパッド装置100を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0038】
(1)本実施形態において、乳白色等の透光性を有する合成樹脂材料と遮光性を有する合成樹脂材料とを2色成型して、操作部を形成する例を示して説明を行ったが、透光性の導光部に遮光性の塗料を塗布するように変形して実施しても良い。
【0039】
(2)本実施形態において、反射部の表面が鏡面加工してある例を示して説明を行ったが、表面に反射用塗料を塗装したり、めっき加工を施したりするように変形して実施しても良い。
【0040】
(3)本実施形態において、光源がLEDである例を示して説明を行ったが、電球等LED以外の発光素子を用いるよう変形して実施しても良い。
【0041】
(4)本実施形態において、押圧操作を検出するのにプッシュスイッチを用いる例を示して説明を行ったが、圧力センサを用いて押圧操作を検出するようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 操作部
10a 操作面
10b 照光部
10c 外周壁
10d 導光部
10e 遮光部
20 第1の基板
20a 第1面
20b 第2面
20c 切り欠き部
20d 検出電極
20e 検出部
25 光源
30 支持部材
30a 円筒部
30b 上面部
30c 支持部
30d 反射部
30e 内壁
30f 押圧部
40 筺体
40c 貫通孔
41 基体
41a 天板部
41b 側壁部
42 底板
42a 蓋部
42b 基板保持部
50 第2の基板
55 プッシュスイッチ
55a 押圧操作部
100 タッチパッド装置
500 操作体


図1
図2
図3
図4
図5