(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EDSが搭載された電子顕微鏡等の分光分析装置を用いて分析を行う場合、保存しておく価値のある分析データを取得するためには、あらかじめ装置を適切な分析条件に設定しておく必要がある。
【0006】
しかしながら、このような分析では試料状態の影響が大きく、共通の条件を流用できないため、仮の分析条件で実際に分析を行ってみてから、詳細な分析条件を設定する場合が多い。そのため、保存しておく価値ある分析データを取得するためには、仮の分析条件での複数回の分析が必要となる場合もあり、装置の操作性が悪いと、分析開始から終了までに時間がかかってしまう等の問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、分光分析装置の操作性を向上させることができる制御装置および制御方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記制御装置を含む分光分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る制御装置は、
分光分析装置を制御する制御装置であって、
前記分光分析装置で取得された試料像を表示部に表示させる制御を行う試料像表示制御部と、
ポインティング手段による前記試料像上の分析位置の指定に基づき前記分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行い、前記ポインティング手段による前記分析位置の指定の解除に基づき前記分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う分析装置制御部と、
を含む。
【0009】
このような制御装置では、分析装置制御部がポインティング手段による前記試料像上の分析位置の指定に基づき分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行い、ポインティ
ング手段による分析位置の指定の解除に基づき分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う。これにより、ユーザーは分析を開始させるためのアイコンや、分析を終了させるためのアイコン等を操作しなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0010】
(2)本発明に係る制御装置において、
前記分光分析装置における分析結果を前記表示部に表示させる制御を行う分析結果表示制御部を含み、
前記分析結果表示制御部は、
前記分析位置の指定に基づき前記分析結果を前記表示部に表示させる制御を開始し、前記分析位置の指定の解除に基づき前記分析結果を前記表示部に表示させる制御を終了してもよい。
【0011】
このような制御装置では、ユーザーは不必要な分析結果を表示部から消去するための操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0012】
(3)本発明に係る制御装置において、
前記分光分析装置から出力された分析データを記憶部に記憶させる制御を行う分析結果記憶制御部を含み、
前記分析結果記憶制御部は、
前記分析位置の指定に基づき前記記憶部に前記分析データを記憶させる処理を開始し、前記分析位置の指定の解除に基づき前記記憶部に記憶された前記分析データを消去する処理を行ってもよい。
【0013】
このような制御装置では、ユーザーは不必要な分析データを記憶部から消去するための操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0014】
(4)本発明に係る制御装置は、
分光分析装置を制御する制御装置であって、
前記分光分析装置で取得された試料像を表示部に表示させる制御を行う試料像表示制御部と、
ポインティング手段による前記試料像上の分析位置の指定がなされた場合に、分析開始アイコンを前記表示部に表示させる制御を行うアイコン表示制御部と、
前記ポインティング手段による前記分析開始アイコンに対する操作に基づき前記分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行い、前記分析開始アイコンに対する操作の解除に基づき前記分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う分析装置制御部と、
を含む。
【0015】
このような制御装置では、分析装置制御部が、ポインティング手段による分析開始アイコンに対する操作に基づき分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行い、分析開始アイコンに対する操作の解除に基づき分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う。これにより、ユーザーは分析を終了させるためのアイコン等を操作する必要がないため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。また、例えば、ポインティング手段による分析位置を指定するための操作が誤認識されるおそれを低減させることができる。
【0016】
(5)本発明に係る制御方法は、
分光分析装置を制御する制御方法であって、
前記分光分析装置で取得された試料像を表示部に表示させる制御を行う工程と、
ポインティング手段による前記試料像上の分析位置の指定に基づき前記分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行う工程と、
前記ポインティング手段による前記分析位置の指定の解除に基づき前記分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う工程と、
を含む。
【0017】
このような制御方法では、ポインティング手段による試料像上の分析位置の指定に基づき分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行う工程と、ポインティング手段による分析位置の指定の解除に基づき分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う工程と、を含む。これにより、ユーザーが分析を開始させるためのアイコンや、分析を終了させるためのアイコン等を操作する必要がないため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0018】
(6)本発明に係る制御方法において、
前記分析位置の指定に基づき前記分光分析装置における分析結果を前記表示部に表示させる制御を開始する工程と、
前記分析位置の指定の解除に基づき前記分析結果を前記表示部に表示させる制御を終了する工程と、
を含んでいてもよい。
【0019】
このような制御装置では、ユーザーは不必要な分析結果を表示部から消去するための操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0020】
(7)本発明に係る制御方法において、
前記分析位置の指定に基づき記憶部に前記分光分析装置から出力された分析データを記憶させる処理を開始する工程と、
前記分析位置の指定の解除に基づき前記記憶部に記憶された前記分析データを消去する処理を行う工程と、
を含んでいてもよい。
【0021】
このような制御方法では、ユーザーは不必要な分析データを記憶部から消去するための操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0022】
(8)本発明に係る制御方法は、
分光分析装置を制御する制御方法であって、
前記分光分析装置で取得された試料像を表示部に表示させる制御を行う工程と、
ポインティング手段による前記試料像上の分析位置の指定がなされた場合に、分析開始アイコンを前記表示部に表示させる制御を行う工程と、
前記ポインティング手段による前記分析開始アイコンに対する操作に基づき前記分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行う工程と、
前記分析開始アイコンに対する操作の解除に基づき前記分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う工程と、
を含む。
【0023】
このような制御方法では、ポインティング手段による前記分析開始アイコンに対する操作に基づき分光分析装置に対して分析を開始させる制御を行う工程と、分析開始アイコンに対する操作の解除に基づき分光分析装置に対して分析を終了させる制御を行う工程と、を含む。これにより、ユーザーは分析を終了させるためのアイコン等を操作する必要がないため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。また、例えば、ポインティング手段による分析位置を指定するための操作が誤認識されるおそれを低減させることができる。
【0024】
(9)本発明に係る分析システムは、
本発明に係る制御装置を含む。
【0025】
このような分析システムでは、本発明に係る制御装置を含むため、操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
1. 第1実施形態
1.1. 制御装置
まず、第1実施形態に係る制御装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る制御装置100を含む分析システム1000の機能ブロック図の一例を示す図である。
【0029】
分析システム1000は、分光分析装置101と、制御装置100と、を含む。
【0030】
分光分析装置101は、試料の任意の位置で、試料の元素組成情報を得るための分析を行うことが可能な装置である。分光分析装置101は、図示の例では、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)104が搭載された電子顕微鏡102である。電子顕微鏡102は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、走査電子顕微鏡(SEM)等である。以下では、電子顕微鏡102が走査電子顕微鏡である例について説明する。
【0031】
制御装置100は、分光分析装置101を制御するための装置である。制御装置100は、電子顕微鏡102と、EDS104と、を制御する。分析システム1000では、1
つの制御装置100によって電子顕微鏡102およびEDS104の両方を制御することができるため、例えば、電子顕微鏡を制御するための制御装置とEDSを制御するための制御装置とが別である場合と比べて、操作性を向上させることができる。
【0032】
制御装置100は、処理部10と、タッチパネル20(ポインティング手段の一例)と、表示部30と、記憶部40と、情報記憶媒体50と、を含む。
【0033】
タッチパネル20は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部10に出力する。タッチパネル20は、タッチパネルに対する接触操作(指定操作)によって入力された入力情報を処理部10に出力する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式(4線式、5線式)、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式、赤外線走査方式などがある。タッチパネル20は、表示部30の表示領域に設けられ、表示部30とともにタッチパネルディスプレイを構成する。タッチパネル20への接触操作は、指先を用いて行ってもよいし、タッチペンなどを用いて行ってもよい。
【0034】
表示部30は、処理部10によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRT、タッチパネル20を備えたタッチパネルディスプレイなどにより実現できる。
【0035】
記憶部40は、処理部10のワーク領域となるものであり、その機能はRAMなどにより実現できる。情報記憶媒体50(コンピューターにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD,DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、あるいはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部10は、情報記憶媒体50に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体50には、処理部10の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
【0036】
記憶部40には、例えば、分光分析装置101から出力された分析データが記憶される。分析データは、例えば、EDSスペクトルデータである。
【0037】
処理部10は、分光分析装置101で取得された試料像(電子顕微鏡像)や、分光分析装置101における分析結果(EDSスペクトル等)を表示部30に表示させる制御を行う処理や、分光分析装置101から出力された分析データを記憶部40に記憶させる処理、分光分析装置101を制御する処理などを行う。処理部10の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部10は、試料像表示制御部12と、判定部13と、分析装置制御部14と、分析結果記憶制御部16と、分析結果表示制御部18と、を含む。
【0038】
試料像表示制御部12は、分光分析装置101で取得された試料像(電子顕微鏡像)を表示部30に表示させる制御を行う。
【0039】
判定部13は、表示部30に表示された試料像上の分析位置の指定がなされたか否かを判断する処理を行う。また、判定部13は、分析位置の指定が解除されたか否かを判断する処理を行う。
【0040】
本実施形態において、分析位置の指定は、例えば、ユーザーが指先(タッチペン等でもよい)を表示部30に表示された試料像上の任意の位置に接触させること(接触操作)により行われる。判定部13は、表示部30に表示された試料像上においてタッチパネル20により接触操作(タッチパネル20への接触)が検出された場合に、当該分析位置の指
定がなされたと判断する。
【0041】
また、本実施形態において、分析位置の解除は、例えば、ユーザーが試料像上の分析位置に接触させていた指先FGを離すこと(タッチアップ操作)により行われる。判定部13は、表示部30に表示された試料像上においてタッチパネル20により分析位置への接触が検出されなくなった場合(タッチアップ操作が検出された場合)に、当該分析位置の指定が解除されたと判断する。
【0042】
分析装置制御部14は、分光分析装置101を制御するための処理を行う。分析結果記憶制御部16は、分光分析装置101から出力された分析データを記憶部40に記憶させる制御を行う。分析結果表示制御部18は、分光分析装置101における分析結果を表示部30に表示させる制御を行う。
【0043】
ここで、制御装置100は、インスタント分析モード(以下「第1モード」ともいう)と、本分析モード(以下「第2モード」ともいう)と、を有している。第1モードは、分析条件を決定するための予備的な分析(測定)を行うためのモードである。第2モードは、保存しておく価値ある分析データを取得するためのモードである。
【0045】
分析装置制御部14は、第1モードにおいて、タッチパネル20による表示部30に表示された試料像上の分析位置の指定に基づき分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行い、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。分析装置制御部14は、判定部13によって分析位置の指定がなされたと判断された場合に、分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行う。また、分析装置制御部14は、判定部13によって分析位置の指定が解除されたと判断された場合に、分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。
【0046】
分析結果記憶制御部16は、第1モードにおいて、タッチパネル20による分析位置の指定に基づき記憶部40に分析データを記憶させる処理を開始し、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき記憶部40に記憶された分析データを消去する処理を行う。例えば、第1モードにおいて、分析結果記憶制御部16は、判定部13によって分析位置の指定がなされたと判断された場合に、記憶部40に分析データを記憶させる処理を開始する。また、分析結果記憶制御部16は、判定部13によって分析位置の指定が解除されたと判断された場合に、記憶部40に記憶された分析データを消去する処理を行う。
【0047】
分析データ(EDSスペクトルデータ)は、分析結果記憶制御部16が分析データを記憶させる処理を開始した後、分析データを消去する処理を行うまで積算される。本実施形態では、分析データは、EDS104の検出器により分光・検出されたX線信号に基づくデータ(EDSスペクトルデータ)であり、マルチチャネルアナライザー(図示せず)を介してその電気パルスの高さ(X線のエネルギー値)に応じて記憶部40に記憶されて積算される。
【0048】
分析結果表示制御部18は、第1モードにおいて、タッチパネル20による分析位置の指定に基づき分析結果(EDSスペクトル)を表示部30に表示させる制御を開始し、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき分析結果を表示部30に表示させる制御を終了する。例えば、第1モードにおいて、分析結果表示制御部18は、判定部13によって分析位置の指定がなされたと判断された場合に、表示部30に分析結果を表示させる制御を開始する。また、分析結果表示制御部18は、判定部13によって分析位置の
指定が解除されたと判断された場合に、表示部30に表示された分析結果を表示させる制御を終了する。すなわち、分析位置の指定が解除された場合、表示部30には分析結果は表示されない。
【0050】
分析装置制御部14は、第2モードにおいて、タッチパネル20による表示部30に表示された試料像上の分析位置の指定がなされた後、表示部30に表示されている分析開始アイコンの操作に応じて分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行い、あらかじめ設定されている所定時間経過後、または分析終了アイコンの操作に応じて分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。
【0051】
分析結果記憶制御部16は、第2モードにおいて、表示部30に表示されている分析開始アイコンの操作に応じて分光分析装置101から出力された分析データを記憶部40に記憶させる処理(分析データを積算する処理)を開始し、あらかじめ設定されている所定時間経過後、または分析終了アイコンの操作に応じて分析データを積算する処理を終了する。
【0052】
分析結果表示制御部18は、第2モードにおいて、表示部30に表示されている分析開始アイコンの操作に応じて分析結果(EDSスペクトル)を表示部30に表示させる制御を開始し、分析が終了した後、次に分析開始アイコンの操作が行われるまで表示部30に分析結果を表示させる制御を行う。すなわち、次の分析が行われるまで、表示部30には分析結果が表示され、次の分析が開始されると、分析結果の表示が更新される。
【0053】
1.2. 本実施形態の手法
次に、本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
【0054】
図2は、タッチパネルディスプレイ(タッチパネル20を備えた表示部30)に表示される設定画面(GUI:グラフィカルユーザーインタフェース)1の一例を示す図である。
【0055】
設定画面1は、
図2に示すように、試料像表示部2と、分析結果表示部3と、操作部4と、を含む。
【0056】
試料像表示部2には、分光分析装置101で取得された試料像が表示される。試料像表示部2には、例えば、電子顕微鏡像が表示される。分析結果表示部3には、分光分析装置101における分析結果が表示される。分析結果表示部3には、例えば、EDSスペクトルが表示される。操作部4は、分光分析装置101の操作を行うためのGUI要素(ボタン、アイコン等)が配置されている。操作部4には、インスタント分析アイコン5と、点分析アイコン6と、分析開始アイコン6aと、分析終了アイコン6bと、が配置されている。インスタント分析アイコン5が操作されることで、制御装置100は第1モードで動作し、点分析アイコン6が操作されることで、制御装置100は第2モードで動作する。
【0057】
まず、インスタント分析アイコン5が操作されて、制御装置100が第1モードで動作する場合について説明する。
図3〜
図5は、制御装置100における分光分析装置101の操作の一例を説明するための図である。
【0058】
ユーザーが指先FGをインスタント分析アイコン5に接触させる操作(インスタント分析アイコン(ボタン)5を押す操作)を行うことで、制御装置100は第1モードで動作する。このとき、処理部10は、分光分析装置101に対して電子線の走査を中止させる
制御を行う。
【0059】
そして、
図3に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。これにより、分光分析装置101では、指定された分析位置で分析が開始される。
【0060】
図4に示すように、分析が開始されると同時に、記憶部40に分光分析装置101から出力された分析データが記憶され、EDSスペクトル(分析結果)が分析結果表示部3に表示される。分析結果の表示を見ることで、ユーザーは分析位置の組成を確認することができる。ユーザーが指先FGを試料像表示部2に接触させる操作を行っている間は分析が継続して行われ、分析データが積算され続ける。そして、分析結果表示部3には、積算されたEDSスペクトルがリアルタイムに表示される。ユーザーは、例えば微小ピークの有無の判定を行う必要がある場合は、分析時間を長く(試料像表示部2への指先FGの接触を継続する時間を長く)することで、S/N比の良いスペクトルを得て、微小ピークの有無の判定を正確に行うことができる。一方、目的とする元素のピークが得られないとわかれば、試料像表示部2への指先FGの接触を即座に解除すればよい。このように、積算されたスペクトルの表示を見ることで、ユーザーは分析時間を長くするか短くするかの正確な判断を行うことができる。
【0061】
図5に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2から離す操作(タッチアップ)を行うことで、分析位置の指定が解除される。これにより、分光分析装置101では、直ちに分析が終了する。このとき、分析結果表示部3に表示されていたEDSスペクトルは非表示となり、記憶部40に記憶されている分析データは消去される。
【0062】
次に、点分析アイコン6が押されて、制御装置100が第2モードで動作する場合について説明する。ユーザーが指先FGを点分析アイコン6に接触させる操作(点分析アイコン(ボタン)6を押す操作)を行うことで、制御装置100は第2モードで動作する。このとき、処理部10は、分光分析装置101に対して電子線の走査を中止させる制御を行う。
【0063】
図3に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。次に、ユーザーが指先FGを分析開始アイコン6aに接触させる操作を行うことで、分光分析装置101では指定された分析位置で分析が開始される。そして、あらかじめ設定された所定時間経過後、またはユーザーが指先FGを分析終了アイコン6bに接触させる操作(分析終了アイコン(ボタン)6bを押す操作)を行うことで、分析が終了する。このとき、分析結果表示部3に表示されていたEDSスペクトルは表示されたままであり、記憶部40には積算された分析データが記憶される(保存される)。なお、記憶部40には、分析データとともに、分析位置の情報が記憶される。
【0064】
1.3. 制御装置の動作
次に、本実施形態に係る制御装置の動作について説明する。ここでは、第1モードにおける制御装置100の動作について説明する。
図6は、制御装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、試料像表示制御部12は、分光分析装置101の電子顕微鏡102で取得された電子顕微鏡像(試料像)を取得し、表示部30(試料像表示部2)に表示させる制御を行う(ステップS10)。
【0066】
次に、判定部13は、ユーザーによって表示部30に表示された試料像上の分析位置が
指定されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0067】
分析位置が指定されたと判断された場合(ステップS12の「Y」)、すなわち、タッチパネル20による分析位置の指定に基づいて、分析装置制御部14は、分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行う(ステップS14)。
【0068】
分析装置制御部14は、例えば、判定部13によって分析位置の指定がなされた判断されると、直ちに分析を開始させるための制御信号を分光分析装置101に送る処理を行う。この制御信号を受けて、分光分析装置101では、指定された分析位置に電子線が照射され、試料から放出された特性X線がEDS104で検出される。
【0069】
また、分析位置が指定されたと判断された場合(ステップS12の「Y」)、分析結果記憶制御部16は、分光分析装置101から出力された分析データを記憶部40に記憶させる処理を開始する(ステップS16)。
【0070】
また、分析位置が指定されたと判断された場合(ステップS12の「Y」)、分析結果表示制御部18は、EDSスペクトル(分析結果)を表示部30に表示させる制御を開始する(ステップS18)。分析結果表示制御部18は、例えば、記憶部40に記憶されている分析データを読み出して、表示部30にEDSスペクトルを表示させる制御を行う。
【0071】
次に、判定部13は、ユーザーによって表示部30に表示された試料像上の分析位置の指定が解除されたか否かを判断する(ステップS20)。
【0072】
分析位置の指定が解除されたと判断された場合(ステップS20の「Y」)、すなわち、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づいて、分析装置制御部14は、分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う(ステップS22)。
【0073】
分析装置制御部14は、判定部13によって分析位置の指定が解除されたと判断されると、直ちに分析を終了させるための制御信号を分光分析装置101に送る処理を行う。この制御信号を受けて、分光分析装置101では、分析位置に対する電子線の照射が中止される。
【0074】
また、分析位置の指定が解除されたと判断された場合(ステップS20の「Y」)、分析結果記憶制御部16は、記憶部40に記憶されていた分析データを消去する処理を行う(ステップS24)。これにより、記憶部40に記憶されていた積算された分析データは消去される。
【0075】
また、分析位置の指定が解除されたと判断された場合(ステップS20の「Y」)、分析結果表示制御部18は、EDSスペクトル(分析結果)を表示部30に表示させる制御を終了する(ステップS26)。これにより、表示部30(分析結果表示部3)には、EDSスペクトルは表示されない。そして、ステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS26の処理が繰り返される。
【0076】
一方、分析位置の指定が解除されていないと判断された場合(ステップS20の「N」)、ステップS16に戻って、ステップS16、ステップS18の処理が行われる。すなわち、記憶部40には分析データが積算され、表示部30には積算されたEDSスペクトルが表示され続ける。
【0077】
制御装置100は、例えば、以下の特長を有する。
【0078】
制御装置100では、分析装置制御部14は、タッチパネル20による試料像上の分析位置の指定に基づき分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行い、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。そのため、例えば、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで分析が開始され、ユーザーが指先FGを試料像表示部2から離す操作(タッチアップ)を行うことで分析が終了する。したがって、ユーザーは分析を開始させるためのアイコンや、分析を終了させるためのアイコン等の操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができ、分析の時間を短縮することができる。
【0079】
制御装置100では、分析結果記憶制御部16は、タッチパネル20による試料像上の分析位置の指定に基づき記憶部40に分析データを記憶させる処理を開始し、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき記憶部40に記憶された分析データを消去する処理を行う。これにより、ユーザーは不必要な分析データを記憶部40から消去する操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0080】
制御装置100では、分析結果表示制御部18は、タッチパネル20による試料像上の分析位置の指定に基づき分析結果を表示部30に表示させる制御を開始し、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき分析結果を表示部30に表示させる制御を終了する。これにより、ユーザーは不必要な分析結果を表示部30から消去する操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0081】
本実施形態に係る制御方法は、分光分析装置101で撮影された試料像を表示部30に表示させる制御を行う工程と、タッチパネル20による試料像上の分析位置の指定に基づき分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行う工程と、タッチパネル20による分析位置の指定の解除に基づき分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う工程と、を含む。そのため、上述したように、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0082】
分析システム1000は、制御装置100を含むため、分光分析装置の操作性を向上させることができる。
【0083】
1.4. 変形例
次に、本実施形態に係る制御装置の変形例について説明する。なお、上述した本実施形態に係る制御装置の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0084】
(1)第1変形例
まず、第1変形例について説明する。なお、第1変形例において、分析システムの構成は、
図1に示す分析システム1000と同様であり、図示を省略する。
【0085】
上述した実施形態では、判定部13は、タッチパネル20によって試料像表示部2への接触が検出された場合(接触操作が行われた場合)に、分析位置が指定されたと判断した。
【0086】
これに対して、本変形例では、判定部13は、タッチパネル20によって試料像表示部2への接触が所定の時間継続して検出された場合(接触操作が所定の時間継続した場合)に、分析位置が指定されたと判断する。すなわち、本変形例では、ユーザーが指先FGを試料像表示部2(タッチパネルディスプレイ)に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を所定の時間継続して行うことにより、分析位置が指定される。なお、ユーザーが指先FGを接触させる操作を所定の時間継続しなかった場合には、分析は開始されな
い。
【0087】
本変形例では、分析位置の指定を指定するための操作が誤認識されるおそれを低減させることができる。例えば、試料像の視野の移動を、ユーザーが指先FGを試料像表示部2の任意の位置に接触させた状態で指先FGを所望の方向に移動させることで(スライドさせることで)行う場合、視野の移動と分析位置の指定とが誤認識されるおそれがある。本変形例では、指先FGを接触させる操作を所定の時間継続して行った場合に、分析位置が指定されるため、試料の移動と分析位置の指定とが誤認識されるおそれを低減させることができる。このように本変形例では、タッチパネル20による分析位置を指定するための操作が誤認識されるおそれを低減させることができる。
【0088】
(2)第2変形例
次に、第2変形例について説明する。
図7〜
図9は、第2変形例に係る制御装置における分光分析装置の操作の一例を説明するための図である。なお、第2変形例における分析システムの構成は、
図1に示す分析システム1000と同様であり、図示を省略する。
【0089】
図7に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。このとき、本変形例では、ユーザーによって指定された位置を中心とした規定範囲が分析位置(分析領域)として指定され、この範囲(領域)で分析が行われる。すなわち、分光分析装置101では分析を行う際にこの範囲に電子線が照射される。規定範囲の大きさや、形状は適宜設定することができる。例えば、
図7に示す例では、規定範囲は矩形であり、
図8に示す例では規定範囲は円である。
【0090】
また、
図9に示すように、ユーザーによって指定された位置に隣接した同輝度、もしくは同輝度±X階調のピクセル領域の範囲が分析位置として指定されてもよい。
【0091】
(3)第3変形例
次に、第3変形例について説明する。
図10は、第3変形例に係る制御装置における分光分析装置の操作の一例を説明するための図である。なお、第3変形例における分析システムの構成は、
図1に示す分析システム1000と同様であり、図示を省略する。以下、本変形例について、
図3〜
図5、
図10を参照しながら説明する。
【0092】
図3に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。これにより、分光分析装置101では、当該分析位置で分析が開始される。そして、
図4に示すように、記憶部40に分光分析装置101から出力された分析データの記憶が開始され、EDSスペクトルが分析結果表示部3に表示される。
【0093】
図10に示すように、ユーザーが指先FGを分析位置に接触させた状態で、別の指先FGを試料像表示部2の任意の位置に接触させる操作を行う。これにより、
図5に示すようにユーザーが指先FGを試料像表示部2から離す操作を行って分析位置の指定が解除されて分析が終了したときに、記憶部40に記憶されている分析データは消去されずに保持される。なお、分析結果表示部3に表示されていたEDSスペクトルは、非表示となってもよいし、表示されたままであってもよい。
【0094】
すなわち、本変形例では、分析結果記憶制御部16は、ユーザーが指先FGを分析位置に接触させた状態で、別の指先FGを試料像表示部2の任意の位置に接触させる操作を行った場合に、タッチパネル20による分析位置の指定が解除されたタイミングに基づき記憶部40に記憶された分析データを消去する処理を行わずに、分析位置の情報とともに分
析データを記憶部40に保持する処理を行う。
【0095】
(4)第4変形例
次に、第4変形例について説明する。
図11および
図12は、第4変形例に係る制御装置における分光分析装置の操作の一例を説明するための図である。なお、第4変形例における分析システムの構成は、
図1に示す分析システム1000と同様であり、図示を省略する。以下、本変形例について、
図3、
図4、
図11、
図12を参照しながら説明する。
【0096】
図3に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。これにより、分光分析装置101では、当該分析位置で分析が開始される。そして、
図4に示すように、記憶部40に分光分析装置101から出力された分析データの記憶が開始され、EDSスペクトルが分析結果表示部3に表示される。
【0097】
分析が開始された状態で、
図11に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に接触させたまま移動させる操作を行うと、移動後の位置が分析位置として指定される。これにより、分光分析装置101では、移動後の分析位置で引き続き分析が行われ、
図12に示すように、移動後の分析位置の分析結果が分析結果表示部3に表示される。
【0098】
すなわち、本変形例では、分析装置制御部14は、タッチパネル20(試料像表示部2)上での指先FGの接触移動に伴い分析位置が変化した場合に、分光分析装置101に対して変化した後の分析位置で分析を開始させる制御を行う。
【0099】
2. 第2実施形態
2.1. 制御装置
次に、第2実施形態に係る制御装置について図面を参照しながら説明する。
図13は、第2実施形態に係る制御装置200を含む分析システム1000の機能ブロック図の一例を示す図である。以下、第2実施形態に係る制御装置を含む分析システムにおいて、第1実施形態に係る制御装置を含む分析システムの構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0100】
分析システム1000は、分光分析装置101と、制御装置200と、を含む。
【0101】
制御装置200の処理部10は、試料像表示制御部12と、判定部13と、分析装置制御部14と、分析結果記憶制御部16と、分析結果表示制御部18と、に加えて、さらに、アイコン表示制御部19を含む。
【0102】
アイコン表示制御部19は、第2モードにおいて、タッチパネル20による表示部30に表示された試料像上の分析位置の指定がなされた場合に、分析開始アイコンおよび分析キャンセルアイコンを表示部30に表示させる制御を行う。分析開始アイコンは、指定された分析位置で分光分析装置101に分析を開始させるための操作、および分析を終了させるための操作を受け付けるアイコンである。分析キャンセルアイコンは、指定された分析位置での分析をキャンセルするための操作を受け付けるアイコンである。
【0103】
分析装置制御部14は、第2モードにおいて、タッチパネル20による分析開始アイコンに対する操作に基づき分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行い、タッチパネル20による分析開始アイコンに対する操作の解除に基づき分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。
【0104】
なお、本実施形態における制御装置200の第2モードの動作は、上述した制御装置1
00の第2モードの動作と同様でありその説明を省略する。
【0105】
2.2. 本実施形態の手法
次に、本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
【0106】
ここでは、制御装置200が第1モードで動作する場合について説明する。
図14〜
図18は、制御装置200における分光分析装置101の操作の一例を説明するための図である。
【0107】
図14に示すように、ユーザーが指先FGを試料像表示部2に表示された試料像上の任意の位置に接触させる操作を行うことで、分析位置が指定される。これにより、指定された分析位置の近傍に分析開始アイコン8および分析キャンセルアイコン9が表示される。分析開始アイコン8および分析キャンセルアイコン9は、
図14に示すように、指定された分析位置の近傍に表示される。
【0108】
図15に示すように、ユーザーが分析位置を指定した指先FGとは別の指先FGを、分析開始アイコン8に接触させる操作を行うことで、分光分析装置101では、指定された分析位置で分析が開始される。
【0109】
図16に示すように、分析が開始されると同時に、記憶部40に対して分光分析装置101から出力された分析データを記憶させる処理が開始され、EDSスペクトル(分析結果)が分析結果表示部3に表示される。ユーザーが指先FGを分析開始アイコン8に接触される操作を行っている間は分析が継続して行われ、分析データが積算される。そして、分析結果表示部3には、積算されたEDSスペクトルが表示される。
【0110】
図17に示すように、ユーザーが指先FGを分析開始アイコン8から離す操作(タッチアップ)分析が終了する。このとき、分析結果表示部3に表示されていたEDSスペクトルは非表示となり、記憶部40に記憶されている分析データは消去される。なお、ユーザーが指先FGを分析位置から離す操作を行うことで、分析を終了させてもよい。
【0111】
なお、
図14に示すように、分析位置が指定されて分析開始アイコン8および分析キャンセルアイコン9が表示された後、
図18に示すように、ユーザーが指先FGを分析キャンセルアイコン9に接触させる操作を行うことで、分析位置の指定が解除され、当該分析位置では分析が行われない。
【0112】
2.3. 制御装置の動作
次に、本実施形態に係る制御装置の動作について説明する。ここでは、第1モードにおける制御装置200の動作について説明する。
図19は、制御装置200の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図19に示すフローチャートにおいて、
図6に示すフローチャートの処理と同様の処理については同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0113】
まず、試料像表示制御部12は、分光分析装置101の電子顕微鏡102で取得された電子顕微鏡像(試料像)を表示部30(試料像表示部2)に表示させる制御を行う(ステップS10)。
【0114】
次に、判定部13は、ユーザーによって表示部30に表示された試料像上の分析位置が指定されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0115】
分析位置が指定されたと判断された場合(ステップS12の「Y」)、アイコン表示制御部19は、分析開始アイコン8および分析キャンセルアイコン9を表示部30に表示さ
せる制御を行う(ステップS130)。
【0116】
次に、判定部13は、分析開始アイコン8および分析キャンセルアイコン9のどちらが操作されたかを判断する(ステップS132)。判定部13は、タッチパネル20によって分析開始アイコン8への接触が検出された場合に、分析開始アイコン8が操作されたと判断し、タッチパネル20によって分析キャンセルアイコン9への接触が検出された場合に、分析キャンセルアイコン9が操作されたと判断する。
【0117】
分析キャンセルアイコン9が操作されたと判断された場合(ステップS132の「C」)、分析位置の指定が解除され、ステップS12に戻る。
【0118】
分析開始アイコン8が操作されたと判断された場合(ステップS132の「S」)、すなわち、分析開始アイコン8の操作に基づいて、分析装置制御部14は、分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行う(ステップS14)。
【0119】
分析装置制御部14は、例えば、分析開始アイコン8の操作がなされたと判断されると、分析を開始させるための制御信号を分光分析装置101に送る処理を行う。
【0120】
また、分析開始アイコン8が操作されたと判断された場合(ステップS132の「S」)、分析結果記憶制御部16は、分光分析装置101から出力された分析データを記憶部40に記憶させる処理を開始する(ステップS16)。
【0121】
また、分析開始アイコン8が操作されたと判断された場合(ステップS132の「S」)、分析結果表示制御部18は、EDSスペクトル(分析結果)を表示部30に表示させる制御を開始する(ステップS18)。
【0122】
次に、判定部13は、ユーザーによって分析開始アイコン8の操作が解除されたか否かを判断する(ステップS190)。判定部13は、タッチパネル20によって分析開始アイコン8への接触が検出されなくなった場合(分析開始アイコン8に対するタッチアップ操作が検出された場合)に、分析開始アイコン8の操作が解除されたと判断する。
【0123】
分析開始アイコン8の操作が解除されたと判断された場合(ステップS190の「Y」)、分析装置制御部14は、分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う(ステップS22)。
【0124】
分析装置制御部14は、例えば、分析開始アイコン8の操作が解除されたと判断された場合に、分析を終了させるための制御信号を分光分析装置101に送る処理を行う。これにより、分光分析装置101では、電子顕微鏡102による分析位置に対する電子線の照射が中止される。
【0125】
また、分析開始アイコン8の操作が解除されたと判断された場合(ステップS190の「Y」)、分析結果記憶制御部16は、記憶部40に記憶されていた分析データを消去する処理を行う(ステップS24)。これにより、記憶部40に記憶されていた積算された分析データは消去される。
【0126】
また、分析開始アイコン8の操作が解除されたと判断された場合(ステップS20の「Y」)、分析結果表示制御部18は、EDSスペクトル(分析結果)を表示部30に表示させる制御を終了する(ステップS26)。これにより、表示部30(分析結果表示部3)には、EDSスペクトルは表示されない。そして、ステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS26の処理が繰り返される。
【0127】
一方、分析開始アイコン8の操作が解除されていないと判断された場合(ステップS190の「N」)、ステップS16に戻って、ステップS16、ステップS18の処理が行われる。すなわち、記憶部40には分析データが積算され、表示部30には積算されたEDSスペクトルが表示される。
【0128】
制御装置200は、例えば、以下の特長を有する。
【0129】
制御装置200では、アイコン表示制御部19はタッチパネル20による試料像上の分析位置の指定がなされた場合に、分析開始アイコン8を表示部30に表示させる制御を行い、分析装置制御部14は、タッチパネル20による分析開始アイコン8に対する操作に基づき分光分析装置101に対して分析を開始させる制御を行い、分析開始アイコン8に対する操作の解除に基づき分光分析装置101に対して分析を終了させる制御を行う。したがって、分析を終了させるためのアイコンの操作を行わなくてもよいため、分光分析装置の操作性を向上させることができ、例えば分析の時間を短縮することができる。また、分析位置を指定するための操作が誤認識されるおそれを低減させることができる。例えば、試料の移動と分析位置の指定とが誤認識されるおそれを低減させることができる。
【0130】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る制御装置を含む分析システムについて説明する。
図20は、第3実施形態に係る制御装置200を含む分析システム1000の機能ブロック図の一例を示す図である。以下、第2実施形態に係る制御装置を含む分析システムにおいて、第1及び第2実施形態に係る制御装置を含む分析システムの構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0131】
上述した制御装置100では、
図1に示すように、ポインティング手段は、タッチパネル20であった。これに対して制御装置200では、
図20に示すようにポインティング手段は、マウス22である。
【0132】
例えば、
図3に示す分析位置を指定するための操作をマウス22で行う場合、ユーザーがマウス22を用いてマウスカーソルを試料像表示部2の任意の領域に重ねてクリックする。これにより、分析位置が指定されて、分光分析装置101では当該分析位置で分析が開始される。
【0133】
そして、ユーザーがマウス22をクリックしている間は分析が継続して行われ、分析データが積算され続ける。そして、分析結果表示部3には、積算されたEDSスペクトルが表示される。
【0134】
図5に示す分析位置の指定を解除するための操作をマウス22で行う場合、ユーザーがマウス22のクリックを中止する操作を行う。これにより、分析位置の選択が解除され、分光分析装置101では分析が終了する。このとき、分析結果表示部3に表示されていたEDSスペクトルは非表示となり、記憶部40に記憶されている分析データは消去される。
【0135】
制御装置300によれば、上述した制御装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0136】
なお、制御装置300では、制御装置100のポインティング手段としてマウスを用いる例について説明したが、上述した制御装置100の変形例や、制御装置200においても、ポインティング手段としてマウスを用いてもよい。
【0137】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0138】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。